「あ、雨宮君だ。一緒に学校いこ?」
「ああ、かまわないぜ」
「それじゃ、オレはここだから」
「また道場でね」
オレは通学路の途中で姉崎さんと出会ったので一緒に学校に行くことになった。話しながら歩き、オレのクラスの前で別れた。
彼女と別れて教室に向かうオレだったが……
「雨宮、お前って奴は……」
「姉崎さんと一緒に登校ってどういうことなんだ?」
「キサマ、やはり敵か!」
教室に入るなり、クラスメイトの野郎どもに囲まれた。
「おいおい。オレと姉崎さんはただの友達だぞ」
オレがそう言うと、一人がオレのそばに来て耳打ちをしてきた。
(隠さなくていいぞ。お前と姉崎さんが親密な仲であることはこの俺様がリサーチ済みだ。隠そうとしても無駄だぞ)
どうやらこいつはオレたちの仲を怪しんでいるようだ。
「まあ、確かに姉崎さんと仲良くさせてもらってるよ。でも、だからって過剰に反応しすぎじゃないのか?」
オレは適当に言って、この場をやり過ごそうとする。だが、オレの思った通りにはいかないようで……
「姉崎さんは特別なんだ。綺麗な顔、豊かなバスト、スレンダーな身体。そして、愛くるしい立ち振る舞い。まさにパーフェクト美少女なんだ!」
「だから?」
「そんな姉崎さんがお前みたいな悪そうな男と一緒にいるなんておかしいんだよ!」
「悪そうな男ってなんだよ……」
どうやら、彼らにとってオレと姉崎さんは相応しくないみたいだ。
「そんなに姉崎さんと仲良くなりたいならカードで強くなればいいだろ。彼女はいま、強さを求めているからな」
オレは姉崎さんのことを彼らに教えた。……この情報が役に立つといいが。
「くそ、カードが強いからって調子に乗りやがって。俺たちの実力知ってんだろ、お前」
「そうだそうだ!」
クラスメイトたちはさらにヒートアップする。……確かに彼らの実力は以前のオレの足下にも及ばない程だ。何度か戦った記憶があるが、負けた覚えがない。
「弱いなら強くなればいいだろ」
「それじゃ早速特訓相手になってくれ」
「ああ、いいだろう」
こうしてオレは、クラスメート達と戦うことになった。
「いや、強くなりすぎだろお前!」
一通り戦い終えた後、集団の内の一人がオレに対してツッコミをいれる。
お前、なにがあったんだよ!」
「まあ、色々とな」
オレは、疑問に対して曖昧に答える。微妙に説明しにくいのだ。
「もしかして、姉崎さんとなにかがあったのか!」
「……」
「何で黙るんだよそこで! ……まさか、姉崎さんとドキドキの体験をしたんじゃ無いだろうな……」
「そ、そんなんじゃないし……」
「目が泳いでるんですけど!」
……だいぶ怪しまれてしまった。その後は適当にごまかして、オレは席につきホームルームが始まるのを待つ。
……それにしても、姉崎さんってあんなに人気があったんだ。
確かに彼女は可愛い。同じく美人な美奈さんと一緒に歩いていたら、周囲の目を惹いてしまうだろう。
そういえば、美奈さんってどこかでみたことあるんだよな。……まあ、それはどうでもいいか。
とにかく、そんな姉崎さんと仲良くなることが出来た。それって、凄いことなんじゃないか?
……もしかして、今のオレは絶好調なんじゃないだろうか。
カードバトルだってかなり強くなれた。お嬢様である有栖川さんから認められ、戦う度に勝利を積み重ねている。
それに、有栖川さん曰く、オレには闇祓人としての力を持つらしい。
この力が切っ掛けでオレは美奈さんと仲良くなれた。……きっとこの力はオレに良い出会いを運んでくれるはずだ。
もしかしたら、これからもっと青春を謳歌出来るんじゃないだろうか。
姉崎さん達と交流して、カードでは勝ちまくって、多くの出会いがある。
……そんな生活が、これから待っているのかもしれない!
オレは、自分の未来に希望を抱く。
「……おいおい、青春謳歌なんてそんなことしてていいのかよ」
……有頂天になっていたオレだったが、心の中の闇の部分がオレに語りかけてくる。
「……うるさいな。オレはもう決めたんだ。今の内に楽しい思い出をいっぱい作るってな」
心の中での闇の声にオレは答える。
「そんなんでいいのかよ。……お前は、本当に遊んでていいのか?」
「……さっきからうるさいな」
「お前は本当に、後悔しないのか?」
「ああしないね。オレに出来る事なんてたかが知れてる。それに、有栖川さんと結婚出来れば全ては解決するんだ」
「……へへっ、そうかよ」
「……」
心の中の闇の声が消える。……なんなんだよさっきから。何が言いたいんだ?
……よし、忘れよう。オレは、これからの青春に思いを馳せる。
……そして、ホームルームの時間になった。
「……はい、皆さんおはようございます」
担任が教室に入り、挨拶をした後、連絡事項を伝える。
「今日は転校生がこのクラスに来ます」
先生の言葉に教室はざわめく。……そういえばそんな話もあったな。
「入ってきてください」
先生の言葉で教室の扉が開かれる。入ってきたのは、燃える炎のような赤髪の少年だ。
少年は黒板に名前を書くと自己紹介をした。
「俺は爆炎猛火だ。モットーは三度の飯よりカードバトル。一番のカードバトラーになることが夢だ。皆よろしくな」
笑顔で挨拶する爆炎。
「爆炎君は、このクラスの雨宮君の隣の席に座って貰います」
オレの隣は空席だ。……まさかそこに来るのか?
「よう、これからよろしくな!」
爆炎はオレの隣に座ると、オレに握手を求める。オレはその手を握る。……こいつの握力凄いな!
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
オレは爆炎に挨拶を返した。
「ところで雨宮、お前この中で一番強いだろ」
「ん? 確かにそうだが……」
爆炎はオレのことを見透かすような目で見る。……なんだこいつ、何か知っているのか?
「ふむふむ、闇属性の死神使いか。燃えてきたぜ」
「な、なんで分かるんだ」
オレは思わず声に出してしまった。
「へへ、オレは相手のオーラをみるだけで、どんなデッキを使っているのかが分かるんだよ」
「……お前、凄いんだな」
オレは素直に感心する。
「それにしても、死神使いか。これも運命かも知れないな」
「……運命?」
「ああ、俺の宿命のライバルも死神使いなんだ」
「宿命のライバル?」
何だその少年漫画みたいな設定は。オレは思わず反応してしまう。……いや、まてよ?
死神使いで、宿命のライバルになりそうな奴といったら……
「俺の宿命のライバル、それは漆黒残虐って奴だ」
「……」
オレは、その名前を聞いて思わず絶句した。まさか、爆炎のライバルがオレと一緒だとは……
「この町に来てすぐ、俺は奴と出会った。奴の強者オーラを見て、俺は勝負を挑んだんだ。だけど、結果は惨敗だ。……全く歯が立たなかった」
爆炎は悔しそうに語る。……やはり、漆黒残虐は圧倒的な力によって対戦相手の心に強い影響を与えるのか。
「俺はリベンジを誓ったんだ。いつか必ず、漆黒残虐を倒してみせるってな」
そして、爆炎はオレの方を見て言った。
「俺とお前が出会ったのも運命だ。これからはライバル同士、切磋琢磨して強くなろうぜ!」
「……もう、ライバル認定なのか?」
オレは思わずツッコミを入れる。
だが、彼にとっては漆黒残虐と同じ死神使いであるオレはライバルらしい。
……まあ、別にいいか。ライバルと競い合うのも青春の1ページだ。だから……
「そうだな、一緒に切磋琢磨しよう」
オレは爆炎と握手を交わした。
「へへっ、よろしくな! よし、それじゃ早速バトルしようぜ」
「お、おい。これからホームルーム始まるところだぞ」
オレは、戸惑いながらも爆炎の勢いに押されてカードを取り出した。
「先生、1戦だけいいですか?」
「ええ、いいですよ。爆炎さんがみなさんと仲良くなるチャンスです」「ありがとうございます。……よし、雨宮! いくぜ!」
こうしてオレは、皆が見守る中爆炎とカードバトルをすることとなったのだった。
「先行は俺がもらうぜ。ドロー。1枚をエネに展開。1エネを使ってオレは『爆裂トカゲ』を召喚。ターンエンドだ」
爆裂トカゲ
コスト1 パワー1000 火 ドラゴン
攻撃時にパワー+1000する(1ターンに3回まで)
自身の攻撃でモンスター破壊時、パワー+2000する
今回の話はよかったですか?
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