☆レプリカ
「モンスター図鑑……これか」
草原のショップで図鑑アプリを始め、色々と買い込む。
主に食料などが中心だが、ちょっとだけ文句言いたい本当に。
「(このRとかいうクソガチャ、最初の地図以外、何で日常品しか出ないんだよ。鍋やらフライパンやら、箸とか何に使えと。料理でもさせたいのか?)」
お陰で5000は溜まってたマジカルキャンディーが500しか無いんだけど。
「はぁ……狩りに戻るしかないか」
「あ!本当にあるっす『R』!」
突如ショップ内にそんな大声が響いた。振り返ると、バイザー付きヘルメットをつけて近未来的なスーツの、なんというか地球防衛軍みたいな格好をしている奴と他3人程度が入ってきていた。
「お、お仲間さんっすね!初めまして、私は夢ノ島ジェノサイ子っす!」
「……」
「おや、アナタもRを回したんすか!何かいいのは出たっすか?」
「……」
「あれ?おーい、聞こえてないっすか?って何で無視して出ようとするんすか⁉︎」
うるさい。本当にうるさいし暑苦しい。
「アンタらに教える理由がない。知りたいなら自分で回せ…」
「まーまー、そこはほら、同じ魔法少女同士のよしみで!」
意味がわからん。
「あ、それモンスター図鑑っすよね?見せてもらえないですか?」
「自分で買え」
「いいじゃないっすか旦那ぁ」
だるいなコイツマジで。
殺してやろうか。
「(……いや、何が引っ掛かるか分からない以上、無闇に殺すのは避けた方がいいか?……ま、ガン無視決めたら離れるだろ)」
ひとまず次のエリア解放とやらを探しながら赤スケルトン狩り尽くそう。
けど、無視したのを根に持ったのか、それとも単純に聞きたかっただけなのかさっきの4人組がずーっと付いてくるとは思わなかった。
マジでお前らぶっ飛ばすぞ。
ジェノサイ子とやら強引な紹介によると
薄緑の髪と全体的にオレンジの色合いが強い衣装は『マジカルデイジー』
チビのメイド姿は『のっこちゃん』
いかにも中華拳法娘、みたいなのは『@娘々』 これであっとまーくにゃんにゃん、と読むらしい。
正直マジで心の底から興味がない。
紹介するなら魔法だけにしてくれ頼むから。あとマジでうるさい。
ガン無視決めながら目的の場所に到着する。
記憶が確かならこの辺で待ってれば…
「やっぱりなんだかんだゲームなんだな……」
数メートルの岩が鎮座している場所で、岩を守るかのように赤いスケルトンが湧き出てくる。
数も20体と、1人で稼ぐにはもってこいの場所だった。
「よし…やるか」
「おお、レッド」「うわっ、なんか、グロテスクですね」「スケルトンマークⅡってとこアルか」「色変えただけで容量削減しようとか、魔法のゲームにしちゃせせこましいねえ」「みんな油断しないで。新しいエリアだから敵が強くなっているかもしれない。見た目で判断せずに全力で戦うよ」
おい
「……ここは私の狩場だ。どっか行け」
「まーまー、いいじゃないっすか旦那。パーティじゃないとはいえ、協力しましょうやー」
うるさいし肩を叩くな。
そして断る間もなく、気づいたら戦闘が始まっていた。
このスケルトンは色こそ違えど雑魚的な部類だからか、あっという間に殲滅されていく。
「私の狩場……」
もうこうなったら使えないだろう。だるっ…。
「……そういえば」
ふとあることを思い出し、マジカルファンのモンスター図鑑アプリを開く。そもそもこのアプリを買う発想になったのは奇妙なことが起こったからだった。
そこには予想通り赤いスケルトンが登録されていて、タップして詳細情報を見る。
「やっぱり。道理で」
そこには『飛び道具を反射する性質を持つ』と書かれていた。
「
マジカルフォンを仕舞い、その頃には赤スケルトンは残り1体になっていた。
「はぁ……」
「みんな行くよ!離れて!」
オレンジ色の…ナントカがそう叫び、他3人がスケルトンから離れていく。
オレンジ色の奴は何かを溜めてるような動きをし--
「デイジービィーームッ!」
「あ」
破壊光線とでもいうべきビームをスケルトンへ向かって放った。
「あーあ……」
案の定、撃たれたスケルトンではなく撃ち込んだオレンジ色のやつが倒れた。よく見てみるとスケルトンは無傷で、ビームを撃ち込んだ本人は胸に風穴が空いていた。
他の3人が必死に助けようとしてるけど、無理だろうね。
「……ま、どうでもいいか」
絡まれる前にさっさと別の場所に行こう。
☆ネル(百花みつ)
このゲームに閉じ込められてから2日以上が経った。初日にペチカさんと会って、それからレプリカさんや他の人と会って、パーティを組んで。
それからのみつたちの進捗としてはあまり無いに等しかった。
というのも、キャンディー集めに関してはどうやら効率の良さそうな場所を見つけたけれど、そこを東京タワー並みに大きなネズミのような格好をした魔法少女に追い返されたらしい。
お陰で思うようにキャンディーを集めれなかったとか。
かくいう私たちの情報集めの方も全然進んでいなくて、今は全員で集まってショップに売ってあった非常食をもさもさと食べていた。
「つまり、あの銀色の魔法少女、『レプリカ』とやらに近づかない方がいいと、そういう事か?」
「そう言ってマシタ」
「わかった。キャンディー集めの時にも注意しておく」
巫女風の那子さんと(今は全身人間の姿に戻った)クランテイルさんとで情報の整理をしていて、みつとペチカさんは案の定隅っこで大人しくなるしかなかった。
ピピッ
不意に通知音が鳴った。
みつを含めた全員がマジカルフォンを取り出すと、画面に文字が浮かんでいた。
『これよりイベントが発生します。五分後に、全てのプレイヤーを『荒野の街』の広場に強制移動します』
〜荒野の街〜
「……本当に強制移動させられた」
あの通知を見てみんなが半信半疑だったけれど、きっちり5分後に景色が変わった。
辺りを見渡すと、私たち以外にも10人くらいの人が集まっていた。
「い、いた…」
その中には勿論あの魔法少女殺しと呼ばれているというレプリカさんもいた。
私たち(と言うよりはクランテイルさんたち)が警戒を露わにしていた中、そんなレプリカさんに2人ほど、何やら怒った様子で近寄っていた。
言い合いというか、レプリカさんに一方的に何かを言っていて、言われてる側は興味がなさそうな感じで上の空だった。
「自業自得だ。それに私がお前たちを助ける理由も無い…それに悪いのは警戒せず撃ったあのオレンジだろ…」
「どう言う事っすか!」
「巫山戯るのも大概にするアル!」
「うるさ…」
よく聞こえなかったけどレプリカさんが何かを言って、そして堪忍袋の尾が切れたのか、中華拳法みたいな服を着ていた子がレプリカさんの胸ぐらを勢いよく掴んだ。
「あのー、そろそろ始めてもいいぽん?」
だけど喧嘩は白黒のマスコットであるファルの言葉で無理やり止まった。
「よさそうぽんね。では、これからの予定について皆様にお伝えします。
今日はログアウトの日となっておりますぽん。日没と同時に一斉にログアウト。現実時間で3日のメンテナンス期間を挟んで再ログインという手筈になってるぽん。以降、ログアウト時間がズレる可能性はありますが基本同じスケジュールを繰り返しますぽん。
そして、ログアウトの日には特別なイベントが発生しますぽん。イベントはラッキーなものからアンラッキーなものまで色々あり、その中から選ばれるぽん。今回は……ほうほう。かなりラッキーなイベントを引きましたぽん。草原の……」
その瞬間、車椅子に乗っていたプフレさんが猛スピードで走り去っていった。
「「え、ええ…?」」
思わず出てしまったみつとペチカさんの声が重なる。
ルールを聞き終える前にスタートするって、アリなの?
こういうのってスタートの合図で行くんじゃ…。
いやそうじゃなくて、レプリカさんとか色々と大丈夫なのかな⁉︎
「ファル!ズルくない⁉︎」
「問題は無い…といいたいぽんが、確かにズルいぽんね。次から似たようなイベントを引いたときは公平性を保つようルール追加をしますぽん」
あ、ちゃんとズルなんだ。
「そうそう、レプリカ」
「……何」
「----とのことぽん。構わないかぽん?」
「別に……好きにすれば……」
「わかったぽん」
ファルは最後にレプリカさんと軽く話して消えていった。
「ログアウト……やっとこの世界から出れるの…?」
もうレプリカさんの事とかスケルトンとか色々とありすぎて、早く日没になって欲しいと心の底から願った。