ホビアニ風世界の死神ギフトデッキ使い   作:Atlantis

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18話

「あ、雨宮君!」

「久しぶり、姉崎さん」

 

 学校の廊下で雨宮君と出会った。

 

 雨宮君が学校を休むようになってからしばらくたった後、彼はようやく学校に来たようだ。

 

「雨宮君、最近全然学校に来てなかったよね。どうしたの?」

「あ、ああ。色々あってな」「色々?」

「ま、まあ。色々と」

 

 何故か雨宮君ははぐらかすような言い方をした。……さっきから微妙に私と目を合っていないように思える。

 

「……もしかして、後ろめたいことでもやっていたの?」

「う、後ろめたいこと?」

「例えば、後ろめたいお金稼ぎとか」

「……な!?」

 

 雨宮君の肩がビクッと震え、明らかに動揺しだす。……あれ、この反応はビンゴってこと?

 

「雨宮君……?まさか本当に……?」

 

 雨宮君に、闇バイトの疑い

が浮上した。

 

 ……闇バイトは、ダメだよ。自分自身の経歴に傷がついちゃうし、社会にも迷惑がかかってしまう。そして、何よりも家族を悲しませてしまう。

 

「闇バイト、ダメ絶対!」

「……闇バイト?」

 

 雨宮君はキョトンとした顔をする。

 

「オレは闇バイトなんてしてないけど」

「……そっか」

 

 うん、そうだよね。さすがに雨宮君が闇バイトをしているなんてことはないか。

 

 ……でも、それだと後ろめたいお金稼ぎという言葉に動揺していた理由が分からない。

 

 ……あ、そうか! もしかしたら……

 

「……もしかして、ASMRを販売してた?」

「えっ?」

 

 雨宮君は、再び動揺した。……やっぱり、そうなんだ。

 

「な、何故それを知っている!?」

「お姉ちゃんが聞いてるのを見て、もしかしたらって思ったんだ」

「……うっ!」

 

 雨宮君が、一瞬押し黙る。……どうやら、図星のよう。

 

「や、闇バイトじゃなかったんだね」

「……ああ」

「じゃあ、良かった」

 

 私の杞憂だったみたいで良かった。……でも、なんでASMRなんだろうか?

 

「誰にも言わないでくれよ」

「うん、分かったよ」

「そうか、助かる」

 

 どうやらばらされたく無いようなので、雨宮君がASMRのセールスをしていたことを話さない事に決めた。

 

「それじゃ、放課後道場で」

「あ、その事なんだが、道場は辞めることにするぜ」

「……えっ!」

 

 雨宮君の口から衝撃の事実が伝えられた。

 

 ……雨宮君が、道場を辞める!?

 

「な、なんで!?」

「今の事業が好調でな。しばらくはそっちに専念する。……だから、もう放課後は道場に行けない」

 

 雨宮君から伝えられた衝撃の事実に、思わず絶句してしまう。

 

「雨宮君、強くなりたいんじゃないの?」

「うーん、いまはいいかな。今は事業の拡大の方が大切だ」

 

 雨宮君は、カードゲームへの熱意を忘れたかのような表情で道場を辞めて事業に専念することを告げた。

 

 ……本当に、それでいいの?  あんなに夢中になっていたのに。そもそも……

 

「事業ってASMRの事? それっておかしいよ。アリスちゃんになるのをあんなにもためらっていた雨宮君が、そんなことをするなんて」

 

 私は、疑問に思ったことを雨宮君にそのまま伝えた。こんなの、おかしすぎるよ。

 

「こっちにも都合ってもんがあるんだ」

「都合ってなんなの?」

「なんだっていいだろ。あまり踏み込まないでくれ。それじゃあな」

 

 雨宮君は、私の問いかけに露骨に顔を背けた。……まるで、触れられたくないと言わんばかりに。

 

 踏み込まないでくれ、ねぇ。残念だけど、それは出来ないよ。だって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いったい、雨宮君はどうしたんだろう? 

 

 雨宮君が好んでASMRをやるような人だとは思えない。特に、カードよりも優先してそんなことををやるような人じゃない。

 

「どうしてもお金が欲しかったのかなぁ?」

 

 私は1つの仮説を考えた。

 

 ……雨宮君は、何かお金に困っていて、そのためには手段を選ばなかったのかもしれない。

 

 でも、いったいどんな事情でお金に困っているんだろう? カードを買うためだろうか。でも、それにしてはカードに対する熱量が少ない。

 

 ……分からない。でも、もしかしたら有栖川さんならなにか知っているかも知れない。早速彼女と会うために道場へ向かう。

 

 

 

「有栖川さん」

「あら、何かしら姉崎さん」

 

 私は、道場で有栖川さんに話しかけ、直球に雨宮君のことを聞いてみる。

 

「雨宮君が突然道場を辞めて事業に専念するって言ったんだけど……

何か知っている?」

「……なるほど、そう動いたのですね。面白いですわ」

「?」

 

 まるで、黒幕であるかのような態度で有栖川さんは頷いた。

 

「有栖川さん、雨宮君が道場を辞めたのは、もしかして……」

「野暮な詮索は望ましくありませんわ」

 

 有栖川さんは私の質問を突っぱねる。

 

「わたくしが言ってもよいことは1つだけです」

「1つ?」

「……雨宮君はもう、以前のようにカードに力を入れることは無いということですわ」

 

 有栖川さんは、単刀直入に雨宮君がカードから離れる事を私に告げた。

 

「なんで?」

 

 私は思わず有栖川さんに理由を尋ねる。……だって、おかしいよ。

 

「雨宮君は、あんなにもカードゲームが好きだったのに」

「……そうですわね」

「何か知っているなら教えて!」

 

 私は、有栖川さんに詰め寄る。すると、有栖川さんはため息を吐いてから口を開いた。

 

「……人が隠している事をべらべら喋るほと私は野暮ではありませんわ」

「でも」

 

 私は食い下がろうと試みる。

 

「……残念ですけど、それ相応の理由があって辞めたのでしょうし、人の事情を根掘り葉掘り聞くのはあまりよくない事ですわよ?」

 

 そんな私の考えを見抜いたのか、有栖川さんは私に釘を指すように告げた。……確かにそうだ。

 

 でも、私は諦めきれない。

 

「それでも! わたしは納得できない。カードバトルだよ!」

「……カードバトルなら仕方ありませんわね。あなたが勝ったら雨宮君のことをお教えいたしましょう。ですが、私が勝ったらこの事は忘れてもらいますわ」

「上等だよ。さあ、バトルしよう!」

 

 こうして、私と有栖川さんはカードバトルをする事になった。

 

 

 

 

 

 

 

「あなたに勝って、雨宮君について教えてもらうからね」

「残念ですけれど、それは不可能ですわ」

 

 有栖川さんは、自分が勝利するとばかりに告げる。……いったいどうしてそんなに自信を持っているのだろうか?

 

「可能じゃないよ。有栖川さんには今まで何度か勝利してきたからね。だから、今回も勝つ!」

 

 そう、既に私は有栖川さんに勝利している。なかなかの強敵だったけれど、コンボを上手く決めて彼女に勝つことができた。勝てない相手ではないはずだ。

 

 ……しかし、彼女は首を横に振る。

 

「いいえ、不可能ですわ。……今から私が使うのは私の本当のデッキですから。道場で使っている指導用のものとは比べものにならない

強さのデッキです」

 

 有栖川さんは、そんなことを言った。

 

 ……今まで使ってたのは、指導用に作られたデッキ? 彼女はは道場で本気を出していなかったってこと?

 

「さあ、いきますわよ。私のターンドロー」

 

 有栖川さんは、強い意志を秘めた表情でカードを引いた。

 

 ……有栖川さんの本気のデッキを見るのは初めてだ。彼女がどれほどの強さなのかは知らない。いったいどんなカードを使うのだろうか?

 

「エネを1チャージ。そして1コストで『エレガント・ストーン』を召喚。ターンエンドですわ」

 

 

エレガント・ストーン

コスト1 パワー1000 地 鉱物 被ダメージー3000

 

①エネゾーンに地属性のカードがある時のみ召喚可能

②召喚時、味方モンスター1体に2000ダメージを与える

③このモンスターがダメージを無効化した時、山札から1枚引く。この効果は1ターンに2回まで発動できる。

 

 

 有栖川さんが出してきたのは、パワー1000のモンスター。けっこう硬いけれど、そこまで脅威になるモンスターではない。

 

「私の番だよ。エネを2枚チャージしてターンエンド」

 

 今後のためにエネをチャージ。これで、最大エネはこちらが上回った。

 

 

有栖川さん

ライフ20000

手札0 

エネ1

 

エレガント・ストーン

パワー1000 被ダメージー3000

 

 

ライフ20000

手札0

エネ2

 

 

 私がターンを終えると、有栖川さんが口を開いた。

 

「どうして雨宮君の事をそんなに気にするんですの? あなたとは他人でしょう?」

「確かに他人だけど……それでも気になるの!」

 

 彼女の問いに対してそう告げる。

 

「……頼まれもしてないのに人の事情に首を突っ込もうとする。……とんだお節介焼きですわね」

 

 有栖川さんは、呆れたような顔で私を見つめる。……確かにそうかも知れないけれど。

 

「まあ、いいですわ。私のターン。1エネチャージして、2コストで『土の精霊』を召喚しますわ」

 

 

 土の精霊

 コスト2 パワー2000 地 精霊 被ダメージー2000

 

 エネゾーンのカードがすべて地属性のカードである時のみ召喚可能。

 このモンスターが場にいる限り自分フィールド上のモンスターは相手からのスペルの効果を受けず、相手モンスターの効果で破壊されない。

 

 

「このモンスターが場にいる限り私のモンスター全ては魔法への耐性を得ますわ。並みのスペル使いならこれで封殺できるのですけど……今のあなたはどうなのかしらね」

 

 有栖川さんが、そんな挑発をしてくる。

 

「エレガント・ストーンで直接

攻撃。ターンエンドですわ」

 

ライフ20000→19000

 

 

 なるほど、魔法無効化か。確かに厄介な効果だね。……でも、対抗できない訳じゃない。

 

「私のターンドロー。1枚エネにチャージして、3コストでオブジェクト『魔力の霧』発動」

 

 

 魔力の霧

 コスト3 オブジェクト 水

 

 ①自身がスペルを発動する度相手モンスター1体のパワーをー500する。使用したスペルの元々のコストが3以上の場合パワーをー500するかわりにー1000する

 

 ②合計5000以上①の効果で相手モンスターのパワーを減少させている時にこの効果を発動できる。自身のスペル発動回数以下のコストを持つ相手モンスターを指定して、『このモンスターは次のターン攻撃できない』を付与する。この効果はこの試合中1回だけ発動できる。

 

 ③このオブジェクトを設置したとき、自身が後攻ならデッキから1枚カードを引く

 

 

「なるほど。場に残り続ける置物であるオブジェクトの効果なら魔法耐性の影響を受けませんわね。簡単には勝てなさそうですわ」

「それだけじゃないよ。③の効果で1枚ドロー。……来た! 私は0コストで『マジックゴーレム精製』を発動するよ」

 

 

 マジックゴーレム精製

 コスト4 スペル 光

 

 ①『マジックゴーレム』をデッキ外から1体特殊召喚し、山札の上から1枚引く

 ②以前の自分ターンにモンスターを通常召喚していなければ、このスペル発動に必要なコストは3少なくなる

 ③自身が後攻の時、このスペル発動に必要なコストは1少なくなる

 

 マジックゴーレム

 コスト4 パワー3000 地 鉱物 ガード 被ダメージー1000

 

 このモンスターは相手に直接攻撃出来ない 

 

 

「山札から1枚ドローして、『マジックゴーレム』を召喚」

 

「さらに、魔力の霧の効果発動。本来のコストが3以上のスペルを発動したから土の精霊のパワーをー1000する。これはダメージではないので被ダメージ軽減を無視するよ」

 

 土の精霊

 パワー2000→1000

 

 

 これで、厄介なスペル無効付与を持つ土の精霊のパワーは残り1000。次に3コスト以上のスペルを発動すれば倒せるね。

 

 

 

 

 私

 ライフ19000

 手札1

 エネ3

 スペル発動数1

 

 魔力の霧 

 マジックゴーレム  

 パワー3000 被ダメージー1000

 

 有栖川さん 

 ライフ20000

 手札0

 エネ2

 

 エレガント・ストーン

パワー1000 被ダメージー3000

 土の精霊

 パワー1000 被ダメージー2000

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