新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
G.C.2021年5月30日 日曜日。
イクスにロキとニャルラトホテプが逃げ出したことにより、ネプギア達の戦いは終わりを告げていた。
救援に駆け付けたV達もほっと胸をなでおろしていた。
「Vさん、本当にありがとうございました。Vさんのお陰で助かりました」
Vの姿を見たネプギアがお礼を言うと、「礼には及びません。あなたの心と意志の強さが四大天使の認められた。私は少しその手助けをしただけです」とVが答える。
「あの……Vさん。違ってたら、ごめんなさい。もしかしてVさんって私なんですか?」
ネプギアの質問に、「そうです。私は人の道……いえ、女神としての道を踏み外した、あなたです」とVが素直に認める。
「道を踏み外すなんて、そんなことありません! Vさんが居なかったら私も同じ選択をしてた。ううん、もっと酷いことになっていたかもしれないんです!」
必死に訴えるネプギアに、「そうかもしれません。例えそうだとしても私の犯した罪は許されるものではありません。私のゲハバーンには守護女神だけでなく、フェンサー、詠巫女など数多くの魂が宿っています」とVが答える。
「守護女神だけじゃなく……」
そう呟くネプギアに、「そうです。守護女神に匹敵する意志の強さの魂ならゲハバーンの力になります。女性でなくても、男性でもその力になります。アルト、ファング、アポローネス、ガルド……皆、私を信じて全てを託してくれました」
辛そうに言うVに、「Vさん……」と呟くネプギア。
今のネプギアにはVにかける言葉が見つけられなかった。
そこにユニが、「……Vさんがネプギアとちょっと違うのは、ネプギアがアタシ達と違う女神だからですか?」と恐る恐る質問をする。
「そうです。数多くの罪を犯した私の心と体は昔の姿では耐えれなかった。強くならなければならなかった。でなければ私は私を許せなかった。その結果今の姿に成長したのです」
Vの答えに、「……そうですか……」と落ち込んだ声を出すユニ。
ネプギアが自分と違うことにショックを隠せないのだ。
「ユニさん。あなたに託したい人がいます」
Vがそう言うと、「そうか。ようやく、この時が来たか」と男性の声がすると同時に小さなオスのライオンが現れる。
すると、「この声!? ブレイブ!?」とユニが驚きの声を上げる。
ブレイブとは以前にネプギア達が戦った犯罪組織の四天王で、激闘の後にユニと和解するが命を落とす。
「彼は別の世界線で妖聖に転生しました」
Vの説明に、「妖聖ってなんですか?」とネプギアが質問すると、妖聖とは武器に宿り、妖聖の宿った武器は特殊な武器、『フューリー』と呼ばれ、それを扱うものを『フェンサー』と呼ばれます」とVが答える。
「フェンサー? 確かフェンサーって、さっきVさんがゲハバーンで……」
ネプギアがそう言うと、「はい、彼女達の高潔な意志と魂はこの剣に宿っています。しかし、彼女達のパートナーである妖聖は私が預かりました」とVが答える。
「私は別の世界線の妖聖して生まれ変わった。フューリーとしてユニの力になる」
オスのライオンがそう言うと、「え? でも、アタシは女神でフェンサーじゃないんじゃ?」とユニが言うと、「女神兼フェンサーだ。守護女神の力とフューリーを同時に扱う者だ」とオスのライオンが答える。
「本当に……本当にブレイブなの?」
ユニの言葉に、「ああ、ブレイブだ。今度こそ共に戦おう」とオスのライオンが答える。
「ありがとう。ブレイブ」
ユニはそう言うと、ブレイブの生まれ変わりのオスのライオンを嬉しそうに抱き上げる。
「えー!? ユニちゃんだけー? ズルイわよーーー! わたしも欲しい!!」
「わたしも欲しいな」
それを見ていたラムとロムが物欲しそうにVを見ると、「アンタ達。動物を飼うって言うのは大変なことなのよ?」とユニが言うと、「ユニちゃんの言う通りだよ。命を預かるって言うのは、とても大変なことなんだよ?」とネプギアが説明する。
「オモチャやゲームと違って最後まで面倒を見るのよ? 分かってるの? 飽きたじゃ済まないんだからね」
ユニがそう言うと、「約束できる? 約束できなきゃダメだよ?」とネプギア言う。
まるで捨て猫とかを拾って来た子供に対する親である。
「約束するわ」
「うん、わたしも」
ラムとロムがそう言うと、「じゃ、誓約書を書きなさい。一日でもお世話をサボったら、お小遣いゼロよ」とユニが言う。
「わかったわ! 書くからいいでしょ?」
「わたしも書くよ」
自信満々に言う、ラムとロム。
それを見ていたVは僅かに微笑んで、「よかったですね。どんな子がいいですか?」と優しい声で言う。
「わたし。鳥さん!!」
ラムが元気よく言うと、「わたしはカメさんが欲しい」とロムが言う。
「それなら、ピッタリな子がいます」
Vはそう言うと、手乗り文鳥ぐらいの小さな小鳥を出す。
「この子は鳳凰の妖聖」
Vの説明に、「鳳凰? じゃあ、ほっちゃんね」とラムが名前を即決する。
「ほ、ほーっ、ホアアーッ!?」
突然奇声を上げるネプギアに、「何やってるの? アンタ?」と冷めた目で言うユニ。
「中の人的に言っておいた方がいいと思って」
ネプギアに、「アンタは熱狂し過ぎたファンか……」とユニが右手で頭を抱える。
「ロムにはこの子です」
Vはそう言うと、小さな亀をロムに見せる。
「かわいいっ!」
嬉しそうに言うロムに、「この子は霊亀の妖聖です」とVが説明する。
「寒いの?」
ロムの疑問に、「その冷気じゃないわ。亀の霊獣だから霊亀って言うのよ」とユニが説明する。
「霊亀……霊亀……じゃあ、れいちゃん?」
ロムが少し考えながら名前を決めると嬉しそうに亀を抱く。
「よかったね。二人共、大切に育てるんだよ?」
ネプギアがロムとラムに優しい声で言うと、「「うんっ!!」」とロムとラムが頷く。
「……」
プラエが物欲しそうに、あんみつを見るが、「ダメです。プラエ様にはまだ早いです。ネプギア殿も言っておられたでしょう? 生き物の命を預かるって言うのは、とても大変なことなのですよ?」とあんみつが首を横に振る。
「それなら、わたし達も手伝うわ」
ラムがそう言うと、「一緒に頑張ろう。プラエちゃん」とロムが続けて言う。
「ロム殿、ラム殿。お止め下さい。お二人共自分のまだ自分の動物のお世話もできていないのですよ?」
あんみつが少し厳しめな声でいうが、「あんみつやフィナンシェも言ってるじゃない? 『一人分も二人分も大して変わらない』って」とラムが言う。
「……それはお弁当の話です」
あんみつは右手で頭を抱えながらそう言うと溜息を吐く。
「あんみつさん、お願い」
それでも必死に頼むロム。
ロムもラムもワガママなところはあるが妹分のプラエに対しては結構面倒見が良い。
お姉さんぶりたいと言うのはあるが、それを差し引いてもかなりの成長と言える。
「……ネプギア殿達からも言ってあげて下さい」
困り果てた、あんみつがネプギアとユニにバトンパスするが、「いえ、私からもお願いします。みんなでやった方が上手く行くと思うんです」とネプギアが、「そうね。友情、努力、勝利って言うし」とユニが言う。
「みんな!」
嬉しそうに声を上げるプラエ。
「仕方ありませんね……プラエ様。ロム殿とラム殿と同じですよ? 一日でもお世話をサボったら、お小遣いゼロですからね?」
あんみつが仕方なさそうに言うと、「ありがとう! あんみつ! みんなもありがとう!」とプラエが笑顔でお礼を言う。
「ふふっ、よかったですね。プラエはどんな子がいいですか?」
Vの質問に、「えっと……プラエはウサギさんみたいに、白くてふわふわした子が好き」ともじもじしながらプラエが言う。
「それなら、ピッタリな子がいます。キュイ」
Vがそう言うと、「キュイキュイ」と鳴く小さな耳の長い子犬のような動物が現れる。
「わ! 可愛い!!」
ラムがそう言うと、キュイと呼ばれた子犬はラムの胸に飛び込んで行く。
「こら、キュイ。その子はティアラじゃありませんよ?」
Vの言葉に、「キュイ~……」と悲しそうな声で鳴くキュイ。
「ごめんなさい、ラム。あなたの声が以前のパートナーによく似てるの」
Vがそう言うと、「以前のパートナーって……」とネプギアが言うと、「はい、凄腕のフェンサーであり大切な友人でしたが、世界の為に……」とVが言いかけると、「いえ、私が世界を守りたいという理由でゲハバーンで殺しました」と言い直す。
「Vさん……」
悲しそうな声で言うネプギア。
Vの気持ちを考えると、それ以上何も言えなくなってしまった。
「キュイキュイ」
キュイが鳴きながらプラエの足に擦り寄る。
「キュイもプラエのことが気に入ったようですよ? どうしますか?」
Vの言葉に、「……本当にプラエでいいんですか? 大切な友達の子じゃ?」とプラエが申し訳なさそうに言う。
「はい。その代わり大事にしてあげて下さいね」
Vがそう言うと、「はいっ!」とプラエは言いながら足元のキュイを抱き上げる。
「よろしくね。キュイちゃん」
プラエが笑顔でそう言うと、「キュイキュイ♪」とキュイも嬉しそうに鳴く。
「みんなでと言うなら、あなたにも必要ですね。ネプギア」
Vはそう言うと、「ちょうど、あなたに託したい子がいます。おいで」とVが続けて言う。
Vの言葉と同時に一頭の白馬が現れる。
「角がある? もしかしてユニコーンの妖聖ですか」
ネプギアの質問に、「はい。基本的には大人しい子ですが。邪な心の持ち主には獰猛に襲い掛かります」とVが言いながらユニコーンに跨ると軽く周囲を駆ける。
「うわー! カッコイイー! わたしも乗りたーい!」
ラムがそう言うと、「わたしも乗りたいな」とロムが手を上げ、「プラエも」とプラエが手を上げる。
「いいですよ。順番に並んで下さい」
Vが優しい声で言うと、「「「はーい」」と三人とも笑顔で返事をする。
それを見てたユニは、「……見た目は言葉遣いは少し違うけど、ネプギアよね」と呟く。
「え? なに? 私がどうしたの?」
ネプギアがそう言うと、「同じネプギアなのに、Vさんは凄くカッコイイって言ったのよ」と言うと、それを聞いたネプギアは不満そうに頬を膨らませ、「む~! ユニちゃんのいぢわるぅ~!」とむくれる。
その間にVは、ラム達とユニコーンの二人乗りを順番にしている。
***
その姿を嬉しそうに見守る者が居た。
ネプギアの父を名乗った現実世界の神であるフォルセティだ。
「ああ……美しいよ我が娘ギアよ。まさにエルデの生まれ変わり、君は私の天使だよ」
そう呟くフォルセティに、「見守ると言うか気持ち悪いを通り越してるんだけど……」と呆れるネプテューヌ。
「普段はこんな方じゃないんです……ただエルデ様が関わるとお人が変わると言うか」
イストワールがそう言うと、「そんなことはどうでもいいわ」とネプテューヌがフォルセティの前に立ち塞がり、彼の視界を塞ぐ。
「ちょっと、あなた。わたしの妹を変な目で見るのは止めてちょうだい」
ネプテューヌがそう言うと、「君もしつこいな? ソレイユ。相変わらず節制が出来ず無駄な肉が付いているね。どうせまた夜中にプリンでも食べたのだろう? 少しはエルデを見習ったらどうだい」とさっきまでの興奮顔から一転して冷たい目でネプテューヌを見る。
「で、ディスられた!? 変身後の姿をディスられるなんて生まれてはじめてよ!?」
驚きの声を上げるネプテューヌに、「すみません、ネプテューヌさん。セティ様に悪気は無いんです。セティ様はエルデ様以外の女性の興味がないと言うか、度が過ぎるシスコンと言うか、対象がエルデ様のみですからエルコンとでも言いましょうか……」とイストワールが言うと、「シスコン?」とネプテューヌが首を傾げる。
「セティ様はエルデ様の教育係として、お互い兄弟のように接していまして……」
イストワールがそう言うと、「12人の妹がいるプリンセスな感じかしら?」とネプテューヌが言うと、「それに近い感じです。ただし、対象はエルデ様お一人です」とイストワールが困ったような声を出す。
「そうか……ネプギアちゃんはお前の娘だったのか。どおりで……」
オーディンはしみじみとそう言うと、「どおりで立たない訳じゃ。ワシとあろう者がネプギアちゃん程の美少女に立たないなんて病気かと思って配したわい」とオーディンが言うと、「いけません! おじい様。あの子に反応しないなんて、それは間違いなく病気です。私はエルデのことを心の底から妹と思っていましたが、常にビンビンでした。今も娘のギアに求められれば三日三晩でも応じられる自信があります」とフォルセティが真剣に答える。
「……なんなのこの親族は……変態ばかりじゃないの? 通報とかした方がいいかしら?」
ネプテューヌが心の底からドン引きしてると、「本当にすみません。コレさえなければ本当に優秀な方なんです」とイストワールも頭を抱えてドン引きしてる。
「おじい様、良い薬があります。これがあればギンギンですよ」
フォルセティがそう言うと、「マジか!? 流石ワシの孫!!」と嬉しそうに言うオーディン。
「いい加減にしなさーーーーーーーーーい!!!」
怒りの蹴りをフォルセティとオーディンにぶちかますネプテューヌ。
「「うごっ!?」」
思いっきり吹き飛ばされるフォルセティとオーディン。
「いたた……君はいつもそうだな、ソレイユ。私の事をなんだと思っているんだい?」
「シスコンの変態」
フォルセティの問いに即答するネプテューヌ。
「相変わらずワンパターンな答えだ。もう少し言葉を尽くす気はないのかい? 暴力だけで物事が解決すると思わないことだ」
フォルセティがそう言うと、「言葉が通じない変態に話しても無意味よ。そういう時は暴力しかないわ」と冷たく言うネプテューヌ。
「セティ様、落ち着いて下さい」
呆れた声で言うイストワールに、「これが落ち着いていられるかい。エルデと瓜二つな美少女が二人もいるんだよ。一分一秒が惜しい、ソレイユなんかの相手をしている場合じゃない」と真剣な声で言うフォルセティ。
「あまり度が過ぎると、またエルデ様に嫌われますよ?」
イストワールの言葉に、「う……」と気まずそうな顔をするフォルセティ。
「少し私の話を聞いて下さい。お願いします」
イストワールがそう言って頭を下げると、「そういう君はイストワールじゃないか」とフォルセティが今気づいたように言う。
「今更いーすんに気付くなんて、どれだけネプギア達しか見てないの、この変態……」
頭を抱えるネプテューヌに、「ソレイユ。君にそんなこと言われる筋合いはないな。そう言うセリフはもう少し真面目に執務をして、私とエルデの負担を減らしてから言って欲しい」と言って冷たい目でネプテューヌを見るフォルセティ。
「な、なんなのこの男……変身したわたしに、ここまで塩対応する男なんて初めて見たわ。それにさっきから、わたしのことをソレイユ、ソレイユって……」
フォルセティの態度にドン引きしてるネプテューヌ。
「ソレイユ様はプラネテューヌの初代女神であり、エルデ様の姉です」
イストワールはネプテューヌに簡単に説明すると、「セティ様、いい加減にして下さい。あまり度が過ぎると、エルデ様が口をきいてくれなくなりますよ?」とイストワールが言うと、「そ、それは困る! エルデと話せないと私は死んでしまう! すまない、この通りだ。エルデには黙っていてくれ」と真剣な声で謝るフォルセティ。
「それでしたら、まずは私の話を落ち着いて聞いて下さい」
イストワールがそう言うと、「しかし、私とエルデとの愛の結晶が目の前に居るのに……」とフォルセティが渋ると、「セティ様!」とイストワールが笑顔で圧を加えてくる。
「仕方がない……少しだけだよ」
そう言って仕方なく折れるフォルセティ。
「まずは彼女は現在のプラネテューヌの女神であるネプテューヌ様です。ソレイユ様は犯罪神との戦いでお亡くなりになりました。お忘れですか?」
イストワールの説明に、「そう言えばそうだったね。まぁ、エルデが無事なら他はどうでもいいんだが」とフォルセティが言うと、「いい加減にして下さい。セティ様。あの時エルデ様がどれだけ悲しんで、同じ失言をしたあなたをどれだけ怒ったと思っているんですか?」とイストワールが真剣な声でフォルセティを叱る。
「うっ……確かにあれだけ怒られたのは後にも先にも一度だけだよ……しかし、真剣な顔で怒ったエルデも、また魅力的で……」
「そういうとこですよ? そういうところがエルデ様を怒らせるんです。エルデ様に一途なのは結構ですが、もう少し他の方にも気を使って下さい」
言い訳をしようとするフォルセティだが、すぐさまイストワールに反論を受けてしまう。
「やれやれ……相変わらずじゃのぉ。お主のところの教祖は」
呆れた声で言うのは、ルウィーの二代目守護女神である文子だ。
「貴様っ!! ルウィーの文子!! また私のエルデを苦しめに来たのか!!」
文子を見た瞬間、真剣な顔になり怒りを露わにするフォルセティ。
「苦しめた? 確かにルウィーの台頭でプラネテューヌが苦しんだ時期があるのは認めるが、最もエルデを苦しめ死に追いやったのは貴様じゃぞ? フォルセティ。分かっておるのか?」
静かに怒りながら、フォルセティを糾弾する文子。
「そ、それは……」
戸惑うフォルセティだが一瞬で真顔になると、「ちょっと待て」とストップを掛ける。
「なんじゃ? つまらん言い訳だったら、すぐにでも貴様を殺すぞ」
文子は言葉どころか全身に殺気が籠っていた。
「イストワール。そろそろ時間じゃないか?」
フォルセティがそう言うと、「なんのです?」と心底不思議そうな顔をするイストワール。
「愛しの娘。ギア達の観察に戻る時間だ」
さも当然かのように言うフォルセティに、「セティ様……まだ三分も経っていませんよ……」と心底呆れた声を出すイストワール。
「なんなの? この重要な会議に定時だからって帰ろうとする新入社員並みのムーブは……変身前のわたしでもこれはないわよ?」
同じく心底呆れるネプテューヌに、「今すぐ殺して良いかコイツ?」文子も呆れ半分で言う。
「セティ様、もう暫く我慢して下さい。本当に殺されますよ?」
子供に言い聞かせるように言うイストワールに、「むぅ……なら一つだけ一つだけ聞かせて欲しい。これを聞かなければ話に集中できない」とフォルセティが懇願するようにイストワールに言うと、「一つだけですよ……」と呆れた声で言うイストワール。
「あそこで、愛しい娘とさも当然のように二人乗りしようとしいてる子は誰だ?」
フォルセティはそう言うと、ネプギア達の方を指差す。
忘れ去られてるかもしれないが、ネプギア達はVに妖聖を託されている最中であった。
今はVがロム達を乗せ終えて、ネプギアが乗ると、「ゆ、ユニちゃん。少し怖いから一緒に乗ってくれないかな?」とユニにお願いすると、「……はぁ、仕方ないわね」と呆れながらも少し嬉しそうにユニも一緒に乗る。
フォルセティはイストワールと話しながらも、チラチラとネプギア達の方を見ていたのだ。
「ああっ!? 手を! 手を繋いだぞ!?」
心底悔しそうに言うフォルセティに、「落ち着いて下さい……セティ様。彼女はユニさんと言う、同じ女神でネプギアさんの親友です」とイストワールが溜息をつきながら説明をする。
「ユニちゃん、もうちょっとくっついて。落ちちゃうよ?」
ネプギアがそう言うと、「わ、わかってるわよ!」と恥ずかしそうにネプギアに密着するユニ。
「のおおおおお!? 密着!? 密着したあああ!?」
両手で頭を抱えて膝を付いて絶望するフォルセティ。
「……セティ様、落ち着いて下さい。ユニさんは同じ女性です」
呆れ果てるイストワールだが、「イストワール! 君が付いていながら、なんて様だ! 男だろうが女だろうが、私の認めた者以外、ギアに触れることは許さん!」と言いながらセティがネプギア達の方に向かって行く。
「えっ!? フォルセティさん?」
驚くネプギアに、「ユニと言ったね! 君にちょっと話が……」とフォルセティが近づく。
「ダメです! ユニコーンは男性は問答無用に……」
Vが忠告するが、それよりも早くユニコーンが怒りの声を上げて後ろ足でフォルセティを蹴り飛ばす。
「ああああああああああああ!!!」
絶叫と共に星になるフォルセティ。
「……人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ、とは正にこの事ね……」
呆れた声で言うネプテューヌに、「……本当にアレさえなければ」と心底残念そうに腕組みして溜息を吐くイストワールに、「わらわはあんな男に苦労したおったのか……」と文子も呆れた声を出す。
「そんなに優秀なのあの男? とてはそうは見えないけど?」
ネプテューヌの質問に、「あやつがおらねば、プラネテューヌはとっくにルウィーの一部になっておった。それ以前に犯罪神によってゲイムギョウ界は滅亡していた……筈なんじゃが、特にエルデと共に戦った時の奴はわらわでも敵わない程の鬼神のような強さだったが……今のあやつを見ておるとわらわも自信が無くなる」と文子が答えた。
***
その頃、ネプギア達は突然現れ秒で退場したフォルセティにあっけを取られていた。
「なんだったの? あの人?」
呆然と言うユニの台詞に、「私もよく分からない……」と同じく呆然と返すネプギア。
「それよりどうですか? その子の乗り心地は?」
Vの質問に、「凄く楽しいです。最初はちょっと怖かったけど、すっごくイイ子で安心しました」とネプギアが答える。
「では、その子をネプギアの妖聖にして下さい。」
Vはそう言うと、、「名前はどうしますか?」と続けて言う。
「ユニコーンだから、ユニちゃん?」
「アタシと全文字被ってるわよ……」
ネプギアのボケに速攻でツッコミするユニ。
「じゃ、NTDとか?」
「一部の人しか分からないし、殆ど有名電話会社と同じよ……」
再度ボケるネプギアにまたも素早くツッコミするユニ。
「じゃ、ゆーちゃん」
「いきなり普通に来たわね。ひねりが無いけど変な名前より全然いいわ」
いきなり直球で来たネプギアの言葉を素早くキャッチするユニ。
まるでプロ野球のバッテリーのような阿吽の呼吸だ。
「本当にいいのん? あの子はVちゃんに懐いてるのよ?」
妲己の質問に、「私の手は、あの子に乗るには血に汚れ過ぎました。ネプギアの方が相応しいでしょう」と冷静にVが答える。
「そうかしらん♪ あの子寂しそうだけど……」
妲己がそこまで言うと、「そこまで言うなら、あなたを解雇してあの子を再び私の妖聖にしますよ? 勿論、その場合はお札を剥がして封印しますが。いいですか?」とVが言うと、「いや~ん♪ 冗談だってばぁ。わらわこそ、Vちゃんの妖聖、ベストパートナーよん♪」と妲己がおどけたふうに言う。
「それなら、もう少し私の言う事を聞いて下さい……」
呆れた声で言うVに、「これでも、わらわは忠実なつもりなんだけどねん♪」と妲己が微笑む。
「ところでうずめには無いの? 妖聖?」
うずめがそう言うと、「え? うずめさんの妖聖は海男さんですよ?」と心底不思議そうな顔でVが言う。
「なんと! 俺は妖聖だったのか!!」
驚きの声を上げる海男に、「海男さんって、どんな存在になっても許される気がするのはアタシだけ?」とユニが言うと、「でも、うずめさんのパートナーと言ったら海男さんしかいないよ」とネプギア答える。
「まぁ、どちらかと言えば俺がうずめの世話をしたているのだけれどね」
「えー? ヒドイよ。海男ー」
そう言いながらも笑い合う、うずめと海男。
「あと一つ、あなた達に託すべき力があります」
Vはそう言うと、アイドルのような衣装をポーチから呼び出す。
「なにこれかわいいー! うずめ、キュンキュンしちゃう~♪」
目を輝かせて見るうずめに、「これは詠巫女の衣装」とVが言うと、「詠巫女も確かVさんの仲間ですよね?」とネプギア言うと、「そうです。仲間であり友人であり、ティアラと同じく私が世界を守りたいという理由でゲハバーンで殺しました」とVが言う。
「す、すみません! 私、Vさんの気持ちも考えずに!」
慌てて謝るネプギアに、「構いません。私があなたに願うのは、私と同じ過ちを犯さないで欲しいということだけです」とVが言う。
「それで、この衣装はどんな力が?」
ユニの質問に、「かって彼女達は生命を変質させ、人の精神を蝕む『beep』と言う敵を倒しましたが、その力を邪神が取り込みました。邪空空間はネプギアの昂次元で封じ込められますが、『beep』は詠巫女の歌や踊りの力でないと消滅できません」とVが説明する。
「でも、戦いながら歌ったり踊ったりは難しいわ」
ラムがそう言うと、「歌と踊りなら、ミクちゃんが良いと思う」とロムが言う。
「それよっ! 流石ロムちゃん。天才ね」
ラムがそう言ってロムを褒めると、「そうね。役割分担と行きましょ」とユニも賛成する。
「じゃあ、この服をミクちゃんのモジュール化するね」
ネプギアがそう言うと、「もじゅーる?」とプラエが首を傾げる。
するとネプギアが、「簡単に言うとお着替え。ミクちゃんのゲームがゲイムギョウ界で大流行してた頃に衣装を変更する時、モジュール変更って言われることが多かったの」とプラエに説明をする。
「えっと、普段のミクちゃんには、この緑色のクローバーの衣装がいいかな?」
ネプギアが言いながら、Nギアを操作する。
「ミクちゃん。モジュール変更するよ」
ネプギアがそう言うと、「オッケー♪ ネギちゃん」とミクがやって来る。
ネプギアが再度、Nギアを操作するとミクの衣装が一瞬で変化する。
「うーん! 上がって来たーーー! ネギちゃん、いつこの衣装で歌うの。私早く歌いたい~♪」
そう言って飛び跳ねまわるミク。
「気になってたんですけど、妲己さんってVさんの妖聖なんですか?」
ネプギアが質問するけど、「そうよん♪ ちょっとイタズラしたら殺されちゃって、死後もキョンシーとして、Vちゃんに使役される悲劇ヒロイン、妲己よん♪ またの名を玉藻前」と妲己が言う。
「アタシ、両方知ってますけどあなたのやったことはイタズラじゃ済みませんよ。あなたの所為でどれだけの人が苦しんだと思っているんですか?」
ユニがそう言って嫌悪感丸出しで妲己を睨むと、「あらん♪ バレちゃったわん。助けてぇん、ご主人様ぁ~」と笑いながらVの後ろに隠れる妲己。
「ユニが妲己を認められないのは分かります。でも、彼女も彼女なりの理由があったのです」
Vがそう言うと、「Vちゃんに比べれば鼻で笑っちゃうような、ちっちゃい理由だけどね」と妲己が真剣な顔する。
「……Vさんがそう言うなら」
そう言いながらも不満そうなユニに、「それに許せないのは私の方でしょう。別の世界線とは言え、私は親友と呼んでくれたあなた。あなた達を三度も守れなかった。いえ、殺してしまった」とユニを含めた全員を見渡す。
「Vさんは違います!! Vさんには世界を守るってちゃんとした理由があるじゃないですか!!」
ユニがそう言うと、「わたしはよくわからないけど、Vさんは悪くない。そう思うわ」とラムが真剣な顔で言う。
更に、「わたしもVさんは悪くないと思う」とロムが、「プラエも全然分からない。けど、Vさんは良い人それだけは分かるよ」とプラエが言う。
「うずめも、ぶいっちのこと信じてるよ」
うずめがそう言うと、「……私はVさんと同じ選択をした時、彩ちゃんに、『どっちも間違ってない』と言われたし、私自身もVさんの選択は間違っていないと思います」と最後にネプギアが言う。
「ですが、私は人によっては妲己以上の大悪党で許し難い存在です」
彼女達の言葉を受けながらも自分を悪と断定するVに、「あらん♪ Vちゃんってば、わらわのことそんなに必死に庇ってくれるのぉ~。ますます惚れちゃうわん」と妲己が嬉しそうに言う。
「すみませんでした、妲己さん。アタシ詳しいことも知らないで、ネットや歴史の漫画とかゲーム知識だけで言っちゃって……」
素直に謝るユニに、「いいのよん♪ 殆どユニちゃんの言った通りで間違いない。わらわは大悪党の悪逆后妃。わらわの理由なんてVちゃんに比べればミジンコ以下よん」と妲己が言うと、「それでも、あなたには大切なことだった」とVが言う。
すると妲己は顔を真っ赤にして、「いや~ん♪ Vちゃん素敵ぃ~♪ アソコも尻尾もキュンキュン来ちゃう~♪ 抱いてぇん♪ 今という今日こそ抱いて~ん」とVに抱き着くが、「嫌です」とVが即答する。
「なっ!? 何言ってるんですか!?」
妲己の発言に驚くユニに、「あらん♪ ウブねぇん。わらわはアソコとしか言ってないわよん」と妲己がクスクスと笑う。
「それでもですっ!! 小さい子もいるんですから!!!」
顔を真っ赤にして怒るユニに、「ねぇ? ユニちゃん。アソコってどこ?」とネプギアが首を傾げると、「アンタも分かんないんかい!!」とツッコミするユニ。
「こんな調子で大丈夫かしらん♪ 彼等を預けて」
妲己がそう言うと、「しかし、彼女達には彼等の助けが必要です」とVが言う。
「しかし、彼等はある意味、妲己以上の問題児だぞ?」
ルシフェルが困った声で言うと、「でも、お留守番ばっかりじゃ、あの子達も拗ねちゃうわよん」と妲己が言うと、「それはそうだが……彼女達には刺激が強すぎるのでは……」とルシフェルが難色を示す。
「あらん♪ 流石は元大天使長サマ。イイ子ちゃんねぇん」
「茶化すな!」
妲己の言葉にすかさず言い返すルシフェルだが、「しかし、V軍で今割ける戦力は彼等だけです」とVが言う。
「あのー? 何の話ですか?」
ネプギアがVに尋ねると、「……ネプギア。あなたはBLと言うものを知っていますか?」とVが神妙な顔で質問する。
「知ってます!! 大・大・大好物です!! それなら夜通し話せる自信がありますっ!!」
ネプギアの食いつきにVは若干引きつつも、「そ、そうですか……い、意外ですね……」とVが答える。
「重戦機的なアレですよね!! 出番こそ少ないですけど、射程の長さが魅力的ですよねっ!! 場合によってはハイ●ガキャノンより便利だったり。Vさんって意外と通なんですね!!」
目をメッチャ輝かせて言うネプギアに、「……す、すみません、ネプギア。バスターラ●チャーのことじゃないんです」と心底申し訳なさそうに言うV。
「もしかして、ビームラ●フルの方ですか? あのー……、Vさん。ライフルのラはLじゃなくてRですよ?」
心の底から親切心で言うネプギアに、「アンタの頭の中それしかないの……」と頭を抱えるユニ。
「もしかして、ベーコンレタスバーガー? 私はベーコンはカリカリでレタスはシャキシャキが好き」
ネプギアがそう言うと、「気が合うわね。アタシもよ……って! 違うわよっ!! Vさん。もしかして、アタシ達に凄いめんどくさい人押し付けようとしてませんか?」とユニが言うと、「申し訳ないのですが、ルシフェルと妲己以外の少数精鋭と言ったら彼等しかいないんです。それにユニの想像より、若干マシだと思います」とVが言うが、「若干ですかっ!?」とドン引きするユニ。
ちなみにユニの想像ではマッチョな男性を操縦するシューティングゲームを想像していた。
「私はVとのメガミラクル、妲己はフューリーとして彼女の側を離れる訳にはいかん」
ルシフェルがそう言うと、「大丈夫よん。性格はともかく実力は確か。わらわがV軍の中国代表なら、彼はV軍の日本代表。わらわ以上の悪党と言われることがあれば、英雄の如く崇められることのある。稀代の英傑と彼に従う忠臣♪」
「なんですか? その極端な評価は?」
ユニがそう言って首を傾げると、「誰だろうね?」とネプギアも不思議そうに首を傾げる。
「それは来てからのお楽しみ♪」
その頃、ユニコーンに蹴り飛ばされたフォルセティは懲りずにネプギア達の元に行こうとしていたが、その行く手を文子が阻む。
「どけっ!!!」
フォルセティが文子に向けて風の魔法を放つと、「相変わらず魔法だけは一級品じゃ」言って文子が同じ風の魔法で対抗するが、あっという間にフォルセティの魔法が文子の魔法を飲み込む。
しかし、「ルウィーの魔法文明の開祖、ゲイムギョウ界の魔法の天才と言われた、わらわの力でさえお主の前では児戯に等しい」と言うと文子は一瞬で姿を消すとアッサリとフォルセティの魔法を避けてしまう。
「だが、貴様は魔法だけじゃ。体力、体術、筋力、敏捷性はわらわの前では赤子以下じゃ」
文子はそう言うと、「前衛のエルデに守って貰わん貴様を倒すなど造作もないわ。それが分からんほど衰えたか?」とあっという間にフォルセティを取り押させる。
「く、くそ……」
悔しそうに呻くフォルセティに、「娘の危機だけに訪れた訳ではあるまい。ゲイムギョウ界の禁忌を犯し本来なら死罪である筈の貴様がココに来ればどうなるかは分かっていた筈じゃ?」と文子が言う。
「……頼む。私はすぐに死ぬ。この術だけは使わせてくれ」
フォルセティがそう言うと、「やはり、サクリファイス系の最高禁呪を使いエルデを蘇らすつもりじゃな。外法に身を染めたか、フォルセティ」と文子が糾弾するように言う。
「何とでも言うが言い……エルデは私の全てだ。彼女の為なら、喜んで肉体も魂も捧げ永遠の地獄の責め苦を受ける」
フォルセティの言葉に、「相変わらず、エルデのエルデと他の者の気持ちを考えない奴じゃ」と文子が更にフォルセティを強く取り押させる。
そこに騒ぎを聞きつけたネプギア達やネプテューヌ達がやって来る。
「フォルセティさん!」
ネプギアがそう言うと、「待っててくれ、愛しい娘達よ。今から私の肉体と魂を犠牲にしてエルデを蘇らす」とフォルセティが言う。
「まさかイーシャが私に使った禁呪か!?」
エスーシャがそう言うと、「いえ、恐らく更に強力な術です。確かに既に死んだ者を体と魂を完全な形で蘇らせますが、使用者の肉体と魂を犠牲にするだけでなく、その魂は輪廻転生の輪から外れ、ハデス、閻魔、コキュートス等ありとあらゆる地獄の責め苦を延々と巡り続けるゲハバーンに使われた禁呪と同等かそれ以上の禁呪です」とVが説明をする。
「今すぐ使う! 離せ文子!」
フォルセティがそう言うと、「離すか! たわけが!! 貴様の穢れた魂でエルデを蘇らせてたまるか!!」と文子が言うと、「穢れようが外道に落ちようともエルデは蘇らす!!」とフォルセティが言う。
「いいだろう。エルデには口止めされていたが、エルデの本当の気持ちを教えてやる! この女神を穢した大悪党め!」
文子がそう言うと、「コイツは姉達を失い傷心のエルデの心の隙を突き、関係を迫った卑劣な極悪人じゃ」と文子が言う。
すると同時に、「ブラン様、危険を察知しました!!」とルウィーの教祖の西沢ミナが言うと、「おう! お子様には早すぎる会話だな!!」とブランが言い、「プラエ様、失礼!!」とミナとブランがロムとラムの耳を塞ぐと、あんみつがプラエの耳を塞ぐ。
ついでにイストワールまでネプギアの耳を塞ぐ。
「……いや、ネプギアにはむしろ遅すぎる会話内容なんですが……」
ユニが冷めた目でイストワールを見るが、「いえ、早過ぎます。これはユニさんが直接ネプギアさんに伝えるべき内容です」と真顔で言うイストワールに、「何で、アタシなんですかっ!!」とユニがツッコミする。
「あー……ブランや。続けて良いかの?」
親切に確認を取る文子に、「お子様フィルターはバッチリです! いつでもどうぞ!!」とブランが文子に返事する。
「お前は嫌がるエルデの純潔を無理矢理奪ったのじゃ!! 恥を知れ!! お前は妹であり女神でもあるエルデを辱めた。貴様はゲイムギョウ界最大の禁忌を犯した犯罪神以上に許し難い極悪人よ!!」
文子の言葉に、「……フィルターかける程の内容ですかコレ? 今時の小学生でもこんなこと知ってますよ……」とユニが言うが、「危なかったな。ロムとラムには十年早い内容だったな」とブランが言うとロムの耳から手を離し、「いえ、ブラン様。百年ですよ」とミナがラムの耳から手を離す。
「プラエ様には千年早いですね」
あんみつがそう言ってプラエの耳から手を離し、「ネプギアさんには一万年早いです」とイストワールがネプギアの耳から手を離す。
「いや、何で小学生低学年レベルの張り合いしてるんですか? って言うか、どんだけ生きるつもり……」
ユニがそう言うと、「苦労しているな。ユニ」と妖聖になったブレイブがユニを慰める。
「愚痴が言える相手が出来ただけありがたいわよ」
ユニがそう言うと、「うむ、愚痴の相手ならいつでもなろう」とブレイブが答える。
「そ、そんな……私とエルデは真に愛し合って……」
呆然とするフォルセティに、「お前はいつもそうじゃ、エルデはエルデと言うが彼女の気持ちを少しも考えん!!」と文子が叱る。
「……私が……俺が俺が俺がエルデを傷つけたのか……くそっ! くそっ! くそっ!」
フォルセティはそう言いながら地面を何度も殴る。
皮がむけ血が出て肉が抉れても手を止めない。
「ここで、彩ちゃんからのフォルセティさんに最後のチャーーンス!!」
空気を読まない彩花の声も無視して何度も地面を殴るフォルセティ。
「フォルセティさんの取れる選択は二つ。一番っ! このまま諦めて帰って別の幸せを探すこと。二番っ! このメモリーズオフの真のヒロイン桧月彩花ちゃんのスーパー奇跡により、エルデちゃんと話す……」
彩花がそこまで言うと、「二番だ」とフォルセティが乱暴な声で即答する。
「なーんだ。ちゃんと聞いてるんじゃない。でも、いいの? 文子さんから聞いた現実をエルデちゃん自身から再度突きつけられるだけかもしれない。その時、望まれなかった子供って言われるギアちゃんとVちゃんの気持ちも考えてるの? その時はここに居る女の子全員があなたのこと許さないよ。そして、私も熾天使として、一人の女の子としても、あなたにあの禁呪を使うより過酷な罰を与えることになるんだよ?」
彩花の説明に、「御託はいい。二番だ。俺はエルデに言わなきゃいけないことがある。その後は好きにしろ」と先程と同じく乱暴な声で答えるフォルセティ。
それと同時にフォルセティの周囲が歪み、「……お兄様……お兄様?」とネプギアと同じ声がフォルセティの耳に聞こえてくる。
周囲には彩花を含めた全ての人が居なくなり、フォルセティの目の前にはネプギアと瓜二つの人物が立っていた。
「エルデ……」
フォルセティが呟く、彼女がプラネテューヌの初代女神SG三姉妹の末っ子のエルデだ。
「お兄様、私と二人きりの時以外は俺と乱暴な口調は止めなさいって何度言ったらわかるの? それと地面を殴るなんて非生産的な行動、お兄様らしくないよ」
エルデが子供をたしなめるように言うと、フォルセティは「すまん。俺が俺を許せなくて、つい」と言うと、「エルデ。俺はお前に言わなきゃいけないことがある」と真剣な顔で続けて言う。
「なに?」
可愛らしく小首を傾げるエルデにフォルセティが頭を下げると、「本当にすまん。俺はお前を傷つけないよう精一杯やったつもりだった。リードするとか任せろとか偉そうなこと言ったが、俺の初めての相手はお前だ。全て本や人づてに聞いた話を見よう見まねでしただけだ。結果的に、お前の気持ちを無視してしまったことを心から詫びたい」と言う。
「それだけ?」
再度小首を傾げるエルデに、「ああ、それだけだ」とフォルセティが言うと、「私の返答次第では、お兄様はこれから死ぬより辛い目に遭うかもしれないんだよ?」とエルデが質問すると、「例え過ちであっても、お前の心を一ミリでも傷つけてしまった自分が許せん。百億回死んでも足りないぐらいだ」とフォルセティが答える。
「ふふっ、ふふふ♪ やったー♪ 私の勝ちっ! 私のお兄様が泣いて謝る訳ないよー♪」
笑顔でVサインするエルデ。
そこに、「かーっ! 悔しいのぉ!! 絶対に泣いて謝るに賭けたのにのぉ!」と悔しそうに文子が現れる。
「文子っ!! 貴様、俺とエルデの会話に割り込むな!」
怒りの声を上げるフォルセティだが、「やれやれ……ワシの孫のクセに女性経験が無かったとは嘆かわしい」とオーディンも現れる。
「おじい様まで!? どういうことだ? ここは俺とエルデだけの?」
動揺するフォルセティの前に彩花が現れ、「残念でしたっ! 人の話を最後まで聞かないのが悪いんだよ? エルデちゃんと話す……の後に、みんな傍聴の上にって付いたのに♪」と彩花が言う。
すると、「なんだとっ!? 普通こういうのは懺悔室とかで二人っきりだろう!? 貴様にはプライバシー保護とか言う文字はないのか!?」とフォルセティが怒るが、「ないっ!! ちなみにウチ仏教だったから、懺悔室とかわからないし」と平然と言い返す彩花。
「熾天使だろお前? それでいいのか?」
尚も言い返すフォルセティだが、「私、ルシフェルさんにスカウトされただけだもん♪」と笑顔で彩花が言い返す。
「みんなに説明する手間を省いてあげたんだから、むしろ感謝して欲しいな~♪」
彩花がそう言うと、「そうだよ。彩花ちゃんのおかげで、お兄様は私と話せたんだよ?」とエルデが言うが、「しかし、俺はこのエセ熾天使に一ミリも感謝する気持ちが起きん」とフォルセティが言い返す。
すると、「お・に・い・さ・ま? 最初に約束したよね? 私と二人きりの時以外は俺と乱暴な口調は止めなさいってって?」とエルデが笑顔で圧を加える。
「……エルデ。お前たくましく……いや、強くなったな。ソレイユの後ろを追いかけていた時とは別人だ」
フォルセティが口調を戻して、そう言うと、「嫌いになった?」とエルデが言うが、「いや、ますます好きになった。愛してるぞ、エルデ」とフォルセティが真顔で言う。
「はぁ~……熱い熱い。智也もこれぐらい素直だったらな~」
呆れ顔で言う彩花に、「智也さんは智也さんでイイと思うよ。智也さんの一途過ぎる想いは憧れるよ。それにウチのお兄様は愛の言葉があり過ぎて、若干ウザイし」とエルデが笑顔で答える。
「そうだね。あれが智也の愛の形だし、これ以上望むのも贅沢だよね」
彩花がそう言うと、フォルセティが彩花に深々と頭を下げて、「ありがとう。妹の友達になってくれて」と真剣な顔でお礼を言う。
「どういたしまして♪」
彩花の言葉に、「私は兄でありながら、罪を犯し妹の側に居続けることができなかった」とフォルセティが言うと、「お兄様。罪を犯したのは私の方だよ。忘れちゃったの? 私から精一杯勇気を出してお兄様を誘ったのに、お兄様ったら文子さんにちょっと言われただけで動揺しちゃって、正直ちょっとショックだったよ」とエルデが言う。
「す、すまん。お前が実は傷ついていたと言われたら、急に自信がなくなって……それにしても、文子にあんなことを言わせて賭けをするのは酷くないか?」
フォルセティが謝りつつもそう言って抗議するが、「それはお主が悪い。先程も言ったであろう? エルデのことばかりで彼女の気持ちを考えておらん。お主が死んでエルデが蘇えっても、エルデが喜ぶと思うか? エルデが死んだ真の理由はお主に会えない悲しさと寂しさじゃ、それを分かっておるのか? この愚か者めが!」と文子に一喝されると、「そうだったのか……重ね重ね、すまん。不甲斐ない兄を許してくれ……」とフォルセティがエルデに頭を下げる。
「いいの。それより自信を持ってお兄様。誘ったのは間違いなく私、この子達が骨のない不具の子に生まれてしまったのが、その証」
エルデの言葉に、「本で読んだことがある。日本の神、イザナミとイザナギの最初の子、ヒルコ。彼を生む儀式で女神であるイザナミから先に男神のイザナキに声をかけた事が原因で、彼は不具の子に生まれたれたと」とブランが言う。
「でも、私もVさんもちゃんと骨はありますよ?」
ネプギアがそう言うと、「ついに話すときが来ましたね。愛しい娘達……まず最初に言っておきます、あなた達は私とお兄様が真に愛し合った愛の結晶。それだけは忘れないで下さい」とエルデが言うと、「はい、わかりました」とVが真剣な顔で答える。
「犯罪神は知っていますね? 彼女との戦いでソレイユ姉様、ルナ姉様が命を落とし、私がプラネテューヌを継がなくてはなりませんでした」
エルデがそう言うと少し俯き、「そこで私は女神として許されない罪を犯しました……姉様達を失った悲しみに耐えられず、私自らお兄様を求めてしまった」と申し訳なさそうに言う。
「その罰として、私達の間に生まれた子である、あなた達は骨のない不具の子でした」
エルデがそう言うと、「私達は悩んに悩んだ結果、あなた達の骨をピュアクリスタルで作ることにしました」と続けて言う。
「ピュアクリスタルってなんですか?」
ネプギアの質問に、「超高純度のシェアクリスタルです。シェアエネルギーの中でも、特に強く純粋な想いだけを厳選し作り通常のシェアクリスタルより遥かに強い強度ありますが、精製には十年単位の時間がかかります」とエルデが答える。
「しかし、私の犯した罪が文子様に知られてしまった」
エルデがそう言うと、「わらわだけなら、見なかったふりもできた。しかし隠し通すことは不可能じゃ、世間に知られればゲイムギョウ界の動揺は測り知れん、その上フォルセティの死刑は免れん。そこでわらわはフォルセティは現世に帰り、エルデには一刻も早く次代に守護女神の座を譲り、子供と共にわらわの隠れ家、天岩戸に身を隠すよう勧めた」と文子が説明する。
「私とお兄様は悩みましたが、子供の安全を一番に考え文子様の厚意に甘えることにしました」
エルデがそう言うと、「私もエルデと離れるのは断腸の思いだったが、子の安全とエルデの必死の願いを受け入れ現世に帰った」とフォルセティが言う。
「私には、あなた達とは別にもう一つ懸念があった……マジェコンヌさんを救えなかったこと」
エルデの言葉に、「救う? 犯罪神をですか?」とVが驚きの声を上げる。
すると、「そうだ。アイツも元は女神。最初の国オデュッセイアの女神だ。そして俺はアイツが作った人工生命体だ」とクロワールが話に加わってくる。
「えっ!? そんな人が何で犯罪神に!?」
驚きながらも質問するネプギア。
「オデュッセイアは長い間繁栄したが滅びた。その後、マジェコンヌと俺は世界各地を放浪したが、マジェコンヌはその力ゆえに迫害され続けてきた」
クロワールの言葉に、「力……もしかしてコピー能力のことですか?」とVが言うと、「お? なかなか鋭いじゃねーか。説明する手間が省けたぜ」とクロワールが答える。
「この大陸を訪れたマジェコンヌも例外なく迫害された……ただ一人エルデを除いてな」
クロワールがそう言うと、「私は彼女を救いたかった……でも、あんな結果になるなんて……」と悲しそうにエルデが言うと、「お前のせいじゃねーよ。悪いのはニャルラトホテプだ」とクロワールが答える。
「話を続けるぞ? 長い間迫害されて来たマジェコンヌは直ぐにはエルデを信用しなかった。暴言を吐いたり時には暴力すら振った。だがエルデはそれでも諦めなかった。マジェコンヌの力も正しく使えば、きっとみんなに受け入れられると信じた。時間は掛ったが、マジェコンヌはエルデだけには心を開いた」
クロワールはそう言うと、「マジェコンヌは幸せだった。放浪を始めた以来、初めて触れた人の優しさだった。エルデは賢い奴だったからマジェコンヌと話も合った。マジェコンヌから教えで、エルデがイストワールを作ったのもこの時だ」とクロワールが言う。
「マジェコンヌはエルデを愛した。心の底から愛した。しかし、ライバルは多かった。そこに居るシスコン兄貴は勿論、特にエルデの姉のソレイユとは犬猿の仲だった」
クロワールの言葉に、「だが、彼女は妹との神聖な約束を破った」とフォルセティが怒気をはらんだ声で言う。
「そう怒るな。アイツもあれで精一杯やったんだ。もしかしたら、エルデも死んでたかもしれねぇ」
クロワールがそう言うと、「わらわも悪かった……」と文子が悲しそうに俯く。
「一体なにが起きたんですか?」
ネプギアの質問に、「マジェコンヌはエルデと約束をしていた。無暗にコピー能力を使わないと」とクロワールが言う。
「だが、アイツはその約束を破り使っちまった……」
クロワールの言葉に、「何でですか?」とVが質問をする。
「当時はルウィーが凄まじい勢いを持ってた。特にエルデの守る地域は風前の灯だった……そこでエルデを守りたい一心で使っちまったんだ、コピー能力を……瞬く間にカセットのコピーがルウィーに広まった……そしてマジェコンヌは黙って去ろうとした。しかし、それを許さない者が居た。ルウィーの文子は勿論、妹との約束を破られ怒りに燃える長女ソレイユだ。マジェコンヌは二人に追い詰められ絶体絶命だった」
クロワールはそう言うと、「アイツは死を覚悟していた。エルデの為に死ねるなら満足だった……エルデに出会えただけでも幸せだった」と続けて言う。
「そんな人が何で犯罪神に?」
ネプギアの質問に、「……死を覚悟した次の瞬間マジェコンヌが見た者は血まみれになったエルデだった。マジェコンヌを追いかけて来てソレイユ達の攻撃から庇ったんだ」とクロワールが答える。
「後悔、絶望、悲しみ、怒り、そして憎しみ……様々な負の感情がマジェコンヌを駆け巡った。そこに目を付けたのがニャルラトホテプだ。『ゲイムギョウ界が憎いだろ? 女神が憎いだろ? ゲイムギョウ界と女神が居なければ、エルデは普通の娘としてお前を愛し幸せな一生を送ったかもしれない』、と……マジェコンヌはその言葉に乗っちまった。そしてニャルラトホテプが捕らえた邪神クトゥグァと融合して犯罪神にマジェコンヌになったんだ」
クロワールがそう言うと、「私は一命はとりとめたものの、マジェコンヌさんは戻らなかった。私はマジェコンヌさんを元に戻したかった……ゲハバーン、メモリーコア、様々な研究をしたけど、今で言う昂翼の発生装置で邪空空間を封じるので精一杯だった。結局、犯罪神を倒すことはできましたが、マジェコンヌさんを救うことはできなかった」とエルデが辛そうに言う。
「お前も不思議に思わなかったか? 犯罪組織に女神が捕まった時、お前だけ無傷だったのは、エルデと瓜二つのお前をマジェコンヌが花嫁として迎えたいと思ったからだ」
クロワールの言葉に、「私はどうしてもマジェコンヌさんを救いたかった……でも、既に私にはその力は無かった。だから、酷とは思いましたが娘のあなた達にその願いを託すことにしました」とエルデが話す。
「それが、デウスエクスマキナ計画。通称、DexM【ディエクスエム】計画だ」
フォルセティがそう言うと、「デウスエクスマキナ……劇や映画で絶望的な状況に陥った時に現れる、ご都合主義的な解決策や展開とも言われていますね」とVが言う。
「犯罪神が絶望的な状況で、それを解決するのが、私とVさん?」
ネプギアの質問に、「そうだ。そしてDexMには、もう一つの意味がある。デジタル・エクストロディナリィー・マチュリティー【Digital Extraordinary maturity.】」とフォルセティが言う。
「デジタルにおける並外れた成熟度……ですか?」
ネプギアがそう言うと、「そうです。デジタルは私達の世界、いわゆる仮想空間デジタル世界を意味します」とVが言う。
「どうやら君は知っているようだね」
フォルセティの言葉に、「こちらの意味の方は私の世界のいーすんさんに聞きました」とVが答える。
「私とネプギアは、シンギュラリティとして様々な神から期待を受けています」
Vがそう言うと、「シンギュラリティ……技術的特異点。人工知能【AI】が自身の『自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能』が『人類に代わって文明の進歩の主役』になる時点の事。第4次産業革命としても注目を集めている……」とネプギアが呟く。
「そうです。ディエクスエムのデジタル世界の並外れた成熟とは、そこに至る一つの可能性として見られています」
Vの説明に、「そんな大それたこと……私には……」とネプギアが呟くが、「既にあなたその片鱗を見せています。初音ミクのリアルボーカロイド化です」とVが言う。
「あれは、凄い漫画家さんが私にアドバイスをしてくれて……」
ネプギアがそう言うと、「でも、それを形にしたのは君だよギア。漫画やゲームはみんなの夢の塊。それを形に出来るよう期待を込めてディエクスエム計画は作られた。例え小さな一歩でも未来に繋ぐ貴重な一歩だ」とフォルセティが言う。
「それに一人で気負うことはありません。あなたには多くの仲間がいます。それに今は無理でも私達のように次世代に夢を繋いで下さい」
エルデがそう言うと、「そうよ、ネプギア。アタシ達がいるわ」とネプギアの肩を叩く。
「ありがとう! ユニちゃん!」
ネプギアが嬉しそうに言うと、「まずは日々の努力小さなことから、コツコツよ」とユニが言う。
「小さな一歩……まずはシスティーナの発展だね」
ネプギアの言葉に、「そうね。そして犯罪神からマジェコンヌさんを取り返しましょ」とユニが答える。
「あの……犯罪神からマジェコンヌさんを救うって、確か前にあんみつから姉様もそう言ってたって……」
プラエがそう言うと、「どういうことですか?」とエルデが質問する。
「この子、プラエちゃんって言うんですけど、この子とこの子のお姉さんのプロテノールさんは犯罪神から作られたんです。でも、彼女達は完全に犯罪神には操られてなくて……」
ネプギアがそこまで言うと、「プラエちゃん、ちょっと失礼しますね」とエルデがプラエを見たり触ったりします。
「確かに……生前の正気だった頃のマジェコンヌさんと似た術式です。可能性はあると思います」
エルデがそう言うと、「そうなんですか! じゃあ、姉様もプラエみたいにネプギアお姉さんに協力してくれるの?」とプラエが言うと、「十分可能性があります」とエルデが答える。
「よかったわね。プラエ」
ラムがそう言うと、「うんっ!!」とプラエが頷き、「その為には犯罪神をなんとかしなきゃね」とロムが言う。
「そうだね。あの、犯罪神からマジェコンヌさんを救うにはどうしたらいいですか?」
ネプギアの質問に、「そうですね。話を続けましょう。その前に世界の為、マジェコンヌさん救いたい為とは言え娘であるあなた達を改造した母を許して下さい」とエルデが答える。
「いえ、エルデさん……お母さんのゲハバーンのレポートは読みました。私はお母さんを信じます」
ネプギアがそう言うと、「私も同じです。私はお母さんの期待に応えることが出来ませんでしたが、この力のお陰で多くの犠牲を払いましたが、たくさんの世界を救うことができました」とVが言う。
「期待に応えられなかった?」
ネプギアが不思議そうに言うと、「私は世界を救う為に地球では無く、金星の加護、ルシフェルを選びました。私のことはギアではなく、Vと呼んで下さい」とVが言う。
「そうですか……それでも私はあなたを誇りに思います。ありがとうV」
エルデがそう言うと、「地球の加護はあなたにあります。期待してますよネプギア。あなたなら私と違って真のギアシステムに目覚めることができます」とVが言う。
「真のギアシステム?」
ネプギアの質問に、「ギアシステムは三つあります。まずは今のあなたが使う敵を倒すシステム。もう一つが私のようなゲハバーンを使った者が使う、唯一神としてゲイムギョウ界を治めるシステム。そして最後にゲハバーンを使わずに世界を平和に導く者が目覚める、ゲイムギョウ界ならず、地球すべての永遠の発展を願うシステム。その名もガイア.エターナル.オーギュメント&リファイメントシステム」
【ギアシステムの種類】
1・Guilty Erase Achievement Rational System.
『ギルティ、イレース、アチーブメント、ラショナル、システム』
罪人の消去を合理的に達成するシステム※今のネプギア
2・Game Endless Absolute Reign System.
『ゲーム.エンドレス.アブソリュート.レエイン.システム』
ゲームギョウ界の終わりのない絶対的統治システム。※今のV
3・Gaia Eternal Augment and Refinement System.
『ガイア.エターナル.オーギュメント&リファイメント、システム』
地球の永遠の増強と洗練システム。※最終段階
Vがそう言うと、「もしかして、その期待を込めて私の名前はギアなんですか?」とネプギアが質問すると、「はい、ですから私はその名を捨ててVを名乗っています」とVが答える。
「そうですか……残念ですが、名前が同じなのもややこしいので、今後もあなたの事をVと呼びますね」
エルデの言葉に、「ありがとうございます。お母さん」とVが答える。
「ところで、どうして私が居るのが今の時代なんですか? もっと早ければ、うずめさんやウラヌスさんも救えたかもしれないのに」
ネプギアの質問に、「それは、ピュアクリスタルが人の骨格の大きさまで成長するのに莫大な時間がかかるからです」とエルデが答えると、「なるほど。そう言うことですか」とネプギアが納得する。
「エルデから話を聞いた時は眉唾物だったし、現実世界の神とゲイムギョウ界の神のハーフの子がどうなるか不安じゃったが、彼女達のお陰で今回の危機を乗り越えることが出来た。感謝するぞエルデ、フォルセティ。そして、ネプギアにVよ」
文子がそう言うと、「感謝をするのはこちらの方です。約束を守ってギア達が目覚めるまで守ってくれてありがとうございます」とエルデが答える。
「ギア……もっと顔をよく見せて下さい」
エルデがそう言ってネプギアを抱くと、「大きく本当に大きくなりましたね」と嬉し涙を流してネプギアを優しく撫でる。
「……お母さん……」
ネプギアがそう言うと、「……今まで何もしてあげられなかった私のことを母と呼んでくれるのですね。本当に優しい子に育って……」とエルデが答える。
「お母さん……いーすんお母さんのおかげです。今なら分かります、いーすんさんを通じて、エルデお母さんがどれだけ私を愛してくれたかを……」
ネプギアがそう言うと、「そうですか……ありがとう、イストワール」とエルデ言うと、「私はただエルデ様の気持ちをネプギアさんに伝えただけです」とイストワールが言う。
「……」
その光景を少し寂しそうに見るVの肩をフォルセティが優しく叩く。
「止めて下さい。私はあなた達の期待に応えられなかった不出来な娘。不良品です」
Vの言葉に、「そんなことは無いさ。よく頑張ったねV」とフォルセティがVを優しく抱きしめ背中を【ぽんぽん】と叩く。
「……止めて……涙が……ごめんなさい、ルシフェル、妲己……今だけ今だけ泣かせて下さい……」
Vがそう言うと、「いいのよん♪ 好きなだけパパに甘えなさい」と妲己が言うと、「ああ、行くぞ。妲己」とルシフェルが言ってルシフェルと妲己が離れて行く。
***
暫く抱き合っていた親子達が離れると、「ごめんなさい。ギア、V。そろそろ時間です」とエルデが言う。
「本当に行ってしまうの? お母さん」
Vが少し寂しそうに言うと、「出来ればもう少し一緒に……」とネプギアも名残惜しそうに言う。
「ごめんなさい。私も、もっと居たいけど、私はとっくの昔に死んでしまった女神……あなた達とは一緒に居られないの」
エルデも寂しそうに言うと、「困ったら、イストワールやお父様を頼りなさい。お父様はともかく、イストワールは頼りになる筈よ」と言った。
すると、「ともかくはヒドイな。こう見えても現実世界の神なんだよ?」とフォルセティが笑顔だが少し不満そうに言う。
「そうだけど、お兄様は魔法とお勉強以外は全然ダメだし。運動音痴で生活能力ゼロ。本とかに集中し出すと周りの事がまるで見えなくなるし」
エルデの言葉に、「エルデ? そろそろ時間じゃないかな?」とフォルセティが言うと、「あっ! お兄様ズルイ。いつも不利になるとそうやって逃げる……」とエルデが言いかけると、フォルセティが優しくエルデを抱きしめる。
「本当に行ってしまうのかい?」
フォルセティがそう言うと、「……ごめんなさい。お兄様」とエルデが寂しそうな声で言う。
「そうか……後は私に任せてくれ。私と君の愛と夢の結晶。必ず守ってみせるよ」
フォルセティの優しい言葉に、「本当に大丈夫? お兄様? 乱暴な言葉遣いはダメよ。あの子達が怖がるし、教育にもよくないわ」とエルデが言うと、「ああ、大丈夫だ」とフォルセティが答える。
「毎日お風呂にも入ってね? 臭いとあの子達に嫌われるわよ」
「ああ、大丈夫だ」
「読書も程々にね? お兄様は気にしないけど、あの子達は女の子。夜更かしは美容の大敵だから」
「任せておけ」
「適度な運動もちゃんとだよ? 一日中家に籠るの禁止」
「善処する」
「お掃除もするんだよ? あの子達にばかりやらせたらダメだよ」
「問題ない」
言葉を交わすエルデとフォルセティ。
その二人を見守っていた、ネプギアとVにオーディンが近づくと、「行くぞ。ネプギアちゃん、Vちゃん」と声を掛ける。
「えっと……おじいちゃん? ですよね?」
少し自信がなさそうにネプギアが言うと、「正確には、ひいおじいちゃんだが、おじいちゃんで構わん。それより行くぞ」とオーディンが言う。
「でも、お父さんとお母さんが……」
Vが少し名残惜しそうに言うと、「最後くらい二人きりにさせてあげなさい。それに男には……女に、特に娘には見られたくない姿があるんじゃ……」とオーディンが言うと、「あっ……」とVが何かに気付く。
「行きましょ、ネプギア」
Vがそう言うと、「でも……」とネプギアが言うが、「いいから、私の言う事を聞きなさい」とVがやや強引にネプギアの手を引いて去って行く。
「大丈夫? パパになるんだよ? 今までみたいに俺は禁止だし……」
「エルデ? エルデ……」
フォルセティの腕の中のエルデは既に消えていた。
「まったく、お前はいつも変わらない。俺の心配ばかりで、別れの挨拶も忘れて……」
そうに言うとフォルセティは空を見上げ、「心配するな。今のが最後の俺だ。これから私はあの子達を守るよ」と呟いた。
その目には涙が流れていた。
第二章・完