キヴォトスの残響-とある漂流者の活動記録ー   作:わたぬき※

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第5話は、マサキが手に入れた拠点『掃除屋108』の全貌が明かされる回となります。

貸与されているだけなのだが…ようやく手に入れた「自分たちの城」に舞い上がる便利屋の面々。しかし、そこで彼女たちが目の当たりにするのは、マサキという漂流者が内包する「外の世界」の異質な常識と、圧倒的な技術の断片でした。





第5話:魔王と小悪魔たちの塒

マサキはウツホが持ってきた紙束から新しいA4コピー紙を一枚抜き取ると、ボールペンで表や図解を書き込み始めた。カフェのシフト、デリバリーの想定ルート、そして裏稼業の報酬体系。淡々と事実が羅列されていく。

 

「……陸八魔が使い物にならんうちに、先に話を通しておきたい。お前たち、ウチの下部組織になる気はないか?」

 

カヨコは無言で身を乗り出し、マサキが書き込んだばかりの紙面を鋭い目付きで覗き込んだ。そこに記されたあまりに現実的で精緻な「経営計画」と、自分たちの役割を数秒で読み取る。

 

「……下部組織? 随分な言い草ね。私たちは便利屋、誰かの軍門に降るつもりはないわ」

「正確には『専属の業務委託(アウトソーシング)』だ。店の手伝いと、数が多くて処理が面倒な裏稼業を回したい。カフェは立地のせいでアクセスが悪くてな。俺が気まぐれで出すスイーツの噂を聞いた連中がデリバリーを要求してきてるんだが、それに対応すると店が空く。ウチの運営上、そこらの奴を店内で自由にさせるわけにもいかないが、お前たちなら最低限の秘匿は担保できるだろう」

 

マサキはペンを置き、懐から一発の弾丸を取り出した。それをテーブルの中央、二人の目の前にコトリと置く。

 

「裏の仕事は低級怪異の討伐だ。討伐には、この俺の制作した特殊弾を提供する。本来、これを他人に預けるのは危険すぎてできないが……。陸八魔は言ってることのわりに感性が善性寄りだからな、お前たちが最善だと判断した」

 

カヨコが細い指先でその弾丸を摘み上げたが、即座に、弾かれたようにテーブルへ戻した。表面に刻まれた幾何学模様が、キヴォトスの工業製品とは異なる生理的な嫌悪感を微かに抱かせ、神経を逆撫でしてくる。

 

「……評価してくれて光栄ね。でもこれ、少し触っただけで肌がピリつく。……特殊弾の運用には、いろいろ制限をつけるつもりでしょ?」

「ああ。基本的には、こちらの指定する銃器での運用が前提だ。撃つだけなら何でもいいんだが、空薬莢を排出するタイプの銃だと、発砲後に薬莢を回収する作業が必須になる。かといって、排莢を受け止めるパーツを付けるのは見栄えが悪いだろう」

「えー、獲物を変えろってこと? せっかくのお気に入りなのに~」

 

ムツキは唇を尖らせて不満を露わにし、テーブルの上で足をバタつかせながら身をよじらせた。彼女にとって、愛銃を他人の都合で制限されるのは何より退屈な話なのだろう。

 

「どこぞの組織にでも回収されて、そこから解析・模造品の製造でもされたら面倒だ。特殊弾の完全コピーは無理でも、劣化版なら作れるかもしれん。その組織で完璧に管理運用していれば問題ないかもしれんが……何事にも完璧はないもんだ。組織の構成員が小金欲しさに横流しするなんてよくあることだ。そうなれば、お前らが日常的に行っているドンパチで死人が出るようになる。この弾はキヴォトス人でも容易に銃殺できるからな」

「…………」

 

カヨコは表情を凍りつかせ、テーブルの上で鈍く光る特殊弾を凝視したまま動けなくなる。

 

――(弾丸一発で、ヘイローごと壊せると言うの?)。

 

彼女の瞳の奥には、拭い難い戦慄が浮かんでいた。

 

「……だから、リボルバーか、あるいは薬莢の出ない特殊な獲物を使ってもらう。報酬は歩合制、経費は全部ウチ持ちだ。ただし、無関係な物の破壊や人への損害は報酬から引く。お前らの落ち度を甘やかしてたら、独立なんてできないからな。最小の労力と被害で、最大の成果。これは仕事の基本方針だ」

「……随分と教育的。まるで先生みたい」

 

カヨコがどこか感心したような、穏やかな眼差しを向ける。マサキはそれを受け、言いようのない居心地の悪さに眉を寄せ、視線を紙束に落とした。

 

「お前らそこそこ強いだろ? その強さで変な道に入られると、こっちにいつ迷惑を掛けられるかわかったもんじゃないから先に潰しておくんだよ。ああそれと、神秘の運用も教える。キヴォトス人は感覚でやりすぎだ。なにかのひょうしにポックリ死なれても困るからな」

「くふふ、店長さんってば過保護~」

 

ムツキは頬杖をつき、ニヤニヤと楽しげにマサキの反応を観察している。

 

「……慎重なだけだ、臆病なほどにな? 陸八魔が起きたら同じ話をするが、決定権をあいつに任せていいかはお前らで決めておけ」

 

 

 

「――はっ! 四億五千万の事務所維持費ですって!?」

「あ、アルちゃん起きた」

「おはよう、アルちゃん」

 

唐突に、ガタンと椅子が跳ねる派手な音と共にアルが叫び声を上げて飛び起きた。ユエとウツホがのんびり声をかけるが、アルは滝のような汗を流しながら、テーブルを囲む三人の顔を交互に見回した。

 

「ちょっと、何よその空気! 代表の私を置いてけぼりにして、一体何の話をしていたのよ!?」

「……ああ、おはようアル。ちょうど今、私たちの『業務委託先』が決まったところよ。これ、契約の概要」

 

カヨコが、マサキが先ほど書き上げたばかりのA4コピー紙をアルの目の前に突き出した。アルはそれをひったくるように受け取り、目を走らせる。

 

「ぎょ、業務委託!? 何よこれ、カフェの手伝いに……怪異の討伐? 私たちは誇り高いアウトロー組織『便利屋68』なのよ! 誰かの下請けになるなんて――」

「嫌なら断ってくれて構わない。事務所がないなら、2階の事務スペースの一角を貸してやるつもりだったがな。……だが、さっきも言った通り、裏の仕事(怪異の討伐))には俺の作った特殊弾を使ってもらう」

 

マサキはテーブルに置かれたままの不気味な弾丸を指差した。

 

「それを持ち歩くとなれば、お前たちは歩く機密の塊だ。ここから今の自宅まで通うつもりなら止めはしないが……。その辺の路地裏で一人になった瞬間、特殊弾を狙うハイエナどもに襲われ、奪われ、証拠隠滅のために消されるのがオチだ。自分の身くらい、自力で守り切れるなら話は別だが?」

「ら、拉致!? 消される……!?(……あ、あり得る。あんな禍々しい弾丸を持ってたら、ブラックマーケット中の悪党が黙ってないわ……!)」

「命が惜しければ、3階の居住スペースに住み込め。一人一部屋、防音もしっかりしている。家賃は出世払いでいい。……代表さん、君の答えは?」

 

マサキが冷徹な、しかしどこか試すような視線を向けると、アルは一瞬だけ背筋を伸ばし、ハードボイルドな表情を作ろうと足掻いた。……が、数秒後にはその肩がガクガクと震え始める。

 

「……つ、謹んでお受けします。……よろしくお願いします、店長……様」

「あはは! アルちゃん即落ち~! さすが私の自慢のリーダー、話がわかる~♪」

(……仕方ないわ。あの弾丸――ヘイローごと壊しかねない『劇薬』を見せられた後じゃ、ここで囲われるのが唯一の正解だもの……)

「決まりだな。では、契約成立の『祝い』として、まずは職場を案内しよう。お前たちの寝床と、これから死ぬほど世話になる仕事場の確認だ」

 

 

 

マサキは雑居ビルの共用スペースに移動し。エレベーターを使わずに階段を上り始めた。

2階につくとフロアに一つだけある扉を開き、アルたちを招き入れた。

 

「2階は事務スペースだ。決められた一角をお前たちの事務所(オフィス)として好きに使え」

「こ、これが私たちの事務所……!? ちょっとカヨコ、見てちょうだい! このソファー、本革よ! 机も傷一つないわ! 成功したアウトローの匂いがする……!」

 

アルは吸い寄せられるようにデスクへと歩み寄り、その質感を確かめるように指先で撫で回している。その横顔は、新しい玩具を与えられた子供のように輝いていた。

ムツキの同じように家具の質感を確かめている中、カヨコだけはじっと周りを見回していた。

 

次いで3階、2階と同じように扉は一つだけであったが、中の様相は2階の事務スペースとはまた違ったものであった。

「3階は居住区だ。個室は4部屋あるから一人一部屋。防音は完備している、水回りは共用スペースのものをみんなで使え」

「個室……! しかもこんなに綺麗で広いなんて……! まるでいっぱしのホテルみたいじゃない! これが、私たちの『城』……!」

 

アルが震える手で自室のドアノブを握りしめ、感動に打ち震える。

雑居ビルの1フロアと一角を間借りするだけなのだが、想像以上の好環境にテンションが上がってまたアウトロー思想を垂れ流し始まる。

 

 

その背後で、マサキは居住区を後にして3階から4階へ続く階段の手前で立ち止まり、静かに振り返った。その瞳に宿る、氷のように温度のない「拒絶」の色に、真っ先に気づいたカヨコが浮かれているアルの手を引いて正気に戻す。

 

「ここから上はウチの私的な空間だ。4階は共同スペースとユエ、ウツホの私室。5階は俺の私室と工房になっている。工房に許可なく踏み込めば、物理的に存在を抹消する。…いいな?」

 

アルが顔を引きつらせてコクコクと音が出そうな勢いで頷き、ムツキとカヨコも習うように頷き返すのを確認し、マサキは視線を逸らして肩の力を抜いた。

 

「……まあ、私室の方には来ても構わん。悩み事の相談、あるいは俺の寝首を掻くための夜襲。夜這いも受け付けているぞ。ただし先着順だ。先客がいたら、無駄に騒がず部屋に戻れ」

「…………は? よ、よ、夜ば……っ!?(顔を真っ赤にしてフリーズ)」

「……マサキ、本気で言ってるの? 公序良俗っていう概念、あなたの世界にはないわけ?」

 

カヨコはこめかみを押さえ、心底呆れたようにマサキを睨みつける。

 

「前に俺のいた貧民街(スラム)じゃあ、女はお前らみたく銃器を担いでドンパチなんてしない。大体の女が非力で、何かの庇護の下で暮らしている。無法地帯で女が稼ぐ手段と言ったら、一番簡単なのが体を売ることだったからな。セックスできる体ができたら十歳かそこらで親が売りに出しているような場所で、男に取り入るために体を使うのは普通だったんだ。公序良俗なんてあったもんじゃない」

 

「…………っ!!」

「…………(絶句)」

「くふふ、へぇ~……。マサキ君、そんな怖いところで育ったんだ? おもしろ~い♪」

 

二人が絶句する中で、ムツキだけはマサキの凄惨な過去を「未知の娯楽」として楽しむように、好奇心に満ちた目を細めて笑っていた。

 

「……ああ、そうか。キヴォトスには生身の男がほぼいないんだったな。ということは、そこらで暴れているスケバン連中も未経験か、女同士か、あるいは道具で済ませているということか。……なんだ、外の常識に照らせば、途端にかわいいものに見えてきたな」

 

マサキは自身の推論を口にしながら、ブラックマーケットで底辺にいるであろうスケバンたちが、未だに一定の倫理感を保持していることが今腑に落ちた。

 

「なっ、ななな……何を分析してるのよこの変態……変態……!!」

「推論だ。気にするな。……ちなみにその地域にいた頃の俺は今のお前らより年下で、地域のマフィア相手に暴れてたわ。……今思い返すと、とんでもないな? 何考えてたんだ当時の俺は?」

「それはこっちのセリフよ!!」

 

理解できない何かを見るような目でアルがマサキを非難していると、カヨコがため息をつきながら話題を変えようと話を振ってきた。

 

「……(溜息)……頭が痛いわ。そのズレた感性で仕上げたこの内装についても聞かせて。……これだけの規模、業者に頼んだら相当かかってるでしょ?」

「誰にもやらせていない。俺一人でやったから、材料費の五百万くらいだったはずだ」

「「一人で!? これを!?」」

 

事も無げに答えるマサキの回答に声を上げて驚愕を表すアルとカヨコ、ムツキに至ってはもう常識外の人間とわかっているのか終始ニコニコしている。

そんな3人の状態など知らぬとばかりにマサキが淡々と事実を並べ始める。

 

「ライフラインの配置や間取りを第三者に握られるのはリスクだろう? そこから侵入経路や襲撃計画を立案されたくないからな。よほど付き合いの長い工務店でもないと任せられん」

「まあ、それはそうかもしれないけど……建築系とか電気系の資格は持ってるの!?」

「知識はある。資格はブラックマーケットなんだから大丈夫だろう? 届け出は正式に受理されている」

「無資格!?(……いや、この際そこはどうでもいいわね)」

「……でも、一人でやるなら相当な時間がかかったはずよ。この規模のビルをリノベーションするなんて」

 

カヨコが人員的な作業速度から全体の工程を考えて、結構な期間改装作業に追われたのではと考えていたが、帰ってきたのは予想を超える回答だった。

 

「いや、一日もあれば大体できていたな」

「一日で!?」

「? ああ、人間は俺一人だったが、建設ツールとして『カーペンターズ』を使っているのを言っていなかったな」

「……カーペンター……大工?」

「こいつだ」

 

マサキが指を鳴らすと、廊下の影から二メートルほどの無骨な円筒型の作業用ロボットが、音もなく滑り出してきた。その重厚な金属光沢は、キヴォトスの量産型ロボとは明らかに異なる威圧感を放っている。

 

「これは……ミレニアム製の作業用ロボット?」

「いや。外の世界のある場所で使用されていた、修復用量産型ツールロボだ。元の奴はサイズが倍くらいあって使い辛かったからな、ダウンサイズと機能拡張をしてリノベーションに使えるように改造した」

「へぇ~! でもこの子一台だけでも、一日で終わらせるのは厳しいんじゃない?」

「いや? こいつは全部で百基ほどいるからな」

「「「百基!?」」」

 

数基は要るだろうとは予想していたが、帰ってきた数の多さに3人は揃って声を上げてしまう。

3人が声を上げた状態で固まっているのも構わずに、マサキは話を続ける。

 

「精密な配線から壁の塗装まで、一機が作業員数人分以上の効率で動く。……人件費はゼロだ。カーペンターズを製作する時の材料費はかかるが、数パターンの機体アレンジを複製するだけだからな。そんなに掛かった印象はないが……正確な数字は覚えていない」

 

「…………(一日でビルを改修する百基の作業ロボ。私の知ってるDIYが、音を立てて崩れていくわ……)」

 

アルは四度目の沈没をしかけながら、冷たい壁に額を押し付けてなんとか意識を保っていた。

 




第5話をお読みいただきありがとうございました。

物理的にも精神的にもマサキのペースに巻き込まれていく便利屋の面々ですが、マサキの目的はあくまで面倒な仕事の「外部委託」です。
そのための教育を彼女たちに施すのも彼の目的の一環、しかし、その手法はキヴォトスの常識からは大きく逸脱したものでした。

次回、第6話、路地裏で震えるあの少女は漂流者と出会う


アルたちに驚愕させるための理由造りに文章がどんどん膨らんでしまいました。
これまでの話と比べ長尺になり申し訳ない気持ちでいっぱいです。
だってアルたちをびっくりさせるの楽しいんだもの。
代わりにマサキが得体のしれない万能キャラになってしまいましたが…まあ種明かしは別の機会に…。

第6話にて、またお会いしましょう。

【蛇足:カーペンターズすごくない?】
「一日でこのビルを改装してしまったというのは驚きですね」
「ホントだよねー、ユエちゃん! でもマサキ君、あの子たちのこと『修復用量産型ツールロボ』って言ってたよね? 建設用じゃなくて」
「ええ。修復メインということは、それだけ建物被害がひどい地域だったのでしょうか。……やっぱり、災害とかが多かったんですか?」
「いや? 災害じゃない。宇宙から飛来した侵略的な外来生物に侵攻された時に、巨大ロボ同士のガチバトルが発生するから、その余波で周辺の建造物がぶっ壊れてただけだぞ」
「巨大ロボのガチバトル!? ……え、それって、カイテンロボみたいな感じ?」
「あんな緩いのと一緒にすんな……殺されるぞ?」
「? 誰にですか? ……マサキ君の言い方だと、かなり物騒なものだったみたいですね?」
「あっちの奴は一歩歩けば地響きで周囲の建物の窓を全部割り、一撃放てば地平線まで更地にする破壊神よばわりだ。そんなのが頻繁に暴れ回るために、自前で空間を歪めてまで戦闘フィールドを形成して、周囲の被害を抑えようとした組織だぞ? ロボットを投入して即時元通りにした方が『安く済む』し、世論の評判も良くなる」
「……それ、マサキ君の見解だよね? 本当はもっとこう、困ってる人を助けたいとか、人道的な理由があるんだよね……?」
「どうだろうな。カーペンターズの前身は、さっき言った戦闘フィールドを作るために歪めた空間が元に戻らない不具合が起きた時のための……これまた『空間修復用』のロボットだからな。そもそも事の起こりが建物修復用ですらない。途中で世論寄りに舵を切って今の仕様になったんじゃないかと思わせる理由だが?」
「……空間修復、ですか。なるほど、理屈は分かりました。ですが、それほどのオーバースペックな子たちを、今はたまにスケバンさんの抗争で痛んだ外壁の補修にしか使っていないというのは……。」
「勘違いするな。前身がそうだっただけで、今の機体は建築用にサイズダウンと機能拡張を施した別物だ。空間修復なんて芸当、今のこいつらにはできん。そのための『根幹ユニット』を積んでいないからな」
「……それでも、建築効率としては十分すぎるほど異常ですけれど。一般普及はしてたんですか?」
「いや? その組織だけで運営してたな。同じようなものは流通してなかったはずだ」
「えー、なんでー? 絶対売れるのに! ……あ、でも待って。流通してないはずなのに、なんでマサキ君がそんな改修機を個人で百基も持って歩いてるの?」
「…………さてな。」



以下、第5話時点でのゲヘナ情報部による内部資料を公開します。
【ゲヘナ情報部 内部調査資料:108-BM-05】
■ 調査対象者 A:「マサキ」
【新規】拠点移転と生徒の囲い込み: 対象が取得した第88地区ビルにおいて、本学園生徒(陸八魔アル等)が荷物を運び込み、居住を開始したことが確認された。対象は生徒たちに事務所スペースを提供すると同時に、自身の監視下に置くことで「業務委託」という名目の従属関係を構築したものと推測される。

【追加】異常な工学リソースの露呈: 拠点の改修において、周辺住民からの聞き取りにより、多数の小型作業用ロボットが投入され、わずか一日で内外装が完成したという証言が得られた。目撃情報によれば、その物量は「角砂糖にたかるアリの群れ」のようであったと形容されており、対象が個人で運用可能な自動化戦力を相当数保有している事実は、地域の勢力均衡を脅かす懸念材料である。

【特記】対外呼称の定着: 同行生徒らが、対象を明確に「店長(掃除屋108)」と呼称し、命令に従う様子が観測された。対象がブラックマーケットにおいて、名実ともに一勢力の指導者として台頭しつつあることを示唆している。

■ 調査対象者 B:呼称「ウツホ」 / 調査対象者 C:呼称「ユエ」
【更新事項】確定した従事形態: 両名はビル4階に居住し、1階カフェ『チェントット』の運営に従事する従業員であることが確定した。以前より店外への外出が皆無であることから住み込みは推測されていたが、今期、陸八魔らが店外で「4階の住人」について口にした情報を傍受したことで事実として確定。依然として戦闘現場での姿は確認されておらず、事務・運営面を担っていると判断される。

[総評:更新] 対象は、生徒たちに「住居」と「活動拠点」を供与することで、経済的・物理的な従属関係を確立した。かつては独立独歩を標榜していた陸八魔らが、対象の指示下で動く組織へと変貌しつつある点は、生徒指導上の重大な懸念である。 今後は、拠点を確保した対象が、手駒とした生徒たちをどの方面へ投入するか、その「初仕事」の動向を最優先で監視する必要がある
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