ハイスクール・フリート Cross World War   作:冬吉

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第13話 きりしま艦内

分厚い鉄の水密扉を抜け、案内役の女性下士官に連れられて護衛艦「きりしま」の奥へと足を踏み入れた三人は、その艦内の様子に目を丸くした。

 

「わぁ……すっごく明るい!」

**明乃(ミケ)**が、通路の天井を見上げて感嘆の声を漏らす。

 

「晴風」の艦内は、古い白熱球や蛍光灯のやや薄暗い光が基本だが、「きりしま」の通路は隅々まで真っ白なLED照明で照らされており、チリ一つ落ちていないほど清掃が行き届いていた。

 

そして、明乃の視線の先――明るい天井には、色分けされた無数の配管や太いケーブル、バルブが、所狭しと剥き出しのまま這い回っていた。

 

「……配管や配線が全て剥き出しになっているのか」

副長の**ましろ(シロ)**が、その複雑な天井の構造を鋭い観察眼で見つめる。

「内装で隠さないのは、戦闘で被弾した際の被害箇所を瞬時に特定し、応急修理(ダメージコントロール)を迅速に行うため……。時代や形は違えど、軍艦としての根本的な設計思想は我々の航洋艦と同じということか」

 

「ふん。ドイツのシュペーも配管は剥き出しじゃが、こっちの方がずっと複雑でシステマチックじゃな。……まあ、少しだけ褒めてやってもええぞ」

**ミーナ**が腕を組みながら、負けじと強がってみせる。

 

すれ違う青と灰色のデジタル迷彩服を着た乗組員たちは、礼儀正しく通路の端に寄り、セーラー服の少女たちに道を譲って敬礼をしていく。その統率の取れた動きと、一切の私語がない張り詰めた空気に、明乃たちも自然と口数を減らし、背筋を伸ばして歩いた。

 

やがて、艦橋の直下あたりに位置する区画に到着した。

木目調の装飾が施された、他の水密扉よりも少しだけ格式高そうなドアの前で、案内役の女性下士官がピタリと足を止める。ドアの上部には『士官室』と書かれたプレートが掲げられていた。

 

女性下士官は姿勢を正すと、ドアを力強く、歯切れよく三回ノックした。

 

*コン、コン、コン。*

 

「――艦長。案内係の高橋2曹です」

 

女性下士官――高橋2等海曹は、ドア越しにハッキリとした通る声で自身の名前と階級を名乗った。

 

「横須賀女子海洋学校、航洋艦『晴風』の岬艦長以下、3名をお連れいたしました」

 

少しの間の後、分厚いドアの向こう側から、低く落ち着いた男性の声が響いた。

 

『ご苦労。……入ってもらえ』

 

「はい!」

 

高橋2曹がドアノブを回し、重厚な扉をゆっくりと押し開ける。

 

「皆様、どうぞ中へ」

高橋2曹に促され、明乃は一つ深呼吸をした。

ましろとミーナも、両脇で一つ頷き合う。

 

「失礼します!」

 

明乃を先頭に、三人の少女たちは「きりしま」の士官室へと足を踏み入れた。

そこには、日本の海の防衛を担う1等海佐――「きりしま」艦長・佐伯健二郎が、彼女たちを静かに待ち受けていた。

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