数ヶ月前に----と話したことを思い出していた。
相変わらず彼女は何を考えているのかさっぱりだったけど、警告されたことは嫌でも覚えている。
内容は警告というより脅しに近い気もしたけど、ノータイムで襲ってこなかっただけマシな方だというのは理解していた。
それでも--
「……そうちゃん」
----が唯一友達だと言った私の幼馴染の名を、当の本人は応えることができないと分かっているのに、頼りたくなってしまう。
「……。だめ、しっかりしないと。教えられた情報はかなり正確だった。なら……」
私にやれることをやる。手の届く範囲で人を助ける。
それが私にできることなんだから。
☆ペチカ
ネルさんと一緒に、クランテイルさんと那子さん、リオネッタさんの3人とパーティを組むことになった。正直1人の時よりは遥かにマシ、とは思う。それはネルさんも同じみたいだった。
けど、正直扱いは2人揃ってミソッカスに近い。
だからと言って2人揃って放り出されるのもで嫌で、戦うのも嫌だったから那子さんと一緒に探索チームにしてもらっている。
「ははは!役に立つ情報ゲットしまくりでリアルドール驚かせてやりマース!」
「あの……できればもう少し静かに…」
「モンスター来ちゃうかも…」
「ペチカさん、ネルさん、新しいモンスターを見つけたらワタシに譲ってくだサーイ。お礼として、2人が追い出されそうになったらワタシがフォローしまーす」
「ああ……うん。どうも」
「あ、ありがとう…ございます?」
どうやら、那子さんは動物を探しているらしく、なんでも魔法が『どんな動物とも友達になれる』だから、友達を作りたくてウズウズしているみたいだった。
けど、草原エリアには赤くなったスケルトン以外アリ一匹出会えなかった。モンスターに会いたくない私たちにとっては運が良く、友達が欲しい那子さんにとっては不運だった。
だけど…
「おや、初めまして。私は『プフレ』だ。よろしく」
「は、初めまして…私は、ペチカ、です」
「みつ…じゃなくて私はネルです」
「御世方那子デース!」
ショップで何かを買おうと思い草原の街に戻ると車椅子に乗った魔法少女プフレに出会った。プフレはエリア開通ミッションの攻略真っ最中らしく、他のメンバーはキャンディー稼ぎに行っているらしい。
触れれば消えてしまいそうに儚げで、この子1人に任せていいのか、と思ったが見た目よりもはるかに力強い口調で話していて、やはり魔法少女なんだな、と思った。
「出会ったのも何かの縁だ。私の持ってる情報とそちらの情報を交換しないか?」
これには3人揃ってすぐに頷いた。プフレはニコッと笑い、自分から持ちかけたのだから自分からだね、と言いながら一枚の紙を取り出した。
「まず、確認できているだけだがこのゲームには君たちも含めて10人以上の魔法少女が囚われている。
現在は街の東で狩りをしているグループが1つあって、南の方にもそういうグループがいる。不思議なことに、縄張りを作ったわけでもないのに自然とバラけるものだね。また単独行動も2人ほどいるようだ」
単独行動。たった1人で骸骨と戦うなんて考えただけで背筋が凍る。私だったら御免こうむりたい。
「あとは、そうだな。草原に赤いスケルトンがいるだろう?あれには注意しておきたまえ」
「?」
「どういう…」
「なんでデスカ?あのスケルトン、イージーでした」
「あいつは白い骸骨と違い飛び道具を反射する特性を持つんだ」
そう言ってみせてきたのはマジカルフォンで、そこには赤いスケルトンについて事細かく記されていた。
「これは草原のショップで売っているアプリで、モンスター図鑑だよ。攻撃反射なんて手合いが出てくるようだと今後必須だろう。敵に必殺技で攻撃したら跳ね返ってきましたじゃ洒落にもならない」
その後もいろいろな情報をもらった。
ショップに売っているものについても詳しく教えてもらい、一文字も忘れないようマジカルフォンのメモ帳に記録した。
教えられるばかりで、こちらが出す情報は全て向こうの知っている事柄ばかりだったが、それでもプフレは笑顔でありがとうと言ってくれた。
そろそろお開きに、というタイミングで何かを思い出したように、プフレは再び口を開いた。
「ああ、それともう一つ。見たことあるかもしれないが、銀の髪に銀のセーラー服、それと首に機械のバイザーをつけている魔法少女には注意したまえ」
「え?それはどういうことですか?」
「あの人のこと知ってるんですか?」
「ワッツ?」
「奴の名は『
『魔法少女殺し』とね。
余程のことがない限り、此方から手を出さなければ手を下される事はないはずだが、極力近付かないのをお勧めするよ」
「「「………」」」
どんな魔法を使うのかと那子さんが聞くけど流石にそこまでは把握していないみたいだった。
そんな…あの人が、そんな風に呼ばれてるなんて。何かの間違いじゃ……。
動揺が収まらず、プフレさんはいつの間にかいなくなっていて、那子さんは大きくため息をついていた。
ネルさんは胸の辺りを掴んで少し辛そうに息をしていた。
「いい人でしたネー」
「え?あ、そ、そうですね。本当、いい人でよかったです……」
「デモ、あの銀の魔法少女がそんな異名で呼ばれていたナンテ、あの時喧嘩に勃発しなくてよかったデース」
あんな哀しそうな顔をしている人が、そんな風に呼ばれてるなんて
私には信じることができなかった。
☆ネル
プフレさんとはとても有意義なお話だった…と思う。みつ自身は話にあまりついていけなかったけど、それでもこの先役に立つと直感では理解した。
けどそれ以上にレプリカと呼ばれていた銀色の人に恐怖を感じて仕方がなかった。
「……」
怖い
いくら現実世界に影響がないとはいえ、殺される恐怖なんて感じたくない。
もしあの人が悪役に徹したら、ゲームの中のイベントで殺し合いをされたら。
たらればを考えるたびに足取りが重くなっていく。
「(そういえば……みつ、前にもこんなこと考えたような……)」
なんだっけ。
確か……大事な人といる時だった気がする。
誰だったっけ……。
「ネルさーン!行きマースヨ!」
「え?あ、は、はいっ!すぐいきます!」
那子さんに呼ばれ、慌てて走る。
一旦みんなと合流してから考えようと、そう心に留めた。
キャラクター紹介
スノーホワイト
白い髪に白いセーラー服。頭には白い花飾りがついていて、薙刀のような武器を持っていることが多い。
N市にて行われた試験を突破し魔法少女となる。
魔法は「困っている人の声が聞こえるよ」
プフレ
車椅子になった魔法少女
年齢こそ高校生くらいだが、周囲の人間とは一線を画するほど頭が良い。
とある人物によると「高校生とは思えないほどおじさん臭い話し方をする」らしい。
魔法は「猛スピードで走る魔法の車椅子を使うよ」
レプリカ
スノーホワイトと同じ試験を突破し魔法少女となっている。
魔法少女となって日は浅い方ではあるが、戦闘能力は著しく高い。が、とある人物曰く「本人はさほど。奴が脅威なのは魔法によるものが大きい」とのこと。尚、狂愛者と書いて贋作者と呼ぶのは、名付けた人物の趣味らしい。周りからは厨二病だと言われている。
名付け親の前で言った場合はもれなく半殺しにされる(との噂)
使える魔法は「