何を書いているのか、自分でも分からない。
アンリの攻撃は今までとは打って変わり、非常に直情的なものへと変わっていた。
しかし、溢れる殺意は留まる所を知らず、確実に鼬を追いつめている。
無理もない。
いくら強いとはいえ、先ほど目が覚めるまでずっと眠っていたのだ。
むしろ動ける方が凄いと言っていいだろう。
普通であれば衰えた筋肉をリハビリで鍛えなくてはいけないのだ。
やはり、人ではないからこそ出来る技なのかもしれない。
二人ともISと融合した人間。
共にISとのシンクロ率は100%を優に超える。
最早性能差など意味をなさない。
どちらの意思がより強いか。
それこそが、勝敗を分けるといっても過言ではない。
だから、普通に考えればアンリの方が優勢なのだ。
何故なら今まで抑えてきた思いが溢れ出ているから。
全てを抑えてきた彼は、誰も恨んでなどいなかった。
ただ、自分と同じ境遇なのに、幸せそうに生活している一夏と鼬だけは明確な殺意を抱いていた。
羨ましかった。
最初はそれだけだった。
自分が送ることのできなかった日々を送る二人が、心底羨ましかった。
そんな思いは徐々に歪み、殺意へと変貌した。
不平等だ。
この世界が平等な事は一度でもあったか?
妬ましい。
それは彼らが幸せそうだからか?
解の無い問答を心の中でループさせる。
表面上には一切出さない。
だが、奥底には確実に殺意が渦巻いていた。
今まで抱えてきた物の重さが違うのだ。
それに対し鼬は、軽い。
思いなんてなかった。
ただ、哀れだと思っていた。
鼬は人形だった。
自分の意思で動こうとしない人形だった。
変わったのは、最近の事だ。
何か辛い思いをしたわけでもない。
鼬という人間は、全てにおいて未熟なのだ。
だが、皇煌ならどうだろうか。
殺戮の機械として生きるはずだった彼は、死にかけたがISと融合し、身体は生きながらえていた。
死に瀕した際に芽生えた感情は、機械を人へと変えた。
人としての鼬は未熟だ。
ISとしても落第点だろう。
人としての皇煌は落第点だ。
ISとしても未熟だろう。
だから、二人は考えた。
どうすればいいのかを。
出した答えは、皇煌を殺し、彼が持つ経験を鼬が吸収する。
一人で足りないのなら、足してやればいい。
正解ではなかったが、不正解でもない。
結果吸収に時間が掛かり、今頃になって目を覚ますことになった。
そして今、アンリの記憶を吸収し、やっと人として動き出した。
とても甘美な果実を喰らった。
アンリの持つ奥底に秘めた殺意が、鼬を完成させたのだ。
結果抱いたのは、哀れだな、という感情。
理解者だっていたのに、打ち明けず、抑え込んだことを哀れだと思った。
彼女なら助けられたはずなのに、そう思うと哀れで仕方がない。
確かに鼬が抱く意思は軽い。
だが、直情的な殺意に対し、どこまでも冷めたその意思は、最高に効果的だった。
まあ簡単に言うと、
決着は近い。
ただ、それだけなのだ。
矛盾ししすぎだろ