魔法少女みつ restart   作:紀野感無

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銀色の魔法少女
すごく怖いけど、それ以上に悲しい目をしていた…気がする。

それはまるで、好きな人を喪ったような。
大切な人と決別したような。

そんな目をしていた。

まだ中学生の私には全てはわからないけど、あの人はなんとなく放っておけないと、そう感じた


2話 銀色の魔法少女

☆ネル

 

まだ目の前に--とは言っても十数メートル先だけど--あの銀色の人がいて、見つかりたくないという思いから小声でペチカさんに話しかける。

 

「えーと…ペチカさんは、これからどうしますか?」

「そうですね…とりあえず、もっとまともな人と会いたい--」

 

 

 

『『繰り返します 次のミッションです。街に向かってください』』

 

 

 

「「……」」

「……」

 

二つの機械的な音声が大きく響いた。

私たちに気づいた銀色の人が、首だけを(明らかに90度以上回転して)こっちに向けた。

 

「(に、逃げなきゃ…!)」

「ヒッ……」

 

「……何か用?」

 

よくよく見ると顔が血まみれだった銀色の人は、私たちを見て何かをする訳でもなく、そう問いかけてきた。

 

 

も、もしかして…普通に喋れる人…?

 

 

「あ、あの…血が……」

「……ああ、()()()()

 

ペチカさんが怯えながらも口に出すと、血がどんどん消えていく。

銀色の人は手を何度か握ったり開いたりして、くるりと明後日の方向を向いた。

 

「あ……あ、あのっ!」

 

未だ怯えて喋れない私とは違い、ペチカさんは震えながらも立ち上がり、銀色の人に話しかけた。

 

 

すごい、私なんかと違って勇気を持ってる。

 

 

「何……」

 

「その…あの、一緒に行っても、いいですか!」

「ええ⁉︎ペチカさんそれは…」

「だ、大丈夫です。きっとあの人、優しい人…だと思いますから」

 

優しい?この人が?ずっとずっと冷たい目をしているのに?

 

「……。ああ、もしかしてそういう……。チッ……」

 

銀色の人はマジカルフォンをしばらく見つめ、何かを呟いた。

 

「はぁ……。私は君たちのことを気にかけない。居ないものとして動く。それでもいいなら勝手にするといい。そっちの奴も。ただ……」

 

それは透き通る声で、周り全てを拒絶しているかのような、そんな声色をしていて--

 

 

「死んでも知らないよ」

 

 

 

 

 

 

☆???

 

人を見つけたいとは言ったが、NPC的なのを見つけたいだけでプレイヤーを見つけたかったわけじゃない。

 

まさかとは思うけど『協力』も他のプレイヤーと一緒にやれって意味か?

なるほど確かに()()()()だ。

 

「(あの侍……音楽家……それにあの2人……)」

 

コックみたいなやつにメイドだかシスターだかよく分からない奴。

まさかとは思うけど……

 

「(……。どうでもいいか)」

 

適当に頃合いを見て撒こう。

もし仮にこの2人が()()だったとしても、どうでもいい。

 

 

ボクは『彼女』の為に動く

 

それだけだ。

 

 

 

 

 

 

☆ペチカ

 

「はっ…はっ……」

「速…ちょっ……」

 

何でこんなことに……。

 

好きな男の子にお弁当を渡して、そのことで幸せに満ちてベットの上で悶えてたら突然こんなところに放り込まれて、スケルトンと戦わされて、しかも仲間であるはずの魔法少女に殺されかけて。

 

そして……

 

「あ、あの…」

「ちょっ、スピード……落とし…」

「………」

 

極め付けにこの人だ。銀の髪に銀色を基調としたセーラー服。そして、機械のゴーグルを首にぶら下げてる人。

 

多分、魔法少女なのだろうが……基本無口で何を考えてるかわからない。こっちから話しかけても特別なことがなければ基本応じない。

侍の魔法少女から助けてくれた…はずで、それで優しい人だと思って着いていきたいと提案したけれど、もしかしたら間違いだったかも。

 

たまたま出会ったネルさんがいなかったら途方に暮れていたかもしれない。

 

「次はここでいいか……ゲームだっていうならいい加減何か有れよマジで……」

 

次に入る場所を決めたのか、また廃ビルの中に(私たちには何も言わず)入っていく。

ネルさんと顔を見合わせ、互いに頷いて一緒に入る。

本当なら入りたくないけど、外にいることでスケルトンに襲われても嫌だったから。

 

「ペチカさん、ちょっと休憩しませんか?」

「は、はい…」

 

ネルさんも疲れてるはずなのに、笑顔で言ってくれる。

どうやらネルさんも突然この場所に放り込まれたみたいで、同じ境遇のおかげか打ち解けるまでそう時間はかからなかった。

 

「あの……その、ネルさん」

「? どうしたの?」

「本当に、ありがとうございます」

「へ?何かしたかな私」

 

突然お礼を言った私に困った様子を見せたから、私が着いて行こうと勝手に提案したのに一緒に来てくれたこと、おかげで寂しくない事を伝える。

するとネルさんは顔と手を一緒に振りながら「私も同じだよ」と言った。

 

「私も、いきなりこんな所に来て、戦わされて。きっと1人だと何もできなかったから…。あの銀色の人は確かに怖いけど、ペチカさんが一緒にいるおかげで私も頑張れるな、って」

 

ネルさんは本当に優しい声で、見た目通りの聖女さんみたいな雰囲気で言ってくれるから、思わず涙が溢れてきた。

すごく慌てさせてしまったけど、止めることができなかった。

 

 

「「⁉︎」」

 

 

そんな時だった。

背中に振動が伝わってきた。

 

ネルさんも同じみたいで、壁に耳をつけると微かに話し声も聞こえてくる。

 

「「やっとまともな人と会えるかも……」」

 

ネルさんと一言一句同じ言葉が出てきて、思わず見合ってしまう。

少しだけ笑った後、あの銀色の人に教える為に声のする方へ向かった。

 

 

 

 




『魔法の国』の調査書

◇月☆日
K市にて行われた複数の部署による『----』の捕獲作戦は失敗。
犠牲者○名。また民間人への被害は10名以上。

この事から『森の音楽家クラムベリー』の試験合格者を再試験する必要性が限りなく高いと結論付けられた。

『----』も、最低でも封印、もしくは殺処分する事を上へ進言する事に決めた。

その為--
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