ホビアニ風世界の死神ギフトデッキ使い   作:Atlantis

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爆裂の死神

 爆裂ドラゴン

 コスト6 パワー5000 火

 

 自分ターン開始時、自身のパワーを倍にする

 

 

 

「おお、なんてパワフルなカードなんだ。最高だぜ!」

 

 店に展示されているカードを見て、爆炎が興奮の声を漏らす。

 

「流石にそれは弱すぎるんじゃないかな?」

 

 興奮する爆炎とは裏腹に、冷めた様子の姉崎さん。

 

 ……姉崎さんが紹介してくれたカードショップに向かったオレたち。早速爆炎がカードを見て大はしゃぎだ。

 

「えー、いいじゃないか。1ターン経過でパワー10000に、2ターン経過でパワーなんと20000に。最強の効果だと俺は思うんだけれど」 

「確かに上手く決まれば強いけれど、決まらないことの方が多いんじゃないかな?」

「……た、たしかに!」

 

 姉崎さんの言葉にハッとする爆炎。

 

 ……パワー倍は確かに強力な効果だけれど、発動タイミングが遅すぎる。とても実践で使えるような性能ではない。

 

「まあ、観賞用としてなら買ってもいいのかもね。これ、キラキラしているし」

 

 姉崎さんが別の角度からこのカードにフォローを入れる。

 

「ええっと、お値段は……え?30万円もするの、これ?」

「すげえパワフルな値段だぜ!」

 

 爆炎がまた興奮する。

 

 ……こんなカードが30万円? 確かにキラキラしているけれども。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、このカード面白いかも」

 

 今度は姉崎さんがカードを見てはしゃぐ。

 

「これを使えば相手の手札を奪えるみたい。使ってて楽しそうだなぁ」

 

 ……手札を奪うカードか、確かにユニークで面白そうだ。ちょっと見てみよう

 

 

 スパイ作戦

 コスト3 スペル 闇 

 

 ①山札からパワー3000以上、もしくはコスト7以上のモンスターカードを1枚選び、相手フィールド上に特殊召喚する。

 ②相手の場のモンスターの数×1000のダメージをダメージ軽減を無視して相手モンスターに好きなように与える。

 ③相手の手札から、表を見ないでカードを1枚選び自分の手札に加える

 ④自身が後攻ならこのスペル発動に必要なコストを1少なくする

 

 

「おお、これは凄いな」

「でしょ」

 

 姉崎さんに紹介されたカードを見て、オレは思わず感嘆の声を上げる。

 

「でも、相手の場にモンスターを送らなきゃいけないのがネックだよね」

 

 姉崎さんがカードの効果を見て呟く。

 

 確かに、パワー3000以上のモンスターを相手の場に出すのはリスクが大きいな……

 

「でも、そのリスクを上回るほど相手の手札を奪えるのは大きいと思うぜ」

「そうだね。上手く使えば強いかも」

「デメリットさえ無ければ最強なのになぁ」

 

 爆炎と姉崎さんがこのカードについて話し合う。確かに、相手の手札を奪うというのは強力だ。

 

「……あ! それなら、両プレイヤーに同じ効果を及ぼすカードを相手の場に出すのはどうかな? 上手くいけば、リスク以上のリターンを得られるかも知れないよ」

 

 姉崎さんが新たなアイディアを提案する。

 

 ……確かに、それは面白いかも知れない。

 

「いいな、そのアイディア!」

 

 爆炎も姉崎さんの提案を気に入ったみたいだ。

 

「ん、まてよ? 工夫次第では相手の場に出したモンスターを利用して自分のモンスターのパワーを上げる事も可能じゃないか?」

「おぉ、いいねそれ。……なんだか、色々なアイディアが思い浮かんでくるね」

 

 爆炎と姉崎さんが、今度はお互いのアイディアを褒め合う。

 

「このカードのお値段は……15万円!?」

「うーん、またもやパワフルな価格」

「……ちょいとキツいな」

 

 2枚買ったら30万円。お財布にかなり厳しいカードだ。……でも、デッキに入れたい。

 

「……もっと安いカード、見てみようか」

「ああ、そうだな」

 

 高いカードだからと言って強いとは限らない。爆裂ドラゴンがいい例だ。

 

 逆に考えれば安くても強いカードが眠っている可能性はある。

 

「あ、このカードいいかも!」

「どれを買うか悩ましいぜ!」

「お、これとこれはデッキに入りそうだな。今のカードより汎用性がある」

 

 オレ達は安いレアカードを見て大はしゃぎしている。

 

 ……安いとはいっても1万円はする。でも、10万円超えのカード達をみた後だとだいぶ安く感じる。

 

「ふぅ、満足。……あれ、なにか忘れてるような」

 

 カードを買い終わった姉崎さんがふと、首を傾げる。

 

「……あっ、そうだ!」

 

 思い出した姉崎さんは、慌てた様子でこちらに振り向いてきた。

 

「雨宮君の求めているカードを探しに来ていたんだった!」

 

 ……そうだった。オレは、姉崎さんの言っていたカードを探しに来たんだった。カードを買うのに夢中ですっかり忘れてた。

 

「おお、そういえばそんな話があったな」

 

 爆炎も思い出したのか、姉崎さんの言葉に反応する。

 

「確か、コスト3以上のモンスターで、凄い効果を持ってる奴だったよな。ちょっと探してくるぜ」

 

 爆炎はそう言い残し、奥へと進んでいった。……なんかちょっと違う気がするが、まあいいだろう。

 

「それじゃ、私はあの辺を探してみるね」

 

 姉崎さんはそう言って、カードを探し始めた。

 

 

 

 二人がいなくなり、オレは一人になった。騒がしい奴らがいなくなって、急に静かになったと感じる。

 

 思い返してみれば、こんな賑やかなお出かけは初めてだ。

 

 今までオレは一人でいることが多かった。寂しさを感じなかった訳ではないが、家族以外と親しくなるような機会もなく、そのままずるずると過ごしてきた。

 

 出会いの数自体は結構あったはずだ。以前は数多くのバイトを掛け持ちして、多くの時間働いていた。

 

 そこで多くの人と関わってきたはずだが、関係性が深まった相手は殆どいない。

 

 やがてオレは全てのバイトを辞め、人と関わる機会が大きく減ったはずだった。

 

 ……でも、不思議なことに最近になって、オレの周りに人が増えてきた。それに、オレ自身も他人を気にするようになってきた。

 

 爆炎や漆黒残虐にリベンジしたいし、姉崎さん達とはもっと仲良くなりたいし、有栖川さんにはもっと認めて貰いたい。……ちょっと前まではこんなこと、考えもしなかったな。

 

「おーい、雨宮君。あのカード、見つかっ……」

「雨宮、例のカードが見つかったぜ!」

 

 姉崎さんと、爆炎がカードを見つけたのは同時だった。

 

「爆炎君もみつけたの? ……何を見つけたのかな?」

「もちろん雨宮のデッキに必要なカードだぜ」

 

 姉崎さんの問いに、爆炎が胸を張って答える。

 

 ……ただし、ドヤ顔でだ。

 

 自信満々な様子の爆炎のもとへ、オレと姉崎さんは進んでいく。

 

「見よ、このカードを!」

 

 爆炎が指差すカードを見て、オレ達は思わずため息を漏らす。

 

 

 爆裂死神

 コスト8 パワー1000  火 死神 激突

 

 ①召喚時このカード以外の自分フィールド上の死神全てのパワーを2000アップさせる

 ②お互いの墓地の死神7枚につきこのカード召喚に必要なコストは1少なくなる

 ③このモンスターが場にある限り、相手の被ダメージ軽減は無効化される

 

 

「……何かな、このカードは」

 

 呆れた表情の姉崎さんが、カードの効果を見ながら呟く。

 

「このカードがあれば雨宮のデッキが更に強くなるぜ」

「……いや、ならねぇよ!」

 

 オレは思わず突っ込んでしまう。爆炎は、一体何を言っているんだ!?

 

「え、なんでだよ? 除去もできて、しかも死神との相性も抜群。そして上手くいけばパワーがたくさん増える。こんなカードが弱い訳ないだろ」

 

 爆炎がオレの反応を見て、不思議そうに言う。

 

「……まあいいや。組み合わせ次第では使えるかも知れないし念のため購入してみるか。値段は……」

 

 オレは爆炎が指差したカードを値段を確認する。

 

 ……100万!?

 

「こんなカード100万払って買えるか!」

 

 なんでこんなカードが高級品扱いなんだ。確かにキラキラしているけれど。

 

「ああ、値段を見るのを忘れてたぜ。確かにこの価格じゃ買えないよな」

「値段以前の問題だよ!」

 

 爆炎の言葉に姉崎さんが激しく突っ込む。

 

 ……なんだか、爆炎と一緒にいると騒がしくなってしまう気がする。

 

 でも、このやり取りは嫌いじゃないなと思うオレもいた。

 

 

 

「はぁ。気を取り直して。……あったよ、雨宮君。例のカードが」

 

 今度は姉崎さんの案内のもと、カードが置いてある場所へと足を運ぶ。

 

「……どうかな?」

 

 姉崎さんはカードを見せながら、こちらに問いかけてくる。

 

 オレはそのカードを確認して……驚いた。

 

「……すごい、これだよ、これだよ、オレが求めていたのは!」

 

 そのカードは、まさにオレが必要としているカードだった。

 

「ただ、ちょっと価格がなぁ……」

 

 だが、そのカードの値段を見てオレは落ち込んでしまう。50万円だ。しかも、このカードは2枚欲しいから合計100万円だ。……気軽に払える額ではない。

 

「でも、やっぱりこのカードが欲しいな」

 

 オレはそのカードをジッと見つめる。……このカードがあれば、もっと強くなれるのに。

 

「……だけど、金がない」

 

 オレは悲しい事実に直面する。

 

「……なんか、ごめんね?」

 

 姉崎さんが悪い訳ではないのに、なぜか謝る。

 

「ああ、気にすることはないぞ姉崎さん。オレが買えないだけだし」

 

「……なにか、埋め合わせが出来ればいいんだけれど」

 

 姉崎さんは申し訳無さそうにしながら、なにか出来ないか考えてくれている。

 

「……あっ、そうだ!」

 

 どうやら、なにか思いついたらしい。

 

「……二人とも、私のバイト先で一緒に働いてみない?」

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