【青学三次】それいけ!青資秘密学園!   作:土井中32

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逆に考えるんだ、モブがネームド並みに活躍する世界があってもいいと!

…なんでこいつだけで4話も書いちゃったんだろう?
時系列が一気に飛んで最終編のお話です。




突撃!隣の箱舟!!

 

 

――キヴォトス上空、7万5000メートル。

そこでキヴォトスの、いや、世界の命運をかけた戦いが起きていた。

 

 

突如キヴォトスに到来した外なる存在、『色彩』。

空を赤く染め上げ、キヴォトス全てを「恐怖」で満たそうとするそれに対抗するため、「先生」を中心とするキヴォトス学園連合は応戦。

しかしキヴォトス最大勢力と言っていい青資秘密学園は色彩側からも脅威対象としてマークされており、大幅なリソースを投入しての封じ込めにより孤立。

それでも色彩の存在を以前から認識し準備していた彼女らは当然この状況を想定しており、あらゆる方法でキヴォトス中に隠していた戦力、物資、情報を以て学園連合を支援。が、それを以てしても辛うじて五分という状況にあった。

そんな中、青学よりもたらされた情報により色彩側の指揮官である「色彩の嚮導者」がキヴォトスの上空7万5000メートルにある「アトラ・ハシースの箱舟」にいることが判明。

青学がカイザーコーポレーションを利用する形でアビドス学園自治区内で発掘させていた宇宙戦艦、「ウトナピシュティムの本船」を用いての敵本陣強襲作戦が立案され、発動。

 

…が、アトラ・ハシースの箱舟目前まで来たところで、作戦は暗礁に乗り上げつつあった。

アトラ・ハシースの箱舟の防衛機構である「多次元バリア」…多次元解釈制御技術による物理的な接触の一切を無効化する最強の盾、それを破れるのは対アトラ・ハシースの箱舟として同じ多次元解釈システムを搭載し建造されたウトナピシュティムの本船のみ。

しかしバリアを破るための計算は人間が関わる必要があるため、すぐに算出できるわけではない。

そのタイムラグを突いて、色彩の嚮導者は接触寸前で多次元バリアの設定値を変えてきたのだ。

再計算が間に合わない以上このまま衝突してもバリアは破れず、良くてすり抜けるか、最悪の場合は別次元に放り出されてバラバラになる。

しかも、色彩側はさらなる一手を打ってきた。

 

「アトラ・ハシースの箱舟周辺に多数の熱源、これは、ドローン!?」

「マズい、このままでは袋叩きに合う!!」

 

黒い雲のように見えるほどの濃さで密集する、飛行ドローンの群れ。

1機1機は大したことはなくとも、あれだけの数が一斉に攻撃してくればその総火力は馬鹿にできない。

しかも、ウトナピシュティムの本船はその構造のほとんどが多次元解釈システム用の演算装置と推進機関で占められている。ドローンの攻撃から身を守る方法は、無い、に等しい。

 

強襲部隊の心に、暗い影が差しかけた、その時。

 

 

『メビウス1、FOX3』

『FOX3、FOX3!!』

 

 

ウトナピシュティムの本船を追い越した光の矢がドローン群に突っ込み、爆発。

巨大な光と衝撃を撒き散らした。

 

「ミサイル!?誰が、どこから!?」

「こ、後方より接近する物体、数4!」

 

その言葉が艦橋に響くより速く。

4つの黒い烏が、ウトナピシュティムの本船を追い抜いた。

 

『やあ先生、どうやらパーティーには間に合ったようだ』

『こちら青資秘密学園航空部臨時編成小隊、コールサインメビウス。これより援護する、あのカトンボどもはこっちに任せな!』

「青学航空部!?」

「動ける連中がいたのか!だがあんな機体は初めて見るぞ!?」

「青学が固定翼機を持ってるのは知っていたけど、こんな高高度で運用できる戦闘機を保有していたの…!?」

 

SRー71、ブラックバード。

本来は高高度超音速偵察機であるそれを、高高度局地戦闘機に改造したもの。

聖典の中でも有数の不確定要素の多いこの瞬間、イレギュラーが起きた場合に備えて青学が用意した護衛機であった。

 

『全機、コールサインに恥じない働きを見せろ』

『LSWM、撃ち尽くせ!』

『了解。FOX3!』

 

次々と撃ち放たれた大型ミサイルがドローン群に向かっていく。

もちろんドローンもただ浮いていたわけではなく、ミサイルに対し迎撃行動を開始した。

 

が、その判断は遅きに徹する。

撃ち落されたミサイルが巨大な火球となり、さらに広範囲へと衝撃をまき散らす。

もっと大型で頑丈な航空機であれば耐えられたかもしれないが、所詮は使い捨て前提の兵器だ。そこまでの頑丈さはない。

衝撃で吹き散らされ、大半のドローンが高度を維持できず墜落していく。

残った僅かなドローンもブラックバードが的確に機関砲で落としていき、先ほどまでの雲のごとき密度は見る影もない。

どこからともなく追加のドローンが出現し始めていたが、青学航空隊の援護でウトナピシュティムの本船進路上のドローンは一掃されていた。

 

「道は開かれました、このまま突っ込みます!」

「ですがリン艦長、多次元バリアの攻略がまだ…」

 

 

第一の問題はクリアされた。

しかし第二の問題、多次元バリアを攻略できねば、いずれは盛り返したドローン群の前に沈められるだろう。

 

『クッソ、旋回半径大きすぎだろ!というか操縦難しすぎ!?』

『当たり前だ!元は超音速偵察用の直線番長だぞ!?』

『そもそもラプターより前の旧式だしな。インターフェイスが洗練されてないのは仕方がない』

『各機、撃ち漏らしは無理に追うな。速度優位を維持しろ。

1アプローチに集中し確実に落せ。

先生、我々もいつまで戦えるか分からん、突入を急いでくれ』

 

青学航空隊もずっと戦えるわけではない、時間的な猶予はそれほど残されていなかった。

 

…この状況を打開する方法は、たった一つだけ残されている。

天童アリスの持つ、「プロトコルATRAHASIS」の使用。

アトラ・ハシースの箱舟の本来のマスターは天童アリスであり、彼女がその意思を以て介入すれば、色彩側が運用するコピーへの干渉は容易だからだ。

…今、彼女がいる場所がウトナピシュティムの本船でなければ。

忘れてはならない、ウトナピシュティムの本船は対アトラ・ハシースの箱舟として建造されたのだ。それはつまり箱舟のマスターである天童アリスと戦う切り札として作られたことと同義である。

そんな場所で彼女の本来の機能など発揮すれば、間違いなくあらゆる方法で本船は彼女の排除にかかるだろう。

 

「アリスは勇者です!勇者とは勇気をもって踏み出すもの、だからアリスは恐れません!必ずこの手でみんなの未来を掴みます!!」

 

しかし、彼女の身を案じる仲間たち全員を説き伏せたアリスは危険を承知で「プロトコルATRAHASIS」の使用を決断。

ウトナピシュティムの本船をリソースとし、多次元バリアを打ち破れる「主砲」を作り――

 

 

 

『その未来への水先案内人、この青学ロボ部部長が引き受けたァッ!!』

 

 

 

――出そうとした瞬間、ウトナピシュティムの横を、閃光が駆け抜けた。

 

「何今の!?」

「光?いや違う、あれは…!!」

 

それは、人型をしていた。

装甲は丸みを帯び、まるで虫が人型を象ったかのよう。

しかし背中から生えた薄い翅の羽ばたきと共にジェットエンジンのような火を吐き出し、それはアトラ・ハシースの箱舟に突っ込んでいく。

 

それを知っているのは、「あの戦争」を知っているごく一部のみ。

だからこそ、先生含む大多数が判断に迷う中、彼女たちは迷うことなく指示を飛ばし、それに従った。

 

「全速前進!アレの後ろにつけ!!」

「リン艦長!?」

「アレは必ず多次元バリアを破ります!その瞬間を逃さず突入します、急いで!!」

 

有無を言わせない気迫に、全員が押されるように配置に戻っていく。

そんな中、先生だけはリンに近づく。

 

゛リン、あれが何か知っているの?゛

 

「あれは青学が昔、ゲヘナとの戦争時に一度だけ投入した兵器です。電撃侵攻によって押されていた戦局を、たった1機で覆したキヴォトス最強の機動戦力。戦争時に失われた、と聞いていましたが…」

 

゛じゃあ、あれは青学の…゛

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ダン〇インⅡ、未来を切り開く!!」

『ネタセリフ言ってないで早く準備してください!!もう目の前ですよ!?』

 

ダン〇インⅡ、その操縦席。

この最高に極まったシチュエーションに興奮しすぎて目ン玉グルグルさせちゃってるロボキチもといロボ命、ならぬロボ部部長はテンション上限を0.1秒ごとに突破と更新を繰り返しながらも、その操縦だけはいささかも誤ることなく機体を操っていた。

 

アハハハハハハハハハハハハッ!!まさかまさかまさかこんな最ッ高のシチュエーションでロボットを操縦できるなんて!!今この瞬間、世界の命運は俺のこの手にかかっているッ!!こんなロボキチが望んで望んで望み倒してもまず得られない状況、全力で楽しんだ上で成功させなきゃロボキチ魂が廃るッ!!」

『うわぁ…なんかもううわぁ…』

 

まさかの青学AIからすらもドン引かれているということすら彼女にとってはどうでもよく、ロボ部部長は間違いなく今、この瞬間、全力で青春を謳歌していた。

 

「逝くぜ海と大地の間の先ヘェッ!!ミステリーコンバーター、オォッーバァードライヴゥッ!!!」

『どこ逝こうとしてるんですかあなたはァ!?』

 

青学AIからのツッコミもなんのその。

もはやその場の勢いだけで適当なこと叫んでる彼女はしかし、自分のやるべきことは一切間違えてはいなかった。

 

ダン〇インⅡ、その心臓たるミステリーコンバーター。

神秘増幅器が唸りを上げる。

リミッターもなにも取っ払われ、ひたすらに増幅され続けた神秘はついに制御限界を超え、かつての1号機と同じくハイパー化を起こす、はずだった。

 

「キタキタキターーッ!!今度は同じ轍は踏まねェぜ、精神コ○ンド発動!!『集中』!『必中』!!『直撃』!!!『魂』イィィィィィーーッ!!!」

 

制御限界を超えて溢れ出した神秘が、握られた剣へと集中していく。

超高密度の神秘によって光輝きながらも、機体も剣も巨大化はせず。

ただ両手で握った剣を構え、この世界の希望を(勝手に)一身に背負い、それは突撃した。

 

 

『もうやけっぱちですッ!!いけーーッ!!必殺の、ハイパーミステリー突きだアァァァァァァァッ!!』

「貫けよオォォォォォォォォォッ!!!!」

 

 

ダン〇インⅡが構えた剣と”衝突”した多次元バリアは、数秒拮抗した後。

限界を超えて増幅した神秘により具現化した、

 

 

”オーラバ○ラーの剣は、オーラ○リアを破れる。だから多次元バリアも破れる”

 

 

という無茶苦茶な、しかし神秘量のごり押しで現実化してしまったバリア破壊の概念に負け、砕け散り。

 

 

 

『「グエッ」』

 

 

 

直後、ダン〇インⅡは爆炎の中へと消えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「何が起きたのですか!?」

「アトラ・ハシースからの対空砲撃です!青学のロボットに直撃した模様!!」

「こちらが多次元バリアを破った瞬間、最も無防備になる時を狙っていた…!?」

 

遠距離通信で援護するリオとウトナピシュティムに乗り込んでいるヒマリの背中を、冷たいものが流れる。

もしもアリスによる攻撃で多次元バリアを破っていた場合、あの砲撃を受けていたのは自分たちだっただろう。

そしてロクな防御機構がない以上、ウトナピシュティムの本船がその砲撃でどうなっていたかは言うまでもない。

 

『チッ、メビウス3、4。アトラ・ハシースに肉薄し対空砲を潰せ。

先生たちに1発たりとも当てさせるな』

『メビウス3了解』

『4!!』

 

いち早く状況を把握した青学航空隊が対応を始め、対空砲への攻撃が飛ぶ。

 

『ウトナピシュティム、構わずそのまま進め。盾になってでも送り届けてやる』

「感謝します!作戦は予定通り、このままアトラ・ハシースの箱舟に突入します!!」

「全速前進、総員対ショック!!」

 

ウトナピシュティムの本船、その推進機構が唸りを上げて船体を進ませる。

 

゛青学のロボットは!?゛

 

誰もが衝突に備える中、このピンチを覆したロボ部部長を案じて探す先生。

と、船に衝撃が走る。

 

「何?攻撃を受けたの!?」

「違います!前、甲板に何か刺さってる!」

 

その言葉に誰もが前方に目を向ける。

彼女たちの目に映ったのは、先ほど多次元バリアを破った人型ロボットが持っていた、巨大な剣。

それが前部甲板に突き立っていたのだ。

 

゛剣だけ…!?゛

 

ロボットの姿がないことに、先生の背筋を冷たいものが流れる。

 

「先生、あそこ!!」

 

そして生徒の言葉に振り向いた、先生の目に飛び込んできたのは――

 

 

 

 

 

 

『i'll be back』

 

 

 

 

 

 

――握り込んだ右手の親指を立てながら、機体各所から火を噴き、墜落していくダン〇インⅡの姿であった。

 

゛リン…!゛

 

「駄目です先生。ここで救助に動けば彼女の、いいえ無茶を押して駆け付けてくれた青学生全員の、命を賭けた献身が無駄になります!!」

 

゛でも…!゛

 

「大丈夫だよ、先生」

 

゛ナゴミ…!?゛

 

先生として、大人として、危険に晒されている生徒を無視できない。

そんな先生に待ったをかけたのは、その生徒と同じ学園に所属するナゴミであった。

 

「部長が言ってたでしょ、帰ってくるって。あの人は戦争の時も機体ごと自爆特攻して、それでも戻ってきた。

だから今度も大丈夫、必ず帰ってくる。航空部のみんなもそう。

先生、みんなを信じてあげて?」

 

゛…分かった。進路このまま、これよりアトラ・ハシースの箱舟に突入、攻略作戦を開始する!!゛

 

『了解!!』

 

迷いを振り切り、目の前の作戦に集中する先生。

そうして先生の背中を押し、しかしナゴミは不安げにダン〇インⅡが落ちていった方を見るのであった。

 

(…まあ、あれだけ好き放題フラグ立てまくってたんだから、間違いなく生きてるよねぇ…)

 

…心配の内容は、大方の予想とはズレていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナ、ナゴミさん」

「ユズさん?どうかした?」

「さ、さっきのロボットに乗ってた人は…」

「ロボ部部長なら大丈夫だよ。前なんか機体ごと大爆発したのにちょっと焦げた程度で済んでたもん。

今度は脱出装置もあるって話だから問題ないよ」

「そ、そうですか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(大丈夫だよね、ロボっち…)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

○ SR-71 ブラックバード

 

青学が秘密裏にダミー会社をいくつも経由して確保した、青学自治区外の飛行場に秘匿していた高高度迎撃戦闘機。本来は高高度超音速偵察機だが、機関砲と各種ミサイルで武装している。

F-22 ラプターより前に開発された機体で、アトラ・ハシース攻略戦において聖典にないイレギュラーが発生した場合に備え、まともな武装のないウトナピシュティムの本船を援護するために製造された。

高度7万5000メートル、宇宙に両足突っ込んだ超高空での戦闘という無茶なオーダーを達成するためオーパーツがふんだんに使用されており、製造費は外世界のB-2 スピリットに匹敵すると噂されている。

色彩影響下という特殊過ぎる状況下での運用を前提としているためシステムはほぼスタンドアローン化されており、空中管制機とのデータリンク機能すら存在しない。辛うじて無線機がある程度である。

パイロット2名で運用され、前部席が操縦と火器管制を、後部席がレーダー及び航法管制を担当する。

予備含めて4機が製造されたが、この機体で収集されたデータによりラプターでも高高度戦闘が可能となり、単純な戦闘機としてのスペックのほか費用対効果の面からも運用する理由がなくなったため、遠からず解体する予定でモスボール保管されていた。

 

しかし色彩勢力による青学包囲網によってラプターが青学自治区内に閉じ込められてしまったため、ミレニアムスパイやたまたま自治区外に出ていた青学航空部によって引っ張り出され、出撃。ドローンに囲まれたウトナピシュティムの本船を援護した。

最終的に全機喪失(パイロットは全員脱出)したものの目的は達成し、ウトナピシュティムの本船をドローンの攻撃から守り抜いた。

 

…全機喪失の知らせを聞いて、七武生たちは胃を押さえたとか、押さえてないとか。

余談だが、帰還可能だったのに必要もなく「FOX4」をかましたパイロットは粛清(淫)送りとなった。

 

 

○ 青学AI(ロボ部部長付き)

 

ロボ部部長付きの人工知能。ツッコミ担当。スペックは通常の戦闘支援型と変わらないが、主にロボットや各種兵器、乗り物を動かす際の情報支援に特化している。

日頃からロボ部部長の無茶に付き合わされているため、彼女に対しては青学AIでありながらかなり口が悪い。

それでも文句を言いながら彼女と共に危険な作戦に従事しているあたり、やっぱり青学AIである。

 

 






○ 言い訳

ロボ部部長「聖典がそうだったからって、アトラ・ハシースの防衛機構が多次元バリアだけって決めつけるのは早計じゃない?
対空砲が一つでもあれば先生たち終わるよ?」
七武「グゥ」

※尤もらしいことを言っているが、ロボ部部長はただ暴れたいだけである。


なおダン〇インⅡが残した剣(未だ神秘たっぷり)は大いに役立ちました。

アリス「これが真なる勇者の剣です、光になれェェェっ!!」
プレナパテス「」


ダンバ〇ンⅡの設定については次のお話で!

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