新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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018迷コンビ

 翌日 G.C.2019年7月23日 火曜日の朝。

 

朝のジョギングを終えたネプギアは昨晩のゲハバーンの話を仲間達に伝えていた。

 

ちなみにネプテューヌはまだ夢の中である。

 

 

「もうっ、何でそういう大事なことを一人で決めちゃうのよ」

 

 

 ユニが不満そうに言うと、ネプギアは申し訳なさそうに、「ごめんね。どうしてもゲハバーンが可哀想で……」と謝る。

 

 

「ネプギアちゃん優しい……(ぽっ)」

 

 

 ロムが頬を赤く染めて言うと、ラムは左手を上げて、「わたし、ネプギアのそーゆートコ好きー!」と元気よく言う。

 

プラエも、「私もネプギアお姉さんのそういうところ好きだな」とニコリと笑う。

 

 

「でも、そんな剣持ってて平気なの?」

 

 

 ユニが少し心配そうにネプギアに質問すると、「平気? 何が?」とネプギアが首を傾げる。

 

 

「アンタ、メンタル弱いところあるし」

 

 

 ユニがそう言うと、「ユニちゃん、心配してくれるんだ。ありがとう」とネプギアが嬉しそうにお礼を言うが、「そ、それぐらいで喜ばないでよ」とユニは恥ずかしそうにそっぽを向いてしまう。

 

 

「ねぇねぇ、メンタルってなに?」

 

 

 ラムが興味津々に質問し、「樽でラーメン食べるの?」と続けて尋ね、「それとも、おそば?(ちゅるちゅる)」とロムが続けて質問する。

 

 

「違うわよ」

 

 

 ユニが首を横に振って否定をすると、「歯みがき粉の仲間?」とラムが言い、「それはデンタル」とユニが返すと、「計算機?」と今度はロムが質問するが、「それはデジタル」とユニが少し呆れたように返す。

 

更にラムが、「履き物?」と言うと、「それはサンダル」とユニが疲れた顔で答え、「ツテヤさん?」とロムが質問すると、「それはレンタル」とユニが右手で頭を抱えながら言う。

 

ラムは諦めずに、「自分を犠牲にして、仲間を生き返らす呪文?」と聞くと、「それは、メガダル……」とユニは言いながら、「はぁ……」と肩を落とし疲れた溜息を吐く。

 

しかし、「朝に体温とか血圧測るの?」とプラエが質問すると、「……それはバイタル」としっかり返してくれるユニであった。

 

 

「って、どんどん離れてくじゃないの!」

 

 

 流石に我慢できなくなったユニが叫ぶと、「コーラに入れたらいけないお菓子だよ」とネプギアが言うと、ユニが笑顔で、「そうよ。凄い勢いで吹き出すから注意しなさいよ」と言うが、「……って、ちがう! それはメントル!」と叫ぶ。

 

ネプギアは、「間違えちゃった」と謝ると、「眠気覚ましとか、のど飴に入ってるのだよね」と言うと、ユニはまた笑顔で、「そうそう、あのスーーッとした清涼感がたまらないの……」と言いかけ、「じゃない! それはメントール!」とまた叫ぶ。

 

ネプギアは、「ごめんね」と謝ると、「アルコールランプに入ってるのだよね」と言うと、ユニは今度も笑顔で、「それよ。アルコールって言っても毒性が強いから絶対飲まないこと……」と言いかけて、「ああああっ! それはメタノール!!」と絶叫する。

 

 

「わー、ユニちゃん、ノリツッコミも上手だね」

 

 

 ネプギアが感心しながら拍手すると、ラムも「うまいうまい」と拍手し、ロムも「じょうず(ぱちぱち)」と拍手すると、プラエも、「ユニお姉さん楽しい」と微笑んだ。

 

 

「アンタ達が連続でボケまくるから、メンタルの原形がどこにもないわね……」

 

 

 ユニは叫び過ぎて疲れたのか肩で息をしながら呆れかえると、ネプギアは小首を傾げて、「メトロノームはセーフかな?」と尋ねると、「アウトよアウト! メしか合ってないじゃない! ……って言うかしつこい!!」とユニが再び絶叫する。

 

ネプギアは、「ごめんごめん」と言いながら、「天丼は三回ぐらいが基本だからね」と微笑むと、「……何の研究してるのよ」とユニが脱力して肩を落とす。

 

ラムは目を丸くして、「天丼三杯も食べたら、お腹パンクしちゃうわ」と驚くと、「そんなたくさん入らない(はらはら)」とロムも驚いた表情をする。

 

ネプギアはくすりと笑うと、「天丼って言うのはね、同じギャグを二度、三度と繰り返して笑いをとる方法なの。天丼には海老が二本載っているから、そう言われてるんだって」と説明すると、「「おおーー」」とロムとラムが声を揃えて感心をする。

 

 

「はい、ポカル」

 

 

 ネプギアがユニにペットボトルを差し出しながら、「いっぱい叫んだから喉乾いたよね」と優しく言うが、ユニは微妙な顔で、「……嬉しいんだけど、感謝しようという気持ちが一ミリもわいてこないのはなぜかしら?」と言って、ポカルを飲み始める。

 

ユニがポカルを飲みながら、「アンタ達は、アタシに何回ツッコミさせるのよ」と呆れたふうに言うが、「メトロノームの時点で10回だよ」とネプギアがさらりと答えると、「なに数えてるのよ……」とユニは更に呆れてしまう。

 

ポカルを飲み終えたユニは不満そうに口を尖らせ、「まったく……何でネプギアまで混ざって来るのよ」とネプギアのおでこを軽く小突くと、ネプギアは微笑んで、「楽しそうだったから、つい」と言うと、「テヘッ」と小さく舌を出す。

 

 

「テヘッ……じゃないっ!」

 

 

 ユニはそう言って、ネプギアの頭を軽くチョップすると、ロムとラムとプラエの方をジロリと見ると、「……アンタ達もわざとやってたでしょ」と言う。

 

ラムは楽しそうに笑うと、「だって、ユニちゃん面白いんだもーん」バンザイし、「楽しい(くすくす)」とロムも微笑むと、「……プラエも混ぜてほしくて」とプラエが上目遣いでユニを見る。

 

ユニは両手を腰に当てながら「まったくもう」と疲れた声を出す。

 

 

「えっと、何の話しだったっけ?」

 

 

 ラムがそう言って左手の人差し指をあごに当てながら考え込むと、「メンタルの話しだよ」とネプギアが答える。

 

ユニが、「アンタ達がふざけるから全然別の話になっちゃったじゃないの」と少し怒ったふうに言うと、「メンタルってなに?」とロムが首を傾げて質問する。

 

 

「メンタルって言うのは精神力や心って意味だよ」

 

 

 ネプギアが説明をすると、「メンタルが強いって言うのは、お姉ちゃん達みたいに、どんなことがあっても自分を保てる強い精神力を持ってて、トラブルが起きても慌てず、プレッシャーにも強くて、逆境でもくじけない人のことよ」とユニが付け加える。

 

ラムは、「そっか! お姉ちゃんが賞貰えないのに、何度も本を書いてるのはメンタルが強いからなんだ!」と感心したように言うと、「なるほど、お姉ちゃん、メンタル強い(むきむき)」とロムも同じく感心をする。

 

 

「……間違ってないけど、ブランさんの前でそれ言っちゃダメだよ」

 

 

 ネプギアが少し困った顔で言うと、「逆にメンタル弱いって言うのは、ネプギアみたいに、失敗するとすぐネガティブ思考になったり、気持ちの切り替えが下手で、いつまでもくよくよ悩んで、自分に自信がなくて、他人に依存する人のことよ」とユニが言う。

 

ネプギアは泣きそうな顔で、「ユニちゃん、ひどい~!」と言うと、いじけた風に両手の人差し指をツンツンする。

 

 

「でも、間違ってないでしょ? これぐらいのことで落ち込んじゃうんだから」

 

 

 ユニが少し意地悪な顔をしながら言うと、「うぅ~、言い返せないよ~」とネプギアは眉毛を八の字にして困ってしまう。

 

ロムが頬を膨らませながら、「ネプギアちゃんをイジメちゃダメ(ぷんぷん)」と言うと、「大丈夫よ。わたし達がネプギアを守ってあげるわ」とラムが両手を腰に当てながら自信満々に言い放つ。

 

続けて、「プラエもネプギアお姉さん守るために頑張る」とプラエも小さくガッツポーズをする。

 

 

「三人ともありがと~」

 

 

 ネプギアは嬉しそうに言うと、ロムとラムとプラエの頭を撫でてあげる。

 

ロムが目を細めて、「えへへ~(にこにこ)」と微笑むと、ラムも嬉しそうに、「もっと撫でて~」とねだる。

 

プラエも、「プラエ頑張るね」と気持ち良さそうに微笑んだ。

 

 

「子供に慰められるなんて情けないわねー」

 

 

 ユニが呆れたように言うが、ネプギアは不満そうに「あっ、そんなこと言うと、ブレイブさんとの戦いのことみんなに話しちゃうよ」と言って頬を膨らませる。

 

ユニは気まずい顔をすると、「だ、誰にも言わないって約束したでしょ!」と慌てて言うが、「だって、ユニちゃんがいじめるんだもーん」とネプギアは子供のように拗ねてつーんと横を向いてしまう。

 

ブレイブとは犯罪組織の一員だったが、ユニとの戦いで自らの過ちに気付きユニと和解し散って行ったロボット型生命体。

 

ブレイブとはネプギアとユニの二人だけで戦ったが、その戦いの際に、ユニはらしくない失態を晒してしまい、それをネプギアに隠すようにお願いしたのだ。

 

 

「……わかったわよ。アタシが言い過ぎたわ」

 

 

 ユニが素直に謝ると、ネプギアはチラリとユニの方を向き、「……じゃあ、ユニちゃんも私のこと守ってくれる?」と少しねだるように質問する。

 

ユニは僅かに顔を赤くして、「し、仕方ないわね、まったく、アンタはアタシ達がいないと何にもできないんだから!」とまんざらでもない様子で言う。

 

すると、ネプギアは花が咲くような笑顔を浮かべ、「ありがとう、ユニちゃん。じゃあ、誰にも言わないね」と嬉しそうに言う。

 

 

「え~? なになに、何の話? わたし達にも教えてよ。気になる気になる~」

 

 

 ラムは話が知りたくて両手をバタバタと上下に振り、「気になる気になる(うずうず)」とロムも興味津々の目でネプギアを見つめるが、ネプギアは、「ごめんね。ユニちゃんとの二人だけの約束だから」と両手を合わせて二人に謝るジェスチャーをする。

 

ラムは不満そうに腕組みをするが、「む~、しょうがないわね」と素直に諦め、「うん、しょうがないね(しゅん)」とロムも素直に諦める。

 

 

「君達は、見てて飽きないね」

 

 

 事の成り行きを楽しそうに眺めていたファルコムがそう言うと、「あっ、ごめんなさい。私達だけで喋っちゃって」とネプギアが申し訳なさそうに言う。

 

ファルコムは爽やかな笑みを浮かべると、「気にしないで、あたしは一人旅が多いから、こういうの憧れるよ」と嬉しそうに女神候補生を見つめる。

 

隣のファミ通も、「うんうん、これはこれでいいネタだしね」と楽しそうに笑う。

 

 

「ゲームハザードバーン……そしてソウルイーター……」

 

 

 アイエフは俯きながら言うと、「……ふふっ……」と楽しそうに笑い、「……右手が疼くわ」と呟いて左手で右手を抑える。「あいちゃん、怪我でもしたですか?」コンパはそんなアイエフの様子を不思議そうに眺める。

 

 

「ファミ通さん、この事は一般の方には非公開でお願いします」

 

 

 イストワールがそう言うと、「うん、わかってるよ。こんな物騒なものがあるなんて知ったら大騒ぎになるしね」とファミ通が頷く。

 

ファミ通を信頼できる記者と見込んで、ネプギアは彼女にもゲハバーンの話を聞かせたのだ。

 

 

「しかし、そこまでいわく付きの武器は、あたしも初めて聞いたよ」

 

 

 ファルコムは興味深そうに頷くと、「まずはエルデさんの残した資料をよく読んで、それから慎重に研究していこうと思います」とネプギアが答える。

 

 

「そうね、アタシに何か出来ることがあったら言ってちょうだい。力になるわ」

 

 

 ユニが腕組みしながら言うと、「わたしもお手伝いする(ぐっ)」とロムが続き、「わたしも手伝うわ」とラムも続くと、「プラエも頑張るね」とプラエが言う。

 

 

「みんな、ありがとう」

 

 

 ネプギアは嬉しそうにお礼を言うと、「話も済んだし、剣の稽古しましょ」とユニが言うと、「ファルコムー、時限爆弾教えてよー!」とラムが言うが、「ラムちゃん、示現流だよ」と珍しくロムがツッコミをする。

 

 

「もう少し基礎が身に着いたらね」

 

 

 ファルコムが微笑むと、ネプギアは、「ファルコムさん、今日もよろしくお願いします」と言う。

 

 

***

 

 

 

 剣の稽古と朝食を済ませたネプギア達はイストワールから今日のクエストの説明を受けていた。

 

 

「……が今日のクエストの場所です」

 

 

 イストワールがクエストの説明を終えると、「おはよ~……」と同時にネプテューヌがやってくる。

 

 

「ネプテューヌちゃんおそーい!」

 

 

 ラムが寝坊したネプテューヌを指差すと、「おねぼうさん(めっ)」とロムがそれに続く。

 

 

「いや~、昨日あの後ベールとネトゲで盛り上がっちゃってさ~」

 

 

 ネプテューヌは頭を掻きながら眠たそうな声で答える。

 

持ち込んだノートパソコンでリーンボックスに戻ったベールと一晩中ネトゲをしていたようである。

 

 

「お姉ちゃん、寝る時はお風呂に入ってパジャマに着替えないとダメだよ」

 

 

 ネプギアがネプテューヌを優しく注意する。

 

ネプギアの言う通り、ネプテューヌは昨日から着替えた様子はなく寝乱れた私服を着ていた。

 

 

「だらしがないですよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「いや、これはこれで芸術だよ。フィギュアにしてもいいじゃないかな?」とネプテューヌは気にした様子もなく言う。

 

 

「うん、お姉ちゃん、とってもセクシーだよ」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに言う。注意はしたものの素直に今のネプテューヌの姿を可愛いと思ったようだ。

 

それを聞いたネプテューヌは嬉しそうに、「そうでしょ? そうでしょー!」と言ってセクシーポーズを何度も決める。

 

 

「わたしとロムちゃんの方がせくしーよ! ベールさんに教わったんだから!」

 

 

 ラムがそう言ってセクシーポーズを決めると、ロムも「負けない(びしっ)」とセクシーポーズを決める。

 

ラムが言うように彼女達はベールの提案でレースクイーンをしたことがあり、その際にベールの怪しい指導を受けている。

 

 

「何だかイケナイ光景に見えてくるね……」

 

 

 ファルコムがそう言うと、「これは流石に記事にはできないね」とファミ通が続ける。

 

 

「ふぁ……」

 

 

 ネプテューヌ達が盛り上がっている横で、ネプギアがあくびをすると、隣のユニが「寝不足?」と尋ねる。

 

 

「うん、少しね。ゲハバーンの話を聞いた後に、零次元の亀裂の修復の研究もしてたら遅くなっちゃって……」

 

 

 ネプギアがそう言うとユニが不安そうに、「あれ、本当に直るの?」と質問する。

 

 

「うん、きっと直してみせるよ。なんて言ったってプラネテューヌの科学力は世界一だもん」

 

 

 ネプギアが自信満々にそう言うと、ネプテューヌが間に入って来て、「ちがーーーーう!」と叫ぶ。

 

 

「え……プラネテューヌの科学力は世界一じゃないの?」

 

 

 ネプギアがそう尋ねると、「そうじゃなくて、ネプギアは言い方がなってないんだよ。そんなのだから個性が無いって言われるんだよ」とネプテューヌが言い、「わたしがお手本を見せてあげるよ」と言うと大きく手を振り上げる。

 

 

「我がプラネテューヌの科学力は世界一ィィィィーーーーッ!」

 

 

 ネプテューヌは大きく自信満々な声でそう言うと、「出来ないことは無いいいぃーーーーーーっ!!」と言ってあげた手を振り下ろしてガッツポーズを作る。

 

 

「えっと……普通の会話でそんな大声を出すのは迷惑なんじゃないかな?」

 

 

 ネプギアは至極当然のことを言うが、「なにそれ面白そう! わたしもやるー!」とラムが言いだすと、「よーし! ラムちゃん、行ってみよー」とネプテューヌがラムを煽る。

 

 

「我がルウィーの魔法力は世界一ぃぃぃぃぃぃぃ~っ!」

 

 

 ラムもネプテューヌと同じく自信満々な大声でそう言うと、「できないことはないぃぃぃぃぃっ!」と言ってVサインを決める。

 

 

「ラムちゃん、カッコいい(ぱちぱち)」

 

 

 ロムがそんなラムを見て嬉しそうに拍手をすると、「えへへ~」とラムは嬉しそうに笑う。

 

 

「なに子供にバカなこと教えてるのよ。さっさと顔洗ってご飯食べてきなさい」

 

 

 アイエフがそう言うと、コンパはネプテューヌの背中を押して「ねぷねぷ、洗面所に行くです~」と言う。

 

 

「あ、今日もクエスト行くから置いてかないでね~」

 

 

 ネプテューヌは誘導されながらそう言うが、ネプギアは、「え……今日は止めておいた方が……」と言ってネプテューヌを止めようとする。

 

 

「むむむっ! 怪しい、みんなで美味しいクエスト行くの隠してるんでしょー? 鋼スライヌの島とかで、経験値がっぽがっぽ稼ぐ気なんだー!」

 

 

 ネプテューヌが勘繰りをしてくると、「そんなんじゃないわよ」アイエフが冷静な声で否定をする。

 

 

「えっと……今日のクエストはお姉ちゃん向きじゃないって言うか……」

 

 

 ネプギアが両手の人差し指をツンツンさせながらそう言うが、「ネプ子さんの実力は世界一ィィィィーーーーッ! 出来ないことは無いいいぃーーーーーーっ!!」とネプテューヌが言って、先程と同じようにガッツポーズを作る。

 

 

「とにかくわたしは絶対行くからね。今日こそはカッコ可愛く目立つんだから」

 

 

 そう言いながら洗面所に向かうネプテューヌとコンパ。

 

 

「どうしましょう……」

 

 

 困り顔のネプギアに対して、「行けばわかるわよ」とアイエフは冷静に答える。

 

 

***

 

 

 ネプテューヌを連れてクエスト現地に付いたネプギア達。

 

 

「なんじゃこりゃあああ!?」

 

 

 ネプテューヌの絶叫が響き渡る。

 

到着した村にはナスが大量に実っていた。

 

 

「ナスナスナス! どこを向いてもナスゥゥゥゥ!?」

 

 

 ネプテューヌはムンクの叫びのように絶叫する。

 

先日も説明したが、ナスはネプテューヌの大嫌いな食べ物である。

 

その為、ナスだらけのこの村は地獄絵図のようであった。

 

 

「今日この村でクエストなのよ」

 

 

 アイエフが無情にも言い放つと、「聞いてないよぉー!」とネプテューヌがどこかの芸人みたいな叫び声を上げる。

 

 

「今朝、私が説明しましたが」

 

 

 イストワールが冷静に言うと、「お姉ちゃん、お寝坊したし私の説明も聞いてくれないし……」とネプギアが困った声で言う。

 

ネプギアの言う通り、ネプテューヌは【絶対行く】の一点張りでネプギアの説明を聞こうともしなかった。

 

 

「だったら、ナスがあるって一言言ってくれればいいじゃんかー」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに言うと、「そうしたら、お姉ちゃん別のクエストって言うでしょ? そんなことしたら、今日私達が来てくれると思ってる、この村の人達に悪いし……」とネプギアが悲しそうに言う。

 

 

「流石はネプギアね。ネプ子の行動パターンがよく分かってるわ」

 

 

 アイエフがそう言うと、「アーアーきこえなーい!」とネプテューヌは耳を塞ぎ聞こえないフリをする。

 

すると、「まったく、ネプ子はナスぐらいで大袈裟なのよ」とアイエフが呆れた声で言う。

 

 

「あいちゃん分かってない! ナスは食べ物なんかじゃなくて公害だよ!」

 

 

 ネプテューヌは反論すると、「ねぷねぷ言い過ぎです。おナス美味しいですよ~」とコンパがやんわりとナスをフォローする。

 

 

「いや、無理。ナスだけは絶対に無理!」

 

 

 ネプテューヌは両手でバッテンを作ってそう言うと、「ここにナスが滅亡するボタンがあったら、すぐに押す! 迷わず押す! 連打する!」とボタンを連打する仕草をやりだす。しかも何故か少し声色が変わっている。

 

 

「でも、もしかしたらこのスイッチはオンオフ式かもしれない! 二回押したら滅亡がオフになるかもしれないので必ずオンになる様、奇数回連打して!」

 

 

 ネプテューヌが錯乱気味に話を続けながらボタンを連打する仕草を止めない。

 

 

「しっかりしなさい、そんなスイッチはないわよ」

 

 

 アイエフがツッコミを入れると、「あ……しゃべり過ぎたら臭いで気持ち悪くなってきた……」ネプテューヌは顔を青くして口を押える。

 

 

「何やってるのよ……」

 

 

 アイエフが呆れたように頭を抱えるが、「大丈夫お姉ちゃん!」とネプギアは本気で心配をする。

 

 

「……もうダメ……プリン分が、プリン分が不足してきた……」

 

 

 ネプテューヌはネプギアにもたれ掛かる。

 

 

「プリン分? 糖分じゃなくって?」

 

 

 ネプギアはネプテューヌを抱き留めながら確認をする。

 

 

「この状態はプリンを食べないと回復できないよ……」

 

 

 ネプテューヌは目を閉じて膝を着く。

 

 

「どうしよう……こんなところじゃプリンなんて手に入らないよ……」

 

 

 ネプギアはオロオロするが、「あっ! そうだ!」と思いついたようにNギアを操作する。

 

 

「お姉ちゃん、これを食べて!」

 

 

 ネプギアはインベントリから出したポテトチップスらしき袋を開け、その中の一枚をネプテューヌの口に運ぶ。

 

 

「ポリポリ……」

 

 

 ネプテューヌは食べた瞬間目を見開き、「みなぎるわぁ!」と弾けるように飛び上がる。

 

 

「この味、まさしくプリン! これはプリンチップスだね!」

 

 

 ネプテューヌが力強く言い放つと、「そうだよ。プラネテューヌで開発されたプリン味のポテトチップス、携帯に便利で長持ち!」ネプギアが説明っぽく言う。

 

 

「「あってよかったプリンチップス!」」

 

 

 ネプギアとネプテューヌが口を揃えて言う。

 

 

「……なんのCMよ……」

 

 

 アイエフが再度頭を抱えて呆れるが、「流石はねぷねぷとギアちゃん、息がピッタリです~」とコンパは嬉しそうに言う。

 

 

「と、言うことでわたしは戦う前から戦闘不能だから、あとは任せた!」

 

 

 ネプテューヌはそう言ってファミ通のワゴン車に非難しようとする。

 

 

「お姉ちゃん待って!」

 

 

 しかし、ネプギアがネプテューヌを止めると、「そうよ、カッコ可愛く目立つって言ったじゃない」とアイエフもネプギアに続く。

 

 

「プリンチップスあるだけ持ってって」

 

 

 ネプギアがそう言ってプリンチップスの山をネプテューヌに手渡すと、「ガクッ」と肩を落とすアイエフ。

 

 

「わぉ、流石はネプギア!」

 

 

 そう言って喜ぶネプテューヌは、そのままワゴン車に籠りプリンチップスを頬張る。

 

 

「まったく、どれだけネプ子を甘やかせれば気が済むのよ……」

 

 

 アイエフはネプギアを見ながら再び肩を落とす。

 

 

***

 

 

 ネプギア達はネプテューヌをワゴン車に残して村長の家に行く。

 

 

「ようこそいらっしゃいました!」

 

 

 嬉しそうに歓迎する村長に、「畑が荒らされていると聞きましたが、どのような状況なのですか?」とイストワールが村長に尋ねる。

 

 

「突然ナスがモンスター化して暴れるのです」

 

 

 村長が説明すると、「おナスが暴れるの?」とプラエが首を傾げる。

 

 

「旅の祈祷師様が言うには、食べられたナスの呪いだと言うんです」

 

 

 村長が説明を続けると、「ナスを食べると呪われちゃうの?」とラムが首を傾げ、「おナスが怒るの(ぶるぶる)」とロムが不安そうに言う。

 

 

「そんなことないよ。ちゃんと感謝して残さず食べれば呪われることなんかないよ」

 

 

 ネプギアが優しい声でロムとラムに説明すると、「その祈祷師が胡散臭いわね」とユニが怪訝そうな顔で尋ねる。

 

 

「ええ、木の像を出して、【これを買って村全体が犯罪神マジェコンヌ様を信仰すれば納まる】って言うんですけど……像があまりにも高額でだったので、一旦断って女神様に相談した次第です」

 

 

 村長が祈祷師のことを説明すると、「なに、そのバレバレな悪徳商法……」とアイエフが呆れる。

 

 

「それより、犯罪神マジェコンヌは聞き捨てなりませんね」

 

 

 イストワールが厳しい顔で答えると、「村長さん、マジェコンヌは悪い邪神ですよ」とネプギアが村長に説明する。

 

 

「あれだけの大事件なのに知らないのかい?」

 

 

 ファルコムが驚くと、「はぁ……私共は都会の情報に疎くて……」と村長は申し訳なさそうに言う。

 

 

「マジェコンみたいなチートツールの存在すら知らないなんて田舎じゃよくあることだよ。裏技なんて言って騙して売りつけたりもするし」

 

 

 ファミ通が言うと、「十中八九その祈祷師の自作自演ね」とアイエフが言う。

 

 

「アタシ、その祈祷師の正体わかった気がするわ……」

 

 

 ユニは頭を押さえながら言うと、「えっ! ユニちゃん凄い!」ネプギアがユニに感心する。

 

 

「ユニちゃん、エスパー?」

 

 

 ラムもユニに感心すると、「予知能力とか?」とロムも驚く。

 

 

「アンタ達こそ気付きなさいよ。犯罪組織絡みでこんな三流悪徳商売するなんてアイツしかいないわよ」

 

 

 ユニが断言すると、「あいつ?」と首を傾げるネプギア。

 

 

「ナスが暴れ出したぞーーーー!」

 

 

 その時、外から大声が聞こえる。

 

 

「ああ、まただ……女神様よろしくお願いします」

 

 

 村長は頭を下げてネプギア達に頼み込むと、「任せて下さい」とネプギアが言って全員が村長の家を出る。

 

 

「ナスが暴れてるです~」

 

 

 コンパが言う通り、ナスに顔が付いて手足が生えたモンスターが大量に暴れていた。

 

 

「微かですが降霊術の魔力を感じます。祈祷師が畑のナスに悪霊を取り憑かせているのでしょう」

 

 

 イストワールが説明すると「とりあえず目の前の敵を倒しましょう!」とアイエフはナスのモンスターに駆け寄りカタールで切り裂くと、ナスが真っ二つに切り裂かれる。

 

 

「ナ、ナス美ーーーーー!」

 

 

 すると村人の一人が絶叫を上げる。

 

 

「え……ナス美?」

 

 

 キョトンするアイエフ。

 

 

「おめぇ、ナス美になにするだー!」

 

 

 アイエフを責める村人。

 

 

「ナス造! 暴れるのは止めてくれ~」

 

「ナス夫、お前はそんな悪い子じゃなかった筈だ!」

 

 

 周りを見つけると村人は暴れるナスに一生懸命説得をしていた。

 

 

「一本一本名前がついてるの?」

 

 

 ロムが不思議そうに首を傾げると、「みなさん、愛情を持って育てているんですね」と感心するネプギア。

 

 

「……行き過ぎた愛情の気がしなくもないけど……」

 

 

 ユニは少し呆れているようだ。

 

 

「ナス美は嫁入り前だったのに、それを、それを……」

 

 

 膝を落し涙ながらに訴える村人。

 

ナスは夏野菜なので出荷前だったのであろう。

 

 

「アイエフ、謝んなさいよー」

 

 

 同情したラムまでアイエフを責めると、「アンタはどっちの味方よ!」ユニがツッコミを入れる。

 

 

「だって、農家のおじさんもナス美さんも可哀想(しくしく)」

 

 

 ロムが涙目で訴えると、「うーん……困っちゃったね」とネプギアも難しい顔をするが、「アンタ達どこまでお人て好しなのよ……」とユニが頭を抱える。

 

 

「どうするコレ?」

 

 

 ファルコムが困り顔で言うと、「降霊術をしている祈祷師を倒しましょう。そう遠くには居ない筈です」イストワールがネプギアに提案する。

 

 

「わかりました、私とユニちゃんとロムちゃんラムちゃんで祈祷師を探します。残りのみなさんは畑に被害が出ないようにナスを足止めして下さい」

 

 

 ネプギアは指示を出すと、プラエが「うん、わかったよ」と頷き、「みなさん、くれぐれもナスを倒さないようにお願いします」とイストワールが続けて言う。

 

 

「倒しちゃいけないって、ちょっと面倒だね」

 

 

 ファミ通が難しい顔で言うと、「上手く誘導して畑から離すしかないね」とファルコムが戦法を提案する。

 

 

「そうですね。ナスさんを傷つけないようにしましょう」

 

 

 コンパが頷くが、「簡単に言うけど、誘導ってどうやるのよ?」とアイエフが質問する。

 

 

「大好物で釣るとか?」

 

 

 プラエが答えると、「それです! 村長さん、ナスの肥料を用意して下さい」とイストワールが村長に要求する。

 

 

「わかりました! 今すぐ最上級の馬鳥のふんを用意……」

 

「か、化学肥料でお願いします」

 

 

 途中まで言いかけた村長を止めるイストワール。

 

村人から肥料を受け取ったイストワール達はナス達の前に立ちはだかる。

 

 

「ほーら! こっちこっち!」

 

 

 ファルコムが肥料を撒きながら逃げると、「ほーら、寄っておいで~」とファミ通も肥料を撒いて逃げる。

 

 

ぽりぽり…

 

 

 ナスは生えた手を器用に使って、口で肥料をスナック菓子のように食べていた。

 

 

「寄ってくるですー」

 

 

 コンパは鳥に餌をあげるような感覚で肥料を撒いていた。

 

プラエも、「おナスさんかわいい」とナスを愛でるような目で誘導していた。

 

あんみつはそんなプラエを優しい目で見守りながら、「嚙まれないよう注意して下さいね」と言う。

 

その隣でミクが、「ネギだったらもっと可愛いと思うけどなー」と言いながら、みんなの真似をして肥料を撒く。

 

 

「ナスが口から肥料を食べるとか……一体どういう原理なのかしら?」

 

 

 アイエフが肥料を撒きながらツッコミを入れると、「細かい事は気にしないでよいかと」とイストワールもそう言いながら肥料を撒く。

 

 

 

***

 

 

 

 その頃ネプギア達は、ロムとラムが降霊術の魔力を辿って祈祷師を探していた。

 

 

「この森から魔力を感じるわ」

 

 

 ラムがそう言うと、「悪い魔力……」とロムも続けて言う。

 

 

「よし! 突入するよ!」

 

 

 ネプギアを先頭に森に入る。

 

 

 

***

 

 

 

 森の奥まで進むとそこには、ネズミの耳のようなものが付いたフード付きの灰色のロングコートを着込んだ人物が居た。

 

 

 その人物はあぐらをかいて座り込みながら、「……ちくしょう……ナスに降霊術掛けるなんて、何でこんなセコイ真似しなきゃならねぇんだ……」と文句を言って水晶玉を使って降霊術らしきものを使っているようだ。

 

隣には灰色の小さなネズミ型モンスターが二本足で立っており、「仕方ないちゅよ。まずは地道な活動からちゅ」と降霊術を使っている人物に話しかけている。

 

 

「あれが犯人だね」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「よし! 突撃よ!」とラムが言い、「ナス美ちゃんの仇」とロムが続けて言う。

 

ネプギアを先頭に降霊術を使っている人物の前に飛び出すと、ネプギアが、「そこまでです! 今すぐ、その怪しい儀式を止めて下さい!」と叫ぶ。

 

 

「だ、誰だ!」

 

 

 座り込んでいた人物が立ち上がり、ネプギア達の方を向くと、「……やっぱりアンタだったのね、下っ端」とユニは呆れたように言う。

 

 

「げーっ! テメェ等は!」

 

 

 ネプギア達の登場に驚く下っ端。

 

以前に偽エルフに変装した本名【リンダ】である。

 

今は変装をしていないので、肌の色も灰色になっていた。

 

耳は元から少し尖っており、灰色の肌と合わさって、普通の人間とは少し違う印象を受ける。

 

 

「げげっ! 女神の妹ちゅ!」

 

 

 隣に居たネズミ型モンスターもネプギア達の登場に驚く。

 

 

「あー、悪者ネズミだー!」

 

 

 ラムがネズミ型モンスターを指差すと、「わるちゅーだっけ?」とロムが首を傾げながらネズミの名前を思い出そうとする。

 

 

「ワレチューだちゅ! ネズミ界のナンバー3アイドルのオイラの名前を忘れるなんて親の教育が行き届いていないちゅね」

 

 

 ネズミ型モンスターは自身を【ワレチュー】と名乗る。

 

ワレチューはリンダとコンビを組んでネプギア達と何度も戦いを繰り広げた犯罪組織の構成員。

 

 

「中古屋さんのアルバイトはどうしたんですか?」

 

 

 ネプギアがワレチューに尋ねる。

 

ワレチューは犯罪組織以外にも、【秘密結社アフィ魔X(マックス)】で悪事を働いており、その償いとして中古ゲームショップでアルバイトをさせられていた筈である。

 

 

「あんな時代遅れの店の定員なんか、やってられないちゅ。ゲームはタダで遊んでチートしてなんぼちゅ」

 

 

 ワレチューはそっぽを向いて答えると、「そんな……折角更生したと思ったのに……」ネプギアは悲しそうな顔をする。

 

 

「おしゃべりはそこまでよ。アンタ達文句無しの現行犯ね」

 

 

 ユニが下っ端に銃を向けると、ネプギアも気を取り直して、「ナスを愛する村人の心を利用した卑劣な犯罪を許すわけにはいきません」と下っ端達を糾弾する。

 

 

「おナスの呪いを解いて」

 

 

 ロムが強気に下っ端に言うと、「アンタのせいでナス美が死んだのよ! 責任取りなさいよ!」とラムが下っ端を責める。

 

 

「くそっ! テメェ等出てこい!」

 

 

 下っ端が大声を出すと奥から犯罪組織の残党が現れる。

 

 

「ぞろぞろと雑魚が出て来たわね」

 

 

 ユニが言うと下っ端は素早くロムと指差して、「まずはあの青いガキを狙え、アイツがヒーラーだ!」と残党達に指示を出す。

 

 

「えっ……(ぶるぶる)」

 

 

 震えて怖がるロムに対して、「「「「おー!」」」」」と残党が叫びを上げながらロムに向かって押し寄せる。

 

 

「やらせません!」

 

 

 しかし、ビームソードを構えたネプギアがロムのとの間に割って入る。

 

ネプギアは向かって来る残党達を次々と斬り伏せる。

 

残党は、数は多いが戦闘力はネプギアに及ばず700以上のダメージを受けて次々と倒れていく。

 

 

「り、リンダ様ーーー!」

 

 

 残党が下っ端に助けを求めると、「ちっ……だらしねぇな」と言いながら携帯端末を操作する。

 

 

「テメェの相手はコイツだ!」

 

 

 地面に西洋風の兜に胴鎧に小手や足甲などの鎧一式と斧が現れると、下っ端は、「コイツはとっておきだぜ」と言って水晶玉に何か呪文を唱える。

 

 

カタカタカタ……

 

 

 すると鎧がひとりでに動き出して人の形になる。

 

 

「リビングアーマー!」

 

 

 ネプギアが驚きの声を上げる。

 

【リビングアーマー】とは鎧に悪霊が憑依して動くものである。

 

この場合は下っ端が鎧に悪霊を憑けたのだろう。

 

 

「うごごご……」

 

 

 リビングアーマーが斧を取りネプギアに斬りかかると、「くっ」とネプギアはビームソードで鍔迫り合いに持ち込む。

 

 

「凄いパワー…」

 

 

 ネプギアはそう言いながらリビングアーマーとの鍔迫り合いを続けていると、「お前らは構わず青いガキを倒せ」と下っ端が残党達に指示を出す。

 

 

「おいらに続くっちゅ」

 

 

 ワレチューがそう言うと、「「「「おー!」」」」」と残党達がその後に続く。

 

ワレチューを先頭にした残党達はネプギアを大回りで避けてロムに向かって行く。

 

 

「ZOCを避けていく!?」

 

 

 ネプギアは自分のZOCの範囲を避けてロムに向かう残党に驚くと、「こっちは人間様なんだよ! モンスターとは頭のデキが違うんだよ!」と下っ端が得意そうに言うと、「お前たちの戦い方は解析済みっちゅ」とワレチューが誇らしげに言う。

 

ZOCには効果範囲があり、その範囲を抜けてしまえば普通に移動が出来る。

 

その為、ネプギアを大回りで避けていけば、移動距離は長くなるがZOCの効果によって足止めをされることがなくなるのだ。

 

 

「ロムちゃん、逃げるわよ」

 

 

 ラムがロムの手を引き逃げると、「追うっちゅ!」とワレチューが言い、「「「「うおーー!」」」」と残党達も勢いづく。

 

 

「へへっ、アタイ達の作戦勝ちだな」

 

 

 下っ端が余裕の表情を見せるが、「私達は負けません!」とネプギアがリビングアーマーとの鍔迫り合いに打ち勝つ。

 

 

「てやっ!」

 

 

 ネプギアがその隙にリビングアーマーに斬りかかる。

 

 

キンッ!

 

 

 しかし、リビングアーマーの鎧は固く刃が通らずダメージは0であった。

 

 

「はっはっは-! そいつはドワーフからパクッて来た神器だ! 武器も魔法も通らねぇよ!」

 

 

 下っ端が誇らしげに言うと、「うごー!」とリビングアーマーが斧を振り上げネプギアに襲い掛かる。

 

 

「くうっ!」

 

 

 185のダメージを受けて吹き飛ばされるネプギア。

 

HPゲージが三割程減少してしまう。

 

 

「パクるって、盗んで来たんですか? 何でそんな悪い事をするんですか!」

 

 

 ネプギアが下っ端を糾弾すると、「パクリは犯罪組織のお家芸だ。悪事は名誉の証! テメェとは価値観が違うんだよ」と下っ端が堂々と言う。

 

 

「があああ!」

 

 

 その間にもリビングアーマーが襲い掛かる。

 

 

「くっ! 光の矢よ敵を撃て! シャインアロー!」

 

 

 ネプギアは光属性の攻撃魔法を唱えると光の矢がリビングアーマーに向かって行く。

 

悪霊などには光属性の魔法が効果的なのだ。

 

 

カキンッ!

 

 

 しかし、光の弾は虚しくリビングアーマーの鎧に弾かれてしまう。

 

 

「無駄無駄無駄ァー! 神器だって言っただろ!」

 

 

 下っ端が勝ち誇ると、「うごーーー!」と雄叫びを上げてリビングアーマーがネプギアに斧を振り降ろしてくる。

 

 

「あうっ!」

 

 

 ネプギアは左手の魔法陣で防御をするが、それでも威力が強く132ダメージを受けて吹き飛ばされHPゲージが残り五割を切ってしまう。

 

 

「あーっははははは! ざまぁねぇな!」

 

 

 下っ端が可笑しそうに笑う。

 

 

「強い……でも、勝てない訳じゃない!」

 

 

 ネプギアは立ち上がるとフェンシングの構えを取る。

 

同時にビームソードの刀身部分が細長くレイピアのように変形する。

 

 

「ああん? なんだ、そのふざけた構えは? やっちまえ、リビングアーマー!」

 

 

 下っ端の指示でリビングアーマーが襲い掛かる。

 

 

「シルヴァーティル!」

 

 

 ネプギアがそう叫び、素早い連続突きでリビングアーマーを攻撃すると、「うごぉぉぉぉ!」とリビングアーマーが悲鳴を上げる。

 

先程までは0ダメージだったが、今度は合計で700以上のダメージが当たっている。

 

 

「な、なんだ! おい、神器なんだろ?」

 

 

 驚く下っ端に対して、「いくら鎧が強固でも隙間は生身の霊体です!」とネプギアが言う。

 

ネプギアの言う通り、リビングアーマーには関節などに僅かな隙間がある。

 

細長くなったビームソードで、その隙間を正確に突いて生身の霊体を攻撃したのだ。

 

なお、以前に倒したゴーストボーイ達の例もあるように、ゲイムギョウ界では霊体に対して物理攻撃が効かないと言うことは無い。

 

 

「はあああっ!」

 

 

 再びシルヴァーティルを繰り出すネプギア。

 

【シルヴァーティル】とはシルヴァーランドという国に伝わる細剣を使った剣技。

 

その国のお姫様が、男装の麗人となって悪人と戦う時に使った技がこれだと言われている。

 

それをネプギアが我流でビームソード用に習得したもの。

 

ネプギアのビームソードが鎧で覆われていない場所を正確に突く。

 

 

「があああ!」

 

 

クリティカルヒットで合計1200以上のダメージが当たって、再び悲鳴を上げるリビングアーマー。

 

 

「くそがっ! 相変わらず忌々しいガキだ!」

 

 

 下っ端はネプギアを睨みつける。

 

その頃ワレチューは森の中でロムを追っていた。

 

 

「追え追え! 追い詰めるちゅ!」

 

 

 ワレチューがそう叫ぶと、「ロムちゃん、向こうに逃げて!」と言ってロムとラムが二手に分かれる。

 

 

「そんな安直な分断作戦に引っ掛からないちゅ! 戦力分散の愚はしないちゅ。青い方だけを追うっちゅよ」

 

 

 ワレチュー達は構わずロムだけを追う。

 

 

 

***

 

 

 

 逃げていたロムが森を抜けて、草原に入ると突然足を止める。

 

 

「諦めたちゅか? その潔さに免じて一撃で倒してやるっちゅ!」

 

 

 ワレチューが大きくジャンプしてロムに飛び蹴りを食らわせようとすると、ロムが振り向き、「ロムちゃんだと思った? 残念ラムちゃんでしたーーー!」と言う。

 

ロムと思われていた人物は、青いコートを着たラムであった。

 

 

「ぢゅ!?」

 

 

 驚くワレチューに、「アイスハンマー!」とラムが叫ぶと手に氷の巨大なハンマーが現れる。

 

そして空中のワレチューを野球のボールようにフルスイングで叩く。

 

 

「ぢゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

 

 

 アイスハンマーの直撃を受けて吹き飛ばされたワレチューは、森の方に吹き飛ばされると木に当たって、985ダメージを受けるとズルズルと地面に落ちる。

 

 

「バッカじゃないの。途中でロムちゃんと帽子とコートを交換したのに気付かなかったの?」

 

 

 ラムはワレチューを思いっ切り見下すように言う。

 

ロムとラムは森の中の木陰に上手く隠れて、素早く衣装を交換したのだ。

 

こういうこともあろうかと、二人は早着替えの練習をしていた。

 

 

「ワレチュー様ー!」

 

 

 動揺する残党達。ワレチューは、「うぐっ……か、構うなちゅ! 敵は一人ちゅ! やっつけるちゅ!」と残党達に指示を飛ばすが、「ホントバカね。一人の訳ないでしょ」と、いつの間にかワレチューの後ろにはユニが仁王立ちしてた。

 

 

「ぢゅ~~!? いつの間に! 恐るべき影の薄さ!」

 

 

 ワレチューが飛び跳ねて仰天すると、「なんですって!」と気にしていることを言われカチンとくるユニ。

 

 

「こ、コイツはスナイパーちゅ。接近戦はできないちゅ」

 

 

 ワレチューが残党に指示を出すと、「ヒーラー狙いとかスナイパーは接近戦できないとか杓子定規も良いトコね」とユニは寄って来た残党に上段蹴りを食らわせる。

 

 

「グワーッ!」

 

 

 541ダメージを受けて吹き飛ばされる残党。

 

 

「ハンマーブゥゥゥゥゥメラン!」

 

 

 続けてラムがアイスハンマーを残党に向けて投擲すると、軌道上に居た残党達は800前後のダメージを受けて吹き飛ばされ、投擲したハンマーはブーメランのようにラムの手元に戻ってくる。

 

 

「雷破刃!」

 

 

 今度はユニが蹴り上げをすると、衝撃波が飛んで行き654ダメージを与えて残党を倒す。

 

 

「銃と魔法だけじゃないちゅか!?」

 

 

 ワレチューはユニとラムの武器と体術を使った戦いに驚くと、「アタシ、シーシャからテコンドー習ってるのよね」とユニが、「わたしはルウィーのハンマー投げの達人にハンマー投げを習ったんだから」とラムが得意そうに言う。

 

 

「テコンドーは飛び道具なんか出さないし、ハンマー投げも投げるハンマーが違うちゅ!」

 

 

 ワレチューが抗議をするが、「ゲイムギョウ界ではこれぐらい常識でしょ!」そう言うとユニが飛び上がり、「迅雷閃!」と叫ぶ。

 

ユニは急降下して残党に飛び蹴りを食らわせると同時に二段蹴りを叩き込み合計で1000以上のダメージを受けて残党が吹き飛ぶ。

 

 

「ラムちゃん、ホームラン!」

 

 

 ラムが左手から魔法の球を出すと、その球を野球のノックのように打つ。

 

打った球が残党に当たり、857のダメージを与える。

 

 

「何をしてるちゅ! 相手はガキ二人ちゅ! 数で押すちゅ!」

 

 

 ワレチューがそう言うと、残党達が一気に押し寄せる。

 

 

「穿雷転!」

 

 

 ユニが風車のような側転蹴りを、連続を繰り出すと、ラムは「シュツルム・ウント・ドランクーーーー!」とハンマーを持ちながら、体の軸を中心にコマのように超速回転し相手に体当たりをする。

 

向かって来た残党は、縦回転するユニと、横回転ラムに1500以上のダメージを受けて次々と蹴散らされて行く。

 

 

「ちゅ! もう全滅ちゅか!」

 

 

 あっという間に全滅してしまった残党に驚くワレチューは、「お、おかしいちゅ! こんなハズはないちゅ! 計画は完璧だったハズちゅ!」と続ける。

 

すると、「わたし達が、ロムちゃんが狙われた時のこと考えてないとでも思った?」とラムが自信満々に言う。

 

 

「その上、自分達から作戦バラすなんて、マヌケもいいところね」

 

 

 ユニが続けてワレチューを馬鹿にするようにそう言うと、「ぬ、盗み聞きとは卑怯ちゅ!」とワレチューが抗議するが、「大声で言ってたクセに何言ってるのよ」とユニは冷ややかにツッコミを入れる。

 

 

「残りはアンタだけよ」

 

 

 ラムがワレチューを指差すと、「ネズミにも意地があるっちゅ!」とワレチューはラムに飛び掛かり噛み付く。

 

 

「いたっ!」

 

 

 ラムは155ダメージを受けるとうずくまってしまう。

 

HPの低いラムはHPゲージが七割近く減ってしまう。

 

 

「ラム!」

 

 

 ユニが心配そうに声を掛けると「……うっ……毒っ……」とラムが苦しそうに言う。

 

ワレチューの攻撃には毒の追加効果があったようだ。

 

 

「ふっふっふ……毒牙ちゅ。オイラの実力を甘く見たちゅね」

 

 

 ワレチューが誇らしげに言うと、「次はお前ちゅ」とワレチューがユニを指差すが、「ちりょうするよ」と後ろから声がする。

 

するとラムのHPが全快して毒の状態異常が除去される。

 

 

「助かったわ。ありがとうロムちゃん」

 

 

 ラムは元気よく立ち上がると、「大丈夫ラムちゃん」と言ってラムのコートを着たロムが現れる。

 

ラムを治したのは森に隠れて戦況を見守っていたロムであった。

 

 

「ぢゅーーー! ヒーラーのガキ!?」

 

 

 ショックを受けるワレチューに、「わたしのこと忘れてたなんて、やっぱり頭悪いね」とロムはワレチューをからかうように言う。

 

 

「さて、どうする?」

 

 

 ユニ、ロム、ラムがワレチューを囲むと、「ぢゅー……これぞ袋の中の鼠ちゅ……」と怯えるワレチュー。

 

 

「何度も悪い事してるから許しちゃダメだよね」

 

 

 一番の穏健派と思われるロムが、一番に口を開くと、「そうよね。【ホットケーキも三個まで】って言うし」とラムが言うと、「それを言うなら、仏の顔も三度までよ」とユニがツッコミをする。

 

 

「こうなったら、窮鼠猫を噛むちゅーーー!」

 

 

 破れかぶれで、ロムに飛び掛かろうとするワレチュー。

 

 

ぐしゃっ!

 

 

「そう? それがアンタの答えなの?」

 

 

 ユニはワレチューを容赦なく踏み潰す。

 

 

「て、テコンドーは下段蹴りは反則ちゅよ……」

 

 

 踏まれながらワレチューが抗議すると、「あら? 良く知ってるわね。でも残念、それは競技の話。実戦、しかもアンタ達みたいな犯罪者相手ならどんな攻撃でも使うわ」とユニが冷たい声で言い放つ。

 

 

「ちょ……ちょっとした茶目っ気だちゅ~~~~! 他愛のない小ネズミちゃんのイタズラちゅよ! やだなあ! もう~~! 本気にしたちゅか?」

 

 

 ユニに踏まれながら苦し紛れの言い訳をするワレチュー。

 

 

「もうアンタには何も言うことはないわ。とても哀れすぎて何も言えないわね」

 

 

 ユニはワレチューの頭を掴み宙に放り投げる。

 

 

「エンプレスダンス!」

 

 

 空中のワレチューにユニの怒涛の連続蹴りがフルヒットする。

 

【エンプレスダンス】はユニの蹴りの必殺技。

 

 

「ぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅ!?」

 

 

 なす術もなく悲鳴を上げるワレチューは、1125ダメージを受けて、トドメの回し蹴りを食らい森の中に吹き飛ばされると、また木に当たり、ズルズルと地面に落ちてくる。

 

 

***

 

 

 ユニ達がワレチューを撃退した頃、ネプギアはリビングアーマーとの一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

 

「あーーーー! テメェは本当にイラつくなぁ!」

 

 

 下っ端は、ネプギアがなかなか倒せないことに怒りを巻き散らす。

 

 

「シャイニング・シルヴァーティル!」

 

 

 ネプギアのシルヴァーティルの連続突きがリビングアーマーの鎧の隙間に的確に突き刺さる。

 

【シャイニング・シルヴァーティル】は光属性を纏った突きで連続攻撃する光属性と突属性の同時攻撃。

 

鎧の隙間を狙う突攻撃と悪霊の弱点である光属性はリビングアーマーに効果的な攻撃だ。

 

 

「ぐおおおお!」

 

 

 合計で800以上のダメージを受けて、リビングアーマーが悲鳴を上げる。

 

 

「ぬぉぉぉぉ!」

 

 

 怒ったリビングアーマーはお返しと言わんがばかりに、ネプギアに向けて斧を振り下ろす。

 

 

「見切っています」

 

 

 avoid。ネプギアは軽く横ステップを踏み最小限の動きで斧を避けると、攻撃態勢を整えて「ルミナ・アージェント!」と叫ぶと今までの連続突きではなく、力を籠めた素早い突きの一撃をリビングアーマーの隙間に突き刺す。

 

 

「ぐああああああ!!」

 

 

 リビングアーマーは一際大きな悲鳴を上げると945のダメージを受ける。

 

 

「もう一発!」

 

 

 ネプギアはそう言うと突き刺したレイピア状のビームソードを引き抜き、「ルミナ・プルマージュ!」と叫んで、先程と同じく力を籠めた突きの一撃をリビングアーマーの隙間に突き刺す。

 

 

「ぬがあああああ!!」

 

 

 リビングアーマーは再び大きな悲鳴を上げると、今度は1105のダメージを受ける。

 

【ルミナ・アージェント】はシルヴァーランドのお姫様が使った高速の突きの必殺技。

 

【ルミナ・プルマージュ】はお姫様の恋人である王子様が使った、威力を重視した突きの必殺技。

 

ネプギアはこの二つの技も習得していたのだ。

 

 

「ちぃぃぃ! 根性見せろ! リビングアーマー!!」

 

 

 下っ端がそう叫ぶと、リビングアーマーは先程より素早く斧での横薙ぎを繰り出してくる。

 

 

(避けられない!)

 

 

 そう思ったネプギアは左手に防御の魔法陣を張るが、リビングアーマーの斧の威力は強く152のダメージを受けると吹き飛ばされてしまう。

 

 

「よっしゃ! そのまま畳み掛けろ!」

 

 

 下っ端は嬉しそうに飛び跳ねると意気揚々とリビングアーマーに指示を出す。

 

リビングアーマーはネプギアにトドメを刺すべく近寄ってくる。

 

 

「くぅぅ……」

 

 

 苦しそうな表情のネプギア。

 

HPは残り三割を切ってしまう。

 

しかし、ネプギアの目にはまだ生気が輝いており、周囲には薄紫色のオーラが発生していた。

 

ガッツが発動したのである。

 

 

「はあああああ!!」

 

 

 ネプギアが先程よりも速く走り、リビングアーマーに接近すると、華麗なステップでリビングアーマーを翻弄する。

 

 

「ぐああああ!」

 

 

 リビングアーマーは何度も斧を振り回すが、一発としてネプギアには当たらなかった。

 

ガッツにより回避力が上がったネプギアに対してのリビングアーマーの命中率は10%前後しかないようだ。

 

 

「シャイニング・シルヴァーティル!」

 

 

 ネプギアは華麗な回避から踊るように連続突きを繰り出すと、細いビームソードは的確に鎧の隙間に当たる。

 

ガッツによる攻撃力アップに加えクリティカル率も上がったので、クリティカルヒットで合計1500近いダメージが当たる。

 

繰り出されたリビングアーマーの攻撃も、ひらりと躱すと素早く、「ルミナ・アージェント!」と高速の突きを繰り出して、又もクリティカルヒットで1735のダメージを与える。

 

 

「ぬがーーー!」

 

 

 リビングアーマーは悲鳴と共に周囲に赤いオーラが漂う。

 

リビングアーマーもHPが減少してガッツが発動したのだ。

 

 

「うごーーーー!」

 

 

 リビングアーマーが斧を振り下ろす。

 

ガッツが発動したことにより今までにない鋭い一撃で、(……避けきれない)と感じたネプギアは咄嗟に左手の魔法陣で受け止めるが、135のダメージを受けてしまう。

 

 

「くっ……」

 

 

 片膝を着くネプギア。

 

HPの残りはあと一割にも満たなかった。

 

 

「よっしゃ! 今度こそ押し切れリビングアーマー! その綺麗な顔をぐちゃぐちゃにしてやれ!」

 

 

 下っ端がいきり立ってそう叫ぶと、リビングアーマーはネプギアに突撃してくるが、ネプギアはひらりと躱すと、素早いバックステップでリビングアーマーとの距離を取る。

 

いくらリビングアーマーガッツが発動したとしても、その命中率は30%前後であり、そうそう連続で当たるものではない。

 

 

「ヒール!」

 

 

 ネプギアは安全な距離を確保すると回復魔法を唱えて、HPを三割まで回復させると再びリビングアーマーに向かって行く。

 

フェンリル戦でも見せたガッツの発動を狙って必要最小限のHPの回復のみで戦う戦法だ。

 

一歩間違えば倒されてしまうが、ネプギアは勇気を振り絞ってリビングアーマーに向かって行く。

 

 

「うごーーーー!」

 

 

 

 ネプギアを迎え撃つリビングアーマー。

 

お互いガッツの発動している二者の戦いは拮抗しており、ネプギアはリビングアーマーと堅実な戦闘をしていた。

 

シルヴァーティルなどで地道にダメージを与え、こっちがダメージを受けたらすぐに回復する。

 

 

「回復なんか使ってんじゃねえ!」

 

 

 下っ端が大声で怒鳴る。

 

ネプギアの堅実な戦い方が彼女の癪に障ったようだ。

 

 

「もういい! アタイが直接ぶちのめす!」

 

 

 下っ端はリビングアーマーに加勢するように前進する。

 

モンスターとは頭の出来が違うらしいが、ネプギアのヘイトコントロールにはまんまとハマってくれたようだ。

 

 

ガシャン!

 

 

 その直後に下っ端の後ろでガラスが割れるような音がする。

 

 

「……がしゃん?」

 

 

 下っ端は思わず後ろを振り向くと そこには大きな生き物を模した白い帽子を被った、身長110センチ程度で茶色い髪と瞳を持った少女が立っていた。

 

その少女は持っていた杖で降霊術に使っていた水晶玉を叩き割っている。

 

 

「ああああああ! テメェなにしやがる!」

 

 

 血相を変えて怒鳴る下っ端に、「水晶玉を壊しましたの」と少女は素直に水晶玉を破壊したことを告げる。

 

 

「このガキがーーー! まだローンが残ってるんだぞ!」

 

 

 下っ端は少女に襲い掛かると、「てやーーーーーーー!」と声がして、木の上から誰かがジャンプをしてくると、下っ端に向かって飛び蹴りで襲い掛かる。

 

 

「ぐふっ!」

 

 

 蹴り飛ばされて尻もちをつく下っ端。

 

飛び蹴りをした人物は着地すると、「正義のヒーロー日本一! 只今参上!」と叫ぶと特撮ヒーローのようなポーズを決める

 

青い髪に青い瞳を持った黒いライダースーツを着て赤いマフラーを付けた女性だ。

 

 

「日本一さん、それにがすとさんも!」

 

 

 ネプギアが二人の女性の名前を呼ぶ。

 

【日本一】と【がすと】はファルコムと同じく過去の犯罪組織との戦いの時にネプギアに力を貸してくれた人物。

 

日本一はゲイムギョウ界の平和を守る為に戦う正義のヒーロー。正義感が強く熱血な性格をしている。

 

がすとは旅の錬金術師。幼い外見に見合わず優秀な錬金術師でお金が大好きで商魂たくましい。

 

 

「アタシが来たからにはもう大丈夫!」

 

 

 ネプギアの声に日本一は力強いサムズアップで答え、「お久しぶりですの」とがすとは丁寧に一礼する。

 

 

「オオオォォォォ……」

 

 

 突如リビングアーマーが苦しそうな呻き声を上げると膝を折って崩れ落ちる。

 

 

「え? どうしたの? アタシまだ何もしてないよ」

 

 

 慌てる日本一に、「水晶玉を壊せば悪霊は消滅するって教えましたの」と、がすとが説明をする。

 

 

がちゃん! がちゃん!

 

 

 がすとの説明通り、悪霊の消えたリビングアーマーは鎧だけになり地面に落ちる。

 

 

「えー? 悪の怪人はヒーローの必殺技で倒されるべきだよ」

 

 

 不満そうな日本一に対して、「そんなの知りませんの」とがすとは冷静な対応をする。

 

日本一は特撮ヒーローマニアで彼女なりのこだわりがあるらしい。

 

 

「お二人とも相変わらずですね」

 

 

 ネプギアは、以前と変わりない日本一とがすとに微笑む。

 

 

「待てー! 逃げるなー!」

 

 

 遠くからラムの大声が聞こえてくると、「ぢゅ~~~……失敗したっちゅ~」とフラフラになったワレチューが現れ、日本一のキックで尻もちをついた下っ端に背中合わせにもたれ掛かる。

 

 

「げっ……ヤ、ヤベェ! 逃げるぞ!」

 

 

 リビングアーマーとワレチューの敗北で自らの危機を悟った下っ端は慌てて逃げだすと、「ま、待つちゅ~」とその後を追うワレチュー。

 

 

「あっ! 今日こそは逃がさないぞ!」

 

 

 後を追う日本一。

 

ネプギアとがすとも一緒に追いかける。

 

しかし、下っ端達は逃げ足だけは超一流で見失ってしまう。

 

 

「相変わらず逃げ足だけは速いですの……」

 

 

ガッカリするがすと。

 

 

「あら? 日本一にがすと?」

 

 

 そこにユニが追い付くと、日本一とがすとの存在に気付く、「わー! 久しぶりー!」とラムが挨拶すると、「すごい久しぶり」とロムがそれに続く。

 

 

「わ、女神様が勢揃いだね」

 

 

 日本一がそう言うと、「正確には女神候補生ですの」とがすとが返す。

 

 

「みんな大丈夫だった?」

 

 

 ネプギアがユニ達にそう尋ねると、「当たり前でしょ。アタシ達があんなネズミに負ける訳ないじゃない」とユニが腕を組みながら言うと、「わたしのハンマーとユニちゃんのケッコンドーで蹴散らしてあげたわ」とラムが元気よく左手を上げながら言う。

 

 

「ケッコンドー? 花嫁修業とか?」

 

 

 ネプギアがそう言って首を傾げると、「テコンドーよ」とユニが訂正する。「ユニちゃん、あれいつの間に覚えたの?」とロムが質問すると、「シーシャが教えてくれたのよ。アタシの声がテコンドーに向いてるって言って」とユニが答える。

 

 

「声で……? 声でテコンドーの才能とか分かるの?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに首を傾げてそう言うと、「知らないわよ。蹴り技主体だから銃を持ちながらでも使えるから結構役に立つわ」とユニが答える。

 

 

「ネプギア達はどうして、こんな田舎に来てるですの?」

 

 

 がすとがネプギア達にそう質問すると、ネプギア達はルートビルド計画のことを日本一とがすとに説明をした。

 

 

「なるほどー、女神様も色々仕事があって大変なんだね」

 

 

 日本一がそういうと、「お二人もクエストですか?」とネプギアが日本一とがすとに尋ねる。

 

 

「似たようなものですの」

 

 

 がすとがそう答えると、「アタシ達はドワーフの族長から神器を取り返すようお願いされたんだ」と日本一が続く。

 

 

「神器って、あのリビングアーマーの鎧と斧ですか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「そうですの。ネプギアのおかげで無事に回収できましたの」とがすとが言い、「囮に使うようなことしちゃってゴメンね」と謝る日本一。

 

どうやら日本一とがすとはネプギアと下っ端の様子を伺っていて、水晶玉を壊すチャンスを待っていたようだ。

 

 

「いえ、日本一さんとがすとさんの判断は正しいと思います。おかげで助かりました、ありがとうございます」

 

 

 ネプギアがそう言って丁寧に頭を下げてお礼を言うと、「ほら、ネプギアも正しいって言いましたの。日本一はもっと頭を使うですの」とがすとが言うが、「でも、ヒーローは正々堂々正面から戦うものだよ」と日本一は口を尖らせる。

 

ネプギアが戦っている時、日本一は直ぐにネプギアの元に駆け付けようとしたが、がすとが止めたのだろう。

 

 

「こんなところで立ち話もなんですし、一緒に村に行きませんか? アイエフさんやファルコムさんも居ますよ」

 

 

 ネプギアが提案すると、「そうなんだ。アタシも久し振りにみんなに会いたいな」と日本一が言い、「何か売れればいいですの」とがすとは言う。相変わらず商魂たくましいようだ。

 

 

***

 

 

「と、言うことで下っ端には逃げられてしまいましたけど、降霊術に使っていた水晶玉は壊しました」

 

 

 村長の家まで戻ったネプギア達は、下っ端達を撃退したことをイストワールと村長に伝えていた。

 

 

「なるほど、事情はわかりました」

 

 

 イストワールが頷くと、「あのネズミ……また悪さを始めたのね」とアイエフが呆れ、「どうして悪いことするんでしょうか……」とコンパは落ち込んでしまう。

 

ネプギア達が下っ端達を撃退したことにより、ナスも悪霊から解放されたのでイストワール達は村長の家で待機をしていたのだ。

 

 

「下っ端とワレチュー以外は、全員捕まえたから後で回収しといて」

 

 

 ユニがそう言うと、「わたし達が縛ったのよ、全員ちまきにしてあげたわ」とラムが、「うん、ちまき(ぐるぐる)」とロムが言うが、「それを言うなら簀巻きよ」とユニがツッコミを入れると、「ちまきは子供の日に食べる、お餅のことだよ」とネプギアが説明する。

 

 

「子供の日は柏餅じゃないの?」

 

 

 ラムがそう質問すると、「地域によって違うらしいよ」とネプギアが答え、「なるほどー(ふむふむ)」とロムが頷く。

 

 

「……もうナスの心配はないんでしょうか?」

 

 

 村長は一番の心配事であるナスのことを尋ねると、「心配ありませんの。もし心配なら、がすと特製の魔除けの札をお売りしますの」とがすとが村長に答えながらも商売を始める。

 

 

「……相変わらず商魂たくましいわね」

 

 

 アイエフがそう言いながら呆れると、ファルコムが、「日本一も久しぶりだね。相変わらず平和を守る為に戦っているのかい?」と日本一に尋ねる。

 

すると日本一は、「うん、がすとと一緒に平和を守る旅をしていて、今はドワーフの里でお世話になってるんだ」と答える。

 

 

「ドワーフさんですか?」

 

 

 コンパが首を傾げると、「ドワーフは背が低いけど屈強で鍛治が得意って言われる種族だね」とファミ通がコンパに説明をする。

 

 

「あと、お酒が大好きなんだよね」

 

 

 日本一がファミ通の説明に追加をすると、「おかげで、がすとのお酒がバカ売れですの」とがすとが嬉しそうに言う。

 

 

「錬金術ってお酒も造れるの?」

 

 

 ユニが質問すると、「作れますの。がすとの錬金術で作るお酒は最高品質ですの」とがすとは自信満々に言う。

 

 

「そういえば、お二人はドワーフの神器を取り返しに来たんですよね」

 

 

 ネプギアが質問すると、「そうだよ。アタシとがすとがお酒の材料を採取しに行っている間に、下っ端達が忍び込んでドワーフのお酒に睡眠薬を混ぜて眠らせている間に盗み出したんだよ」と日本一が詳細な事情を説明してくれる。

 

 

「お酒に睡眠薬を混ぜるなんて非常識ですの。そんな危険な合成、錬金術師としても許せませんの」

 

 

 がすとが珍しくお金のこと以外のことで憤る。

 

 

「こっちの二人は初めましてかな。アタシは日本一よろしく!」

 

 

 日本一がそう言いながら、ファミ通とプラエに挨拶すると、「がすとですの。錬金術の道具が欲しかったら何時でも言って欲しいですの」とがすとが続く。

 

 

「ファミ通だよ。ネプギア様達の取材をしてる記者なんだ、よろしく」

 

 

 ファミ通が挨拶を返すと、「プラエ=パピリオです。よろしくお願いします」とプラエもしっかりと挨拶を返す。

 

 

「いえーーーーい! おナスいっぱい貰ったよー!」

 

「大漁(もりもり)」

 

 

 そこにロムとラムがドアを開けて飛び込んで来る。

 

その背にはカゴを背負っており、中には大量のナスが入っていた。

 

 

「どうしたの? そのナス?」

 

 

 ユニが大量のナスに驚くと、「ナス美が可哀想だから、わたしとロムちゃんで食べてあげるって言ったら、農家のおじさん達がいっぱいくれたの」とラムが言い、「まだまだあるよ(どっさり)」とロムが嬉しそうに言う。

 

 

「おおっ! 女神様はなんて慈悲深いんだ……傷物になったナス美をめとってくれるなんて」

 

 

 村長が感動すると、「女神がめとるって変じゃない?」とツッコミを入れるユニに、「まあ、それは言葉のあやと言うことで……」とフォローを入れるネプギア。

 

 

「これは沢山あるね。インベントリにも収まらないんじゃないかな」

 

 

 外に置いてあった残りのナスを見てファミ通が驚くと、「入らない分は車に載せていきましょ」とアイエフが答える。

 

 

「こんなに貰っちゃっていいんですか?」

 

 

 ネプギアが村長に確認すると、「私共の感謝の気持ちです。お受け取り下さい」と村長が答える。

 

 

「ネプギアさん、快く受け取りましょう」

 

 

 イストワールの言葉に、ネプギアは、「はい」と頷き、「ありがとうございます」と村長に頭を下げてお礼を言う。

 

 

「それでは私達はそろそろおいとましましょう」

 

 

 イストワールが言うと、「日本一とがすとはどうする? 私達車だから送るわよ」とアイエフが日本一とがすとに言うと、「ホント! ありがとう」と日本一が喜び、「助かりますの」とがすとも喜ぶ。

 

 

***

 

 

「ぎゃーーーーーー! なになになに!? この大量のナスは!? みんながわたしを全力で殺しに来てるぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

 

 

 インベントリに入らなかったナスを、籠に背負って車に戻ったネプギア達に対して絶叫を上げるネプテューヌ。

 

 

「そう言えばネプ子が居たわね……」

 

 

 アイエフが思い出したかのように言うと、「これは村の人達にお礼で貰ったんだよ」とネプテューヌに説明をするネプギア。

 

 

「えー! そんなのありがた迷惑だよー!」

 

 

 ネプテューヌが抗議する。

 

確かにネプテューヌにとってはありがた迷惑である。

 

 

「しかし、村人達の感謝の気持ちをつき返す訳にもいきませんし」

 

 

 困り顔のイストワールに対して、ネプテューヌは不満顔で、「もぅやだぁ~! ネプ子、おうちにかえる~!!!」とバタバタと駄々をこねる。

 

 

「ねぷねぷ~、いい子ですから泣かないで~」

 

 

 それをあやすコンパ、まるで幼児と母親である。

 

 

「こんなナス臭い田舎は、わたしみたいな洗練されたシティーガールに似合わないし~」

 

 

 ネプテューヌは口を尖らし不貞腐れると、「目立つのはもういいんですか~?」とコンパがネプテューヌに確認する。

 

すると、「うん、よく考えると、わたしのような主人公オブ主人公のデビューはこんな地味な田舎じゃないよね」とネプテューヌが言う。

 

 

「と、言うことでわたしは重力10倍の部屋でトレーニングしてるって設定でヨロシク! 次回登場するときはレベルマックスの完全体で現れるから!」

 

 

 ネプテューヌはVサイン作って言うが、「設定ってなによ……実際には何をするつもりなの?」とアイエフが質問すると、「愚問だなー。ゲームで遊んでるに決まってるじゃん」とネプテューヌが自信満々に言う。

 

 

「そんなことだろうと思ったわ……」

 

 

 アイエフが頭を抱えて呆れながら言うと、「いやー、一度豪遊の味を知っちゃうと抜け出せないよね。気が付けば豪遊っ! ネプテューヌ、毎日豪遊!」とネプテューヌが楽しそうに言う。

 

イストワールのお説教を受けずに、自由気ままに出来る今の生活が気に入ってしまったらしい。

 

 

「ねぷねぷ、本当にお仕事してないみたいです~」

 

 

 コンパがそう言うと、「いいんですか? イストワール様」とアイエフがイストワールに質問する。

 

 

「職員への引継ぎは済ませてあります。暫くは保てるでしょう」

 

 

 イストワールは落ち着いて質問に答えると、「お姉ちゃん、本当に行っちゃうの?」とネプギアが不安そうにネプテューヌの右手を掴んで引き留める。

 

 

「大丈夫。ネプギアはわたしと違って田舎娘の才能があるから、こーゆー泥臭い場所での地味なクエストがピッタリだよ」

 

 

 ネプテューヌの励ましに、「え、えーと、ありがとうお姉ちゃん」と微妙な顔をするネプギア。

 

 

「そういうことで、わたし帰るから」

 

 

 ネプテューヌはそう言ってアイエフのバイクの後ろに乗る。

 

アイエフは、「ネプ子……アンタ本当に何しに来たのよ。全然役に立ってないじゃない」と溜息を吐くと、ネプテューヌは俯いてしまう。

 

 

「え? 何よ、らしくないじゃない……調子狂うでしょ」

 

 

 アイエフはネプテューヌの予想外の反応に慌ててしまう。

 

 

「ネプ子さんは役に立ったんですよね……」

 

 

 ネプテューヌはさめざめとした口調でそう言うと、突然顔を上げ、「何か直接の手柄はなくても、ネプ子さんはプラネテューヌの糧になったんですよね!」と訴えるように叫ぶ。

 

 

「は?」

 

 

 アイエフは訳が分からないと首を傾げるが、ネプテューヌは続けて、「もちろん……いや……今回のクエストで我々は……いや、今回も……くっ……」と男性風の口調で喋ると、「何の成果も得られませんでしたぁぁ!!」と絶叫する。

 

 

「いーすんが無能なばかりに、ただいたずらにネプ子さんを死なせ、シェアを上げることが、できませんでしたぁぁ!!」

 

 

 ネプテューヌが続けて叫ぶと、「誰が無能ですか!」とイストワールが大声で抗議する。

 

 

「ねぷねぷ、楽しそうですー」

 

 

 コンパが嬉しそうに言うと、「心配して損したわ」とアイエフが言いながらバイクに跨ると、「私、ネプ子を連れてプラネテューヌに帰るわ」と言ってバイクのエンジンをかける。

 

 

「お願いします」

 

 

 ネプギアがアイエフにお願いをすると、アイエフはネプテューヌを乗せてバイクで走り去る。

 

 

「ネプテューヌちゃん、本当に全然役に立たなかったね」

 

 

 ラムがズバリとそう言うと、「お姉ちゃんは本気を出してないだけだよ。本気を出したお姉ちゃんは凄いんだから」とネプギアが自慢気に言う。

 

 

「えー? 本当ー?」

 

 

 ラムが疑わしそうな視線でネプギアを見るが、「本当だよ」とネプギアが譲らない、「ネプギアの皮かむりじゃないの?」ラムが言うと、「「ぶっ!?」」とファミ通とファルコムが吹き出す。

 

 

「どーしたの二人とも?」

 

 

 ラムはキョトンとした顔でファミ通とファルコムを見ると、「ら、ラム様、そこは買い被りじゃないですか?」とファミ通が言い、「そうそうそれそれ」とラムが言うと、ファルコムは、「ほっ……」と胸を撫でおろす。

 

 

「買い被りなんかじゃないよー。お姉ちゃん本当に強いんだからー」

 

 

 ネプギアが少し拗ねたように言うと、「確かに強いことは認めるけど、アタシのお姉ちゃんの方が凄いんだから」とユニが言い、「わたし達のお姉ちゃんはもっと凄いよ」とロムが言う。

 

女神候補生達は暫く姉自慢で談笑を続けるが、「ぎあちゃーん、そろそろ行くですよー!」と車に乗ったコンパがネプギアを呼ぶと、「はい」とネプギアが言って、女神候補生達は車に乗り込む。

 

 

***

 

 

 ネプギア達は日本一とがすとを送る為に、コンパとファミ通の車でドワーフの里に向かっていた。

 

 

「この辺にドワーフが住んでるの?」

 

 

 ファミ通が運転しながら助手席に座るがすとに尋ねると、「そうですの。この先に地下への入口がありますの」とがすとが質問に答える。

 

 

「地下?」

 

 

 ユニが首を傾げると、「ドワーフは地下に洞窟を掘って暮らしているんだよ」と日本一が説明をする。

 

 

「へー、そうなんだ」

 

 

 ラムが興味を示すと「どんなところなんだろう? 見てみたい(わくわく)」とロムも興味津々のようだ。

 

 

「折角だから、みんなも来なよ。みんなならドワーフも歓迎してくれるし、何より神器を取り戻せたのはみんなのお陰だからね」

 

 

 日本一が提案すると、「いいね。あたしもドワーフに興味あるし」とファルコムが賛成する。

 

 

「賛成、さんせー!」

 

 

 ラムが両手を上げて賛成すると、「行きたい」とロムも両手を上げて賛成する。

 

 

「でしたら、車はこの先の駐車場に止めて欲しいですの」

 

 

 がすとがファミ通に案内をする。

 

コンパとファミ通は、がすとの指定した駐車場に車を停めた。

 

しばらく歩くと大きな洞窟があり、「この洞窟だよ」と日本一が先導する。

 

日本一とがすとの案内で地下へと続く階段を降りるネプギア達。

 

 

「おおー! ここがドワーフの里なんだー」

 

 

 ラムがそう言って目を輝かせると、「秘密基地みたい(わくわく)」とロムも同じように目を輝かせる。

 

 

「着いたよ」

 

 

 日本一がそう言うと、階段が終わり、目の前にはアリの巣のような洞窟が広がっていた。

 

所々に灯りや扉などの人工物があり生活感がある。

 

 

「アタシが族長に報告してくるから、がすとはみんなを客室に案内して」

 

 

 日本一がそう言うと、「わかりましたの」とがすとが言い、ネプギア達はがすとの案内で20畳程の部屋に円卓と椅子のある客室に案内される。

 

 

 

***

 

 

 

 椅子に座り暫く待っていると、扉が開き、小柄だが白くて長いヒゲを蓄えた筋肉質の老人が入って来る。

 

 

「ワシはドワーフの族長ホルランド。神器を取り戻してくれたこと感謝する」

 

 

 老人は椅子に座りネプギア達に自己紹介をすると同時に感謝の言葉を述べる。

 

 

「いえ、こちらも人間がご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 

 

 イストワールは、【下っ端達の盗難】を人間全体での迷惑と、とらえて謝ると、「ええってええって……人間にはとことん悪いヤツがいるが、その代わりとんでもない善人もおるからな」とホルランドが言う。

 

彼は人間が盗難をしたことで人間全てが悪いと思い込んではいないようだ。

 

 

「日本一やがすとには世話になっておるし、人間全てが悪い訳じゃないのは分かっとる」

 

 

 ホルランドはそう言うと長いヒゲをいじりながら、「ところで、女神様がいると聞いたが……どこにいるんじゃ? 女ばっかりで分からん」と言って首を傾げる。

 

 

「あ、私です」

 

 

 ネプギアがそう言って椅子から立ち上がると、「アタシもよ」とユニが、「……わたしも」とロムが、「わたしもよ」とラムが言って同じように立ち上がる。

 

 

「ふむ……嬢ちゃん達みたいな子供が女神様なのか?」

 

 

 ホルランドがそう質問すると、「まだ候補生ですけど」とネプギアが質問に答える。

 

 

「候補生か……だからこんな僻地に来ておるのか?」

 

 

 ホルランドは首都から離れたこの地に女神がいることを疑問に思ったが、候補生と言うことで納得したようだった。

 

 

「はい、後学のためにここで開拓のお仕事をしているんです」

 

 

 ネプギアがホルランドの言葉に答えると、「開拓か、人間は相変わらず利便性を求めることに貪欲じゃな」とホルランドは感心したように言う。

 

 

「どんよく?」

 

 

 ロムが首を傾げると、「すごく欲が深いことだよ」とネプギアが答える。

 

 

「えー! おじいちゃん悪口言うの?」

 

 

 ラムが口を尖らせると、「この場合悪い意味じゃないわ。便利にしようっていう欲を叶えるために一生懸命ってことよ」とユニがラムに説明をする。

 

 

「まぁ、多少は皮肉も入っておる。気を悪くしたなら謝ろう」

 

 

 ホルランドは素直に言うと、「そんなことないです。人間が技術の進歩に貪欲なのは本当のことですから、私も本当に凄いなって思う人がいっぱい居ますし」とネプギアが言うと、「ハングリー精神が高い人って感心するわ」とユニが答える。

 

ネプギアとユニはホルランドの言葉を好意的に受け取っていた。

 

 

「そうじゃ、神器を取り返してくれた礼がまだだったな。これを受け取ってくれ」

 

 

 ホルランドはそう言うとダイヤモンドなど様々な宝石でちりばめられた豪奢な銀色の首飾りを差し出す。

 

 

「わわわ! こんなの受け取れませんよ」

 

 

 慌てて両手振って辞退するネプギアに、「なんじゃ、女神様は光り物は嫌いなのか?」とホルランドは心底不思議そうに首を傾げる。

 

 

「そうじゃなくて、こんな高価な物受け取れません」

 

 

 ネプギアはホルランドに説明をすると、「遠慮することはないぞ。ワシ等の感謝の気持ちだ」とホルランドはネプギアに首飾りを押し付ける。

 

 

「感謝の気持ちだけで十分です。それに困っている人を助けるのは女神として当然のことですから」

 

 

 ネプギアは首飾りを丁寧にホルランドに返すと、「ふうむ……女は光り物なら喜ぶと思ったワシが安直だったか」とホルランドは残念そうに言う。

 

 

「いえ、素敵な首飾りだと思います。彫刻も綺麗ですし宝石のセンスも凄く良いと思います」

 

 

 ネプギアは残念そうなホルランドを慰めるように言うと、「そうじゃろ、ワシの自信作じゃ」褒められたホルランドは嬉しそうに言う。

 

 

「だから、私達じゃなくてホルランドさんの大切な人に贈って下さい」

 

 

 ネプギアはホルランドにそう言うと、「ウム! わかった」ホルランドは力強く頷く。

 

 

「わかって貰えて嬉しいです」

 

 

 ネプギアはホッと一息つくが、「今回の礼も兼ねて、ワシ等ドワーフは嬢ちゃん達の開拓に協力しよう」とホルランドは突然立ち上がり宣言をする。

 

 

「え? どういうことですか?」

 

 

 ネプギアはホルランドの発言が理解できなかったようだ。

 

 

「なあに、ワシ等にかかれば開拓などあっという間じゃわい」

 

 

 ホルランドはネプギアの質問には答えず自信満々に腕組みをするが、「えっと……どうして協力してくれるんですか?」とネプギアは自分の疑問に答えてくれないホルランドに再度に質問する。

 

 

「ワシが嬢ちゃんのことを気に入ったからじゃ」

 

 

 ホルランドは白いヒゲをいじりながらネプギアに答えると、「私、なにか気に入られることしましたか?」とネプギアは心底分からない顔で続けて質問をする。

 

 

「自分で分かってないのか……だがそれがいい! 余計に気に入ったわ。何が何でも協力するぞい」

 

 

 ホルランドはそんなネプギアの姿に更に決意を固めたようだった。

 

 

「ど、どうしよう? ユニちゃん、何でこんなことになっちゃったのかな?」

 

 

 オロオロしながらユニに助けを求めるネプギアに、「アンタのお人好しのせいよ……自分で何とかしなさい」とユニはため息をついて呆れながらそう言う。

 

 

「ユニちゃん冷たいー!」

 

 

 そんなユニの態度に困り果てるネプギア。

 

 

「良いではありませんか。手伝っていただきましょう」

 

 

 そこにイストワールが口を挟んでくる。

 

 

「いーすんさん?」

 

 

 首を傾げるネプギアに、「細かい調整は私共の方でします。ネプギアさんは素直にホルランドさんの感謝の気持ちを受け取って下さい」とイストワールが落ち着いた優しい口調で諭す。

 

 

「わかりました。では、ホルランドさんよろしくお願いします」

 

 

 ネプギアはイストワールの言葉に安心して素直にホルランドに頭を下げてお願いをすると、「任せておけ!」ホルランドは嬉しそうにドンを胸を叩く。

 

 

「……イストワールさん、何で首飾りの時は何も言わなかったんですか?」

 

 

 ユニが小声でイストワールに問いかける。

 

感謝の気持ちを素直に受け取るなら首飾りを受け取らせても良かったのでは? と思ったようだ。

 

 

「ネプギアさんの実直な性格はドワーフに受け入れられると思っていましたら様子を見ていたんです」

 

 

 イストワールがそう答えると「……意外と策士なんですね」とユニは肩をすくめる。

 

 

 

***

 

 

 

「……と、言うことでワシ等はこの女神のお嬢ちゃん達に協力することになった!」

 

 

 ホルランドが里の集会場にドワーフを集めて、先程のネプギアとのやり取りで感嘆を受けたことを伝え、ネプギア達に協力する旨を話すと、「「「おおおおーーーー」」」」とドワーフ達が嬉しそうに同意をする。

 

 

「族長って言うだけあって人望があるんだね」

 

 

 ファミ通が感心したように言うと、「頑固なドワーフがこうもあっさり協力するとはね」とファルコムも驚いたように言う。

 

 

「そうだ! 日本一とがすとも誘いましょうよ」

 

 

 ラムが閃いたと言わんがばかりに言うと、「わたしもその方がいいと思う(こくこく)」とロムが続く。

 

 

「そうだね、頼んでみようか」

 

 

 ネプギアはそう言うと、日本一とがすとの元を訪れ開拓計画に協力するようお願いをする。

 

 

「わかったよ! 新しい街を作るのもヒーローの仕事!」

 

 

 日本一はあっさりOKするが、がすとは「う~ん……」と悩んでいる様子だ。

 

 

「協力していただけるなら、新しい街の一等地にお店を出すと約束しますよ」

 

 

 イストワールがそう言うと、「がすとが力を貸せば百人力ですの!」とがすとは嬉しそうにOKする。

 

 

「いいんですか? そんな約束しちゃって?」

 

 

 ユニがイストワールに尋ねると、「がすとさんは開拓計画にも街の発展にも役に立つ優秀な人材ですからね。しっかり確保しておきませんと」と説明する。

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