ホロウを逝くレヴナント 作:新エリー都の吸血鬼
薄汚れた廃墟の中。
一人の少女がその中にある小部屋のベットに寝かされ、深い眠りに落ちていた。
埃や僅かに入る太陽光が差し込む中、少女の手がピクリと動いた。
「う……うぅ……」
少女は頭を押さえながら体を起こして辺りを見渡し、自分が何処にいるのかを把握しようとするも何も思い出せなかった。
「此処は……何処……私は……誰……?」
少女は訳も分からずにゆっくりとベットから起き上がると歩き始める。
足取りは重く、ゆっくりと歩くしかない中、少女は小部屋から出た所で散乱した研究室の様な部屋を目にした。
少女は辺りを見渡しながら歩くと机に無造作に置かれた資料を見つけ、広うと写真と名前が書かれていた。
「ツグミ……柊木ツグミ……?」
少女は首を傾げながらその先を読もうとするも破けていたり、汚れていてろくに読めない状態だった。
少女は書類から視線を外して顔を上げた時、目の前に鏡の様に写るガラスがあり、少女の顔を写す。
写真と同じ顔。
少女の顔は今、手にしている書類に書かれた人物の写真と同じだった。
「私が……柊木ツグミ……?」
少女は自身が柊木ツグミだと考え、そう思う事にするとこれ以上、目ぼしいものがないと考えて再び歩き出した。
廃墟の中は暗い筈なのに景色はハッキリと写り、ツグミは迷う事もなく歩けていた。
やがて中庭の様な空間に出た時、頭に黒い球体の様なものを持った化物が一体いる事に気付いた。
「どうしよう……」
ツグミは不思議と冷静だった。
辺りを見渡して使えるものが無いか探すと足元に長い鉄パイプが落ちているのに気付き、それを拾うと化物の前に出て構えた。
化物もツグミの存在に気付くと雄叫びを挙げて向かっていき、攻撃的する。
ツグミはそれを軽い動作で避けると横振りに化物を殴りつけ、そのまま何度も化物を殴った。
殴る事を繰り返していると化物は死んだのかそのまま倒れて消滅し、ツグミは顔の汗を拭いながら一息つく。
「……まともな武器がいるよね」
ツグミはそう思いながら鉄パイプを片手に再び探索を続ける。
何度か歩き、分かれ道で迷い、化物と遭遇しては鉄パイプで殴り殺すを繰り返す中、やがてツグミの目の前に剣が立て掛けられているのを見つけ、拾い上げて状態を見た。
「……うん。まだ使えるね」
ツグミはそう言って鉄パイプを捨て、剣に持ち返ると軽く振るう。
ブゥンブゥンと音が鳴り、ツグミは満足そうに頷くと再び探索を進めようとした時、視線の中にある物が入った。
机の上に口元を覆うガスマスクの様なものが置かれており、ツグミはそれを見て手に取ると身に付けなければならない衝動に駆られてそのままマスクを着けた。
「うーん……ちょっと息苦しい……」
ツグミはそう言いながらもマスクを着けたまま廃墟を歩く。
暫く廃墟の中を歩いた所でようやく外に出たツグミが目にしたものは崩落した都市と突き出た大きな黒い結晶の様な何かだった。
ツグミは辺りを見渡しながら歩いていた時、空から大きな何かが落ちてくるのに気付き、身構えると落ちてきたのは先程の黒い球体を頭にした化物と同じだが比べようがない程の巨体を持つ化物だった。
化物はツグミを視認しており、ツグミも逃げられないと考えて溜め息をつく。
「面倒だけどやるしかないね……」
ツグミはそう言って剣を構えた時、化物は雄叫びを挙げた。