第三次スーパーロボット大戦Z 呪われし放浪者に憑依してしまった者 作:幻龍
再世戦争から数ヶ月後。新時空震動により、UCWとADWの多次元世界が融合した。
しかし、その手のことは慣れっこになっていた双方の政府により、混乱は瞬く間に終息して、新地球連邦が生まれて、世界は再び動き出した。だが、両方の世界に存在していた歪みや問題も同時に動き出すことになる。
「もうすぐ、彼らが挨拶に来る。しかし、あの者達を完全に信用するわけにもいかん。ラプラス箱の秘密は最低限秘匿しなければならんからな」
「左様。ティターンズやブルーコスモスという失敗例がある以上は慎重に事を進めなければならん」
「奴らは過激な思想に取りつきすぎて、大局を見る目を失った愚か者に過ぎん。寧ろ、我らの存在が露見する前に消えてくれて幸いだった」
「しかし、ロゴスまで壊滅させられたのは痛手だった。ラプラスの箱関連でアナハイムを取り込めたから、大事には至らなかったが……。まったく、プラントのデュランダルは余計なことをしてくれた」
「所詮は自称新人類を名乗る者のまとめ役に過ぎん。あんな妄想理論を実行のする為に世界を混乱させた挙句、ロゴスを世界の敵として糾弾するとはな……所詮、いくら優れていようと人は変わらんということか」
この世界を裏で牛耳る謎の組織クロノ。そのメンバーである人物達が話し合いを行う為に用意された、映像機器が稼動していた。
彼らは新たな時空震動によって生まれた世界について、今後どう動くべきか話し合う為に集まっていた。そして、話が脱線してきたので、キングの秘書をしているクイーンが「みなさん、落ち着いてください」と言うと、喧噪は収まり再び話し合いが再開した。
「私は彼らだけに任せておくわけにはいかないと考えています。彼らの力の強大さは認めますが、それでもロゴスを壊滅させられたときの様に、予想外の事態が起こるかもしれません」
「同意。手札が多いことに越したことはない。すでにアナハイムへ例の計画を遂行するための機体を造らせました。しかし、ビスト財団の当主、カーディアン・ビスト氏が一号機を当主の権限で、自らの懐に仕舞い込んでしまった」
「まったく、忌々しい奴だ」
「しかし、それはまだ想定の範囲内だ。だから、二号機と三号機の製造を命じたのだ」
「UC計画は順調というわけか……」
「それよりも改革派の連中はどうする?」
「アドヴェントか……」
「奴はエルガン・ローディックやイオリアがクロノを抜けた後、改革派をまとめている。……機を見て始末するべきではないか?」
「そのようなことを口にするでない。幸い、改革派の連中は留守だが、奴らに聞かれてみろ。ややこしいことになる」
「それと時の監獄が完成間近にも関わらず、次元境界線が安定しない問題はどうする? 下手をすれば我らの知る未来とは異なる流れが生まれる。その時はどのように対処すべきか検討するべきでは?」
「その時は臨機応変に対処するしかない。どの世界がやってくるなど正直、予測する等我らでも不可能だからな」
様々な意見が飛び交うが、まとまる気配は見えない。そこで、話し合いの議長を務めており、保守派のリーダーでもあるキングの意見を求めた。
「キング、どうしますか?」
この会合を纏める議長的な立場にあるコードネームキングに、彼らは判断を求めた。
「当面は現状維持だ。しばらく経ったら代理者も動きだすだろう。だが、我々はあまり行動せずに静観することになる。幸い、ラプラスの箱に関してはすでに手を打ってあるから、何かしらの報告があるだろう。それを待つ。それと例の彼に接触する。手札は多いことに越したことはないからな」
キングの決定に、ほとんどの者が頷いた。画してクロノは水面下で動き出すのであった。
「彼らは記憶を失い、スフィア・リアクター達は行方不明か……」
アサキムは新たに日本にできた学園都市で、カフェでジュースを飲みながら、思わず呟いた。
彼はZONEから脱出した直後、大規模な次元震に巻き込まれそうになったが、スフィアの力を使い難を逃れることに成功し、そのまま地球圏に帰還したのだ。
「僕のことも忘れてしまったから、活動するには都合がいいけど、正直やることがないな」
この世界がもうすぐ監獄になることを知っているが、アサキムは世界が無事なら停滞した世界でも構わないと思っていた。自分はその気になれば別次元に脱出することができるし、自分にとっては優しくない世界だ。正直どのような結果になっても構わないというのが本音だった。
「正直退屈で仕方がないな……ちょくちょく彼らの前に現われてみようかな」
ジュミニスが出てきても問題ない。なぜなら、自分の持つスフィアはガドライトの所持する『いがみ合う双子』を無力化できる。ノコノコ現れたら帰り討ちにすればいい。サイデリアルが出てきても、スフィアを五つも所持しているので、早々不覚は取らない。
「新しい世界が転移してくれば、それだけ世界は動く」
本来眠っているはずの自分が動き出している時点で、本来の流れからずれているのでは? とアサキムは考えていた。
そして、イレギュラーが起こり、新たな来訪者も来るかもしれないと考えていた。その経過によっては、この物語も大きく変化して新しい流れを生むかもしれない。
(最もそれが起こりうる確率は低いかもしれないけどね……)
アサキムは勘定を済ませると、シュロウガを隠してある場所へと向かい、シュロウガを空の彼方へと発進させる準備を始めた。
「宇宙へと向かうのも悪くないけど、ジェミニスが動くのは後一ヶ月後だ。下手に動けば気取られる可能性もある。それならいっそ地球に留まるべきか……」
彼らの記憶が戻るまでは、サイデリアルも本気で表には出てこない。
最も彼らは時の牢獄が完成した場合、一生表舞台に出てこないかもしれないけど。
「彼らは世界の時計の針が停止するのを食い止められるかな?」
アサキムは愉快な声でそう呟きながら、シュロウガを大気圏の空へと向けるのであった。時の牢獄が完成するまでは、断続的に時空転移が起こる。そして、
最も彼の思っていたことは後に現実となる。本来ありえなかった世界からの来訪者により、世界は混沌へと突き進む。
「僕は君達の記憶が戻るのを待つとしよう。そして、彼らが動き出した時、太極への道は目の前だ」
アサキムは自分を封印した者達の、記憶が戻ることを期待しながら、その時を待つことにした。