ネルさんと一緒にいてお話ししてると、なんというか落ち着く感じがした。
まるで年上のお姉さんと話しているような。でもどこか幼い感じもした。(中学生の私も充分幼いけど)
こんな訳のわからない所に来てしまって、侍みたいな人に襲われたりスケルトンに襲われたり、嫌なことの盛り合わせみたいな感じだったけど唯一ネルさんと会えたのが良い事だと胸を張って言える。
「(時々----な感じがするけど、それでも……)」
私はネルさんと一緒にいたいと、そう思っていた。
☆ネル(百花みつ)
微かに聞こえる声の方向に、ペチカさんと一緒に向かう。
もしかしたら話がもっと分かる人かもしれないと、一筋の希望を持って近づいて----
「だから、勘違いしただけだっての…」
「勘違いしたからといって突然斬り付けていいと言う道理はありまセーン!」
「そうですわ!こっちのバカはともかく、なぜ私まで攻撃されないといけませんの!」
「2人とも落ち着いて。あと、一番被害被ってるのは私なんだけど」
銀色の人は既に居た。しかも喧嘩してるものだから反射的に口を塞ぎ、隠れてしまった。
ペチカさんと一緒にそっと覗くと、そこにいたのは銀色の人以外に3人いた。
1人はイントネーションが少しおかしい少女で、巫女服をモチーフとしていた。
2人目はちょっと大柄だけど普通の魔法少女に見える。
いかにも的なロリータファッションで、どこか『作り物っぽい』感じがした。あと、関節が球体関節になっていて、人形がしゃべっているようだった。
3人目は人形以上のインパクトがあった。顔は可愛い。紫を基調にし尾羽のような飾りやリボンが特徴的な服。
そして下半身には『馬』がいた。
跨っていたとかそう言うわけではなく、馬の首から上、顔に当たる部分にそのまま人の上半身がひっついているような感じだった。
「「(な、なんで喧嘩してるの⁉︎)」」
銀色の人のあの異様な雰囲気を知っていたからか、止めようという考えは微塵も湧かず、煩いくらい音を鳴らす心臓に対して落ち着いてと念じる。
だけど然程効果はなく----
『『ピピッ!』』
懐から大きな通知音が鳴る。同時に私たちを見る視線が四つ増えた。冷や汗が滝のように溢れ、思わずその場から(ペチカさんと一緒に)逃げ出した。
〜数分後〜
「「うぅ…」」
「すまない2人とも。できる限り止めたんだが……」
「それで、どうしまス?ここはワタシが!」
「五月蝿い人形ですわね。いい加減喋るのをやめてくださいませんか?」
「なんですカ!ケンカファイトなら喜んで買いマース!」
結局逃げれる訳もなく、あっさりと捕まった。
と言っても何かしらで拘束されている訳じゃなくて、みんなの前で座ってるだけなんだけど。
私たちを追いかけてた時のあの巫女服の人は本当に(銀色の人とは別の意味で)怖かった…。
救いなのは、銀色の人と違って話はできる方かな、と思えることだった。
それはそうと、みつの目の前で人形みたいな人と巫女服の人がずっと言い争ってて怖い……。
「あ、あのー、えーと……」
「ああ、自己紹介がまだだったね。私は『クランテイル』だ。未だ若輩者だがよろしくお願いするよ」
「あ、どうも…。みつ…じゃなくて私は『ネル』といいます」
「私はペチカです」
どうやら下半身が馬の人だけは優しいみたいで、ちょっと安心できた(と言っても半分は馬だから奇妙な格好には変わらないんだけど)
「あ!そういえば!あの銀色のバッドガール!アレ!どこ行ったデース!」
「知りませんわよ。気づいたらいなくなってましたもの」
「……この2人はちょっと放っておいてくれると助かる。それでネル、ペチカ。もし良ければなんだが、私たちとパーティを組まないか?」
「「パーティ?」」
パーティっていうと、あのパーティ?
「実のところ、私達もなんでこの場所にいるのか分からなくてね。君たちさえ良ければだが……」
「え、ええと…」
「その、みつ…じゃなくて、私達、戦いはそんなに得意じゃ…」
「心配しなくても、いざという時は守る。どうだろうか?勿論断ってくれても構わない」
ペチカさんと、思わず顔を見合わせる。
「え、ど、どうしま…す?」
「私は…その……ネルさんは?」
「私もどうすればいいかは…」
「えーと……ネルさんが決めてくれて、大丈夫です…….よ?」
チラ…とクランテイルさんを見ると、苦笑しながらも決してみつ達に強要はしなかった。
「え、ええと……」
みつが決めて、いいのかな……
「本当に決めていいんですか?」
「は、はい。ネルさんが選んでくださるなら…」
「……。じゃ、じゃあ----」
☆???
「……流石にもう来ないだろうな?はー……ダルかった」
あのよく分からん3人組の見た目、あれで敵モブじゃ無いって思う方が難しいっての。
それはそれとして、とにかく……
「ようやく街に着いた」
外観はもう、まんまだなこれ。
廃れた荒野の村。申し訳程度にショップやら宿屋やらがあり、唯一目を引くものといえばやけに綺麗な噴水くらいだな。
「(兎に角、さっさとチュートリアル終わらせて次に…)」
門をくぐると、懐から音が鳴る。マジカルフォンを取り出すと、画面には大きく『チュートリアル達成。サポートコマンドが追加されました』と書いていた。
早く次を表示しろと思っていると、ファンファーレが鳴り響き、画面が極彩色に輝いた。
画面の上に光の帯が広がり、収束し、像を結んでいく。
右反面が黒、左反面が白の線対称の球体で、片面に蝶のような翼が生え、ふわふわと浮いているものが浮かんだ。
「初めましてこんにちはこんばんは!『魔法少女育成計画』のマスコット、『ファル』と申します!」
ソイツが、何を言っているのか。そんなことはどうでもよかった。
全ての考え、感情が消えた。
代わりに底知れない憎悪が、心を支配した。
「これから貴女をサポート--」
ズガァン!
「……なにするぽん。マジカルフォンをそんなふうに投げつけても壊れることは無いし、ファルは死なないぽん」
「ダマレ、そのクチを、開クナ」
「誰と勘違いしているか分からないけど、ファルは貴女とは初対面のはずぽん。なにかあったぽん?」
その喋り方をするな
その声で喋るな
思わず殺してしまいそうになる。
「落ち着いて欲しいぽん。ファルは魔法少女の味方であり、決して敵ではありませんぽん」
「……」
「話を続けていいぽん?」
「……」
「うーん…仕方ないぽん。ゲームマスターから大まかに聞いていると伺っておりますぽん。なので伝えきれていない細部やその他重要事項をお伝えしますぽん」
「ゲームマスターに、伝えとけ。----って」
「……承知しましたぽん。それで、説明を続けていいですかぽん?」
「ああ、今は、お前のことも、ひとまずは殺さずにおいてやる」
成程、アイツは余程殺されたいのか。
なら望み通りにしてやるだけだ。
キャラクター紹介
御世方那子(みよかたのなこ)
どこかカタコトな言葉を話す魔法少女
巫女服を着ていて、かなり喧嘩早い。
使える魔法は『動物と仲良くなれるよ』
リオネッタ
洋風の人形がそのまま大きくなったような見た目をしている
言葉遣いはとても丁寧。
使える魔法は『人形を思い通りに操る事ができるよ』
クランテイル
和装の服装をしている上半身が動物の頭にあたる部分に乗っかっている(ネルやペチカ曰く)一番珍妙な格好をしている
口数が少なく、少し無愛想なところも感じられるが(これまたネル達曰く)とても優しい人。
使える魔法は『半分だけ色々な動物に変身できるよ』