ホビアニ風世界の死神ギフトデッキ使い   作:Atlantis

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殲滅のゴールデンゴーレム

「早速特訓ですわ! わたくしの旦那に相応しいカード使いになって下さいませ」

「ああ、勝負だハニー。……なんか小っ恥ずかしい。……勝負だ有栖川さん!」

 

 あの後、さっそく有栖川さんに指導してもらえることになった。

 

 有栖川さんは良家のお嬢様。つまり、英才教育を受けて育っているはずだ。カードゲームに関する知識や経験は豊富にあるだろう。

 

 そんな彼女に鍛えてもらえるならば、きっと、俺は強くなれるはずだ。それも、漆黒と渡り合える

ほどに。

 

「わたくしの番ですわ。2枚のカードをエネルギーへ」

 

 有栖川さんの初ターンは、様子見の2エネチャージ。有栖川さんは序盤から積極的に攻めていかないスタイルのようだ。

 

 ……ならば、今の内にモンスターを並べていこう。

 

 

「わたくしは1枚のカードをエネルギーへ。ターン終了ですわ」

 

 次のターン、有栖川さんはこちらの場にモンスターがいるのにも関わらず、エネルギーの加速のみを行い、盤面を放置する。

 

「……召喚! そして攻撃!」

 

 有栖川さんが何もしてこない内に、こちらは盤面を整えつつ相手のライフを削っていく。

 

有栖川 20000→16000

 

 

 この調子ならば、有栖川さんを倒せる。……そう思っていたのだが。

 

 

「……準備が整いましたわ。ここからが本番ですの」

 

 不利な状況であるのにも関わらず、有栖川さんは不敵に笑った。……まるでこの状況が予想通りであるかのように。

 

「ドロー! ……ふふふっ、それではいきますわよ」

 

 不敵な笑みを浮かべ、目を見開く有栖川さん。……ここから何かがあるというのか。

 

「エネルギーを2枚置き、4コストでゴールデンゴーレムを召喚ですわ」

 

 ……このタイミングで大型モンスターを召喚してきた。しかも4コストのモンスターとは……。

 

 ……だけどまあいい。出たばかりでこのターンは攻撃出来ないし、場のモンスターの数ではこちらが圧勝している。ライフだってこっちの方が上。ここは攻めていく時だ! そのまま有栖川さんのライフを削りにいこう。

 

「モンスターを召喚! 更にモンスターで攻撃」

 

 

有栖川 16000→9000

 

 

 これで、大分追い詰めた。オレの勝ちは目前だ!  ……そう思っていたのだが。

 

「わたくしのターン。4コストでスペル『尽きぬ闘争心』を発動ですわ」

 

 

尽きぬ闘争心 4コスト スペル

モンスター1体を指定し、「モンスタへの攻撃後再行動」を付与する。

 

 

 劣勢の状況で有栖川さんが出してきたカードは、モンスターを対象した再行動効果のカードだった。

 

 ……このタイミングでこれを出すのか?

 

「対象は勿論ゴールデンゴーレムですわ。早速モンスターを攻撃!」

 

 

 ゴーレムの攻撃により場のモンスターが倒される。……だが、全然余裕だ。攻撃したということは、つまり、反撃ダメージを食らうということ。

 

 モンスター同士のバトルは、お互いのカードのパワーを比較して

、より高い方が相手のカードを破壊出来る。……だが、勝利したモンスターのパワーは、破壊されるモンスターのパワー分マイナスされる。

 

 つまり、ゴーレムのパワーはバトルするほどどんどんと弱っていくはず。……そのはずだ。

 

「モンスターを攻撃、破壊。モンスターを攻撃、破壊。モンスターを攻撃、破壊……全滅ですわ~」

 

 ゴーレムのパワーが弱まることは無く、逆にどんどんと強くなっていく。……そんな馬鹿な! オレが混乱している間に、ゴーレムはオレの場のモンスターを全て倒し切ってしまった。

 

 

「ゴールデンゴーレムは、与えるダメージと受けるダメージを-3000する効果がありますの。つまり、あなたの場の低パワーのモンスターからはほとんどダメージを食らわない……ということになりますわね。更に、攻撃する度パワー+2000しますので、どんどんとパワーが上がっていきますわ」

「そんな……」

 

 このタイミングで、そんな強力なコンボを決めてくるとは……。

 

 だけど、まだだ。オレだってまだ諦めてはいない!  こっからだって

勝てるはず……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴールデンゴーレムでトドメですわ」

 

 

 

 雨宮  5000→0

 

 ……オレの儚い希望は、粉々に打ち砕かれた。

 

「伸びしろが沢山おありですのね。これからに期待、と言ったところでしょうか」

 

 有栖川さんは笑顔でそう言う。……ああくそっ、まただ。手も足も出なかった。

 

 弱い相手ならいくらでも勝てるのに。強敵を相手にした瞬間、オレの力が全く通用しなくなってしまう。

 

 ……強者は弱者を蹂躙する。確かに自然の摂理だ。くそっ、理不尽に抗うことはできないのかっ、俺は!

 

 思わず、歯を噛み締める。……少し、強く噛み過ぎてしまったようだ。口から血が滴り落ちてしまった。

 

「このままのオレじゃいけないっ、強くならないと。本当に存在価値が無くなってしまうっ……!」

 

 思わずオレは、そう口走ってしまう。

 

「有栖川さん、オレが強くなる方法を教えてくれっ!」 

 

 思わず、有栖川さんの両肩を強く掴んでしまう。……だが、ここで躊躇してはいけない。

 

 このままでいれば、オレは本当に弱者のままになってしまう。それだけは避けなければならない!

 

 ……そう思っていた時だった。

 

「……今のあなたには、強い焦りが感じられますわ」

 

 有栖川さんが、真剣な眼差しでオレの目を見てきた。……まるで全てを見透かされているかのような錯覚に陥いる。

 

「うーん、そうですわね……」

 

 有栖川さんは少し考え込んだ後に、再び口を開いた。

 

「……まずは頭を冷やすところからですわ。今日のところは帰って頭をお冷やしなさい」

「……え?」

 

 ……思わず、間の抜けた声を出してしまう。

 

「おい、フィードバックをしてくれるんじゃないのかよ!」

 

 思わず、有栖川さんに対して怒鳴ってしまった。……だが、彼女は一切動じない。

 

「今のあなたじゃお話になりませんの。まずはその焦りを何とかしてからいらして下さいませ」

 

 そしてそのまま、オレから背を向けて歩き出してしまった。

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