新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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017ゲハバーン

 G.C.2019年7月22日 月曜日の夜

 

うずめを見送ったネプギアがギャザリング城に戻ると、「ネプギア、ネプギア~!」とネプテューヌが走り寄ってくる。

 

 

「どうしたの? お姉ちゃん」

 

 

 ネプギアがネプテューヌにそう尋ねると、ネプテューヌは興奮気味に、「わたし、凄い発見しちゃったよ!」とネプギアの手を握る。

 

 

「凄い発見?」

 

 

 ネプギアがそう言って首を傾げると、「なんと、隠し通路を見つけちゃったんだよ!」とネプテューヌは腰に両手を当ててドヤ顔で答える。

 

 

「ええっ! 隠し通路!?」

 

 

 ネプギアが口に右手を当てて驚くと、ネプテューヌは、「流石は主人公持ってるよねー!」とあごを左手で持ちながら自慢気に言う。

 

 

「とりあえず、いーすんさんに知らせようよ」

 

 

 ネプギアがそう提案すると、「えー? いーすんが知ったら、危ないから入るな、とか言われちゃうじゃん」とネプテューヌが不満そうに口を尖らせる。

 

 

「実際危ないと思うし……」

 

 

 ネプギアがそこまで言うと、「ってことで、探検にレッツラゴー!」とネプテューヌがネプギアの右手を掴んで引っ張っていく。

 

 

「えー!? ちょ、ちょっと、お姉ちゃん!?」

 

 

 ネプギアは焦りながらも、ネプテューヌに手を引かれるがままについて行く。

 

ネプテューヌは通路で立ち止まり、壁に手を当てて、「ここを押すと……」とレンガの一つを押すと、レンガが沈み、同時に床が動いて地下へと階段が現れる。

 

 

「ほらね」

 

 

 ネプテューヌが楽しそうに言うと、「お姉ちゃん、本当に行くの?」とネプギアが不安そうに質問する。

 

 

「モチのロンだよ!」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、「さあ、レッツゴーイング!」と再びネプギアの手を強引に引っ張って階段を降りて行く。

 

 

「お、お姉ちゃん!」

 

 

 ネプギアが慌てた声を出すと、「もー! ネプギアは往生際が悪いなー!」とネプテューヌが不満そうに言うが、「そうじゃなくて、今のって強引とゴーイングを掛けたダジャレ?」とネプギアが可愛らしく小首を傾げて質問する。

 

 

「ズコッ!」

 

 

 ネプテューヌが予想外のネプギアのボケに盛大にズッコケると、「あ、お姉ちゃん、階段で転ぶと危ないよ」とネプギアが落ち着いて言うが、時すでに遅く、「ねぷぅぅぅぅぅぅ!」と叫びながら豪快に階段を転げ落ちるネプテューヌ。

 

 

「お姉ちゃーーーん!」

 

 

 ネプギアは慌ててネプテューヌの後を追って階段を駆け降りる。

 

 

「いたたた……落ちるのはわたしのお家芸だけど、階段を転げ落ちるとは思わなかったよ」

 

 

 最下段まで落ちたネプテューヌの頭にはマンガのような大きなタンコブがアイスクリームの段ように何個も重なっていた。

 

 

「お姉ちゃん大丈夫?」

 

 

 階段を下りてきたネプギアが心配そうに声を掛けると、ネプテューヌは、「もー! ネプギアのダジャレは殺人的だよ」とタンコブをさする。

 

 

「大分下まで降りてきたけど、大丈夫かなぁ?」

 

 

 ネプギアはそう言いながら、ホルダーからNギアを取り出すとライト機能をONにして辺りを照らす。

 

 

「何にも無い部屋だねー」

 

 

 ネプテューヌの言う通り、レンガ造りの10畳程の部屋には何も目立つようなものが無かった。

 

 

「あそこに何か落ちてるよ」

 

 

 ネプギアはそう言って部屋の片隅を指差す。

 

それを聞いたネプテューヌは、「おお、お宝の予感!」と嬉しそうに言いながら、「わたしがもーらった!」とネプギアが指差した方向に駆け出す。

 

 

「レアアイテム、ゲットだぜ!」

 

 

 ネプテューヌは落ちている物を右手で掴み高々と掲げるが、「手になんか付いたーー!」と言って持っている物を手放す。

 

すると、カランと金属音を立てて、ネプテューヌが拾った物が落ちる。

 

 

「なにこれー?」

 

 

 ネプテューヌが不快そうに左手で右の手のひらに付いた物を払うと、近づいて来たネプギアがネプテューヌの右の手のひら見ながら「これ錆だよ」と言う。

 

 

「さびぃ~?」

 

 

 ネプテューヌが更に不快そうな顔で言うと、ネプギアはNギアを使ってインベントリから手袋を出し、それを両手にはめてネプテューヌが落とした物を右手で拾うと左手に持ったNギアのライトでそれを照らす。

 

 

「剣……だね。かなり錆てるけど……」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「こっちに落ちてるのは鞘かな?」と言ってもう一つの錆びた鞘を手に取る「おおっ! 正にレアアイテム!」とネプテューヌが嬉しそうに言う。

 

 

「え? 錆びた剣だよ?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに言うと、ネプテューヌは右手の人差し指をビシッと立てて、「分かってないなー。こーゆー錆びた武器とか折れた武器は復元すると伝説の武器になったりするんだよ!」と自信満々に言い放つ。

 

 

「一般人の目は誤魔化せても、このわたしの目は誤魔化せないよー!」

 

 

 ネプテューヌは嬉しそうに言うと、「そーゆーことで、部屋に戻って復元しよう!」と元気よく階段を駆け登る。

 

 

「お姉ちゃん、待って~」

 

 

 ネプギアは急いで錆びた剣と鞘をインベントリに入れて、慌ててその後を追うが、暫く上るとネプテューヌがバテたようで、「へーこらへーこら、ばびんばびん……」と意味不明な声を上げる。

 

ゲームばかりの生活ですっかり体力が落ちているようだ。

 

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 

 

 ネプテューヌに追いついたネプギアはネプテューヌと一緒にゆっくり階段を登りながらネプテューヌに尋ねると、ネプテューヌは「大丈夫、大丈夫」と言いながら鼻の先の汗を右手で拭うが、「うわ~、錆くさーい!」と嫌そうな顔をする。

 

 

「ネプギア、修復の時はこの錆臭い匂いも取っちゃってね」

 

 

 ネプテューヌがそう言うと、ネプギアが、「うん、臭いを取るだけに修復【臭拭く】するね」と自信満々のドヤ顔で言う。

 

 

「ズコーーー!」

 

 

 ネプテューヌが再び予想外のボケに盛大にズッコケると、「だから、階段で転ぶと危ないよ」とネプギアが落ち着いて言うが、今回も時すでに遅く、「ねぷぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」と叫びながら、またも豪快に階段を転げ落ちるネプテューヌ。

 

 

「お姉ちゃーーーん!」

 

 

 再び転げ落ちるネプテューヌを追うネプギア。

 

 

「繰り返しはギャグの基本だけど、これは……あァァァんまりだァァアァーーーーーーー!!」

 

 

 ネプテューヌはそう嘆きながら階段を落ちて行く。

 

 

「あたたたた……」

 

 

 下まで落ちたネプテューヌの頭には、先程より段数が多いタンコブができていた。「お姉ちゃん、大丈夫?」と降りて来たネプギアが尋ねると、「もー! ネプギアのダジャレは犯罪的だよー!」とネプテューヌが抗議する。

 

 

「ごめんね」

 

 

 ネプギアは素直に謝ると、「お姉ちゃん立てる?」と質問するが、「もう疲れたー、歩きたくないー! ネプギアおぶってーー!」とネプテューヌが駄々をこねる。

 

 

「もー、お姉ちゃんはしょうがないなー」

 

 

 ネプギアが素直に屈むと、「わーい、流石はネプギア」と言ってネプテューヌはネプギアの背中に乗る。

 

 

 ネプギアはネプテューヌをおぶって部屋に戻ると、ネプテューヌは、「じゃあ、チャチャと直しちゃってよ」と言ってネプギアの背中から飛び降りる。

 

 

「今から?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに首を傾げると、ネプテューヌは、「だって、今すぐ見たいじゃん。このままだと夜しか眠れないよ」と言うが、「それはちゃんと眠れてるんじゃないかな……」とネプギアがツッコミをする。

 

結局、ネプギアはネプテューヌの要望に応える為に、武器の手入れや改造をするように設けられた部屋に行くことにした。

 

 

「まずは錆を落とさないと」

 

 

 ネプギアはNギアを使ってインベントリから砥石を取り出すと、丁寧に錆びた剣を研ぎ始める。

 

大体錆が取れたところで、ネプギアは不思議そうに「なんだろこれ? 普通の金属じゃない……」と呟く。

 

 

「おおう! 正に伝説の武器の予感! 世界よ宇宙よ刮目せよ!! アルティメットネプ子さんソードに!!」

 

 

 ネプテューヌがハイテンションで叫ぶと、「とりあえず錆は落としてみたけど……」とネプギアが錆びた剣だったものを手に取る。

 

ネプギアは剣をしげしげと眺めるが、「特別な何かは感じないよ?」と首を傾げる。

 

柄は黄金で出来ているが、何の変哲もない普通の剣に見える。

 

 

「主人公であるわたしが持つことで真の力を発揮するんだよ!」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、ネプギアから剣をひったくり、それを両手に持って高く掲げ、「さあ、目覚めよ! 伝説の剣よ!」と叫ぶ。

 

 

「しーーーん」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、「しかし、なにもおこらなかった!」と真顔で呟く。

 

 

「おこらないね……」

 

 

 ネプギアも呟くと、「誰ですかーーーー! あそこの隠し通路を開けたのはーーーー!」とイストワールの怒号が聞こえてくる。

 

 

「げぇっ!? いーすん?」

 

 

 ネプテューヌが顔を青くして言うと、「そう言えば、お姉ちゃんおぶってたから、入り口閉め忘れてたよ」とネプギアも焦る。

 

 

「これはヤバいよ! いーすん、激おこぷんぷん丸どころか、激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム、だよ」

 

 

 ネプテューヌがガクガク震えると、「よく分からないけど、凄く怒ってるってことだよね」とネプギアが解説する。

 

 

「のんびり解説してる場合じゃないってば! どーしよ、どーしよ! どこに逃げる?」

 

 

 ネプテューヌは大慌てでキョロキョロと辺りを見回すが、「素直に謝ろうよ。錆びた剣と鞘があっただけなんだし」とネプギアがネプテューヌを説得する。

 

しかし、ネプテューヌは既に開いた窓に手を掛けており、「許せネプギア」と言うと右手で横ピースしながら、「じゃ、後はヨロシク!」とウィンクをする。

 

 

「えっ! お姉ちゃん、待って!」

 

 

 ネプギアは慌ててネプテューヌを止めようとするが、「じゃあな、とっつぁん~」と言ってネプテューヌは窓を出る。

 

 

「ここ三階だよーーーー!」

 

 

 ネプギアが叫ぶが時すでに遅く、「ねぷぅぅぅぅぅぅ! また落ちネターー!」とネプテューヌの叫びと共に、ズボッという音がして地面に突き刺さる。

 

上半身が全部埋まっており、2本の足を天に向かって高々と突き上げたその姿は某犬神の家の人のようだった。

 

 

***

 

 

 

「で、どういうことなんですか?」

 

 

 こんな大騒ぎになれば見つかるのも当然であり、ネプギアとネプテューヌはイストワールの前で正座をさせられていた。

 

錆びていた剣は鞘に収められ、ネプギアとネプテューヌの目の前に置かれている。

 

 

「えっと……偶然隠し通路を見つけちゃって……それで、更に偶然にお姉ちゃんがその階段に落ちちゃって……」

 

 

 ネプギアはたどたどしく言うと、両手の人差し指をツンツンしながら、イストワールから目を背ける。

 

 

「嘘ですね」

 

 

 イストワールがズバッと言い放つ。

 

長年の付き合いもあるが、流石にネプギアの態度はバレバレであった。

 

 

「どうせ、ネプテューヌさんが隠し通路見つけて、ネプギアさんを強引に引っ張って行ったんでしょう」

 

 

 イストワールがそう言うと、「ねぷっ! いーすん、エスパー!?」とネプテューヌが大袈裟に驚く。

 

 

「これぐらいのこと誰でも想像がつきます」

 

 

 イストワールが呆れながら言うと、「でも! この錆びた剣と鞘を持ってきただけで、他には何もしていませんよ!」ネプギアはネプテューヌが怒られないように必死に庇う。

 

 

「この剣が問題なんです!」

 

 

 しかし、イストワールは不機嫌そうに言い放つ。

 

 

「えー? この剣使ったけど、何も起きなかったよー」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに口を尖らせると、ネプギアも、「見覚えのない金属を使っているみたいですけど、それ以外は何も……特別な力も感じませんし」と不思議そうに首を傾げる。

 

 

「この剣はこのままでは何の力も発揮しないんです」

 

 

 イストワールが神妙な顔をして言うと、ネプテューヌは閃いたぞ、と言わんがばかりに右手で指パッチンをすると、「わかった! 敵を128体倒すごとに攻撃力が1上がるんだね」と言う。

 

 

「そうなの?」

 

 

 ネプギアがネプテューヌの方を見ながら首を傾げると、ネプテューヌが「それじゃあ、ネプギア。敵を65535体倒してきて」と言うと、「そんなに!? と、言うか私がやるの!?」とネプギアは目を丸くして驚く。

 

 

「大丈夫。輪ゴム使って連射機能付きコントローラーを放置しておけば一週間ぐらいで終わるよ」

 

 

 ネプテューヌが気楽に言うと、「それってズルなんじゃないかな……」ネプギアは不安そうに呟くが、「このシリーズプレイヤーさんだってキャラクターチャレンジ達成するのに、この方法使ってると思うよ」とネプテューヌが思いっきりメタ発言をする。

 

 

「いい加減にして下さいっ!!」

 

 

 イストワールが顔を真っ赤にして怒ると、ネプギアは、「ご、ごめんなさい!」と背筋を伸ばすが、ネプテューヌは不満そうに、「いーすんがもったいぶった言い方するからじゃん」と口を尖らせる。

 

 

「では、単刀直入に言います。この剣が真の力を発揮するには女神の命を奪う必要があるんです」

 

 

 イストワールが真面目な顔でそう言うと、ネプテューヌは気楽そうに、「なーんだそんなこと……」と言いかけるが、「おおおおおおおお!?」と途中から絶叫に変わる。

 

 

「……女神の命を奪う……」

 

 

 ネプギアは不安そうに言うと、「何でそんな物が存在するんですか……」とイストワールに恐る恐る質問をする。

 

 

「元々は犯罪神に倒す為に作られた剣だったのです。ですが、犯罪神があまりにも強力すぎて、それを倒す為の意思のエネルギーを求めていく内に女神の魂というこのゲイムギョウ界で最も強力で尊いエネルギーに行き着いたのです」

 

 

 イストワールが真剣な顔で答えると、「犯罪神の本体を倒すには強い意志の力が必要だから、人々の強い信仰心によって生まれた女神の魂をエネルギー源にするってことですか?」とネプギアが質問する。

 

イストワールが、「そうです」と頷くと、「それって、本丸転倒じゃないのー」とネプテューヌが呆れて言うが、「それを言うなら本末転倒だよ」とネプギアが訂正すると、ネプテューヌは「そうとも言う!」と開き直る。

 

 

「ですから、使うに使えず千年以上前にこの城に封印されたのです」

 

 

 イストワールが説明を続けると、ネプテューヌは不思議そうに、「こんな物騒なの壊せばよかったんじゃないの?」と尋ねる。

 

 

「もしもの時の為の保険です」

 

 

 イストワールがそう言うと、ネプギアは暗い顔で、「そう……ですね。もしも犯罪神が倒せなくてゲイムギョウ界が無くなってしまうぐらいなら、この剣で私の命を奪ってお姉ちゃんが犯罪神を倒せば……」と言う。

 

 

「ダメダメダメー! そんなのダメだってー! わたし、ネプギアがいないと生きていけないよー!」

 

 

 ネプテューヌは真剣に力説すると、ネプギアは、「お姉ちゃん……」と頬を赤く染めて嬉しそうに言う。

 

 

「確かに生活能力皆無なネプテューヌさんはネプギアさんがいないと生きていけませんね」

 

 

 イストワールが落ち着いて言うと、ネプテューヌは、「ちょっと、いーすん! 今いいシーンなんだから、茶々入れないでよー!」と不満そうに言う。

 

 

「いーすんさん、質問があるんですけど」

 

 

 ネプギアは落ち着いた声でイストワールに質問する。

 

ネプテューヌとイストワールのお陰で少し肩の力が抜けたようだ。

 

 

「なんでしょう?」

 

 

 イストワールがそう言うと、ネプギアは、「私達やウラヌスさんが犯罪神と戦った時、この剣の話が一度も出てこなかったんですけど……それってやっぱり危険だからですよね?」と質問する。

 

ネプギア達が戦った時は勿論、先代のウラヌスに犯罪神の倒し方を教えてもらった時もこの剣の話は一度も出てこなかった。

 

 

「でもさ、ウラヌスさんの話だと女神が三人も死んでウラヌスさんも封印した時死んじゃったらしいし、この剣使えばウラヌスさんだけでも助けられたかもしれないじゃん?」

 

 

 ネプテューヌが質問すると、イストワールはややバツが悪そうな顔で、「それは……えっと……結果論であり……誰も犠牲にしないと言う心持が大事であって……」とたどたどしく言う。

 

 

「……もしかして、いーすん忘れてた~?」

 

 

 ネプテューヌが先程まで怒られていた反撃だと言わんがばかりにニヤニヤと笑うと、イストワールは肩を落として、「申し訳ありません。千年以上前のお話ですし、記録も誤ってかなり深い階層に入れてしまっていたのです……」と謝罪する。

 

 

「いーすんってば、おっちょこちょいだなー」

 

 

 ネプテューヌが笑いながら言うと、「ネプテューヌさんにおっちょこちょいと言われるのはもの凄く心外なのですが、否定のしようがありません」とイストワールは更に落ち込んでしまう。

 

 

「まあまあ、いーすんさん。思い出したんですからいいじゃないですか」

 

 

 ネプギアはフォローすると、「でも、どうして思い出したんですか?」と続けて質問する。

 

イストワールは、「うずめさんの件があってから、三年かけて過去の記録を整理していたんですが、その時に見つけたのです」と答える。

 

 

「それにしても物騒な剣だねー。呪われたいわくつきの魔剣って感じだね」

 

 

 ネプテューヌが嫌そうな顔で剣を見つめると、「でも、ちょっと可哀想かも……」とネプギアが寂しそうな声で呟く。

 

すると、「可哀想? どこが? 女神殺しの剣だよ」とネプテューヌが不満そうに口を尖らせる。

 

 

「この剣自体は犯罪神を倒す為に作られたんだよね。作った人も犯罪神を倒してゲイムギョウ界を守りたいって気持ちで一生懸命作ったんだと思う。結果的にそうなっちゃっただけで、この剣も女神を殺すことを望んでないと思うの」

 

 

 ネプギアが同情するように言うと、「もー、ネプギアは優しいんだから」とネプテューヌは少し呆れたように溜息をつく。

 

 

「確かに、この剣を作ったエルデ様もセティ様も犯罪神を倒してゲイムギョウ界を救いたいという一心でこの剣を作ったんです」

 

 

 イストワールが説明をすると、ネプテューヌが首を傾げて、「エルデ? 確かプラネテューヌの昔の女神様だっけ? SCだかSGだったか……」と言うと、「SG三姉妹の三女の人だよ」とネプギアが説明する。

 

 

「それじゃあ、セティは?」

 

 

 ネプテューヌが質問すると、「プラネテューヌの初代教祖様です」とイストワールが答える。

 

 

「あの……いーすんさん、この剣のこともう少し詳しく教えてもらえませんか?」

 

 

 ネプギアはイストワールに懇願すると、「ですが、この剣は……」とイストワールが難しい顔をするが、「お願いします! 私、この剣を救ってあげいたいんです!」とネプギアが思いっきり頭を下げる。

 

 

「あーあー、ネプギアがこうなっちゃったらテコでも動かないよー」

 

 

 ネプテューヌが諦めたかのように言うと、イストワールもそれが分かっているようで、溜息を一つつくと「……仕方ありませんね」と素直に諦める。

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 ネプギアが笑顔でお礼を言うと、「いーすん、そろそろ正座くずしていーい?」とネプテューヌがやや辛そうに言う。

 

ネプギアも、「私も、そろそろ限界かも……」とそれに続く。

 

 

「申し訳ありません。すっかり忘れていました」

 

 

 イストワールはそう言って謝ると、ネプテューヌとネプギアは正座を崩して、「あー! 足が痺れた~」とネプテューヌはうつ伏せになり、「私もちょっと痺れてる」とネプギアは足のマッサージをする。

 

二人は足の痺れが落ち着くと、体育座りをしてイストワールの話を待った。

 

イストワールは、「こほん」と咳ばらいを一つすると、「まずはこの剣の名前ですが、この剣は【ゲハバーン】と言います」と話を始める。

 

 

「ゲハバーン? 変な名前だね」

 

 

 ネプテューヌが不思議そうな顔で言うと、「ゲハバーンはゲーム ハザード バーン【Game hazard Burn】の略で、ゲイムギョウ界の危険を燃やす、という意味があります」とイストワールが説明する。

 

 

「わー、何かあいちゃんが好きそうな設定ー」

 

 

 ネプテューヌが苦笑しながら言うと、ネプギアも、「そうかも」と同じように苦笑しながら頷く。

 

 

「次にゲハバーンは【オラシオンタングラム】と名付けられた特殊な金属で出来ています」

 

 

 イストワールは説明を続ける。「オラシオンタングラム? バーチャロボのシリーズだっけ?」ネプテューヌが首を傾げると、ネプギアも「確かに似た名前だね」と頷く。

 

プラネテューヌのバーチャロボのシリーズには似たような名前があるのだ。

 

 

「オラシオンって祈りって意味ですよね?」

 

 

 ネプギアがイストワールに質問をするとネプテューヌが、「馬の名前じゃないの?」と首を傾げると、「その祈りって意味を馬の名前にしたんだよ」とネプギアが説明をする。

 

 

「そしてタングラムは三角形や四角形など七つの図形を使って、さまざまな形を作るパズルです。その組み合わせはほぼ無限といってよく、これは祈りの力よって様々な力を生み出すという意味があり、その可能性は未知数です」

 

 

 イストワールは話を続けると、「千年も前にそんな技術があったなんて……」と言ってネプギアが驚く。

 

 

「知ってるー! そーゆーのって、オーパーイって言うんだよね!」

 

 

 ネプテューヌが元気よく手を上げて言うと、「わわっ! 違うよお姉ちゃん、オーパーツだよオーパーツ!」ネプギアはネプテューヌのギリギリアウトの間違いを慌てて訂正する。

 

 

「……ネプテューヌさん、わざと言っていませんか?」

 

 

 イストワールが呆れながら言うと、ネプテューヌは笑いながら、「いやー、シリアスブレーカーのわたしとしては、ここで一発かましとかないとなって思って」と両手を後頭部の後ろに置く。

 

 

「でもさ、祈りの力で無限とか未知数の可能性とかって、それって普通に最強武器っぽくない?」

 

 

 ネプテューヌがそう言いながら首を傾げるが、「しかし、このゲハバーンを十全に使うには女神の魂が必要なのです」とイストワールが言う。

 

 

「犯罪神を倒す為に女神の魂に宿る強い意志の力が必要だからですか?」

 

 

 ネプギアが質問すると、イストワールは、「それだけではありません」と言うと、「プロセッサユニットはオラシオンタングラムをデチューンして作ったものなのです」と話を続ける。

 

 

「デチューン? 確かオーラ力なロボットアニメの脇役ロボでそんな名前なかった?」

 

 

 ネプテューヌが考え込みながら言うと、ネプギアが、「デチューンは扱い易いように、あえてパーツの性能を落とす処理だよ」と説明する。

 

 

「少し前にテストしていただいた、試作型のプロセッサユニットがありましたよね」

 

 

 イストワールは話を続けると、「あれヤダー! すっごい疲れるんだもん!」とネプテューヌが不満そう言い、「パワーは凄いんですけど、エネルギー効率が悪くて長時間は変身してられません」とネプギアも少し不満そうに言う。

 

 

「あれは、ほんの少しだけオラシオンタングラムの性能に近づけた物なんですよ」

 

 

 イストワールが説明をすると、ネプギアはあごに右手を当てながら、「つまり、本来のオラシオンタングラムの機能を使うには莫大な女神のエネルギーが必要ってことですか?」と答える。

 

 

「その通りです。流石はネプギアさんですね」

 

 

 イストワールは嬉しそうに微笑むが、ネプテューヌは不満そうに、「えー? どーゆーこと? わたしにもわかるように三文字以内で説明せよ!」と言う。「……三文字は少なすぎるかな……」とネプギアが困った顔をすると、「じゃあ、百文字」とネプテューヌが妥協する。

 

 

「えっとね。ゲイムギョウ界の人達の信仰心がシェアエネルギーになって、私達女神が戦う力になるよね」

 

 

 ネプギアが説明を始めると、「うん、それはわたしでも分かるよ」とネプテューヌが言う。「その私達の戦う力を増幅してくれるのがプロセッサユニットなんだよ」とネプギアが説明を続け、「うんうん」とネプテューヌが頷く。

 

 

「それで、プロセッサユニットを稼働させるのにも女神の力がいるの」

 

 

 ネプギアが更に説明を続けると、「今私達が使ってるプロセッサユニットは、使いやすいようにオラシオンタングラムをデチューンしたものになっているけど、本来のオラシオンタングラムを使ったら数秒でエネルギーがなくなっちゃうみたい」と続けて説明する。

 

 

「あーそういうことね。 完全に理解した」

 

 ネプテューヌは腕組みしながらそう言うが、イストワールは訝しげに、「本当に分かってますか?」と尋ねる。

 

 

「わかってるって、いーすんは疑い深いなー」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、「つまり、主人公のわたしが使えばモウマンタイだよね」とVサインを決めるが、「お姉ちゃん、それ全然分かってないよー!」とネプギアが肩を落として嘆く。

 

 

「難しい理屈はナシナシ! こんなの溢れだすわたしの主人公補正で一発解決だよ」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、おもむろにゲハバーンの柄を握る。「ね、ネプテューヌさん!?」イストワールが驚いて声を上げるが、ネプテューヌは立ち上がると鞘からゲハバーンを抜き、「ゲハバーン、わたしに勝利を見せてくれ!」と叫ぶ。

 

すると先程は何の反応も示さなかったゲハバーンが黒い光を発する。

 

 

「おー! キタキタ! 覚醒フラグが立ったよ!」

 

 

 ネプテューヌは嬉しそうに言うが、次の瞬間、「あれ?」と言ってガクン右膝を付く。「お姉ちゃん!?」ネプギアが慌てて叫ぶと、ネプテューヌはガックリと崩れ落ちるとうつ伏せに倒れ、「ネプ子さんの命が……吸われていきます……」と呟く。

 

 

「お姉ちゃん! 冗談言ってる場合じゃないよ!」

 

 

 ネプギアが真剣な声で叫ぶとイストワールも真剣な声で、「ネプギアさん、剣を! ゲハバーンをネプテューヌさんの手から離して下さい!」と叫び、「はい!」とネプギアはゲハバーンをネプテューヌから取り上げる。

 

 

「覚えてろゲハバーン……地べたを這い泥水をすすってでも、使いこなしてやる……」

 

 

 ぐったりしたネプテューヌが怨み言のように言うと、「ネプギアさんの説明をキチンと理解しないからです」とイストワールが呆れたように言うが、「しょーがないじゃん、赤ちゃんなんだから」ネプテューヌが開き直ったように言う。

 

 

「ネプテューヌさんには身をもって分かっていただきましたが、オラシオンタングラムはパワーは凄まじいですが燃費が非常に悪く、女神一人の力でゲハバーンを使うのは、ほぼ不可能なんです」

 

 

 イストワールが説明を続けると、「そこで女神の魂が必要になってくるんですか?」とネプギアが質問する。

 

 

「その通りです。オラシオンタングラムには、女神の魂を吸収して永久機関の生体ユニットにする機能が備わっており、女神の魂を吸収すればその力を発揮することができます」

 

 

 イストワールは冷静に説明をするが、ネプギアは悲しそうに、「生体ユニットなんて……そんな酷い……」と言って顔を落し、「マッドサイエンティストな感じだねー」とネプテューヌは不満そうに言う。

 

 

「……でも、そうするしか方法がなかったんですよね?」

 

 

 ネプギアはそう言って顔を上げてイストワールに質問する。「はい、エルデ様もお悩みになられましたが、犯罪神を倒しゲイムギョウ界を救いたい一心で研究を続けました」イストワールは少し悲しそうに答える。

 

 

「そして、完成した際には自分の魂を捧げるつもりでしたが、他の女神様に説得されて思いとどまったのです」

 

 

 イストワールがそう続けると、「多分、私でもそうしたと思います……」とネプギアが少し悲しそうに言う。

 

 

「ところで、魂って生体ユニットになるの?」

 

 

 ネプテューヌが素朴な疑問を口にすると、「う~ん……魂は不滅って言われることもあるし、肉体が死んじゃったエスーシャさんの魂もイーシャさんの中で生きてるし……」とネプギアは真剣に悩む。

 

エスーシャとイーシャは以前に共に戦った仲間であり、事故で死ぬはずだったエスーシャの魂をイーシャが禁呪を用いて自分の体に入れたので、一つの体に二つの魂が入っているのだ。

 

 

「ま、ゲームで魂に話しかけるなんて日常茶飯事だよね。魂が商売してたりもするし」

 

 

 真剣に悩むネプギアに対してネプテューヌは気楽に開き直ると、「あっ! それって、ゲハバーンには禁呪の力も使われているってことですか?」とネプギアが思い付いたようにイストワールに質問する。

 

 

「はい、お察しの通り当時のルウィーの魔法技術も使われています」

 

 

 イストワールが答えると、ネプギアは、「凄い剣なんですね」と感心するが、ネプテューヌは、「でも、結局は使われなかったんだよねー」とあっけらかんに言い放つ。

 

 

「はい、あまりにもリスクが高いので……エルデ様達もウラヌスさん達と同じく封印が精一杯でしたが、何とか犯罪神の脅威を退けることができましたので」

 

 

 イストワールがそう言うと、「ネプギア、どうする? 思ったよりヤバイ代物だよコレ」とネプテューヌがゲハバーンを見ながら質問する。

 

 

「この性質からソウルイーターの二つ名が付けられる程の物です。正直に言えば考え直していただきたいです」

 

 

 イストワールがネプテューヌに続くと、「わー……ソウルイーターなんて、またあいちゃんが喜びそうな設定だねー」ネプテューヌは笑いながら言う。

 

 

「私、何とかしてみる! 何とかしてあげたいです! このゲハバーンの為にも、そしてゲイムギョウ界を救いたいと思ってこれを作ったエルデさん達の気持ちを無駄にしない為にも!」

 

 

 ネプギアは強い意志を秘めた瞳で力強く二人の質問に答える。

 

 

「技術の発展に失敗を避けることは出来ません。私達は前の世代から託された技術を受け継いで、失敗を一つ一つ解決した上で更に技術を磨いて発展をさせ、次の世代に託さなきゃいけないと思うんです」

 

 

 ネプギアがそう訴えると、ネプテューヌは少し呆れたように、「ネプギアは本当に真面目だねー」と言うが、「いーすん、ネプギアに任せてみたら、ネプギアならきっと何とかしてくれるよ」とイストワールに進言する。

 

 

「わかりました。ですが、その為にはもう少しお話を聞いていただくことになります」

 

 

 イストワールがそう言うと、「えー? まだあるのー?」とネプテューヌは不満そうに言う。

 

 

「この剣の誓約についてです」

 

 

 イストワールは落ち着いてネプギアを見ると、「誓約ですか?」とネプギアが不思議そうに首を傾げ、「えー? わたし、薬は嫌だなー」とネプテューヌが嫌そうな顔をするが、「お姉ちゃん、その製薬じゃないと思うよ」とネプギアがツッコミをする。

 

 

「この剣はセティ様の使っておられた、神聖剣ティルフィングが素体に使われています」

 

 

 イストワールは話を続ける。「そたい?」とネプテューヌが首を傾げると、「ベースとなる物のことだよ。私達で言えば、私が素体でプロセッサユニットはオプション装備になるのかな?」とネプギアが説明する。

 

 

「わかった! ヤンキーのお兄さんが改造したバイクとか、デコトラみたいなものだね」

 

 

 ネプテューヌは嬉しそうに言うが、「合ってるけど、その表現はどうなのかなぁ……」とネプギアは複雑な表情をする。

 

 

「任せて! わたし、暴走デコトラレジェンドで、すっごいカッコイイの作ったことあるから!」

 

 

 ネプテューヌは自信満々に言うが、「そういうお話は後にして下さい」とイストワールが呆れながら止めると、「ぶーぶー!」とネプテューヌがブーイングを飛ばす。

 

ちなみに、暴走デコトラレジェンドとは、トラックを装飾しデコトラを作って競走をしてゲイムギョウ界一のトラック運転手を目指すゲームである。

 

 

「えっと……それで神聖剣ティルフィングって何なんですか?」

 

 

 ネプギアが話を戻す為にイストワールに質問すると、「ティルフィングは石や鉄を布の様に引き裂き、錆びも刃毀れもせず、狙った相手は外さず、必ず持ち主に勝利をもたらす、と言われている剣です」

 

 

「なに? その、【ぼくのかんがえたさいきょうのぶき】は?」

 

 

 ネプテューヌが呆れながらそう言うと、「流石に最後の二つは使用者の実力次第ですが、切れ味の良さと錆びないことは事実です」とイストワールが説明するが、「えー? 思いっきり錆びてたよ! わたしの手に錆が付いたし」ネプテューヌは不満そうに言う。

 

 

「錆びていたのは、オラシオンタングラムを外装に使っていたからですか?」

 

 

 ネプギアが自分なりに考え付いたことを伝えると、イストワールは微笑んで、「流石はネプギアさんですね」と言うと、「お察しの通りゲハバーンはティルフィングをオラシオンタングラムで包むように作られています」と続けて言う。

 

 

「オラシオンタングラムは女神のエネルギーを吸わないと、ただの金属みたいですから錆びてしまったんですね」

 

 

 ネプギアが更に続けて言うと、「その通りです」とイストワールが嬉しそうに言う。

 

 

「もー、いーすんはそうやってネプギアばっかり褒めるー! そんなことしてると、わたしまた悪堕ちするよ」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに口を尖らせると、イストワールは落ちついて、「ネプギアさんがデキる子なのは事実です」と言い、「ネプテューヌさんもネプギアさんを見習って、もう少し真面目に仕事やお勉強を……」とお説教モードに入る。

 

 

「えっとえっと! いーすんさん! ティルフィングと誓約ってどう関係するんですか!!」

 

 

 ネプギアはネプテューヌがお説教されるのを避ける為に、慌てて話を変えると、「そうですね。今はゲハバーンのお話でしたね」とイストワールのお説教モードが解除される。

 

 

「ほっ……」

 

 

 ネプギアが安堵の溜息つくと、「いやー、助かったよ。流石はわたしの妹」とお説教を避けられたネプテューヌが嬉しそうに言う。

 

 

「ティルフィングはかって魔剣と呼ばれ、【持ち主の悪しき望みを三度までは叶えるが、その後に持ち主に死と破滅をもたらす】という呪いがかけられていました」

 

 

 イストワールそう言うと、「実際にこの呪いで、多くの持ち主を祟り殺していたそうです」と続ける。

 

 

「その魔剣がどうして神聖剣になったんですか?」

 

 

 ネプギアが質問すると、「わたし分かっちゃったよ!」とネプテューヌが自信満々に言い放つ。

 

すると、「お姉ちゃん、凄い!」とネプギアが柏手を打って感心をする。

 

 

「願い事を無限大数にしたんだよ!」

 

 

 ネプテューヌが両手を腰に当ててドヤ顔で言うと、「それはズルなんじゃないかな……」とネプギアは困った顔をして、イストワールは、「そういう、直接的に願いを叶える道具ではありません」とバッサリと切り捨てる。

 

 

「悪い願いを叶えるって言うのは、ティルフィングの力を悪いことに使うことですか?」

 

 

 ネプギアがそう答えると、「その解釈で構いません」とイストワールが頷くが、ネプテューヌは、「使えないなー。プリン一億個頼もうと思ったのに」と不満そうに言う。

 

 

「お姉ちゃん、一億個も保管しておく場所ないよ」

 

 

 ネプギアは真面目な顔で答えるが、イストワールは、「ネプギアさん、ツッコミどころはそこではないと思います……」と呆れてしまう。

 

 

「それで具体的に悪い願いって言うのは、ティルフィングを使った無益な殺生や、私利私欲で戦争とか争いを起こすことでしょうか?」

 

 

 ネプギアが質問すると、イストワールは、「はい」と頷く。

 

 

「でも、神聖剣になったんだから、その呪いは無くなってるんだよね?」

 

 

 今度はネプテューヌが質問するが、「いえ、呪いは今も健在です」とイストワールは事も無げに言う。

 

 

「ええっ? じゃあ、どこが神聖剣なのー?」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに言う。

 

ネプギアはあごに右手を当てながら考え込み「……神聖な剣っていう意味じゃなくて、神聖な人じゃないと使いこなせない……そういう意味での神聖剣?」と少し自信無さそうに言うと、「そういうことです」とイストワールが答える。

 

 

「ティルフィングは悪用する者を滅ぼす剣です、この剣を使いこなすには清廉潔白であり続けなければなりません」

 

 

 イストワールが説明を続けると、「だから、誓約の剣……」とネプギアが呟く。

 

 

「この剣の持ち主であったセティ様も正義感が強く平和を愛する優しい方でした。事実セティ様はプラネテューヌの司法も司り、その裁きは誰も認めるものでした」

 

 

 イストワールがそう言うと、「でも、二回まではセーフなんだよね」とネプテューヌが質問する。

 

 

「誰にも過ちはあるものですから」

 

 

 イストワールがそう答えると、「仏の顔も三度までってことですか」とネプギアがそれに続く。

 

 

「閃いた! 二回になったら壊すなり捨てるなりすればいいんだよ!」

 

 

 ネプテューヌはさも名案かのように言うが、「お姉ちゃん、それもズルいと思うよ……」とネプギアは再び困った顔をし、イストワールが呆れながら、「そのような邪な考えをした時点で剣の禍は降りかかるでしょう」と続ける。

 

 

「じゃあ、どうするの? 二回なんて少なすぎるよー!」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに口を尖らせると、「セティ様は常々こうおっしゃっていました。誰でも過ちはある。しかし正しき者は自分の過ちを認め反省し、その中から未来をよりよくする為の知恵を学び取り行動を起こす」とイストワールが落ち着いて話す。

 

 

「どういうこと?」

 

 

 ネプテューヌが不思議そうに首を傾げると、「誤ってティルフィングを悪用してしまっても、キチンと反省して贖罪をすれば赦されるってことですか?」とネプギアが答えると、「恐らくそういうことでしょう」とイストワール頷く。

 

 

「食材って? 料理でもするの?」

 

 

 ネプテューヌがまた不思議そうに首を傾げると、「その食材じゃなくて、贖罪って言うのは、善いことをして自分の犯した罪や過失を償うこと、つまり罪滅ぼしのことだよ」とネプギアが説明する。

 

 

「でもさ、散々悪いことしてきて、ちょっと人並みのことすれば褒められたり赦されるのは違う気がするなー。そーゆー人に限って、俺は変わったーとか言いながら昔はワルだったぜって武勇伝ひけらかすし」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに言うと、「その為に三回と言われているのでしょう。一度犯した悪行を赦されるのは並大抵のことではありませんから」とイストワールが答える。

 

 

「ギリギリまで悪いことして、そこから贖罪して赦されようとか、悪いことしても贖罪すれば赦されるとかの考え方は認められず、あくまで真面目に生きてきた人が過ちを犯してしまった時の執行猶予みたいなものなんですね」

 

 

 ネプギアがそう解釈すると、「うーん……でもさ、この剣って女神殺さなきゃいけないんだよね? 女神を殺すって言うか人殺しの時点で赦されないんじゃないの?」とネプテューヌは納得できなさそうに言う。

 

 

「えっと……それは……」

 

 

 ネプギアが答えに窮してしまうと、イストワールが落ち着いた声で、「そうですね。ですから、この剣を使う時にはゲイムギョウ界を救う為と、同意の上で命を奪わなくてはなりません」と答える。

 

 

「それで赦されるのでしょうか……」

 

 

 ネプギアが不安そうに質問すると、「完全にとは言いません。罪を背負い命を奪った女神様の分まで、ゲイムギョウ界を正しく導き守り続ける必要があるでしょう」とイストワールが答える。

 

 

「わきゃーーーーー!」

 

 

 ネプテューヌは突然奇声を上げると、「もう! めんどくさい上に重い剣だなーーー!」と不平不満でいっぱいと言った顔で叫ぶと、「お、お姉ちゃんが壊れた!?」とネプギアは慌ててしまう。

 

 

「この剣の存在そのものが鬱陶しいんだよ! こんな重い設定の武器は産廃だ! あっちゃいちゃいけない武器なんだー!! 」

 

 

 ネプテューヌはおもむろにゲハバーンを両端を掴むと右膝でへし折ろうとするが、ガキンと言う鈍い音がするだけで剣は折れず、「いたーーーい!」とネプテューヌは右膝を抱えてうずくまってしまう。

 

 

「まあまあ、お姉ちゃん、落ち着いて」

 

 

 ネプギアがネプテューヌを宥めようとするが、「これ以上シリアスで重い話はネプ子さんのメンタルが持ちません!」とネプテューヌは拗ねてしまう。

 

 

「そうですね。話すべきことは話ましたし、後はネプギアさんの判断に任せます」

 

 

 イストワールが落ち着いて言うと、「やっぱ、止めとこうよー。こんな縛りプレイみたいな剣、お姉ちゃんと自由で楽しくハッピーに生きよう、ね?」とネプテューヌがネプギアに言う。

 

先程まで賛成していたが剣の誓約に嫌気が差したようだ。

 

自由と奔放と気楽を愛するネプテューヌにはついて行けない武器である。

 

 

「正直、自信ありませんし、怖いのも事実です……」

 

 

 ネプギアがそう呟くと、「そうだよ、止めときなよ」とネプテューヌが言うが、「ですけど、誰かがこの剣を救ってあげなきゃいけない気がするんです」とネプギアが力強く言う。

 

 

「そうですか……考え直す気はありませんか?」

 

 

 イストワールが落ち着いて問いかけると、ネプギアは、「はい」と頷き、「迷いはありません」と続ける。

 

 

「わかりました」

 

 

 イストワールが頷くと、「ちょっと、いーすん!」とネプテューヌが不満そうに言うが、「今すぐ使う訳ではありませんし、ネプギアさんと今の技術なら改良するなり出来るかもしれません」とイストワールが答える。

 

 

「ですが、手に負えないと思ったら直ぐに相談すると約束して下さい」

 

 

 イストワールが真剣な声で言うと、「わかりました。約束します」とネプギアが頷く。

 

 

「それでは、このゲハバーンはネプギアさんに預けます。後ほど、エルデ様の残した研究資料もお渡しします」

 

 

 イストワールがそう言うと、「ありがとうございます」とネプギアがゲハバーンを手に取って立ち上がる。

 

ネプテューヌはその姿を不安そうに眺めるが、妹の強い意志を変えられないと感じているようだった。

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