猫や杓子や、今や私や   作:塩ビパイプの紙

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対話

 

「ククク、これはこれは。なんとも興味深い。」

 

だ、誰です?私たち顔見知りでしたっけ?というか、なんだその顔は。どうやってしゃべってるんですかね、口が動いているようには見えない、そもそも、口がありませんでしたね、じゃあ本当にどうやってしゃべっているんですか?あ、あとその炎は熱くないんですかね。うーん私の疑問はとどまることを知りませんよ。いいんですか?このままだとあなたのことを質問攻めにしますけど。

そうですね、どうやってこの部屋に入ってきたのだとか、なんで私に会いに来たのか考えうる限りは限りないですけども、まずは名前を教えてくれませんか?

 

「おや、すみません名乗っていませんでしたね。私のことは黒服とでも呼んでいただければ」

 

黒服。それは、名前ではなくないですか?

識別名みたいな、そもそも黒服要素が服しかありませんよ。いや、服以外の黒服要素って何でしょうか?たたずまいとかですかね。そう考えると。ふむ。かなり黒服っぽいかも?いやでも、黒服は名前にはなりえませんけども、

 

「初めて貴方を観測した時はのことは覚えています。」

「私がキヴォトス最高の神秘を観測しようとした際に貴方がその副産物として観測された。」

「生徒というのは神秘を宿す器に生徒としてのテクストが付与されて初めて生徒になります」

「ですが、貴方はそうでは無かった。」

「器だけが用意され、そこには何も注がれなかった。」

「つまるところ、」

 

貴方は、生徒のなりそこないであった。

 

はえー何言っとるかわからんのですけど、急に饒舌になりますね。私学が足らんですので、なに言っとるかがわかりませんね。

嘘です結構納得しました。つまりは、私は生徒ではなかったっとことですかね。過去形ですし

 

「実をいうとこういったケースは少なくありません」

「ブラックマーケットなどで探せば苦なく見つかるでしょう。」

「本来、そういった器は学校からはぐれた生徒によって神秘を注がれ、正されてゆきます。」

「特別な神秘を注ぐとどうなるのか、考えたことはありましたが」

「それを行うための特別な神秘を持つ生徒が手元にありませんでしたから、」

「貴方で見るのが初めてです。」

 

つまりは、ええと。百合園さんの神秘は特別で、その神秘が私に注がれたからこのようなことになっていると。まあ、助けてもらった恩がありますから。文句を言ったり責めたりするいわれは私にありませんね。

 

「貴方に課せられた制約は二つ。」

「一つ。発話の制限」

「二つ。文脈への干渉不可」

「一つ目の制限に関しては文脈への干渉不可による副産物なのですが、」

「まあ、そういった類の情報は貴方にはいらないでしょう。」

 

文脈とは?黒服さん話すのが下手ってよく言われませんか。詳しい説明がことごとく抜けているんですよ。もし、もし今度私に話しかけることがあったとしたら、その時にはもっと説明がうまくなっていることを望みます。

 

「貴方は──いや、やめておきましょうか。」

「私は貴方になんの危害を加えないことを約束いたしましょう。」

「この文脈において、貴方という存在は何よりの価値を持ちません」

「それはつまり、貴方についてこれ以上調べたとしても利益が生まれないことを指しています」

 

あら、ずいぶんとひどいことをいいますね。いや、まあそういったことは私が最も理解しているものですけども。つまりは、私は何も成せないといったことでしょうか。

こうも面と向かって言われるとなかなかに心を抉りますね。黒服さんは説明をしっかりとする前にオブラートに包むといったことを覚えたほうがいいかもしれません。なかなか便利なものですから

 

「ですが、それでも私は貴方の行く末に興味がありますから」

「勝手ながら観測を続けさせてもらいます」

 

え?うーん、まあ、構いませんけども何も成せない人を見ていて楽しいですかね。

そこのところは個人の感想ですから勝手だっていうことはできませんか。

 

「それでは私はこのあたりで。」

 

帰るんですか。それは、ご自由にしてください。あっまってください。最後にどうやってこの部屋に入ってきたのかだけ教えてもらってもいいですかね。この部屋のセキュリティーに関する重要なことですから。はー、届けこの思い。

 

「──あぁ、そうでした。最後に」

 

嘘。本当に届きました?

 

「その杖は手放さないほうが良いでしょう。」

「貴方という器にテクストはありませんから、」

「杖を手放してしまえば、貴方という存在に大きく穴が開くこととなります。」

「私はそれでもいいのですが、貴方としてはそれは避けたいことでしょう。」

「それでは、さようなら」

 

それはもちろん身に染みてわかっておりま──

えっ、あっ。黒い靄になれるんですか。はーこれは。どういういわれのセキュリティー対策をしてもどうしようもないもんですね。

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