「〝ブルー〟アーカイブ」?反動的だな!今すぐ名を改めろ、「〝レッド〟アーカイブ」だ。 作:どうでもいいや
シベリアでの総括と自己批判を終えて帰ってきました。
今後の展開を色々と考えてるうちに原作開始前にする意味がないどころか色々と齟齬が出てくることに気付いた為、原作半年前設定を撤回します。
以前付けていたタグは忘れてくださいませ。
「歩けど歩けど見えるのは一面の廃墟と売り物件のみ、交通整備すらマトモに行き届いていない、なんだここは。個人主義的
『……こんなに荒れ果ててたっけ?何年くらい―――』
「おい、そこの嬢ちゃん、一旦止まりな!」
マルクスは背後からの声に足を止め、後方を振り返る。
「私は『カール・マルクス』だ。―――む?貴様ら……学生で集団行動を取り、そして武装している……なるほどな、貴様らが被っているのはおそらくゲバヘルの一種か」
『……―――いや、彼女たちはただの地域の不良集団、ヘルメット団だよ』
「ゲバヘルだとすると彼女らは学生プロレタリアートの革命戦士だということになるな。私に一体何の用だ?」
『いや違うってば。話聞けよ』
「……何言ってんだ?……まぁいいやその制服、ちょっとヨレてるがアビドス高校のやつだろ?今の時期に編入生かなんかか?……せっかくだし、あたしらがアビドス攻める時の人質になってもらうぜ!!」
問答無用でアサルトライフルを向けられるマルクス、もとい少女『
「ふむ、アビドス高校……?アビドスという名前から察するにエジプト神話を崇める反動勢力が創立した宗教学校の一つか?」
『違ぁう!ごく普通の高校だってば!!』
「まぁいい、どちらにせよその学校はすぐにプロレタリア学校へと生まれ変わる。そのために私自らが学校へと赴き、所属生徒をプロレタリア生徒へとオルグせねばならん。おい、貴様ら、私も同行させろ」
『……はぁ?』
「え、えぇ……?……ま、まぁ、こっち側になってくれるんなら話は早い。ほら、さっさと行くぞ!暴れたら撃つからな?」
「そう急ぐな。あまり急ぐとマツィーニのような急進主義者になってしまうぞ。プロレタリアートの同志があのザマになってしまうのは見ていられん」
『……アビドスに何するつもり?……おい……おい!返事しろってば!!ねぇ!』
《rh》
「で、なんだこの校舎は……?とてもじゃないがブルジョワジーの所有する学園とは思えんな」
『……やっぱり借金完済は出来てないのかな?いや、そもそもあの不審者って約束守った……?……今残っている借金が幾らあるか……少しでも減ってればいいけど……』
「……なに?借金だと?―――なるほど、この学校もブルジョワジーに搾取されているプロレタリアート学園であったか。……だとすればコイツらは一体なんだ?ただの勘違いからなる内ゲバか、それとも―――」
《ズダダダダダダダッ!!!》
「総員!攻撃―――攻撃だ!やつらは既に弾薬の供給源を絶たれている!!」
「……待て、貴様ら。確かに唯物史観に基づけば武力による戦争は社会発展のための原動力だと規定できる、だが矛先を向ける相手を見間違うな。それではただただ意味のない内ゲバ―――」
《ダァンッ!!》
彼女の頭、スレスレの場所を弾丸が通り抜ける。
「ドイッチェイデオロギー!(悲鳴)」
跳び退きざまに謎の悲鳴が飛び出す。
「暴れたら撃つっていったろ?安心しろ、お前はそこにいるだけでいいんだよ。あとでしっかりと開放してやっから」
『肉体からの解放とかだったりしてね』
「寒気がすることを堂々と言うな!魂などと言う抽象的なものは存在しない。思考とは即ち物質が成し得る情報の伝達であり、そこに魂などと言う非科学的、及び反動的な―――」
「うるせぇ!急に饒舌になるな!誰と話してんだ!」
《ズダァン!》
「ダスコミュニスティッチェマニフェストッ!(悲鳴)」
「うへ~、仲間割れ?」
「な、小鳥遊ホシノ!いつからそこに―――」
見れば辺りのヘルメット団の下っ端は全員倒れていた。
「ん、私も居る」
「ま、待て!こいつがどうなってもいいのか!?そっちの学校の編入生だろ!」
手に持ったハンドガンを問答無用でマルクスへと向けるヘルメット団のリーダー格。
「えぇ~、おじさん、みじんも知らないんだけど……」
「でも確かにアビドスの制服着てますね〜☆」
「もうとっ捕まえて本人から聞けばいいんじゃない?」
「───待て、貴様ら全員今すぐに銃を下ろせ。ゲバヘル、貴様もだ。状況が読めん」
「うへ、状況が読めないって……そっちが攻めてきたんでしょ」
「まずはその理由からだ。なぜ貴様らはプロレタリア同士で争っている?もっというならゲバヘルは何故この学校を襲った? 万国の労働者たちは共に協力し、ブルジョワジーを粉砕せねばならん。普仏戦争を思い出せ。フランスとドイツの労働者たちは手を取り合っていたぞ」
「……プロレタリアって何?プラナリア?」
「無産階級者、労働階級者のことですね〜☆逆に、私有財産を所有する富裕市民層のことをブルジョワジーと称したりします!まぁ手を取り合うかは置いておいて、たしかに理由は気になりますね〜」
その言葉に対し、口止めでもされているのか視線を横に逸らし、無言を貫くヘルメット団リーダー。
「その反応……まさか貴様……ブルジョワのスパイか?なるほど、そう考えれば合点がいく。これらは全てブルジョワジーの諸連中が画策したプロレタリアを磨り潰す為の策だったわけか」
「恐らく貴様ら、ゲバヘルに扮したヘルメット団とやらも元々は実際に大革命を成さんとする優秀な革命員だったのだろう」
「そんな彼女らを利用し、用済みになれば容易く切り捨てるつもりだと言うのが見え透いている。労働者の雇用に見せかけた単なる搾取を言葉巧みに言い繕い、さらなる搾取へと繋げんとする、その貪欲さはまさにブルジョワジーの手口そのものだ」
『……』
「いいか、貴様ら!良く聞け!!
「口止めされている時点で自分たちが後ろ暗いことをしている、そしてそれが自分たちが主犯となりやっていることだと世間、或いはこの学校の生徒たちにバレてはマズイという相応の自覚があるのだ」
「内情……少なくとも雇用主が誰なのかという情報を握るヘルメット団員、即ち貴様らを始末しに動く可能性が極めて高い。或いは始末とまではいかずとも、確実に情報を漏らさないように何かしらの処置を施すつもりやもしれん」
「いいか、貴様ら。決してブルジョワジーを信用するな。ブルジョワが労働者階級に金を渡すのはそれが自分たちのさらなる儲け、私有財産の所有へと繋がるからだ。その私有財産の簒奪を恐れないブルジョワジーなど存在しない。だからこそ、ヘルメット団やアビドス生徒……そのような労働者たちを───」
「"金"で縛り」
「"武力"で縛り」
「労働者たちの"
───気付けばアビドス生徒たちも、ヘルメット団員も、そして後ろで静かに聞いていたシャーレの先生すらも、その語りに呑まれかけていた。
マルクスは小さく区切り、息を大きく吸い込む。
そこから放たれる言葉は、今この場において他の誰よりも強い影響力を持っていた。
───万国の労働者よ、団結せよ!!
-Proletarier aller Länder vereinigt Euch!-