手毬って妹属性だよな?じゃあ兄ちゃんがいたっていいよなぁ!! 作:AFGYT
相変わらず邪悪で良かったですよね
それだけです
広が回復するのを待ってから私達は自己紹介をする事にした
「あなた達にレッスンにつけることになった賀陽燐羽よ。優しくするつもりはないから。」
「私は花海佑芽、よろしくね!燐羽ちゃん!」
「倉本千奈です、よろしくお願いしますわ!」
「篠澤広…厳しいレッスン期待してる、ね。」
「この1時間で2回倒れてる人が何言ってるのよ。」
プロデューサーのせいでこの落ちこぼれ達を鍛える事になったのだけど、肝心のプロデューサーは書類を取りに行くと言ってレッスン室から出ていった。面倒事だけ押し付けて…勝手な人。
プロデューサーといると手毬を思い出して気分が悪い…そんなことを思っていると佑芽がモジモジしながら近づいて来た
「ねぇ燐羽ちゃん!燐羽ちゃんはプロデューサーさんとどんな関係なの!?」
「ほぼ初対面よ…あなたが想像してる程仲良くも、お互いの事を知ってる訳ではないわ。」
「ええぇぇ!!??じゃあプロデューサーさんのさっきの退学の話って…」
「あの人が勝手に言ってるだけ。」
「えええぇぇぇ!?!?!?」
うるさいわねこの子。
「じ、じゃあ初対面の人にアイドル人生握られてますの!?」
「おぉ…燐羽のプロデューサー鬼畜すぎる、ね。ふふ、好き…かも。」
確かに、他人から見れば異常なんてものじゃない。あくまで私がアイドルを辞める気でいるからこその脅し文句。そう考えると、私を思いどうりに操られてるようで気持ち悪い。
「まあ、いいわ。とりあえずレッスンを始めるわよ。あなた達の今の実力を見せてちょうだい。」
「うん!」「分かりましたわ!」「わかった…」
数分後
「想像以上ね…」
「え〜燐羽ちゃんそんな褒めたって何も出ないよ?」
「褒めてないわ、想像以上にあなた達が下手で絶望してるのよ。」
私が甘かった、出来損ないとはいえここは初星学園。最底辺でもそこそこの実力を持っているものと思っていたけど…彼女達は甘く見積もっても素人以下、小学生の方がよっぽど上手くやれるレベルだった。
「え゛え゛ぇ゛ぇ゛!?!?」
「うぅ…なかなか上手くできませんわ。」
「ゼェ…ゼェ……燐羽……凄くハッキリ言う…好き。」
これは退学を考えた方がよっぽど楽な仕事だわ……
ーーーーーー
「失礼します。皆さん調子はどうです……か…」
書類を作成した後、レッスン室に様子を見に来た…のだが。
「佑芽、さっきも言ったでしょ。そこのターンのタイミングが少し早いわよ、ちゃんとリズムを意識しないさい。千奈、まだ動きがぎこちないわ。あなたはアイドルなのだから恥を捨てて踊りなさい。広は……休憩してなさい。」
「「はい!」」「…はい。」
燐羽さんは一瞬トレーナーと見紛う程に効率よく3人を指導していた。3人のミスや問題点を的確に理解して教える…並の人じゃ1人でも難しいというのに。改めていいアイドルの担当になれた事を実感する。
「何ニヤついてるの…気持ち悪いわよプロデューサー。」
「失礼、燐羽さんはいいアイドルだと思っただけですよ。」
「当たり前よ…ところで、書類はどうなったのかしら?」
俺はそこで右手に持ってきた書類の存在を思い出した。すぐにファイルから出し燐羽さんに手渡す。
「こっちが契約書ですね、ここにサインをして、明日先生に持って行ってください。そしてこっちが教室の使用許可証です。明日からプロデューサー科の教室が私達の事務所になります。レッスンに行く際はここに来てから行くようにしてください。」
「…わかったわ。一応言っておく、私約束を破る人が1番嫌いなの。契約する以上私の望みは最大限叶えて貰うわよ。」
「分かってます。俺にできることならなんでもする事を約束しましょう。」
「ならいいわ。さて、3人とも。もう時間もギリギリだし今日はここまでにしといてあげるわ。」
「ふぇ〜やっと休憩だ。」
「つ、疲れましたわ。」
「…キツい。四肢がもげそう…」
床に座り込む3人(篠澤さんは最初から床に転がっているが)を見る。3人とも落ちこぼれとは言われてるが、磨けば光る物が無数に垣間見える。将来的に素晴らしいアイドルになる事だろう。俺がちゃんとしたプロデューサーなら、彼女達をプロデュースする事も視野に入れていたかもしれない。
しかし、一応は彼女達にとって俺はただの他人、このレッスンも自主練習という事になっている。燐羽さんならそんな事はないだろうが。身体を壊されて責任を取るはめになるのはごめんだ。
…特に倉本さん、社会的に消されそうでこわい。
一通り書類を読み終え、燐羽さんがペンを持ちサインをする直前に手を止めた
「私から言うのもなんだけど。本当に、私でいいの?」
唐突に問いを投げかけられて思考が一瞬止まりかける。しかし、口は自然に言葉を発した
「あなたじゃないとダメなんです。」
俺がそう返すと彼女は静かに微笑んでサインを書く。書き終えると書類をこちらに渡しながら言った
「これからよろしくね、プロデューサー。」
「ええ、こちらこそ。」
一週間も経たずにこの日から俺は賀陽燐羽の正式なプロデューサーとなった。これから俺たちには様々な苦難と喜びが待っている。けれど、結末はきっと…喜びの方が大きいと不思議な確信があった。
月村が賀陽燐羽と契約を結んだ夜の事。
とあるビルの、豪華に飾られた一室。その中心に置かれた立派な木目が写った机と、黒い皮を纏った1人用の椅子。その椅子に腰掛けながらある書類に目を通す男がいた
「賀陽燐羽にプロデューサーが…名前は『月村陽向』か、まさかこの名をもう一度見ることになるとは。ふふ、楽しめそうだ…今年の初星学園は。」
次回は10日の18時に出します
GW中に出せずに申し訳ない…