第三次スーパーロボット大戦Z 呪われし放浪者に憑依してしまった者 作:幻龍
スランプから回復できない……。
翠の星を探索して三日が経ち、遂にアドヴェントとアクスプレスを発見した。しかし、連れてきた部下とセツコとランドも一緒にいた。
(アドヴェントはセツコがスフィアを失っているのになぜ共に行動している? 彼にとって彼女はすでに必要な存在ではないはずなのに?)
アドヴェントの不可解な行動に頭を悩ませつつ、彼らの戦いを遠くから観戦する。
彼らはサイデリアルのギルターという小物指揮官率いる部隊とやり合っている。しばらく遠くから観察した結果、例のサイデリアルのリアクターも一緒にいたので接触はかなり慎重にならざるを得ない。
(ZONEから出たことはサイデリアルにばれているはずだ。だが所在までは掴めていないはず。だから、リアクターがスフィア搭載機に乗っていない以上出て行くわけにはいかないな)
結局ばれない位置から彼らの監視を続行するしかなかった。
しばらく経って戦闘が終了。彼らは戦後処理を行った後、戦艦でその場を去って行った。
彼らに気付かれないように後をつける。スフィア・リアクターやアドヴェントに感知されない距離なので、かなり追跡に難儀した。
夜になり、彼らもこれ以上の移動は危険だと判断したのか、ジャミングをかけて地面に着陸させた。
俺も食事を摂り、今日の追跡はここまでにしようと思い寝ようとしたが、それをぶち壊す変事が突如やって来たからだ。
「……アクスプレスがこちらに向かってくる」
自分に烙印と呪いを与えた張本人の一人が、愛機共々こちらに飛んでくるのだ。接触は当分無理だと思っていた矢先のことだったので、一瞬思考が停止してしまったが逆に好機だと捉えることにした。
態々向こうから出向いてくれるのだ。精々利用させてもらうことにした。
「取り敢えず戦艦から遠く離れた場所へ行くとしようか」
シュロウガをセツコ達が寝泊りしている戦艦の反対方向へと飛行させる。彼女達が万が一気付いて救援にでも来られたらやっかいだし、自分が復活したことはまだ悟らせたくない。
アドヴェントが漏らす可能性もなくはないがその可能性は低い。彼は自分の目的の為にも手駒である俺の機嫌を損ねたくはないはずだ。少なくとも時の牢獄が破壊されるまでは沈黙するだろう。何より自分に恨み骨髄であるアサキムの元に単機で、しかも味方が容易に来られない地点まで追いかけてくるのだから、余程一度接触したいらしい。だから、その願いを叶えてやることにした。
一体何を話しにくるのか楽しみだ。もし、ふざけたことを口にしたらそれ相応の報いを与えてやろう。
「僕に何の用だい?」
「そんなに邪見にしなくてもいいではないか。君も僕達に何か用があったから監視していたのだろう? 最も君だと特定するのには苦労したのだから」
やはり、アドヴェントには自分が監視をしていたことはばれていたらしい。
それにしても、監視に気付いた時点で俺だとわかっていたくせに白々しい。その機体越しでも見えてしまう、その作り笑顔がまじで腹立つ。
「くだらない挨拶はいい。僕だとわかっていたのに一人で来るその考えが己を窮地に立たせることになるのだからね」
ディスキャリバーを召喚してアクスプレスのコクピットに突きつける。
それに対してアクスプレスは武装も出さずに、戦闘態勢を取ることすらしない。
「君に協力を仰ぎたい。色々と彼らに思う所はあるだろう。だが、今は共通の敵を優先すべきではないか?」
笑顔でかくも正論を語りかけてくるが、その厚顔無恥の申し出に呆れるしかない。そもそも、サイデリアルの侵略行動を望んでいるのはお前もだろう?
アドヴェントの妄言ともいえる言葉に反論したくなるが、それを咄嗟に呑み込む。言っても無駄な上彼は反省等する気もないことがわかっているからだ。そうでなければ俺(アサキム)に呪いを与えたりはしない。
その本人は俺の気持ちに気付いていないのか、正論に加えてメリットも提示し、時には冗談も交えつつ俺を取り込むべくあの手この手で勧誘してくる。最も大半は聞き流している。
「……というわけで、君も私達の仲間に加わってほしい」
「君の仲間に加わる? 随分と面白いジョークだね。君は僕と彼らの関係を知らないわけではないだろう?」
アドヴェントに自分と彼らの関係を理由に彼の申し出に断るをいれる。
「問題ない。彼らも自分達に協力するのなら君の所業にも一時は目を瞑るだろう」
「……」
UCWではちゃんと組織に所属していたが敵だった。しかし、戦争中なので敵を討つことは当然であり、そのことで恨まれる筋合いはない。
更にADWでは一応立場上友軍として行動してきた。ユーサーを討った時も一応彼らに連邦軍所属している証拠として、友軍コードを送って自分からは戦う意志も見せていなかった。
あれ? 正直、あまり悪いことしてないよな? 無差別に襲っているわけでもないし、ADWに至っては友軍だったにも関わらず、敵(ユーサー)を撃墜しただけなのに非難された挙句攻撃してきたのだから、寧ろ彼らも裁かれて非難されるべきだと思う。
しかし、一応こっちも好き勝手やって来た自覚はある為言い返さない。
「いくつかの条件がある。それを叶えてくれれば考えてあげてもいいよ。最も彼らの方が望まないかもしれないけど」
「何かな?」
「君の機体の真の姿を見せてくれないか?」
「! ……いいだろう」
アドヴェントが頷いたのを見て思わず心の中で微笑む。
これで完全にスフィアを使いこなすリアクターになることができる。おまけに原作よりも一個余分に所持しているから、機体性能もその分強化されると思う(たぶん)。
「それではやらせてもらうよ」
「ああ」
アドヴェントは乗機を変形させ、アクスプレスの真の姿を解放した。
機体から発せられる圧倒的な力は、シュロウガへと襲いかかり自身も力を受けて激痛が走った後、意識が徐々になくなっていき暗転する。
「これで……いい。あとはその刻を待つだけだ」
シュロウガはアドヴェントの前で爆散する。
そして、搭乗者諸共この世界から気配が消え去った。
「アサキム・ドーウィン。君の願いが叶えられるときは近い。それまでに復活することを祈っているよ」
アドヴェントは爆散し墜落していくシュロウガを見ながらそう呟くのであった。
(……カオス・コスモスの景色が浮かぶ……そして、これが至高神の力か……)
ZONEに封印されているときも感じたが、源の力は相変わらず凄まじい。これを制御できれば何でもできるという考えが浮かんでくる。
五つのスフィアのリアクター並びに、全てのスフィアを使いこなす為源の力の流れを体得すべく、至高神の力を受け止めていると、何者かの気配を感じた。
(悲しみの乙女が反応している。あの女か……相変わらず己を慰める為に、後悔と哀しみに明け暮れているようだね)
本当に後悔しているのなら今すぐ呪いを解いてほしい。しかし、あの女は主体的に動くことがないので最初から当てにするつもりはない。
「あなたはやはり私達を許してはいないのですね……」
「そうだ。そして、次目覚めたら復讐と解放という狼煙があがるだけだ」
自分に話しかけてくる者に恨みを込めて言い返した。
あいつ等を許す気はない。そうでないとスフィアを集めている意味がないし、これまでの放浪の旅が無駄になる。
「精々己の住処で待っているといい。僕は必ず君達に裁きを与える」
そう言った直後眠気のような物が襲いかかり、意識が遠くなっていくのを感じた。
次に目覚めた時こそ本格的に動くとき。それまで精々上から見下して満足していろ。自分を利用したことを心の底から後悔させてやる。
「彼がしばらく行動不能になった?」
「はい。彼自身がこの前来た連絡でそう言っていました」
「そうか……彼を利用する計画は廃棄するしかないな」
「そうですね。もし、彼から連絡があればすぐに伝えます」
「そうしてくれ」
クロノトップであるキングは秘書であるクィーンにアサキムの状況を把握するように命令を下すのであった。