「これで私のターンは終了!」
「それは不可能だわ。あなたの場の死神姫ミザリー・ス―は、墓地の死神突撃部隊隊長の効果により攻撃権がある限り毎ターン攻撃しなければならない」
「……あっ、そうか。じゃあミザリーちゃんで攻撃」
「お互いに0ダメージ。だけど、攻撃したことにより墓地のドジっ娘の効果発動。私は山札から1枚エネルギーゾーンにおくわ」
オレ
エネ4→エネ5
「……やっぱりやるね、アリスちゃん。今度こそターン終了だよ」
「ターン終了時、死神姫の効果発動。墓地の死神派遣隊長の効果を発揮」
死神派遣隊長
コスト1 パワー3000 闇 死神
自身のターン終了後、自分のデッキから死神カードを一枚選び相手の場に召喚する。出来なかった場合、自分の手札、もしくはエネルギーゾーンのカードを1枚墓地へ送る」
「ターン終了時、山札の死神カードを相手の場に召喚しなければならない」
「え、そんなのないよ……」
美奈さんは、オレの言葉を聞いて呆然とした表情を見せる。
「ならば、手札、もしくはエネルギーゾーンのカードを1枚墓地へ送らなければならない」
「うそ、でしょ……」
美奈さんは、表情を歪めてカードを墓地へと送る。
「墓地にある死神派遣隊長は2枚。よって、もう一枚カードを墓地へ送らなければならない」
オレは、淡々とそう告げる。
美奈さんはそれを聞いて、さらに絶望的な表情を見せる。
……美奈さんは、エネルギーゾーンのカードを2枚墓地へとおくった。
これで、次のターンの動きが鈍るはずだ。
「どうかしら。お望み通りの容赦ない戦いをしてみたのだけれど」
「最高だよ! 凄っごくアリスちゃんを感じちゃった!」
「……意外と余裕そうね」
オレの問いに、嬉しそうに答える美奈さん。先ほどの絶望顔はどこへ行ったのか。
美奈さん
ライフ19000
手札3
エネ3
スペル使用数8
死神姫ミザリー・ス―
パワー3000 闇 即時攻撃 与ダメージ-4000
オレ
ライフ20000
手札2
エネ5
死神軍部隊長
パワー1000 闇 死神 2回攻撃
王の守護者
パワー5000 闇 受けるダメージ-2000 与ダメージ-5000
「私のターン、ドロー。一枚をエネに送り、4コストでスペル『警戒態勢』 発動。山札から2枚引く」
警戒態勢
コスト4 火
カードを2枚引く。相手の場に5体のモンスターがいる場合コスト0で使用可能
「そして、2コストで『禁じられた回復術』を発動。後攻なのでカードを1枚引き、『死神姫ミザリー・ス―』を複製する
禁じられた回復術
コスト2 闇
後攻ならカードを1枚引く。そして、場のモンスターを1体選び回復(減少分のパワーをプラス)してから相手の場に複製する。このターン、選択されたモンスターは攻撃できない」
「でたっ、雨宮君の複製コンボ!」
「そ、そんな……流石アリスちゃん!」
姉崎姉妹はオレを見て、嬉しそうにしている。……これで、いいのか?
「さらに、0コストで『デスサイス』を死神軍部隊長に装備」
デスサイス
コスト4 闇
このカードは死神カードとして扱う。
モンスター1体のパワーを3000増加させ、貫通(モンスター撃破時余剰ダメージを相手プレイヤーに与える)を付与する
墓地の死神カード1枚につきこのカード発動に必要なコストを1軽減する
「これで死神軍部隊長のパワーは4000。更に部隊長の効果発動。攻撃時山札の上から2枚確認する。その中の死神カードの枚数に応じてパワーアップ」
山札の上から2枚確認する。死神カードの枚数は……0枚
「パワーアップはなし。……でも、部隊長は2回攻撃を持つ。8000ダメージを受けなさい」
美奈さん
ライフ19000→11000
「これで私のターンは終了。そしてあなたのターンが始まる。よって2体の死神姫の効果発動。墓地のドジっ娘の効果を発動し、私は山札から2枚引く。これで私の手札は5枚」
美奈さん
ライフ11000
手札3
エネ3
スペル使用数8
死神姫ミザリー・ス―×2
パワー3000 闇 即時攻撃 与ダメージ-4000
オレ
ライフ20000
手札5
エネ6
死神軍部隊長
パワー4000 闇 死神 2回攻撃 貫通
王の守護者
パワー5000 闇 受けるダメージ-2000 与ダメージ-5000
「私はまだやれるよ。ドロー、スペル『中級魔法使いの証』を発動」
姉崎さんは笑顔でスペルを発動する。
中級魔法使いの証
コスト2 光
ゲーム中に一度だけ、小級魔法使いの証使用後に墓地へスペルカードを5枚以上送っている時使える。山札の上から4枚のカードを引き、その内の2枚をエネルギーゾーンに置き、残りを手札に加える
「資源を大量に獲得するね」
上機嫌で山札からカードを取る美奈さん。
……条件付きの、強力なリソース補充効果か。これで、折角前ターンに削った分が帳消しになってしまった。
「……あと少し、足りないな。あと1エネあれば決められたんだけどなぁ」
引いたカードを見て、少し落ち込む美奈さん。
1足りない、かぁ。分かるぜ、美奈さん。あと1エネルギーあれば、っていうのがカードバトルの中で頻出するもどかしい場面だよな。
「無いものはしょうがない。スペル『マジックバインド』を発動」
マジックバインド
コスト3 光
自身のスペル発動回数以下のコストを持つ相手モンスターを1体選ぶ。
選んだモンスターに、『攻撃時その攻撃を中止する』を一度だけ付与する。
自身のスペル発動回数が5回以上の時、このスペル発動に必要なコストを-2する。
「対象は勿論死神軍部隊長だよ」
美奈さんはオレの場にいる軍部隊長を指差し、そう宣言した。
……これで、勝ちが少し遠のいたな。今は少しでも多くのライフダメージを稼ぎたい場面なのに。
「更に、2コストでスペル『魔法の効率化』発動」
魔法の効率化
コスト2 光
①手札のスペルを1枚選び、コストを-1する。
選んだスペルと同名のカードがあれば①の効果を発動する代わりにそれらのカードのコストを同名カードの数だけ-1する。
「私はこれで手札3つの同名スペルのコストをそれぞれ-3するよ」
美奈さんはそう言って、ドヤ顔で3枚のカードを指定する。
まずいな。今ので3枚のスペルが以前と合わせて6コスト軽減されたことになる。合わせて18コスト分軽減した計算だ。
妨害していなければこのターンに決着がついていたかもしれない。
「……ダブルミザリーちゃんで部隊長を攻撃」
「王の守護者でガード。お互いにノーダメージ」
攻撃必須の死神姫に仕方なく攻撃の指示を出す美奈さん。でも、攻撃したということは……
「2体の死神姫達の効果で、私は山札の上から2枚をエネルギーゾーンに置く」
オレ
エネ6→8
「これで私のターンは終了だよ」
「ターン終了時に2体の死神姫の効果発動。手札、もしくはエネルギーゾーンから合計4枚のカードを墓地へ送らなければならない」
「……うっ、やっばりそうなるよね」
美奈さんは渋々手札のカード1枚とエネルギーゾーンのカードを3枚墓地へと送る。
これで美奈さんは手札3枚最大エネ3枚の、バトル後半とは思えない状態になった。
「どうやら勝負あったようね」
「勝負はまだわからないよ、アリスちゃん」
「勝ち筋がまだ残っているのかしら」
「次のターンさえ、回ってくれば勝てるはず!」
「なら、ここで決めないといけないわね」
……どうやら美奈さんには勝ち筋が残っているらしい。警戒を緩めることは出来なさそうだ。
「私のターン、ドロー。……2まいともエネルギーに変換。スペル『武器調達令』をコスト1で発動。山札からデスサイスを手札に加え、コスト0で部隊長に装備」
部隊長
パワー4000→7000
武器調達令
コスト3 火
山札から武器カードを1枚手札に加える。相手の場のモンスター1体につきこのスペルのコストを1軽減する
「部隊長で直接攻撃」
「マジックバインドの効果で、その攻撃は無効にっ!」
「なら、2回目の攻撃。山札の上から2枚確認」
……山札を確認するが、死神カードは1枚もなかった。パワー向上は出来ない。
「パワー7000のまま、直接攻撃」
美奈さん
ライフ11000→ライフ4000
「そしてさらに、『あわてんぼうのドジっ娘死神』を召喚」
あわてんぼうのドジっ娘死神
コスト0 パワー3000 闇 死神
即時攻撃(召喚したターンに攻撃出来る)
攻撃時、相手は山札から1枚をエネルギーに送る
自身のターン開始時、相手は山札から1枚引く
「あわてんぼうのドジっ娘死神は、出たターンでも攻撃出来るモンスター。……直接攻撃」
美奈さん
ライフ4000→ライフ1000
エネ3→4
「……そして、4コストでスペル『警戒態勢』を発動」
警戒態勢
コスト4 火
カードを2枚引く。相手の場に5体のモンスターがいる場合コスト0で使用可能
スペルの効果でオレはカードを2枚引く。
「ドキドキの時間だね」
「ヒヤヒヤするよ」
姉崎姉妹は緊張の面持ちでオレを見ている。
残るコストは5。それが尽きるまでに美奈さんにトドメをささなければならない。
「続けて、1コストで『裏切りの餞別』を発動。ドジっ娘を押しつけてカードを2枚引く」
裏切りの餞別
コスト1 闇
自分の場にモンスターがいるときのみ使用可能
自分の場のモンスターを1体選択してコントロールを相手に移す。その後山札から2枚引く
「……このカードはっ!」
引いたカードを見て、オレは思わず声を出した。
来た。……ようやく来てくれた、オレの切り札
「残りのコストを全て使って『死神の王デス・オール』を召喚」
死神の王デス・オール
コスト6 パワー7000 闇 死神
お互いの墓地の死神族モンスター1体につき召喚に必要なコストをー1にする(最大2コストまで)
召喚時、望むなら自分の墓地の死神族モンスターを2体まで蘇生し、蘇生させた数だけ1枚づつカードを引く
攻撃時、追加ダメージ3000
「デス・オールの効果発動。墓地からドジっ娘を蘇生」
あわてんぼうのドジっ娘死神
パワー3000 闇 死神 即時攻撃
「ドジっ娘は蘇生されたターンでも攻撃可能。これでトドメ。ドジっ娘アタック!」
美奈さん
ライフ1000→0
「雨宮君! 勝利おめでとうっ!」
姉崎さんがオレの元へと走りよってきて、手を取ってそう叫ぶ。
「あ、ああ。でも、少し大げさじゃないか……」
「確かに。……でも、しょうがないじゃん。見て、お姉ちゃんを」
姉崎さんに言われて、美奈さんを見ると……泣いていた。
「……負けちゃった、負けちゃったよ」
泣いている様子は、どこかうれしそうでもある。……不思議だな。負けたはずなのに、スッキリした表情だ。
「思い出したよ。誰かと一緒に一生懸命になるのって、こんなにも気持ちいことだって」
涙を拭い、笑顔でそう話す美奈さん。……良かった。
「ありがとう、雨宮くん。私に大切なことを思い出させてくれて」
オレに礼を述べる美奈さん。その笑顔は、とても眩しかった。
……あれ、雨宮君?
「お姉ちゃん、もう、夢から覚めたの?」
姉崎さんが美奈さんへと話しかける。
「……うん、そうみたい。戦っている最中に段々と夢から覚めた感じがしてたの。きっと、雨宮君の私たちを想う気持ちが私を夢の世界から覚ましてくれたんだよ。ありがとう、雨宮君」
「いや、オレは別に……」
美奈さんにお礼を言われて、思わず照れる。オレはアリスの声を出すのも忘れて誤魔化そうとする。……なんだか恥ずかしい。
「……ふふっ、アリスちゃんから出る男の声は可愛らしいね」
「だね。アリスちゃんから雨宮君の声が出るのはなんかいいね」
「……なんだか、酷い言われようだ」
姉妹のやりとりを聞いたオレは、思わずため息をつく。
「これからは現実と向き合って生きていくよ。まだ外は怖いけれど、少しずつ前に進んでいくつもり」
そう告げる美奈さんの表情はどこか清々しくて。……もう心配はいらないみたいだ。
「もしよければ、これからも私と友達でいてくれるかな? 雨宮君」
「ああ、勿論だ」
美奈さんの問いにオレは頷く。
美奈さんとはこれからも仲良くしたい。
今回の話はよかったですか?
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はい
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