新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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022ゲムドラジル

 翌日、G.C.2019年8月16日 金曜日

 

早朝のランニングと稽古を済ませ、朝食を食べたネプギア達は早速チーム分けをしていた。

 

 

「それでは、みなさんを世界樹に転送します」

 

 

 イストワールがそう言うと、ネプギア達世界樹行きのメンバーは、イストワールが作り出した転送ゲートに入って行く。

 

 

 

***

 

 

 

 転送されたネプギア達の視界に一面の緑が映る。

 

ネプギアのいる場所は深い森のような場所だった。

 

 

「ここが世界樹?」

 

 

 ネプギアがそう呟くと、【ピピピピ】とNギアの電子音が鳴る。

 

ネプギアがNギアを取り出して通話をONにすると、「よかった。無事に転送できたみたいですね」とイストワールの声がする。

 

 

「なんだか、森のような場所に出たんですけど、ここが世界樹なんですか?」

 

 

 ネプギアがそう質問すると、「はい、世界樹、正確にはゲイムギョウ界樹【ゲムドラジル】の麓です」とイストワールが答える。

 

 

「ゲムドラジル……」

 

 

 ネプギアの呟きに、「女神化して、飛んでください。そうすれば巨大な樹が見える筈です」とイストワールが言う。

 

ネプギアはイストワールに従い女神化すると空高く上昇し、森の木々より高い場所に上る。

 

 

「わっ!」

 

 

 ネプギアが驚きの声を上げる。

 

彼女の目には今まで見たことがないような巨大な樹が見えていた。

 

ネプギアの知っている巨大建造物と言えば、彼女の住んでいるプラネタワーだが、それよりも遥かに高くて大きい樹がそびえ立っていた。

 

それは最早、樹というより山頂の見えない山のようであった。

 

 

「これがゲイムギョウ界樹ゲムドラジル……」

 

 

 ネプギアがゲムドラジルの大きさに圧倒されていると、「全ての次元のゲイムギョウ界を支えていると言われる樹です」とイストワールが言う。

 

ネプギアの後に続いて、ユニにロムにラムが女神化して上昇してくると、ネプギアと同じように驚きの声を上げる。

 

 

「こんなに大きいなんて……」

 

 

 ユニもネプギアと同じようにゲムドラジルの大きさに圧倒されているようだ。

 

 

「わー! すごーい! ルウィーのお山より大きいわ!」

 

 

 ラムは楽しそうにゲムドラジルを眺め、「凄く大きいね」とロムもラムに同意する。

 

 

「その樹の根元に守り人が居ます。守り人を探して話をしてみて下さい。あと、ビィトリットさんとの人魚との交渉の約束もあるので、来週中には戻って来て下さい」

 

 

 イストワールがそう言うと、「わかりました」とネプギアが頷く。

 

 

「それではお気をつけて」

 

 

 イストワールがそう言うと、通信がOFFになる。

 

ネプギア達はゲムドラジルのある方向を、それぞれの携帯ゲーム機に記憶させると地面に降りて変身を解く。

 

 

「どうだった?」

 

 

 変身を解いたネプギアにプラエが問いかける。

 

 

「うん、凄く大きな樹だった」

 

 

 ネプギアが率直な感想を言うと、「ホントに凄いのよ。こーーーんなにおっきいんだから」とラムが両手を広げて大きさを表現する。

 

 

「へー、アタシも見てみたいなー」

 

 

 日本一がそう言って目を輝かせると、「私も見てみたいな」とファミ通がそれに続く。

 

 

「ネプギアンダムを偵察に出しますから、その映像をお見せしますね」

 

 

 ネプギアはそう言ってネプギアンダムを呼び出すと、いつもの偵察装備に換装させる。

 

そしてネプギアンダムを偵察に出すと、その偵察で得られたゲムドラジルの画像をファミ通達に見せた。

 

 

「うわー! これ木? 木なの? 山じゃないの」

 

 

 日本一が興奮気味に驚くと、「これは驚いたね。流石は世界樹ってところかな」とファミ通がメモを取りながら驚きの声を上げる。

 

 

「……やっぱり何匹かモンスターがうろついてますね。慎重に行きましょう」

 

 

 ネプギアがネプギアンダムからの偵察データを確認しながら言う。

 

 

「フォーメーションはどうする?」

 

 

 ユニの質問に、「私とファミ通さん、日本一さんで前衛するから、ユニちゃん達は後衛でお願い」とネプギアが答える。

 

 

「了解。ロム、ラム、プラエ、ミク、がすと。アタシの指示に従って」

 

 

 ユニがそう言うと、「「はーい」」とロムとラムが声を合わせて返事をし、「うん」とプラエが頷き、「わかりましたの」とがすとが言うと、「歌なら任せて」とミクが言う。

 

 

「最前列には私が立ちます」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「いや、最前列でのタンクは私に任せて。ネプギア様と日本一は攻撃力も高いからアタッカーも兼任してもらった方がいいし」とファミ通が言う。

 

すると、「うん、アタシもそれがいいと思うよ。ネプギアは少し頑張りすぎだよ」と日本一がファミ通に同意する。

 

 

「ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね」

 

 

 ネプギアは丁寧に一礼してお礼を言う。

 

 

「それじゃ、行きましょ。ゲムドラジルはこっちよ」

 

 

 ユニがそう言ってゲムドラジルの見えた方向を指差すと、ファミ通を先頭にネプギア達は森を進んで行った。

 

 

***

 

 

 ゲムドラジルに向かうネプギア達は、途中でモンスターの群れと遭遇していた。

 

モンスターは2メートル前後の大型の鳥モンスター【ルフ】の群れと、群れのボスと思われる3メートル以上の鳥モンスター【ロック鳥】である。

 

まずは、ミクの歌で攻撃力を上げユニの狙撃で敵を戦いやすい地点に誘き寄せたネプギア達、今はファミ通を先頭に敵の群れと50メートル近い距離で対峙している。

 

 

「キェーーーーーーー!」

 

 

 ロック鳥が雄叫びを上げると、群れの中から三匹のルフがネプギア達に襲い掛かる。

 

 

「私に任せてよ」

 

 

 ファミ通は三匹のルフの前に立ち塞がると、ルフ達のくちばしによる初撃を見事に受け止める。

 

合計で、350近いのダメージを受けてHPゲージが半分以下になるが、タンクとしては上々の仕事ぶりである。

 

 

「ナイス、ファミ通!」

 

 

 日本一が叫ぶ。

 

同時に一匹のルフの側面に回り込んで、「とおっ!」と叫びながらパンチとキックの二連撃を食らわせる。

 

 

「ギェーーー!」

 

 

 ルフは悲鳴を共に、834のダメージを受ける。

 

 

「援護するよ」

 

 

 更にプラエが同じルフ向けて鎖を伸ばす。

 

 

「クロックチェーン六時。土の力よ!」

 

 

 プラエの鎖がルフを締め付けると、ルフは425のダメージを受けて戦闘不能になる。

 

 

「……凍えつく大気よ、我が呼びかけに応え、敵の動きを封じよ……アイスホールド!」

 

 

 今度はロムが魔法を唱えると、残った二匹のルフの足元が凍りつく。

 

 

「キーーーーーー!」

 

 

 飛び立って逃げようとするルフ達だが、間に合わず500近いダメージと共に足元が凍りつく。

 

 

「串刺しにしてあげるわ! 大地の力よ我が呼び声に応え敵を貫け! アーズグレイブ!」

 

 

 同時にラムが魔法を放ち、「フラムで燃え尽きるですのー!」とがすとが爆弾を投げる。

 

ラムの魔法で地面から生えた槍に串刺しにされたルフは1005とダメージを受け、爆弾の爆風に巻き込まれたルフは625受けて、それぞれ戦闘不能になる。

 

 

「小手調べにしても、手を抜き過ぎじゃないの!」

 

 

 ユニがそう言いながらライフルの弾を放つと、群れの中にいたルフの頭に当たり、ヘッドショットで1132のダメージが出ると戦闘不能になる。

 

 

「ファミ通さん、今回復します」

 

 

 ネプギアがヒールの魔法を使うと、ファミ通のHPゲージが八割まで回復をする。

 

 

「キィィィィィ!」

 

 

 ロック鳥が悔しそうな雄叫びを上げる。

 

ユニの言う通り、小手調べのつもりで三匹のルフをけしかけたのだが、完全に迎撃された上に狙撃を受け、更にはファミ通のHPまで回復されてしまったので、驚いているようだ。

 

 

「今度はこっちの番よ」

 

 

 ラムはそう言うとペンネルに魔方陣を描かせながら、杖をバトンのようにクルクルと回す。

 

すると、ロムも、「反撃(きらんっ)」と言いつつ、ラムと同じようにペンネルを呼び出し、杖を回す。

 

更に、がすとも、「いきますの」と言って、二人と同じようにペンネルを呼び出し、杖を回す。

 

 

「「「……火よ風よ雷よ我が声に耳を傾けよ……」」」

 

 

 三人が呪文を唱えると、ペンネルで描かれた魔方陣がぐるぐると回りながら激しく発光する。

 

 

「「「爆炎の嵐となりて全てを薙ぎ払え! クリムゾントルネード!!」」」

 

 

 三人の掛け声と共に、炎と雷を纏った巨大な竜巻が、ルフの群れのど真ん中現れ竜巻はルフの群れを蹂躙する。

 

 

「「「ピギャーーーーー!」」」

 

 

 ルフ達は次々と悲鳴を上げて、3000以上のダメージを受けて戦闘不能になる。

 

【クリムゾントルネード】は火と風と雷の合体魔法。

 

 

「強襲で一気に押し込みます! みなさん、ついて来て下さい!」

 

 

 混乱するルフの群れにネプギアが飛び込むと、「「了解」」と日本一とファミ通が続く。

 

ネプギアは、クリムゾントルネードから逃れたルフに狙いを定め、「たあっ!」とビームソードを振り下ろす。

 

ルフは901のダメージを受け、「ギェーー」と悲鳴を上げる。

 

 

「ネプギアお姉さん!」

 

 

 そこに素早くプラエが鎖で追撃を入れると、413ダメージを与えてルフを戦闘不能にする。

 

 

「私もたまには攻撃しないとね!」

 

 

 ファミ通がそう言いながら、エビでルフを殴ると、509のダメージが当たる。

 

同時に、「連携攻撃!」と日本一が飛び蹴りを当てると、835ダメージを当てルフを戦闘不能にする。

 

更に、ユニもヘッドショットの狙撃で1000以上のダメージを与え、ネプギア達は次々とルフを戦闘不能にする。

 

 

「グオオオオオオン!」

 

 

 ロック鳥が叫ぶ。

 

【なめるな】とでも言いたそうな激しい叫びだ。

 

 

「おおっと、君の相手は私だよ」

 

 

 先程まで攻撃をしていたファミ通が素早くロック鳥の前に移動する。

 

彼女もタンクとしての立ち回りが大分慣れたようだった。

 

ロック鳥が足の爪で、ファミ通を攻撃すると、ファミ通に435のダメージが当たりファミ通のHPゲージが五割以下になる。

 

 

「プラエ、グラスビーンズですの」

 

 

 それを見たがすとが、プラエに小袋を一つ渡す。

 

プラエはそれを受け取ると、「行くよ、ファミ通さん!」と言って手渡された小袋を鎖に巻き付けて、ファミ通の方に放つ。

 

 

「サンキュー、プラエちゃん」

 

 

 ファミ通は鎖に巻き付けられた小袋を受け取ると、それを開けて、中にあった豆を食べる。

 

すると、ファミ通のHPゲージが八割まで回復した。

 

【グラスビーンズ】は、がすとの錬金術によって作られたHPを回復するアイテムだ。

 

 

「いい連携よ」

 

 

 ユニがプラエとがすとを褒める。

 

知り合って間もない二人だが、がすとの錬金術による効果の高いアイテムを、プラエの鎖によるアイテムスローで仲間に使用するという連携を編み出していたことによる称賛だ。

 

 

「それっ! 今の内に攻撃よ!」

 

 

 それを見ていたラムがそう言うと、「……地よその獰猛な牙で敵を嚙み砕け……」と呪文を唱えると、「ジャギッド・ロック!」と魔法を発動する。

 

すると、ギザギザに尖った2メートル程の岩が、ロック鳥に襲い掛かる。

 

 

「ピギーーーー!」

 

 

 尖った岩はロック鳥に突き刺さり、1125のダメージが当たる。

 

 

「がんばってね!」

 

 

 今度はロムがスピードアップの魔法でネプギアに使う。

 

ネプギアは、「ありがとう」とお礼を言うと、素早く右手を上げて、「ライジングフォース!」と叫ぶ。

 

 

「来たよ! 攻撃力アップー!」

 

 

 日本一が嬉しそうに言う。

 

【ライジングフォース】はネプギア専用の攻撃力アップの魔法。

 

効力はロムの【とびでるよ】には及ばないが広範囲の仲間の攻撃力を上げることが出来る。

 

 

「それっ! ジャスティスソード、一文字斬り!」

 

 

 日本一が右手に剣を呼び出して、ロック鳥を斬り抜けると、1735のダメージが当たる。

 

 

「狙い撃つわ!」

 

 

 更にユニがライフルでロック鳥をヘッドショットすると、2212のダメージが当たる。

 

 

「キィィィィィ!」

 

 

 ロック鳥が雄叫びを上げながら再びファミ通を攻撃しようとする。

 

 

「エールを君に!」

 

 

 その直前でネプギアが叫ぶ。

 

ロムのスピードアップの魔法によりロック鳥よりも先に行動が出来たのだ。

 

 

「キタキタ、防御力アップー!」

 

 

 ファミ通が嬉しそうにガッツポーズをする。

 

【エールを君に】はネプギア専用の防御力アップの魔法。

 

少し遅れて、ロック鳥のくちばしがファミ通を襲うがダメージは213と先程より減少している。

 

すると、ファミ通は、「ネプギア様のおかげだね」と言って防御を解いて攻撃に転じる。

 

ファミ通のエビによる横殴りがロック鳥に当たり、735のダメージが当たる。

 

普段はタンクをしているネプギアだが、器用な彼女はタンクを仲間が引き受けてくれるなら、アタッカーやサポーターになることもできる。

 

 

***

 

 

 戦況を有利に進めていたネプギアはルフを全滅させ、残りはロック鳥のみとなっていた。

 

 

「キェェェェェェェ!」

 

 

 ロック鳥が不快そうな叫びを上げながら、ネプギアに襲い掛かる。

 

しかし、直後にファミ通が立ちはだかり、「そうはさせないよ」と邪魔をする。

 

 

「キィィィィィ!」

 

 

 ロック鳥が忌々しそうにファミ通を攻撃し、ファミ通は215のダメージを受けるが、「ヒール」と即座にネプギアがファミ通のHPを回復し、更には、「エールを君に」と言って、ファミ通の防御力も上げて来る。

 

ロック鳥のヘイトは、アタッカーとヒーラーとサポーターを器用にこなすネプギアが最も高くなっていた。

 

だが、ネプギアはヒット&アウェイを重視した立ち回りで、ファミ通はZOCを活かした立ち回りで対応して、ロック鳥はネプギアに攻撃できずにいた。

 

その間に、ユニ達が攻撃をすることによって、ロック鳥のHPはじりじりと減少していった。

 

 

「あんまり大したことないわね」

 

 

 ラムが腕を組みながら余裕そうに言うと、「油断するのは早いわよ。まだ必殺技も出してないんだから」とユニが注意する。

 

 

「うん、慢心ダメ絶対だよ。ラムちゃん(めっ)」

 

 

 ロムもそう言うと、「わかったわよー」とラムは少し不満そうに口を尖らせる。

 

 

「ロム様もラム様も昔に比べて、慎重になったですの」

 

 

 がすとが感心したかのように言う。

 

昔のロムとラムは戦闘経験が浅いにも関わらず、杖で接近戦を挑んだりして、やや無鉄砲な面があったので、その頃の二人を知る、がすとにとって二人は成長してるように見えたようだ。

 

 

「解析完了。最大HP推定100000、現在のダメージ21534」

 

 

 ネプギアの耳にNギアからの機械音声が聞こえて来る。

 

 

「みんな、敵のHPは残り8万だよ。このまま慎重に行こう!」

 

 

 ネプギアが声を出して、鼓舞するように仲間達に伝える。

 

 

「了解だよ」

 

 

 プラエが返事をすると、「了解っ」とファミ通も返事をする。

 

すると、日本一が、「ネプギアのリーダーも板について来たね」と感心する。

 

日本一も、昔の外の世界に初めて出た、駆け出し箱入り娘だった頃のネプギアを知っているので、今のリーダーとして振る舞うネプギアの姿に成長を感じたらしい。

 

 

「シャァァァァァァ!」

 

 

 ロック鳥が両翼を大きく広げる。

 

 

「何か来る!」

 

 

 ネプギアが咄嗟に身構える。

 

ロック鳥は両翼をはためかせて突風を起こす。

 

 

「ウインドストーム!? ロム、ラム、気をつけなさい」

 

 

 ユニがロムとラムに注意を飛ばす。

 

ビッグ馬鳥も使ったがウインドストームは広範囲な攻撃になるので、後衛のユニ達まで攻撃が届く。

 

その為、後衛に居ても注意する必要があるのだ。

 

 

「ロムちゃん、後衛のみんなを守って!」

 

 

 ネプギアがロムに向かって叫ぶ。

 

ロムは、「うん!」と頷くと、両手を前にかざしてドーム状のバリアを作って、「みんな、この中に入って!」と言う。

 

その言葉に、後衛のメンバーはドームの中に入る。

 

 

「キキャーーーーー!」

 

 

 続いて、ロック鳥が口から炎を吐く。

 

すると、ウインドストームが熱く燃え盛り炎の風になる。

 

 

「あちちちち!」

 

 

 日本一が熱そうに飛び回る。

 

ファミ通も熱そうに炎を避けながら、「ファイアーブレスとウインドストームの合わせ技か、これは手強いね」と言う。

 

 

「シャーーーーーーー!」

 

 

 ロック鳥が一際大きな叫びを上げる。

 

同時に辺り一面は真っ赤に染まり炎の風に包まれる。

 

 

「くうっ!」

 

 

 ネプギア達前衛のメンバーは400以上のダメージを受けてしまう。

 

ユニ達後衛のメンバーはロムのバリアに護られるが、途中でバリアが【パリン】と割れてしまう。

 

 

「きゃああああ!!」

 

 

 プラエが悲鳴を上げる。

 

後衛のメンバーは、200以上ダメージを受ける。

 

ロック鳥より離れていた上に途中までバリアに護られていたお陰で、前衛よりダメージは低いが、後衛のメンバーはHPが低いので、これでも後衛の方が被害が大きい。

 

 

「いったいわねー! 何するのよー!」

 

 

 ラムが怒りの声を上げる。

 

特にラムはHPが低く、最大HPが280しかないので今の攻撃でHPゲージが、もう二割ほどしか残っていない。

 

ユニ達はラムよりはHPはあるが、それでも400前後なのでHPゲージが残り四割と言ったところだ。

 

対して、前衛のネプギア達は最大HPが500~700あるので、二割~四割ほどHPゲージが残っている。

 

 

「ラムちゃん落ち着いて。ユニちゃん、後衛を立て直して」

 

 

 ネプギアが素早く指示を飛ばす。

 

ユニは、「オッケー!」と返事をすると、「プラエ、ロムの時間を速くして。がすとはアイテムで日本一を回復。ラムも回復魔法でファミ通を回復。ロムは【なおしてあげる】の詠唱を始めて、でき次第、後列全員を回復」とテキパキと指示を飛ばす。

 

前衛を立て直しつつ、プラエの超能力で時間を速くしたロムに広範囲の回復魔法である、【なおしてあげる】で一気に後列を癒す算段だ。

 

 

「ユニちゃんが立て直してくれるまでの間時間を稼がなきゃ!」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「ファミ通さん、前に出ます!」と言って素早くファミ通の前に出てタンク役を交代する。

 

 

(連続であの技を使われたら壊滅しちゃう! ここはヘイトが一番高い私が抑えなきゃ!)

 

 

 ネプギアはそう思いながら、「ヒール!」と魔法を唱えて自分を回復する。

 

 

「キキャーーーーーー!」

 

 

 ロック鳥が怒りの雄叫びを上げてネプギアを睨む。

 

今のヒールでロック鳥のネプギアに対するヘイトが更に上がったようだ。

 

 

「ネプギア様、ビッグ馬鳥と同じようにウインドストームを使わせない為に……」

 

 

 ファミ通が呟く。

 

ロック鳥はヘイトの高いネプギアを攻撃したいので、ファミ通をタンクにしてヒット&アウェイをしていると、ネプギアを攻撃する為にウインドストームを使う確率が高くなってしまう。

 

しかし、最前線に立って打ち合いをすれば、ロック鳥は肉弾戦でネプギアを狙う上に、ウインドストームを使う隙を与えないことも出来る。

 

 

「私のタンクも、まだまだだね」

 

 

 ファミ通はそう言うと、「ネプギア様、援護します」と言うと、素直にアタッカーに気持ちを切り替える。

 

 

「はあああああ!」

 

 

 ファミ通の予想通り、ネプギアはロック鳥との激しい打ち合いを始める。

 

ロック鳥の爪やくちばしが、ネプギアのビームソードと激しく打ち合う。

 

その間に、後衛のメンバーはユニの指示に従ってパーティのHPを回復させる。

 

 

「ファミ通、ネプギアがピンチだよ。援護するよ!」

 

 

 日本一が叫ぶ。

 

打ち合いをしている内にネプギアが劣勢に追い込まれていた。

 

 

「ジャスティスソード!」

 

 

 日本一が右手の剣でロック鳥を斬りつけると、2134のダメージ当たる。

 

更に、「てりゃー!」とファミ通がエビで殴り掛かり追撃をして、1003ダメージを与えると一瞬ロック鳥の動きが止まる。怯み状態だ、

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 ネプギアはその隙にバックステップして、「ヒール!」と素早く回復をしようとする。

 

 

「シャーーーーーーー!」

 

 

 しかし、ロック鳥は二人の足止めに関わらず、詠唱中のネプギアを狙おうと飛び掛かる。

 

 

「しくじった!?」

 

 

 思わず日本一が叫ぶ。

 

 

「そうは、いかないわっ!」

 

 

 そこにいつの間にか、バズーカ砲を構えたユニがロック鳥に向けてバズーカ砲を放つ。

 

 

ドカーーーーン!

 

 

「ギャヒーーーーー!?」

 

 

 バズーカ砲でも、ちゃんとヘッドショットを決めるユニ。

 

頭部にバズーカの砲弾を受けたロック鳥は、2113のダメージを受けて仰け反る。

 

その隙にネプギアはヒールでHPを回復して、再びロック鳥に向かって行く。

 

 

「ネプギアとユニ様の連携も驚くぐらいに成長してるね」

 

 

 日本一が感嘆の声を上げると、「みんな頼もしくなりましたの」とがすとが言う。

 

ネプギア達は、日本一達と一緒に冒険した後に二度の大きな冒険を経験しているが、その成長ぶりが二人を驚かせたようだ。

 

 

「……光と風の祝福を受けた癒しの風よ……みんなの傷を治して……なおしてあげる!」

 

 

 魔法の詠唱を終えたロムが魔法を使うと、後衛のメンバーはHPが最大まで回復する。

 

【なおしてあげる】は広範囲のHP回復魔法。詠唱は長いが多くの味方のHPを大量に回復できる。

 

 

「ネプギア! 立て直し完了よ!」

 

 

 ユニがネプギアに向かって叫ぶ。

 

すると、「流石ユニちゃん!」と嬉しそうに返事をする。

 

更にネプギアは、「次は部位破壊行くよ。両翼とくちばし!」と叫ぶ。

 

簡潔に、部位破壊できる場所を伝えたのだ。

 

 

「ラジャー! 右の翼からいくわ」

 

 

 ユニはそう言いながら、ライフルにウィークネスバレットの弾を込めると、「十秒後にウィークネスバレットを撃つわ。準備しときなさい!」と続けて言う。

 

レティクルを慎重に動かして狙いを右の翼につけるユニ。

 

 

「ウィークネスバレット、シュート!」

 

 

 ユニが叫びと共に銃を放つ。

 

同時にロック鳥の右の翼に、ウィークネスバレットの赤い模様がつく。

 

 

「「……雷光よ……我が声に応えその眩い輝きを解き放て……ドロン!」」

 

 

 ウィークネスバレットと、ほぼ同時にロムとラムの合体魔法のドロンの電撃がロック鳥の右の翼に当たる。

 

 

「グワーーーー!」

 

 

 6684のダメージを受けて苦痛の叫びを上げるロック鳥。

 

 

「やったー! ドンピシャ!」

 

 

 ラムが嬉しそうに両手を広げてジャンプすると、「ピッタリかんかん(ぶいっ)」とロムが言う。

 

 

「本当に頼もしいですの」

 

 

 ウィークネスバレットのタイミングに合わせた詠唱をこなした、ロムとラムに称賛を送るがすと。

 

 

「がすとも負けてられませんの。プラエ!」

 

 

 がすとがそう言うと、「うん! いいよ、がすとさん」とプラエが言う。

 

 

「フラムビットですのー!」

 

 

 がすとは、そう言いながら無造作に着火済みの十二本のダイナマイトを宙に放り投げる。

 

すると、プラエが、「クロックチェーン!」と言って両指の十二本の鎖を伸ばしてそれを拾うと、「行ってクロックチェーン! 右の羽だよ!」と叫ぶ。

 

ダイナマイトを抱えた十二本の鎖は、プラエの超能力で操作され、それぞれ直進や蛇行しながら、ロック鳥の右の翼を目指して飛んでいく。

 

 

ドドドドドドカーーーーン!

 

 

 見事に十二本分のダイナマイトがロック鳥の右の翼に命中する。

 

 

「グォォォォォォ!?」

 

 

 ロック鳥は6354ダメージを受けて悲鳴を上げる。

 

 

「プラエとがすとの合体技? やるじゃない二人とも!」

 

 

 ラムがそう言って二人と褒めると、「カッコイイ(きらきら)」とロムも称賛する。

 

 

「成功ですの」

 

 

 がすとが自信満々にVサインを決めると、プラエも嬉しそうに、「やったね、がすとさん」と小さくガッツポーズをする。

 

【フラムビット】はプラエとがすとの合体技で、見ての通りプラエの鎖によるアイテムスロー能力でフラムを遠隔操作しているように見せる技である。

 

 

「カッコイイ! プラエちゃん、本当にミサイルビットみたいだよ!」

 

 

 ネプギアも目を輝かせながら、プラエを称賛する。

 

ミサイルビットとは人気ロボットアニメで脳波で操作する誘導ミサイルだ。

 

ネプギアによるプラエのロボットアニメ布教は順調なようだ。

 

 

「こっちも負けてられないね……ネプギア! 久しぶりにアレを使うよ!」

 

 

 日本一が叫ぶと同時に、「ええ、よくってよ」とネプギアが何故か口調を変えて返事をする。

 

 

「うわああああああ!」

 

 

 日本一の叫びと共に、ネプギアと日本一は空高く飛び上がる。

 

 

「スーパー!」

 

 

 日本一が叫ぶ。

 

 

「タイフーン!」

 

 

 続けてネプギアも叫ぶ。

 

 

「「キィィィィィィィック!!」」

 

 

 ネプギアと日本一の声が重なると同時に、二人はロック鳥の右の翼に向けて急降下のキックをする。

 

 

「ピギャーーーーー!?」

 

 

 二人の急降下キックがロック鳥の右の翼を貫くと、7348のダメージが当たり同時にロック鳥の右の翼が部位破壊される。

 

【スーパータイフーンキック】とは、元はロボットアニメの必殺技である。

 

特撮ヒーロー好きの日本一だが、ネプギアがそれを知った上で日本一に奨めたロボットアニメだ。

 

ネプギアの読み通り、日本一はこのロボットアニメにドハマりし、以前は【ダブルヒーローキック】だった二人の合体技をスーパータイフーンキックに改良したのだ。

 

 

「アタシ達一人一人は風だけど……」

 

 

 着地した日本一がそう言ってポーズを決めると、「二人合わせれば嵐になる!」とネプギアもポーズを決める。

 

 

「相変わらずネプギアはノリが良いですの」

 

 

 感心半分、呆れ半分でがすとが呟く。

 

 

「いいわよ。次、十秒後に左の翼いくわ!」

 

 

 ユニが再び、ウィークネスバレットを装填する。

 

そして、きっちり十秒後にウィークネスバレットが発射され、同じようにドロンとフラムビットとスーパータイフーンキックの三段攻撃でロック鳥の左の翼が部位破壊される。

 

 

「凄いね。これが犯罪組織を倒した女神候補生と、その仲間のコンビネーションか。アイエフやファルコムとのコンビネーションも凄かったけど、こちらも負けず劣らずだね」

 

 

 いつの間にか、ペンとメモを取り出していたファミ通が急いでメモ書きをしていた。

 

 

***

 

 

 ロック鳥との戦闘は終盤を迎えていた。

 

ウィークネスバレットのリキャストを経て、くちばしもドロンとフラムビットとスーパータイフーンキックの三段攻撃で部位破壊したネプギア達。

 

 

「ウィークネスバレット残弾1。どうする?」

 

 

 ユニがネプギアに尋ねると、ネプギアはボムを取り出してロック鳥に投げつける。

 

すると紫の爆風が起こる。

 

 

「「「了解」」」

 

 

 爆発と同時にユニ、ロム、ラムが返事をする。

 

 

「クエーーーーーー!!」

 

 

 部位破壊をされた上にHPが減少してガッツが発動したロック鳥は、怒り狂った叫びを上げてネプギアに向かって来る。

 

 

「迎撃します。みんなは足止めを重視して!」

 

 

 ネプギアはそう言って、ロック鳥に立ち向かって行く。

 

 

「ラム、がすと、麻痺から行くわよ!」

 

 

 ユニはそう言うと、ライフルにパラライズショットの弾を装填する。

 

 

「プラエ、この【魔女の秘薬】を敵にかけるですの」

 

 

 がすとがそう言ってプラエに小瓶を渡し、ラムは、「……雷よ敵の動きを止めよ……」と魔法の詠唱を始める。

 

 

「行くわよ!」

 

 

 ユニはそう言うと同時に弾を放ち、ラムは、「パラライズマジック!」と魔法を放つ。

 

更に、プラエはがすとに渡された魔女の秘薬を鎖に巻き付けて、ロック鳥に向けて鎖を伸ばす。

 

 

「グワッ!?」

 

 

 ネプギアに気を取られていたロック鳥には、三つの攻撃全てが命中する。

 

そして、攻撃が当たった瞬間、ロック鳥の動きが止まる。

 

ユニの言ったように、麻痺の状態異常ゲージがマックスになって麻痺になったのだ。

 

 

「次、毒」

 

 

 ユニは素早く叫びながら、ライフルにポイズンショットの弾を装填する。

 

 

「今度は、ダイオクラフトですの」

 

 

 がすとが、深きものとの戦闘でも使用したダイオクラフトを用意するとプラエに手渡し、ラムは、「……闇の底に眠る悪しき毒よ……我が敵を蝕め……」と先程と同じように魔法の詠唱を行う。

 

 

「毒りなさい!」

 

 

 先程と同じように、ユニが再び弾を放ち、「ヴェノムマジック!」とラムが魔法を放ち、プラエは鎖で投擲したダイオクラフトをロック鳥にぶつける。

 

麻痺したロック鳥に攻撃を避ける術はなく、三つとも直撃をすると、ロック鳥は苦しそうに呼吸をし始める。毒の状態異常ゲージがマックスになって毒になったのだ。

 

 

「今よ、ネプギア」

 

 

 ユニがそう言うと、「捕獲用麻酔ボム!」とネプギアが左手に現れたボムをロック鳥に投げつける。

 

 

「クエッ、クエエエ……」

 

 

 ボムが爆発すると、その煙を吸ったロック鳥がビクビクと痙攣する。

 

 

「もう一発!」

 

 

 ネプギアが先程と同じボムを投げて爆発させると、「クゥゥゥゥ……」とロック鳥はうつ伏せに倒れて寝息を立て始める。

 

 

「氷漬けターイム!」

 

 

 ラムがそう言うと眠るロック鳥に手を当てる。

 

ロムも、「かちこちだよ」と言い同じように手を当てる。

 

 

「「……氷よ敵を捕獲せよ……」」

 

 

 二人が魔法を唱え始める。

 

 

「「フリジットキャプチャー!」」

 

 

 魔法を発動させると、ロック鳥はあっという間に氷漬けになってしまう。

 

 

「相変わらず、見事な捕獲コンビネーションだね」

 

 

 ファミ通が感心しながら言うと、「アタシ達と一緒に戦った頃よりも更に上手くなってるね」と日本一も感心をする。

 

 

「女神候補生は女神様に比べて、連携が上手くて戦い方が丁寧でスマートですの。だから、がすとと相性抜群ですの」

 

 

 がすとが嬉しそうに言う。

 

 

「何かそれだと、お姉ちゃん達が脳筋みたいな扱いね」

 

 

 ユニが呆れながらそう言うと、「その通りですの。女神様は良くも悪くもバ火力なので、捕獲なんてしてる暇がありませんの」とがすとがハッキリと言う。

 

【バ火力】とは過剰なまでに攻撃力があることを差す。

 

 

「そう言えば、ウチのお姉ちゃん捕獲はしないよねー。折角、フリジットキャプチャーがあるのに」

 

 

 ラムが思い出したかのように言うと、「みんな、【ブッ潰す】だよね」とロムもラムの言うことに同意する。

 

ユニも、「確かにウチのお姉ちゃんも捕獲はしないわね。特に変身すると、そんな暇ないぐらいハイテンションで敵を圧倒しちゃうし」と言う。

 

 

「ウチのお姉ちゃんは……」

 

 

 ネプギアがあごに右人差し指を当てながら考えると、「そもそもクエストしてくれないかな……あはは……」と言ってガッカリと項垂れてしまう。

 

 

「ネプギアお姉さん、元気出して」

 

「ネギちゃん、元気出して」

 

 

 プラエとミクがネプギアを慰めると、「ありがとう、プラエちゃん、ミクちゃん」とネプギアはお礼を言う。

 

 

「圧倒的な力で敵を瞬殺でオーバーキルする女神様と、丁寧な戦いで部位破壊と捕獲をする女神候補生って感じだよね」

 

 

 日本一がそう言うと、「そんな感じですの。がすととしては後者の方が手に入る素材が良いので助かりますの」とがすとが言う。

 

 

「ほら、完全部位破壊と捕獲で、レア素材が、がっぽりですの~」

 

 

 がすとが、携帯端末でロック鳥から得られた素材を確認して嬉しそうに笑う。

 

 

「なるほどなるほど。女神様と女神候補生には、そんな違いもあるんだね」

 

 

 話を聞いていたファミ通は、うんうんと頷きながらメモを取っていた。

 

 

***

 

 

 翌日、G.C.2019年8月17日 土曜日の昼。

 

 

 ロック鳥を倒したネプギア達は、そこで一晩キャンプを張って疲れを癒してから、ゲムドラジルの根元に向かった。

 

 

「ここが根元ね」

 

 

 ユニがそう言うと、「ねー? 守り人さんはどこにいるのー?」とラムが不満そうに言う。

 

ラムの言うように、守り人と思われる人物はどこにもいないようだ。

 

 

「根元って言っても、これだけ大きな樹だから、別の場所にいるのかも」

 

 

 ネプギアの言葉に、「まだ歩くの(へとへと)」とロムが辛そうな顔をする。

 

 

「とりあえず、一休みしましょ。朝一から歩いて来たからアタシも少し疲れたし、ロムとラムも疲れただろうし、プラエの病気も心配だわ」

 

 

 ユニがそう言うと、「そうだね。プラエちゃん、大丈夫?」と言ってネプギアがプラエの顔を覗き込む。

 

 

「うん、病気の方は大丈夫。でも、少し歩き疲れちゃったかも……」

 

 

 プラエの言葉に、「そっか。それじゃあ、ユニちゃんの言う通り一休みしよっか」とネプギア言う。

 

 

「お腹がすきましたの~」

 

 

 がすとがそう言うと、「アタシもお腹ペコペコ」と日本一が言う。

 

 

「それじゃあ、ご飯にしましょう」

 

 

 ネプギアはそう言うと、素早くNギアを操作する。

 

すると、レジャーシートの他にキャンプ道具一式が現れる。

 

 

「なに作る?」

 

 

 ユニがエプロンをつけながらネプギアに尋ねると、「焼き鳥なんてどうかな?」とネプギアが答える。

 

 

「いいけど、鶏肉なんてあったかしら?」

 

 

 ユニが首を傾げる。

 

 

「昨日いっぱい手に入ったよ。ルフとロック鳥の肉」

 

 

 ネプギアがサラリと言うと、「モンスターの肉じゃないの!」とユニがツッコミを入れて来る。

 

 

「ネットや本には、普通の鶏肉みたいで美味しいって書いてあったよ」

 

 

 ネプギアの答えに、「なに調べてるのよ……」とユニが右手で頭を抱える。

 

 

「最近はモンスターでも食べちゃう人多いって聞くよ。【迷宮めし】って漫画でも食べてるし、【ペコリーナ姫】もモンスター料理食べてるし。それにシーシャさんも剥ぎ取りしたお肉焼いて食べてたでしょ」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「だから、私も一度食べてみたいな~……って思ってたんだ」と続けて言う。

 

ネプギアは好き嫌いがないので、ネットや本で【食べられる】とか【意外と美味しい】と書かれているのを素直に信じて食べてみたいと思うようになったらしい。

 

彼女にとっては、ちょっとした異国の料理を体験したいという程度の感覚のようだ。

 

 

「だったら、一人で食べなさい。アタシは嫌よ」

 

 

 ユニがキッパリそう言うと、「えー!? ユニちゃん冷たーい!」とネプギアが不満そうに頬を膨らませる。

 

 

「冷たくない。アンタが無茶苦茶言ってるのよ」

 

 

 ユニの言葉に、「無茶苦茶じゃないもん。折角のキャンプなんだから、何かこうワイルドな食事に挑戦してみようよ」とネプギアが食い下がる。

 

 

「相変わらず、清楚な顔して無茶言う子ですの」

 

 

 がすとの言葉に、「そうだねー……」と日本一も苦笑いをする。

 

 

「食べるなら、イナゴやザザムシの佃煮とか、蜂の子程度にしておくですの」

 

 

 がすとがそう言うと、「いなご!? ざざむし!? 蜂の子?」と日本一が目を丸くして驚く。

 

隣にいたファミ通が、「それって、虫じゃないかな……」と恐る恐る尋ねると、「そうですの。がすとの住んでた長野ではよく食べられていましたの」とがすとが事もなげに答える。

 

【長野】とは勿論、我々の住む日本国の長野県のことであるが、何故かがすとはこの場所を知っており、彼女の歌う【がすとちゃん音頭】には長野の名前が出て来る。

 

 

「食べてみますの?」

 

 

 がすとがそう言いながら服のポケットから小瓶を取り出すと、「「いいいいいっ!」」とファミ通と日本一が激しく首を横に振りながら後ずさりする。

 

 

「がすとさん、それ何ですか?」

 

 

 ユニと口論をしていたネプギアだが、ファミ通達のリアクションを見て、がすとの持っている小瓶に興味を示したようだ。

 

 

「これはイナゴの佃煮ですの。がすとの第二の故郷長野の郷土料理ですの」

 

 

 がすとが自信満々に言うと、ユニが心底嫌なそうな顔で、「うぇぇ~……バッタじゃないのこれぇ~」と言って小瓶から目を背ける。

 

しかし、ネプギアは特に気にした様子もなく、「郷土料理ってことは食べ物なんですよね?」と質問する。

 

 

「当然ですの。栄養満点タンパク質豊富ですの」

 

 

 がすとの言葉に、ネプギアは興味津々な顔をする。

 

 

「ちょっと、ネプギア? まさかとは思うけど……」

 

 

 ユニが恐る恐るネプギアに声を掛けると、「食べてみてもいいですか?」とネプギアは事も無げに言う。

 

 

「そんなの食べるの止めておきなさいよ! 見た目でアウトでしょソレ!」

 

 

 ユニは慌ててネプギアを止めるが、「ユニちゃん、見た目だけで判断するのは良くないよ。がすとさんも栄養満点って言ってるんだし」と冷静に答えるネプギア。

 

 

「アンタのその人を疑わず、見た目で判断しないところは好きだけど、こーゆー時は止めてちょうだい!」

 

 

 必死に止めるユニだが、「どうぞですの」とがすとが小瓶の中のイナゴを箸で摘んでネプギアに差し出す。

 

 

「ぱくっ……もぐもぐもぐもぐ……」

 

 

 差し出されたイナゴを何の抵抗も無く食べるネプギア。

 

ユニは、「うわっ……」と嫌な顔をし、他のメンバーもその様子を静かに見守っていた。

 

 

「うん、美味しいです。小エビのような味ですね」

 

 

 ネプギアがあっさりとそう言うと、「ホントに?」とラムが興味を示す。

 

 

「ラムちゃん(ふるふる)」

 

 

 しかし、ロムはまだ怖いようで首を左右に振って、その場から動こうとしない。

 

 

「食べてみる? 美味しいよ」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「どうぞですの」とがすとが先程と同じようにイナゴを箸で摘んで差し出す。

 

 

「ぱくっ……もぐもぐもぐもぐ……ホントだ。美味しいわ」

 

 

 ラムが心底美味しそうに言うと、「……ラムちゃん、ホントに?(おずおず)」と今度はロムが興味を示す。

 

 

「見た目はアレだけど、目を瞑って食べれば関係ないわよ」

 

 

 大雑把なラムは明るくそう言うと、がすとから箸と小瓶を受け取り、「ロムちゃん、目を瞑って口を開けて」と言う。

 

ロムは恐る恐るながらも目を閉じて口を開く。

 

 

「はい、ロムちゃん」

 

 

 ラムがイナゴを箸で摘んでロムの口に入れる。

 

 

「ぱくっ……もぐもぐもぐもぐ……うん、美味しい……(ぱぁぁっ)」

 

 

 ロムが明るい声で言う。

 

それを見たプラエは、「ぷ、プラエも挑戦する!」と言い出す。

 

 

「プラエ、あーんして」

 

 

 ラムがそう言ってイナゴを箸で差し出すと、プラエは全力で目を閉じて口を開ける。

 

 

「ぱくっ……もぐもぐもぐもぐ……あ、美味しい」

 

 

 プラエも明るい声でそう言うと、「ユニちゃんも食べてみたら? 美味しいよ」とネプギアがてユニに勧める。

 

 

「……アタシは遠慮しとくわ」

 

 

 ユニが相変わらず気持ち悪そうな顔でイナゴの小瓶から目を逸らしながら言う。

 

しかし、「えー!? ネプギアもわたし達も食べられたのに、ユニちゃんだけ食べられないの~」とラムが言うと、「そ、そんな訳ないじゃない! ネプギアに食べられてアタシに食べられない物なんて無いわ!」とユニが反論する。

 

 

「じゃあ、食べてみてよー」

 

 

 ラムがそう言うと、「……今はお腹が空いてないって言うか」とユニが言うが、直後に【くぅ~】とユニのお腹が鳴ってしまう。

 

 

「ぐっ……」

 

 

 ユニが気まずそうな顔をすると、「見た目がダメなら、ロムちゃんやプラエちゃんみたいに目を瞑ればいいんじゃないかな」とネプギアが提案するが、「ばっ、馬鹿にしないでよ。こんなの怖がるアタシじゃないわ!」とユニが強気に言い返す。

 

 

「じゃあ、食べてみてよ」

 

 

 ラムは再びそう言うと、イナゴを箸で摘んでユニに差し出す。

 

 

「あーーー! もぅ! なんとでもなれ!」

 

 

 ユニはそう叫ぶと、「ぱくっ」とイナゴを口に入れる。

 

 

「……もぐもぐもぐもぐ……意外と普通に食べれるわね」

 

 

 ユニがキョトンとした顔で言うと、「当然ですの。がすとの自慢の故郷ですの」とがすとがドヤ顔を決める。

 

 

「何か、これ食べたら、モンスター料理も食べれそうな気がしてきたわ。焼いてみましょうか、ロック鳥の肉」

 

 

 ユニの言葉に、「ホントに!」とネプギアが柏手を打って嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 

 

「……あんなの食べて信者とか減ったりしないのかな……」

 

 

 日本一が心配そうに言うと、「でも、長野ってトコの信者は増えるんじゃない」とファミ通が答える。

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