ホロウを逝くレヴナント   作:新エリー都の吸血鬼

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始まり

新エリー都。

 

それは残された者達の住まう最後の都市……その筈だった。 

 

かつての繁栄は黒い球状の異物、ホロウに飲み込まれていき、ホロウに飲まれ耐性の無い者達はエーテリアスと呼ばれる化け物と成り果てるかエーテリアスによって殺されていく。

 

「助けてくれぇ!!誰かぁ!!」

 

「子供を!!子供だけでも!!」

 

「嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁ!!エーテリアスになんかになりたくない!!」

 

人々の悲鳴がこだます中、ホロウに飲まれた街を走る子供がいた。

 

背後にはエーテリアスがおり、子供を殺そうと追い掛けている。

 

「はぁはぁ……た、助けて!!」

 

子供が必死に叫んで逃げる中で転んでしまう。

 

追い付いたエーテリアスが無慈悲に子供を殺そうとした瞬間、エーテリアスの身体は真っ二つに切り裂かれた。

 

子供が視線を上げるとそこには剣や銃と言った武器を手にしたガスマスクの様なマスクを着用した複数の男女がそこにいた。

 

「大丈夫?怪我はない?」

 

マスクの集団の一人である女性がそう言って子供に手を差し出し、子供は手を取るとそのまま立ち上がらせた。

 

「お前はそいつを連れてホロウの外へ運べ。残りは俺と取り残された奴を助けるぞ。行くぞ!!」

 

マスクの集団のリーダーらしき男はそう叫んでエーテリアスの群れに突撃し、他の者達も武器を手に続いていく。

 

エーテリアスもそれを見て突っ込んでくると二つの集団はぶつかった。

 

マスクの集団はエーテリアスの攻撃を巧みにいなし、避けて攻撃し、エーテリアスを次々に撃破していく。

 

激しい戦闘が繰り広げられる中、一人のマスクの男が後ろからエーテリアスに攻撃されて倒れて消えていく。

 

「怯むな!!心臓さえ守れば俺達は何度でも立ち上がれる!!恐れずに突き進め!!」

 

マスクの男はそう叫んでエーテリアスを次々と葬り、他の者達も続いて行った。

 

旧都陥落。

 

後にそう呼ばれた大規模なホロウの暴走による悲劇。

 

多くの者が死に、多くの者がエーテリアスと成り果てた。

 

様々な人々の運命を変えた様にマスクの集団の者達もまた、運命を変えられた者達だった。

 

吸血鬼(レヴナント)

 

彼ら或いは彼女達はそう呼ばれる様になる旧都陥落の戦いに投じられた一度は死んだ嘗ては人間だった者達だ。

 

記憶の一部を失うリスクがあるが心臓さえ守り抜ければ塵となって戻るだけで死ぬ事はない不死の兵士として軍に投入され、犠牲を払いつつも多くの民間人を救出すると言う功績を残している。

 

だが、戦いを終えた吸血鬼(レヴナント)達に待ち受けていたのは耐え難い渇きと堕鬼(ロスト)と呼ばれる血への渇きに限界が生じた際に起きる吸血鬼(レヴナント)が化け物へと変貌する現象……そして差別。

 

吸血鬼(レヴナント)は文字通り同胞の血……つまりは人間の血が必要だった。

 

死体から甦った吸血鬼(レヴナント)達は最初こそ血を供給される形で補っていたが旧都の戦いを終えてから供給は途絶え、定期的な配給制へと変わると血の不足が起こり、吸血鬼(レヴナント)達は血への渇望に苦しむ事となった。

 

血への渇望……それが限界が来た時、吸血鬼(レヴナント)堕鬼(ロスト)となり、吸血鬼(レヴナント)も人間も無差別に襲う化け物と成り果てる。

 

その為、人間達に嫌悪を抱かせ、差別が起きた。

 

生き残った人間に吸血鬼(レヴナント)は血を奪う化け物とされ、一時期はハンターと呼ばれる者達からの吸血鬼(レヴナント)狩りなる活動が行われ多くの吸血鬼(レヴナント)達が心臓を破壊されて殺されたりする事態が多発した。

 

旧都陥落の際に戦ったにも関わらず吸血鬼(レヴナント)達は新エリー都での居場所を失い、血の代用品となる血涙と呼ばれる物がもたらされるまで影でハンターに怯え、渇きに苦しみながら暮らす様になった。

 

旧都陥落から数年の月日が流れ、六分街にあるRandom_Playと呼ばれるレンタルビデオ店では一人の赤髪のサイドテールの少女が店番をしていた。

 

「はぁ……暇だねぇ……」

 

少女は暇そうにしていると店の扉が開かれ、二人の男女が入ってきた。

 

「ただいまツグミ!」

 

「あ、店長!お帰りなさい!」

 

ツグミと呼ばれた少女はそう言って笑顔で二人の店長を出迎える。

 

これは一人の吸血鬼(レヴナント)と伝説のプロキシ、パエトーンの物語である。

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