新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
G.C.2021年5月30日 日曜日。
ゴッデスファイト決勝トーナメント。
ネプギア達はアンデッド化したノワールと激戦を繰り広げていた。
他の仲間は既にノワールとシェアブレードの圧倒的な力によって戦闘不能かそれに近い状態で戦線離脱して、残るはシスティーナ女神達のみだ。
「……その剣で早く、殺して……」
ノワールが呟きながら前衛のネプギアに攻撃をしてくる。
アイギスの盾でノワールの攻撃を受け止めるネプギア。
「つ、強い……お姉ちゃんは一人でこんな強い人と互角以上に戦ってたなんて」
苦しそうな表情を浮かべるネプギア。
彼女は改めて姉のネプテューヌの偉大さを認識していた。
ネプギアは仲間達の援護を受けつつ、ようやくノワールと互角に戦えていた。
「……その剣で早く、殺して……」
ノワールが呟きながら連続で打ち込みをしてくる。
(それに何て悲しい剣なの……一撃一撃にノワールの深い悲しみと絶望が伝わって来る……お姉ちゃんはこれに耐えてノワールさんを……)
ネプギアはそう思うと、先程の心も体もボロボロになって血の涙を流しているネプテューヌの姿を思い出す。
(私はお姉ちゃんを守るって約束した! だからノワールさんを助けないと!!)
ネプギアはそう思うと、ゲハバーンでノワールのシェアブレードを弾き一旦距離を取る。
「……その剣で早く、殺して……」
「諦めないで、ノワールさん! 必ず助けますから!!」
ノワールの呟きに必死に呼びかけるネプギア。
再びノワールが接近してゲハバーンとシェアブレードとの打ち合いになる。
(お願い。ギアシステム……ノワールさんを救う未来を見せて)
打ち合いの最中にネプギアはギアシステムに祈るように呼び掛ける。
ギアシステムの見せる未来の大半はノワールをゲハバーンで殺す未来を見せるが、ネプギアはその中でノワールを救い助ける未来を必死に探す。
一撃ごとに無数の予測から、自分が倒されない未来、ノワールを殺さない未来を慎重かつ素早く選ぶネプギア。
「くっ……選択が……未来が狭まって行く……」
苦しそうな声を上げるネプギア。
彼女の言う通り、ギアシステムの見せる未来が少なくなっている上に、その大半がネプギアかノワールの死を見せていた。
「このままじゃ……!? 諦めちゃダメ! 絶対に絶対にノワールさんを助けなきゃ!!」
ネプギアは自分がダメージ受け、ノワールを殺さない未来を選びつつも必死に抵抗する。
二割三割とじわじわとネプギアのHPゲージが減って行く、ロムも回復してくれるがそれでもHPゲージが減って行く。
同時にネプギアの危機に防衛機能が働いたギアシステムが狂ったように、何度もノワールを殺すよう指示してくる。
(くうっ! ダメダメ! お願い、静まって、ギアシステム!!)
必死に祈るネプギア。
その時、ネプギアの持つゲハバーンとノワール持つシェアブレードが虹色の輝きを放つ。
「これはっ!? ゲハバーンとシェアブレードが共鳴している!?」
驚きの声を上げるネプギア。
ネプギアの体から力が湧いて来ると同時にギアシステムが一つの未来を見せてくれる。
「これなら!!!」
ネプギアはその未来を選ぶと同時にアークス【ARCUS】を通じて仲間達に指示を送る。
「待ってたわ! やっぱりネプギアよ!」
ラムがそう言うと、「任せて、ネプギアちゃん!」とロムが言い、「プラエ頑張るね!」とプラエが言う。
「待ってて、お姉ちゃん! 必ずアタシ達が助けるから!!」
ユニがそう言うと、「みんなフォーメーション! セイクリッド・ディメンション・ジオメトリー!!」とネプギアが叫ぶ。
ネプギアの号令で、ユニ達は、ネプギアを頂点とした四角錐形のピラミッドを作り、ノワールを囲うように配置する。
「みんな、声を揃えて心を一つにして!」
ネプギアがそう叫ぶと、ユニ達は力強く頷く。
「「「「「邪悪なる者に討ち克つ力を! 破邪顕正! セイクリッド・ディメンション・ジオメトリー!!」」」」」
ネプギア達が叫ぶと、薄紫色の光の線がネプギア達を繋ぐ。
「きゃあああああああ!!?」
薄紫色の光のピラミッドに拘束されたノワールは苦しそうな叫びを上げる。
セイクリッド・ディメンション・ジオメトリーに拘束されてパワーダウンを起こしているのだ、
「これで終わりだよ」
ロムがそう言うと、「ううっ……」とノワールが片膝を付く。
セイクリッド・ディメンション・ジオメトリーの拘束効果でパワーダウンしているのだ。
「お姉ちゃん! 痛いかもしれないけど、もう少しの辛抱だから!!」
ユニはそう言うと、「ウィークネスバレット・エンプレス」とノワールに脆弱化弾を放つ。
同時にネプギアが、「みんな! コードラグナロク!!」と叫ぶ。
「「「了解!!」」」
ネプギアの声に応える、ユニ、ロム、ラム、プラエ。
「飛べっ! グングニル!」
ウィークネスバレットがノワールに命中すると同時に、ネプギアの放ったグングニルがカウンターでノワールに突き刺さる。
「うっ!?」
苦しそうな声を上げるノワール。
同時にプラエの放ったグレイプニルの鎖がノワールに襲い掛かる。
「捕まえて、グレイプニル!」
プラエの声と同時にグレイプニルの鎖がノワールを拘束して締め上げる。
「ボコボコししちゃえ、ドラウプニル」
ロムの号令と共にドラウプニルが次々とノワールに体当たりする。
「焼き尽くせ! レヴァテイン!!」
ユニの放ったレヴァテインの火炎放射がノワールを焼く。
「メギンギョルズ最大パワーーーー!!」
100トンのアイスハンマーを持ったラムが叫びながら高速でノワールの背後に回り込む。
「ラムちゃん、ホーーームラン!!!」
アイスハンマーのフルスイングがノワールに決まるとノワールはもの凄い勢いでネプギアの居る方向に吹っ飛ばされる。
「最後はアンタよ。しっかり決めなさい!」
ユニがそう言ってネプギアに声を掛けると、ネプギアは昂翼を大きく広げる。
「昂翼天翔!!」
吹っ飛ばされて来ノワールに対して、ネプギアは回転しながら上昇すると昂翼に当たったノワールが上空に吹き飛ばされる。
ネプギアはノワールを追うように急上昇する。
「煌、封、滅、烈。今こそ四つの天を束ねる時!!」
ネプギアがM.P.B.L化したゲハバーンを高く掲げると【ズキューンズキューンズキューン!!】とM.P.B.Lからビーム発射される。
「ぐっ!?」
直撃を食らうノワール。
ズキューンズキューン!!
ズキューンズキューン!!
同時にネプギアが放ったGビットがノワールを囲み集中砲火を食らわせる。
「紫昂拳・天覇断空烈拳!!」
ネプギアがそう言うと、「Gビットハリケーン!!」と続けて叫ぶ。
するとGビットがを竜巻のように相手の周りで回転し、エネルギーの渦を生み出しノワールを完全包囲する。
「おおおっ!?」
驚きの声で竜巻に打ち上げられるノワール。
「紫昂剣・天覇神滅突きっ!!」
打ち上げられたノワールに向けて飛び上がったネプギアが高速の突き抜け攻撃を連続する。
Gビットも合わせて連携して攻撃を続ける。
「うぐっ!?」
苦悶の声を上げるノワール。
「昂翼天翔っ!!」
昂翼を広げ回転しながら上昇しノワールを更に打ち上げるネプギア。
「紫昂剣・天覇封神剣!!」
ネプギアが叫びながらGビットと共にノワールを追撃する。
今度は孤月剣の連続をノワールに当てるネプギア。
Gビットの連携攻撃も更に続く。
「孤月! 昂翼天翔!!」
続けて昂翼天翔で大きく飛び上がりながら孤月剣を決める。
「ぐあああああああああ!?」
苦悶の声を上げるノワール。
更にノワール追撃するように上昇するネプギア。
「地、水、火、風、氷、雷、光、闇!! 偉大なる八大精霊よ! 我が剣に宿れ!! エレメンタル・ポゼッション!!」
上昇しながら呪文を唱えるネプギア。
大剣モードに戻ったゲハバーンが巨大な七色の光に包まれる。
「紫昂剣・天覇凄煌剣!!!」
巨大な光を纏ったゲハバーンでノワールを袈裟切りにして叩き落す。
「うわああああああああああああ!?」
絶叫を上げるノワール。
「私のこの手が光って昂る! あなたを倒せと昂揚する!!」
ネプギアがゲハバーンをポケットに収納し右手を掲げて叫びを上げる。
同時にネプギアの右手が薄紫色に輝く。
続けて急速に落下していくノワールをプロセッサユニットのブースターを全開にして追いかける。
「紫昂ぉぉぉぉぉ拳!! シェアリィィィィィングゥゥゥゥゥゥゥ!! フィンガァァァァ!!!」
ネプギアはそう叫ぶと、ノワールの顔を空中で右手のアイアンクローで掴む。
ネプギアに掴まれたノワールの顔がミシミシと音を立てる。
ドゴーーーン!!
同時に地面に衝突するネプギアとノワール。
続けて、「セイクリィィィィィィッド・ブラストォォォォォッ!!」ネプギアの雄叫びと共に、ネプギアの手のひらが大爆発を起こす。
更にGビットが連携して集中砲火を食らわせる。
「これが四天覇を束ねた覇王の剣!! 紫昂剣・紫天覇王剣っ!!!」
ネプギアが堂々とポーズを決めながら叫ぶ。
クリティカルヒットで52億3215万のダメージを受けたノワールはオーバーキル×5の表示と共にシェアブレードが大きくはじけ飛んでネプギアの足元に落ちる。
「よしっ! 第一関門突破♪」
嬉しそうに言う彩花は、「次はオーンの杖だよ。誰が使う? この中でノワールさんのことを一番想っている人が適任だよ」と言う。
「それなら、ネプテューヌさんが良い。彼女が適任だ」
ラステイション教祖の神宮寺ケイがそう言うと、「わかったわ。でも、あなたも力を貸して。あなたの想いも必要なの」とネプテューヌ言う。
「わかった。僕もノワールの為に祈るよ」
ケイがそう言うと、「ネプテューヌさんが使うなら、変身は解いて。カオス化も良くないし、何よりネプテューヌさんの噓偽りのない本当の気持ちを伝えてあげて」と彩花が言う。
「わかったわ」
ネプテューヌはそう言うと変身を解く。
「いやー、久しぶり変身解いたかと思えば告白タイムとか? なんて羞恥プレイこれ?」
ネプテューヌが気楽そうに言うと、「グダグダ言ってないで、さっさとやりなさい」とブランが軽くネプテューヌの頭を叩く。
「頑張りなさい、ねぷちゃん。あたしのねぷちゃんならできるわ」
プルルートの言葉に、「ぷるるん……」と少し寂しそうに言うネプテューヌ。
「悔しいけど、ぎあちゃんの言う通り、ねぷちゃんはみんなのものなのね。でも、一番はあたしじゃないと嫌よ?」
プルルートはそう言うと、ネプテューヌに向けてウインクして投げキッスをする。
「それじゃ、ネプテューヌさん始めよう」
ケイがそう言うと、「うん、そうだね。早くしないとノワールが腐った死体になっちゃうし」とネプテューヌが冗談交じりだが真剣な顔で言う。
「腐った死体はともかく、時間は限られてるよ。私の祈りが通じている間にノワールさんの心と魂を引き上げて」
彩花はそう言うと、「ギアちゃんはシェアブレードを持って、ノワールさんにシェアエネルギーを注ぐイメージをして」と彩花が続けて言う。
「わかりました」
ネプギアが真剣な声で言うと、「ネプギア。アタシもやるわ。アタシもお姉ちゃんの為に何かしたい!」と言う。
「うん、一緒に行こ。ユニちゃんが居れば心強いよ」
ネプギアの言葉に、「一緒にイこうなんて、ネプギアってばだいたーん♪」とネプテューヌが言うと、「変なこと言わないで下さいっ!」とユニが顔を真っ赤にして反論する。
「時間が無いって言ってるでしょ。ボケは止めなさい」
ブランはそう言うと再びネプテューヌの頭を叩く。
「うーん。ブランのツッコミも悪くないけど、やっぱり一番はノワールだね。絶対にノワールを生き返らそう!!」
ネプテューヌはそう言うと両手で、【パンパン】と自分の頬を叩いて気合を入れる。
そしてネプテューヌはケイと一緒にオーンの杖を持って高く掲げる。
ネプギアはユニと一緒にシェアブレードを握って高く掲げる。
「じゃあ行くよ? 準備はいい」
彩花の言葉に全員が頷くと、彩花は目を閉じ祈るようにして、歌を歌い始める。
その姿はいつもの明るい彼女とは別の神聖的に魅力があった。
「どんなに暗くて、迷っても、どんなに遠回りでも眩しい朝はきっとくる」
歌と同時に彩花が白く輝き周囲に白い羽根が舞い落ちる。
「なんだろう……懐かしい。僕、この歌を知っている気がする」
5pb.がそう言うと、「いい歌だね」とミクが言う。
「見て! ネプギア達とシェアブレードが!」
ラムがそう言うとネプギアとユニ指差す。
「凄く光って綺麗……」
ロムがそう言うと、「ネプギアお姉さんもユニお姉ちゃんも素敵……」とプラエがウットリした表情で言う。
彼女達の言う通りネプギアとユニは虹色の綺麗な光に包まれていた。
その光はノワールを包む。
「見て下さいな。ノワールのカオス化が解けて……」
ベールがそう言うと、「元に戻ったわね」とブランが言う。
彼女達の言う通り、ノワールのカオス化が解けて、女神化前の姿に戻る。
「これは上手く行ってると思っていいのかな?」
ファルコムがそう言うと、「悪い状況ではないと言うのは確かだと思うぞ」とミリオンアーサーが言う。
「見て! ネプ子達も!」
アイエフがそう言うと、「ねぷねぷ。ピカピカしてますぅ~」とコンパが言う。
「なにあれ? 透明なネプテューヌ様とケイさんが」
日本一の言葉に、「幽体離脱みたいですの」とがすとが言う。
彼女達の言う通り、ネプテューヌとケイの体から透明な彼女達が抜け出ているように見えた。
「おおう!? なにこれ、なにこれ? 臨死体験って奴?」
ネプテューヌが驚くと、「これは一体……」と隣のケイを驚いた顔をする。
すると、隣に人間サイズになった透明な彩花が飛んで来る。
「よく聞いて。これからノワールさんの霊体が出て来るからそれを引っ張りだして」
彩花の説明に、「引っ張り出す? 呼び戻すとかじゃないの?」とネプテューヌが質問すると、「普通ならそれでいいかも知れないけど、ノワールさんを生き返らすのは色々ルール違反してるの。そんな時の解決手段は力技だけだよ」と彩花が断言する。
「見た目と違って随分強引な子なんだな……」
ケイがそう言って呆れると、「来るよ。急いで! 時間は限られてるから!」と彩花が言うと、空に黒い穴が現れる。
同時に空が赤黒くなり無数の竜巻が現れる。
「あれはなんだ?」
ニトロプラスがそう言うと、「見て! あそこにノワール様が吊るされてる!」とゴッドイーターが言う。
彼女達言う通り、上空に黒い穴があってそこから黒い触手が伸びてノワールを絡めとっていた。
「気を失っているようですね」
あんみつがそう言うと、「アンリ? あのままじゃヤバくない」とマホが言うと、「それを何とかする為に、ネプテューヌさん達が幽体離脱したのだと思うわ」とアンリが答える。
彼女達の言葉通り、ノワールは少しづつだが、黒い穴に引き戻されようとしていた。
「ノワールっ!」
ノワールの姿を見たケイが叫ぶ。
「急いで! あの気持ち悪い触手がノワールさんを縛る鎖。あれからノワールさんを救い出すの。力技で!」
彩花の言葉に、「よーし、そういうことなら、わたしに任せて!! こういう時はインチキでもバグでも何でも良いからノワールを救い出すよ!」とネプテューヌが言う。
「がんばれ! ねぷてぬ!!」
ピーシェが応援する、「頑張って下さい。ネプテューヌさん」とキセイジョウ・レイも応援する。
「ほら、おばさんも!!」
ピーシェの言葉に、「誰がおばさんだ!!」と神次元のマジェコンヌが怒るが、「だが、ここまでの努力が無駄になるもの癪だ。何とかしろ、ネプテューヌ」と続けて言う。
「ノワール! 大丈夫か? ノワール!!」
ノワールの元に辿り着いたケイが必死に呼びかける。
ノワールの体に絡まった触手を全て引きちぎると、ケイがノワールを抱きかかえる。
「気を失ってるみたい」
彩花がそう言うと、「そんな時はこれだよー!!」とネプテューヌがノワールの脇の下をくすぐる。
すると、「楽しそう私も!」と彩花も逆の脇の下をくすぐる。
それを見たケイは、「ちょっと君達、真面目に……」と言いかげるが、「きゃははははは!! ちょ、ちょ!? なに?」とノワールが大声を上げて笑い出す。
「このシーンで、それで目を覚ますってどうなんだい?」
呆れながら言うケイに、「ちょっと、ケイ! 見てないで止め……きゃはははは!」とノワールが再び笑い出す。
「彩花さん。時間がないんじゃ?」
ケイの言葉に、「そうだった! ダメだよ? ネプテューヌちゃん。こんな時にフザけちゃ」と彩花が注意すると、「ごめーん。テヘペロ♪」とネプテューヌが舌を出しながらウインクして謝るが、「いや、君も凄くノリノリだったから……」とケイが呆れ顔で彩花にツッコミをする。
「時間がない? なんの……くうっ!?」
ノワールが何か言おうとするが、触手が首に絡まり途中で止まってしまう。
「ノワールっ!!」
慌ててノワールの首に絡まった触手を引きちぎるケイ。
「……思い出したわ……私はネプテューヌに討たれて、それでニャルラトホテプに、死霊術をかけられて……」
ノワールがそう言うと、「待っていてくれ! 今助け出す!! 必ず君を生き返らせる!!」とケイが言うが、「止めて!!」とノワールが叫ぶ。
「ノワール……?」
驚きの顔のケイに、「あなたには会いたい……でも、これ以上どうしろって言うの? カオス化だけなら、まだしもネプテューヌに負けた上にニャルラトホテプに操られて……これ以上、生き恥を晒せっ……」とノワールが言いかけると、【パンッ!!】と乾いた音がする。
ノワールの頬が叩かれたのだ。
叩いていいたのは、ケイでも無く、ネプテューヌでもなく、彩花だった。
「あなたはそれで満足かもしれない! いえ、今は満足でも絶対に後悔する!! あなたが死んで悲しむ人はいっぱいいるんだよ!!」
怒りの顔で言う彩花に、「なによ! 知ったふうに!!」とノワールが言うと、「私には愛し合った恋人が居た。でも、私は彼を置いて死んでしまった……」と彩花が悲しそうな声で語り始める。
「え……」
思わず言葉に詰まるノワール。
「……彼は悲しんだ。ううん、彼だけじゃない。お父さんやお母さんや友達。たくさんの人が悲しんだ。でも、多くの人は時間と共に立ち直ってくれた、けど、彼だけは違った。何年経っても彼の涙は止まることはなかった」
彩花の言葉に全員が耳を傾けている。
「最初は嬉しかった。彼がそこまで私を愛してくれていたことが。でも、それはすぐに悲しみに変わった……何年か経って彼は立ち直ったかに見えた。けど、それは表面上だけ。明るく振舞ったり、バカなことして周りを笑わせたり呆れさせたりしたけど、彼の心の中には常に冷たい雨が降り嘆きの雷が鳴っていた」
彩花はそう言うと、涙を流す。
「彼の辛そうな顔を見るのが、とても辛かった。でも、私には何も出来なかった。声をかけて励ますことも、手を握ってぬくもりを伝えることも、涙を拭ってあげることすらできなかった」
辛そうに語る彩花にノワールは顔を俯かせる。
「……『いつまでウジウジしてるんだ! バカ智也!』……なんて思うこともあった。でも、それは一瞬で消えた。私が思って以上に、ずっとずっと……ずーっと、彼は私の事を愛して必要としてくれていた。彼は明るく社交的だから、たくさんの女の子好かれた。表面上は上手く付き合っているように見えた。でも、彼の心には常に冷たい雨が降り、これは私に対しての裏切りではないかと苦しんだ。『私のことは忘れて幸せになって!』。何度も叫んだけど私の声は彼に届くことはなかった……そのせいで何人もの女の子を何度も失望させて、彼は余計苦しんだ」
彩花の言葉に、「……ごめんさい。私が間違っていたわ……」とノワールが真剣な顔で頭を下げると、「一つだけ聞かせて。結局その男の子はどうなったの?」とノワールが質問する。
「最終的には幸せになったよ。そこまで辿り付くのに何度も挫折した。友人、恋人色々な人に迷惑をかけて助けられた。でも、死ぬまで彼の心の中心には常に私が居た」
彩花の言葉に、「……死んだのその子?」とノワールが悲しそうな声で言うと、「百年以上前の話だよ。生きてる方が怖いってば♪」と笑顔を浮かべる。
「彩花さん?」
彩花の落差に驚きの声を上げるケイ。
「ほら♪ ほら♪ 早くっ。グズグズしたら、あの穴に吸い込まれちゃよ?」
明るく言う彩花に、「そ、そうだね……」と流石のネプテューヌも戸惑ってしまう。
その時、黒い穴の中から無数の触手が現れて、ノワールの四肢をがんじがらめにしてしまう。
「きゃあああ!?」
悲鳴を上げるノワール。
ネプテューヌ、ケイ、彩花の三人が必死で触手を引きちぎったり、ノワールを引っ張ったりしてノワールを助けようとするが、触手の数と勢いが凄まじく、あっという間にノワールの体が半分以上、黒い穴に吸い込まれてしまう。
「く……もういいわ。私のことは諦めて、あなた達だけでも逃げて……」
苦しそうに言うノワールに、「何言ってるの!? ノワール!! さっきの彩ちゃんの話聞いてなかったの!? ノワールが死んだら、わたし、智也君と同じぐらい、ううん! それ以上に悲しむよ!!」とネプテューヌが言うと、「僕じゃ同じだ!! 僕には君しか居ないだ! ノワール、諦めないでくれ!! 必ず必ず助けるっ!!」とケイが言う。
「ネプテューヌ……ケイ……。ありがとう! 私も諦めないわ!!」
ノワールはそう言うと、「放しなさいよ!! この変態!!」と必死に足を動かして抵抗する。
(ノワールさんの生きる意志は十分。みんなの想いも十分。でも、それ以上にルール破りの力が強い……智也っ! お願い助けて!)
彩花がそう言うと、彩花の耳に【頑張れ、彩花】と男性の声が聞こえて来る。
しかし、彩花は、「はぁ……全然心がこもってない。0点。もう一回」とため息を吐く。
【おい! 彩花。ここでリテイクはありえねぇだろ?】
声が不満そうに言うと、「ありえないのは智也の方だよ? このシーンで。【頑張れ、彩花】 だけはないでしょ?」
彩花が不満そうに言うと、「彩花……お前状況わかってるか? この一刻を争う事態で長々と長文言ってられるかよ? お前にはこの短い言葉にこめられた1万文字以上のオレの気持ちが、情熱がわからないのか?」と智也が言うと、「嘘。ぜーったい嘘。智也のことだから、めんどくさいから適当に言って誤魔化そうとしてるでしょ?」と彩花が言うと、「ぎくっ!?」と智也が気まずそうな顔をする。
「唯笑ちゃんなら騙せるかもだけど、私はぜーったい騙されないんだかねっ!!」
彩花はそう言うと心底不満そうにそっぽを向くと、「おい、機嫌直してくれよ。彩花」と智也がすまなさそうに言う。
「じゃあ、何かオゴってくれる?」
彩花がそう言うと、「無茶言うな。オレとっくに死んでるんだぞ……」と智也が呆れた声を出すと、「そうだったそうだった♪ 智也が昔と同じだからすっかり忘れてたよ」と彩花が言うと、「まぁ、いいや。後で買ってやるから、じゃあな」と智也が去ろうとすると、彩花がもの凄い力で智也の手を掴む。
「あ、彩花?」
焦りの声を上げる智也に彩花は笑顔だが、「後でっていつ?」ともの凄い不満そうな声で質問する。
「後では後でだよ……」
彩花にビビりながらもそれだけ言う智也に、「何時何分何秒? 地球が何回回った日?」と彩花が言うと、「ガキかお前はぁ!」と智也がツッコミすると、「子供なのは智也の方でしょ! そんな誤魔化し私に通用すると思ってるのっ!!」と彩花が叫ぶ。
「うっ……」
心底困った顔の智也に、「も・う・いっ・か・い」と彩花が一字一句噛みしめるように言う。
「あー……がんばれー、がんばれー、がんばれー、彩花」
智也がそう言うと、「てやーーーーーーっ!!?」と彩花の蹴りが智也の顔面にめり込む。
「うぼあっ!?」
思わず変な悲鳴を上げる智也。
「蹴りか!? いくら何でも蹴りはねぇだろ? しかも顔面だぞ!」
痛そうに抗議する智也だが、「とぉ~もぉ~やぁ~!?」と彩花がもの凄い圧を加えると、「な、なんだよ!? 蹴ったのは彩花だろうが!?」とビビりながらも再度抗議する智也。
「ぜんっぜんっ、心がこもってないっ!! 0点っ!! もう一回!!」
彩花がそう言って憤慨すると、「れ、0点はねぇだろ? 0点は!! 頑張れを3回も言ったんだぞ!! 3倍だぞ3倍!! 最低でも3点であるべきだろっ!!」と智也が抗議すると、「……智也……0はなにをかけても0だよ……」と彩花が憐れむような目で智也を見る。
確かに最初の発言が0点だったので彩花の言う通りになる。
「あ、彩花が最初に0点なんかつけるからだぞ!!」
智也が焦りながら言うと、「人のせいにしないのっ! だって0点は0点だもん」と彩花がそっぽを向いてしまう。
「うぐっ……」
悔しそうに言う智也だが、「おい、彩花。この作品はあくまでネプテューヌであって、オレ達はゲストなんだぞ?」とメタ発言で逃げようとする。
「たあああああああああああああ!!!」
「ぐがっ!?」
彩花の怒りのドロップキックが智也の後頭部にクリーンヒットする。
「ドロップキックはねぇだろ!? ドロップキックはっ!! お前はレスラーかっ!?」
智也がそう言うと、彩花は倒れている智也に覆いかぶさり、「ワン♪ ツー♪ スリー♪」と楽しそうに数えると、「勝者! エンジェル彩花っ!!」と楽しそうに言う。
「……って! ちがーーーーーーう!! 誰がプロレスラーよっ!!」
彩花が抗議すると、「ノリツッコミか!? ノリツッコミにしちゃオレがめちゃくちゃ痛いんだが!?」と智也が言う。
「……彩花のせいで全然話が進まないぞ?」
智也がそう言うと、「智也の所為でしょ!!」と彩花が言うが、「いや、彩花が最初のオレの迫真の演技でOK出してればこんな事態にはならなかったと思うが?」と智也が居言い返す。
「あれの、どーこーが迫真の演技なのよぉ!! どーせ、漫画読んでお菓子でも食べながら言ってたんでしょ!!」
彩花の指摘に、「ぎくっ!?」と気まずそうな顔をする智也。
「じゃ、じゃあな!! 彩花!!」
智也はそう言うと、全速力で逃げてしまう。
「もぉーーーーーーーー! とーーーーーもーーーーーーーやっ!!!」
怒りの叫び声を上げて智也を追う彩花。
***
「もーーーーーーーー! 怒ったぞーーーーーーーー!!」
怒りの声を上げる彩花に、「「「え?」」」と戸惑う、ネプテューヌとノワールとケイ。
どうやら、智也は逃げ切り彩花は現実の世界に戻ってきたようだ。
「いっつもいっつもそうなんだから! 鈍感って言うか唐変木って言うか、女の子の気持ちが全然分かってなーーーーーーーい!!」
彩花の怒りの叫びと共に、あれだけ強かった触手がいとも簡単に千切れて無事にノワールが救出される。
「あ、ありがと……」
驚きのながらもお礼を言うノワールだが、彩花には聞こえてないようで、「もうっ!! 逃げ足だけは速いんだからっ!!」と彩花が憤慨する。
「えーと……わたしの知らない間にどんなイベントが?」
流石のネプテューヌもドン引きでそう尋ねると、「聞いて! 聞いて!! 智也ったらヒドイんだよ!!」と彩花が言うと愚痴かノロケか分からない話を小一時間、ネプテューヌ達に聞かせ続ける。
彩花の怒りが収まった頃、【やれば出来るんじゃねーか】と智也の声がする。
「あっ! 智也。どうせ、そろそろほとぼりが冷めたかなって思って来たんでしょ!!」
彩花がそう言うと、【ぎくっ!?】と気まずそうな声を出す智也。
「でも……ありがと、智也。変に愛の言葉言われるより、智也とは普通に話した方が元気出るよ」
彩花がそう言うと、【オレと彩花の会話が普通と言うのは、一般的にはなはだ疑問だがな】と智也が嬉しそうに言う。
「ふふっ……そうだね。ねぇ、智也?」
彩花が笑顔でそう言うと、「また会えるかな?」と彩花が言う。
【おう、彩花が困ってたら、いつでも駆けつけるぞ。だが蹴りはもう勘弁してくれよ?】
智也が笑いながらそう言うと、「それは智也の態度次第かな~♪」と彩花が言う。
【まぁ、いいや。そろそろ時間だ、じゃあな、彩花。愛してるぞ】
智也はそれだけ言うと消えてしまう。
「……もぅ……最初にそれ言ってくれれば良かったのに……本当にズルイんだから」
彩花はそう言うと、顔を赤くして空を見上げる。
「ありがと、智也。私も愛してるよ」
彩花は笑顔でそう呟いた。
彩花の目には智也の笑顔が映っていた。