新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

20 / 83
020ネプギアVS下っ端、そして邪神

 ネプギア達がドワーフの里を訪れて三週間が経った。

 

G.C.2019年8月12日 月曜日。

 

季節は夏本番。

 

 

「お疲れ様です」

 

 

 ネプギアの手にはおにぎりが握られていた。

 

コンビニで売っているものより一回りほど大きい、いかにも手作りといった感じのものである。

 

それを二つ紙皿に乗せて目の前の男性の持っていたトレーに乗せる。

 

 

「ありがとうございます! うぉぉ~! 幸せだぁ~!」

 

 

 男性は感涙すると、「午後からも頑張りなさいよ」と今度はユニがカレーライス盛って男性のトレーに乗せると「頑張ります! 死ぬ気で頑張ります!」と男性は再び感涙しながらコクコクと頷く。

 

 

「……がんばってね」

 

 

 ロムが豚汁をよそい、「応援してるわよ」とラムがトレーに乗せると、「もう百人力っす!」と男性は力強く言うと立ち去る。

 

すると今度は別の男性が、「よろしくお願いいたします!」と元気よく声を上げて、ネプギア達の前に現れる。

 

その後ろには何人もの男性と数名の女性が一列に並んでいた。

 

 

「お疲れ様です」

 

 

 ネプギアはその男性にも同じようにおにぎりをトレーに乗せると、ユニとロムとラムも同じようにカレーと豚汁を乗せる。

 

ネプギア達は、流れ作業のように並んでいる人々に食事を配っていた。

 

 

「ギアちゃん達のお昼ごはん大好評です~」

 

 

 ネプギア達の後ろで、カレーと豚汁の調理をしていたコンパがそう言うと、「そうね。最初は何言いだしたのかと思ったけどね」玉ねぎを刻んでいたアイエフがそれに答える。

 

 

「猛暑の中で力仕事してる人達の助けになりたいなんて、ネプギア様らしい発想だね」

 

 

 ファミ通はその光景をカメラに撮りながら言うと、「ネプギアお姉さんは、優しくて偉い」と豚肉を切っていたプラエがまるで自分のことのように自慢する。

 

 

「でも、1クレジットの得にもなりませんの」

 

 

 がすとは不満を言いながらも人参を切って手伝いをしていた。

 

更に、その隣ではビーシャが「本来なら一杯3,000クレジットは取れそうなサービスなのに、勿体無いなー」と言って同じく人参を切っている。

 

 

 ファミ通の言う通り、仕事の光景を見学に来たネプギアは猛暑の中で働く人達の力になりたいと言って、昼食の配給を提案したのだ。

 

ユニとロムとラムも賛成し、イストワールも許可したので、こうして昼食を配っているのである。

 

現場の人々には料理は勿論、アイドルの握手会と似たような感じを味わえるとのことで好評である。

 

最初はおにぎりと豚汁だけだったが、肉体労働をする人々にはそれでは足りないらしく、ユニの得意料理であるカレーを加えたのだ。

 

 

「まさか正義のヒーローがジャガイモの皮むきをするなんて……」

 

 

 日本一が一生懸命ジャガイモの皮むきをしていると、「慣れてくるとなかなか楽しいものだよ。冒険者長くやってるとこういうのは心が和むよ」とファルコムは楽しそうにジャガイモを剥いている。

 

 

「まさかジャガイモの皮むき要因が欲しくてアタシ達を誘ったんじゃないよね?」

 

 

 日本一が不安そうに言うが、「そんな訳ないでしょ。ちゃんとクエストもしてるじゃない」とアイエフが答える。

 

日本一達が仲間に加わってから、彼女達もネプギア達とクエストに参加していた。

 

 

「ジャガイモの皮むきってなかなか難しいね……」

 

 

 ミクがぎこちない手つきで懸命にジャガイモと格闘している。

 

そんな彼女に、「ミクさん、あんまり無理しない方が……」とプラエが心配そうに言う。

 

リアルボーカロイドである彼女は歌と踊りは出来るが、料理が出来るようには作られていない。

 

ネプギア達は無理しないで良いよとは言っているが、彼女なりにネプギアの力になりたいのだ。

 

 

「街の一等地にお店を出す約束忘れないで欲しいですの」

 

 

 がすとがそう言うと、「ちゃんと覚えてますよ。安心して下さい」とイストワールが答える。

 

 

「アタシとしては、悪の組織と戦う熱い展開を期待してたんだけどなー」

 

 

 日本一がそう言うと、「また日本一のヒーロー好きが始まりましたの」と、がすとが呆れた声を出す。

 

 

「でもさ、アタシとがすとにアイエフにコンパそれにファルコムがいれば五人戦隊が組めるよ」

 

 

 日本一は目を輝かせて言うが、「戦隊なんか組みたくありませんの」と、がすとが不満そうな声を出す。

 

 

「いいと思うけどなー、アタシが赤で、コンパが桃、アイエフが緑、ファルコムが青でがすとは残った黄色。それで、イストワールが司令官でファミ通は連絡員」

 

 

 日本一は力説するが、「残り物とか凄い不服ですの」とがすとの不満そうな声は変わらない。

 

 

「ちょっとー、わたしを抜かさないでよー」

 

 

 ビーシャが不満そうに言うが、「ビーシャはゴールドサァドに入ってるじゃないか」と日本一が言うと、「それはそうだけど……」とビーシャは少し納得できないと言った顔で言う。

 

 

「機密戦隊ゴニンニャーですね」

 

 

 話を聞いていたネプギアが配給の合間に口を挟むと、「そうそう、ネプギアは良く知ってるね。ゴニンジャーハリケーンだよ!」と日本一言い、「それなら、ラストボールは私が作ります」とネプギアが答える。

 

 

「ゴニンジャーハリケーン? ラストボール?」

 

 

 ファルコムが首を傾げると、「ゴニンジャーハリケーンはゴニンニャーの必殺技で、ラストボールというラグビーボール型爆弾が相手の弱点に変身して爆殺するんです」とネプギアが嬉しそうに答える。

 

 

「電気コンロや入れ歯とか鶏がらスープになるんだよ」

 

 

 日本一が説明を続けると、「いや、意味がわからないから……特に鶏がらスープ」とアイエフが言い、「ギャグ漫画もビックリの展開ですの」とがすとが呆れた声を出す。

 

 

「楽しそうです~」

 

 

 コンパには意外と好評だが、「やめときましょ、コンパ」とアイエフに止められてしまう。

 

 

「しかし、ロム様とラム様がこのようなことをされるなんて、私思ってもみませんでした」

 

 

 フィナンシェがおにぎりを握りながら感心したように言うと、「私もです。プラエ様がこのようなことをされるとは」と同じくおにぎりを握っていたあんみつがネプギア達の後ろ姿を見ながら感心する。

 

 

「最初はイストワール様が反対するかと思ったけどね」

 

 

 ファミ通がそう言うと「何事も経験です。それに国民を想うネプギアさんの気持ちは無下にはできません」とイストワールが答える。

 

 

「嬢ちゃん! おかわりじゃ!」

 

 

 そこに元気の良い老人の声が聞こえてくる。

 

ホルランドである。

 

 

「どうぞ、ホルランドさん」

 

 

 ネプギアがおにぎりを差し出すと、「嬢ちゃんの具沢山おにぎりは最高じゃ」とホルランドは受け取ったおにぎりをその場で頬張る。

 

 

「おじいちゃん、わたし達の豚汁は?」

 

 

 ラムがそう質問すると豚汁をホルランドに差し出し、「おいしく出来てる?」とロムも質問する。

 

 

「おう、美味いぞ」

 

 

 ホルランドは豪快に豚汁を飲み干すと、「カレーも勿論美味じゃ」と続けていう。

 

 

「別に聞いてないけど……」

 

 

 ユニはそう言いながらも少し嬉しそうにカレーを差し出すと、「うまいうまい!」とガツガツとカレーを食べるホルランド。

 

 

「あー! 親方ズルイっすよー! 俺等もおかわり欲しいっす」

 

 

 その光景を見ていた男性達がホルランドに抗議するが、「わっはっは! 早いもの勝ちじゃ!」とホルランドは豪快に笑いながら答える。

 

工事現場で人間とドワーフ達は仲良く仕事をしていた。

 

特にホルランドは【親方】と呼ばれ親しまれていた。

 

 

「俺達もおかわりー!」

 

 

 男性達がおかわりを求めてネプギア達に寄って来ると、「おかわりも良いですけど、よく噛んで食べて下さいね」とネプギアは男性達にそう言いながらおにぎりを配り続ける。

 

 

「まだまだあるから一列に並んで!」

 

 

 ユニがそう言うと、「並ばないとあげないわよ」とラムが言い、「割り込み禁止(びしっ)」とロムも続く。

 

男性達が素直に一列に並ぶとネプギア達は男性達におかわりを配り始める。

 

 

「ごめんなさい。もうおしまいです」

 

 

 暫くして食材が無くなったので、ネプギアが男性達にそう言うと、おかわりが食べられなかった男性達は残念そうに去っていった。

 

 

「今日も完食ね」

 

 

 ユニは空になった鍋を見て満足そうに言うと、「大好評(ぶいっ)」とロムがVサインを決めて、「いえーい! わたし達大人気」とラムも同じようにVサインをする。

 

 

「ふー、食った食った。これで酒があれば最高なんじゃがな」

 

 

 ホルランドが満足そうに言うと、「お仕事中にお酒はダメですよ」とネプギアが軽く注意をする。

 

 

「冗談じゃ冗談」

 

 

 ホルランドは笑って誤魔化す。

 

 

「お疲れ様でした。みなさんの行いを多くの国民が感謝しています」

 

 

 イストワールがネプギア達を労うと、「ウム、ドワーフ達もここの奴等も皆嬢ちゃん達のファンじゃ」とホルランドはうんうんと頷きながら言うと、「食料を大量に買い付けるから、村人達も感謝してるよ」とファミ通が付け加える。

 

 

「よかった。少しでもみなさんに喜んで貰えたら嬉しいです」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに言うと、「アタシ達は完全に巻き込まれてる形よね」ユニは呆れながら言う。

 

 

「ごめんね! 迷惑だったよね。ユニちゃん達が手伝うのは開拓計画だけなのに……」

 

 

 慌てて謝るネプギアに、「べ、別に迷惑とまでは言ってないでしょ! ちゃんと賛成したじゃない……それに料理の練習にもなるし……」とユニは真剣に謝るネプギアに焦ってしまう。

 

 

「わたしは楽しいわよ」

 

 

 ラムが楽しそうに言うと、「わたしも。みんな美味しそうに食べるから見てて楽しい(にこにこ)」とロムも嬉しそうに言う。

 

 

「……ユニちゃんは楽しくないの?」

 

 

 ロムがユニに質問すると「……楽しいわよ……それなりに」とユニは少し顔を赤くしながら答える。

 

 

「よかった……」

 

 

 ネプギアは安堵のため息をつく。

 

 

「今月も順調です~」

 

 

 コンパが嬉しそうに言うと、「そうだね、日本一とがすとビーシャが加わってくれたお陰でクエストもだいぶ楽になったし」とファルコムが言い、「ドワーフ達の協力で道路工事も捗っていますの」がすともコンパに同意する。

 

 

「あえて問題を挙げるとしたら水不足ぐらいでしょうか?」

 

 

 イストワールが少し考えてから言うと、「仕入先の村の方達も今年は雨が少ないとおっしゃっていました」とフィナンシェがイストワールの言葉に付け加えるように言う。

 

 

「人間の技術でもお天道様のことはなんともならないようじゃの」

 

 

 ホルランドが言うと、「そうですね。研究はされていますけど、まだ未完成な技術です」とイストワールが答える。

 

 

「てるてる坊主を逆さに吊るしてみよっか」

 

 

 ネプギアがそう提案するが、「そんな迷信で変わる訳ないでしょ……」と即ダメ出しをするユニ。

 

 

「てるてるぼーず?」

 

 

 ロムが首を傾げると、「晴れをお祈りする人形なんだけど逆さに吊るすと雨が降るって言われてるんだよ」とネプギアが答えて、「なにそれ楽しそう! 今度作って」とラムが言うと「うん、いいよ」とネプギアが頷く。

 

 

「ふむ……まだそんな風習が残っておったか」

 

 

 ホルランドが腕組みしながら頷くと、「はい、私も晴れて欲しい日には吊るしてますし」とネプギアが答える。

 

 

「……信じる信じないは嬢ちゃん達に任せるが、昔はエルフが人魚と協力して雨乞いをしてくれたんじゃ」

 

 

 ネプギアの答えにホルランドが少し考えてから口を開く。

 

 

「そんな方法があるんですか?」

 

 

 ネプギアが驚くと、「知ってるなら、早く教えてよー」とラムがホルランドに向かって言う。

 

 

「じゃが、人魚は海の中で暮らしておるから、他種族との交流が薄い上に人間をあまり好いておらん」

 

 

 ホルランドは難しい顔で言う。

 

 

「要は頼んでも無駄ってこと?」

 

 

 ユニがそう言うと、「そうじゃな……じゃが、嬢ちゃんなら何とかしてくれそうな気がしてな」と言ってホルランドはネプギアを見つめる。

 

 

「私が……ですか?」

 

 

 ネプギアが首を傾げると、「さて、腹もこなれたし仕事にするかな」と言ってホルランドは仕事に戻って行く。

 

 

 

***

 

 

 

「そう……それで私を頼って来たの」

 

 

 ネプギア達の前にはビィトリットが居た。

 

ホルランドから話を聞いたネプギア達はフィナンシェとあんみつをギャザリング城に帰した後に、エルフの里を訪れビィトリットに雨乞いと人魚との仲介を頼んでいた。

 

 

「お願いできないでしょうか?」

 

 

 ネプギアは真剣な顔でビィトリットにお願いすると、「この話を人間にするなんて、ホルランドも随分とあなた達に惚れこんでいるようね」とビィトリットはネプギア達を眺めながら言う。

 

 

「そんなにマズイ話なの?」

 

 

 日本一が質問をすると、「人魚にとっては迷惑な話よ」とビィトリットが断言する。

 

 

「人間が好かれていないとは聞いたけど」

 

 

 ファミ通がホルランドから聞いた話を思い出して言うと、「随分とぬるい表現ね」とビィトリットは呆れたように言う。

 

 

「と言うことは……嫌われてるってこと?」

 

 

 ファルコムがビィトリットの言葉を読んだように言うと、「憎しみ恨まれていると言っていいわ」ビィトリットが答える

 

 

「そんな~、どうしてですか~?」

 

 

 コンパが悲しそうに言うと、「人間が海を汚すからよ。あなた達の技術……科学や工業って言うのかしら? それが海を汚すと、知り合いの人魚に会うたびに愚痴られるわ」とビィトリットが説明をする。

 

 

「それは……」

 

 

 イストワールは言葉に詰まってしまう。

 

長年生きている彼女には、昔から比べて海がどれだけ汚れているか知っているからである。

 

 

「私達エルフやドワーフは人間と離れて暮らせるけど、人魚は海から離れられないわ。だから海を汚し続ける人間に対して恨みが積もっているのよ」

 

 

 ビィトリットは説明を続けると、「そう言われると、かなり根が深そうね」とアイエフは深刻な顔をする。

 

 

「でも、人間は海を汚してしまったことを反省して、今はそれを浄化しようという技術も研究されているんです」

 

 

 ネプギアは何とか言葉を絞り出すが、「個人的見解では人間と人魚の関係は修復不可能なところまで来ていると思うわ」とビィトリットはそんなネプギア達に冷たく言い放つ。

 

 

「それでも! それでも私は人魚に会って雨乞いをお願いしたいです」

 

 

 ネプギアは真剣な顔で再度ビィトリットに頼み込む。

 

 

「何をそんなにムキになっているの? 只の雨乞いよ。100%雨が降る訳じゃないわ。それに人魚に頼まなくても人間の技術ならいつかは自在に雨を降らせることが出来るでしょ?」

 

 

 ビィトリットは落ち着いてネプギアに質問すると、「ネプギアさん、ビィトリットさんの言葉も一理あります。今は一時的な水不足であり、そこまで深刻な問題でありません」とイストワールはネプギアに諦めるように勧める。

 

 

「時には機を待つことも重要ですの」

 

 

 がすともネプギアに落ち着くよう勧めると、「そうだよ。スペースコロニーが出来る頃には雨なんて簡単に降らせられるよ」とビーシャが言うが、「それ何年後よ……」とアイエフがツッコミを入れる。

 

 

「私、女神として人間も人魚も仲良く暮らせるゲイムギョウ界を作りたいんです!」

 

 

 ネプギアは仲間の助言にも関わらずビィトリットに訴える。

 

 

「人間も人魚も仲良く暮らせるゲイムギョウ界?」

 

 

 ビィトリットが不思議そうにそう言うと、「私、女神の力は、全ての人々が平和に暮らせるようにする為にあるんだと考えています。それがエルフや人魚のような他種族であったとしても」とネプギアが言う。

 

 

「随分と大それたことを言うのね」

 

 

 ビィトリットが落ち着いてそう言うと、「そうかもしれません。だからこそ、この想いを叶える為に諦めることなんて出来ないです」とネプギアが訴える。

 

 

「あーあー……変なスイッチ入っちゃったわね」

 

 

 ユニが頭を抱えると、「どういうこと?」ビィトリットが質問する。

 

 

「ネプギアが迷いなくこういうこと言い出すと止められないのよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「それが困難な道でも?」とビィトリットはユニに質問を続ける。

 

 

「ええ、どんな困難だろうが諦めずに何度でも正面から立ち向かって行くわ」

 

 

 ユニはビィトリットの質問に答え、「ネプギアちゃんなら大丈夫。わたし信じてる」ロムはネプギアを信頼の眼差しで見つめ、「そうよ、わたし達だって付いているんだから」ラムも自信満々に答える。

 

更にプラエも、「プラエもネプギアお姉さんの為なら何でもするよ」と続く。

 

 

「毎回フォローする身にもなってほしいけどね」

 

 

 ユニも覚悟を決めたようだった。

 

 

「……」

 

 

 ビィトリットは静かに目を閉じると、「そう……あなた達もこの子達を信じるのね」と言い、目に見えない誰かと話しているようだった。

 

 

「ビィトリットさん?」

 

 

 ネプギアはその姿に首を傾げると、「……水の精霊達もあなた達を信じると言っているわ」とビィトリットが言う。

 

ビィトリットは水の精霊と会話をしていたようだ。

 

 

「それじゃあ!」

 

 

 ネプギアが期待を込めた声を出すと、「ええ、協力するわ。人魚には迷惑を掛けたくなかったけど、あなた達ならもしかして……」とビィトリットはネプギア達を眺めながら静かに頷く。

 

 

「人魚の方に話を通してみるから、十日後にまた来てちょうだい」

 

 

 ビィトリットがそう言うと、「ありがとうございます!」とネプギアが一礼してお礼を言う。

 

そしてネプギア達はギャザリング城に戻って行った。

 

 

 

***

 

 

 

 ネプギア達がギャザリング城に戻ると、出迎えたフィナンシェが、「お客様が二名来られています」とネプギアに伝える。

 

 

「誰だろう?」

 

 

 ネプギアが首を傾げると、「それぞれ、ノワール様とベール様の紹介状を持っておられました。今は客室でお待ちしていただいております」とフィナンシェが答える。

 

 

「ゴッドイーターさんとニトロプラスさんじゃないの?」

 

 

 ユニが先日のノワールとベールの話を思い出してそう言うと、「そういえば、馬券してくれるって言ってたよね」とラムが言い、「お馬さんに乗って来たの(ひひーん)」と言うが、「馬券じゃなくて、派遣よ」とユニが訂正を入れる。

 

ネプギアは仲間達と解散してイストワールと二人でゴッドイーターとニトロプラスが待っている客室に向かう。

 

 

 ネプギアが客室のドアを開けると、二人の女性がソファーに座っていた。

 

片方は黒髪のロングヘアーの少女で、もう一人は茶色い髪を短めなツインテールにしている少女だ。

 

黒髪の少女は落ち着いて座っているが、茶色の髪のツインテールの少女は口の中いっぱいに何かを頬張っており、両手にはフィナンシェに出されたであろうクッキーを持っていた。

 

 

「んぐぐぐぐ!?」

 

 

 ツインテールの少女が口の中に何かを入れたまま驚いたような呻き声を上げると、「うぐっ!?」と呻き、顔が見る見るうちに青くなっていく。

 

 

「はい、お茶」

 

 

 黒髪の少女は冷静に紅茶の入ったカップを差し出すと、ツインテールの少女はそれを一気に飲み干し、「ぷはっ!? 死ぬかと思ったーー!」と大きな声を上げる。

 

黒髪の少女が立ち上がって、「助太刀に来たわ」と言うと、ツインテールの少女も慌てて立ち上がると敬礼をし、「ラステイション防衛隊極東支部、ゴッドイーター、ただいま着任しました!」と言う。

 

 

「ニトロプラスさんもゴッドイーターさんもありがとうございます」

 

 

 ネプギアが嬉しそうにお礼を言うと、「礼には及ばないわ。割れを斬るのはあたしの使命」とニトロプラスと呼ばれた少女が冷静に答える。

 

ニトロプラスは落ち着いた言動通りクールな顔立ちをしている。

 

服は黒い短めのハーフコートに同色のミニスカートと身に着けて、白いビスチェを着て、白黒のニーソックスと黒いブーツをはいたその姿はモノクロファッションを完全に着こなしていた。

 

頭の左側に炎のような髪飾りと、背中に悪魔の羽のようなアクセサリーを身に着けている。

 

 

「人々を守るのは神機使いの使命です! 喜んで協力させてもらいます」

 

 

 ゴッドイーターと名乗った少女が元気よく答える。

 

彼女はニトロプラスとは反対に明るく元気な印象を受ける。

 

服はノースリープの黒いベストを着ているが、かなり露出が多く乳房の下の部位から腹部まで丸見えである。

 

黒く長い手袋をはめて、左手に赤い大きな腕輪をし、黒いショートパンツと赤いサイハイブーツをはいた赤と黒のコーディネートは返り血を浴びたように見える。

 

頭の左側にはEの文字の形をした髪飾りを身に着けている。

 

 

「それと、これが神機の資料です。流石に機密情報は渡せませんが、ノワール様の計らいでかなり詳しいところまで書かれているそうです」

 

 

 ゴッドイーターが自分のインベントリからディスクを取り出して、それをネプギアに手渡すと、「ありがとうございます」とネプギアがそれを受け取る。

 

神機とはゴッドイーターの使う武器で、物質をなんでも捕喰するという特性をもつ単細胞生物、【オラクル細胞】で作られた中央の生体パーツの制御より、近接武器形態、銃形態、装甲展開、捕喰形態といった変形を一瞬で可能としている。

 

これらの形態変化によって、使用者一人でも至近距離での直接攻撃、遠距離からの射撃、防御といった様々な状況への対応を可能としている。

 

さらに捕喰形態で敵を直接【喰らう】ことで対象のエネルギーを取り込み、使用者の身体的ポテンシャルをさらに高めることが可能となっている。

 

強力な万能兵器である神機だが、これを扱えるのは、オラクル細胞をその身に取り込み、生体パーツのコアと適合した者のみである。

 

ノワールはこの神機の資料がゲハバーンの研究に役立つかもしれないとのことで、ゴッドイーターの派遣に合わせてネプギアに届けさせたのだ。

 

 

「お二人には明日からクエストに参加してもらいますが大丈夫でしょうか?」

 

 

 イストワールがゴッドイーターとニトロプラスに質問をすると、「問題ない」とニトロプラスが短く答え、「任せて下さい」とゴッドイーターが元気よく答える。

 

 

「それではお部屋に案内します」

 

 

 イストワールが部屋を出ていくと、ゴッドイーターとニトロプラスも後に付いて行く。

 

 

 

***

 

 

 

 ネプギアはゴッドイーターに渡されたディスクを持って自室に戻ると、ノートパソコンを起動してディスクを挿入する。

 

 

「ふんふん……これが神機か……」

 

 

 ネプギアは暫くの間資料を眺めると、感心したように頷く。

 

すると、扉がコンコンとノックされる。

 

 

「はーい」

 

 

 ネプギアは返事をして扉に行くと、「アタシだけど、研究はどう? はかどってる?」とユニの声が聞こえてくる。

 

続いて、「遊びに来たよー」とラムの声が聞こえると、「あそぼ」とロムの声が聞こえ、「お手伝いできることあるかな?」とプラエの声も聞こえてくる。

 

 

「今、ゴッドイーターさんの持って来た神機の資料を見てるところだよ」

 

 

 ネプギアはそう言いながら扉を開けると、「参考になりそうなの?」とユニが質問しながら部屋に入ってくると、ロムとラムとプラエもそれに続く。

 

 

「うん、捕食形態でエネルギーを取り込むところとか役に立ちそうだよ」

 

 

 ネプギアが答えると、ユニが訝し気に「まさか、アタシ達を捕食しようなんて思ってないでしょうね……」と尋ねると、ネプギアは両手を大きく広げて「食べちゃうぞ~」と言いながらユニに正面から抱きつく。

 

 

「こ、こら! 止めなさい!」

 

 

 ユニが顔を真っ赤にして慌てると、「ユニちゃん、美味しい~、もぐもぐ」と言いながら、自分の両手を口に見立ててユニをぎゅうぎゅうと抱きしめる。

 

 

「それじゃ、わたし達もユニちゃんを捕食よー」

 

 

 ラムも左側からユニに抱き着くと、ロムも「いただきます(かぷかぷ)」とユニの右側に抱きつく。

 

更に、「え、えーと、ごめんね。ユニお姉さん」と言ってプラエがユニの後ろから抱きついた。

 

 

「ちょ、止めなさい! どこ触ってるのよ?」

 

 

 ユニは必死に抵抗するが、四人がかりでは分が悪くネプギア達が楽しそうにユニの体をまさぐると、「そこはだめぇ! やああん!?」となまめかしい嬌声を上げる。

 

ひとしきりユニに抱き着いて満足したネプギアはユニから離れると、「あー、おいしかった」と満足そうに言うと、ラムは「えー? もう終わり~」と不満そうにユニから離れ、ロムは「ごちそうさま(げっぷ)」と言いながら離れ、プラエは、「ごちそうさまでした」と丁寧に一礼をした。

 

 

「何が、おいしかった、よ!」

 

 

 ユニが頬を膨らませながらネプギアの頭を小突くと、「ごめんね」とネプギアが小さく舌を出す。

 

 

「冗談はさておき、使用者以外からエネルギー供給するって意味で使えそうだよ」

 

 

 ネプギアが少し真面目な顔に戻って説明を始まると、「へー!」とラムが興味津々な顔をする。

 

 

「あと、捕食した力を弾丸にして仲間に分け与えるリンクバーストや、仲間の側に居ると力が高まるエンゲージって能力も参考になりそう」

 

 

 ネプギアが話を続けると、「主に仲間から力を分けてもらうってこと?」とユニが質問する。

 

 

「うん、ロムちゃんから力を分けてもらう時みたいにやれば少しは起動率が上がると思うんだ」

 

 

 ネプギアがユニの質問に答えると、「起動率?」とロムが首を傾げる。

 

 

「オラシオンタングラムの最低限の機能を発揮する為に必要なエネルギー量の比率だよ」

 

 

 ネプギアはノートパソコンの画面を四人に見せると、「100%が女神一人分の魂に相当して初めてゲハバーンが機能するの」と言って、「……でも、私が普通に使おうとしても、起動率は5%ぐらいまでしか行かないんだ」と少し残念そうに言う。

 

 

「……なるほどね。道は険しいって訳ね」

 

 

 ユニが腕組みしながら難しい顔で言うと、「でも、神機を参考にすれば上がるかもしれないんでしょ」とラムが明るい声で言い、「ネプギアちゃんに力いっぱい分けてあげる」とロムも微笑む。

 

 

「バータッチだって、四人で手を繋げば八倍になるだから平気よ!」

 

 

 ラムがそう言って左手でネプギアの左手を握ると、ロムが「お手々、繋いでバータッチ!」と言って右手でネプギアの右手を握り左手でユニの右手を握る。

 

 

「ほら、ユニちゃんも!」

 

 

 ラムがユニに向かって右手を差し出すと、「しょうがないわね……」と言いながら左手でラムの手を握る。

 

【バータッチ】とは昔のアニメの【バーマン】の技の一つで、バーマン達が横や縦につながって飛行すると、つながった人数分の二の乗数倍のスピードがでる技だ。

 

 

「そういえばオカマの機械はどうなったの?」

 

 

 ユニがロムとラムの手を離しながらネプギアに質問すると、「試してみたんだけど、ゲハバーンはシェアエネルギーを女神の力に変換したものしか受け入れないみたい」とネプギア少し残念そうに答える。

 

 

「えー? なんでー?」

 

 

 ラムが不満そうに質問すると、ネプギアは少し考える素振りをすると「女神の力を電気だとすると、アノネデスさんの機械で作った力はガスみたい物で同じエネルギーでも全然違うの」と説明をする。

 

 

「ガスじゃゲーム機は動かないね(しゅん)」

 

 

 ロムが残念そうに言うと、「うん、単純な戦闘力のアップだけで、それ以外のルウィーの寒さから人を守る加護とか、ルートビルドに使うような力は使えないの」とネプギアが答える。

 

 

「それにね、女神の体にシェアエネルギー以外のエネルギーを入れるのは良くないの。さっきロムちゃんが言ったようにゲーム機にガスを入れたら壊れちゃうかもしれないよね」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「じゃあ、ピーシェは……」とラムが心配そうな顔をする。

 

 

「命には関わらないと思う。でも、成長力には影響があるみたい」

 

 

 ネプギアの説明に、「子供に酒やタバコを与えるようなもの?」とユニが言うと、「そんな感じかな」とネプギアが答える。

 

 

「……ピーシェちゃん可哀そう……」

 

 

 ロムが悲しそうな顔で言うと、「出来るかどうか分からないけど、今NG粒子とがすとさんの錬金術を合わせて、それの中和剤を作る実験をしてるの。成功すれば完全とは言えないけど、成長力が取り戻せると思うよ」とネプギアがロムを慰めるように言う。

 

 

「ホント! ネプギアちゃん!」

 

 

 ロムが嬉しそうな顔をすると、「本当だよ」とネプギアが微笑む。

 

 

「ネプギア、頑張ってね」

 

 

 ラムも嬉しそうにネプギアを応援すると、「うん」とネプギアが頷く。

 

 

「とにかく、そういうことだから、あの機械で女神を強化してもゲハバーンのエネルギーには使えないんだよ」

 

 

 ネプギアが話を戻すと、「本当に扱いづらい剣ね」とユニが難しい顔で腕組みをする。

 

 

「でも、今はアノネデスさんの機械を少し弄って、それとゴールドサァドの人達のゴールドフォームも参考にして疑似的なプロセッサユニットを作る研究をしてるんだ」

 

 

 ネプギアが少し楽しそうな声で説明をする。

 

 

「そんなことできるの?」

 

 

 ラムが不思議そうに尋ねると、「うん、アノネデスさんの機械のエネルギーを疑似シェアエネルギー炉って言う小型の機械を入れるの。それで疑似プロセッサユニットを動かすんだよ」とネプギアが言うと、「ネプギアちゃん凄い」とロムが感心する。

 

 

「今は研究中だけど、上手く行けばアイエフさんやコンパさん、ファミ通さん達もプロセッサユニットを装備してパワーアップ出来る予定なの」

 

 

 ネプギアが説明を続けると、「それって、プラエも出来るってこと?」とプラエが嬉しそうに質問する。

 

 

「うん、勿論だよ。楽しみにしててね」

 

 

 ネプギアがそう答えると、「うん!」と嬉しそうにプラエが頷く。

 

 

「それでもゲハバーンには使えないのね」とユニが難しい顔で腕を組む。

 

 

「そうだね。ゲハバーンも、まだ研究も始めたばっかりだし、もし私に出来なくても、次の世代の人達に引き継いで行けばいつか動かせると思うの」

 

 

 ネプギアは小さくガッツポーズをすると、「そうね。今すぐ必要って訳じゃないし、気長にいきましょ」とユニが言うと、ネプギアは、「うん」と頷く。

 

同時にドアがノックされる音がすると、「ネギちゃん、時間だけど大丈夫?」とミクの声がする。

 

 

「あ、もうそんな時間? みんな練習に行こう」

 

 

 ネプギアがそう言ってパソコンを閉じると、女神候補生達とプラエは部屋を出る。

 

 

「ミクちゃん、お待たせ。待たせちゃったかな?」

 

 

 ネプギアの言葉に、「大丈夫。みんなと色々お話しするの楽しいし」とミクがにこやかに答える。

 

動作が安定してきたミクはネプギアとは別の自室を与えられ自由に行動している。

 

その中でアイエフ等とも会話し、それを楽しんでいた。

 

 

 

***

 

 

 

 翌日、G.C.2019年8月13日 火曜日

 

 

 ネプギア達は朝のトレーニングと朝食を済ませると、アイエフのバイクとコンパの車とファミ通のワゴン車でクエストに向かった。

 

向かった場所は【裏プラネテューヌ】と呼ばれるプラネテューヌの北の街外れだ。

 

以前は都市計画が進められていたが、ネプテューヌが開発費60憶クレジットのゲームを作ろうとしたりして財政を傾かせたり、犯罪組織の横行やキセイジョウ・レイの侵略が起きた為、計画が遅滞し放置されてしまった場所である。

 

 

「ここがタレコミのあった犯罪組織の残党共の住処ね」

 

 

 アイエフが二階建ての町工場のような建物を見ながら言うと、「たれこみ?」とロムが首を傾げ、「焼肉? それともうなぎ?」とラムが質問すると、「そのタレじゃないわよ。タレコミは犯罪行為とかの情報を、密かに知らせることよ」とユニが答える。

 

 

「開拓計画で森の隠れ家を追い出された後に、ここに住み着いたらしいよ。近隣の住人が迷惑しているみたいだよ」

 

 

 ファミ通が説明をすると、「こんなところを根城にしていたのね」とニトロプラスが忌々し気に言い、「悪の秘密基地にしてはショボイなー」と日本一が不満そうにすると、「所詮は落ち目の集団ですの」とがすとが答える。

 

建物自体の大きさは学校の校庭程あるが、開発計画が遅滞した為に建設途中の場所は所々あり、いくつか鉄骨が剥き出しの部分がある。

 

 

「それも今日で終わりだよ。私達が来たからにはすぐに追い出してやるんだから」

 

 

 ゴッドイーターが意気込むと、「ワレチューもいるのかな? 上手く連れ戻せればいいんだけど……」とビーシャが不安そうに言うと、「絶対に連れ戻しましょう。わたしもお手伝いするです」とコンパが励ますように言う。

 

 

「人手も増えたし、逃げられないように突入するチームと逃げ道を塞ぐチームの二手に分かれようか?」

 

 

 ファルコムが提案すると、「そうですね。それがいいでしょう」とイストワールが頷く。

 

 

「上手く戦力を分散しないとですね」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「まずは戦力確認ですね」と言いながらNギアを取り出すと、「みなさんのレベルを教えて下さい」と言う。

 

メンバーはそれぞれのレベルをネプギアに伝えると、「えっと……ファルコムさんが55で他の人は40から42ですね」とネプギアがNギアにデータを書き込む。

 

 

「ヒーラーのロムちゃんとコンパさんは別々のチームがいいから……」

 

 

 ネプギアはNギアを操作して、パーティーメンバを分けると、「これでどうでしょうか?」とイストワールにNギアを見せる。

 

 

「……ネプギアさん達女神候補生を中心とした主戦力で正面から突入して、ファルコムさんを中心とした別働隊で逃げ道を塞ぐのですね」

 

 

 イストワールが画面を見ながら質問すると、「はい」とネプギアが答え、「良い編成だと思います」とイストワールがネプギアに微笑みかける。

 

 

「それでは、日本一さんとがすとさん、それにゴッドイーターさんとニトロプラスさんとビーシャさんは私達に付いて来て下さい」

 

 

 ネプギアがそう言うと、女神候補生達と呼ばれた五人がネプギアの側に集まる。

 

 

「それじゃあ、あたし達は逃げ道を塞ぐよ」

 

 

 ファルコムがそう言うと、プラエ、アイエフ、コンパ、ファミ通、あんみつ、イストワール、ミクの七人がファルコムの側に集まり、七人は工場の裏手に回る。

 

 

「腕がなるね」

 

 

 ゴッドイーターが右手の拳で左手の手のひらを叩くと、「邪悪、断つべし」とニトロプラスが冷たい声で言い放つ。

 

 

「ちょっと、ワレチューは殺されたら困るんだけどー」

 

 

 ビーシャがニトロプラスに抗議するが、「助ける必要ある? 何度も裏切ってるんでしょ」とニトロプラスは変わらず冷たい声で言う。

 

 

「寝返る奴を信用しないって言うのはわかるけど、ワレチューにはまだ帰れる所があるんだよ」

 

 

 ビーシャがニトロプラスに訴えると、「善処はするけど、保証はしないわ」とニトロプラスは素っ気なく答える。

 

 

「皆さん、プラエちゃんとミクちゃんのことよろしくお願いしますね」

 

 

 ネプギアが少し心配そうに別働隊のメンバーに言うと、「任せて。キッチリ守ってみせるよ」とファルコムが答え、「大丈夫です。プラエ様もミク殿もこの剣に誓って守り抜きます」とあんみつが答える。

 

その言葉に安心したネプギアは突入メンバーの編成を始める。

 

 

「私と日本一さんとゴッドイーターさん、それにニトロプラスさんは前衛、後衛はユニちゃんを中心に、ロムちゃん、ラムちゃん、がすとさん、ビーシャさんでお願いします」

 

 

 ネプギアがフォーメーションを決めると、ユニが、「わかったわ。任せて」と言い、前衛の四人が前に立ち、その後ろに後衛の五人が続く形で工場の入り口に向かう。

 

 

「それじゃあ、突入!」

 

 

 日本一が勢いよく扉に手を掛けるが、「あれー? 開かないよー?」と不思議そうに言う。

 

 

「鍵ぐらい掛かってて当然ですの」

 

 

 がすとが呆れたように言うと、「じゃあ、あたしのキックで蹴破ってやる!」と日本一が後ろに下がって助走を付けようとするが、「待って下さい。これぐらいの鍵ならすぐに開きますから」ネプギアが慌てて日本一を止める。

 

 

「針金でちょちょいのちょいとか?」

 

 

 ゴッドイーターが質問すると、「このドアは電子ロックですから針金じゃ開きませんよ」とネプギアが答えながらNギアを取り出し、それをドアに貼り付ける。

 

 

「まさか……キー・センサーにも使えるのそれ?」

 

 

 ユニが恐々と質問すると、「うん、アノネデスさんから色々教えて貰って自作のアプリ作ったんだ」とネプギアがドヤ顔で答えるとNギアの画面をタッチしてアプリを起動する。

 

 

「きーせんさー?」

 

 

 ラムが不思議そうに首を傾げると、「電子ロックのパスワードが解析できるアプリだよ」とネプギアが生き生きと説明する。

 

すると、「ネプギアちゃん、スパイみたい(こそこそ)」とロムが嬉しそうに微笑む。

 

 

「凄いんだけど、女神様がこんなことしていいのかなぁ……」

 

 

 日本一が微妙な顔で言うと、「爆破した方がよかったですか? プラスチック爆弾も雷管もありますけど?」とネプギアが真面目な顔で日本一に尋ねる。

 

 

「そういう問題じゃないと思いますの……」

 

 

 がすとが呆れ顔で言うと、「まぁ、ネプギアのメカオタは特殊な趣味だから」とユニが困り顔でフォローするが、「ユニちゃんのガンマニアも特殊だよー」とネプギアが不満そうに口を尖らせる。

 

 

「それで、どうなの?」

 

 

 ニトロプラスが冷静にネプギアに尋ねると、「解析完了しました。今開けますね」とネプギアが解析した番号を素早く入力すると、【プシュ】と音と共に扉が横にスライドして開く。

 

 

「おお! すごーい」

 

 

 ラムが嬉しそうにバンザイすると、「ネプギアちゃん、えらい(ぱちぱち)」とロムが拍手をし、「ネプギアなら、戦闘中にロボットのOS書き換えちゃいそうだね」とビーシャが感心する。

 

 

「それじゃあ、改めて突入だー!」

 

 

 日本一が元気よく言うと、「おー!」とビーシャがそれに続くが、ニトロプラスが怪訝そうに、「静かにして。敵に感付かれるわ」と注意する。

 

 

「その通りですの。日本一とビーシャは少し頭を使うのですの」

 

 

 がすとがニトロプラスに同意すると、「でも、正義のヒーローは正面から正々堂々と挑むべきだよ」と日本一が持論を言うと、「あたしは正義のヒーローのつもりなんて、これっぽちもないわ」とニトロプラスが冷たく答える。

 

 

「善因には善果あるべし、 悪因には悪果あるべし。因果応報、天網恢恢。それがあたしの信念よ」

 

 

 ニトロプラスがそう言うと、「おおっ! よく分からないけど、カッコイイ!」と日本一が目を輝かせ、「むむっ……なかなかの名乗りだね」とビーシャが腕を組んで唸る。

 

 

「どういう意味?」

 

 

 ロムが不思議そうに首を傾げ、「引火ぼうぼう? いんもうかいかい?」とラムも首を傾げると、「がくっ……」とクールなニトロプラスも膝を折ってしまう。「この子達には悪気はないのよ。よくあることだから気にしないで」とユニがフォローをする。

 

 

「えっと、良いことをすると良い結果が起きて、そのことを善因善果。悪いことをすると悪い結果を招くってことを悪因悪果。それを総じて因果応報。天網恢恢は決して悪事を見逃さない、悪事はいずれ必ず報いを受けるって意味だよ」

 

 

 ネプギアが丁寧に説明すると、「カッコイイ」とロムが感心し、「滅殺仕事人みたーい」とラムが喜ぶ。

 

【滅殺仕事人】とは、悪人達に苦しめられた人々が最後の手段として仕事人と呼ばれる殺し屋に依頼をし、仕事人が悪人どもを痛快かつ爽快に成敗する時代劇だ。

 

 

「私のだってカッコいいよ」

 

 

 ゴッドイーターがそう言うと、「なになに?」とラムが関心を示す。

 

ゴッドイーターは、「こほん……」と咳ばらいをすると、「命令は三つ。死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。運が良ければ不意を突いてぶっ殺せ!……だよ」と答える。

 

 

「あれ? 四つ?」

 

 

 ロムが不思議そうに首を傾げると、「あはは……そうだね」とゴッドイーターが恥ずかしそうに右手で後頭部をかく。

 

 

「遊んでないで早く行きますの」

 

 

 がすとが呆れた声で言うと、ネプギア達は建物の中に慎重に入って行く。

 

一階は作業場になる予定だったらしく、がらんどうとしている。

 

ネプギア達は警戒しながら前進していくと、「待って、見張りがいる」とネプギアがNギアのレーダーを見ながら呟く。

 

ネプギアの言う通り、建物の二階に続く階段に犯罪組織の灰色のコートを着た一人の男性がウロウロしているのが見える。

 

 

「一人か……。麻酔弾で眠らせる?」

 

 

 ユニが銃を構えながら言うと、「いや、ここはあたしに任せて」とニトロプラスが前に出る。

 

 

「何するの?」

 

 

 ビーシャが尋ねると、ニトロプラスは左手を見張りに向けると、「幻惑・肉塊の幻想」と呟く。

 

 

「何も起きないよ」

 

 

 日本一が怪訝そうな顔をすると、「すぐに効果が出るわ」とニトロプラスが落ち着いて答える。

 

すると。見張りがガタガタと震えだして両膝を付いてうずくまる。

 

 

「これで大丈夫よ」

 

 

 ニトロプラスはそう言うと、悠々と歩きだして、うずくまる見張りの横を通り過ぎる。

 

 

「何をしたの?」

 

 

 ゴッドイーターが見張りを見ながら不思議そうに尋ねると、「今、コイツは目を覆いたくなるような醜い肉塊にまみれた世界を見ているわ」とニトロプラスが涼しい顔で答える。

 

ニトロプラスは幻惑の術を得意とし、幻惑を見た相手は状態異常やデバフの効果が掛かる。

 

 

「精神攻撃は基本ですの」

 

 

 がすとが感心したように言いながら見張りの横を通り過ぎると、「……それ子供向けと思われたアニメなのに、主人公が頻繁に犯罪行為をしたりする悪役みたいなヤツじゃなかったけ……」と日本一が困った顔で言う。

 

 

「鳳凰の青銅聖戦士も精神攻撃使ってたし、いいんじゃないかな」

 

 

 ビーシャが開き直ってそう言うと、ネプギア達も見張りの横を通り過ぎて、二階に上がる。

 

ネプギア達は二階に着くと、人の気配のする明かりの点いている扉の前に立つ。

 

 

「敵の数は40人ぐらいですね」

 

 

 ネプギアがNギアのレーダーを見ながら言うと、「それじゃ、あたしが先頭に立って突入するよ!」と日本一がサムズアップすると同時に後ろに下がって助走を付けると、扉を飛び蹴りで豪快に蹴破る。

 

部屋に居た犯罪組織の残党が驚いて振り向くと、部屋に飛び込んだ日本一がポーズを決めながら、「燃え上がる闘気は正義の証!」と叫ぶと、ビーシャも部屋に飛び込み、「天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! 悪を倒せと我を呼ぶ! 聞け、悪人ども!」と叫ぶ。

 

 

「あたしは正義のヒーロー、日本……」

 

「我は正義のヒーロー、プレス……」

 

 

ズキューン! ズキューン!

 

 

 日本一とビーシャの名乗りを激しい銃撃音が遮る。

 

 

「ちょっ! ヒーローの名乗りの最中に攻撃するの反則だよ!」

 

 

 日本一が犯罪組織の残党に右手で指差して抗議すると、ビーシャも両手を腰に置いて、「悪党の風上にもおけないね!」と憤慨するが、同時に犯罪組織の残党が二人、1000近いダメージを受けて戦闘不能になって倒れる。

 

 

「「え?」」

 

 

 日本一とビーシャが目を丸くすると、後ろにいたニトロプラスが左手で硝煙の出てる銃剣型の拳銃を構えながら、「これから斬る相手に名乗る必要なんてない。悪はただ討つのみ」と冷淡に答える。

 

 

「「えーーー?」」

 

 

 ニトロプラスの台詞を聞いた、日本一とビーシャが不満そうな声を上げると、「流石にそれはやりすぎなんじゃ……せめて投降の呼びかけぐらい……」とネプギアがニトロプラスに言うが、「ぬるい」とニトロプラスがバッサリと切り捨てる。

 

 

ズキューン! ズキューン!

 

 

 再びニトロプラスは拳銃を撃つと同時に、右手に血の色のような赤い刀身の日本刀を持って突撃する。

 

ゴッドイーターも、「ゴッドイーター、状況を開始します!」と言いながら神機を近接攻撃用のロングブレードに変形させて残党達に向けて走り出す。

 

 

「ほら! アンタもグズグズしてないで早く行きなさい!」

 

 

 ユニに発破をかけられたネプギアは慌ててビームソードを出すと、「みんな、援護よろしくね」と後列のメンバーに言いながら走り出すと、「任せなさい」とラムが言い、「ネプギアちゃん頑張ってね(ふれーふれー)」とロムが応援してくれる。

 

 

「がすと特性メガフラムですのー」

 

 

 がすとが右手に筒状のダイナマイトを犯罪組織の残党に向かって放物線状に投げると大爆発が起こる。

 

 

「うわー!」

 

「ぢゅーー!」

 

 

 人型の残党と、ワレチューのようなネズミ型の残党の数人が爆発に巻き込まれると、1100以上のダメージを受けて戦闘不能になる。

 

がすとは錬金術で作ったフラムなどの爆弾や魔法を使って戦闘をする。

 

魔法の威力はロムやラムに及ばないが便利な錬金術の道具を使うことが出来る。

 

 

「くそっ!? もう嗅ぎ付けきやがったか!」

 

 

 残党の群れの奥に居た下っ端が忌々しそうに言うと、「どうするちゅか?」とワレチューが尋ねる。

 

 

「これ以上逃げ回るのはゴメンだ! 返り討ちにするぞ!」

 

 

 下っ端が叫ぶと、「「おおおーーー!」」と残党達の勇ましい声が聞こえてくる。

 

 

「ふっ、意気込みは良し。だが相手がヒヨッコではな」

 

 

 ビーシャは自信満々に言いながらバズーカ砲を構えると、狙いを定めて残党の群れに撃ち込む。

 

 

「うぎゃー!?」

 

「じゅじゅーーー!」

 

 

 バズーカが当たった人型の残党に1058ダメージ与える。

 

更に、側にいて爆風に巻き込まれたネズミ型の残党にも1001ダメージを与えると両者共に戦闘不能になって倒れる。

 

ビーシャはバズーカを使った爆発属性の射撃攻撃を得意とする。

 

 

「ジャスティスキーック!」

 

 

 日本一は人型の残党の顔面に飛び蹴りを食らわせると、1125ダメージが当たり、残党は仰向けに倒れて戦闘不能になる。

 

 

「もらったっちゅ!」

 

 

 しかし、ネズミ型の残党が着地した日本一に向かって銃を構える。

 

しかし、「甘い!」と日本一がペンギンを模した拳銃を素早く取り出して、「クイックドロー!」と叫ぶと三連射をネズミ型の残党に食らわせる。

 

 

「ぢゅーーー!」

 

 

 ネズミ型の残党は悲鳴を上げると1258のダメージを受けると、うつ伏せに倒れて戦闘不能になる。

 

日本一は主に体術とジャスティスソードと呼ばれる剣での剣術を得意とするが、プリニーガンと呼ばれるペンギンを模した拳銃で射撃をすることも出来る。

 

 

「いくよ!」

 

 

 ゴッドイーターがロングブレード形態の神機を水平に構える、「はああああ!!」と気合の入った叫び声と共に、素早い踏み込みで、一瞬で人型の残党との間合い詰めると横切りで薙ぎ払う。

 

 

「ぐあっ!」

 

 

 人型の残党は悲鳴と共に1238のダメージを受けて戦闘不能になるが、同時に「このやろう!」と真横から別の人型の残党が鉄パイプを振り上げて迫ってくる。

 

 

「くっ!」

 

 

 ゴッドイーターは素早く向き直って神機を垂直に構え直すと、同時に神機に装備された二つの半円の部位が合体して円盾になる。

 

【キンッ】と硬い金属音と共に円盾が鉄パイプを防ぐと、「ていっ!」とゴッドイーターがロングブレードで攻撃後の硬直中の残党を連続で斬りつける。

 

 

「うわー!」

 

 

 鉄パイプを持った残党が1158ダメージを受けて戦闘不能になると、ゴッドイーターは側転してその場から離れ、神機を銃形態に変形させる。

 

 

「もらった!」

 

 

 ゴッドイーターがネズミ型の残党に狙いを定めると、銃身から弾丸が連続で発射される。

 

 

「ぎゃーちゅ!」

 

 

 弾丸の直撃を受けたネズミ型の残党は1128のダメージを受けてると仰向けに倒れて戦闘不能になる。

 

ゴッドイーターは神機の変形機能を活かしてオールラウンドな戦いをする。

 

しかし、射撃は少々苦手なようで味方が射線上に居ても撃ってしまう癖がある。

 

 

「割れに逢うては割れを斬る 神に逢うては神を斬る ツルギの理ここに在り!」

 

 

 ニトロプラスそう言いながらネズミ型の残党に素早く近づくと右手の刀で斬りつける。

 

 

「ぢゅーーー!」

 

 

 ネズミ型の残党が1412ダメージを受けて戦闘不能になると同時に、ニトロプラスは左手に持った拳銃を人型の残党に向けて連射しながら走り寄る。

 

 

「うわ!?」

 

 

 残党がニトロプラスの接近に驚きの声を上げると同時に、ニトロプラスは懐に潜り込み拳銃の下部に付いた刀剣で切り裂く。

 

 

「あーーー!」

 

 

 残党が1398のダメージを受けて戦闘不能になると、今度は別のネズミ型の残党の方を向き、「幻惑・流血のバッドエンド」と呟くと、「あ、ああああ!!」とネズミ型の残党は震えだして動きを止めてしまう。

 

 

「ふっ……滑稽ね」

 

 

 ニトロプラスは鼻で笑うと、「邪悪、断つべし」と震えているネズミ型残党を容赦無く太刀で斬る。

 

 

「うじゅー……」

 

 

 1524のダメージを受けて残党が倒れる。

 

ニトロプラスは太刀と拳銃型の銃剣、そして幻術を巧みに扱った戦い方をする。

 

その戦いぶりは情け容赦無い。

 

 

「アイツら強いちゅ!」

 

 

 次々と倒される残党にワレチューが焦りの声を上げると、「ちくしょう、こうなったら……」と下っ端が、懐からディスクを取り出すと、「来い、ヘルタートル!」と叫ぶ。

 

ディスクから黒い靄が出ると、それが人の形になり3メートル程の二足歩行のカメの姿になる。

 

 

「ガオオオオ!!」

 

 

 ヘルタートルと呼ばれた二足歩行のカメ型モンスターが雄叫びを上げると同時に、ユニが「ウィークネスバレット!」と言いながら銃を撃つ。

 

 

「ウガ?」

 

 

 ヘルタートルの頭にウィークネスバレットの赤い模様が付くと、「行くわよ、ロムちゃん」とラムが言うと、「うん、一緒に」とロムが答える。

 

ロムがラムのおでこに口づけをすると、ラムの体がピンクのオーラーに包まれる。

 

 

「盛大にぶっ飛ばすわよーーー!」

 

 

 ラムがそう言うと、真横に大きな魔法陣を作り出す。同時に杖を両手で握り、野球のノックのように魔法陣を叩くと、魔法陣がバランスボールぐらいの大きさの球に変形してヘルタートルに向けて行く。

 

ヘルタートルの頭に球が当たると、【ドカーーーーン!】と爆発音が上がる。

 

 

「ウゴーーーーー!!」

 

 

 ヘルタートルが悲鳴と共に8254ダメージを受けると、ロムとラムは嬉しそうにハイタッチを交わす。

 

ロムとラムの合体攻撃【ろむちゃんらむちゃん】はロムにパワーを分けてもらったラムが攻撃をする技である。

 

 

「ネプギア! アタシが援護するわ、突っ込みなさい!」

 

 

 続けてユニが叫ぶと、「うん、わかった!」とネプギアがヘルタートルに向けて走り出す、ヘルタートルは態勢を立て直して、「ガアアア!」と叫びネプギアを迎え撃つ。

 

 

「ラステイションとプラネテューヌの女神候補生の力を見せてあげるわ!」

 

 

 ユニがそう言いながらライフルを連射し援護射撃をすると、それに妨害されたヘルタートルはネプギアの接近を容易に許してしまう。

 

更にユニがヘルタートルの頭に狙いを定めて、三連射をすると三発とも見事にヘルタートルの頭部に命中する。

 

 

「ていっ!」

 

 

 それとほぼ同時にネプギアが飛び上がると、ヘルタートルの頭部をビームソードで華麗に斬り抜ける。

 

 

「ガアアアアア!?」

 

 

 ヘルタートルは9848ダメージを受けるとHPがゼロになって消滅する。

 

ネプギアとユニの合体攻撃【シュタルクヴィータ】はユニの援護射撃からの、ネプギアとユニの息の合った同時攻撃。

 

 

「ぬなっ!?」

 

 

 下っ端がアゴが外れるぐらい大口を開けると、「瞬殺とか汚ねぇぞ!!」と女神候補生達に向かって抗議する。

 

 

「ズルしてないもん。あんっかんべー!」

 

 

 ラムがあっかんべーしながら言い返すと、ロムも同じようにあっかんべーをして「べーだ!」と言い、「バーカ、バーカ、ザーコ、ザーコ」とラムが更に下っ端を煽る。

 

 

「や、やばいちゅよ!」

 

 

 ワレチューが慌てると、「ワレチュー! チューコのお店に帰りなさい!」とビーシャがワレチューを指差しながら言う。

 

 

「あんな色気の無いネズミはお断りちゅ。コンパちゃんみたいな天使なら考えてもいいちゅけど」

 

 

 ワレチューがそう言いながらそっぽを向くと、「コンパがそんなに好きかぁぁぁぁぁぁっ!!!」とビーシャが絶叫する。

 

 

「無益な争いは止めて、大人しく投降して下さい」

 

 

 ネプギアが下っ端と残った僅かな残党にそう言うと、「ざけんな!」と下っ端が言い返し、「おい、逃げるぞ!」と言ってネプギア達が入って来た扉とは逆の扉から逃げ出す。

 

ワレチューも、「逃げるが勝ちちゅ」とそれに続き、残りの残党もそれを追いかける。

 

 下っ端達は急いで階段を降りて一階の裏手の出口に向かうが、「おっと、ここから先は通行止めだよ」とドラゴンスレイヤーを持ったファルコムが下っ端達の目の前に現れる。

 

 

「うぐっ……」

 

 

 下っ端達は慌てて反対方向に逃げようとするが、「これで袋のネズミね」と反対側から現れたアイエフが立ちはだかり余裕の表情で言うと、「くそっ……罠かよ……」と下っ端が忌々し気に言う。

 

 

「ネズミさん、大人しく捕まって中古屋さんに戻って下さい」

 

 

 アイエフの後ろに居たコンパがワレチューに訴えるが、「いくらコンパちゃんの頼みでもそれは無理ちゅ。オイラはアウトローの世界でしか生きられないハードボイルドなネズミなんだっちゅ」とワレチューがカッコつける。

 

 

「鮎トロ、堅ゆで卵? お寿司屋さんならいいんですか~?」

 

 

 コンパが首を傾げながら質問すると、「がくっ……」とワレチューが肩を落とし、「でも、お寿司屋さんの卵は卵焼きですよー」とコンパが続けて言うが、「そうじゃないよ、コンパ。悪い生き方しかできないってことだよ」と隣のファミ通が説明をする。

 

 

「大人しく投降すれば、命までは取りませんよ」

 

 

 ファルコムの隣にいるイストワールが冷静に言うと、「うるせぇ!」と下っ端が絶叫し、「こうなったら特攻だ! 何としても逃げきるぞ!」と言いながらファルコム達に向かって行くと、ワレチューも「やぶれかぶれちゅ!」と続き、残った残党も後を追う。

 

 

「くるっ!」

 

 

 プラエが身構えると、「ここは、あたしに任せて」とファルコムが一歩前に出る。

 

ファルコムがドラゴンスレイヤーを構えて、「無駄な殺生をまたさせる!」と叫ぶと、一人であっという間に下っ端達を蹴散らしてしまう。

 

 

「くそっ!」

 

 

 下っ端は立ち上がり、ファルコム達から逃げるように走るが、「どこに逃げようって言うのよ」と二階から降りて来たユニが立ちはだかる。

 

ワレチューはヨロヨロと立ち上がり、「……年貢の納め時ちゅかね……」と諦めたように呟く。

 

 

「もう止めて下さい。犯罪神がどれだけ危険な存在かはあなたも知っている筈です」

 

 

 ネプギアはユニの前に出ると、下っ端に訴えるように言うが、「犯罪神なんざ関係ねぇんだよ!」と下っ端が叫ぶと、ネプギアは「え?」と驚く。

 

 

「アタイはマジック様を生き返らすんだ!」

 

 

 下っ端が叫びながら鉄パイプでネプギアに殴りかかると、ネプギアはビームソードでそれを受け止める。

 

 

「マジック様を生き返らせて、強い者が支配する正しいゲイムギョウ界を作り上げるんだ!」

 

 

 下っ端はネプギアと鍔迫り合いをしながら叫ぶ。

 

ネプギアが、「弱肉強食の世界なんて間違っています。力を持つ者は戦う力の無い人を守って……」と言いかけると、「テメェのその綺麗事ムカつくんだよ!」と下っ端がネプギアを睨みつける。

 

 

「弱肉強食上等じゃねぇか! ゲイムギョウ界は、全ての者が己の欲望を満たすため、知恵と力を鍛え上げて強くなるべきだ! 弱いヤツは強いヤツの糧になるのは当然のこと! 強い者が常に勝ち残る世界、これが正しい世の中のあり方なんだよ」

 

 

 下っ端は興奮気味に言うと、「そんなことさせません! 生まれつき体の弱い人もいるし、戦いには向かないけど他に特技がある人だっています!」とネプギアが言い返す。

 

 

「そういう人達とお互いに足りないところを補い合って、より良いゲイムギョウ界を作る為に、私は女神の力でみんなを守ります!」

 

 

 ネプギアが続けてそう言うと、「るせぇ! テメェみたいに恵まれた環境に生まれたヤツのそういう余裕のある態度見るとストレスが溜まるんだ!」下っ端はそう言うと、鍔迫り合いの隙を付いて、ネプギアの横腹を蹴りつける。

 

 

「あうっ!?」

 

 

 ネプギアがバランスを崩してよろけると、「一人じゃなんも出来ねぇガキが調子こいてるんじゃねぇよ!」と下っ端が鉄パイプでネプギアの頭を殴り付ける。ネプギアは「ぐうっ!?」と呻き声を出して、片膝を落す。

 

 

「ネプギア!」

 

 

 ユニが叫びながら銃を構えると、「待って、ユニちゃん!」とネプギアがユニを制止しながら立ち上がると、「少しだけ、私に少しだけ時間をちょうだい」と仲間達を見る。

 

仲間達はネプギアの真剣な顔に心を打たれて、全員が小さく頷くとネプギアが下っ端と対峙しながら口を開く。

 

 

「確かに私は一人じゃ何もできない、ちっぽけな歯車なのかもしれません。でも、私には仲間が居る。そして信じてくれる人達もいます。その人達と力を合わせればゲイムギョウ界という大きな機械を動かし、それをより良くすることが出来るって信じています」

 

 

 ネプギアの話を聞いた下っ端は呆れたように、「アタイに社会の歯車になれってか? バカにすんじゃねぇ!」と言って地面に唾を吐く。

 

 

「それにテメエ等の作るような世界に、アタイみたいな不良品の歯車の居場所なんかねぇんだよ!」

 

 

 下っ端が叫ぶと、「そんなことはありません! どんな歯車だって適材適所があって、互いに力を合わせられる仲間が見つかれば……」ネプギアがそこまで喋ると、「仲間と力を合わせる? 馬鹿も休み休み言え、他人なんて平気で裏切るんだ」と下っ端が毒づく。

 

 

「だから、誰にも心を許さず、頼れるのは己の力のみなんだよ!」

 

 

 下っ端はそう叫ぶと、再びネプギアに襲い掛かる。

 

 

「くっ!」

 

 

 ネプギアは再びビームソードで鉄パイプを受け止めると、鍔迫り合いには持ち込まずバックステップして後ろに下がる。

 

 

「だからって、マジェコンや違法コピーを使って出来たゲイムギョウ界なんて、ゲームを売るお店も無いし、クリエイターさんだって生きて行けないんですよ! 犯罪組織のせいで、どれだけお店の人とクリエイターさんが飢え苦しんだか知らないんですか?」

 

 

 ネプギアが訴えるように下っ端に言うが、下っ端は鼻で笑い、「だったら、アタイ達犯罪組織が奴隷として飼ってやるよ」と言い放つ。

 

すると、ネプギアが悲しい顔で、「そんな……酷い! クリエイターさん達だって生きているんです! 同じ人間なんですよ!」と叫ぶ。

 

 

「奴隷なんて、そんな酷い環境じゃ、心が荒んで面白いゲームを作ることなんて出来ません!」

 

 

 ネプギアが続けて言うと、「知るか! クソゲーしか作れないクソクリエイター共には、その辺の草でも食わせておけばいいんだよ!」と言い放つ。

 

 

「何でそんなことが言えるんですか!? クリエイターさんは面白いゲームを作ろうと必死に頑張っているんですよ!」

 

 

 ネプギアが声を荒らげると、下っ端は顔を歪めながら、「違うなぁ! 奴らは、いかに手を抜いて楽して金儲けしようってことしか頭の中に無えんだよ!」と毒づくと再びネプギアに鉄パイプで殴りかかる。

 

 

「そんなことはありません!」

 

 

 ネプギアがビームソードで下っ端の鉄パイプを弾くと、二人は激しい打ち合いを始まる。

 

 

「なら、今のゲイムギョウ界の惨状はどう説明するんだよ!? キャラクターだけで中身がスカスカの粗製濫造のヌルゲーばかりじゃねぇか! 中にはデバックすらロクにやらずに修正パッチすら出さねぇトコだってある!」

 

 

 下っ端が鬼の形相でネプギアに打ち込むと、「テメェ等女神が余計な庇護をするから、クリエイター共が堕落してゲイムギョウ界が腐って行くんだよ! そんなぬるい世界をブッ壊して新しい世界を作ってくれるのがマジック様だったんだ!」と続ける。

 

 

「……っ! 仮にそれが本当だったとしても、マジェコンや違法コピーを使ってゲイムギョウ界を壊していい理由にはなりません!」

 

 

 ネプギアが反論しながら下っ端の打ち込みに応戦しつつ、「それに、クリエイターさんは常に面白いゲームを作ろうと日進月歩の努力をしています! もっとよくゲームを見て下さい。それに誰でも失敗はあるんです!」と続ける。

 

 

「それが余計な庇護だって言ってるんだろ! バカが!」

 

 

 下っ端は更に激しく打ち込むと、ネプギアは、「あなただってゲームが好きなはずです! 今ここにあるゲイムギョウ界を信じて下さい!」と必死に訴える。

 

 

「そうだ! アタイはゲームが好きだった! ゲームだけが心の拠り所だったんだ! だが、裏切ったんだ! ゲイムギョウ界はそんなアタイを裏切ったんだ!」

 

 

 下っ端はそう言うと、打ち合いを止めてバックステップをすると後方に下がる。

 

 

「裏切った……?」

 

 

 ネプギアがそう呟くと、下っ端はいきなりコートを脱ぐ。

 

下っ端は自分の灰色の肌を見せつけるように両手を開くと、「見ろよアタイの肌。これ地肌なんだぜ」と自虐気味に言う。

 

次に右手で右耳を引っ張ると、「この尖った耳も生まれつきだ」と続けて言う。

 

 

「こんな姿のアタイを同年代の子供も、その親も教師でさえ、【ドブネズミ】って蔑んだ」

 

 

 下っ端はそこまで話すと、「友達なんて一人もいない孤独な子供時代だった。だが、アタイには拠り所があった。それがゲームだ。アタイは将来ゲームクリエイターになるって夢があった」と話を続ける。

 

 

「アタイは蔑まれながらも必死にバイトして夜間学校に通って勉強をして、ゲーム会社に勤められるだけのスキルを身に付けた」

 

 

 ネプギアを含め全員が下っ端の話を黙って聞いている。

 

 

「だが、殆どの会社がアタイの見た目と夜間学校って学歴を蔑んで、採用しようとしなかった。そしてようやく採用が取れた会社で見たものは、儲けと手抜きばかり優先して、真面目にゲームを作る気がないクリエイターとは名ばかりの糞集団だった」

 

 

 下っ端は、「そんな中でもアタイは面白いゲーム作ろうと必死に努力した。だが周りの奴らはそれをあざ笑い、それどころか邪魔をして、【そんな無駄な努力しなくてもキャラが良ければオタクは買うんだよ】と言い放ちやがった」と言って悔しそうに唇を噛む。

 

 

「アタイは言い返した。こんな手抜きのゲームばかり作っていたら、ゲイムギョウ界がダメになるって」

 

 

 下っ端はそう言うと、自嘲的な笑みを浮かべて、「そしたらアイツ等なんて言ったと思う? 【女神様が守ってくれるから大丈夫だ】ってって笑いだしやがった」と言う。

 

 

「アタイはその場で辞表を叩きつけて退社した。けど、アタイは夢を諦められずに、ネットで有志を募って同人活動を始めた……アタイ達の作ったゲームはイベントでそれなりに売れて、サークルの名声も上がって活動も軌道に乗ってきた」

 

 

 下っ端はそこまで喋ると、また悔しそうに唇を噛み、「だが、名前が売れると同時に仲間だと思ってた奴等も腐っていった!」と叫ぶ。

 

 

「ネームバリューを盾にアタイ以外のプログラマーは手抜きを始め、シナリオ担当はストーリーをおざなりに自分の好きなキャラクターを厚遇した話しか作らず、イラスト担当も好みのキャラクターじゃないと書かないとまで言い出しやがった!」

 

 

 下っ端は怒りを吐き出すように早口で言うと、「アタイは説得した、昔のような情熱を取り戻そうと、皆に喜んでもらうゲームを作ろうと! そうしたら、奴等はアタイをつま弾きにしやがった上に肌の色と容姿を理由にアタイを追い出したんだ!」と続ける。

 

 

「そしてあいつ等は女神に媚びて今も自己満足なクソゲーを量産してる……」

 

 

 下っ端は憎々し気に言うと、「夢も希望も失ったアタイの生活は荒れに荒れて、女神への怨み言を言っては周りの反感を買って喧嘩ばかり繰り返してた」と話を続け、その時の事を思い出したのか下っ端はうつむいてしまう。

 

 

「ある日、アタイは五人の男に喧嘩売ってボコボコにされてた。もう人生もゲイムギョウ界もどうでも良くなっていた、このまま死んだって構わないと思った……」

 

 

 下っ端はそこまで言うと、突然顔を上げて、「そんな時に現れたのがマジック様だ。マジック様は一瞬で奴等を蹴散らして、アタイを助けてくれた」と続ける。

 

 

「アタイは強烈に憧れた、マジック様の強さにも、肌の色がアタイと同じ灰色なのに堂々とした姿に」

 

 

 下っ端はそう力説すると、「アタイは自分でも気付かない内にマジック様の足に縋り付いて、今までの人生で起きたことを全て吐露してた」と話し続ける。

 

 

「話を聞き終わったマジック様は、アタイに言ったんだ。【強くなれ】と。アタイはその場でマジック様に弟子にして欲しいと懇願し、そして犯罪組織に入ってマジック様の強い者が支配するゲイムギョウ界を作るって理念に心から賛同した」

 

 

 マジックの話をするのが楽しいのか下っ端は饒舌になっていた。

 

 

「マジック様の為ならなんだってした。どんな些細な任務でもどんな辛い任務でも、あの方に使えるのは最高の喜びだった」

 

 

 下っ端はそこまで言うと、急に顔を落として暗い顔になる。

 

 

「それを壊したのがテメェだ!」

 

 

 下っ端は怒りの形相でネプギアを睨む。

 

 

「テメェが出てきてから、アタイの任務は失敗ばかり、あろうことかマジック様まで倒しやがった!」

 

 

 下っ端は興奮気味に話し続ける。

 

 

「そして、犯罪神に復活させられたマジック様は何もかもが変わっちまってた! テメェがアタイの夢を踏みにじったんだ!」

 

 

 下っ端は更に激しい怒りをネプギアにぶつけると、「だから、アタイはアタイの知ってる本当のマジック様を生き返らせて、共に新しい世界を作るまで諦めねぇ!」と叫ぶ。

 

 

「それなら、今から! 今からでも、私にあなたを救わせて下さい! 遅いかもしれないけど、一度だけでいいです。私にあなたを救うチャンスを下さい!」

 

 

 ネプギアが下っ端に真剣に訴えると、「ざけんな! だったら……だったら……何であの時アタイを助けなかった!!」と下っ端は憎しみを込めてネプギアを睨む。

 

 

「ガキどもに罵られて、理不尽な暴力振るわれている時も! ただ面白いゲーム作りたくて、必死に頑張ってた時もテメエ等はアタイに何もしてくれなかった!!」

 

 

 下っ端は吐き捨てるように言うと、「信者なんて自分達に都合のいい奴等だけ救って、アタイ達には見向きもしない! それがテメエ等女神の本性だろうが!!」と大声で叫ぶ。

 

 

「テメェ等が作る世界は、女神どものディストピアだ! 女神に媚びを売る豚だけが栄えて、真面目にゲームを作ろうとする奴らは豚共に搾取されるだけなんだよ!」

 

 

 怒りの形相で下っ端が叫ぶと、ネプギアは、「あなたは人の良くないところばかりを目にしてきてしまったのかもしれません。でも、世界はそんな人ばかりじゃないんです! 善い人や優しい人だってたくさんいるんです!」と下っ端に向けて叫ぶ。

 

 

「夢見てんじゃねぇ! テメェの脳ミソはお花畑か!? 人間なんて、肌の色や見た目がちょっと違うだけで、簡単に差別や迫害するんだよぉ!」

 

 

 下っ端が憎々し気にネプギアを睨みながら指を指すと、「わからねぇだろうな! 生まれた時から女神なんて、チヤホヤされてきたテメエには!」と吐き捨てるように言う。

 

 

「テメエみたいな安全で恵まれた環境から綺麗事並べる偽善者や、テメエの姉貴みたいな女神のクセに何の努力もせずに、生まれてきた立場にあぐらかいて、悠々自適に遊んでる奴等見るとブッ殺したくなるんだよ!!」

 

 

 下っ端がそう絶叫すると、ネプギアは真剣な声で、「人々が悪い固定観念や偏見を改めて、寛容と謙虚の心でゲイムギョウ界全体の発展と幸福を考えてくれる世界を作れる方法があるかもしれません。それを一緒に探しましょう!」と訴え返す。

 

 

「さっきから、下らねぇ夢物語をベラベラと……テメェは宗教の勧誘かなにかか? んな出来もしない机上の空論より、強い者が支配する世界の方がシンプルで手っ取り早いんだよ!」

 

 

 下っ端が言い返すと、「人は少しづつ、少しづつですが変わっていけます! 現に人は歴史の中で変わって行って、今は平和にゲームを楽しめる幸せがあります!」とネプギアが更に言い返す。

 

 

「そんなもん待ってられるかよ!」

 

 

 下っ端が唾を吐く、「私達の時代では難しいとしても、次の世代に受け継いでいけば……」とネプギアがそこまで言うと、「次の世代なんざ知るか! そういう余裕のある態度が気に入らねぇって言ってるんだろ、ボケが!」と下っ端がネプギアを罵る。

 

 

「もう、終わりにしましょう。これ以上は時間の無駄よ。あなたの理想は立派だとは思うけど、悪党に寛容とか謙虚なんて身に付かないわ」

 

 

 ニトロプラスがネプギアの前に出て冷静な声で言うと、下っ端に、「あなたの境遇には同情はするけど、だからと言って犯罪に手を染める理由にはならない。それにあなたより重いハンデを背負いながらも真面目に生きてる人もいる」と冷たい声で言い放つ。

 

 

「ああ、そうだな。アタイはこの世間知らずのガキに、正義の味方気取りで弱者を庇ったつもりでも、そいつは弱者の皮を被った糞野郎で、下種なやり方で本当の弱者を苦しめてることだってあるんだってことを教えてやりたかったんだよ」

 

 

 下っ端はもう一度ネプギアを睨みつけると、コートを着て鉄パイプを構え、「諦めねぇ。マジック様を復活させるんだ」と刀を構えて戦闘態勢に入っているニトロプラスと対峙する。

 

 

「待ってください!」

 

 

 ネプギアは必死に声を絞り出すが、ニトロプラスは冷たい声で、「助命なら聞かないわ」と突き放すと、「コイツは悪しき妄執に憑りつかれている。ここで死んだ方が、コイツにとってもゲイムギョウ界にとっても幸せなのよ」と続けて言う。

 

 

ドオオオオオオオン!!

 

 

 突然大きな破壊音が聞こえてくる。

 

 

「なになに? 何が起きたの?」

 

 

 ラムが慌てて首を左右に動かすと、「大きな音(びくびく)」とロムが怖がる。

 

 

「今の音は壁が壊れた音かな?」

 

 

 ビーシャがそう言うと、「それも何か所か同時に」とファミ通が続けて言う。

 

ファルコムが突然険しい顔つきになって、「何か来る……1……2……10体」と数を数え始めると、「囲まれてる……」と呟く。

 

 

「犯罪組織の援軍?」

 

 

 日本一が質問すると、ゴッドイーターが真剣な顔で首を横に振る。「この雰囲気、人じゃないよ。それにただのモンスターでも……アラガミかそれに近い何か……」と緊張しながらも神機を構える。

 

 

「嫌な予感がしますの……」

 

 

 がすとが不安そうな顔をすると、「みんな方円陣で迎え撃って!」とファルコムが叫ぶ。

 

同時にネプギア達は、下っ端と対峙しているニトロプラスを除いて、円を描くように配置する。

 

 

「ニトロプラスさん!」

 

 

 ネプギアは心配そうにニトロプラスに呼びかけるが、「コイツを生かせば後の禍になる。この場で断つ」とニトロプラスは下っ端を倒すことに集中している。

 

しかし、突如ニトロプラスの側に薄切りロースのような生肉に可愛らしい顔が書いてあるような生き物が現れる。

 

 

「この匂い……」

 

 

 生肉が呟くと、直ぐに厳しい表情になって「ニトロちゃん、こんな奴にかまってる場合じゃないにく!」と叫ぶ。

 

ニトロプラスは驚きの表情で、「どういうこと? 生肉」と尋ねる。

 

この生き物の名前は、ニトロプラスの言うようにそのまま【生肉】。

 

ニトロプラスのパートナーで口下手なニトロプラスに代わって色々と説明をしてくれる。

 

 

「深きものにく! この肉の匂いは深きものの匂いにく!」

 

 

 生肉がそう言うと、「なんですって!」とニトロプラスが叫び、下っ端を一瞥すると、「チッ」と舌打ちをして、ネプギア達の方に走って行くと方円陣に加わる。

 

 

「気をつけて敵は手強いわ」

 

 

 ニトロプラスが手短に仲間達に言うと、「何か知っているの?」とアイエフが怪訝な顔で質問する。「後で話すわ。今は敵を倒すことに集中して」とニトロプラスが答える。

 

陣形は、北はネプギアがユニとニトロプラス、南はファルコムがビーシャとアイエフ、東は日本一とラムとがすと、西はファミ通とゴッドイーターとイストワールで形成され、方円陣の中に居るロムとコンパが回復をする為に待機している。

 

プラエは方円陣の中に入っており状況に合わせて時間操作を行う為に待機して、ミクも同じく方円陣の中で歌で援護、あんみつは突破された時の為の護衛として方円陣の中で待機していた。

 

 

「……お魚っぽい匂いがするです……」

 

 

 コンパが呟く。

 

コンパの言う通りネプギア達の鼻には魚の生臭い臭いが漂っていた。

 

 

「なにあれ? 気持ち悪い……」

 

 

 目の良いスナイパーのユニが嫌悪感丸出しの表情を浮かべると、「カエル? それとも半魚人?」と呟く。

 

 

「半魚人? まさか……」

 

 

 イストワールが驚きの表情を浮かべると同時に、【びちゃびちゃびちゃ!!】激しい水の音と共に、2m以上の巨大な人影が四方からネプギア達に、もの凄いスピードで迫ってくる。 

 

 

「な、ななななんですか、あれはー!」

 

 

 その姿を見たコンパが顔を青くして驚く。

 

人の姿はしているが、カエルのような顔をして、体は魚の鱗に覆われて、手足には水かきが付いている。

 

一言で言うと人の形をしたグロテスクな魚で、ユニの言う通り半魚人そのものであった。

 

全身が水で濡れているようで、ヌメヌメとしたその姿は不気味さに拍車をかけていた。

 

そのグロテスクな生き物が四方から二体ずつ尾を引きずるように走ってくる。

 

 

「ひっ……」

 

 

 半魚人の姿を見たミクが恐怖のあまり青ざめて歌を止めてしまう。

 

 

「ミクさん、しっかりして! プラエが……みんながついてるから!」

 

 

 プラエがそう言ってミクを励ますと、「ご、ごめんね。そうだね、ネギちゃん達が付いてるよね!」とミクは再び歌い始める。

 

ネプギア達にどんどん近づく半魚人の群れ。

 

 

「キモいわね!」

 

 

 ユニがポーチからバズーカ砲を取り出し、狙いを付けて半魚人に向けて放つと、方円陣の反対にいたビーシャもバズーカ砲を構えて、「このぉ! カエルの目か魚の目なんか!」と叫んでバズーカ砲を撃つ。

 

 

「ぐふぅ~!」

 

 

 それぞれの弾頭が当たった半魚人は苦悶の声を上げながら、1200前後のダメージを受け、隣に居た半魚人も爆発で1000前後のダメージを受ける。

 

 

「ぐああーー!」

 

 

 しかし、半魚人達は猛然と走ってくる。

 

 

「やはり残党の雑魚どものようにはいかないか!」

 

 

 ニトロプラスが拳銃を構えて連射すると、反対側に居たアイエフも、「食らいなさい」と同じく拳銃を連射する。

 

 

「ぐぅぅ!」

 

 

 半魚人はそれぞれ1000前後のダメージを受けるが、それでも走り寄ってくる。

 

 

「しつこいですの!」

 

 

 がすとがメガフラムを投げ、反対側にいたゴッドイーターが神機を銃形態にすると、「このこのっ!」と銃を連続で放つ。

 

 

「ガアアアアア!」

 

 

 がすとのメガフラムの爆発に巻き込まれた半魚人は900近いダメージを受け、ゴッドイーターの弾が当たったものは987のダメージを受けるが、その動きは未だに止まらない。

 

 

「電撃よ、我が手に宿り敵を滅ぼせ! サンダーボルト!」

 

 

 詠唱の終えたラムが魔法を放ち、その反対側に居たイストワールも、「……我が記憶に眠る荒れ狂う雷雲よ……その力を持って、敵を貫け……雷の記憶!」と同じく魔法を放つ。

 

 

「ぐぅぅ!」

 

 

 半魚人はそれぞれ1500以上のダメージを受けるが動きは止まらず、半魚人達は方円陣の間近まで迫って来ていた。

 

 

「まだ止まらない!?」

 

 

 ネプギアは驚いたように言うと、接近して来た二体の半魚人の前に立ちはだかる。

 

 

「かなり硬いね」

 

 

 反対側にいたファルコムも同じように向かって来た二体の半魚人立ちはだかると、「でも、ヒーローは退かないよ!」と日本一も前に出て、その反対側のファミ通は、「記事にするには気持ち悪い相手だなー」と言ってそれぞれ二体の半魚人と対峙する。

 

 

「うがーーー!」

 

 

 半魚人一体がネプギアに殴りかかる。

 

 

「はっ!」

 

 

 ネプギアは左手の魔法陣で防御するが、145のダメージを受けHPが二割程減少する。

 

 

「ぶるるるる!」

 

 

 少し後方に居たもう一体の半魚人が呻き声を上げると、半魚人の手から出た黒い塊がネプギアに向かって飛んで来る。

 

 

「くっ!」

 

 

 ネプギアは素早く態勢を変えて、先程と同じように左手の魔法陣で防御し、ダメージを165まで抑えるがHPゲージは四割以上減少してしまう。

 

 

「ネプギアちゃん、回復するよ」

 

 

 方円陣の中で詠唱を終えて発動待機していたロムが素早く回復魔法を発動すると、ネプギアのHPゲージが満タンまで回復する。

 

 

「ありがとう、ロムちゃん」

 

 

 ネプギアはロムにお礼を言いながら、再び殴りかかって来た半魚人の懐に潜り込むと、「フォーミュラーエッジ!」と連続斬りを食らわせて、1235のダメージを与える。

 

同時にユニが、「いいわよ、ネプギア!」と言いながらライフルを撃って援護する。

 

 

「ぐあっ!」

 

 

 ヘッドショットを受けた半魚人は1421ダメージを受けて仰け反り、更にニトロプラスが「消えろ」と拳銃を連射し1035の追加ダメージを与える。

 

二人の援護の隙にネプギアはバックステップで素早く距離を取ると、「女性型の敵は闇属性の魔法を使います、注意して下さい!」と仲間達に伝える。

 

半魚人はよく見れば、体格の大きい男性型と乳房のある女性型がいた。

 

ネプギアに魔法を放ったのは女性型の方で、闇属性の【ブレイク】という魔法だ。

 

半魚人達は男女でチームを組んでネプギア達を四方から囲んだようだ。

 

 

「了解!」

 

 

 ファミ通は返事をしながら、自分と対峙していた男性型の半魚人を武器で殴ると841ダメージを与えると同時にノックバックをさせる。

 

 

「ぶるるるる!」

 

 

 同時に女性型の半魚人がブレイクの魔法を放つ、「読み通り!」ファミ通は横ステップを踏むと、avoidの表示が出てブレイクの魔法を華麗に避ける。

 

 

「ネプギア様のアドバイスのおかげだね!」

 

 

 ファミ通は嬉しそうに言いながら、女性型の半魚人に向かって走るが、「シャアア!」と男性型半魚人が雄叫びを上げると同時に、口からカエルの舌のような細長い物体がファミ通に向かって伸びてくる。

 

 

「うそっ! 格闘だけじゃないの!」

 

 

 男性型は格闘だけと思っていたファミ通はノックバックしたから攻撃は届かないと判断していたが、予想外の攻撃で慌ててしまう。

 

 

「ファミ通さん!」

 

 

 イストワールが叫ぶと同時に半魚人の舌はファミ通の足にグルグルと巻き付く。

 

 

「しまった……」

 

 

 ファミ通が声を上げると同時に、男性型の半魚人は舌を戻すと引き寄せられて飛んできた無防備のファミ通の腹を思いっきりパンチで殴ってくる。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 クリティカルヒットが出てしまい、425のダメージを受けたファミ通のHPが七割以上減少した上に、女性型の半魚人が「ぶるるるる!」とブレイクの魔法でファミ通を追撃してくる。

 

 

「危ない!」

 

 

 その瞬間ゴッドイーターが飛び出し、ファミ通と女性型の半魚人の間に立つと円盾を構えて、ブレイクの魔法を防御する。

 

ゴッドイーターは133のダメージを受けてHPが三割ほど減少をするが、怯まずにファミ通を助けに走る。

 

しかし、男性型の半魚人は舌で宙づりにしたファミ通にもう一度攻撃をしようとパンチの構えを取る。

 

 

(間に合わない!)

 

 

 ゴッドイーターがそう思った瞬間だった。

 

 

「時間さん!」

 

 

 プラエがゴッドイーターに時間を速くする超能力を使う。

 

同時にゴッドイーターの動きが速くなり、ゴッドイーターには半魚人の動きがスローモーションに見えるようになった。

 

 

(これならっ!)

 

 

 そう思ったゴッドイーターが、「やああああ!」と素早く踏み込むと、ロングブレードを振り、ファミ通の足を捕らえている男性型の半魚人の舌を切り裂く。

 

 

「ぐああああ!」

 

 

 舌を引き裂かれた男性型の半魚人が悲鳴を上げると同時に、宙づりになっていたファミ通が地面に落ちる。

 

 

「助かったよ、ありがとう」

 

 

 ファミ通はゴッドイーターお礼を言うが、舌を斬られた半魚人は逃がさないと言わんがばかりにファミ通に襲い掛かる。

 

 

「我が記憶に眠る荒れ狂う暴風よ……敵を吹き飛ばせ……風の記憶!」

 

 

 詠唱の終えたイストワールが魔法を放つと、イストワールの両手から竜巻が起こり男性型の半魚人を巻き込んで吹き飛ばすと、1354のダメージを与える。

 

【風の記憶】は風属性の魔法攻撃で竜巻によるノックバックの効果もある。

 

 

「ファミ通さん、今の内に後退して回復を! ゴッドイーターさんは前衛をお願いします!」

 

 

 イストワールが指示すると同時に、ファミ通は方円陣の中に入り、ゴッドイーターは二体の半魚人と対峙するように立ちはだかる。

 

 

「今、治療しますー」

 

 

 コンパがファミ通の治療を始めると、「みんな、口から出してくる長い舌に気を付けて」とファミ通が仲間達に警告する。

 

 

「サンキュー!」

 

 

 日本一が返事をすると同時に、日本一と対峙していた男性型の半魚人が「シャーーー!」と口を開けて舌を伸ばしてくる。

 

 

「見切った!」

 

 

 日本一がしゃがみ込みと、avoidの表示が出て避けると同時に、「ジャスティスソーーーード!」と叫んで右手に現れた剣で伸びた舌を切り裂く。

 

 

「ガアアアアア!」

 

 

 男性型の半魚人が悲鳴を上げると、今度は女性型の半魚人がブレイクの魔法を放って来る。

 

 

「それも見切ってるよ!」

 

 

 日本一は横ステップを踏むと、avoidの表示が出て魔法を避け、「クイックドロー!」と言って素早くプリニーガンを抜いて女性型の半魚人に三連射を撃つと、1321のダメージが当たる。

 

 

「ダイオクラフトですの!」

 

 

 がすとが円形の物体を男性型の半魚人に投げると、爆発を起こし545のダメージを与えると同時に毒ゲージが半分近く溜まる。

 

【ダイオクラフト】は毒の追加効果を持った錬金術で作る爆弾。

 

 

「闇の底に眠る悪しき毒よ! 我が敵を蝕め! ヴェノムマジック!」

 

 

 今度は詠唱を終えたラムが魔法を放つと黒い霧が男性型の半魚人を包み879のダメージを与え、更に毒ゲージが満タンになり、半魚人のHPジワジワと減って行く。

 

【ヴェノムマジック】は闇属性で毒の追加効果がある攻撃魔法。

 

 

「よし! 一気に押し込むよ!」

 

 

 日本一が意気込むが、「待つですの。こっちはゴッドイーターみたいに前衛に出てフォローできないから慎重に攻めるですの」とがすとが止めてくると、「そうよ、日本一が抜かれたらどうするのよー」とラムもがすとに同意する。

 

 

「ちぇー、わかったよ」

 

 

 日本一は不満そうにするが、二人の指示に従い男性型の半魚人と対峙しつつ、女性型の半魚人の魔法を警戒し、慎重な姿勢を取る。

 

 

「手強いけど、何とかなりそうだね」

 

 

 ファルコムが二人の半魚人を蹴散らしながら言うと、「アンタ、本当に強いわね」とアイエフが呆れ、「わたしの出番全然ないよー」とビーシャが嘆く。

 

 

「そんなことないさ、二人の援護は凄くありがたいよ」

 

 

 ファルコムはそう言いながら、男性型の半魚人に素早く踏み込むと、「魔法剣、ライトニング!」と叫んで切り裂くと1645のダメージが当たる。

 

【魔法剣、ライトニング】は雷属性を帯びた斬撃。

 

 

「HP解析完了。推定4万です」

 

 

 ネプギアの頭にNギアで解析した半魚人のHPデータが音声で送信されて来る。

 

 

「みんな、敵のHPは4万。手強いけど落ち着いて対処すれば大丈夫だよ」

 

 

 ネプギアが仲間達にそう伝えると、「「おー」」と仲間達から返事が返って来る。

 

その時、ネプギアの視界の先には半魚人二体に壁際まで追い詰められている下っ端とワレチューの姿が見えた。

 

 

「くそぉ……何なんだよコイツ……ハンパじゃなく強えぞ……」

 

 

 下っ端がゼイゼイと荒い呼吸を吐きながら鉄パイプを杖がわりにして立ち上がる、「これはマズいっちゅよ……」とワレチューもかなりバテているようだ。

 

 

「シャーーー!」

 

 

 いきり立った女性型の半魚人のが口を開くと、カエルのような長い舌が飛び出て下っ端に向かって来る。

 

 

「ヤベぇ!?」

 

 

 下っ端は抵抗する間もなく上半身をグルグル巻きにされると、「テメェ放せ! 放せって言ってんだろ!」とジタバタもがくが、女性型の半魚人は勝ち誇ったように、舌の先で下っ端の頬を舐める。

 

 

「うげっ……気持ち悪ぃ……」

 

 

 下っ端が嫌そうな顔をすると、もう一体の男性型の半魚人が楽しそうに下っ端のズボンに手を掛ける。

 

 

「な、何するつもりだ! テメ、ふざけんな!」

 

 

 下っ端は足をバタバタさせて抵抗するが半魚人は止まらない、「止めるちゅ! そんなことしたらR18になってしまうちゅ! それに下っ端なんて需要ないちゅよ!」とワレチューが必死に止めに入るが、男性型の半魚人に踏まれて、「ぐぎゅっ!」と悲鳴を上げる。

 

 

「ぐはぁ~」

 

 

 半魚人がいやらしい顔で下っ端のズボンを思いっきり引っ張る。

 

 

「やめろーーーーーー!」

 

 

 下っ端が目を閉じて悲鳴を上げる、(なんで! なんでだよ! なんでアタイばっかり、虐げられて、裏切られて、最後はこんな化け物にヤられちまうのかよ……)下っ端は目を閉じながら我が身を呪った。

 

 

 その刹那、白い光が半魚人の真横に迫る。

 

 

「ミラージュダンス!」

 

 

 白い光はそう叫ぶと、華麗に踊るように半魚人を連続で斬りつけ、最後に斬り抜けると、素早く振り向いて「M.P.B.L!」と叫ぶ。

 

同時に、ピンク色のビームが半魚人を貫く。

 

 

「ぐわあああああ!!」

 

 

 不意打ちを受けた男性型の半魚人はハイドアタックとなり、更にクリティカルヒットで合計43540のダメージを受けると、水のようになって崩れ落ちると水たまりになる。

 

 

「ラジカルセイバー!」

 

 

 白い光は続けて飛び上がると、強烈な縦斬りで残った女性型の半魚人の舌を切り裂く、同時にグルグル巻きにされていた下っ端は解放され、地面に尻もちを付く。

 

 

「なっ……何でテメェが……」

 

 

 下っ端が驚いて見上げた先には変身したネプギア、パープルシスターが下っ端を守るように半魚人と対峙していた。

 

 

「私は女神です。困っている人や助けを求めている人がいたら救いに行きます。それが誰であろうとも」

 

 

 ネプギアが凛とした声で答えると、「それに、私はあなたを救うと約束しました」と続ける。

 

 

「アタイは約束なんてしてねぇ……テメェが勝手に言っただけだろうが……」

 

 

 下っ端は震える声で、やっとの思いで反論すると、「そうですね。私があなたを救いたくて勝手にやっていることです」とネプギアは落ち着いた口調で言うと、残った女性型半魚人に立ち向かって行く。

 

 

「今の内に逃げるちゅ!」

 

 

 男性型の半魚人を倒したことで解放されたワレチューが下っ端のコートを引っ張りながら言うと、「あ、ああ……」と下っ端はノロノロとだが立ち上がろうとする。

 

 

「なにグズグズしてるちゅか! マジック様を生き返らせるんじゃないちゅか!」

 

 

 ワレチューが激を入れると、下っ端は、「あったりめぇだ!」と勢いよく立ち上がり、半魚人と戦うネプギアを睨みつけて、「礼は言わねぇぞ! いつかテメェ等だって、絶対ブッ殺してやるからな!」と言ってワレチューと一緒に走って逃げ去って行く。

 

 

「あれでよかったの? あいつ、この先だって悪事を働いて人を泣かすわ、あいつはここで死ぬべきだったのよ」

 

 

 遠くで半魚人と戦っているニトロプラスが訝しげに言うと、「正しいとは言えないわ。だけど、アタシはネプギアのことを信じて支えてあげたいの」とブラックシスターに変身したユニが答える。

 

 

「わたしもネプギアちゃんのこと信じてる。ネプギアちゃんの力になってあげたい」

 

 

 その隣に居た、ホワイトシスターに変身したロムも答えると、「そうよ。ネプギアは誰よりも優しいんだから」と同じくホワイトシスターに変身したラムが答える。

 

ネプギアが下っ端のピンチに仲間達にその場を任せて変身して、下っ端を助けに行くと、ユニもロムもラムもネプギアが抜けた分をフォローする為に変身をしたのだ。

 

そして、ネプギアの代わりにニトロプラスが前衛に出て、方円陣の中に居たロムがニトロプラスの代わりに援護に入ったのだ。

 

 

「マルチプルビームランチャー・オーバードライブ!!」

 

 

 ネプギアはそう叫ぶと、女性型の半魚人の懐に一瞬で潜り込み、「全力で切り抜いて!」と言いながらM.P.B.Lのブレード部分で斬りつけた後に素早く斬り上げて、半魚人を上空に吹き飛ばす。

 

ネプギアは目に映るレティクルを吹き飛ばした半魚人に合わせると、「全力で撃ち抜きます!」と叫ぶと同時にトリガーを引いて銃口からビームを連射させ、その全てが命中した半魚人は衝撃で更に上空に浮かされる。

 

ネプギアは続けて空中の半魚人目掛けて飛び上がると、もの凄いスピードで半魚人に接近し、「ていっ!」と掛け声と共にM.P.B.Lのブレード部分を半魚人に突き刺す。

 

M.P.B.Lに突き刺された半魚人は、球状のフィールドに拘束されて空中に静止する。M.P.B.Lのブレードを引き抜き地上に降り立ったネプギアは、「この瞬間を待っていました!」と空中の半魚人に向けてM.P.B.Lを向ける。

 

レティクルの照準を半魚人に合わせたネプギアがトリガーを引くと同時に、巨大なエネルギの奔流が半魚人を襲いクリティカルヒットで91452のダメージを当たり、オーバーキル×2の表示が現れ半魚人は空中で水のようになって崩れ落ちる。

 

ネプギアの放った攻撃は、【プラネティックディーバー】と名付けた彼女の必殺技で、怒涛の連続攻撃から強烈なトドメの一撃を繰り出す。ちなみに変身前と変身後では武器の性質が変わるので攻撃パターンが変わる。

 

 

「ふぅ……」

 

 

 二体の半魚人を倒したネプギアは安堵の溜息を吐くと、「こっちも終わったわ」とユニが近づいて来る。

 

 

「ありがとう、ユニちゃん、それにロムちゃんにニトロプラスさんも」

 

 

 ネプギアがお礼を言うと、ロムは嬉しそうに、「ネプギアちゃんの力になれて嬉しい」と言うが、ニトロプラスは疲れたように溜息を吐くと、「あなたの理想は立派だとは思うけど、人の上に立つならば、時には腐ったみかんを捨てる勇気も必要よ」と言う。

 

 

「わかっています。でも、私は信じたいんです、人はやり直せると……ゲームが好きだと言ったあの人の心は完全に腐ってはいないと」

 

 

 ネプギアはニトロプラスにそう答えるが、「ですが、彼女によって危害を加えられる人がこの先も出てきますよ」とイストワールが忠告してくる。

 

 

「私が責任を取ります!」

 

 

 ネプギアが力強く言うと、「仕方ないわね。付き合ってあげるわ」とユニが言い、「そうよ、わたし達だって手伝うわ」とラムが言い、「うん、ネプギアちゃんを手伝う」とロムがそれに続く。

 

更にプラエが、「プラエはそのお手伝いをする為にいるんだよ」と微笑み、ファルコムも、「あたしも手伝うよ」と続き、「更生した敵が正義のヒーローのピンチに助けに来るって展開燃えるよねー」と日本一も嬉しそうに言う。

 

アイエフも、「仕方ないわね。私も出来る限り手伝うわ」と言い、コンパも「ネズミさん、いい子に変えてあげるです」と言い、「そうだね、チューコの為にもね」とビーシャが言う、「私も手伝うから、最後まで諦めちゃダメだよ」とゴッドイーターが言う。

 

がすとが呆れながら、「みんなお人好しですの」と言うと、「えー? がすとは手伝ってくれないのー?」と日本一が不満そうに言うが、「後で追加料金をもらいますの」とがすとがニヤリと笑うと、「がすとは素直じゃないなー」と日本一が笑う。

 

 

「はぁ……仕方ないわね」

 

 

 ニトロプラスが諦めたように溜息を吐くと、「協力はするけど、ダメだと思った時は斬らせてもらう」と言い、「そうですね。私も協力はしますが、もしもの時はネプギアさんに恨まれてでも彼女を討ちます」とイストワールが続く。

 

 

「みんな、ありがとう!」

 

 

 ネプギアは仲間達にお礼を言う。

 

そんな中、あんみつは下っ端の去って行った方向を複雑な表情で見ていた。

 

 

(……彼女を死なすわけには行かない。彼女を死なせてしまえばプロテノール様に申し訳が立たない……)

 

 

そしてネプギア達は変身を解いて仲間達と共に下っ端とワレチュー以外の犯罪組織の残党は拘束してプラネテューヌの警察に引き渡した後にギャザリング城に戻って行った。

 

 

***

 

 

 お昼前にギャザリング城に戻って来たネプギア達は、入り口でフィナンシェに出迎えを受けていた。

 

 

「おかえりなさいませ。お食事の用意はできております」

 

 

 フィナンシェが丁寧に一礼して言うと、「わーい」とラムが嬉しそうに走って食堂に向かい、「お腹空いちゃった(ぺこぺこ)」とロムがその後を追う。

 

 

「みんな、さっきの敵のことで話があるから、食事が終わったら広間に集まって」

 

 

 ニトロプラスが仲間達に向かって言うと、「わかりました」とネプギアが答え、他の仲間達も了解をする。

 

食事を終えたネプギア達は各人一旦部屋に戻ってから、広間に集合することになり、ネプギアは一足先に広間の椅子に座り、Nギアを操作していた。

 

その隣にはユニも座っており、同じく、U.N.Iの操作をしている。

 

 

「なんだろうこれ?」

 

 

 ネプギアは不思議そうに呟くと、「ユニちゃん、これ何だと思う?」とNギアの画面をユニに見せる。

 

ユニは画面を見ながら、「どこ?」と質問すると、ネプギアは画面の中央を指差し、「ここ、スキルの欄」と言うと、「さっきの戦闘でレベルが上がって、新しいスキル覚えたんだけど、名前のところが【????】になってるの」と説明をする。

 

 

「本当ね。なにこれ?」

 

 

 ユニはネプギアが指差したところの【????】の表示を見ながら不思議そうに首を傾げると、「分からない。どうしたらいいかな?」とネプギアが質問する。

 

ユニは、右手をあごに当てながら考え込むと、「アクティブスキルじゃなさそうだし、パッシブスキルかしら?」と呟く。

 

【アクティブスキル】とは、剣技や魔法などを自分が行動をして発動させるスキル。ネプギアの使うヒールやユニの使うウィークネスバレットがこれに当たる。

 

【パッシブスキル】とは、取得するだけで常に効力が発揮され続けたり、条件を満たすと効力が発揮するスキル。ネプギアのガッツなどがこれに当たる。

 

 

「条件を満たさないと名前も分からないのかな?」

 

 

 ネプギアがやや不安そうに言う、「とりあえず、体に変なトコはないんでしょ?」とユニが質問すると、ネプギアは、「うん」と頷く。

 

ユニは、「それなら、しばらく様子を見ましょ。何かあったら、アタシがフォローするわ」とネプギアの不安を払拭させるよう、明るく力強い色で言う。

 

 

「うん、そうするよ。ありがとう、ユニちゃん」

 

 

 ネプギアはユニのアドバイスで不安が晴れたのか、明るい声でユニにお礼を言う。

 

 

***

 

 

 暫くすると、ニトロプラスの話を聞きに仲間達が広間に集まる。

 

フィナンシェが各人にお茶を配ると、一礼して席を外す。

 

 

「それじゃあ、話をはじめるわ」

 

 

 ニトロプラスがそう言うと、「早速だけど、あの半魚人は何なの?」とアイエフがニトロプラスに質問し、「アイツ等は【深きもの】と呼ばれる現実世界に棲んでいた邪神の手下よ」とニトロプラスが答える。

 

 

「現実世界……ですか?」

 

 

 コンパが不思議そうな顔をすると、「魔界や天界とは違うの?」と日本一が質問すると、「ええ、零次元とかの別の次元とも違う、あたし達の住んでいる世界より、もっと高位の次元よ」とニトロプラスが答える。

 

 

「大きいお姉ちゃんが見つけた【VR次元】でゲイムギョウ界と交わった世界のことですよね」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「ええ、そうよ。【プレイヤー】又は【導き手】と呼ばれる人達が住んでいる世界。それが現実世界」とニトロプラスが答える。

 

ネプギアの言う、大きいお姉ちゃんとはネプテューヌと同じ名前の上に姿もソックリで、ネプテューヌをそのまま大きくした感じの女性だ。

 

ネプギアは零次元で起きた事件の際に彼女と知り合い、彼女のことをネプテューヌと同じくお姉ちゃんと呼んでいる。

 

そして、大きいネプテューヌは彼女のパートナーであるクロワールの次元間移動能力を使って様々な次元を旅している。

 

彼女が次元を旅している内に見つけたのが、ネプギアの言う現実世界とゲイムギョウ界が交わったVR次元と呼ばれる世界だ。

 

 

「へぇ……そんな世界があるんだ。あたしも旅してみたいな」

 

 

 ファルコムが興味深そうに言うと、「残念だけど、今のところVR次元に行けるのはお姉ちゃん達守護女神だけよ。アタシ達、女神候補生も行けないんだから」とユニがファルコムに説明する。

 

ユニの言う通り、今のところVR次元に行けるのは、イストワールの次元間移動能力で移動する四人の守護女神とクロワールの次元間移動能力で移動する大きいネプテューヌだけである。

 

 

「そーそー! お姉ちゃん達だけズルいよね」

 

 

 ラムが不満そうに頬を膨らませると、「ずるい(ぷぅ)」とロムも不満そうに頬を膨らませる。

 

 

「不満は分かりますが、VR次元での過度な干渉で現実世界に悪影響を及ぼすのを避ける為です」

 

 

 イストワールが説明をするが、「えー? ネプテューヌちゃんみたいな、トラフグメーカーな人が行ってるのにー?」とラムが口を尖らせ、「はりせんぼん(ぶくー)」とロムも更に頬を膨らませるが、「トラフグじゃなくて、トラブルよ」とユニが訂正を入れる。

 

 

「あはは……でも、お姉ちゃんもそこは弁えてると思うから」

 

 

 ネプギアは困った顔でフォローするが、少々自信が無いらしく、「……多分」と付け加えてしまう。

 

 

「ニトロプラスは何でそんなことを知ってるの?」

 

 

 ファミ通がニトロプラスに質問をすると、ニトロプラスは携帯端末を操作してインベントリから一冊の本を取り出すと、「これに書いてあったのよ」と答える。

 

 

「それは、魔導書ですの?」

 

 

 がすとが興味深そうに質問すると、「ええ、このルルイエ異本には現実世界の神との戦いに敗れた邪神が、この超次元のゲイムギョウ界に封じられていると書かれているの」とニトロプラスが答える。

 

 

「そんなのどこで手に入れたの?」

 

 

 ビーシャが質問すると、「あたしの故郷のぴーしー大陸では、魔導書を使って機械神と呼ばれる巨大ロボットを呼び出す魔術があるの」とニトロプラスが答える。

 

 

「ロボット! 巨大ロボットですか!? その話詳しく! もっと詳しく聞かせて下さい!!」

 

 

 ニトロプラスが答えた瞬間、ネプギアが普段の彼女からは想像が出来ない興奮ぶりで勢いよくニトロプラスに詰め寄る。

 

クールなニトロプラスも、「えっ……?」と目が点になってしまう。

 

 

「動力は? 材質は? 武装は? リアル系ですか? それともスーパー系? あと変形とか合体しますか? それと私でも使えますか?」

 

 

 目を輝かせて矢継ぎ早に質問するネプギアに、「えっと……高位の魔術師と力ある魔導書が揃ってなければ扱えないから……」とニトロプラスはたじろきながらも説明をするが、その様子を見たゴッドイーターは、「……ドン引きですね」と苦笑いをする。

 

 

「はい、そこまで!」

 

 

 ユニはそう言って素早くネプギアに近づくと、彼女の頭を【ペシン】と軽く叩き襟首を掴んでニトロプラスから離すと、「ニトロプラスさん、本筋の方進めて下さい」と言う。

 

 

「うわーん! ユニちゃんのいぢわるーーー!」

 

 

 子供のように駄々をこねながらユニに引きずられるネプギアに、生肉が飛んで近づいていき、「後で詳しく教えてあげるにくー」と言う。

 

すると、「ホントですか!」とネプギアが目を輝かせ、「わたしも知りたーい!」とビーシャが手を上げる。

 

 

「こほん……」

 

 

 ニトロプラスは小さく咳払いをすると、「そういう魔術があるから、魔導書も豊富にあって、これはその中でも特別に力のある書なの」と説明を続ける。

 

 

「これには、邪神は強大な力を持っていて、目覚めれば現実世界が滅ぶと書かれているわ。現実世界の滅びはゲイムギョウ界の滅びでもある。あたしは生肉からそれを聞いて、この邪神を目覚めさせない方法を探しているの」

 

 

 ニトロプラスがそう言うと、「でも、それって本当なの?」とアイエフが疑わしそうに尋ねると、「事実です」とイストワールが言う。「イストワール様?」アイエフは驚きながらイストワールを見る。

 

 

「そう言えば、イストワール様も何か知ってるような口ぶりだったね」

 

 

 ファミ通もイストワールを見ると、ニトロプラスもイストワールの方を見て、「あなたは何を知っているの? 聞かせてちょうだい」と質問する。

 

 

「邪神はその昔、現実世界に封じられていました。しかし、星辰の並びによって一時的にわずかな力を取り戻すことができます」

 

 

 イストワールがそこまで話すと、ロムがネプギアの袖を【くいくい】と引っ張って、「せいしんってなに?」と小声で質問すると、「星辰って言うのは、星の位置のことだよ」とネプギアが答える。

 

 

「邪神その力を使い、ゲイムギョウ界とは別の世界、ボードゲイムギョウ界に移動しました」

 

 

 イストワールが説明を続けると、「ボードゲームって、すごろくとか?」とラムが言い、「後は将棋とかオセロね」とユニが続くと、「それじゃあ、チェスもだね」とプラエが言う。

 

それを聞いたイストワールは頷いて、「はい、その通りです」と答える。

 

 

「ボードゲイムギョウ界はゲイムギョウ界より古い歴史を持っており、現実世界の紀元前三千年以前に存在したと言われています」

 

 

 イストワールの話に、コンパが首を傾ながら、「それってどれぐらい古いんですか~?」と質問する。

 

 

「現実世界とゲイムギョウ界は、以前は時間の流れが違っていたので、一概には言えませんが、ゲイムギョウ界で初めて国が出来たのがオデュッセイア。それがゲイムギョウ界の紀元前三万年と言われ、それが現実世界の1970年代となります」

 

 

イストワールが質問に答えると、「わわっ! そう言われると凄い古い感じがするですー」とコンパが驚き、「神次元のタリの国が一万年近く前って言われてるから、それより古いんですね」とネプギア言う。

 

 

「ちなみに、今の年号のG.C.はゲイムギョウ界を大きく繁栄させた、偉大なるルウィーの二代目の女神様が生まれた現実世界の1983年から始まります」

 

 

 イストワールそう付け加えると、「現実世界の十年が、ゲイムギョウ界では三万年になるの!?」とゴッドイーターが驚きの表情でイストワールを見る。

 

 

「はい、ゲイムギョウ界と現実世界の時の流れは、以前は大きく離れていました。しかし、その差は次第に縮まりG.C.2012年に現実世界とゲイムギョウ界の時間の流れが同期しました」

 

 

イストワールがそう言うと、「話を聞くと、邪神は途方もない昔から存在していたことになるね」とファミ通があごに手を当てながらしきりに感心をする。

 

 

「ボードゲイムギョウ界に移動した邪神は自分が動けない代わりに、配下を使いボードゲイムギョウ界を恐怖と混乱に陥れました。人々が恐怖し正気を失う程、邪神は力を増します」

 

 

 イストワールの説明に、「だから、あんな気持ち悪い見た目なんだね」とビーシャが頷くが、「そう? アマゾンで育った半魚人みたいなヒーローもいるし、アタシは気にならなかったな」と日本一が平然と言う。

 

 

「人々の正気の値をSAN値と呼び、邪神の配下は人々を襲い、これを奪うことを目的としてます」

 

 

 イストワールが話を続けると、「SAN値直葬って聞いたことがありますの」とがすとが言うと、「……お野菜?」とロムが首を傾げ、「お野菜の出荷よー!」とラムが元気よく言うと、「そんなー」とネプギアが乗ってくる。

 

 

「アンタ、何やってるの……?」

 

 

 ユニが呆れた顔でネプギアを見ると、「【出荷よー】からの【そんなー】はらんらんの阿吽の呼吸だよ……って、前に大きいお姉ちゃんが言ってたんだよ」とネプギアが自信満々に答える。

 

 

「まったく……大きいネプテューヌさんまで、ネプギアに妙なこと教えて……」

 

 

 ユニが溜息を吐くと、「随分詳しいのね」とニトロプラスが訝しげにイストワールを見る。

 

 

「昔、ゲイムギョウ界にピジョンと呼ばれるボードゲイムギョウ界と関わりの深い国があったのです。ゲイムギョウ界では無くなってしまいましたが、ボードゲイムギョウ界の方は健在で、今はルウィーと交流をしています」

 

 

 イストワールの話を聞いたラムが、「前にマーリョが、おみやげで自分出てる野球盤買ってきてくれたわ」と言うと、「あれ楽しい(かきーん)」とロムが嬉しそうに言い、「マーリョさんって他のギョウ界でも人気なんだね」とネプギアが感心する。

 

 

「そのピジョンが、邪神が今はゲイムギョウ界に潜んでおり、その復活が近いことを知らせてくれたのです」

 

 

 イストワールがニトロプラスの質問に答えると、「なるほど」とニトロプラスが納得し、「他に知ってることは?」とイストワールに質問する。

 

 

「邪神の活動はボードゲームギョウ界にテーブルトークRPGが流行した頃から活発化していると聞いています」

 

 

 イストワールの話に、「テーブルトークRPG?」とコンパが首を傾げると、「コンピュータを使わずに、紙や鉛筆、サイコロとかの道具と会話と、ルールブックに記載されたルールだけで遊ぶ、対話型のゲームのことよ」とアイエフが答える。

 

 

「やはり、星辰の並びが邪神の復活の時に近づいているのね……」

 

 

 ニトロプラスがあごに手を当てて考え込むと、「ピジョンには未来のビジョンが見える女神様がいて、彼女の話では【ゲイムギョウ界と現実世界の時が合わさった時に邪神の復活が始まる】と言われています」とイストワール言う。

 

 

「ちょっと待って! さっきG.C.2012年に現実世界とゲイムギョウ界の時間の流れが同期したって言ったよね?」

 

 

 ファミ通が不安そうに尋ねると、イストワールは神妙な顔で「はい、邪神の復活は既に始まっていると考えられます」と答える。

 

 

「えー? 何で止められなかったのよー!」

 

 

 ラムが不満そうに言うと、「申し訳ありません。以前よりゲイムギョウ界をくまなく調査し邪神の情報を探しましたが、彼等の動向は掴めませんでした」とイストワールが頭を下げる。

 

 

「邪神達は、私達より高い技術や魔術を持っていると考えられますね」

 

 

 ゴッドイーターがそう言うと、「だからと言って引き下がる訳にはいかない」とニトロプラスが答えると「その通りにく」と生肉がそれに続く。

 

 

「そうですね。まずは各国に知らせて対策を練りましょう」

 

 

 イストワールがそう言って話を締めくくると、「いーすんさん、邪神の写真はありますか?」とネプギアは何故かドヤ顔でイストワールに質問する。

 

 

「申し訳ありません。姿すら見つけられないのです」

 

 

 イストワールが申し訳なさそうに言うと、ネプギアは落ち込んで、両手の人差し指をツンツンする。

 

 

「あの……そんなに落ち込まれなくても」

 

 

 イストワールが心配そうに言うと、「えっと、さっきの邪神と写真を掛けたダジャレなですが、分かりませんでしたか?」とネプギアが首を傾げて質問する。

 

 

「……私にそのようなリアクションを期待されてもこまるのですが……」

 

 

 イストワールは眉毛を八の字に曲げて困った顔をするが、「おお~! ネプギアのダジャレだー!」とラムがバンザイして喜び、「邪神の写真~」とロムも楽しそうにニコニコする。

 

プラエはやや困った顔で、「ネプギアお姉さん、こんな時にダジャレ言わなくても……」と呟く。

 

 

「うぅ~、分かってくれるのはロムちゃんとラムちゃんだけだよぉ~」

 

 

 ネプギアは嬉しそうにロムとラムの頭を撫でると、「ネプギアちゃん他には?」とロムが尋ねてくるので、ネプギアはあごに指を当てて、「うーんと」と考える仕草をすると、「邪神の本気。名付けてマジ野心! ……とか?」とドヤ顔で言い放つ。

 

 

「きゃはは~! 邪神がマジ野心だってー」

 

 

 ラムが楽しそうに笑うと、「アホなこと言ってる暇があったら、ゲハバーンの研究でもしてなさい」とユニが素早くネプギアに近づくと、彼女の頭を【ペシン】と軽く叩き襟首を掴んでネプギアの部屋まで引っ張って行く。

 

 

「えーん~、ユニちゃんのいぢわるぅ~~」

 

 

 子供のように駄々をこねながらユニに引きずられるネプギアの後を、ロムとラムが付いて行き、「ネプギアちゃんが連れてかれちゃう」とロムが言うと、「出荷よー」とラムが言い、「そんなー」とネプギアがそれに乗る。

 

 

「らんらんの阿吽の呼吸成功よ!」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと、「やったね、ラムちゃん」とネプギアが嬉しそうに笑う。「わたしも」とロムが言い、「出荷よー」と続けて言うと、「そんなー」と再びネプギアが乗ってくる。

 

 

「楽しい(らんらん)」

 

 

 楽しそうに笑うロムに、「ロムちゃんも上手だよ」とネプギア褒めると、ユニは頭を抱えながら、「ああもう! 鬱陶しいわねー!」と言ってネプギアの部屋のドアを開けて部屋に入って行く。

 

 

「ねぇ……」

 

 

 ニトロプラスが不思議そうに頭を抱えると、「なんだい?」とファルコムが答える。

 

 

「さっき、犯罪組織の下っ端を懸命に説得してたの……あの子でいいのよね?」

 

 

 ニトロプラスが疲れたような顔で言う。

 

どうやら真剣に下っ端を説得してたネプギアと、ロボットに目を輝かせたり、らんらんの阿吽の呼吸をしたり、ダジャレを言ったりするネプギアが同一人物に見えないらしい。

 

 

「ははっ、あの子は基本的には真面目だけど、ちょっと抜けてるところがあるからね」

 

 

 ファルコムが楽しそうに笑うと、「最近のヒーローはダジャレも言うみたいだし、あたしも教えてもらおうかな」と日本一が真剣な顔で考えると、「日本一がダジャレなんか言い出したら手に負えませんの」とがすとが溜息を吐く。

 

 

「大体、ネプ子のせいよ」

 

 

 アイエフが呆れたように言うと、「ねぷねぷ、ギアちゃんに変なことばっかり教えるです~」とコンパも困った顔をする。

 

ロボットに関してはネプギアの地だが、らんらんの阿吽の呼吸は大きいネプテューヌ、ダジャレはネプテューヌから言われたことを真面目に実行しているだけである。

 

 

「でも、ウチの読者には割と好評だよ」

 

 

 ファミ通が自分の雑誌のアンケートでネプギアの少し抜けたところも好評だと言うが、「それはそれで困るのですが……」とイストワールが頭を抱える。

 

 

「でも、ムードメーカーって大事だよ」

 

 

 ゴッドイーターが楽しそうに言うと、「そう言えば、さっきのネプギアもねぷねぷ程じゃないけど、シリアスブレイカーしてたよね」とビーシャが笑った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。