黒龍は白に溶ける。   作:dai1228

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## 第九話:姉妹校交流会、あるいは淘汰の選別

 京都姉妹校交流会。その一触即発の熱を帯びた空気が、千葉の呪術高専を包んでいた。

 だが、湊はこの行事の本来の目的である「競い合い」には全く興味がなかった。

 

「……湊。京都校の連中、お前を狙ってるぞ」

 

 伏黒が低い声で忠告する。彼が放つ玉犬が、京都校の面々から放たれる隠しきれない殺意を敏感に察知していた。

 

「あはは、光栄だね。……でも、僕に殺意を向けるってことは、自分の情報を僕に捧げる『覚悟』があるってことでいいのかな」

 

 湊は、影の中で脈動する『黄泉』の体温を感じていた。漏瑚から奪った「熱」が龍の血となり、すでに黒龍の鱗の隙間からはマグマのような赤光が漏れ出している。

 

 試合開始の合図と共に、湊は一人、森の奥へと向かった。

 そこで待ち構えていたのは、加茂憲紀をはじめとする京都校の数名。上層部から「九条湊の暗殺」を命じられた者たちだ。

 

「九条湊。貴様の存在は呪術界の秩序を乱す。その禍々しき龍と共に、ここで根絶やしにする」

 

 加茂が自らの血を操り、鋭い矢を放つ。**『赤血操術』**。

 だが、湊は避けるどころか、その血の矢を指先で受け止めた。

 

「**術式反転――『分解』**」

 

 加茂の血に含まれる呪力とタンパク質の結合が、湊の指先で一瞬にしてほどかれ、ただの赤い霧へと霧散する。

 

「……面白いな。代々受け継がれてきた『血』の記憶。これはいい『素材』になりそうだ」

 

「なっ……! 術式を分解しただと!?」

 

 湊が法界定印を結ぶ。影から巨大な黒龍が姿を現すと、その三対の眼は加茂たちではなく、さらに森の奥に潜む「不純物」を捉えた。

 上層部が放った暗殺者ではない。森の結界を破り、侵入してきた特級呪霊――**花御(はなみ)**の気配だ。

 

「『黄泉』。あそこの植物君は、漏瑚君の仲間だよ。……大地の怒りの次は、森の慈悲。……全部混ぜて、君の『森羅万象』を完成させよう」

 

 湊は加茂たちを無視し、現れた花御に向かって歩き出す。

 湊にとって、京都校の術師も、侵入してきた特級呪霊も、すべては自分の龍を完成させるための「等価値の素材」に過ぎなかった。

 

「……あはは! 最高のパーティーだね。……さぁ、みんな。僕の皿の上で、一つになろうよ」

 

 黒龍が咆哮し、森の木々を分解しながら進む。

 交流会という舞台は、湊による「素材の収穫祭」へと変貌を遂げようとしていた。

 

京都校による暗殺計画と、花御の乱入。

湊の「分解」の精度が上がり、加茂の血の術式すらも素材として分析し始めます。




次回、第10話。花御の「生命の呪い」を配合し、黒龍・黄泉にさらなる『再生』の力が加わります。

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