新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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013ゴブリン

 翌日。

 

G.C.2019年6月25日 火曜日の早朝。

 

 

「ん……」

 

 

 ネプギアが目を覚ますと目の前にロムの顔があった。

 

 

「くーすー……」

 

 

 安らかな寝息を立てるロム。

 

 

「そっか、昨日はロムちゃんと一緒に寝たんだっけ」

 

 

 ネプギアが思い出したかのように呟く。

 

昨日の約束でロムとラムも一緒に朝のジョギングに連れて行く約束をしたのだが、置いていかれないように【見張り】として、ロムはネプギア、ラムはユニと一緒に寝たのだった。

 

 

「絵本読んであげたら、すぐ寝ちゃったよね」

 

 

 ネプギアは、昨晩はロムにせがまれて絵本を読んで寝かしつけたのだった。

 

 

「そうだ、ジョギングに行くんだよね。ロムちゃん、起きれる?」

 

 

 ネプギアは優しくロムを揺すると、「ん……っう……」とゆっくりと目を開けるロム。

 

 

「おはよう。これからジョギング行くけど起きれそう?」

 

 

 ネプギアは優しい声でロムに尋ねると、「おいてかないで……」とロムはすがりつくような目でネプギアに抱きつく。

 

 

「大丈夫。置いてかない置いてかない」

 

 

 ネプギアはロムの頭を優しく撫でると、「ネプギアちゃん、ぎゅーってして。そしたら起きられそう」ロムはネプギアに甘えた目つきでお願いをする。

 

 

「こうかな?」

 

 

 ネプギアは優しくロムを両手で抱きしめると「うん……もっと強くしていいよ」ロムはネプギアに更に強い抱擁を要望する。

 

 

「痛かったらすぐに言ってね」

 

 

 ネプギアはそう言うとロムの要望に応えて抱く強さを強くする。

 

すると、ロムは、「……ネプギアちゃん、気持ちいい……」と言って嬉しそうに目を細める。

 

 

「頭なでなでして」

 

 

 続けてネプギアに要望するロム。

 

 

「よしよし……」

 

 

 ネプギアは右手で抱きしめながら、左手でロムの頭を優しく撫でる。

 

 

「……一緒にされるの凄く気持ちいい(どきどき)」

 

 

 ロムは嬉しそうな顔でネプギアの胸に顔を埋めると、「ネプギアちゃん、大好き」とストレートな好意を示す。

 

すると、「私もロムちゃんのこと大好きだよ」とネプギアもそれに応える。

 

 

「ふぅ……。ネプギアちゃんニウム補給完了」

 

 

 ロムがネプギアの胸に顔を埋めながら満足そうにそう言うと、「なあに? ネプギアちゃんニウムって」とネプギアは微笑みながらロムに質問する。

 

 

「ネプギアちゃんの成分なの。優しさがいっぱい入ってて、胸があったかくなるの(ぽかぽか)」

 

 

 ロムは胸に両手を当てながら答えると、「じゃあ、私もロムちゃんニウムを補充しちゃった」とネプギアは嬉しそうにロムの言うことを自分なりにアレンジして返す。

 

 

「ロムちゃんニウム?」

 

 

 ロムが不思議そうな顔をすると、「ロムちゃんニウムは心が癒されて穏やかな気持ちになるの」とロムの質問に答えるネプギア。

 

 

「そうなんだ(にこにこ)」

 

 

 ネプギアの答えに嬉しそうにするロム。

 

 

「じゃあ、ラムちゃんニウムは?」

 

 

 今度はラムのことが気になったのでネプギアに質問すると、「ラムちゃんニウムは元気一杯になるの」とネプギアが答える。

 

更に、「ユニちゃんニウムは?」とロムが質問すると、「ユニちゃんニウムは努力したい気持ちにさせてくれるんだよ」とネプギアは答えた。

 

 

「じゃあ、わたし、ラムちゃんニウムとユニちゃんニウムを補充してくる(しゅった)」

 

 

 ロムはベットから降りて、ラムとユニに会う為に部屋を出て行く。

 

それを見送るネプギア。

 

 

「ロムちゃんニウムかー。本当に心が癒されるみたい」

 

 

 ネプギアはそう言うとジョギングの為に着替えを始める。

 

 

***

 

 

 

 ネプギアが支度をしてギャザリング城の橋の前に行くと、ユニが居た。

 

 

「ユニちゃん、おはよう」

 

 

 挨拶をするネプギアに、「おはよ」と挨拶を返すユニ。

 

 

「さっきロムが抱きついてきたんだけど何かあったの?」

 

 

 ユニがネプギアに質問をしてくる。

 

恐らく、あの後ロムが抱きついてきたのだろう。その行動が不思議だったようだ。

 

ネプギアが突然ロムに抱き着かれて焦るユニを想像して、それが楽しかったのかクスリと笑うと、「きっと、ユニちゃんニウムを補充してたんだよ」と答える。

 

 

「ユニちゃんニウム~?」

 

 

 【ユニちゃんニウム】の意味が分からず首を捻るユニに、「そうだ。私もユニちゃんニウム補充しよっと」ネプギアはそう言うとユニに近づいて抱き着く。

 

 

「ちょっ、ちょっと! アンタまでなにするのよ!」

 

 

 ネプギアの行動に戸惑うユニだが、ネプギアは幸せそうな顔でユニの顔に、「ぎゅー」と頬ずりをして離さない。

 

ユニはネプギアを引き剥がそうとするが、ユニも内心嬉しいのでそんなに強く引き剥がそうとはしなかった。

 

 

「お二人はやっぱりそういう関係で……」

 

 

 そこにファミ通が現れる。

 

ファミ通は両手で口を覆い、驚いた表情を浮かべる。

 

 

「ふぁ、ファミ通! ご、誤解よ誤解!」

 

 

 オロオロと慌てるユニに、ファミ通は腕組みしながら、「いえいえ、皆まで言わなくても分かっています。会った時から私の記者としての勘が告げていたんです……お二人は只ならぬ仲だと」と悟ったような口調でユニに告げる。

 

 

「だーかーら! アタシとネプギアは全然そういう関係じゃなくて……」

 

 

 ユニはファミ通の勘違いを否定しながらネプギアを全力で引き剥がすと、「や~ん、ひどいよユニちゃん、私とユニちゃんの仲なのに~」と引き剥がされたネプギアは頬を膨らませて抗議の意を露わにする。

 

 

「私とユニちゃんの仲っ!」

 

 

 ファミ通の目がらんらんと輝く。

 

 

「誤解を招く言い方しないでよ! アンタとアタシはしん…」

 

 

「私とユニちゃんは友達なのに~」

 

 

 ユニの言葉を途中でネプギアが遮る。

 

 

「え……友達?」

 

 

 目を丸くするファミ通にネプギアは、「そうですよ。これぐらい友達同士のスキンシップじゃないですか」何の不思議も無いような顔でファミ通に説明する。

 

 

「そ、そうですよね! 私ったら、なに早とちりしてるんですかね!」

 

 

 ネプギアの純粋な考えに対して、自分の考えが邪だと感じたファミ通は慌てて謝ると、ユニは、「……」呆気に取られて呆然としている。

 

 

「どうしたの? ユニちゃん? もしかして、友達じゃないとか言わないよね!」

 

 

 黙るユニに不安になり、必死に問いかけるネプギアに、ファミ通が、「そういえば、ユニ様、さっき【しん】とかって言い掛けませんでした?」と言う。

 

記者のファミ通は相手の細かい発言も見逃さない。

 

 

「しん? しんって、もしかして、親友!」

 

 

 目を輝かせるネプギアに「な、なによ! アンタの方から言い出したんでしょ!」とユニは以前にネプギアに親友と呼んでもらったので、それに応えただけだとそっぽを向きながら主張する。

 

 

「それでも、ユニちゃんの口から直接親友って聞けるなんて嬉しいよ~」

 

 

 ネプギアはユニの態度を気にも留めず笑顔を浮かべ、とても嬉しそうな声を出しながら柏手を打つ。

 

 

「ギ、ギリギリ及第点で仕方なくよ!」

 

 

 今更発言を撤回するにも出来ずに認めるユニに、「やったあ!ユニちゃん大好き!」と言いながらネプギアはユニに抱きつく。

 

 

「あー! ネプギアがユニちゃんに大好きって言ったー!」

 

 

 そこにラムが現れて、二人を指差すと、「ネプギアちゃん、わたしは?」とロムが指を咥えて物欲しそうにネプギアに質問する。

 

 

「もちろん、ロムちゃんの大好きだよ」

 

 

 笑顔で答えるネプギアに、「わたしは? わたしは!」とラムも両手を上げてジャンプするとネプギアに迫るように質問する。

 

 

「ラムちゃんも大好きだよ。みんな大好き」

 

 

 ネプギアはラムにも笑顔で答える。

 

 

「……まぁ、こういうことですから。ファミ通の期待しているようなことはなにもないわよ」

 

 

 ユニはどこか冷めたようにファミ通に告げると、「ああ、そういうことですか。ネプギア様のその感じはなんとなく分かります」とファミ通はユニの答えに納得したように頷く。

 

 

「……もう、この八方美人」

 

 

ぺしっ

 

 

 ユニはネプギアの額を軽く小突くと、「え、えー! ユニちゃん、何でぶつの~」と小突かれた意味がさっぱり分からないネプギアだった。

 

 

「さー! 気合入れて、ジョギングするわよ!」

 

 

 ラムがそう言って左手を高く上げると、「頑張る(えいえいおー)」とロムも同じように右手を上げる。

 

二人ともやる気満々のようだ。

 

 

「その前に……なに? その恰好?」

 

 

 ユニはロムとラムを不思議そうな顔で指差すと、「体育着はいいんだけど、ブルマってどこにあったの?」ネプギアも不思議な顔をする。

 

二人の言う通りロムとラムは学校で着るような白い体操服に紺色のブルマを履いていた。

 

 

「ミナちゃんのお古よ」

 

 

 ラムが自信満々に腰に手を当ててそう言うとロムも、「ミナちゃんのもらった大事な服」と嬉しそうに言う。

 

女神が信者のお古を着るというのは、如何なものかとは思うが、それだけ教祖のミナと仲が良いということであろう。

 

 

「……ミナさんって何歳なんだろう……」

 

 

 首を傾げてミナの年齢を考えるネプギアに、「ネプギア、それは踏み込んではいけない領域な気がするわ」とユニはそれを静かに制する。

 

 

「これは記事に載せてもいいのかな?」

 

 

 写真を撮りつつも雑誌に載せても良いのか迷うファミ通。

 

女神の密着取材とは言え、ブルマを履いた幼女を雑誌に載せるのは流石に考え物らしい。

 

 

「それじゃ、準備体操からだね」

 

 

 ネプギアはみんなに準備体操の指示をすると、「ストレッチも入念にね」とユニはそれに注釈を加える。

 

 

「「はーい」」

 

 

 ロムとラムは素直に返事をすると、ネプギア達は準備体操をした後にネプギアとユニ、ロムとラムの二人一組のストレッチも行う。

 

 

「ねぇ、どれぐらい走るの?」

 

 

 準備が終わり、ラムがどれぐらい走るのか尋ねてくると、「5キロよ」とユニがそれに答える。

 

 

「5きろ? 重そう(ずしん)」

 

 

 ロムは重さと勘違いしているようなので、「それはキログラム【㎏】だよ。ユニちゃんの行ったのはキロメートル【㎞】のことだよ」ネプギアがロムの勘違いを訂正する。

 

 

「5キロって長いの? 短いの?」

 

 

 ラムは5キロと言われてもピンと来ないようだった。

 

今までそんな距離を走ったことがないのであろう。

 

 

「この橋を5回行ったり来たりするんだよ」

 

 

 そんなラムにネプギアが分かりやすく説明をすると、「大変そう(はらはら)」とロムは不安そうな声を出す。

 

 

「大丈夫、走れるところまででいいからね」

 

 

 ネプギアはそんな二人に安心するよう伝えると、「あんまりよく分からないけど、とりあえず行ってみようよ」とラムが言うと、「そうだね(こくこく)」とロムが頷く。

 

とりあえず、ネプギアとユニがやっていることに挑戦してみたいようだ。

 

 

「よーし、それじゃあ、行くわよ! よーいドン!」

 

 

 ラムはそう言うと勢いよく駆け出す。

 

 

「ら、ラムちゃん待って~」

 

 

 ロムは慌ててその後を追うが、「こらー! 競争じゃないのよ。ちゃんとペース配分を考えなさい」とユニはそんな二人を注意する。

 

 

「ユニちゃん、追いかけよ」

 

 

 ネプギアがそう言うと、ユニも、「そうね」と言って駆けだす。

 

その後ろでファミ通が、「若い子は元気でいいな~、私はちょっとキツイかも……」と言いながら、やや遅いペースではあるが走り始める。

 

 

「はぁ……はぁ……まだ走るの……?」

 

 

 ラムは始めこそは元気だったが橋を1往復したところで、フラフラ歩き始めてしまい、「も、もうダメ……(がっくり)」とロムもヨタヨタと歩くと二人してへたり込んでしまう。

 

戦闘の際に長距離を移動することはあるものの、その際はネプギアがしっかりペースを管理してくれるので走りきれるが、自分のペースで走るとこの距離が限界のようだ。

 

 

「1キロも走れれば上出来よ」

 

 

 ユニがそう言って二人を褒めるとネプギアも、「二人とも頑張ったね」とニッコリ笑って褒める。

 

 

「で、でも……ネプギアとユニちゃんはもっと走るのよね」

 

 

 ラムがそう言うと、ロムも、「だったら、ついて行く(よいしょ)」と言って二人して立ち上がろうとするが、上手く立てないようだ。

 

 

「二人ともよく頑張ったよ。二人の歳でここまで走れるのは凄いことなんだよ。えらいえらい」

 

 

 ネプギアはそんな二人を抱きしめて、無理をしないよう頭を撫でると、「本当に?」とラムが質問する。

 

 

「本当よ。二人がこんな走れるなんてアタシも驚いたわ」

 

 

 ラムの質問にユニも優しい声で答えると、「そ、そうだよ……二人ともかなり頑張ってると思うよ……」少し遅れて追いついたファミ通はかなりバテ気味のようだった。

 

 

「毎日続ければその内もっと走れるようになるから、今日はこれでおしまいにしよ」

 

 

 ネプギアの説得にロムも、「……うん」と頷いて納得したようだった。

 

 

「二人はこのままファミ通さんとお城に戻ってて。私とユニちゃんはその間に残り走っちゃうから」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「わかったわ」と頷くラム。

 

 

「行くわよ、ネプギア。競争よ」

 

 

 ユニがそう言って走り出すと、「私だって負けないよ」とネプギアもユニの後を追う。

 

 

「二人とも速ーい!」

 

 

 ラムが二人のあまりの速さに感嘆の声を上げると、ロムも、「すごい(どきどき)」と言って走り去って行ったネプギアとユニを眺める。

 

 

「二人とも意外と体育会系なんだね~」

 

 

 ファミ通も大人しくその姿を見送っていた。

 

ネプギアとユニが走り終わり、休憩を済ますとファミ通がネプギアとユニにインタビューをする為にペンとメモを持って近づいて行く。

 

 

「インタビューいいですか?」

 

 

 ファミ通が尋ねるとネプギアもユニも、「はい」と頷く。

 

 

「お二人がジョギングを始めたきっかけは?」

 

 

 ファミ通のインタビューに、「私はユニちゃんが走るって言うから、一緒にやりたいなって思ったんです」とネプギアが答える。

 

 

「それではユニ様は?」

 

 

 ファミ通の質問に、「女神たるもの、文武両道を目指しつつ心技体を鍛えるべきだと思っています」とユニが答える。

 

ユニの言葉を聞いたロムが、ネプギアのランニングウェアを【くいくいっ】と引っ張る。

 

 

「なあに? ロムちゃん」

 

 

 ネプギアがいつものように優しい声でロムの方を向くと、「文武両道と心技体ってなに?」とロムが質問をする。

 

ロムの隣にいたラムが、「ぶんぶく茶釜の仲間?」と首を傾げる。

 

ファミ通のインタビューのターゲットとユニに移ったようなので、ネプギアは二人の質問に答えることにした。

 

 

「文武両道は勉強も運動も頑張ろうって意味で、私達の場合は、勉強は書類とかのお仕事。運動は戦闘を頑張ることになるの」

 

 

 ネプギアの説明に、ロムとラムはいつものようにシンクロして、「「うんうん」」と頷く。

 

 

「心技体は心と技と体をバランスよく鍛えようって意味。心は精神力や心の強さや志の高さ……志って言うのは目標のことだよ。で、技は技量やスキルやお勉強、最後の体は身体能力や体調管理」

 

 

 ネプギアが説明をすると、「それってどんな感じに?」とロムが質問をする。

 

 

「体力があっても技量がなければ、宝の持ち腐れだし、技量があっても体力がなければ技術を生かしきれないよね。簡単に言えばMPがあっても魔法が弱ければ力を発揮できないし、強力な魔法が使えてもMPが足りなくちゃ使えないでしょ?」

 

 

 ネプギアの答えに、ロムは、「うん、それならわかる(こくこく)」と嬉しそうに頷くと、「じゃあ、心は?」と今度はラムが質問をする。

 

 

「いくら体力や技術力が優っていても、気持ちで負けてちゃ勝てないし、 同じように、体力や技術力が劣っているのに気持ちだけで勝とうとしても上手くいかないでしょ。そう言うことだよ」

 

 

 ネプギアがラムの質問に答えると、「なるほどね。レベルが高くてもやる気な無い人は邪魔だし、レベルが低いのにやる気だけあってもお荷物だもんね」とラムの意見に、「間違ってはいないけど、少し言い過ぎかも」とネプギアがやんわりと諫める。

 

 

「そういうことなの。二人とも分かったかな?」

 

 

 ネプギアがロムとラムの顔を見渡しながら質問すると、「わかったわ。ラムちゃんに任せておきなさい」とラムが自信満々で腕組みをし、「わたしも頑張る(ぐっ)」とロムも小さくガッツポーズをする。

 

 

「でも、文武両道の方は難しそう(はらはら)」

 

 

 ロムが自信無さそうに言うと、「そうね。それに目標は一つに絞った方がいいんじゃないの? 二刀流しようとする者は一刀流もできず……だっけ?」 ラムが腕を組みながら首を傾げる。

 

 

「それを言うなら、二兎を追う者は一兎をも得ず、だよ。確かにラムちゃんの言う通り、二つの物事を欲ばってどちらも失敗したり、中途半端に終わるってこともあると思うよ」

 

 

 ネプギアが二人の質問に答えると、「じゃあ、どうするの?」 ロムが困ったような顔をする。

 

 

「逆に、一挙両得や一石二鳥って言葉もあるよね」

 

 

 ネプギアがロムとラムを見ながら言うと、「あるある」とラムが嬉しそう頷き、「うん、わたしも知ってるよ(えへん)」とロムも頷く。

 

ネプギアの言ったことを自分が知ってるのが嬉しいのだろう。

 

 

「それを踏まえて私はこう考えてるの。一兎を追う者は一兎を得るが、それで満足しては一生二兎を得られず。更なる努力と経験を重ね、二兎を追い二兎を得られるようになるべき」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「これには一つのことを極めることに満足せずに、別のことにもチャレンジすべきって意味があるんだよ」と説明をすると、「「おお~~」」とまたもロムとラムがシンクロで頷く。

 

 

「それに、二兎を追うことで得られるスキルや経験もあるんだよ。簡単に言えば魔法剣や合体魔法かな。他にも一つのことを極めて威力に限界があることでも、別のことを鍛えることで更に威力を上げることも出来たりするんだよ」

 

 

 ネプギアの例えに、「そうね。わたしもアイスハンマーやアイスカリバーを強くする為に体も鍛えた方がいいわよね」とラムが頷く。

 

ラムのアイスハンマーやアイスカリバーは氷魔法の他にも打撃や斬撃の要素もあるので、ラムも腕力が上がれば威力の伸びしろはある筈だ。

 

 

「うん、それに氷の攻撃魔法だけだと効かない敵に困るかも」

 

 

 ロムもネプギアの言葉に納得したように頷く。

 

ロムとラムは雪国のルウィーの生まれだけあって、氷の魔法のエキスパートだが、それに比べてしまうと他の属性の魔法がやや頼りない。

 

その為、氷の魔法が効かない敵にはパフォーマンスが著しく低下してしまう。

 

 

「でも、大変そう(おろおろ)」

 

 

 ロムが少し困ったように言うと、ネプギアは優しく微笑んでロムを安心させながら、「無理はしなくていいんだよ。欲張りすぎると、本当に二兎を追う者は一兎をも得ずになっちゃうからね」と言う。

 

 

「ここでも心技体が出て生きて、心で確固たる目標を持ちつつ、それを実現する為に技のお勉強で自分の能力や今の限界を知って無理をせず、体の体調管理で病気をせずに毎日努力を続けられるバランスが大事なの」

 

 

 ネプギアが続けて言うと、「目標だけ立てて、がむしゃらに頑張るだけじゃダメってことね」とラムが頷き、「ちゃんと頭も使わないといけないんだね(こくこく)」とロムも頷く。

 

 

「うん、自分が更に成長するために何が必要なのかちゃんと知ること。それに自分の中は勿論、他の人達のとのシナジーやフォローも大事なんだよ」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「「しなじー?」」とロムとラムが同時に首を傾げ、「シナシクの仲間?」とラムが言うと、「それともおじいちゃん?」とロムが質問する。

 

 

「シナジーって言うのは、相乗効果って言う意味だよ。相乗って言うのは、二つ以上の物が同時に働いて、個々がもたらす以上の結果を生じることなの」

 

 

 ネプギアは二人の質問に答えると、「簡単に言えば、ロムちゃんとラムちゃんが一緒になれば何倍も強くなるってことだよ」と続ける。

 

ネプギアの答えに、「それなら分かりやすいわ」とラムが嬉しそうに左手を上げ、「うん、わたし達最強(ぶいっ)」とロムがVサインする。

 

 

「例えば、二人が氷以外の魔法を覚える時には互いがフォローしあえるようにすることと、合体魔法のことを考えながら別々の属性の魔法を覚えた方が色々な状況に対応出来るよね?」

 

 

 ネプギアがロムとラムに質問をすると、「そうね。この前もヴォルガノンを使いたいから、わたしとロムちゃんで別々の属性の魔法のお勉強したのよ」とラムが自信満々に答える。

 

 

「うんうん、そんな感じ」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに頷くと、「ネプギアちゃんがタンクの技能勉強したのも、わたし達をフォローする為だよね(にこにこ)」とロムが嬉しそうに言う。

 

 

「そうだよ。長所を伸ばし合って、短所を補え合えば、みんなの力で文武両道に近づけるの。その上で、常に上を目指す向上心を持ち続けて努力をし続ければ、みんなが文武両道になって更に凄い文武両道になるんだよ」

 

 

 ネプギアがロムとラムを鼓舞するように元気よく言うと、「よーし、わたしもみんなと一緒に心技体で文武両道を目指すわよ」とラムが元気よく左手を上げて、「みんなと一緒に頑張る(こくこく)」とロムが頷く。

 

 

「まずはみんな揃って一人前。次に一人一人が一人前に成長すれば万能。更に成長を続ければバランスブレイカーよ」

 

 

 気付けばインタビューを終えたユニがネプギア達の話に加わっていた。

 

 

「皆さんの志の高さ、確かに聞かせてもらいました。今週も良い記事が書けそうです」

 

 

 その後ろでは、しっかりネプギア達三人の話を聞いていたファミ通がメモを取りながら嬉しそうに頷いていた。

 

 

***

 

 

 

 ギャザリング城に戻ったネプギア達は他のメンバーと共に朝食をとっていた。

 

 

「おいしー!」

 

 

 食事を口に運びながらラムが感嘆の声を上げる。

 

 

「ね、運動してから食べる、朝ご飯って美味しいでしょ?」

 

 

ネプギアがにこやかに言うと、「いくらでも食べれる(もぐもぐ)」とロムも、もぐもぐとご飯を食べる。

 

 

「でも、食べ過ぎはダメよ。ちゃんと自己管理しなさい」

 

 

 ユニはそんなロムとラムに注意を飛ばすと、「「はーい」」とロムとラムは素直に返事をする。

 

 

「……朝のジョギングって、やっぱりダイエットに良いですか~?」

 

 

 コンパは少し恥ずかしそうに質問すると、「それはもう。凄く良いと思いますよ」とネプギアは晴れやかな顔で答える。

 

 

「やっぱりそうですか~、走るのは苦手ですけど、わたしも頑張ってみるです」

 

 

 コンパは両手で小さくガッツポーズをしてそう言うと、「どうしたの? コンパ」とアイエフが質問する。

 

 

「最近、横腹のお肉が……な、なななんでもないです! ロム様とラム様も頑張ってるから、わたしも頑張らなきゃって思ったです!」

 

 

 コンパは何かを言いかけたが慌てて訂正するが、「コンパは今のままで十分よ」しかし、アイエフには伝わってしまったらしくアイエフはコンパをフォローする。

 

 

「あいちゃん……」

 

「コンパ……」

 

 

 見つめ合うアイエフとコンパ。

 

 

「ねー、アイエフはどうするの?」

 

 

 そこに空気の読めてないラムが口を挟む。

 

 

「えっ!? そ、そうね。コンパが行くなら私も行こうかしら」

 

 

驚きながら参加を決めるアイエフに、「あいちゃんが一緒なら、わたしも頑張れそうです~」とコンパも嬉しそうにする。

 

 

「あんみつ……やっぱりプラエもみんなと一緒にジョギングしたい」

 

 

 プラエがねだるような上目遣いであんみつを見るが、「ダメです。プラエ様に何かあったら、プロテノール様に申し訳が立ちません」とあんみつがピシャリと言い放つ。

 

 

「あうっ……」

 

 

 ガックリと肩を落とすプラエに、「まあまあ、あんみつ。気持ちは分かりますが、プラエ様の希望を叶えてあげるのもメイドとしての役割じゃありませんか?」とフィナンシェがフォローを入れる。

 

 

「フィナンシェの言うことも分かるけど、プラエ様は本当に体が強くないのよ」

 

 

 あんみつがそう言うと、「プラエ様、私はロム様とラム様にタオルをお渡しするようゴールで待ってようと思うのですが、ご一緒にどうですか?」とフィナンシェがプラエに話しかける。

 

 

「うん! やりたい」

 

 

 笑顔で頷くプラエだが、「フィナンシェ」とあんみつは困った顔でフィナンシェを見る。

 

 

「そんなに心配しなくてもいいんじゃないかしら? コンパもいるんだし」

 

 

 そこにアイエフがフォローを入れるように話に加わる。

 

コンパも、「任せて下さいっ!」と小さくガッツポーズをして意気込みを示してくれた。

 

 

「仕方ありません……。プラエ様、具合が悪かったら直ぐに言って下さいね」

 

 

 仕方なく折れるあんみつ。

 

プラエは嬉しそうに、「ありがとう、みんな」と笑顔でお礼を言うのだった。 

 

 

 

***

 

 

 

 ネプギア達は朝食を済ませた後に広間に集まっていた。

 

 

「今日のお仕事は、オオトリイ洞窟に住み着いたゴブリンの群れの退治です」

 

 

 イストワールがキーボードを操作するとホログラムが現れ今日の仕事の説明が開始される。

 

【オオトリイ洞窟】とはギャザリング城とプラネテューヌ首都との中間にある洞窟である。

 

かなり広い洞窟で、幅も高さも10mを超える大きさだ。

 

 

「ゴブリンか……個々の戦闘能力は低いけど、集団で来られると厄介ね」

 

 

 アイエフはそう言うと腕を組みながら右手をあごにあて考え込む仕草をする。

 

【ゴブリン】とは醜く邪悪な平均身長150cm程度人型の小人の種族。

 

高い知能があり、独自の言葉を話し、人間の言うことも多少は理解しているとされている。

 

数が多く群れをなしていて集団戦を得意とする。

 

人型ではあるが野蛮で邪悪な為、デミヒューマンではなくモンスターとして認識されている。

 

 

「今日もわたし達だけで戦うの(おろおろ)」

 

 

 ロムは不安そうに両手を握って祈るような姿でイストワールに問いかけると、「大丈夫よ。わたし達女神候補生は無敵なんだから」とラムがロムを励ますように腕を組んで自信満々に言い放つ。

 

 

「基本的にはその方向です。ですが、状況によって上手く立ち回りましょう」

 

 

 イストワールは落ち着いながらそう言うと、ファミ通が、「そうだね。数も多いだろうし、昨日みたいな露払いだったら任せてよ」とロムとラムに向けてサムズアップしながら言う。

 

続けてプラエも、「プラエもお手伝いするからね」と言う。

 

プラエの本心は女神候補生と一緒に戦いたいが、イストワールとあんみつに女神候補生が先頭に立って戦うことが大事なことだと説明されているので素直に従っている。

 

 

「うん、ありがとう、プラエ、ファミ通」

 

 

 ラムがそう言うとロムも「頼りにしてるね」と安心したように言う。

 

 

「それでは出発しましょう」

 

 

 ネプギアがそう言うと彼女達はオオトリイ洞窟に向けて出発する。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 アイエフのバイクとコンパとファミ通の車で洞窟の前に辿り着く一行。

 

 

「まずはいつもの戦力確認です」

 

 

 イストワールがそう言うと各人がレベルの申告をする。

 

全員のレベルを確認すると、「全員29かー。みんな順調に成長してるね」とファミ通がメモを取る。

 

 

「ボスさんを倒したのはギアちゃん達なのにわたし達まで経験値をもらって、何だか申し訳ない気分です~」

 

 

 コンパがそう言うとネプギアが、「気にしないで下さい。コンパさん達もレベルが上がってもらわないと、いざという時困りますし」と言う。

 

敵を倒すことで得られる経験値は、直接戦闘に参加しなくてもパーティを組んでいれば入手できる。

 

その為、ボスと直接戦っていないコンパ達にも経験値が入りレベルが上がっているのだ。

 

 

「そうね、いざという時は当てにしてちょうだい」

 

 

 アイエフがそう言うと、「アイエフさんにそう言ってもらえると心強いです」とネプギアが嬉しそうに言う。

 

 

「戦力確認も済んだし、そろそろ中に入りましょ」

 

 

 ユニがそう言うとネプギアを先頭に女神候補生達が先に洞窟に入り、その後ろにイストワール達が続く。

 

洞窟の中は明かりが無く、真っ暗で視界がかなり悪かった。

 

 

「真っ暗です~」

 

 

 コンパが半泣きで怖がると、「暗いの怖い……(ぶるぶる)」とロムもぷるぷると震えている。

 

 

「ろ、ロムちゃん大丈夫? 手繋ごっか?」

 

 

 ラムはロムを安心させようとそう言うが、ラム自身も怖いらしく声が震えていた。

 

 

「大丈夫、私に任せて」

 

 

 ネプギアがそう言うと、頭に付いている脳波コンをいじる。

 

すると、脳波コンが白く光り辺りを照らす。

 

 

「明るくなった」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと、「よかった……(ほっ)」とロムも安心したように言う。

 

 

「なにそれ? ライトにもなってるの?」

 

 

 ユニが不思議そうに脳波コンを見ると「うん、便利でしょ。最新のLEDなんだ」ネプギアは嬉しそうに言う。

 

 

「えるいーでー? レッド? でも、赤くないわよ」

 

 

 ラムが脳波コンを眺めながら首を傾げてそう言うと、「レッドはアール・イー・ディー【RED】だよ。LEDはライト・エミッティング・ダイオードの略で、直訳すると光を放つダイオードになるの」ネプギアが丁寧に説明をする。

 

 

「LDEって凄いね。こんなに明るい(ぴかぴか)」

 

 

 ロムが脳波コンを見ながらそう言うと、「そうでしょ! 長寿命、高信頼性、低消費電力、低発熱、小型。いいことずくめだよ」とネプギアはドヤ顔で宣伝する。

 

 

「ふええ~(あわあわ)」

 

 

 ロムは正直よくわからないが、ネプギアの自身満々の態度に圧倒されてしまう。

 

 

「出たわね。メカオタ属性……」

 

 

 ユニが少し呆れながらそう言うと、「ネプギアって本当に何でも作れるよねー」とラムは素直に感心しロムも、「ネプギアちゃんの手は魔法の手(かんしん)」と尊敬の眼差しでネプギアを見る。

 

ラムとロムはネプギアによくおもちゃや武器作って貰うこともあるので、本気でネプギアなら何でも作れると思っている。

 

 

「ネギちゃんは本当に凄いと思う。私のこの体もネギちゃんが作ってくれたんだし」

 

 

 ミクがそう言うと、「私が凄いじゃないよ。私に知識を与えてくれた先人の人達や物が凄いんだよ」とネプギアは三人の褒め言葉にも増長せずに落ち着いて言う。

 

すると、ユニが「はぁ……優等生らしい謙遜ね」とネプギアの発言に呆れながらも感心する。

 

 

「謙遜じゃないよ。例えばこのLEDも高性能な白い光を作るために青色の光を30年掛けて作ってくれた人達がいるんだから」

 

 

 そんなユニに対して力説するネプギア、そこにラムが左手を上げて「どーして、白い光を作るのに青い光がいるの?」と質問すると、ロムも「不思議?」と首を傾げる。

 

 

「ええとね、人の目には三種類の光の色を識別できる機能があって、それが赤・緑・青の三色なの。これを光の三原色って言って、この三つの色を混ぜ合わせることで他の色が出来るの。例えば赤と青を混ぜると紫になるんだよ」

 

 

 ネプギアがそう説明すると、ロムが、「じゃあ、水色は?」と質問すると、「水色は青と緑だね」とネプギアが答え、次にラムが、「ピンクは?」と質問すると「ピンクは赤を多めに、青を中ぐらい、緑を少な目に混ぜるとできるの」と答える。

 

ロムは水色が好きでラムはピンクが好きなので、二人とも自分の好きな色が気になったようだ。

 

 

「詳しいわね」

 

 

 説明をするネプギアを見ながら、ユニが腕を組んで感心すると、ネプギアは、「コンピュータのグラフィックは光の三原色で色の表現をしてるからね」と言う。

 

 

「それで話を白に戻すと、赤緑青すべてが混ざると白になるんだよ。で、赤色と緑色のダイオードは昔からあったけど青色だけなくて、それを30年掛けて作った人達おかげで白が出来るようになったんだよ」

 

 

話を聞いていたファミ通は「ネプギア様は本当に機械が好きなんですね」と言う。

 

 

「機械は色々な人の知恵や技術に触れることが出来ますから、ネジの一本、歯車の一つをとっても人の叡智が詰まっているんですよ」

 

 

 ネプギアは両手を胸に当てて想いを馳せるように言う。

 

 

「私、この時代に生まれて来て幸せだって思います。この沢山の人が築いてきた知恵や想いを次の世代に託せるよう全力で頑張りたいです」

 

 

 ネプギアは両手で握りこぶしを作り、力説にも熱が入る。

 

 

「ネプギア様は本当に王道ヒロインですねー」

 

 

 ネプギアの言葉に感心しながらメモを取るファミ通。

 

 

「ところで、その脳波コンってネプギア様の手作りなんですよね」

 

 

 続けてファミ通がネプギアに尋ねると、「はい、アクセサリーの手作りは女子の嗜みって言うじゃないですか」とネプギアが自信満々に言うが、「アンタの場合、女子力がだだ下がりだけどね……」とユニが即座にツッコミを受けてしまう。

 

 

「そんなー……」

 

 

 ガックリするネプギアに、「私は、王道ヒロインながらも一癖あって良いと思うよ」とファミ通がフォローを入れる。

 

 

「無駄話はこれぐらいにして、そろそろ行きましょ」

 

 

 アイエフがそう言うと、「まずは索敵ですね」とネプギアは気を取り直して、そう言うと右手の人差し指で魔方陣を描き始める。

 

 

「ネプギアンダムRタイプだね(じゃじゃーん)」

 

 

 ロムは少し嬉しそうにそう言うと、ネプギアは首を横に振って、「ここは足場が悪いから別の子にするの」と言う。

 

ネプギアが魔法を発動し終えると、ネプギア達の前に珍妙なロボットが出てきた。

 

ネプギアンダムと同じぐらいの大きさだが、戦車の上に人型の上半身が乗っている。

 

 

「なにこれ?」

 

 

 ラムは腕を組みながら思いっきり首を傾げて、その珍妙なロボットを指差すと、「この子はネプタンク。キャタピラによる走破性が高いから、洞窟とかの足場が悪いところの移動に向いてるの」とネプギアが説明する。

 

 

「なんかネプテューヌちゃんに似てる……かも?」

 

 

 ロムはそう言って小首を傾げる。

 

ネプギアンダムがネプギアを雑に似せたロボットなら、ネプタンクはネプテューヌを雑に似せたロボットであった。

 

手はおなじみの二本指のマジックハンドで、その姿はやはり昭和初期のブリキのロボットを彷彿させる。

 

 

「うん! これはお姉ちゃんがモデルなんだ」

 

 

 ネプギアは嬉しそうにそう言うが、「アンタ、デザインセンス無いわよ……」とユニが呆れた声を出す。

 

 

「他にもネプキャノンっていうのも用意してあって、三機そろって【N作戦】って名前付けてるんだ~♪」

 

 

 ネプギアは嬉しそうにそう話すが、ユニは「そう……」と素っ気ない返事をする。

 

ユニのネプタンクへの評価は芳しくないようだ。

 

 

「このままネプギアンダムが活躍したら【プラネテューヌの白いヤツ】とか言われちゃうのかな~♪」

 

 

 ネプギアは目を輝かせて妄想の世界に入っているようだ。

 

そこにユニは、「ていっ!」と頭にチョップする。

 

 

「ユニちゃん、痛~い!」

 

 

 ネプギアは涙目で抗議するが、ユニはそれを無視して、「変な妄想してないで、さっさと偵察出しなさいよ」と少しキツイ口調で言う。

 

 

「だからって、ぶつことないのに~」

 

 

 ネプギアはふて腐れながらもネプタンクの電源を入れる。

 

するとネプタンクの目の部分が光り前進を始める。

 

 

キュラキュラキュラ……

 

 

 ネプタンクはキャタピラを鳴らしながら、でこぼこの悪路をものともせずに進んでいく。

 

その後、ネプタンクを先行で偵察させて洞窟の中を探索する。

 

 

ピピピピ!

 

 

 暫くしてNギアから電子音が鳴る。

 

 

「ネプタンクから報告。この数はゴブリンの群れだよ」

 

 

 ネプギアがNギア取り出すと敵の反応があったことを伝えるとラムが、「オッケー。データリンクよろしくね」と言いながら、ポシェットからゲーム機を取り出す。

 

続いてユニもロムもゲーム機を取り出す。

 

 

「すごい数(めそめそ)」

 

 

 敵の数の多さに涙目になるロム。

 

ネプタンクから送信された地図にはこの先に大きな広間があり、そこにゴブリンが群れているようだ。

 

広間を中心に数々の小部屋が繋がっており、そこにははおびただしい数の敵の反応を示す光点があった。

 

その数は画面に500以上の数字で示されていた。

 

 

「これぐらいで泣きごと言わないの」

 

 

ユニはそんなロムを励ますように言う。

 

 

「えーと、わたし達が四人で敵が500だから……一人で何体倒せば……」

 

 

 ラムが指で何とか計算をしようするが、「こういう時は割り算を使うんだよ」ネプギアがそう言ってNギアを操作すると、ペンライトのようなアイテムがネプギアの手に握られる。

 

これはプラネテューヌで開発された光学式のチョークで、書いた後もすぐに消せる優れものである。

 

ネプギアはそれを手にしゃがみ込むと地面に4と500の数字を書き筆算を行う。

 

 

「ふんふん……」

 

 

 そう言って頷くラムに「うんうん……(ふむふむ)」興味津々でそれを覗き込むロム。

 

続けてプラエも、「へー……」と言ってネプギアの筆算を眺める。

 

 

「まるで家庭教師ね」

 

 

 アイエフが呟くと、「ギアちゃんなら、いい先生になれそうですー」コンパも同じ感想なようだ。

 

ロムとラムとプラエに、一つ一つ丁寧に教えていくネプギアの姿は家庭教師のようだった。

 

 

「だから、答えは125になるの。わかった?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「わかったー!」とラムが両手を上げ、「うん、わかった(こくこく)」とロムも頷き、「流石はネプギアお姉さん」とプラエが目を輝かせて返事をする。

 

三人ともネプギアの説明で答えを理解出来たのが嬉しいようだ。

 

 

「じゃあ、例題やってみようか?」

 

 

 ネプギアがそう言うとロムは右手を上げて、「うん(どきどき)」とラムは左手を上げて、「やるやるー!」と二人して喜んで言う。

 

プラエも、「プラエに出来るかな?」と緊張しながらも楽しそうな様子で言う。

 

 

「なにやってるのよ!」

 

 

 地面に数式を書こうとしているネプギアにユニがツッコミを入れると、「あ、ごめんね。今はクエスト中だったね」とユニのツッコミで我に返ったネプギアはクエスト中であることを思い出し謝る。

 

 

「なんか、ほのぼのしちゃったね。こういうのも良い記事になるよ」

 

 

 ファミ通が今の光景をメモしながら言う。

 

 

「一人で125体倒せばいいのね」

 

 

 ラムはネプギアの割り算で理解した答えを自信満々に言い放つと、「割り当ても大事だけど、アタシ達はチームとして協力することを忘れないで」ユニはそんなラムに釘を刺すように言う。

 

 

「大丈夫よ。わかってるわ」

 

 

 ラムは素直に返事をするがロムは、「でも。125って凄く多い……(ぶるぶる)」と怖がっているようだ。

 

 

「ロムちゃん、みんなで戦えば平気だから元気出して」

 

 

 ネプギアは優しい声でロムを励ますと、「……うん、がんばる(ぐっ)」ロムもやる気を取り戻したようだった。

 

 

「じゃあ、作戦立てよっか?」

 

 

 ネプギアがそう言うとラムが左手を上げて、「おー!」と答えて女神候補生達はゲーム機で作戦を立て始める。

 

 

 

***

 

 

 

 ユニがライフルを暗視狙撃モードに変更して、伏せ撃ちの態勢でスコープを覗いている。

 

スコープには尖った大きな耳と鼻を持ち、割けたような大きな口を持った小柄な人型の姿が映っていた。

 

 

 これがゴブリンである。

 

ネプタンクからの情報では広間の前に二匹のゴブリンが見張りとして配置されていた。

 

ユニはレティクルを動かして、一匹のゴブリンに狙いを定める。

 

 

「相変わらずゴブリンってキモいわ……絶対性格悪いわよね」

 

 

 ユニがポツリともらすと、「確かにちょっと怖いけど、見た目で判断するのは良くないよ」とネプギアがユニの発言をやんわりとフォローする。

 

しかし、「でも、ゴブリンって悪いヤツでしょ?」とラムが言い「……お姉ちゃんもそう言ってた(こくこく)」とロムも言う。

 

 

「これから戦う相手をフォローしてどうするのよ……」

 

 

 その上アイエフにも呆れられてしまうが、「わたしはギアちゃんと同じ意見です~。見た目だけで判断しちゃダメです」と基本的に優しいコンパはネプギアと同意見のようだ。

 

 

「ネプギアさんとコンパさんの言うことも一理ありますが、ゴブリンは邪悪な種族です」

 

 

 イストワールはネプギアの言うことを理解しつつもゴブリンは悪と断ずると、「ゴブリンの悪事だけで増刊号が作れるよ」とファミ通もゴブリンに同情の余地はないようだった。

 

 

「現に、ここのゴブリンに農作物が荒らされ近隣住民も怯えています。ネプギアさん、女神様として正しい判断をお願いします」

 

 

 イストワールはネプギアを窘めるように言うと、「……すみません」ネプギアはしょんぼりして謝ってしまう。

 

 

「ネプギアは悪くないわよ。ネプギアは優し過ぎるから仕方ないのよ」

 

 

 ラムがそう言うと、「ネプギアちゃんをイジメちゃダメ(めっ!)」とロムもイストワールに抗議する。

 

プラエは、「ネプギアお姉さんは何も悪いこと言ってないよ」とネプギアを励ますように言った。

 

 

「女神様は時には厳しい判断を下さなければならないこともあります。ゴブリンなどの俗物に私情を掛けるようでは務まらないのです」

 

 

 しかし、イストワールは態度を変えないが、「まあまあ、イストワール様。この子達はまだ子供ですし」とアイエフがその間に入ってフォローする。

 

 

「……そうですね。ネプギアさん申し訳ありません。私の言い方が少し厳しかったようです」

 

 

 イストワールは頭を下げて謝ると、「いーすんさんは悪くないです。私がいつまで経っても未熟者なのがいけないんです」とネプギアが言う。

 

ネプギアは、イストワールは自分のことを心配して言ってくれたことだと分かっていた。

 

しかし、心優しい彼女は人間の言葉をある程度理解しているというゴブリンと話し合えないかという気持ちが多少はある。

 

とは言え、イストワールが先程言ったように既に実害が出ているので、キッチリ討伐すべきだと気持ちを切り替えた。

 

 

「おしゃべりはそこまでよ、ターゲットロックしたわ」

 

 

 ユニが話を打ち切るようにそう言うと、ネプギアが、「うん、わかった。ロムちゃんラムちゃん、作戦開始だよ」と言って前方に駆け出す。

 

 

「「うん!」」

 

 

 ロムとラムは声を揃えてネプギアに付いて行く。

 

 

「見えた」

 

 

 走るネプギアの視界に、広間の入り口で見張りをする二体のゴブリンが映ると同時に後方で、「狙い撃つわ」とユニが銃を放つ。

 

 

ズキューン

 

 

「ギギッ!」

 

 

 ハイドアタックとヘッドショットを決められた一体のゴブリンは753ダメージを受けて即戦闘不能になる。

 

 

「ギー!」

 

 

 相方の様子で異常を感じた、もう一体が本隊に連絡しようと走るが、「捕まえた、そこ!」とユニが素早くレティクルを動かし照準をゴブリンの後頭部に合わせると銃を撃つ。

 

 

ズキューン

 

 

「ギュアーー」

 

 

 またもユニのハイドアタックとヘッドショットが決まり、ゴブリンは762ダメージを受けて戦闘不能になる。

 

ユニは見張りの二体を本隊に連絡させることなく倒すことに成功した。

 

ネプギア達はユニが銃を撃つ間も走る速度を緩めずにそのまま走り続け、彼女達の視界に広間でたむろするゴブリンの本隊が映る。

 

 

「よーし! 突撃ぃ~」

 

 

 ラムが元気いっぱいにそう言うと、続けて、「……光の雨よ、邪悪な者を浄化せよ……シャイニングレイン!」と叫ぶ。

 

するとゴブリンの本隊に白く輝く光の雨が降り注ぐ。

 

更にロムが、「光の矢よ敵を撃て! シャインアロー!(ぴかーん)」と叫ぶと、ロムの杖から白く輝く無数の光の矢がゴブリン達を目掛けて飛んでいく。

 

【シャイニングレイン】は光の雨を降らせる魔法。

 

【シャインアロー】は光の矢を放つ魔法。

 

両方とも光属性の攻撃魔法である

 

 

「ギー!」

 

「キャー!?」

 

 

 縦から光の雨が降り注ぎ、横から光の矢が連射され、ゴブリンの本隊が眩い光に包まれる。

 

奇襲を受けた上に光属性に弱いゴブリン達は400以上のダメージを受けて悲鳴を上げながら右往左往する。

 

 

「ごめんなさい!」

 

 

 混乱するゴブリン達にネプギアが斬りかかる。

 

 

「ギキャー!」

 

 

 ゴブリンは袈裟切りに切り裂かれ291ダメージを受ける。

 

戦闘不能になるゴブリン。

 

ロムとラムから奇襲を受けていた個体なので合計で700以上のダメージを受けたことにより戦闘不能になったようだ。

 

ネプギアはこの状況を見てゴブリン一体のHPは約700前後だと推定した。

 

 

「たあああああ!」

 

 

 更に前進しながら、次々とゴブリン達を斬り捨てるネプギア。

 

手当たり次第攻撃しているように見えるが、ちゃんとロムとラムが弱らせた個体を狙って、戦闘不能なゴブリンの数を増やしていく。

 

奇襲を掛けられたゴブリン達は、右往左往したり逃げ出したりと、完全に混乱しているようだ。

 

 

「ギギギィ!」

 

 

 しかし、混乱の中でも果敢にも応戦しようとするゴブリンも何匹かいた。

 

ネプギアは目の前のゴブリンを斬りながら左手にボムを出す。

 

 

「えいっ!」

 

 

 ネプギアは応戦しようとするゴブリンが居る場所にボムを投げる。

 

 

ボカーーン!

 

 

「ウギャー!」

 

 

 応戦しようとしていたゴブリン達はボムの爆発に巻き込まれ250近いダメージを受ける。

 

ここでも、ロムとラムに攻撃を受けていた個体は戦闘不能に陥る。

 

ボムの爆音でゴブリンの群れはさらに混迷する。

 

 

「ネプギア、ガンガン行っちゃえー!」

 

 

 ラムがそう言うとロムも、「わたし達が援護する」と二人でネプギアに声援を送りながら、シャイニングレインとシャインアロー攻撃して援護する。

 

その後ろで、「おおー、奇襲成功ですね」とファミ通が感嘆の声を上げる。

 

ネプギアが敵陣に斬り込んだので、後方にいたユニやファミ通達もロムとラムのところまで来たのだ。

 

 

「ユニ様が見張りを潰して、ロム様とラム様が混乱させてネプギアが斬り込むって作戦ですか。なかなか良い作戦ですね」

 

 

 アイエフが腕を組みながらネプギア達の作戦を分析して感心をすると、「それだけじゃないわよ」とユニはウインクしながら答える。

 

 

「他にもあるんですか~?」

 

 

 コンパがユニに質問すると、ピピピピ!とユニの携帯ゲーム機から電子音がする。

 

 

「パターン赤。ゴブリンの指揮官ね」

 

 

 ユニはゲーム機の画面を見ながら、そう言うと膝撃ちの態勢でスコープを覗き込む。

 

 

「なるほど……ネプギアさんはただ闇雲に斬り込んでいた訳ではないんですね」

 

 

 イストワールは頷きながらそう言う。

 

どうやらユニの考えが分かったようだった。

 

 

「どういうこと?」

 

 

 プラエがイストワールに質問すると、イストワールは敵陣でゴブリン達と戦うネプギアを指差す。

 

 

「ネプギアさんは斬り込みながら、敵の指揮官の位置を探っていたんです。そこをユニさんが狙撃すると言うことですよね」

 

 

 イストワールはそう言いながらユニの方を向く。

 

 

「そういうことです」

 

 

 ユニはそう言って頷く。

 

ゴブリンは集団戦を得意とする性質上、必ず指揮官がいる。

 

指揮官がいれば強力な軍隊として機能するが、逆に指揮官さえ倒してしまえば後は烏合の衆と化する。

 

ネプギアの目視と脳波コン録画機能を使って敵を観察し、戦いながら指揮官を探していたのだ。

 

そして指揮官を見つけたのでNギアからユニの携帯ゲーム機に情報を送信したのだ。

 

 

「あそこね!」

 

 

 ユニはスコープで敵の指揮官を確認する。

 

そこには兜を被った一際目だったゴブリンがいた。

 

指揮官ゴブリンは周囲を宥めようと指示を出しているようだ。

 

このまま放っておいたら統率を取り戻す可能性がある。

 

 

「よし、行ける」

 

 

 ユニはそう言うと銃のトリガーを引く。

 

すると緑の信号弾が発射される。

 

この場合の緑の信号弾は指揮官を捉えて狙撃可能だと言う意味である。

 

 

「早い! 流石ユニちゃん」

 

 

 信号弾を確認したネプギアは、指揮官の位置の送信から僅か数十秒で捉えたことに感嘆する。 

 

そしてネプギアは、ビームソードを下段に構えると一気に上に振り上げ、「スラッシュウェーブ!」と叫ぶ。

 

すると地面に巨大な衝撃波が発生する。

 

衝撃波は直進し、進路上のゴブリンを薙ぎ払う。

 

400前後のダメージを受けて次々と消滅するゴブリン達。

 

【スラッシュウェーブ】は衝撃波で直線上の敵を薙ぎ払うネプギアの剣技である。

 

 

「流石よ、ネプギア」

 

 

 スラッシュウェーブでゴブリンが消滅したことにより、指揮官までの射線が空いたことを確認したユニはネプギアを称賛する。

 

 

「華麗に決めるわ」

 

 

 ユニはそう言うと銃を撃つ。

 

 

ズキューン

 

 

「ギギギャーーーー!」

 

 

 指揮官ゴブリンの頭に弾丸が当たる。

 

弾は兜を貫通し、指揮官ゴブリンは頭から血を流し絶叫を上げる。

 

 

「……くっ……浅い!?」

 

 

 ユニはそう言って唇を噛む。

 

仕留めた手応えを感じていなかったのだ。

 

 

「ググググ……」

 

 

 715ダメージを受け頭から血を流しながらも後退する指揮官ゴブリン。

 

指揮官だけあって他のゴブリンよりHPが高いようだ。

 

 

「もう一発っ!」

 

 

 ユニは素早くレティクルを動かし再び指揮官ゴブリンに照準を合わせる。

 

 

ズキューン

 

 

 ユニは続けて狙撃をするが、「ギギッ!」と下っ端ゴブリンが射線に割り込んで妨害する。

 

下っ端のゴブリンは299ダメージを受けて戦闘不能になるが、指揮官ゴブリンの周りには次々と護衛が集まってきてしまった。

 

 

「ロム、ラム! プランBに変更よ。ネプギアの退路を確保して!」

 

 

 ユニは二発目の狙撃が外れたことで作戦の変更をロムとラムに指示する。

 

同時に作戦失敗を示す黄色い信号弾を発射する。

 

 

「ユニちゃんが外した!?」

 

 

 ネプギアは信号弾を見てユニが指揮官ゴブリンを仕留め損ねたことに驚く。

 

 

「えー、ユニちゃん、カレーに決まらなかったの?」

 

 

 ガッカリするラムに、「……カレーが失敗したらどうなるんだろう……ハヤシライス?」とロムが首を傾げる。

 

 

「食べ物の話は止めなさい! あと、カレーとハヤシライスは材料が全然違うから!」

 

 

 ユニはロムとラムを軽く叱りながらツッコミをする。

 

 

***

 

 

 ユニ、ロム、ラムは三人でゴブリンの群れの中にいるネプギアを援護して、退路を確保しようとする。

 

ゴブリン達が統率を取り戻す前にネプギアを退却させる必要があるので三人共必死で銃と魔法を連射する。

 

 

「ラム、弾幕薄いわよ! なにやってるの!?」

 

 

 ユニが射撃をしながら、ラムに檄を飛ばすと、「むー! やってるわよ!」とラムが答えながら、シャイニングレインの詠唱スピードを上げる。

 

 

「ユニさん、プランBはどうなっていますか?」

 

 

 そこにイストワールがあごに右手を当てながら考える仕草をしながらユニに作戦を尋ねる。

 

 

「ゴブリン達の混乱が収まる前に先行したネプギアを帰還させて、通常のフォーメーションで防戦します」

 

 

 ユニは援護射撃をしながらそう説明する。

 

通常のフォーメーションとはフェンリルやガダンム戦で見せた女神候補生達のスタンダードフォーメーションである。

 

前衛のネプギアを壁にしてZOCとヘイトコントロールで敵を防ぎつつ、ユニとラムは攻撃に集中し、ロムは攻撃に参加しつつもネプギアのHPが著しく減少した時に備えていつでも回復魔法が使えるようにしておく。

 

 

「……ふむ……撃退は可能だと思いますが、いささか効率が悪いですね。体力は大丈夫ですか? 敵はまだたくさん残っていますよ」

 

 

 イストワールがそう言うと、ユニは、「ラムの広範囲魔法を上手く使って効率的に立ち回れば問題ないと思ってますけど」と言う。

 

 

「そうですね……しかし、ファミ通さんの記事にするのには、華に欠けると思いませんか?」

 

 

 イストワールとがそう質問すると、「確かに華麗じゃない泥仕合ですけど、アタシがミスしたんです。記事にもそう書いてもらってもいいですよ」とユニは自分のミスだと素直に認めている。

 

 

「大丈夫よ。ユニちゃんミスは、わたしのエターナルフォースブリザードで一網打尽にしてフォローしてあげるわ」

 

 

 ラムがそう言って左手で魔法を放ちながら右手でVサインを決めると、ロムも、「みんなで助け合い(ぐっ)」と言って右手で魔法を放ちながら左手でVサインを決める。

 

 

「ワンワンフォーフォーオーオーだよ!」

 

 

 ラムは自信満々にそう言うと、「なによ? その動物の鳴き声みたいなのは? アタシが昨日言ったのはワン フォー オール オール フォー ワンよ」と少し呆れながら言うと、「そう! それそれ!」とラムが頷く。

 

 

「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために……だよ(にこにこ)」

 

 

 ロムはそう言ってニッコリと微笑む。

 

ロムもラムも昨日にユニが言ったこの言葉が自分達に合っているので気に入ったようだ。

 

 

「うん、それで良い記事が書けると思うよ。イストワール様は何が不満なんですか?」

 

 

 ファミ通が首を傾げてイストワールに質問すると、「防戦では勝てたとしても逃げ出すゴブリンも多くいるでしょう。邪悪なゴブリンは後々禍根を断つ為に出来るだけ駆除してもらいたいのです」とイストワールは冷徹にそう言う。

 

昔から生きているイストワールはゴブリンの悪事をよく知っているので、まるで害虫のような扱いだ。

 

 

「イストワール様は殲滅戦がお望みなんですね」

 

 

 アイエフがそう言うと、「イストワールさん少し怖い……」とプラエが身震いをした。

 

すると、「じゃあ、プランCに変更して、女神化して圧倒します」とユニが言う。

 

ネプギア達は、もしプランBの防戦が上手く行かなかった為にプランCという奥の手を残していたのだ。

 

 

「なるほど、三段構えの作戦だったのですね」

 

 

 イストワールは納得するが、「ですが、もっと華麗にゴブリンを殲滅する方法があります」と言う。

 

 

「もったいぶらないで教えてほしいです~」

 

 

 コンパは足踏みしながらそう言う。

 

彼女は先程からのイストワールの焦らすような会話について行けず、早く結論を言って欲しいようだ。

 

イストワールも別に意地悪く遠回りな言い方をしている訳ではなく、出来ればユニ達に自分の意図を気付いて欲しかったのだ。

 

 

「コード、スペリオルアンジェラス・ゼロの発動をお願いします」

 

 

 イストワールがそう言うと、「でも、あれは……」とアイエフが腕を組んで難しい顔をするが、「私達が協力します」とイストワールは即座に答える。

 

 

「わかりました。それじゃあ、援護お願いします」

 

 

 ユニは頷いてイストワールにそう言うと、ラムも、「わかったわ」と頷き、ロムも、「了解(びしっ)」と言って敬礼をする。

 

 

「どうすればいいの?」

 

 

 プラエが質問すると、「敵の中央部に突撃し、一気に殲滅します」イストワールが答える。

 

 

「簡単に言いますけど、そんなこと出来るんですか?」

 

 

 疑問顔のファミ通に、「可能よ」とアイエフが自信満々な顔で答える。

 

 

「あ、マークツーストライクみたいなものですか?」

 

 

 ファミ通は以前のハネダシティで放ったマークツーストライクを思い出してそう言うと、「もっと凄いのです~」とコンパも自信満々に言う。

 

 

「わかった。信じるよ」

 

 

 ファミ通が納得すると、「まずはネプギアさんに合流します。みなさん、いいですね?」とイストワールが言う。

 

 

「了解しました!」

 

 

 アイエフが力強く頷くと、「はいです!」とコンパも続いて頷き、「任せてよ!」とファミ通がサムズアップをし、「わかりました」とプラエが頷き、「プラエ様、無理は禁物ですよ」とあんみつが言い、最後にミクが、「ネギセイバーの切れ味を見せる時が来たね」と嬉しそうに言う。

 

六人はそれぞれの武器を呼び出して、戦闘態勢をとる。

 

 

「久しぶりに前に出るわよ」

 

 

 ユニはそう言って銃をマシンガンモードに変更する。

 

いつもは遠距離射撃をメインにする彼女だが、普段からトレーニングを積んでいる彼女の身体能力は高く、ネプギアと会う以前の一人で戦っていた頃は、銃と蹴り技と組み合わせる回避タンクに近い戦い方をしていた。

 

その後ネプギア達と出会い、女神候補生というチームの中で狙撃という役割分担を果たす為に後衛に下がったのである。

 

まだ幼くて危なっかしいロムとラムの面倒を見るという意味もある。

 

 

「突撃よ!」

 

 

 ラムがそう言うと全員が一斉に前に駆けだす。

 

前衛はアイエフ、ファミ通、あんみつ、銃をマシンガンモードにしたユニとネギセイバーを持ったミク。

 

後列をイストワールとコンパとロムとラムとプラエにして、先行したネプギアと合流する為に突撃する。

 

 

「どきなさい!」

 

 

 アイエフがカタールで正面のゴブリンを切り裂くとクリティカルヒットで523ダメージが当たり、続けてミクが、「みくみくにしてあげる!!」とネギセイバーでゴブリンを袈裟切りにすると189のダメージが当たりゴブリンが一匹戦闘不能になる。

 

 

「奥義、孤月剣!」

 

 

 あんみつの孤月剣がゴブリンに命中すると、353のダメージが当たり、続けて、「邪魔だよ!」とファミ通がその後ろに居たゴブリンをエビで横殴りにすると201ダメージが当たり、次にプラエが「お願い、クロックチェーン」と鎖でゴブリンを打ち据えると171のダメージが当たり、こちらのゴブリンも戦闘不能にする。

 

 

「乱れ撃つわ!」

 

 

 マシンガンの連射で掃討するユニ。

 

いつもの狙撃と違い、狙いは定めず弾をばら撒き弾幕を張る。

 

一発一発は二桁程度のダメージだが攻撃回数が多く、更に広範囲をカバーしていた。

 

 

「痛いのいくですよー!」

 

 

 コンパはユニがHPを削ったゴブリンに狙いを定め、注射器から高圧縮された液体が飛ばす。

 

液体はゴブリンを貫き173のダメージを与えて戦闘不能させる。

 

ヒーラーのコンパは攻撃力が低いのでユニと連携して、弱った敵のトドメを刺す役割に徹している。

 

 

「シャイニングレイン!」

 

 

 前衛が攻撃をしている間に魔法の詠唱を終えたラムが魔法を放つと、続けて、「シャインアロー(びゅんびゅん)」とロムも魔法を放つ。

 

最初の奇襲の時にも見せたシャイニングレインとシャインアローのコンビネーションで広範囲に400以上のダメージを与えてゴブリン達を戦闘不能にする。

 

 

「……我が記憶に眠る輝く白光よ……その力を持って、敵を貫け……光の記録よ」

 

 

 続けて魔法の詠唱を終えたイストワールも手から白く輝く光線を放つ。

 

【光の記憶】は光属性の攻撃魔法で、直線上の敵を薙ぎ払う。

 

光線に焼かれた直線上のゴブリンは500近いダメージを受けて次々と戦闘不能になる。

 

広範囲の魔法でゴブリンが倒れ、道が開けると、その先にこちらに向かって来るネプギアが見える。

 

 

「みんなどうして?」

 

 

 ネプギアはユニ達と合流するが、予定と違って前進をしているユニ達に驚く。

 

 

「イストワールさんの提案でプランB変更。コード、スペリオルアンジェラス・ゼロ発動よ」

 

 

 ユニが手短に説明すると、「うん、わかった」ネプギアはユニの言葉に頷く。

 

 

「敵陣の中心部まで突撃します」

 

 

 イストワールがそう言うと、ネプギアを前衛に加えて全員でゴブリンを倒しながら前進して中心部を目指す。

 

 

「ここが中心部ね」

 

 

 アイエフが目の前のゴブリンを斬り捨てながらそう言うと、ネプギアが足を止めて、「Gビットを援護で出します。皆さん足止めお願いします」と言ってGビットを五基呼び出す。

 

 

「そうです! Gビットさんでバリアを張ればいいです」

 

 

 コンパがそう言うと、ネプギアは申し訳なさそうに、「すみません。ゴブリンが邪魔でGビットがバリアの配置につけないんです」と言う。

 

バリアを張るにはピラミッド型になるようにGビットを配置する必要があるのだが、現在の混戦ではそれができない。

 

 

「援護してくれるだけで充分よ。さあ早く!」

 

 

 アイエフがそう言うと、ネプギアは、「コード、スペリオルアンジェラス・ゼロ発動」と言って両手を広げる。

 

 

「ネプギアちゃん、ぎゅー」

 

 

 ロムはそう言いながら左手でネプギアの右手を握り、ロムも、「たーっち」と言って右手でネプギアの左手を握る。

 

次にユニが背中を向けて、右手でラムの左手を握り、左手でロムの右手を握ると女神候補生四人が背中合わせで手を繋いで円陣を組む形になる。

 

 

「皆さん、私達で暫く敵を抑えます。敵を倒すことを考えないで防戦に徹して下さい」

 

 

 イストワールが指示を出すと、アイエフ達は女神候補生達を守るように囲む。

 

時計回りに、アイエフ、コンパ、イストワール、ファミ通、プラエ、あんみつ、ミクの配置だ。

 

 

「ネプギア達には近寄らせないわよ」

 

 

 飛び掛かってきたゴブリンをアイエフがカウンター攻撃で切り裂く。

 

226ダメージが当たりゴブリンが一匹戦闘不能になる。

 

 

「近づいたら、チクッっと行くですよ!」

 

 

 コンパは注射器で突きながら近づいてくるゴブリンを警戒する。

 

175ダメージを受けたゴブリンが後退する。

 

 

「ハサミは使いようだよ」

 

 

 ファミ通が両手を突き出すと巨大なハサミが召喚され直線上のゴブリンを切り裂き300前後のダメージを与える。

 

これはファミ通が最近覚えた数少ない斬属性の範囲攻撃だ。

 

 

「シャインラッシュ!」

 

 

 イストワールはチャージ時間の無い速射性の高い光属性の魔法を連射して弾幕を張る。

 

ユニのマシンガンの連射と同じくダメージは小さいが攻撃の回数と範囲でカバーしていた。

 

コンパの弱らせたゴブリンが消滅していく。

 

更にGビットの射撃が加わりゴブリン達を近づけないようにしていた。

 

 

「クロックチェーン、ディフェンスモード!」

 

 

 プラエの両手の12本の鎖がパーティーメンバーを守るように渦巻き状に回転する。

 

鎖は近づいて来たゴブリン達を弾き飛ばし、200前後のダメージを与える。

 

 

「ギギギギィィィィィ!!」

 

 

 指揮官ゴブリンが大声を上げてゴブリン達を鼓舞する。

 

すると統率を取り戻したゴブリン達が数を頼みに押し寄せて来る。

 

アイエフが一体のゴブリンを攻撃して消滅させると背後から別のゴブリンが飛び掛かる。

 

 

「ぎいっ!」

 

 

 飛び掛かったゴブリンがアイエフに棍棒で殴りかかる。

 

 

「くっ……」

 

 

 何とか両手でブロックするアイエフだが、35ダメージを受けると、同時に二匹のゴブリンが棍棒で攻撃してきて更に70近いダメージを受けてしまう。

 

 

「ちいっ! 数が多い!」

 

 

 HPが四割程減少したアイエフは舌打ちをする。

 

その隣でファミ通が、「この数は流石にキツイね……倒しても倒してもキリがないよ」とあごに流れた汗を拭う、度重なる交戦で疲労が溜まっているようだ。

 

以前に交戦した植物系モンスターの種の連射以上の猛攻にアイエフ達はスタミナを回復する間もなく次第に動きが鈍くなっていく。

 

通常の戦闘なら敵もスタミナ管理をする必要があるので、こちらもスタミナを回復する時間もあるが、次々とスタミナ満タンのゴブリンが押し寄せてきてはそうも行かない。

 

統率を取り戻したゴブリンは数を活かした同時攻撃と戦力の随時投入で、ジワジワとアイエフ達を追い詰めていく。

 

 

「か、回復するです~」

 

「天の恵み!」

 

 

 イストワールとコンパも回復に回っているが回復が追い付かない。

 

完全に防戦一方になり、イストワール達のHPは五割を切っていた。

 

Gビットも援護をするが、ゴブリンの勢いは止まらない。

 

 

「ぎぃぎぃ~!」

 

 

 優勢になって調子に乗ったゴブリンがコンパのスカートを引っ張る。

 

 

「いや~、引っ張っちゃダメです~!」

 

 

 コンパはスカートを押さえて必死に抵抗する。

 

 

「ギギギィ!」

 

 

 今度はファミ通に後ろから抱きつくゴブリン。「うわわ! これ以上は年齢別レーティングZだよ」とファミ通は上体を左右に振ってゴブリンを振り解こうとする。

 

 

「ギギ~」

 

 

 又、別のゴブリンは二人がかりでアイエフのコートを引っ張ってコートを脱がそうとする、「くぅ~! や、止めなさい!」アイエフは抵抗するがコートが脱がされてしまう。

 

 

「くっ! 不埒な!」

 

 

 ゴブリンたちに着物の裾を引っ張られた、あんみつが悔しそうに言う。

 

 

「やはりゴブリンは卑しい種族です!」

 

 

 イストワールはゴブリンの行動を批難すると、ゴブリン達がイストワールに小石を投石をしてくる。

 

 

「あうっ!」

 

 

 投石がイストワールの頭に当たるとイストワールは当たった箇所を押さえながらよろめく。

 

 

「痛い!」

 

 

 投石の数が多くプラエの鎖の防御をすり抜けて、プラエにも石が当たる。

 

 

「ギャギャギャギャギャギャ!!」

 

 

 その様子を見たゴブリン達は愉快そうに手を叩くと、「ギャギャギャ~、ギャギャギャ~」更に、歓喜の雄叫びを上げ踊り出す。

 

その様子はイストワール達を中心にキャンプファイヤーを楽しむ集団のようだ。

 

 

「な、なに? 遊んでるの?」

 

 

 その行動を見たファミ通が不安そうに言う。

 

 

「……私達をなぶり殺しにするつもりみたいね……それとも生かしたまま捕えて慰み者にするつもりかしら……」

 

 

 アイエフが落ち着いて言うと、「こ、怖いです~」と怯えるコンパ。

 

 

「でも、その下卑た笑いも今の内よ!」

 

 

 アイエフが強気に言うと、「その卑しい習性が命取りです!」イストワールもそれに続く。

 

それに合わせて彼女達の後ろに居る女神候補生達が輝きだす。

 

 

「やっと来ました~」

 

 

 コンパが安堵のため息を付くと、「こ、この光は?」とファミ通が驚きながら振り返って後ろの女神候補生達を見る。

 

 

「シェアエネルギーの共振よ」

 

 

 アイエフがそう言うと、イストワールが、「女神候補生のみなさんが心と力を一つにすることで起こる現象です」と説明を付け加える

 

イストワールがそう言っている間にも女神候補生達は輝き続け、その輝きは広間全体を包む。

 

 

「凄いエネルギーなのに、恐怖は感じないよ? むしろ暖かくて、安心を感じる……」

 

 

 プラエが光を眺めながら感想を言うと、「ギィィィィィ!」と異変を感じたゴブリン達が一斉に襲い掛かってくる。

 

 

ビタン!

 

 

 しかし、女神候補生達を中心にイストワール達までを守るドーム状のバリアが出来ており、ゴブリン達は近づけずに弾き飛ばされる。

 

 

「「「「スペリオルアンジェラス・ゼロ!!!!」」」」

 

 

 同時に女神候補生達が声を揃えて力を解放する。

 

 

ヒュゥゥゥゥ!!!

 

 

 バリア部を除き辺り一面が強烈な冷気に包まれゴブリンの群れは全て凍結してしまう。

 

 

ザァァァァァァァァ!

 

 

 次に大量の水が発生し、巨大な津波になってゴブリン達を襲う。

 

 

ビュォォォォォォォォ!!!

 

 

 ゴブリン達が津波に叩きつけられて凍結が解けたところに強烈な竜巻が吹き荒れる。

 

 

ゴォォォォォォォ!!!

 

 

 竜巻に巻き上げられて天井に叩きつけられたゴブリン達の真下から業火が発生してゴブリン達を焼く。

 

 

バリバリバリバリ!!!

 

 

 更に天井から稲妻が発生するとゴブリン達は稲妻によって地面に叩き落される。

 

 

ズゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

 今度は地面が大きく揺れると地面が隆起して岩の槍が無数にできると、叩き落されたゴブリン達は串刺しになる。

 

全てのゴブリンに10000以上のダメージを与えてオーバーキルMAXの表示が現れ戦闘不能にさせる。

 

 

「これは凄い! 火、水、氷、風、雷、大地、多属性の極大魔法ですよ」

 

 

 ファミ通はバリアに手を触れながら外で次々と消滅するゴブリン達に驚く。

 

プラエも驚きながら、「これ、ネプギアお姉さん達が?」と呟いた。

 

 

「これはネプギア達が初めて力を合わせた時に使った合体攻撃よ」

 

 

 アイエフがファミ通に説明すると、「スペリオルアンジェラス・ゼロです~」とコンパがドヤ顔で技の名前を呼言う。

 

 

「確か、以前にフェンリル戦で使った合体攻撃もスペリオルアンジェラスって言いましたよね」

 

 

 ファミ通が思い出したかのように言う。「はい、単体に対する強力な連携攻撃として【スペリオルアンジェラス】、集団に対する超広範囲魔法として【スペリオルアンジェラス・ゼロ】があるのです」

 

【スペリオルアンジェラス・ゼロ】とは女神候補生達が心と魔力を合わせて放つ広範囲の合体魔法。

 

さまざま属性を駆使した天変地異を起こす。

 

これはアイエフが言ったように女神候補生達の初めての合体攻撃で、これを駆使して犯罪組織と戦ったのだ。

 

その後に連携の訓練を重ねて、今のスペリオルアンジェラスを編み出すと、最初に使ったこの攻撃は原点を意味するゼロを付けて、スペリオルアンジェラス・ゼロと呼ばれるようになったのだ。

 

 

「なるほど、合体攻撃にもバリエーションがあるんですね」

 

 

 そう言いながら感心してメモを取るファミ通。

 

 

「ネプギア殿達の力は計り知れませんね」

 

 

 あんみつがそう言うと、「ネギちゃん達の本気ってこんな凄いんだ……」とミクが呆然としながら言う。

 

暫くするとスペリオルアンジェラス・ゼロのバリアが解ける。

 

 

「うわー、これは全滅だね」

 

 

 ファミ通は前に進むと辺りを見渡して、先程までうじゃうじゃいたゴブリン達がきれいさっぱり消え去ったことに感嘆をする。

 

するとファミ通の後ろにいたアイエフが、「流石にゴブリンじゃひとたまりもないわよ」と言う。

 

 

「みなさん、お疲れ様でした」

 

 

 イストワールが一礼して女神候補生達を労うと、「いーすんさん達の協力があってこそです」とネプギアはいつも通り謙虚に仲間の活躍に感謝をする。

 

 

「さて、帰りましょう」

 

 

 ユニがそう言うと、「今日は何して遊ぶ?」とラムが早速遊ぶ提案をする。

 

 

「今日はネプギアちゃんかユニちゃんの好きなことでいいよ」

 

 

 ロムが前回は自分達の要望でかくれんぼになったので、今度はネプギアとユニに譲ると言うのだ。

 

 

「プラエも何かアイデアあったら言ってね」

 

 

 ラムがプラエに向けて言う。

 

 

「ありがとう、ラムさん」

 

 

 ラムにお礼を言うプラエ。

 

その間にユニはあごに人差し指を当てながら「そうね……アタシはサバゲーがしたいわね。ネプギアとプラエは?」と自分の意見を言うと、ネプギア達にも意見を求める。

 

 

「ちょっと待って、残敵の確認が終わってからね」

 

 

 ネプギアはNギアを操作しながらそう答えるが、「スペリオルアンジェラス・ゼロでも生き残っている敵さんが居るですか~」とコンパは不思議そうに首を傾げる。

 

 

「念の為です。前にも油断してバックアタック受けたことがありますから」

 

 

 ネプギアがそう言うと「そうですね。あの時は不覚をとりました」とイストワールが頷く。

 

二人は以前にスライヌからバックアタックを受けたことを反省して残敵の確認をする。

 

 

「反応あり?」

 

 

 ネプギアが驚いたように言うと、「ウソでしょ? アレで生き残っているなんて」ユニも驚く。

 

 

「こっちだよ」

 

 

 ネプギアがNギアを見ながら前に進んで案内すると他のメンバーもそれに付いて行く。

 

ネプギアが向かった先には小さな洞穴があった。

 

 

「ぎ、ぎぎぎ……」

 

 

 そこには頭に傷を負い酷く怯えたゴブリンが一匹居た。

 

 

「ゴブリンが一匹?」

 

 

 ラムが拍子抜けしたように言うと、「すごく怯えてる……」とロムがゴブリンの怯えた様子に同情するように言う。

 

 

「……負傷して戦意喪失してココに隠れてたのね」

 

 

 ユニはゴブリンを眺めながらそう判断すると、「これなら放っておいてもいいんじゃないかな」とネプギアが言う。

 

 

「いけません」

 

 

 しかし、イストワールが即座に厳しい剣幕で否定する。

 

 

「いーすんさん?」

 

 

 イストワールの厳しい態度に驚くネプギア、「たとえ小さなものでも悪の芽は摘んでおくべきです」イストワールはネプギアの驚きを気にも留めず魔法を唱え始める。

 

その目は殺気に満ちていた。

 

 

「や、止めて下さい!」

 

 

 ネプギアは慌ててイストワールとゴブリンの間に入ってイストワールを止めようとする。

 

 

「……なぜ止めるのですか?」

 

 

 イストワールは素直に魔法を止めるが、ネプギアを厳しい目つきで見る。

 

 

「……だ、だって……かわいそうじゃないですか」

 

 

 ネプギアはイストワールの雰囲気に気圧されながらも自分の意見を言うが、「ゴブリンは害虫です。害虫相手に情けは禁物です」イストワールはキッパリと即答する。

 

 

「でも……」

 

「デモもストもありません。ここで見逃して、また近隣の住民に被害が出たらどうするおつもりですか? あなたは国民を護る女神様なのですよ」

 

 

 口ごもるネプギアに対して、イストワールは畳み掛けるように説教をする。

 

 

「イストワール厳しい!」

 

 

 ラムがネプギアとイストワールの間に割って入るが、「ラムさん、あなたは女神様のお仕事を【いい事して悪い奴を倒せば良い】とおっしゃいましたね」とイストワールは割り込んできたラムに臆することなく言う。

 

 

「……言ったけど」

 

 

 ラムは、割り込みはしたが、イストワールのあまりの厳しい剣幕に圧されてしまう。

 

 

「ゴブリンは【悪い奴で】それを倒すのは【いい事】ではありませんか?」

 

 

 イストワールはラムに問いかけると、「……えっとその……う~ん……」とラムは頭を抱えて悩んでしまう。

 

 

「私には戦意を無くして怯えている相手を斬ることなんてできません。それに全てのゴブリンが悪だと思えません、殺す以外に何か方法がある筈です」

 

 

 そこにネプギアが力強く言い放つが、「今までそのような考えの方がいなかったと思いますか? 結果は恩を仇で返され、軒を貸して母屋を取られるような悲惨な末路になっています」とイストワールは目を瞑り思い出すように言う。

 

 

「ゴブリンは悪。信用するなと言う先人の知恵です。仮に善いゴブリンがいるとしたら、それは人前に現れないゴブリンです。それに女神様のお仕事は国事です。国事に私情を挟まないで下さい」

 

 

 イストワールはネプギアを諭すように言うが、「それでも! それでも、私は可能性を捨てたくありません。あきらめてしまったら、そこで終わりだから」それでも反論するネプギア。

 

 

「……では、どうするおつもりですか?」

 

 

 イストワールはネプギアに質問すると、「私に一つ考えがあります」とネプギアは怯えるゴブリンの手を掴み洞窟の出口に向かう。

 

 

***

 

 

 

 倒れたビルに割れた空、辺りには荒廃した世界が広がっていた。 

 

ここは零次元と呼ばれる超次元とは別の世界。 

 

ネプギア達はこの零次元で一人の人物と会っていた。

 

 

「話はわかった」

 

 

 ネプギア達の目の前に腕を組んで考え込んでいる女性がいた。

 

燃えるような赤い髪をおさげにして、白いワイシャツを着崩しオレンジのネクタイを締めてショートパンツをサスペンダーで吊るして履いている。

 

瞳も燃えるような赤でキリリと吊り上がった眉は勝気な印象を受ける。

 

可愛いとか美人と言うより、男前と言う言葉が似合う女性だ。

 

 

「うずめさん、お願いします」

 

 

 ネプギアはその女性を【うずめ】と呼び頭を下げてそう訴えかけると、「いいぜ。この天王星うずめに任せておきな」とうずめは右手でサムズアップを作る。

 

彼女の名前は【天王星うずめ】。

 

この零次元の女神である。

 

男勝りでぶっきらぼうな言動だが、根は優しく義理人情に厚い少女。

 

カッコいいことをなにより優先する癖がある。

 

 

「海男もいいよな」

 

 

 うずめがそう言って顔を向けた先には、魚のような生き物が宙に浮いていた。

 

ただの魚ではなく、顔は人間で人面魚といったところだろう。

 

 

「うずめがそう望むのならば、オレも全力を尽くすよ」

 

 

 人面魚が渋くていい声で答える。

 

彼の名前は海男【うみお】。

 

うずめの相棒で、常時真顔の人面魚。

 

面白い見た目に反して、常識人である。

 

 

「よし、決まりだ!」

 

 

 うずめが右手の拳で左手の手のひらを叩きながら言うと、「ありがとうございます!」と柏手を打ってお礼を言うネプギア。

 

その横には未だに怯えているゴブリンがいた。

 

ネプギアはこのゴブリンのことを零次元で預かって欲しいと、うずめに頼んだのだ。

 

 

 以前にも話に上がっているが、うずめは二世代前の超次元のプラネテューヌの女神である。

 

彼女とネプギアの出会いは、G.C.2015にネプテューヌが拾ってきた渦巻きマークのハードにより、ネプギアとネプテューヌが零次元に飛ばされたことから始まる。

 

天王星うずめは記憶が無いが、零次元と彼女を慕うモンスターを守る為にダークメガミと呼ばれる30mを超える巨大な敵と戦っていた。

 

当初はネプテューヌを敵とみなしたうずめだが、ネプギアの説得で誤解だと分かり和解する。

 

その後、ネプギア達はうずめに力を貸すことになり、戦いの中でネプギアとうずめは友情を深めていく。

 

 

 零次元での戦いを終えたネプギアはうずめと別れ超次元に戻るが、その後にうずめに似た人物がネプテューヌ達四女神を誘拐するという事件が起こる。

 

うずめに似た人物は【暗黒星くろめ】と呼ばれ、彼女から零次元とうずめの記憶についての真相を伝えられる。

 

 

 プラネテューヌの女神だった天王星うずめは、妄想力という妄想を現実にしてしまう強力な力を持っていた。

 

その力は凄まじく、復活した犯罪神すら一人で封印してしまう程であったが、上手く制御できず街の破壊などを起こしてしまい、このままではゲイムギョウ界全体を滅ぼしかねないとのことで、自らの意思で渦巻きマークのハードの中に封印され眠りにつく。

 

 

 その際に様々な誤解から生まれたネガティブな感情が分離して出来た片割れが、暗黒星くろめとなった。

 

暗黒星くろめは、眠りについた天王星うずめの心の中に生まれた心次元と呼ばれる世界に居ながらも超次元のゲイムギョウ界を憎む。

 

その憎しみがネガティブエネルギーという力を呼び寄せ、その力と妄想力を使って超次元で自分が女神だった頃の事象を全てなかったこととして改竄してしまう。

 

 

 それにより、天王星うずめは居なかったことにされ、代わりにウラヌスという女神がプラネテューヌに誕生する。

 

だが、うずめが居なかったことに改竄された超次元では犯罪神の封印が解け、ウラヌスは他の女神と四人で力を合わせて犯罪神を封印するが、代わりに四人共命を落としてしまう。

 

その後に生まれたのがネプテューヌ達、今の四女神である。

 

 

 暗黒星くろめは犯罪神によって衰退していく超次元のゲイムギョウ界を見ながら満足していたが、犯罪神はネプギア達に敗れてしまう。 

 

その為、今度は心次元を破壊して自分自身が超次元に乗り込み、渦巻きマークのハードの封印を解いて完全体になった後に超次元に復讐をしようと次元破壊を試みる。

 

その為に生み出されたのがダークメガミだ。

 

ダークメガミの破壊は物理的なものだけではなく空間そのものを破壊する為、これにより心次元を破壊する筈だったのだが、そこに現れたのが後にネプギア達と出会うことになる零次元の天王星うずめだ。

 

彼女は天王星うずめの残った良心から生まれた存在になり、彼女はダークメガミに破壊された心次元の一部を零次元と呼び、ダークメガミと戦うことになる。

 

 

 うずめの存在はくろめにとって想定外であったが、くろめはその後も暗躍を続け、力を蓄え、ついには超次元に乗り込むことに成功する。

 

そして、四女神を誘拐してネガティブエネルギーで悪堕ちさせようと試みるが、ネプギア達とうずめによって阻止されてしまう。

 

その後も、くろめは超次元への復讐をしようとするが、ネプギア達の前に敗れる。

 

 

 だが、くろめに勝つために、うずめはくろめとの共通の命の源であった力を使い果たしてしまう。

 

うずめは自らの死を受け入れ、くろめと共に消え去るが、超次元に戻ったネプギア達は渦巻きマークのハードの封印を解いて、強引にうずめを復活させようとする。

 

一歩間違えばくろめが復活して超次元が亡ぶかもしれないが、ネプギア達はうずめが復活する可能性に賭けて封印を解く。

 

皆の願いと、うずめが死に際にネプギアに託したヴィジアルラジオのお陰で、うずめはくろめの存在を受け入れた上で復活を果たしたのだった。 

 

 

 その後うずめは超次元を旅して周る。

 

六十年以上時間が経っているので、うずめが女神だった頃は少年だった男の子は老人なっていたが、自分のことを憶えていて歓迎されたと嬉しそうにネプギア達に語った。

 

 

 旅を終えたうずめは、荒廃した零次元より平和で安全な超次元にモンスターと一緒に移住するよう勧められたこともあったが、うずめは【こんな場所でも自分達の故郷なんだ】と言って零次元の復興をすることにしたのだ。

 

零次元の復興をしながらも超次元との交流は続いており、超次元で発売された四女神オンラインでネプギア達出会ったこともあった。

 

 

「うずめ、カッコいい!」

 

 

 ラムは力強く二つ返事をしてくれたうずめのことを褒めると、ロムも、「うずめちゃんカッコいい(めろめろ)」と続けて褒める。

 

 

「だろ~! やっぱ俺ってカッコいいよな~」

 

 

 ロムとラムの称賛に満足そうに頷くうずめ。

 

 

「でも、いいの? こんなキモいヤツ預かるなんて……」

 

 

 ユニがネプギアの隣で怯えるゴブリンを見ながらそう言うと、「いいって。元からここの住人はモンスターだらけだし、そろそろスライヌやひよこ虫以外の奴も欲しいって思っていたところだ」とうずめはあっけらかんと言う。

 

零次元には、うずめ以外に人型の生物が居ない。

 

スライヌとひよこ虫という二種類のモンスターがうずめを慕って国と言うか集落を作っているのだ。

 

ちなみにここに住んでいるスライヌとひよこ虫は何故か人の言葉を理解して話すことが出来る。

 

スライヌとひよこ虫以外のモンスターもいるが、それらは超次元の野生のモンスターと変わりなく時には襲って来るので、その脅威からスライヌ達を守る為にうずめが戦っているのだ。

 

 

「それに、この零次元にはゴブリンに偏見があるヤツなんていないしな」

 

 

 うずめがそう言うと、「偏見ではありません、事実です。うずめさんもゴブリンの悪癖はお忘れになった訳ではありませんよね?」とすかさず口を挟むイストワール。

 

うずめは昔のプラネテューヌの女神なのでイストワールとも旧知の仲なのだ。

 

 

「んなもん忘れた。今日からコイツは零次元の住人としてゼロから再出発するんだ」

 

 

 うずめはズバッと言い放つと、「うずめさんカッコいい!」とネプギアは嬉しそうに目を輝かせて感心する。

 

 

「……ネプギアさん、これで問題が解決した訳ではありませんよ」

 

 

 イストワールが厳しい口調でそう言うと、ネプギアは祈るように両手を組んで「分かっています。でも、うずめさんなら……零次元でモンスターと仲良く暮らしているうずめさんならゴブリンを変えることが出来るって思うんです」と言う。

 

 

「ああ、任せておけ! この天王星うずめの熱血教育でコイツを更生させてやるぜ」

 

 

 うずめはウインクしながら再びサムズアップを決めるとニカッと笑う。

 

白い歯がキラリと輝いていた。

 

 

「はい、よろしくお願いします。このゴブリンもうずめさんに更生してもらえれば、私達と共存できるかもしれません」

 

 

 ネプギアは嬉しそうにお礼を言うが、その横ではイストワールが顔を曇らせ、「……はたしてそう上手く行くでしょうか……」と呟き、ため息を吐く。

 

その呟きを聞いていたアイエフが、「……イストワール様、ネプギア達を信じてみませんか?」と言うが、イストワールは、「私だってネプギアさんを信じてあげたいのです。ですが、それ以上にネプギアさんが傷つくのを見たくないのです」と言う。

 

イストワールはネプギアを大切に思うあまり言葉に棘がついてしまうのだ。

 

 

「オレもうずめのことを大事に思っているから、イストワールがぎあっちを心配する気持ちはよく分かる。しかし差し出がましいとは思うが、ここはうずめに任せてみてはくれないか?」

 

 

 海男が複雑な顔をするイストワールにそう言うと、「うずめもモンスター達も零次元の復興を頑張ってくれているが、やはりスライヌとひよこ虫では限界がある」と続ける。

 

 

「オレの尾びれセンサーがこのゴブリンが零次元の復興に一石を投じてくれる可能性があると感じているんだ」

 

 

 海男が更に続けて言うと、彼の尾びれがピンと尖る。

 

 

「海男さんがそこまで言うのでしたら……」

 

 

 イストワールが渋々ながら了承すると、「それじゃ話もまとまったことだし、コイツに名前付けてやらねぇとな」とうずめが元気よく言う。

 

 

「……ゴブリンか……ゴブリン……ゴブリン……」

 

 

 うずめはゴブリンを見ながら考え込む。

 

 

「そうだ! 【ゴブりん】なんてどうかな? もちろん【リン】と【りん】は掛けててるんだよ」

 

 

 うずめは両手の指を胸の前で組んで、突然乙女口調に変わるとゴブリンの名前を尻上がりに呼ぶ。

 

 

「「「「…ぽかーん…」」」」

 

 

 そのあまりの変貌ぶりに、呆気にとられるとするネプギア達だが、うずめは気にもせずに、「シンプルでチョー可愛くない? うずめ的には最高だなって思うんだよね~」と話し続ける。

 

うずめは、本来は可愛い物好きの普通の女の子なのだが、零次元の過酷な環境で仲間を守り抜く為に今の性格になった。

 

しかし、たまにこうやって地が出る時がある。

 

 

「……あ……」

 

 

 ネプギア達の様子を見て我に返ったうずめは、「えー……おほん」と咳払いをして誤魔化すと、「【ゴブっち】でどうだ?」別の名前を言う。

 

 

「えっと、【ゴブりん】で良いと思いますよ。シンプルでとっても可愛いです」

 

 

 ネプギアはうずめの最初の案を推す形で答えると、「そ、そうか? まぁ、ぎあっちが言うなら仕方ねぇなー!」うずめは右手で後頭部を掻きながらまんざらでもない様子でネプギアの案に乗る。

 

ちなみに【ぎあっち】とはネプギアのあだ名で、ユニは【ゆにっち】、ロムは【ろむっち】、ラムは【らむっち】である。

 

 

「よろしくね、ゴブりん」

 

 

 うずめは改めてゴブりんに挨拶する。

 

その目は先程の乙女チックだった。

 

 

「ぎぎ……」

 

 

 うずめの様子に若干引き気味のゴブりん。

 

 

「これで一件落着かしら」

 

 

 アイエフがため息をつくと、「ゴブりん良かったです~」コンパもゴブりんを殺さずに済んだことを安堵していた。

 

 

「……ファミ通さん、このことは記事には……」

 

 

 イストワールが複雑そうな顔でそう言うと、「書かないよ。この件は結果が出てから書かせてもらうよ」ファミ通も同じく複雑な表情でそう言う。

 

ネプギア達に比べて現実的な二人はネプギアの行動を安易に認めることができずにいた。

 

 

「……ネプギア……どうして、ゴブリンにあそこまで?」

 

 

 ユニが首を傾げて質問すると、ネプギアは胸に手を当てて、「私、この零次元でうずめさんとモンスター達が仲良くしていることに凄く衝撃を受けたの。もしかしたら、私達の世界でもモンスターと仲良くできる可能性があるんじゃないかって……」と答える。

 

 

「でも、よりにもよって、無能、邪悪、醜悪の三拍子揃ったゴブリンなんて……」

 

 

 ユニの辛辣な意見に、「いらない子なんていないよ。ゴブりんにだって何か出来ることがあると思うんだ」とフォローするネプギア。

 

 

「結局、いーすんさんに言い勝てずにうずめさんに任せることになっちゃったけど……」

 

 

 ネプギアはそんな自分を少し責めるように言うと、「ネプギアはよくやったわ、アタシだったらイストワールさんの言う通りにしてた。現にアンタが出来なかったらアタシが代わりに撃ち殺そうと思ってたし」と言う。

 

 

「……ユニちゃん……私の為に……」

 

 

 ネプギアは自ら汚れ役を買って出ようとしてくれたユニに感謝する。

 

 

「あ、あんたの為じゃないわよ! 女神としてよ女神として!」

 

 

 ユニは照れながら否定をする。

 

 

「プラエはネプギアお姉さんのしたことは正しいって思うよ」

 

 

 プラエが自信を持った声でそう言うと、「ありがとう、プラエちゃん」とネプギアはお礼を言う。

 

 

「きっと、いつかみんなが分かり合える日が来るって信じてる。ネプギアお姉さんと一緒なら、そう信じられる」

 

 

 プラエの言葉に、「うん、そうだよね。そんな日が来る為に、私は女神として頑張っているんだから」とネプギアは答えた。

 

 

「ネギちゃんは本当に優しいね」

 

 

 ミクがそう言うと、「……しかし、優しさでけでは国は治まらない……これが彼女の首を絞めることにならなければ良いが……」と、あんみつが呟く。

 

その後、ネプギア達はゴブりんをうずめに預けてギャザリング城に戻って行った。

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