IS学園正門
「もう行くのか?」
「ああ、あの人は仕事の合間を見つけて来ていただけみたいだからな。引き取られたその日にカナダへ行く事になるとは私にも想像できなかったさ」
「だろうな。それより、本当に大丈夫なのか?亡霊企業の追手が来るかもしれないんだろ」
「現時点の世界最強がついているんだ。そう簡単には手を出せないさ」
「それもそうか」
話しているのは一夏とマドカの二人。
元をたどればマドカも一夏みたいなもの。
一度話してみれば案外気が合う。
三日もすればまるで本当の兄妹のように仲良くなっていた。
「マドカ!もう直ぐ電車が出る、早く乗れ!」
「ん、もうそんな時間か。じゃあまた会おう」
「お盆ぐらいは返って来いよ」
「勿論だ、もっとも織斑家にお墓なんか無いがな」
「そういやそうだな」
「いいから早く電車に乗れよ!」
「・・・・・まるでお母さんだな」
「・・・・・たまに思う」
マドカは一夏に手を振りながら電車に乗り込む。
「おい、アンリ」
「何だ?織斑一夏」
「マドカの事、頼んだぞ」
「当たり前だ、これまでもこれからもアイツを守るのは俺の役目だ」
「・・・・そうだったな」
「「じゃあな、また会おうぜ」」
電車がホームから出ていく。
一夏はそれを見えなくなるまで見つめていた。
IS学園屋上
夕暮れに染まる空を、鼬は眺めていた。
「・・・・・・・ここで、一度死んだんだよな」
死んだのは間違いではないが、鼬が死んだわけではない。
皇煌。
鼬の体の、本来の持ち主がこの場で死んだのだ。
実際彼あの選択をしなければ、鼬も煌も死んでいたのだが。
「・・・・・」
鳩尾のあたりを触ると固く尖った物に触れた。
そう、これこそが鼬の体の中にあったISコア。
そしてIS名「皇煌」のコアである。
皇煌は、ISコアの中にいる。
簡単に言えば本来の人格とISコアの人格を入れ替えたのだ。
ISである鼬は人に、人である煌はISに。
完全な精神移行を行うのに時間が掛かった。
結果、目覚めた時には大惨事寸前だった。
もう少し早く目が覚めていれば、そんな事はもう数え切れないほど思い浮かべた。
だが、もう考えるのはよそう。
これ以上は無意味だ。
自分にそう言い聞かせる。
彼はもう敵じゃない。
戦うべき相手では無いのだから。
「・・・・・・・・戻るか、簪ちゃんが待ってる」
ここに帰る場所がある。
それだけ分かれば十分だ。
これから先、どんな事があるかは分からないけれど。
恐らく何とかなるはずだ。
そうある事を願い続ける。
扉を開け、階段を降りる。
その先の未来へと、歩き始める。
「いや、未来なんか無いんだよ」
『この物語はあれでお終いさ』
「ところで、終わった作品はその後どうなると思う?」
『・・・・・・・・・分かんないか』
「止まるんだよ、その世界全てが」
『終わった世界に未来はない。いつか来る最後の時まで、時が固まったまま、止まり続けるんだ』
「悲しいかな、止まらないのは全ての原作が存在する世界と、私達だけなんだ」
『じゃあ、今回はこれでおしまい』
「次の物語が紡がれるその時まで」
『さよなら~』
「・・・・・・・ああそうだ、君は何故か輪廻の輪に乗らず、ここに来たんだったね」
『じゃあさ、しちゃう?この新世界で許されない禁忌を、犯しちゃう?」
「『転生ってやつをさ」』
さてさて、これでお終いです。
最後の言葉の意味、わかりますかね。
じゃあ、これにて