「オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!」
僕は恐怖を誤魔化すように叫ぶ、死ぬ恐怖を、命を賭して戦う恐怖を、忘れて拳を握りしめ殴りがかかる。
「ケェケェ!!」
怪物は笑いながらその拳を受け止め捻りあげてきた。
その力に負け腕の筋繊維から音が鳴り苦痛の声が漏れ出る。
「ぐぅっ」
そのまま怪物は僕の手首を掴み屋上へ投げ飛ばし、己もまた屋上へと飛び上がってきた。
「ガハッ」
「グスガギバ」
そう言うと怪物は近くを飛んでいたヘリに対して攻撃を仕掛けようとした。
「させるか!」
後ろから羽交い締めに少しでもヘリが離れる時間を稼ごうとしても力が及ばず腕で振り払われてしまった。
「逃げて!早く!」
そして怪物は腕を広げ糸を吐いたかと思うとそれを槍状にし、身体を逸らし慣れた様子でヘリに向けて放った。
「やめろぉぉぉ!」
叫び声を上げても何も出来なかった……。ヘリは槍を受け爆発四散した。恐らくエンジン部分をやられたのだろう。それを見届けた怪物はこちらへと振り向き近づいてきた、怖かった、しかしそんなもの初めから理解していただからこそ拳を握りしめ戦う意志を見せた。
「ハァァァァ!」
だが、怪物は尋常では無いスピードでこちらに近ずくと腹に拳をめり込ませて来て構えが解けた瞬間、首を絞めてきた。
「ジョパギバギソギン」
「ぐぅぅ」
それでも僕は諦めなかった必死になって首を絞める腕を掴み力任せに握りしめた、そうすると怪物は握力により手を離すしか他ならかったその隙を逃さず僕は
「グ?」
「オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!」
叫び声を上げこの湧き上がる闘争心に身を任せて右足で床を蹴って左足を強く踏み込み腰を回転させ、右拳を突き出す腕だけでなく、全身を使って打ちこむと殴った感触が拳から伝わる
「グガッ」
よろけた、怪物が僕の全身全霊のパンチで、畳み掛けるには今しかないそう思った刹那よろけた怪物へと僕は襲いかかった。
「オォォォォォ!」
怪物の脇腹を狙い体を横に捻りながら、蹴る足を横に振り出し曲げ、鞭のようにしならせて蹴り飛ばした
「グァ!」
距離が空いた、そう認識した時怪物はその場を去っていった。
「……フゥ…」
だが混乱してるここでは変身を解けない1度物陰に隠れる必要があると考え、僕は人の少ない所へと逃げていった
――――――――――――――――――――――――――――――
スマホのバイブ音が鳴り響く、どうやら誰かが電話をかけてきたようだ。表示名を見ると沢渡桜子とあった、昨日の事での電話だろう。
「はい゛」
「うわ、すごい声…今から少し話さない?朝日くんの家の前に居るんだけど」
そう言うと通話を切られた……渋々重い体を起こし投げ捨てたジャケットをかけ直しては解錠し玄関の扉を開く
「おはよう沢渡さん」
「おはよう朝日くん」
彼女をひとまずリビングへと案内し席に座らせコーヒーを淹れそっと前に置いた。自分の前にもあるがこちらはミルクも砂糖もなしのブラックであり目を覚ますためにはこれが良かった。
「それで今日の要件は…いや、昨日の事ですよね」
「もちろんよ、昨日のあの姿はなに?それにあの後に何も連絡しなかったでしょ」
少しどころかかなり怒ってるようだったのは見て分かった、あの後に僕は彼女と合流することなくそっと人混みに紛れこみバイクに乗り自宅へと帰っていたのだ。
「1つずつ説明するよ、あの姿はクウガと言う事、連絡を取れなかったのはあの後に家へ帰って泥のように眠ってたから」
「クウガ?それをなぜあなたが知っているの?」
彼女に黙っていたとていつかはバレると思い話すことにした。自分自身の事を包み隠すことなく余さずに、
「は、はぁ?ちょっと待って転生?」
「アハハ!、そうなるよね、でも嘘ではないよ」
「いやまぁあなたの事だし嘘だなんて思ってないわよ」
流石に混乱しているようだった、それもそうだ1人の高校生が通り魔から子供を護る為に死んだと思えばこの子供の頃に憧れたヒーローの居るであろう世界に生まれて来ただなんて、荒唐無稽にも程があると言うものだ。
「だったらどうしてあの遺物の使い方がわかってたの?」
「……それは…知ってたんです、ある未来を」
ここも正直に話すことにした、自分が居た世界には仮面ライダークウガと言うテレビ番組があった事、その世界と同じ流れであった事、ただし何故か居るはずの「彼」が現れなかった事、そして大切な友人であり、憧れでもある貴女を失いたくなくて尚且つ1人でも死んで欲しくなくて中途半端な覚悟を決め……「彼」の代わりにクウガになってしまった事を
「僕はクウガになりたくなかった……怖いんだ、また戦って死ぬのが」
「朝日くん……」
「平穏な暮らしをして安らかに死にたいんだ…憧れと理想は違うんだよ、現実と妄想は決して交わらないんだよ……」
僕はすっかり冷めてしまったブラックコーヒーをカップを両手で包み込み水面を眺めていた、映るその瞳はとても怯えていた。すると手が伸びてきた、その手は僕の震える手を優しく包み込んだ。
「朝日くん、あなたは私の命をそれだけじゃない警察署に居た人の命を立派に守ったのそれだけは決して変わらない事実なの、そしてその時の気持ちは誰よりも強かった、命の炎を燃やしてたわ眩しいくらいに」
「……沢渡さん…ありがとう…」
そう言われた僕の視線はぼやけていた、涙がとめどなく溢れる、良かった…今更ながら思った僕は人の命を守れたんだと僕の中にも護る意思があったのだと。
「それにしてもどうして朝日くんはこの世界を仮面ライダークウガの世界だと思ったの?」
それにはまずグロンギと呼ばれる彼らがいたことを示すものが幾つかあったこと沢渡さんが居たこと、そして遺物であるアークルがあったことを伝えた。
「私?私もそれに出てるって言うの?」
「うん、しかもだいぶ重要な人として」
「それって?」
「古代語の解読だよ、それにより戦局が変わってたんだ」
「そう、なるほどね……あ、でも朝日くんは未来を知ってるんだから解読要らないんじゃないの?」
その疑問はあって当然だった、だけどそれは未来の知識がある僕の記憶頼りでありそれはうろ覚えでしか無かった。何せ幼い頃に見たものでしかなくその正確性には怪しさしかないのだ
「生憎と覚えてるのは自分の力のことだけなんだよ」
「力……?」
「うん、サポートアイテムとか忘れてて……」
少し目を逸らしつつもそう答えた。自信がないからだった。
「そんなのもあるのね」
「そう、だけどすっかり忘れてて」
「なら任せて、しっかり古代語の解読や遺物の研究しとくわ」
「助かります。」
そう話をしていると玄関のチャイムが鳴った。どうやら人が来たようだがこれといって人が来る理由が思い当たる節はなかったので疑問に思いつつも玄関へ向い扉を開けるとそこには
【続く】
思ったより見てる人がいてびっくり、お気に入りもされてて気分は上々ですね