ホビアニ風世界の死神ギフトデッキ使い   作:Atlantis

14 / 21
未知の店

 

 

 

『マナカーブを意識しよう』

・デッキが上手く回らない? それはもしかしたら、マナカーブが良くないのかも知れません。マナカーブが『へ』の形になるようにデッキを組むのがおすすめです。マナカーブとは……

 

『1・2交換出来るカードを中心にデッキを組んでみよう』

・フィールドの支配権をなかなか握れない? もしかしたら支配権を握れるカードがデッキに少ないのかも知れません。1枚で複数同時撃破を狙えるカードがおすすめです。特に、ダメージを複数回与えるスペルカードや複数の敵モンスターにダメージを与える事の出来るモンスターカードが理想的です。それらのカードを中心にデッキを組めば、君もフィールドの支配者に?

 

『手札補充は必須?』

・どんなにマナカーブを整えてもデッキが回らない? それは、手札補充が不足しているからかも。手札補充はデッキ構築の基本中の基本です。デッキ内に7枚程山札を引けるカードがあれば事故率が大きく下がります

 

 

「……これも、基本的な事しか書いてないな」

 

 放課後。オレは強くなる為に学校の図書室でカードの指南書をあさっていた。

 

 けれど、どの指南書にもオレが強くなる情報は載っていない。もしかしたら、本当の強者は情報を秘匿しているのかも知れない。

 

 指南書でパワーアップ作戦は失敗に終わったようだ。

 

 仕方ないので、カード図鑑でもみながら色々と考えてみることにする。

 

 ……平均的に、1コストのモンスターのパワーは1000で、2コストのモンスターは2000。3コストのモンスターは3000という風な感じでモンスターのパワーが設定されている。効果の強弱によっては上下することもあるが、基本的にはコスト×1000のパワーだと考えていいだろう。

 

 ……つまり、4コストのモンスターは大体パワー4000なのだ。

 

 図鑑の4コストモンスター一覧を見て、オレは思ったのだ。こいつらを出されたら辛いと。

 

 オレのデッキは除去カード0枚。そして、パワー4000を破壊出来るモンスターカードはほんの僅か。

 

 オレのデッキではパワー4000のモンスターを倒すのに苦労する。もし厄介な効果を持っていたとしても、放置するしかなくなってしまう。

 

 コスト4のモンスターは、最速で後攻2ターン目から出される可能性が有るのも厄介なところだ。

 

 ……除去カードを入れた方がいいのか? けれど、そうしたらノイズが増えてコンボを通しにくくなってしまう。

 

 でも、除去カードがあればガードで守られた厄介なモンスターを倒せるしなぁ……

 

 コンボを重視するか、盤面を重視するか……

 

「お、モンスター図鑑。そのページ、パワフルなモンスターがいっぱいだな」

 

 考え事をしていると、突然横から声を掛けられた。

 

 この声は……爆炎だ。

 

「へへっ、まさかこんな所にいるなんてな」

「雨宮君が図書室にいるなんて、珍しいね」

 

 ……爆炎だけじゃない、姉崎さんもいる。

 

「2人が一緒なのは意外だな」

「転校してきたばかりの爆炎君に、学校を案内してたんだよ」

 

 笑顔でそう話す姉崎さん。

 

「へぇ、そうなのか」

 

 別クラスなのに爆炎の世話を

するだなんて、姉崎さんは面倒見がいいようだ。

 

「ん、どうした雨宮? 顔色が良くないぜ」

「別に、何でも無い」

 

 俺の顔色を指摘する爆炎。そんなにオレは暗い顔をしていただろうか。

 

「モンスター図鑑を見てるって事は、デッキの構成を考えてるんでしょ」

 

 姉崎さんが図星を突いてくる。……鋭いな

 

「ああ、仮想敵を想定してデッキを考えていたんだ」

「へぇ、そりゃ面白そうだ。俺もやってみたいぜ。ちょっといいか?」

 

 そう言いながら爆炎はオレのカード図鑑をパラパラとめくり、人気モンスター紹介のページを開いた。

 

「お、こいつは強そうだ。高パワー強効果に破壊耐性。まさに、パワフルなカード。……姉崎はこのモンスターが出てきたらどう処理をするんだ?」

 

 爆炎は姉崎さんに、選んだ人気モンスターの対処法を聞く。

 

 ……爆炎が選んだカードは、強力な攻撃時効果を持つ。早く倒さないと被害が大きくなってしまうカードである。

 

「うーん、そのモンスターはそんなに怖くないかな。攻撃を封じるスペルを使って動きを止めて、その間に制圧するよ」

「なるほど、そういう対処法もあるのか……。それじゃ、雨宮ならどんな対処をするんだ?」

 

 今度はオレに対して、モンスターの対処法を聞いてくる爆炎。

 

「……うーん、今のオレのデッキじゃそいつの対処はキツいな。幸い消費コストが重いから、出される前、もしくは出された次のターンで相手のライフを削りきれば何とかなるはずだ」

「……ある意味それも対処法、なのか?」

 

 微妙な表情を浮かべる爆炎。

 

「爆炎だったらどうするんだ?」

 

 今度は逆にこちらから質問してみる。

 

「……俺は当然激突だぜ。ぶつかって真っ正面から破壊する。それが一番男だからな」

 

 爆炎は、そう答えた。……男らしい、か。爆炎らしい。

 

「何だか爆炎君らしいね」

 

 姉崎さんも同じ様に思ったのか、微笑みながらそう言った。

 

「ははっ、そうだろ。でも、敵の動きを止めて対処するって方法もなんか姉崎らしいよな」

「そ、そうかな?」

 

 姉崎さんは爆炎に言われて少し照れているようだ。……今日会ったばかりなのに、2人はもうお互いを分かりあっている。

 

「……雨宮君、もしかして機嫌悪い? 笑顔が少ないよ」

 

 突然、姉崎さんが心配そうな顔をして、オレの顔を覗き込んできた。

 

「いや、そんな事はないさ。ただ……」

「……ただ?」

「もっと強くならないとなって感じている」

「雨宮君……」

 

 そう。オレは強くなりたい。強くならなきゃいけないんだ。

 

 爆炎や漆黒残虐を倒せるほど強くなる。そして、自信を取り戻す。

その為にも、デッキをもっと強くしないといけないんだ。

 

 オレは再びモンスター図鑑をめくる。最高のモンスターを探して。

 

「いいカード、ないかな?」

「雨宮君はどんなカードを探しているの」

 

 オレの隣に座り、図鑑を一緒に見る姉崎さん。

 

 ……近いな。それに、いい匂いがするし。

 

 オレは少しドキドキしながら、理想を語る

 

「そうだな、まずは除去能力の高さが必要不可欠。厄介なカードを処理してくれるカードが今のオレのデッキに足りていない」

「ふむふむ」

 

 姉崎さんが頷く。

 

「でも、除去するだけじゃ邪魔になってしまう。コンボに組み込める、除去+αの効果を持つカードが欲しいな」

「ほーう。例えばどんなのだ?」

 

 今度は爆炎が聞いてきた。

 

 オレは自分のデッキに欲しいカードを思い浮かべる。

 

「無難なのは手札補充系だな。1枚でも手札を増やせれば除去カードでも邪魔になりにくい。欲を言えば2枚以上引ければ最高なんだがなかなかそうはいかないよな。2枚までとは行かなくも、特定のカードをサーチする効果があれば、かなりデッキが安定する。あとは、スペルのコストを軽減させる効果が欲しい。早いターンからコンボを決めたいからな」

 

 オレは自分の理想のカードを語る。

 

「ふーん。欲張りなんだな」

「……そう言われるとそうだな」

 

 爆炎に言われて、除去カードに対する理想が多すぎる事に気く。

 

 ……でも、オレは妥協したくない。

 

 ノイズにならない除去カードを含むデッキを構築したいんだ……

 

 そう考えていると、姉崎さんが図鑑をパラパラとめくりだした。そして、あるページで手を止める。

 

 そのページは、コスト3のモンスターが載っている最終ページだった。

 

「うーん、載ってないな」

 

 姉崎さんが、ちょっと残念そうに言う。

 

「どうしたんだ?」

 

 オレと爆炎が、姉崎さんに聞いてみる。

 

 すると、姉崎さんは図鑑のページをオレ達に見せてきた。

 

「実は、さっき雨宮君が話してた条件に当てはまるカードを、前にお店で見たんだけど図鑑に載って無くてね」

 

 がっかりした様子の姉崎さん。

 

「見間違えじゃないのか?」

「そうかな? 確かに見た気がしたんだけれど……」

 

 爆炎に言われるも、納得のいかなそうな姉崎さん。

 

「そのカード、どんな効果だったんだ?」

 

 オレがそう聞くと、姉崎さんは思い出す仕草をしながら説明を始めた。

 

「ええっと、確か……そう、コスト3のモンスターでね、効果が盛りだくさんだったよ。しかも、キラキラしてたし」

 

 彼女の説明に、オレは驚いた。たったの3コストであるのにも関わらず、除去+αを持つ効果盛りだくさんのカード。更に図鑑にも乗ってないときた。

 

「そのカード、どこで見つけたんだ?」

 

 オレは姉崎さんに聞いてみる。すると……彼女は少し困った顔をしてこう答えた。

 

「ええっと、なんて名前だっけ。名前が思い出せないよ」

 

 ため息をつく。まぁ、お店の名前なんていちいち覚えてないよな。とくに、小さな店ならなおさらだ。

 

「……店の場所は覚えてるか?」

「ああ、それは覚えているよ。ちょうどこの近くだよ」

 

 そう言って姉崎さんはマップアプリを起動し、オレに見せてきた。

 

 その地図には確かにお店がある場所が記載されている。

 

 ……行って見る価値はあるだろう。

 

 どんなカードが置いてあるのか確かめたい。それに、もしかしたら姉崎さんが見たという例のカードがまだ残っているかも知れない。

 

「情報ありがとう。早速今から行ってくる」

「……店の外観分かるのか?」

 

 爆炎の鋭い指摘が入る。

 

「……分からない。頑張って探してみる」

「雨宮君……」

 

 姉崎さんがジト目でこちらを見つめてくる。

 

「ねえ、今から3人で例の店に行こうよ。爆炎君も強いカードが気になるでしょ?」

「勿論だぜ!」

 

 姉崎さんに提案され、喜ぶ爆炎。

 

 ……謎の店。図鑑にも載っていないオレの求めるカードがあるらしい。そこにはどんな秘密があるのか。果たしてめぼしいカードはあるのだろうか。

 

 ……行ってみたい。オレは2人の誘いに乗った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。