新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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014エルフ

 翌日。

 

G.C.2019年6月26日 水曜日の早朝。

 

 

「んっ……」

 

 

 ネプギアが目を覚ますと目の前にラムの顔があった。

 

 

「むにゃむにゃ……」

 

 

 無邪気な寝顔を見せるラムに、「今日の見張りはラムちゃんだっけ……」と呟くネプギア。

 

昨日のロムと同じように早朝のジョギングを置いて行かれないよう、今日はラムが見張りとして一緒に寝ていた。

 

 

「ラムちゃん、起きれる?」

 

 

 ネプギアは優しくラムを揺すると、「ん……?」と薄っすらと目を開けるラム。

 

 

「おはよう。そろそろジョギング行くよ」

 

 

 ネプギアは優しい声でラムに言うが、「んん~」ラムは寝ぼけまなこでフルフルと首を横に振る。

 

まだ寝ていたいようだった。

 

 

「おいていっちゃうよー」

 

 

 ネプギアが少し意地悪そうに言う。

 

 

「んん~っ!」

 

 

ぎゅっ!

 

 

 ラムはネプギアのパジャマを力いっぱい掴む。

 

置いて行くなという意思表示なのだろう。

 

 

「大丈夫、置いてかない、置いてかない。意地悪言ってごめんね」

 

 

 ネプギアはラムの頭を優しく撫でながら謝る。

 

 

ぎゅっ!!

 

 

 ラムが突然ネプギアに抱きついてくる、「え?」ネプギアが呆気に取られるとラムの手がネプギアの脇の下に伸びる。

 

 

「こちょこちょ!」

 

 

 ラムはそう言いながらネプギアの脇の下をくすぐりだすと、「きゃ! ラ、ラムちゃん!」とネプギアは思いっきり慌ててしまう。

 

 

「意地悪言ったバツよ!」

 

 

 そう言ってネプギアをくすぐり続けるラム。

 

 

「わ、ご、ごめん! ごめんね!」

 

 

 ネプギアはかなりくすぐったいらしく必死に謝る。

 

 

「こちょこちょ! こちょこちょ!」

 

 

 しかし、くすぐりを一向に止めないラムに、「も~、ラムちゃん止めてよ~! 謝ったでしょ~」大困りのネプギア。

 

 

「だって、ネプギアの反応面白いんだもん!」

 

 

 ラムが楽しそうにそう言うと、ネプギアは、「や~ん!」と困り声を上げる。

 

ラムの中では既に意地悪を言われたことはどうでもいいようだった。

 

 

「よーし! 足の裏に突撃よ!」

 

 

 布団の中に潜るラムに、「やっ!? 足の裏はだめぇ~」とネプギアは抵抗するが、子供相手に本気を出す訳にいかずラムを止めることが出来なかった。

 

 

「こちょこちょ~! こちょこちょ~!」

 

 

 ラムのくすぐりに、「ひゃっ! あはっ! あははは! ダメだめぇらめぇ~!」と絶叫を上げるネプギア。

 

そのまま、ネプギアはラムの気が済むまでくすぐられ続ける。

 

 

「ふぅ~、楽しかった」

 

 

 満足げに額の汗を拭うラムに、「もー! ラムちゃん、ひどいよ!」と少し怒り気味のネプギア。

 

 

「ごめんね。ネプギア大好き~」

 

 

 ラムは一言謝るとネプギアに抱きついて、頬ずりする。

 

 

「も、もぅ……ラムちゃんは仕方ないなぁ……」

 

 

 誤魔化していることは一目瞭然であったが、ネプギアはラムの甘えぶりに、あっさり許してしまう。

 

ネプギアが抱きついてきたラムを抱き返し、頭を撫でると、「やっぱり、ネプギア大好き~」とラムが笑顔を見せる。

 

 

 ラムは頭を撫でられて許されたことに満足すると、ネプギアから離れて部屋を出て行く。

 

自分の部屋に着替えに行くのだろう。

 

 

「もー、朝からラムちゃんに振り回されちゃったよ……」

 

 

 ネプギアは少し疲れながらそう言うとジョギングの為に着替えを始める。

 

 

「でも、ラムちゃんニウムを補給して元気一杯かも」

 

 

 ネプギアは着替えながら、そう言ってクスリと笑う。

 

くすぐり攻撃には本気で困ったが、こうやって楽しく騒ぎ合っているのは嬉しいと感じたようだ。

 

 

***

 

 

 

 今朝もネプギア達はギャザリング城の橋の上でジョギングをしていた。

 

 

「ふぅふぅ……辛いです~」

 

 

 コンパは胸を左右に揺らしながら必死に走る。

 

ようやく一週目を走ったところである。

 

 

「焦らないで、自分のペースでいいのよ」

 

 

 並走するアイエフが無理をしないように言うが、「だけど、ロム様もラム様もあんな先に行ってるです~」とコンパが少し情けない声で言う。

 

コンパの言う通りアイエフの先にはロムとラムが走っていた。

 

 

「はっはっはっ……」

 

 

 ラムはリズムよく走り、ロムは、「ふぅふぅふぅ……」と少し苦しいながらも頑張ってラムに付いて行っているようだった。

 

昨日だけで少しペース配分のコツを掴んだらしく、速くはないが安定した走りだった。

 

 

「若い子は元気があっていいよね~」

 

 

 少し先に居たファミ通が話を聞きつけて、アイエフとコンパに並走するようにペースを落とす。

 

その隣にはイストワールも居た。

 

 

「年寄りくさいわよ」

 

 

 アイエフがファミ通に向けて少し皮肉っぽく言うと、「わたしも若いつもりでしたけど~」とコンパが落ち込んだ声を出す。

 

コンパは、自分が運動が苦手だと自覚はしていたが、まさかロムとラムにここまで差を付けられるとは思わなかったようである。

 

 

たったったっ……

 

 

 そこに二週目のネプギアとユニが通り、軽快な走りで通り過ぎて行くと、「コンパさん、ファイトです」とネプギアはユニに必死に付いて行きながらもコンパを応援する。

 

 

「こっちは若さ溢れる感じだね」

 

 

 ファミ通が通り過ぎて行くネプギアとユニを眺めながら感想を言うと、「だから、年寄りくさいわよ」と再度ツッコミを入れるアイエフ。

 

 

「わたしも学生時代もっと運動頑張ればよかったです~」

 

 

 コンパは沈みながらそう言うと、「何かを始めるというのに遅すぎるということはありません。努力を続ければ実を結びますよ」とイストワールがコンパを励ますように言う。

 

 

「そうですね、目標マイナス3キロです~」

 

 

 コンパはダイエットの目標を思い出し再び走り出す。

 

 

 その頃、ロムとラムは2kmを走り終え、タオルを持ったフィナイシェに迎えられていた。

 

 

「ロム様、ラム様、お疲れ様でした」

 

 

 ラムは、「ありがとう」とタオルを受け取るが、ロムは「つかれた……(へとへと)」と座り込んでしまったので、フィナンシェはしゃがんでロムにタオルを手渡す。

 

ロムとラムは手渡されたタオルで汗を拭う。

 

 

「お二人が朝のジョギングを始めたと知ったら、ブラン様も驚きますよ」

 

 

 フィナイシェは笑顔でロムとラムを褒めるように言う。

 

 

「ただ驚かせるだけじゃつまんないわよ。どうせなら、ネプギアとユニちゃんぐらい速くなって超驚かせてあげるわ」

 

 

 ラムはガッツポーズを作りながらそう言うと、ロムは、「お目目が飛び出るぐらい(びよん)」と言って目に両手を当てて、目が飛び出るジェスチャーをすると、「ふふっ……がんばって下さいね」とフィナイシェが微笑む。

 

 

「ふぅ~、もうダメです~」

 

 

 そこにへとへとのコンパがゴールする。

 

 

「朝の運動もなかなか清々しいわね」

 

 

 コンパに並走していたアイエフはまだまだ余裕があるようだった。

 

 

「そうだね、なんだか若返った感じがするよ」

 

 

 ファミ通がそう言うと、「だから、年寄りくさいって言ってるでしょ……」再々度ツッコミを入れるアイエフ。

 

 

「なかなか良い運動でしたね」

 

 

 イストワールがそう言うと、「イストワールって飛んでるだけだけど運動になるの?」とラムは不思議そうに尋ねる。

 

 

「なりますよ。汗もかきますし、カロリーも消費します」

 

 

 どうやら飛ぶにもカロリーを消耗するようだ。「ふしぎ?」とロムも不思議そうに首を傾げる。

 

 

「ゴール! 今日もアタシの勝ちね!」

 

 

 暫くして、ユニが5kmを走り終えてゴールすると、「う~……ユニちゃん、速い~」とその後に、ネプギアがゴールする。

 

 

「ネプギアお姉さん、ユニお姉さん、タオル」

 

 

 プラエが両手に持ったタオルをネプギアとユニに差し出す。

 

 

「ありがとう」

 

 

ネプギアが笑顔でお礼を言いながらそれを受け取ると、ユニも笑顔で、「ありがと」と受け取る。

 

 

「ユニ様が20分31秒、ネプギア様が21分22秒、お二人とも速いですね」

 

 

 フィナイシェがタイムを言うと、「まだ20分は切れないか……」とユニが残念そうに言う。

 

 

「それだけ走れれば十分だと思いますけど」

 

 

 アイエフがユニにそう言うと、「まだまだ上を目指さなきゃ。うかうかしてたらネプギアにも抜かれちゃうし」ユニは強い意気込みを示す。

 

 

「ユニちゃんを抜くなんて無理だよ」

 

 

 ネプギアは首を横に振りながら言うが、「そんなこと言いながら、ちゃんと最後までついてきてるじゃない」とユニは口を尖らせて言う。

 

 

「えへへ……勝てたらいいなって少しは思ってるけど……」

 

 

 ネプギアは頬をかきながら言うと、「ネプギアさんとユニさんは良いライバル関係ですね」イストワールは微笑みながら言う。

 

 

「はい、ユニちゃんと一緒に頑張ると力が湧いてきます。ユニちゃんニウム全開です」

 

 

 ネプギアは笑顔で答える。

 

昨日はゴブりんの件では衝突はしたが、ネプギアとイストワールの関係は良好だった。

 

 

***

 

 

 ジョギングの後、朝食の為に食卓付くネプギア達。

 

 

「先程、村の人から新鮮な卵と牛乳を頂きました」

 

 

あんみつが嬉しそうに朝食を並べながら言う。

 

都市から離れているこの辺境には大きな町は無く小さな村が点在しているだけだった。

 

その村人から牛乳をもらったらしく、あんみつはその牛乳をコップに注いでいく。

 

 

「わぁ、美味しそう」

 

 

 ラムがそう言うとロムも「牛さんのお乳(もうもう)」と嬉しそうな声を上げる。

 

 

「いっぱい頂いたそうなので、後でバニラアイスを作りますね」

 

 

 フィナンシェがそう言うとロムとラムは両手を上げてバンザイし、「「わーい」」と声を揃えて喜ぶ。

 

 

「ネギはないんですか?」

 

 

 ミクが残念そうに言うと、「あっても食べちゃダメだよ」とネプギアがやんわりと注意する。

 

ミクのエネルギー源は、メカビタンAのネギ味と同じメカビタンAの緑のジュースなので、普通の食べ物を食べると故障する。

 

 

***

 

 

いつものようにネプギアのいただきますの挨拶で朝食を食べ始める。

 

ネプギアは卵を割って小皿に入れると、「ユニちゃん、見て見て。黄身も白身もぷるぷるで美味しそうだよ」と嬉しそうに隣のユニに話しかける。

 

 

「美味しそうだし、栄養もありそうね」

 

 

 ユニがネプギアの小皿を見ながら頷いて同意すると、ネプギアは小皿を右手で高く掲げて、「きっと、この卵は孫がおじいちゃんの為に買って来たんだよ」と言う。

 

プラエが、「え? 何で?」と首を傾げると、「たまごを買った孫!」とネプギアがドヤ顔を決める。

 

ユニは右手で額を抑えて、「何言ってるのよアンタ……」と呆れた声を出すと、「孫がたまごを買ったから、買ったまご、だよ」とネプギアが丁寧にダジャレの説明を始める。

 

 

「そういう意味じゃないわよ……」

 

 

 ユニは呆れかえって、「はぁ……」と溜息を吐くが、「たまごを買った孫ー!」とラムが嬉しそうに左手を上げて元気よく言うと、「買ったまご(どやっ)」とロムも嬉しそうに右手を上げてラムに続く。

 

ネプギアのダジャレはロムとラムには好評のようだ。

 

プラエも笑顔を浮かべて、「ネプギアお姉さん、面白い」と言った。

 

 

「村長の方からの御礼状も頂いています」

 

 

 あんみつがそう言って胸元から白い封筒を出すと、「わー!見せて見せて!」と言ってラムが受け取り封筒を開けると、ロムも「気になる(わくわく)」と手紙を見る。

 

しかし、手紙を読むと、「難しい漢字がいっぱいあるー!」とラムが叫び、「よめない(めそめそ)」とロムも悲しそうな声を出す。

 

 

「ネプギア読んで」

 

 

 ラムは手紙をネプギアに差し出すと、「うん」と言ってネプギアは手紙を受け取って読み始める。

 

 

「謹啓、春暖の候、女神様におかれましては、ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます」

 

 

 ネプギアは原文のまま読み上げるが、「きんけー? しゅんだん? ごりゅうせー??」とラムが思いっきり首を傾げ、「むずかしい(しくしく)」とロムもしょんぼりしてしまう。

 

ロムとラムには難しい言葉が盛り沢山のようだ。

 

 

「えーと……」

 

 

 ネプギアは手紙を一通り読む。

 

「えっとね……【こんにちは、春も暖かくなってきましたね。女神様のお力がますます増していることをお祝いします。先日からモンスター討伐をしていただきありがとうございます。村のみんなも喜んでいます。こうして私達が安心して生活できるのも女神様のおかげです。これからも信仰しますので、よろしくお願いします。】……って書いてあるんだよ」

 

 

 ネプギアは御礼状の文章をロムとラムにも分かり易くして説明すると、「そっかー、村の人達喜んでくれたんだ」とラムが嬉しそうに頷くと、「うれしい(にこにこ)」とロムも笑顔を浮かべる。

 

二人とも手紙の内容が好意的で嬉しいようだ。

 

 

「どうやら、近隣の住民の方にも好意的に受け入れていただけているみたいですね」

 

 

 イストワールも嬉しそうに言う。

 

首都周辺では絶大な人気を誇るネプテューヌも辺境まで出向くことはあまりなかったので、この周囲の住民の信仰心はあまり高くはない様子だった。

 

しかし、ネプギア達の頑張りは好意的に受け入れられたようだ。

 

 

「ここ数日のモンスター討伐の成果が出たわね」

 

 

 ユニが嬉しそうに言うと、「うん、こういうことの積み重ねが大事だよね」とネプギアもユニの意見に頷く。

 

 

「その通りです。【ローマは一日にして成らず】、【千里の道も一歩から】です」

 

 

 イストワールはネプギアとユニの姿勢に関心をするが、ラムは首を傾げ、「ろおま? せんり?」と言い、ロムも小首を傾げて、「どういうこと?」と質問する。

 

ロムとラムには少し難しいようだ。

 

 

「どんなに凄いことでも毎日少しずつ努力して作られてるってことだよ。ロムちゃんとラムちゃんのルウィーだって長い歴史の中で少しずつ努力して作られて来たんだから」

 

 

 ネプギアはロムとラムに説明すると、「ベールさんのお胸も?」とラムが少し答えにくいが女性としては妥当な疑問を言う。

 

 

「えーと……どうなんだろ? ベールさんのそういう姿想像できないし……」

 

 

 ネプギアが真剣に悩んでいると、「なに真剣に悩んでるのよ」とユニにツッコミを受けてしまう。

 

 

「……って言われてもアタシも気になるわね」

 

 

 しかし、ユニもネプギアにツッコミをするが気にはなるようだ。

 

 

「生まれつきとか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「流石にそれは無いでしょ」とユニが否定し、「じゃあ、願いを叶えてくれる龍にお願いしたとか?」とネプギアが言うと、「部下に撃ち殺されそうな願い事ね」とユニが呆れながら言う。

 

 

「努力すればお胸大きくなるの(じーっ)」

 

 

 そんなことをしている間にロムが純粋な目で見つめて尋ねてくる。

 

 

「……パッドやシリコンは努力に含まれるのかな?」

 

 

 ネプギアがユニにそう言うと、「何でアタシを見ながら言うのよ!」とユニが怒り出す。

 

 

ぐりぐりぐり……

 

 

 ユニは両手で握り拳を作り、ネプギアのこめかみにグリグリ攻撃をする。

 

 

「深い意味はないよー! ユニちゃん痛いー!」

 

 

 状況からしてユニに話に振るのは自然なことなのだが、ユニには一つ悩みがある。

 

それは女神化すると胸が小さくなること。

 

基本的に女神化すると背が伸びてスタイルも良くなるのだが、何故かユニだけ逆に背が縮み胸も小さくなってしまうのだ。

 

そんなに極端に小さくなる訳ではないのだが、乙女にとっては深刻な問題である。

 

その為、ユニは変身前にパッドを付けてると思われることに凄まじい抵抗を感じるのである。

 

 

「お姉ちゃん、いっぱい努力してるけど、お胸大きくならないよ」

 

 

 ロムが悲しそうに言うと、「あんまり大きくなり過ぎると、調子に乗って性格悪くなるからダメだけど、せめてユニちゃんぐらいにしてあげたいのよ」ロムとラムは、スタイルにコンプレックスを抱える姉ブランを何とかしてあげたいようだった。

 

ちなみに【性格悪くなる】と言う理由は、以前に見たブランの夢で出会ったスタイルが良くなったブランの言動からである。

 

 

「せめてって何よ! せめてって! アタシだってそんなに小さくないわよ!」

 

「ユニちゃん、痛い痛いー!」

 

 

 ユニは思わずネプギアのグリグリ攻撃を強めてしまう。

 

 

「女性の胸を大きくする方法に関しては色々な説がありますが、ざっくり言えば現在の技術では確実に大きく成長する方法はありません」

 

 

 イストワールが真面目に説明すると、「そんなー」とガッカリするラム。

 

 

「じゃあ、努力してダメなの(しくしく)」

 

 

 ロムが悲しそうにそう言うと、「そんなことはありません。可能性はゼロではありませんし、マッサージや食事による働きかけも人類が研究をしてきた努力の成果と言えます」とイストワールが答える。

 

 

「人類って、少しスケールの大きな話ですね」

 

 

 ユニはネプギアへのグリグリ攻撃を止めてイストワールに意見をすると、「人一人が出来ることは限られています。ですから、人と人とが協力し努力する必要があるのです」とイストワールはユニの意見に答える。

 

 

「まだまだ研究が必要な分野ってことですが、あきらめちゃダメってことですね」

 

 

 ネプギアが自分なりの結論を言うと、ラムが、「じゃあ、ルウィー全体で協力してお姉ちゃんのお胸を大きくする方法を探せば大きくなるかもしれないのね」と言い、ロムも、「お姉ちゃんにも希望はあるんだ」と嬉しそうに言う。

 

 

「……国を挙げて胸を大きくなる方法を探させるって、ある意味羞恥プレイよね……」

 

 

 ユニがロムとラムの意見に感想を言うと、ネプギアが、「……それ以前に小さいもの好きの多いルウィーの場合は、国民全体が全力で阻止しそうだけど……」と呆れながら言う。

 

ネプギアの言う通り、ルウィー【そういう人】が多い国でもある。

 

 

「女神様でも、そういう悩みがあるんだねー」

 

 

 話を聞いていたファミ通が感想を言うと、「美は女性の永遠のテーマって言うしね」とアイエフがに答える。

 

 

「でも、そういうのは人それぞれだと思うです~」

 

 

 コンパは自分の意見を言うと、「そうですね。だからこそ、ゲイムギョウ界は今の四国で均衡を保っているのかもしれません」とイストワールはそう言って話を締めくくる。

 

 

***

 

 

 

 朝食後ネプギア達はいつも通り、バイクと車でクエストに出かける。

 

 

「今日はこの西風の吹く渓谷でブロック族の退治をお願いします」

 

 

 イストワールがホログラムでクエストの説明をする。

 

【西風の吹く渓谷】とはプラネテューヌとラステイションの間にある山岳地帯にある渓谷。

 

【ブロック族】とは4つの正方形を組み合わせて作られた形のモンスターで、正方形にL型や棒型、凸型などの7種類の形態を取る。

 

 

「ブロック族って名前が似たようなのばっかりでややこしいわよね。【テトスリ】とか【テストリ】とか【テスリト】とか……」

 

 

 ユニの言う通りブロック族は、【テ】を頭に似たような名前ばかりである。

 

 

「【テリスト】と【テリトス】もいるよ」

 

 

 ネプギアがユニの言葉に続くと、ロムは、「テばっかり……(ぐるぐる)」と両手で頭を抱え、ラムも、「あたまがこんがらがる~!」と両手で頭を抱える。

 

ロムとラムにもブロック族の名前はややこしいようだ。

 

 

「みなさん、名前に惑わされず落ち着いて対処して下さい」

 

 

 イストワールがネプギア達にアドバイスをすると、「そうですね。名前が違ってもブロック族との戦い方は一緒ですよね」ネプギアはイストワールのアドバイスに頷く。

 

 

「ブロック族との戦いは後半が勝負。ペース配分を考えていくわよ」

 

 

 ユニも戦いに集中するよう気持ち切り替えたようだ。

 

 

「ブロック族って味方が倒されるとレベルアップするのよね」

 

 

 ラムがそう言うとロムも、「スピードが凄く速くなる……(びゅんびゅん)」と言ってブロック族の特性を確認する。

 

彼女達の言うようにブロック族は落ちモノパズルから生まれたモンスターなので、仲間が消滅する度にレベルアップをしてしまう。

 

特にスピードが上がり、後半になるほど対処が困難になって来る。

 

 

「うん、数も多いだろうから最初から飛ばし過ぎないようにね」

 

 

 ネプギアはそう言うとNギアを操作して、ネプギアンダムの偵察モードを呼び出す。

 

 

「じゃあ、偵察お願いね。ネプギアンダム」

 

 

 ネプギアは、ネプギアンダムをカタパルトに載せて上空に発射させる。

 

ネプギアがネプギアンダムの後をゆっくりと追うと残りのメンバーもそれに続く。

 

 

「昨日はゴブリンを大量に倒したから一気にレベルが上がったわね」

 

 

 その最中アイエフがそう言うと、コンパも「わたしもレベル32になりました~」と嬉しそうに言う。

 

 

「塵も積もれば山となるですね」

 

 

 あんみつがそう言うと、「これは今回のクエストは楽勝かもね」ファミ通がそれに続く。

 

プラエも笑顔で、「いつでもお手伝いできるよ」と言う。

 

しかし、イストワールが、「一先ず今回も女神候補生の皆さんでお願いしましょう。今朝の御礼状のように女神様が先頭に立って戦うことは国全体の高揚につながります」と言う。

 

 

「……わかりました」

 

 

 プラエが少しガッカリしたように言うと、「プラエちゃんの気持ちだけで十分だよ」とネプギアが言い、「それにピンチになった時はあてにさせてもらうわ」とユニがフォローを入れる。

 

更に、「プラエちゃんの時間操作便利(にこにこ)」とロムが笑顔で言い、「もしもの時はお願いね」とラムが言う。

 

 

「ありがとうみんな」

 

 

 皆の励ましで笑顔を取り戻したプラエがお礼を言う。

 

それと同時に、「ネプギアンダムから敵勢力の報告あり、橋の向こう側にブロック族の集団がいるよ。データリンクするね」とネプギアがNギアを開きながら言うと操作を始める。

 

ネプギアンダムから来た情報をNギアを介して、いつも通り通りユニ達のゲーム機にも情報を送っているのだ。

 

 

「作戦はどうする?」

 

 

 ユニがゲーム機を見ながらネプギアに作戦の相談をすると、「滑り落ちたりしたら危ないから、広い安全な場所に誘き寄せてから戦おう」とネプギアがユニの質問に答える。

 

 

「高いの怖い(ぶるぶる)」

 

 

 ロムは谷間を見ると震えだす。

 

すると、「大丈夫よロムちゃん。ネプギアも安全な場所って言ってるじゃない」とラムがロムを励ます。

 

 

「まず私が橋を渡って敵陣に斬り込むね」

 

 

 ネプギアはNギアを操作すると、画面上でネプギアを示す光点が敵陣に突っ込む。

 

 

「その後、襲って来た敵をココに引き連れて戻るから、みんなで迎撃しよう」

 

 

 画面上のネプギアの光点が引き返すと、そこにはユニ、ロム、ラムを示す光点があり全員で攻撃する矢印が出る。

 

 

「わかったわ。それで行きましょ」

 

 

 ユニがネプギアの作戦にOKを出すと、「……ネプギアちゃん、一人で大丈夫?」ロムは敵陣に一人で斬り込むネプギアのことを心配する。

 

 

「大丈夫大丈夫。無理しないですぐ戻るから」

 

 

 ネプギアはロムを安心させるように頭を撫でる。

 

 

「問題ないわよ。アタシも援護射撃するし」

 

 

 ユニもロムを安心させるように言う。

 

すると、「うん、頼りにしてるね」ネプギアは右手を握りこぶしにして、ユニの前に突き出す。

 

 

「任せなさい」

 

 

 ユニはそれに合わせるように自分も握りこぶしを握り、ネプギアの握りこぶしに軽く突き合わせグータッチを交わす。

 

 

「それじゃあ、作戦開始ね」

 

 

 ラムが元気良く作戦開始を告げると、「うん、行ってくるね」と言ってネプギアは橋に向かって走り出す。

 

 

***

 

 

 ネプギアが橋を渡ると、4つの正方形を組み合わさった2メートル前後のブロック族が徘徊していた。

 

 

「敵数は53か……上手く計算して倒さないと」

 

 

 ネプギアはその様子を見ながら、Nギアのレーダで敵の数を確認する。

 

そして一番近いブロック族が後ろを向いたことを確認するとNギアをしまい、ビームソードを出す。

 

 

「ごめんなさい!」

 

 

 ネプギアはその一匹に走り寄ると、ビームソードで縦切りに背中を切り裂く。

 

 

ザシュッ!

 

 

 ハイドアタックとクリティカルヒットを決められて703のダメージを受けて消滅するブロック族。

 

ブロック族に声帯は無いので悲鳴などは無かった。

 

0.3又、ブロック族はその特性からパーティを組まないので、倒すとそのまま消滅してしまう。

 

 

ずしん……ずしん……

 

ごろごろ……

 

 

 その様子を見た他のブロック族がゆっくりとネプギアに迫る。

 

棒形やL形で跳ねながら進むもの、凸形や四角形でごろごろと転がるもの、動きは形状により様々だった。

 

 

「たあああ!」

 

 

 ネプギアは迫ってくるブロック族に立ち向かう。

 

 

ザシュッ!

 

 

「二つ!」

 

 

ザシュッ!

 

 

「三つ!」

 

 

 ネプギアは次々にブロック族を斬り倒す。

 

ブロック族の動きは鈍くネプギアの相手ではないようだった。

 

ネプギアはヒットアンドアウェイを繰り返し、400前後のダメージを数回に渡って与え一匹一匹消滅させていく。

 

ブロック族のHPは700弱程度らしくネプギアが二回攻撃すると一匹消滅していった。

 

 

「四つ! 五つ!」

 

 

 ネプギアは撃破数を数えながらブロック族を倒し続ける。

 

 

「六つ、七つ、八つ……九つ!!!」

 

 

 九体倒したところでネプギアの手が止まる。

 

 

「レベルアップ前に引き返さなきゃ……」

 

 

 ネプギアはそう言うと踵を返して、渡って来た橋に向かって走る。

 

 

ずしん……ずしん……

 

ごろごろ……

 

 

 ブロック族はその後ろをノロノロと追ってくる。

 

とても追いつけるようには思えない遅さだった。

 

 

「はあっ! はぁっ!」

 

 

 それでもネプギアは必死に走って橋を渡る。

 

 

ずしん……ずしん……

 

ごろごろ……

 

 

 それを追うブロック族モンスター。

 

 

「来たわね」

 

 

 ユニがその様子を、橋全体が見える狙撃ポイントでライフルのスコープから眺める。

 

ネプギアが橋を半分ほど渡ったところで、ユニが先頭に立っているブロック属の顔に狙いを定めライフルを撃つ。

 

一見頭が無いように見えるブロック族も顔が付いており、そこを狙えばヘッドショットになる。

 

 

ズキューン!

 

 

 ヘッドショットで720ダメージを受けて消滅するブロック族。

 

すると残ったブロック族が光りだす。

 

 

ずしんずしんずしん!

 

ごろごろごろ!

 

 

 ブロック族は先程より遥かに移動スピードが速くなった。

 

 

「レベルアップしたわね」

 

 

 ユニはブロック族の変化に驚くことはなく予定通りといった感じで言う。

 

戦闘の前にロムとラムが言ったようにブロック族は同族が倒されるとレベルアップをする。

 

基本的には十体倒すとレベルアップすると言われている。

 

その為、ネプギアは九体目で引き返したのである。

 

 

ずしんずしんずしん!

 

ごろごろごろ!

 

 

 レベルアップしたブロック族はネプギアより速く、どんどん差を詰めて行く。

 

棒型のブロック族がネプギアを踏み潰そうと跳躍する。

 

 

「そうはさせないわよ!」

 

 

ユニは冷静に狙いを定めて、そのブロック族の頭を狙い撃つ。

 

 

ズキューン!

 

 

 ユニの狙撃で587ダメージを受けて吹き飛ぶブロック族。

 

 

「もう一発!」

 

 

 ユニが続けて狙撃すると、撃たれたブロック族はそのまま消滅する。

 

 

「11!」

 

 

 ユニがネプギアと同じように倒した数をカウントする。

 

 

ズキューン!

 

 

「12!」

 

 

 ユニはネプギアに襲い掛かるブロック族を一体一体丁寧に狙撃していく。

 

 

ズキューン!

 

 

「13!」

 

 

 ユニの適切な援護によりブロック族はネプギアに攻撃出来ずにいた。

 

 

「はあっ! はぁっ!」

 

 

 ネプギアはユニの援護を受けて走り続ける。

 

 

ズキューン! ズキューン! ズキューン!

 

 

「19!!」

 

 

 ユニの狙撃は絶え間なく続き、19体目を撃破する。

 

 

「計算通り。ここまで援護すれば大丈夫ね」

 

 

 ユニは銃を下ろし、狙撃ポイントから離れネプギアの居る橋に向かって走る。

 

 

「ロムちゃん、ラムちゃん!」

 

 

 ユニの援護により橋を渡りきったネプギアはロムとラムを呼ぶと、「はいはーい!ラムちゃん参上!」とラムは左手を上げて返事をし、ロムは、「ロムちゃん、参上(びしっ)」と右手でVサインを決める。

 

 

「行くよ、ロムちゃん! わたし達の新必殺技!」

 

 

 ラムがそう言うと「スーパー・エターナルフォースブリザードだね(わくわく)」と新必殺技宣言をする。

 

 

「スーパー・エターナルフォースブリザード!?」

 

 

 ネプギアはいきなりの新必殺技展開に驚く、以前に使ったエターナルフォースブリザードのパワーアップ版があるらしいらしい。

 

ネプギアが驚いている間に、ロムとラムは、「「……極寒の吹雪よ……我が敵に永遠の死を与えよ……」」と同時に氷属性の呪文の詠唱を始める。

 

 

「てーーーい!」

 

「とーーーー!(ぐるぐる~)」

 

 

 呪文の詠唱が終わったと同時にロムとラムは回転ジャンプして魔法を放つ。

 

ネプギアを追って来たブロック族に強烈な冷気が襲い掛かり、三体のブロック族が周囲の大気ごと氷結する。

 

 

「あれー? いつもと変わらないね?」

 

 

 ラムが腕を組んで首を傾げると、「なんで?」とロムも頬に人差し指を当てて小首を傾げる。

 

どうやら今の結果に満足できないようだった。

 

 

「……もしかして、失敗?」

 

 

 ネプギアが不安そうに尋ねると、「そんな筈ないわよ。二人同時に2倍のジャンプして3倍の回転して使ったんだから、12倍の威力が出るはずなのよ」とラムが自信満々に言い放つ。

 

 

「なんなのその理論……色々とおかしいわよ」

 

 

 少し離れて話を聞いていたアイエフがツッコミしながら呆れ返ると、「え? 掛け算は間違ってないと思うです~」コンパは特に疑問がないように首を傾げるが、「そういう問題じゃないと思うな……」とすかさずファミ通にツッコミ受けてしまう。

 

 

「えっと……敵の周囲を凍らせる魔法に、ジャンプとか回転はあんまり意味ないんじゃないのかな?」

 

 

 ネプギアはラムの理屈に対して人差し指を立てながら意見を言うと、ラムは、「ガーン! そうなの!」と言って両手で頬を押さえ、「ショック(がびーん)」とロムも同じポーズをする。

 

どうやら二人とも本気だったらしくショックを受けている。

 

 

「高いところから回転するなら、位置エネルギーと運動エネルギーを活かせる攻撃じゃないとダメだよ」

 

 

 アドバイスをするネプギアに、「……アドバイス自体は間違っていないんですが、そういうズレた意見が出るところは流石ネプギアさんですね」とイストワールは少しズレているネプギアに苦笑する。

 

 

「誰から教わったのそれ?」

 

 

 ネプギアが小首を傾げながらロムとラムに尋ねると、「「ネプテューヌちゃん」」と二人が声を揃えて言う。

 

 

「あはは……」

 

 

 ネプギアが乾いた笑いを浮かべながら右手の人差し指で頬を掻くと、「有名なプロレスラーの技だって言ったのに~」とラムが残念そうに言い、「プロレスと魔法は関係ないんだね(しょぼん)」とロムは肩を落とす。

 

 

「問題はそこじゃないんだけどね……」

 

 

 アイエフが呆れながらそう言うと、「なに油断してるのよ! 敵がレベルアップするわよ」とユニが叫びながら駆けつける。

 

同時に氷結したブロック族達は700前後のダメージを受けて消滅をするが、残ったブロック族が光りだす。

 

20体目が撃破されたのでレベルアップしたのである。

 

 

ズガガガガガ!!

 

キュィィィィン!!

 

 

 ずしすし進んでいたブロック族は削岩機のように。

 

ごろごろ転がっていたブロック族は回転ノコギリのような激しい動きになる。

 

 

「来るっ!」

 

 

 ネプギアはビームソードを構えて、もの凄いスピードで迫るブロック族を迎え撃つ。

 

 

キュィィィィン!

 

 

 凸形のブロック族が正面からでネプギアに襲い掛かる。

 

 

「はあああ!」

 

 

キィィィィン!

 

 

 ネプギアはその攻撃をビームソードで受け止める。

 

ビームソードとブロックが衝突し火花が散る。

 

 

ズガガガガガ!!

 

 

 鍔迫り合いの最中に右斜めからL型のブロック族が自分の体を鍬のようにして襲い掛かる。

 

 

「速い!?」

 

 

 ネプギアは敵の動きの速さに驚く、このままでは直撃してしまう。

 

 

ズキューン!

 

 

 そこに銃声が鳴り響きL型のブロックにユニの狙撃が当たる。

 

525ダメージを受けて動きを止めるブロック、しかし消滅はしない。

 

 

「硬い、流石にレベルアップしてるだけあるわね」

 

 

 ユニは簡単に消滅しなくなったブロック族に感心すると、「氷の矢よ敵を撃て!! それっ! アイスアロー!」とラムが即座に放った氷の矢が命中する。

 

587ダメージを受けて消滅するL型のブロック。

 

 

「たあっ!」

 

 

 同時にネプギアが鍔迫り合いを続けていた凸形のブロックを弾き返して、その隙に素早くビームソードで突きを入れる。

 

495ダメージが当たり、同時に、「氷の矢よ敵を撃て!! アイスアロー!」とロムがラムと同じように氷の矢を飛ばして命中させると512ダメージを受けて凸形のブロックは消滅する。

 

 

「まだ有利だけど、これ以上レベルアップさせるのは危険よ」

 

 

 ユニがネプギアに言うと、「うん、みんな撃破数に気を付けて! 私は盾と誘導に徹するから」とネプギアもユニと同意見で、これ以上ブロック族がレベルアップしないよう指示を出す。

 

 

「うん、わたしはこれから回復と補助だけするね」

 

 

 ネプギアの指示にロムはそう言うと、「まもってあげる」と防御力アップの魔法をネプギアに掛ける。

 

 

「ありがとう!」

 

 

 ネプギアは防御力アップを確認すると、盾役としてブロック族の群れに突っ込んで行く。

 

ネプギアに襲い掛かるブロック族の群れ。

 

 

「はあっ!」

 

 

 ネプギアは右手のビームソードで攻撃して左手の防御の魔方陣でブロック族達の攻撃を凌ぐ。

 

ネプギアは二体のブロック族とビームソードと体当たりとで打ち合いを続けて、ダメージを受けたら即座にヒールで回復してヘイトを稼ぎタンクの役割を果たしている。

 

 

「この弾なら一発でしょ!」

 

 

 ユニが特殊弾をライフルに装填すると、ネプギアと打ち合いをしている内の一体に狙いを定めて銃を撃つ。

 

 

ドカーン!

 

 

 弾は榴弾でブロック族に当たると大爆発を起こす。

 

721ダメージを受けて消滅するブロック族。

 

 

「25体目撃破!」

 

 

 ユニが声を出して撃破数を仲間に伝えると、「じゃあ、26体目はわたし! 氷の矢よ敵を蹂躙せよ! アイスラッシュ!」ラムがアイスアローの連続魔法【アイスラッシュ】を唱える。

 

何発もの氷の矢がもう一体のブロック族に当たり659ダメージを与えて撃破する。

 

 

「さあ! どんどん、私に向かって来てください!」

 

 

ズガガガガガ!!

 

キュィィィィン!!

 

 

今度は四体のブロック族がネプギアに襲い掛かる。

 

 

「くうっ!」

 

 

 ネプギアは四体のブロック族の連続攻撃を受け、250以上のダメージを受けてHPゲージが五割以上減ってしまうが、「ちりょうするよ!」と回復魔法の詠唱を終えて待機していたロムが即座にネプギアの受けたダメージを回復する。

 

その間にユニとラムが攻撃を続ける。

 

いつも通りの女神候補生達のスタンダードフォーメーションだ。

 

 

「優勢ね……これなら心配することもないかしら」

 

 

 戦況を見ていたアイエフが呟くと「そうですね~」とコンパも安心した様子で答える。

 

 

「でも、敵はまだ10体以上残ってるよ。これ以上レベルアップすると危ないよ」

 

 

 プラエがそう意見すると、「大丈夫です。みなさんはそれを知った上で立ち回っています」とイストワールはプラエの不安を消すように落ち着いて言う。

 

 

「これでダウンよ! 29体目!」

 

 

 ユニがまた榴弾を撃つ。

 

 

ドカーン!

 

 

 爆風と共に711ダメージを受けて消滅するブロック族。

 

ネプギアと対峙しているブロック族は残り一体になる。

 

 

「よーし、30体目ー!」

 

 

 ラムが魔法の詠唱を始めるが、「こら! 調子に乗らないの!」とユニが止める。

 

 

「あ、そうだった。ごめんごめん」

 

 

 ラムは頭を掻きながら謝ると同時に、「ギアナックル!」と前衛のネプギアが右ストレートパンチを残ったブロック族にヒットさせる。

 

ブロック族は524ダメージを受けると、ギアナックルの衝撃によるノックバックで後続に控えていたブロック族の群れまで吹き飛ぶ。

 

 

「ギアナックルⅡ!」

 

 

 ネプギアはブロック族の群れまで走り寄ると、今度は別のブロック族に右手の連続パンチを叩き込む。

 

攻撃されたブロック族は541ダメージを受けると先程のギアナックル吹き飛んだブロック族の更に後ろまで吹き飛ぶ。

 

【ギアナックルⅡ】は名前の通りギアナックルの改良技。

 

 

「そして、これが新技ギアナックルⅢです!」

 

 

 また別のブロック族に今度は両手のラッシュに加えて最後に回し蹴りを食らわせる。

 

【ギアナックルⅢ】はⅡの更に上位版。

 

567ダメージを受けギアナックルⅡで吹き飛ばしたブロックより更に後ろに吹き飛ばされるブロック族。

 

 

「ネプギア様、ガンガン攻撃してますけど大丈夫なんですか?」

 

 

 ファミ通はハラハラしながら言う。

 

撃破してしまいブロック族がレベルアップしてしまうことを心配しているのだろう。

 

 

「大丈夫です、ちゃんと手加減しています。それに考えなく攻撃している訳ではありませんよ」

 

 

 イストワールがそれに答える。

 

イストワールの言う通り、ネプギアは敵を撃破しないよう気を付けて手加減をしながらブロック族達をギアナックルⅠ~Ⅲを使い分けてノックバックさせ続けていた。

 

勿論反撃でダメージを受けるが、こまめなヒールとロムのラムの回復魔法、それにユニの回復弾で凌いでいる。

 

 

「出来た! 全消し行けるよ!」

 

 

 ネプギアが声を上げるとネプギアの正面には20体以上のブロック族が縦一列に並んでいた。

 

しかも、凸型、L型 などの形の特性を生かして隙間なく綺麗に並べている。

 

ネプギアはノックバックの位置や距離を調整してブロック族を並べたのだった。

 

 

「オッケー! ラムちゃんの【てんかむてき】の【てんかむそー】の必殺技!!」

 

 

 ラムはネプギアの声に反応すると、前方のブロックの群れ目掛けて駆け出す。

 

すると、「とおっ!」ラムは大きくジャンプをし両手を振り上げる。

 

 

「氷剣アイスカリバー!」

 

 

 ラムの両手に全長20mはある氷で出来た剣が現れる。

 

 

「いっとーりょーだん!」

 

 

 ラムが落下スピードに乗りながらアイスカリバーを振り下ろす。

 

ブロック族の群れにアイスカリバーが襲い掛かる。

 

 

ズウゥゥゥゥンッ!!

 

 

 一列に並んだブロック族は一刀の元に斬り伏せられ6000以上のダメージを受けて全てオーバーキルMAXの表示と共に消滅する。

 

 

「いえい! 全消しっ!」

 

 

 ラムはブロック族の消滅を確認するとウインクしてVサインを決める。

 

一撃で殲滅されたブロック族はレベルアップすることなく倒されたのだ。

 

 

「お、お見事……。流石は女神様、凄まじい魔法ですね」

 

 

 ラムの見た目に似合わない豪快な一撃にポカンしながらも称賛するファミ通。

 

 

「ラムさんの魔法も凄まじいですが、一撃で勝負を決められる状況を作ったネプギアさんの活躍も見逃さないで下さい」

 

 

 イストワールはファミ通に言うと、「あっ、なるほど。ノックバックで敵を上手く一か所に固めていたんですね」ファミ通は柏手を打って感心する。

 

 

「ギアちゃんはパズルゲーム好きですから、こういうの上手いんですよ」

 

 

 コンパがそう言うと、「ま、要は今回もあの子達のコンビネーションの勝利よ」とアイエフがそれに続く。

 

ネプギアは落ち物パズルが好きで、それが高じて戦闘でも敵の位置調整で活かされているのだった。

 

アイエフとコンパの視線の先には、ネプギア達がハイタッチを交わし合い勝利の喜びを分かち合っていた。

 

 

「やったね、みんな」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「当然の結果よ」とユニが自信満々に腕を組む。

 

 

「帰ったらフィナンシェさんのアイスクリーム(どきどき)」

 

 

ロムが嬉しそうに言うと、「そうだった! 楽しみ~」とラムが飛び跳ねて喜びを表現する。

 

 

***

 

 

 

 ブロック退治を終えたネプギア達はギャザリング城に帰る為にバイクと車に乗っていた。

 

 

「相変わらず、意思疎通が取れたコンビネーションでしたね」

 

 

 ファミ通が運転しながら女神候補生達を褒めると、「いしそつー? 何の病気?」とラムが首を傾げ、「痛いところがあるなら、わたしが治すよ」とロムが言う。

 

 

「痛いの痛じゃなくて、通るの通よ」

 

 

 ユニがそう言うと、「互いに考えていることを伝えて、理解を得ること、認識を共有することのことを言うんだよ。私やユニちゃんの言ったことを二人ともすぐに分かってくれるでしょ? そういう時に使う言葉なの」とネプギアが続けて説明をする。

 

 

「「へー」」

 

 

 ロムとラムが感心しながら頷くと、「うん、ファミ通さんの言う通りだね。ネプギアお姉さん達はもの凄く意思疎通が取れてると思うよ。羨ましいなー」とプラエが言う。

 

 

「ありがとう。プラエちゃんも後で一緒に練習しようね」

 

 

 ネプギアはお礼を言いながらそう言うと、「バンドの練習をしてて思うけど、プラエも筋が良いと思うわ」とユニが続けて言う。

 

 

「ほんと!」

 

 

 プラエが嬉しそうに声を上げる。

 

すると、「わたしもそう思う」とロムが言い、「プラエ才能あるわよ」とラムも言う。

 

 

ピピピピ!

 

 

イストワールから電子音がする。

 

普通はスマートフォンなどから音が鳴るものだが、人工生命体の彼女は体内からそれが鳴る。

 

 

「ちょっと失礼します」

 

 

 ロムの膝に乗っていたイストワールが、「はい、私です」と会話を始める

 

 

「本当ですか? わかりました。今すぐ向かいます」

 

 

 イストワールが通信を切ると、「どうかしたんですか?」とネプギアがイストワールに話の内容を尋ねる。

 

 

「ルートビルド計画のルート上で違法デモが行われています」

 

 

 イストワールが答えると、「「いほーでも?」」とロムとラムが口を揃えて首を傾げる。

 

 

「アタシ達の計画に反対する人が集まって騒いでるのよ」

 

 

 ユニがロムとラムの疑問に答えると、「村の人達喜んでくれてると思ったのに~」とラムが肩を落とし、「がっかり(しょぼん)」とロムも肩を落とす。

 

 

「落ち込まないで下さい。全員が全員賛成するなどと言うことは稀なのです。反対意見に対してしっかりとした対応をすることも大事ですよ」

 

 

 イストワールはロムとラムに言い聞かせると、「ファミ通さん、申し訳ありませんが目的地を変更して下さい」とファミ通に要望する。

 

 

「わかりました」

 

 

 ファミ通が車を停めると、アイエフとコンパもバイクと車を停める。

 

イストワールがアイエフとコンパに事情を説明すると一行は違法デモが行われていると言う現地に向かう。

 

 

***

 

 

 現地に付くと、森の前にプラカードを持った人垣が出来ていてプラネテューヌの警備隊と睨み合っていた。

 

 

「ご苦労様です。状況はどうなっていますか?」

 

 

 イストワールが警備隊長に話しかけると、「ご足労ありがとうございます。向こうは説得にも応じず膠着状態となっております」と警備隊長がイストワールに状況を告げる。

 

 

「君たちの行動は違法に当たる。ただちに解散したまえ!」

 

 

 警備兵がデモを行っている人だかりに向けてメガホンで説得を続けているが、「ルートビルド反対!!」、「森を壊すなー!」、「自然破壊を許すなー!」と人垣から大声が聞こえてくる。

 

全員帽子とサングラスとマスクを付けており表情が分からない。

 

 

「自然を保護したい人たちが集まってるんだ……」

 

 

 ネプギアはデモの主張に複雑そうな顔をすると、「動物の住む場所を守れー!」、「アエルーは友達だー!」、「森クジラの捕獲は許さんー!」と更に人垣から更に声が聞こえる。

 

 

「……動物さんの住む場所なくなっちゃうの?」

 

 

 ロムが悲しそうにそう言うとラムも、「う~ん……どうしたらいいんだろ」言う。

 

三人共デモの意見に強く反論できないようだ。

 

 

「安易に同調しちゃダメよ。この計画はゲイムギョウ界全体の為になるんだから」

 

 

 ユニは迷うネプギア達に自分達が正しいことを主張すると、「ユニさんの言う通りです。違法デモには毅然とした対応をしなくてはなりません」イストワールもユニ意見を推すようにネプギアに言い聞かせる。

 

 

「でも……」

 

 

 しかし、ネプギアにはまだ迷いがあるようだった。

 

 

「ネプテューヌ辞めろ! 怠け政治を許すなー!」

 

「ぐーたら女神はNO!」

 

「この計画の財源でプリンを食ってるに違いないぞー!」

 

 

 人垣から今度はプラネテューヌの政治と国のトップであるネプテューヌを批判する声が上がると、「今すぐ鎮圧しましょう!」とネプギアは突然態度を変える。

 

 

「警備隊とつにゅ…」

 

 

ぽかっ!

 

 

「このぐらいで主張を変えるなー!」

 

 

 ユニが勢い余って警備隊に突入指示まで出そうとするネプギアの頭を叩く。

 

 

「ユニちゃん痛いー!」

 

 

 痛がるネプギアにユニは、「全面的にアンタが悪い」とキッパリと言い放つ。

 

 

「……まったく、この子はネプ子のことになると何でこうなのかしら……」

 

 

 呆れるアイエフに、「ネプギアさんの悪い癖です」と渋い顔のイストワール。

 

 

「じゃあ、私、あの人達にお姉ちゃんの良いところを伝えてきます。任せて下さい! お姉ちゃんの良いところなら千個以上言えますし、三日三晩徹夜で語れる自信があります」

 

 

 ネプギアが自信満々にそう言うが、「そんなの無理矢理聞かされたらよけい嫌いになるわよ」とユニが言い、「それに三日三晩も待てないわ」とアイエフが更にツッコミをしてくる。

 

 

「……しゅん……」

 

 

 意気込んで提案したネプギアだが、即座にユニとアイエフの順でダブルツッコミを受けてしまったので、すっかり意気消沈してしまい、いじけて体育座りをしてしまう。

 

 

「ネプギアちゃん落ち込まないで(よしよし)」

 

 

 そんなネプギアを見てロムが頭を撫でると、「わたし達が慰めてあげるわ」とラムも頭を撫でて慰め、「プラエも頑張るね」とプラエも二人に続く。

 

ルウィーの紳士達がみたら、さぞや羨ましがるだろう。

 

 

「それでどうするですか~?」

 

 

 コンパがそう言って首を傾げると、ファミ通が腕を組んで頬杖を付きながら、「できれば平和的に解決したいところだね」と言って意見する。

 

 

「帰れー!」

 

「我々は権力に屈したりしないぞー!」

 

「我等は森の番犬だ!」

 

 

 デモ隊から罵声と共に小石が飛んでくる。

 

石は放物線で飛んでくるものもあり、警備隊を飛び越えてネプギア達にも降り注ぐ。

 

 

「うわわっ!? 危ないなー!」

 

 

 ファミ通は後ろに下がって避難すると、「怖い……」とプラエはネプギアの後ろに隠れてしまう。

 

 

「これはどっちかっていうと、エコテロリストね」

 

 

 アイエフが人垣を睨みながら言うと、「エロテロリスト!? エッチな人達なの?」とラムが驚き後ずさると、ロムは、「えっちなのは……ダメ(めっ)」と言って注意をするように言う。

 

 

「エコよエコ!」

 

 

 アイエフは慌てて訂正をすると、「それってどんなリストなの?」ロムが小首を傾げて質問すると、「一覧表のリストじゃなくて、テロリストっていうのは暴力的な集団のことを言うんだよ」とネプギアが説明する。

 

 

「環境保護や動物愛護って言ってるけど、その為なら何をしても許されるって勘違いしてる奴等よ」

 

 

 アイエフが更にそう付け足すと、「なーんだ。そんな奴等なら、やっつけちゃっていいんじゃない?」とラムが安心したように尋ねる。

 

 

「しかし、このデモにエルフが混じっているという情報があります」

 

 

 イストワールは少し困ったように言うと、「エルフですか……何かあって種族間の遺恨になると厄介ですね」とアイエフも難しい顔をする。

 

【エルフ】とは自然と平和を愛する人型の種族。

 

ゲイムギョウ界において人間とは比較的友好的な種族である。

 

 

「エルフって綺麗でお耳の長くって魔法と弓が上手なデミヒューマンよね」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと、「見てみたい」とロムもそれに続く。

 

 

「こんな状況じゃなければそうしたんだけどね」

 

 

 ファミ通がロムとラムにそう答えると、「うーん……エルフは自然を愛するって言いますから、もしかしたら居るかもしれないですね」ネプギアが自分なりに知っているエルフの知識で話に加わる。

 

 

「でも、エルフって平和的で理知的で聡明とも言うじゃない。それがこんな環境テロみたないことに参加するの?」

 

 

 ユニも自分の知識で話に加わると、「あのプラカードを見て下さい」イストワールが人垣のプラカードを指差す。

 

 

「えーと何て書いてあるのあれ?」

 

 

 ラムがそう言って腕を組んで首を傾げると、「ネプギアちゃん読める?」とロムがネプギアの袖を引っ張りながら言う。

 

 

「うーん……ちょっと読めないかな、何の記号だろうあれ?」

 

 

 ネプギアもそう言って首を傾げる。

 

そこにはゲイムギョウ界で広く使われている文字とは違う文字が書かれていた。

 

ロムとラムは勿論、ネプギアにも読めないようだった。

 

 

「あの文字はエルフ語ね」

 

 

 アイエフが答えると、「アイエフ読めるの?」と驚くファミ通。

 

 

「読めはしないけど、エルフ語ってことはわかるわ」

 

 

 アイエフがそう言うと、「あいちゃんはこういうことに詳しいです~」とコンパが言う。

 

エルフ語とはエルフだけが使う特殊な言語。

 

その文字が書かれているプラカードがあるということはエルフがいる可能性が高いというのである。

 

 

「「「「カエレ、カエレ、カエレ、カエレ!」」」」

 

 

 その間に人垣はヒートアップし、怒涛のカエレコールと共に今度は矢を飛ばしてくる。

 

 

「きゃ!」

 

 

 放物線上に飛んできた矢がネプギアに襲い掛かる。

 

避けようにも後ろにプラエが隠れているので動くわけにいかない。

 

 

「危ない!」

 

 

 そんなネプギアの前に颯爽と現れる謎の人影。

 

 

「ていっ!」

 

 

 謎の人影は剣を振るうと飛んできた矢を打ち落とす。

 

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 

 ネプギアはお礼を言いながら、自分より10センチほど身長の高いその人物を見上げると、「あっ!」と声を上げる。

 

ネプギアはその人物に見覚えがあった。

 

 

「やあ、大丈夫かい」

 

 

 赤いショートヘアにカチューシャを付けた女性が微笑むと、「ファルコムさん!」とネプギアは見覚えのあったその女性の名前を呼ぶ。

 

 

「あれ? よく見たら、ネプギアじゃないか」

 

 

 ファルコムの方もネプギアに気付いたようだ。

 

赤い瞳がネプギアを嬉しそうに見つめる。

 

ファルコムはゲイムギョウ界を旅する凄腕の冒険家。

 

困っている人をみると放っておけない、自称おせっかいな性格。

 

過去の犯罪組織との戦いの時にネプギアに力を貸してくれた人物の一人でもある。

 

青と白のショート丈のベストを羽織り、ベストと同じ色の短いタイトスカートを履いている姿は女性のようだが、女性にしては高めの身長に凛々しさを感じるその雰囲気は、うずめとは違う意味で中性的であった。

 

うずめが姉御肌の熱血漢だとすれば、ファルコムは爽やかな快男子という印象を受ける。

 

実際にファルコムは女性にモテモテで親衛隊までおり、以前にネプギアがファルコムと仲良くしていたら、【ファルコム様に近づくな】とちょっかいを出されたことがある。

 

 

「ファルコムさん、久しぶりです~」

 

 

 コンパがファルコムとの再会を喜ぶと、「ファルコム、久しぶりー」とラムが両手を上げて喜び、ロム胸の前で両手を合わせて、「また、旅のお話聞かせて」と二人でファルコムに駆け寄る。

 

 

「再会を喜び合いたいところだけど、今立て込んでるのよ」

 

 

 アイエフが落ち着いて対応をすると、「立て込んでる? 君たちも犯罪組織の残党退治に来たの?」ファルコムはそう言って、あごに手を当てて考える仕草をする。

 

 

「犯罪組織の残党退治?」

 

 

 ネプギアが首を傾げると、「あれ? 違うの。あたしは近くの村の人達がこの森に住み着いた犯罪組織の残党に迷惑してるって言うから、こらしめに来たんだけど」とファルコムが自分がここに来た目的を話す。

 

 

「……何か読めた気がします」

 

 

 イストワールが何か閃いたように言うと、「いーすんさん? 何かわかったんですか?」ネプギアがイストワールに尋ねる。

 

 

「いくら辺境とは言え、こんな品の無いデモはおかしいと思ったんです」

 

 

 イストワールはネプギアにそう答えるとデモ隊を指差して、「彼らは環境保護団体などではなく、犯罪組織の残党ではないでしょうか?」と言う。

 

 

「なるほど……ルートビルド計画の進路上の森に自分達の隠れ家か何かがあるから、森林保護なんて建前付けて反対してるのね。アイデアは悪くないけど、やり方が粗暴すぎね、流石は犯罪組織と言ったところかしら」

 

 

 アイエフが腕を組んでそう言うと、コンパは首を傾げて「犯罪組織さんのお家がなくなっちゃうですか~」と心配そうに言うが、「不法占拠です。あの森は彼等の所有物ではありません」とイストワールがキッパリ言う。

 

 

「まったく……最近見ないと思ったら、こんな所にコソコソ隠れて悪さをしていたのね」

 

 

 アイエフが溜息を吐いて呆れながら言う。

 

彼女はプラネテューヌの諜報部員として、犯罪組織の壊滅後も犯罪を犯すその残党を取り締まっており、彼等とは因縁浅からぬ関係なのである。

 

 

「あっ! 見てよ。あのハートにヒビが入ったマークは犯罪組織のマークだよ」 

 

 

 ファミ通がデモ隊を指差してそう指摘する。

 

ファミ通の言う通り、デモ隊の衣類には幾つかそのようなマークが付いていた。

 

ハートにヒビが入ったマークは犯罪組織の構成員の印なのだ。

 

 

「それじゃ、容赦なく倒しちゃいましょう」

 

 

 ユニが指をポキポキ鳴らしながらそう言うと、「でも、エルフは?」とネプギアがエルフの存在を指摘する。

 

 

「エルフ? あの中にエルフがいるのかい」

 

 

 ファルコムは不思議そうに言うと、「はい、あのプラカードにエルフ語が書かれているんです」とネプギアがプラカードを指差して説明をする。

 

 

「ん~?」

 

 

 ファルコムはプラカードを見ながら首を捻ると、「あれは違うんじゃないかな? 似せているけど別物だよ」とファルコムがバッサリ言う。

 

 

「ファルコムさん、エルフ語わかるですか?」

 

 

 ネプギアがファルコムに質問すると、「うん、昔にエルフの賞金稼ぎと冒険したことがあって、その時に教わったんだ」とファルコムが答える。

 

ゲイムギョウ界中を旅する冒険家のファルコムは色々な種族に出会っていた、エルフに知り合いがいても不思議ではない。

 

 

「あれは多分インターネットか何かで情報を集めて、それっぽく作った文字だよ」

 

 

 ファルコムがそう言うと、「エルフ語もマスターしてるなんて、流石は凄腕の冒険家さんです~」コンパがファルコムを尊敬する。

 

 

「……エルフ語じゃない……研究不足だったかしら」

 

 

 アイエフが肩を落として少し恥ずかしそうに言う。間違えた自分が恥ずかしいのだろう。

 

 

「間違えるもの仕方ないよ。エルフ語は難しいからね」

 

 

 ファルコムがアイエフをフォローすると、「これでハッキリしましたね。あれは犯罪組織の残党が自然保護の題目とエルフの存在を盾に自分の住処を隠しているだけです」とイストワールが結論付けると、警備隊長にそのことを伝えに行く。

 

 

「エコテロリストどころか、完全なテロリストだったってことね」

 

 

 アイエフはカタールを呼び出して戦闘態勢を取ると、「どうやら目的は一緒みたいだね。協力するよ」ファルコムが協力を申し出る。

 

ファルコムの手に大きめの両手剣【ドラゴンスレイヤー】が握られる。

 

 

「ありがとうございます。ファルコムさんが協力してくれるなら心強いです」

 

 

ネプギアはファルコムの協力を嬉しそうに歓迎する。

 

 

「警備隊突入! 一人残らず逮捕して下さい!」

 

 

 イストワール指示で警備隊が動き出す。

 

 

「行けー! 我が精鋭たちよ!」

 

 

警備隊長が警備隊に突撃の指示を出す。

 

その姿は某風雲城に攻め込む派手な軍服着た隊長のようだった。

 

警備隊の先頭にはファルコムを加えたネプギア達が立っている。

 

女神が先頭に立つことにより、兵を鼓舞し畏敬の念を抱かせる効果がある。

 

 

「な、なんだとー! 我々は善良な環境保護団体だぞー!」

 

「市民弾圧だー! 言論封殺だー!」

 

 

 迫り来る警備隊を見て、慌てふためき右往左往する自称環境保護団体。

 

 

「エルフと戦争になってもいいのかー!」

 

「エルフはプラネテューヌを一生許さないぞー!」

 

 

 自称環境保護団体は、今度はエルフ語のプラカードを掲げ抵抗する。

 

 

「それはエルフ語じゃないよ」

 

 

 自称環境保護団体の目の前で足を止めたファルコムがプラカードを指差しながら断言すると、「ネタは上がってるよ。君たちが犯罪組織の残党だってことはわかってるんだよ」とファミ通もそれに続く。

 

更にプラエが、「おじさん達うそつき」と指さしながら糾弾すると、「あなた達の罪は軽くはないですよ」とあんみつがそれに続く。

 

 

「そ、そんなことはないぞ! 濡れ衣だ!」

 

 

 更に動揺する自称環境保護団体。

 

 

「リンダ様だ! リンダ様を呼べー!」

 

 

 自称環境保護団の一人がそう叫ぶと、人垣の奥から一人の女性が現れる。

 

長い金髪で耳が尖っていて緑色の服を纏っていた。

 

 

「あなた達ですか、尊い森を破壊しようとする愚かな人間達と言うのは……」

 

 

 金髪の女性は瞑想するように目を閉じながら、落ち着いた声で先頭のネプギアと対峙する。

 

 

「あ……何かエルフっぽい……」

 

 

 ネプギアがポツリとそう言うと、ユニは、「はぁ……」と溜息をついて、ネプギアを守るように彼女の前に立ち金髪の女性と対峙する。

 

 

「私はエルフのリンダ。このまま立ち去るならば今までの行為は不問といたしましょう」

 

 

 リンダと名乗るエルフはそう言うと、「カツラがズレてるわよ」とユニがすかさずリンダに言う。

 

 

「え!?」

 

 

 リンダは思わず頭に手を当てると、「ウソよ、バーカ」ユニは得意気に言いアッカンベーをする。

 

 

「げーっ! テメェは」

 

 

 リンダは目を開けると一転して野蛮な口調になり、ユニの姿を見るとどこかの豪傑に見つかったかの如く驚く。

 

 

「また下手な猿芝居して、その程度でアタシを誤魔化せるなんて思わないことね」

 

 

 ユニはそう言ってリンダに銃を向ける。リンダは「くそっ!」と言って頭のカツラを掴むと地面に叩きつける。

 

 

 カツラを取ると緑色の髪が現れる。

 

 

「あー! さんしたー!」

 

 

 ラムがカツラの取れたリンダを指差して言うと、「ちげぇ! 下っ端だ!」とリンダは自分のことを【下っ端】と名乗る。

 

 

「あ、自分のこと下っ端って認めた」

 

 

 ネプギアは自分で自分のことを下っ端と言ったリンダにツッコミを入れると、「これで自他共に認める下っ端ね」とユニは笑いながら言う。

 

 

「下っ端オブ下っ端(くすくす)」

 

 

 ロムが下っ端をからかうように言う。

 

下っ端とは以前にネプギア達と何度も戦いを繰り広げた犯罪組織の構成員。

 

下っ端呼ばわりされているが、それなりの立場と実力があり様々な重要な仕事を任されていた。

 

しかし、何度もネプギア達に撃退されており、彼女達から下っ端呼ばわりされているである。

 

 

「ユニちゃん、よく下っ端だって分かったね」

 

 

 ネプギアは即座に下っ端の正体を見抜いたユニに関心をすると、ユニはウインクしながら、「声よ声。犯罪組織の残党って言うからもしかしてと思ったけど、本当に居るとわね」と言う。

 

ユニは声の聞き分けが上手い。

 

以前も変装した下っ端を声で見破ったことがある。

 

 

「くそぉ……馬鹿にしやがって、テメェ等かかれー! 気合を入れろー!」

 

 

 リンダは犯罪組織の残党に突撃の指示を出すと、「「「「おおー!」」」」と叫んで犯罪組織の残党がネプギア達に襲い掛かる。

 

 

「このドラゴンスレイヤーの錆にしてあげるよ」

 

 

 ファルコムは一歩前に出ると、両手剣を構える。

 

 

「はあっ!」

 

 

 ファルコムの鮮やかな剣技が犯罪組織の残党達を切り払う。

 

先頭に立って向かって来た残党達が800以上のダメージを受けてバタバタと倒れる。

 

 

「ひ、ひいっ!? アイツ強いぞ?」

 

 

 ファルコムの剣技の驚異的なスピードと威力に恐れおののく後続の残党達は足を止めて、ざわざわと騒ぎ出す。

 

 

「ムウ あれが世に聞く八葉一刀流」

 

 

 禿げ頭の残党がそう言うと、隣の残党が「知っているのか! 電雷」と尋る。

 

電雷呼ばれた禿げ頭の人物は、「うむ。東方剣術の集大成とも言うべき流派で【剣の道を極めれば、必ず八葉の者と出会うだろう】と伝えられている剣技だ」と答える。

 

 

「そう言えばアイツの髪の毛が赤いぞ」

 

 

 また、別の残党がファルコムを指差してそう言うと、その隣の残党が顔を青くして、「まさか、赤毛のファルコム!?」と後ずさる。

 

 

「勝てるわけない! あいつは伝説の冒険家なんだぞ!」

 

「もうだめだぁ……おしまいだぁ……」

 

 

 ファルコムの強さと知名度にアッと言う間に、どこかの戦闘民族の王子にようにヘタレる犯罪組織の残党。

 

 

「流石ファルコムさん、あっという間に敵が戦意喪失してる」

 

 

 ネプギアがファルコムの活躍に感嘆すると、「今のは手加減したけど、これ以上やるなら、首と胴が離れることになるよ」とファルコムはダメ押しするように犯罪組織の残党を脅かす。

 

 

「今ので腕と足が折れました~、もう再起不能です~、動けませーん!」

 

 

 最初の攻撃で倒された残党が大袈裟に腕と足を捻り降参をすると、「……そんなに強くした覚えはなんだけどな」とファルコムは残党の大袈裟な演技に、お手上げのポーズで飽きれる。

 

 

「オイ! ビビッてねぇで戦え! マジェコンヌ根性を見せてみろ!」

 

 

 下っ端が残党達に喝を入れながら再度命令を出すと、「お、おおー!」と嫌々ながらも再び突撃しようとする残りの犯罪組織の残党達。

 

 

「暴力は好ましくないけど仕方ないな」

 

 

 ファルコムは再び構えを取る。

 

その姿は気迫に満ちていた。

 

 

「うぅっ! 持病のしゃくがー!」

 

「膝に矢を受けてしまった~」

 

「いかん、死兆星が見えるー!」

 

 

 残党達は立ち止まり、体調不良等を訴えると「「「「ひぃ~、逃げろー!」」」」と回れ右して逃げる。

 

 

「お、おい! テメェ等! 逃げんじゃねぇ!」

 

 

 リンダは怒鳴って引き留めるが、誰一人として止まらない。

 

 

「くそぉー! これで勝ったと思うなよー!」

 

 

 状況不利を悟った下っ端も一緒に逃げて行くと、「相変わらず逃げ足だけは一流ね」とアイエフは下っ端の逃げ足の速さに感心する。

 

 

「これで一件落着かな」

 

 

 ファルコムはそう言うとバイオリンケースの中に剣をしまう。

 

普通はポーチに武器を収納するものだが、バイオリンケースに入れるのは彼女なりのこだわりのようだ。

 

 

「さあ、後は警備兵に任せて帰りましょう」

 

 

 アイエフがそう言うとバイクに向かう。

 

コンパとファミ通もそれに続くが、みんなが引き返す中、ネプギアが立ち止まる。

 

 

「……自然と動物か……全部いっぺんに護るなんて無理だよね」

 

 

 ネプギアはそう呟きながら胸に手を当てて森を見る。

 

すると、「あいつ等の戯言よ。気にすることないわ」とユニはネプギアに声を掛ける。

 

 

「うん、わかってるけど……それでも……」

 

 

 ネプギアは俯くと、「それでも、自然も慈しみたい。ある意味見どころのある女神ね」と森の奥から声がする。

 

 

「誰?」

 

 

 ネプギアがそう言うと森の奥から一人の女性が現れる。

 

長い金髪で耳が長く尖っていて緑色の服を着た華奢で美しい女性がいた。

 

一見、先ほどの下っ端と似た服装だが、その美しさは人間とは違っていた。

 

 

「……きれい……」

 

 

 ラムがそう言うと「……うん……」とロムがそれに続き、二人はその女性に見惚れる。

 

 

「これは本物のエルフ……それもかなりの大物だね」

 

 

 ファルコムがその女性をエルフと認めると彼女は「私はビィトリット。貴女の名前は」とネプギアに質問をする。

 

 

「私はネプギアです」

 

 

 ビィトリットと名乗るエルフに名乗り返すネプギアは、「私が女神だってわかるんですか?」とネプギアが自分の正体を見抜いたビィトリットに質問する。

 

 

「精霊達が教えてくれたわ。あなたが本当に自然も慈しんでいることも」

 

 

 ビィトリットがそう答えると、「精霊が教えてくれた?」ユニが首を傾げる。

 

すると、「エルフは自然の精霊達と言葉を交わすことができると言われています」とイストワールがユニに説明をする。

 

 

「ネプギア、あなたその気があるのなら地鎮祭を教えてあげるわ」

 

「じちんさい?」

 

 

 ビィトリットの提案に首を傾げるネプギア。

 

 

「エルフに伝わる舞いで、土地の精霊を鎮め動物達との共存を願う儀式とされているわ」

 

 

 ビィトリットがそう言うとネプギアは、「やります! 是非教えて下さい!」と即答する。

 

しかし、ユニがネプギアを手で制して、「待ちなさい。そんなアッサリ信用していいの?」と言いながらネプギアとビィトリットの間に入る。

 

 

「くすっ……そんなにこの子のことが心配」

 

 

 ビィトリットは微笑みながらユニを見つめると、「……別にそんなこと……」ユニは少し頬を赤らめて、たじろいてしまう。

 

ユニは全てを見透かされたような気持ちになるが、決して嫌な気分ではなかった。

 

 

「これでもこの辺りのエルフの長をしているの。あなた達女神の基準で言うなら信用してもらっていいわ」

 

 

 ビィトリットはネプギアの方を向くと自分の身元を明かし、続けて「それでどうするの? やるの、やらないの」とネプギアに質問をする。

 

 

「やります! よろしくお願いします」

 

 

 ネプギアはそう言って頭を下げてビィトリットにお願いをする。

 

すると、「アタシもやるわ。ネプギア一人に任せるのは心配だし」とユニも名乗り出る。

 

 

「ネプギアちゃんとユニちゃんがやるならわたしも」

 

 

 続けてロムがそう言うと「私もやるー!」とラムが名乗り出る。

 

 

「女神を四人も指導するか……なかなか面白そうね」

 

 

 ビィトリットは満足そうに頷く。

 

 

「ぷ、プラエもやっちゃダメですか?」

 

 

 プラエがおずおずと名乗り出ると、「踊りの方は四大元素を表す四人でするものだけど、演奏に加わることなら出来ると思うわ」とビィトリットが答える。

 

 

「それでもいいです。やらせて下さい」

 

 

 プラエがそう言うと、「わかったわ」とビィトリットが頷く。

 

ロムがネプギアの袖を軽く引っ張りながら、「しだいげんそって何?」と尋ねる。

 

ラムが「学校の名前?」と首を傾げると、「その私大じゃないわよ」とユニが言う。

 

 

「世界を構成する四つの要素で、地、水、火、風の四つの属性を指すんだよ」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「あなた達はそれぞれ、地、水、火、風の加護を受けていて、とても相性がいいわ。地鎮祭の方も期待できそうね」とビィトリットがそれに続く。

 

 

「そっか、お姉ちゃんと同じ氷じゃなくてガッカリしたけど、そういうことなら悪くないわね」

 

 

 ラムが腕組みしながら言うと、「わたし達四大元素で仲良し(にっこり)」とロムが微笑む。

 

ネプギアは何か思い付いたような顔で、「そう言えば、ビィトリットさんはどうしてここに?」とビィトリットに尋ねる。

 

 

「私はエルフを騙る邪な人間を止めに来たのよ。そうしたらあなた達が来たの。ついでだから、ここ最近話題になっているプラネテューヌの開拓者達を見定めようと傍観させてもらったの」

 

 

 ビィトリットがそう言うと、ネプギアは不思議そうな顔で「見定める……私達を?」と呟く。

 

 

「今後エルフがどのようにして人間と接していくかをよ」

 

 

 ビィトリットがそう言うと、ネプギアが真っ直ぐビィトリットの目を見ながら、「ご迷惑でなければ、仲良くしていきたいです」と答える。

 

 

「そうね、私もそうありたいと思うわ。今まで疎遠だった女神が急にここに道を作ると聞いた時は驚いたけど、女神があなたみたいな純粋で礼儀正しい上に友好的な子で安心したわ」

 

 

 ビィトリットはわずかに微笑んでそう言うと、ネプギアに向けて右手を差し出す。

 

ネプギアも同じく右手を出して、「よろしくお願いします」と言うとビィトリットと握手を交わす。

 

 

「よろしく」

 

 

 ビィトリットはそう言って手を離すと、次はユニに手を差し出す。ユニも「よろしく」と言いながら握手を交わす。

 

ビィトリットはユニの手を離すと、少し屈んで、ロムとラムとも握手をする。

 

 

「地鎮祭って、歌とか歌っていいのかな?」

 

 

 ミクが控えめに質問すると、「あなたは……人間ではないわね?」とビィトリットが訝し気な目でミクを見る。

 

 

「ミクちゃんはボーカロイドですけど、私達の大事な仲間なんです。歌も凄く上手なんですよ」

 

 

 ネプギアがミクを庇うように言うと、「ぼうかろいど? よくわからないけど、歌はエルフ語よ。歌えるの?」とビィトリットは不審そうに言う。

 

 

「大丈夫です。私が教えればミクちゃんはどんな歌でも歌えます!」

 

 

 ネプギアが真剣な声で言うと、「随分と熱心ね。わかったわ。教えるだけ教えてあげる」とビィトリットが仕方ないという感じで折れてくれる。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 ミクはビィトリットに頭を下げてお礼を言うと、「ネギちゃんもありがとう」とミクがネプギアの両手を握りお礼を言う。

 

 

「開拓者って……アイエフ達は今何をしてるんだい?」

 

 

 ネプギア達とビィトリットが話している間にファルコムがアイエフにそう尋ねると、「私達は今ルートビルド計画って言う、プラネテューヌとラステイションとルウィーを結ぶ道の開拓をしているの」とアイエフが答える。

 

 

「もしよければ、ファルコムさんにも協力していただけませんか? 衣食住は保証しますよ」

 

 

 イストワールがファルコムにそう提案すると、「悪くないかもね。今は冒険もお休みしているし」と言う。

 

すると、「冒険バカのアンタが?!」とアイエフが驚く。

 

 

「あはは……冒険バカとはヒドイな、まぁ自覚はあるし、あたしの冒険好きは病気みたいなものだけどさ」

 

 

 ファルコムは右手で後頭部をかきながらそう言う。

 

ファルコムの冒険好きはかなりのもので、船に乗ると必ずと言っていいほど嵐に巻き込まれて漂流してしまうのに、それでも冒険を止めない。

 

 

「今は小説を書く方に集中しているんだ」

 

 

 ファルコムがそう言うと「じゃあ、クリスティン漂流記の続きが読めるんですね~」とコンパが手を合わせて嬉しそうに言う。

 

 

「クリスティン漂流記!? じゃあ、あなたがクリスティン先生?」

 

 

 ファミ通が驚いてそう言うと、「そうだよ。本業は冒険者だけど、自分の冒険を多くの人に知ってもらいたくて手記も書いているんだ」とファルコムが答える。

 

【クリスティン漂流記】はゲイムギョウ界で大人気の冒険小説で、その作者がファルコムなのである。

 

 

「そう言えば、アンタかなり強かったけど、レベル幾つなの?」

 

 

 アイエフは犯罪組織の残党を一瞬で蹴散らしたファルコムの強さが気になってそう質問すると、「今52かな?」とファルコムが答える。

 

 

「あたし達より10以上高いじゃない! どうやればそんなにレベルが上がるのよ?」

 

 

 アイエフが驚いてそう言うと、「この辺で小説を書きながら人助けやクエストをしてたら、いつの間にかレベルが上がってたんだよ」と答える。

 

 

「そう言えば、おせっかいな性格って自称してたわね」

 

 

 アイエフが呆れながらそう言うと、「こっちも病気みたいでね。すぐに厄介ごとに首を突っ込んじゃうんだ」とファルコムは笑いながら言う。

 

 

「なにはともあれ、ネプギアさん達が地鎮祭を行おうという時に、ファルコムさんのような戦力を得れれたことは僥倖でしたね」

 

 

 イストワールがそう言うと、ファミ通が「そうだね。練習もすることになるだろうし、クエストの負担が軽くなるのはありがたいね」と答える。

 

その後、ネプギア達女神候補生はビィトリットと今後の予定を話し合った後にビィトリットと別れて、ファルコムを仲間に加えてギャザリング城に戻って行った。

 

ギャザリング城にはフィナンシェがバニラアイス入りのあんみつを作って待っており、全員で新鮮な牛乳と卵で作ったアイスに舌鼓を打っていた。

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