新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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021世界樹

 翌日、G.C.2019年8月14日 水曜日

 

 

四女神とプルルートとうずめと超次元のイストワールと神次元イストワールはプラネタワーの会議室に集まり緊急の会議を開いていた。

 

 

「そう……ついに邪神が動き出したのね」

 

 

 ブランが真剣な顔で言うと、「そうか、俺が居なくなった後も邪神の捜査は進まなかったのか……」とうずめが残念そうな顔で言う。

 

 

「ねぇ? 邪神ってなに?」

 

 

 ネプテューヌが不思議そうに言うと、「……以前に説明しませんでしたか? 超次元のゲイムギョウ界の守護女神様は知っていて当然の話ですよ」とイストワールが溜息を吐くと、「忘れた!」とネプテューヌが腰に両手を当てて自信満々に言い放つ。

 

 

「まったく、ネプテューヌは……」

 

 

 ノワールが呆れた声を出すと、「笑いごとではありませんわ」とベールが真面目な顔をする。

 

 

「え? どうしたのベール? いつになく真面目だねー」

 

 

 ネプテューヌは気楽そうに言うが、「昨日、リーンボックスでも、邪神の手下が現れて沿岸警備隊を襲ったのです……」と言ってベールが顔を曇らせる。

 

 

「何があった、べるっち」

 

 

 うすめが質問すると、「必死の声で無線で救援を呼ぶ兵士に、わたくしも急いで向かいましたが、現場は酸鼻を極めていましたわ……」ベールはそう言うとカタカタと震える。恐怖ではなく怒りに震えているようだ。

 

 

「……邪神の復活の為に、人間に恐怖と苦痛を与えてSAN値を奪い取り正気を失わせる」

 

 

 ブランが落ち着いた声で言うと、「なぶり殺しに遭ったのね……」とノワールがベールに同情してか悲し気な声で言う。

 

 

「……殺されてはいませんでしたわ。ただ、殺されてしまった方がよかったのかもしれない状態でしたわ……彼等は一生残る障害とトラウマを抱えていかなくてはなりませんわ」

 

 

 ベールが怒りを押し殺すように言うと、「極限の恐怖と苦痛で廃人にし、生殺しにしてSAN値を効果的に奪い取るのね」とブランが嫌悪感丸出しで言う。

 

 

「わたし、そういうの得意かも~」

 

 

 プルルートが間延びした声で言うが、慌てて神次元のイストワールが、「ぷ、プルルートさんは少し黙っていて下さい!」とプルルートの口を押える。

 

 

「更に被害者を見た人に恐怖と不安を植え付け、SAN値を奪う二次的な効果も狙ってるわね」

 

 

 ノワールが唇を噛み締めがら言うと、「え、えーと……わたし、出る作品間違ってないよね?」とネプテューヌが不安そうにイストワールに尋ねると、「間違っていません。だからこそ邪神と呼ばれるのです」とイストワールが冷静に答える。

 

 

「待ってよー! そんなR18Gな鬱展開ゲイムギョウ界じゃありえないでしょ!」

 

 

 ネプテューヌが不満そうに言うが、「邪神はゲイムギョウ界の住人ではないわ。遥か昔に現実世界に現れた悪しき神。このゲイムギョウ界の常識は一切通用しないのよ」とブランが落ち着いて説明をする。

 

R18Gとは猟奇的・残虐、残酷的かつ暴力的な作品を指す。

 

 

「そういう酷い人、許しちゃダメだよね~~」

 

 

 プルルートが不機嫌そうな声を上げると、「あたしがぁ、おしおきしてあげる~」と続けて言うが、「わたくしも怒りに任せて、かなり痛めつけましたが、途中で水のようになって崩れ落ちて、水たまりになってしまいましたわ」とベールが悔しそうに言う。

 

 

「殺しちゃダメだよー。痛めつけたら、回復して、また痛めつけて、また回復したら、もっと痛めつけるんだよ~」

 

 

 プルルートが楽しそうに笑うと、「おおぅ、流石はぷるるん、邪神より怖いかも……」とネプテューヌがドン引きで身震いをする。

 

 

「ぷるっちのやり方はやり過ぎかもしれないが、手下を捕らえて邪神の情報を引き出すのはアリかもな」

 

 

 うずめが右手の拳で左手の手のひらを叩きながら言うと、「そうね。今は邪神の情報が少しでも欲しいわ。何とかして生け捕りにしたいわね」とノワールが答える。

 

 

「邪神の手下が動き出したとなると、私達も迂闊に国を空けられないわね」

 

 

ブランがそう言うと、「えー? それ守りに入ってない? こーゆーのは本拠地に乗り込んでズバーンとやっつけちゃえば良くない?」とネプテューヌが言うが、「その本拠地すら分からないのです」とイストワールが説明する。

 

 

「それでは、暫くは国の守りを固めながら情報収集をすると言うことですわね」

 

 

ベールがそう言うと、「はい、そうですね」とイストワールが頷く。

 

 

「うずめさんもプルルートさんも次元は違いますが、もしかしたら侵攻があるかもしれませんので十分注意して下さい」

 

 

 イストワールが二人に忠告すると、「ああ、そっちも気を付けろよ」とうずめが言い、「あたしのところに来たら~、捕まえていっぱい可愛がって、邪神さんの情報話してもらうね~」とプルルートが楽しそうに笑う。

 

そこで会議が終わり、女神達が会議室から出ると、ネプギア達女神候補生が外で待っていた。

 

 

「どーしたの? ネプギア」

 

 

 ネプテューヌが尋ねると、「えっと、ノワールさんに用があって」とネプギアが答え、「私に?」とノワールが意外そうな顔をする。

 

 

「以前に相談していただいた件がなんとかできましたので、そのお話です」

 

 

 ネプギアがそう言うと、ノワールは少し考えた後に何か思いついたように、「ああ、あれね。本当になんとかなったの?」とノワールが尋ねると。

 

 

「そうよ! みんな、グリー……」

 

「のわっ!?」

 

 

 ラムが何か言おうとしたところで、ノワールが慌ててラムの口を止めると、「そ、それじゃあ、私、ネプギア達と話があるからこれで!!」とロムとラムを両腕に抱えて走り去ると、「お姉ちゃん?」とユニが、「ノワールさんどこへ?」とネプギアが後を追う。

 

 

「……あやしい」

 

 

ネプテューヌがあごに手を当てながら言うと、「……ええ、あやしいですわ」とベールが続き、「何かあるわね」とブランが続く。

 

 

「よし! レッツ、スニーキング!」

 

 

 ネプテューヌが元気よく言うと、「ミッション開始ですわ」とベールが続き、「さあ、行きましょう」とブランも加わってくる。

 

【スニーキング】とは敵地に潜入し、破壊や諜報などの工作を行う任務のこと。

 

つまりノワールの後をつけようと言うのだ。

 

 

「おいおい、のわっちは隠したいみたいだし、止めとけよ。なぁ、ぷるっち」

 

 

うずめはそう言うが、「ノワールちゃんの隠し事……気になる~」とネプテューヌ達について行ってしまう。

 

 

「お、おい! 俺だけ仲間外れかよ! ちょっと待てよ! 置いてくな~」

 

 

うずめが慌てて後を追いかけると、「はぁ……こんな調子で大丈夫でしょうか」とイストワールが不安そうに言うと、「少し心配ですね」と神次元のイストワールも不安そうに言う。

 

 

***

 

 

 ノワールはロムとラムを両脇に抱えながら、ネプテューヌ達から離れることだけを考えて走っていた。

 

 

「いえーい! ノワールさん、はやーい!」

 

 

 ラムが嬉しそうに笑うと、「たのしい(びゅーん)」とロムもニコニコと笑う。

 

二人とも遊園地の乗り物気分である。

 

 

「ノワールさん、待って下さいー」

 

 

 ネプギアがノワールを追いながら懸命に声を掛けると、「あっ……」とノワールは自分が行先も知らず走っていることに気付き、ゆっくりと足を止めると、ロムとラムを降ろし、「ごめんなさい。ちょっと慌てちゃって」と素直に謝る。

 

ネプギアは特に気を悪くした様子はなく、「しょうがないですよ。お姉ちゃんとベールさんには秘密ってことでしたから」と言う。

 

 

「えー、もう終わりなの?」

 

 

 降ろされたラムが不満そうに言うと、「もっと、遊びたかったな(しゅん)」とロムもガッカリしてしまう。

 

 

「後でアタシとネプギアが遊んであげるから、大人しくしてなさい」

 

 

 ユニがロムとラムを慰めるように言うと、「ほんと?」とロムの顔がパッと明るくなり、「やったー、約束よ」とラムが嬉しそうに左手を高く上げる。

 

 

「それじゃあ、厨房に用意してますので、ついてきて下さい」

 

 

 ネプギアがそう言って先導をすると、ユニがその後ろに付き、その後ろにロムとラム、最後尾にノワールの並びで厨房まで移動する。

 

厨房に着いたネプギアは、「今持ってきますね」と言って厨房の奥に行くと、「アタシも手伝うわ」とユニが付いて行き、「ノワールさんはここに座ってて」とラムが言うと、「どうぞ」とロムが椅子を引き、「ありがとう」とノワールがその椅子に座る。

 

ラムがノワールの右隣に座ると、ロムはラムの左隣に座り、ユニに言われた通り大人しく待っている。

 

 

(この子達、本当に気が利くわね。ユニは私の妹だから当然だとしても、ネプギアとロムとラムは、ちゃらんぽらんのネプテューヌと無愛想なブランの妹とは思えないわ)

 

 

 ノワールが腕組みをしながら考え込んでいると、その姿を厨房の入り口で身を伏せながら、彼女を見つめる五人の影があった。

 

 

「なんか、食べ物関係?」

 

 

 影の一人のネプテューヌがそう言うと、「この匂いカレーかしら?」ともう一つの影のブランが鼻をひくひくさせる。

 

ブランの言う通り、厨房からはカレーに使われたと思われるスパイシーな香辛料の香りがした。

 

 

「うーん、これはもしかして……」

 

 

 三人目の影のベールが含んだ言い方をすると、「べるっちは何か知ってるのか?」と四人目の影のうずめが質問をするが、ベールは「ノワールの名誉の為に伏せておきますわ」と言ってウィンクをする。

 

五人目の影のプルルートはニコリと笑うと、「わたしも分かっちゃったかも~」と楽しそうに言う。

 

神次元には、ノワール、ブラン、ベールの同名の瓜二つかつ性格も似ている人物がおり、その中でノワールとプルルートは付き合いが長いので、超次元のノワールが、何がしたいのかを察したようだ。

 

 

「うっ……」

 

 

 ノワールは身震いをすると、「何か視線を感じるわ……」と辺りをキョロキョロと見回すが、ネプテューヌ達は素早く身を隠してノワールの視界に入らないようにする。

 

ノワールが首を傾げて、「気のせいかしら?」言うと、厨房の奥からネプギアとユニがトレーを運んで来る。

 

 

「お待たせしました。私達の作った、グリーンピースカレーです」

 

 

 ネプギアがトレーからカレーの入った皿をノワールの目の前の机に置くと、ユニも、「ロムとラムの分よ」と言いながらカレーの皿をロムとラムの前に置く。

 

ネプギアがノワールの左隣にカレーの皿を置くと、その席にユニが座り、更にその隣にも皿を置くと、そこにネプギア自身が座る。

 

 

「私達なりに工夫して、食べやすく作りました。これならグリーンピース嫌いの信者の方も食べられると思いますよ」

 

 

 ネプギアがノワールに説明をすると、「ギャザリング城の近くの村のグリーンピース嫌いな子供達の意見も取り入れて作ったのよ」とユニが説明を加える。

 

ロムが嬉しそうに、「このカレーのおかげで、グリーンピース嫌いな子は居なくなったよ」と言うと、「とーぜんよ、わたし達が作ったんだから」とラムが自慢気に言う。

 

ネプギアは以前にノワールに相談された、グリーンピース嫌いの信者【本当はノワール自身】の為にグリーンピースを克服できる料理を女神候補生の仲間と共に作ったのだ。

 

 

「そ、そう……」

 

 

 ネプギア達の話を聞いたノワールだが、カレーに乗った大量のグリーンピースに、頬をピクピクさせて緊張している。

 

流石の女神でも、嫌いな食べ物の前では物怖じしてしまうようだ。

 

 

「いただきます」

 

 

 ネプギアがいただきますの挨拶すると、「「「いただきます」」」とユニとロムとラムも声を揃えて言い、カレーを食べ始める。

 

女神候補生は、ここ最近の共同生活でネプギアのいただきますの音頭で食べ始めるのに慣れている様子だった。

 

美味しそうにカレーを食べるネプギア達だが、ノワールは未だに頬を痙攣しながら固まっている。

 

 

「ノワールさん、食べないの?」

 

 

 隣のラムが不思議そうに首を傾げると、ノワールは「た、食べるわよ」と言いながら、震える手でスプーン持ち、カレーをよそう。

 

グリーンピースがたっぷり乗ったカレーのスプーンをゆっくりと口に近づけるが、途中で手が止まってしまう。

 

 

 その姿を 厨房の入り口で見つめるネプテューヌ達。

 

 

「おおっと、ノワール選手の手が止まったぞ~」

 

 

 ネプテューヌが司会者のような口調で話すと、「解説のブランさん、これはどういうことでしょうか?」とブランに話を振ると、ブランは落ち着いた声で、「苦手を克服しようと大きく出たのはいいけど、現物を目の前に尻込みしてるわね」と答える。

 

ベールはノワールの名誉の為に伏せていたが、こういう時のネプテューヌの勘は鋭くネプギア達の会話を盗み聞きして、ノワールが何をしたのかをあっさりと見破ってしまい、見られていないのをいいことに茶化し始めてブランもそれに乗っているのだ。

 

 

「そっか、のわっちはグリーンピースが嫌いだったのか」

 

 

 うずめは茶化されてるノワールを少し気の毒な表情で見ながらそう言うと、「だが、苦手な物に挑むその姿はカッコイイぜ」と力強く言う。

 

しかし、ベールはやや困った表情で、「ですが、このシチュエーションで食べられなかったり、吐き出そうものなら、ノワールの株はだだ下がりですわね……行動力は認めますけど、いささか浅はかではなくて」と言う。

 

 

「多分~、誰かに焚き付けられて、思わず体が動いちゃったんじゃないかな~。ノワールちゃんプライド高いから~」

 

 

 プルルートが楽しそうに微笑みながら言うと、ベールは口を押えて、「あっ……」と呟く。

 

ベールなりに思い当たる節があるようだった。

 

 

「……あなたが燃料投下したのね」

 

 

 ベールの様子で察したブランが言うと、「ベール、グッジョブ」とネプテューヌはサムズアップで言い、「ベールさん、ぐっじょぶ~」とプルルートがそれに続く。

 

ちなみに燃料投下とは主に【火に油を注ぐ】という意味で、グッジョブは【よくやった、いい仕事】などの意味がある。

 

つまり、ノワールを焚き付けたベールをネプテューヌとプルルートが褒めているのだ。

 

 

「年下の子の前で、グリーンピースが食べられずにプルプル震えてるノワールちゃん、かわいそう~」

 

 

 プルルートが哀れむように言うと、うずめは「だが、のわっちなら、この試練を乗り越えてくれるさ」と力強くサムズアップをする。

 

うずめは続けて、「だから、ぷるっちも一緒に心の中で応援……」と言いかけると、プルルートはサディスティックな笑みを浮かべ、「かわいそ過ぎて、今すぐ駆け付けて、お口の中にグリーンピース突っ込んであげたいな~」と楽しそうノワールを見つめる。

 

 

「こわっ、ぷるっちこわっ」

 

 

 うずめが目を丸くしてドン引きすると、「ぷるるん、スティッ、スティッ、まだだっ、まだだっ」とネプテューヌがやや楽しそうに言い、「そうだね~、もうちょっとノワールちゃんの困った顔眺めてたいよね~」とプルルートが笑う。

 

ネプテューヌがノワールをからかうのは日常茶飯事だが、プルルートは変身前でもサディズムな嗜好を持っており、特に好きな者を身体的にも精神的にもいたぶるのが大好きで、それが彼女の愛情表現になっている。

 

その為、この状況を作ったベールに対して、グッジョブと言ったのだ。

 

 

「相変わらず、いい性格してるわね……」

 

 

 ブランがポツリと呟くと、「えへ~、ブランちゃんに褒められちゃった~」とプルルートが嬉しそうに微笑む。

 

ブランは、「ふぅ……」溜息を吐いて、「あなたがそう捉えるなら、それでいいわ」と諦めたように言う。

 

 

「流石のわたくしも、少々責任を感じてしまいますわね」

 

 

 ベールは少し反省したように言うが、「けど、自分で蒔いた種よ。自分で蒔いた種は自分で刈り取るのが当たり前」とブランが突き放す。

 

うずめは頷いて、「ああ、俺も軽率な発言で、ぎあっちにハメられたが、おかげでシイタケ食えるようになったしな」と小さく右手でガッツポーズをする。

 

 

「ええ~、うずめちゃん、ぎあちゃんにハメられちゃったの~。どこを~? どんなふうに~?」

 

 

 プルルートが楽しそうにうずめに質問すると、「誤解だ誤解! そういう意味じゃないぞ、ぷるっち」とうずめは慌ててしまう。

 

うずめは、「こほん」と咳払いをすると、「とにかく、のわっちならやってくれる。俺は信じてるぜ」とノワールに熱い視線を送る。

 

ネプテューヌ達が外野で騒いでる間もノワールの手は止まってままであった。

 

 

「お姉ちゃん?」

 

 

 ユニが怪訝な視線をノワールに向けると、「何か気に入らないところがありましたか?」とネプギアが不安そうに声を掛ける。

 

ノワールは震える声で、「な……なんでもないわ」とは言うが手は止まったままであった。

 

 

「……みんなで一生懸命頑張って作ったのに(めそめそ)」

 

 

 ロムが悲しそうな声で言う。仲間達と頑張って作った物を、いつになっても食べようとしないノワールの態度が悲しくてしかたないのだ。

 

ラムが怒った顔で、「ロムちゃんを泣かしたら承知しないわよ!」と睨むが、ネプギアが、「待って、ラムちゃん」と言ってラムを止めると、「ノワールさん、具合悪いんですか?」と心配そうに尋ねる。

 

 

(……このまま調子が悪いって言って席を立てば……)

 

 

 ノワールはそこまで考えると、激しくその考えを振り払い、(ダメよダメよダメよ! この子達が……何よりもユニが私の話を信じて、ここまでやってくれたのよ! 根性見せなさい、ノワール!!)と自分を鼓舞する。

 

ノワールは力強くスプーンを握ると、思い切って口の中にそれを入れる。

 

 

「はむっ!」

 

 

 ノワールはゆっくりとスプーンを口から抜くと、グリーンピースカレーを噛み始める。

 

ユニが心配そうに、「どうかな?」と質問すると、ノワールは鳩が豆鉄砲を食ったような顔で、「……美味しい」と呟く。

 

 

「そうでしょ! そうでしょ! 何でもっと早く食べないのよー!」

 

 

 ラムは機嫌を直して嬉しそうに言うと、ロムも「やった(ぶいっ)」と嬉しそうにVサインを決める。

 

ノワールは次々にグリーンピースカレーを口に運ぶと、「これなら、私でも食べられるわ」と嬉しそうに言うが、「「「「わたし?」」」」とネプギア達が不思議そうに首を傾げると、ノワールは気まずい顔で、「あっ……」と呟く。

 

 

「ノワール選手、ここに来て痛恨のミス!」

 

 

 厨房の入り口でネプテューヌが再び司会者の真似事をすると、「ブランさん、この展開はマズイのでないでしょうか?」とブランに話を振ると、「ノワール選手らしいミスね。油断から足をすくわれるのは彼女のお家芸だから」とブランが冷静に解説する。

 

ベールも「詰めが甘いのは相変わらずですわね」と溜息を吐き、プルルートは楽しそうに、「ノワールちゃんはそそっかしいんだから~」と笑うが、うずめは、「のわっち、頑張れ。持ち堪えろ! 根性見せろ!」とスポーツ観戦のように熱い声援を送る。 

 

 

「……お姉ちゃん、もしかして……」

 

 

 ユニがゆっくり口を開くと、「そ、そう! 相談しに来た信者の名前が、【ワタ氏】って名前なのよ! だから、ワタ氏でも食べられるって……」とノワールは慌てながらも懸命に言い訳をする。

 

 

「うわー……それは無理があるでしょー」

 

 

 ネプテューヌが司会者の真似事も忘れて呆れると、「流石に無理がありますわね」とベールも呆れ、「これでは、ウチの妹達すら騙せないわ」とブランが哀れそうに言う。

 

プルルートはウットリした顔で、「慌てて真っ青になるノワールちゃん、かわいい~」と顔を赤くし、うずめは相変わらず、「諦めるな、のわっち、諦めたらそこで試合終了だぞ」と熱い声援を送り続けている。

 

 

「そうなんですか。ワタ氏さんも食べられるといいですね」

 

 

 ネプギアがニッコリ微笑んで言うと、「ネプギア?」とユニが不思議そうにネプギアに声を掛けるが、「どうしたの? ユニちゃん」とネプギアは可愛らしく小首を傾げる。

 

 

「えっと……ワタ氏って、変な名前じゃない?」

 

 

 ユニがややためらい気味にネプギアに尋ねると、「世の中には色々な名前があるんだから、変とか言ったら可哀想だよ。それに和タリって焼き肉屋さんもあるし、意外と普通の名前だと思うよ」とネプギアが答える。

 

ユニはネプギアの言葉に毒気を抜かれたようになると、「ごめん、お姉ちゃん、アタシ変な誤解した上に、自分の国の信者を変な名前とか言っちゃって……」と落ち込んでしまう。

 

ノワールは慌てて、「ゆ、ユニは悪くないわ。悪いのは私! ちゃんと説明しなかった私なのよ!」と言ってユニを抱き寄せる。

 

ユニは慌てて、「お、お姉ちゃん」と言うが、「ありがとう。私の……私の国の為にここまでしてくれるなんて嬉しいわ」と頭を撫でると、「じ、自分の国の為だもん。当然よ!」とユニは言うが、顔はかなり嬉しそうであった。

 

 

「よかった、よかったな~、のわっち~~」

 

 

 遠くで見ていたうずめが涙を流しながら言うと、「うずめってば、涙腺脆いなー」とネプテューヌが呆れたように言い、「それでは、見つかる前に引き上げましょう」とベールが言うと、五人共厨房から引き上げる。

 

 

***

 

 

 その後、ノワールはグリーンピースカレーを完食した後、ラステイションに帰る為にプラネタワーのテラスに向かい、ネプギア達もそれに付いて行く。

 

そこで、ネプギアはノワールにディスクを渡して、「これにレシピが載ってますから、この通りに作ってグリーンピースに慣れていけば、食べられるようになると思います」と説明をする。

 

 

「ありがとう。この借りは絶対に返すわ」

 

 

 ノワールは力強く言うが、ネプギアは両手を左右に振りながら、「借りなんてそんな……ユニちゃんがノワールさんの力になりたくって率先して協力してくれたからです。だから、後でユニちゃんをいっぱい褒めてあげて下さい」と言う。

 

ユニは慌てながら、「ね、ネプギア! なに言ってるのよ!?」と顔を真っ赤にするが、その表情は嬉しそうだった。

 

 

「そうね。あなたがそう言うならそうするわ」

 

 

 ノワールはそう言うと、ユニは真っ赤な顔のまま、「お姉ちゃんまで……」と恥ずかしそうに俯いてしまう。

 

ノワールが、「それじゃあ、またね」と言ってブラックハートに変身して宙に浮かび上がると、ラムが左手を振って、「ワタ氏さんによろしくねーー!」とロムも、「ワタ氏さん、グリーンピース食べられるようになるといいね」とラムに続く。

 

ロムもラムもノワールの態度を不審には思ったが、ネプギアの話を聞いて、その不信感は払拭されたようだ。

 

ノワールは女神候補生達に手を振って応えると、ラステイションの方向に飛び去って行く。

 

離れてその光景を見ていたネプテューヌは、「いやー、めでたしめでたし。どうなることかと思ったけど、ネプギアの神対応で何とかなったね」と嬉しそうに言う、

 

 

「流石は、わた……」

 

「流石は、わたくしの妹ですわ!」

 

 

 ネプテューヌが妹を自慢しようとする寸前にベールが素早く割って入る。

 

ネプテューヌは不満そうに口を尖らせると、「ベールしつこい! いくら言ってもネプギアはあげないんだからね!」と注意する。

 

 

「……でも、あの子の場合、神対応と言うより、天然の可能性の方が高いわ」

 

 

 ブランが落ち着いてそう言うと、うずめは嬉しそうに、「そうだな。ぎあっちは人を疑うことを知らないからな」と笑う。

 

ベールはニコリと笑うと、「けど、それがいいですわ。あの子は必ずわたくしの妹にしてみせますわ!」と小さくガッツポーズを作る。

 

 

「もー、本当にベールはしつこいなー」

 

 

 ネプテューヌはウンザリした顔で言うと、「ネプテューヌ、あなたもノワールに倣ってナスを食べられるように努力してみたら?」とブランが提案をするが、「無理無理無理無理無理! ナスは人の食べ物じゃないよー!」とネプテューヌは必死に首を横に振る。

 

ベールは少し呆れながら、「ネプギアちゃんに頼めばいいようにしてくれますわよ」と言うが、「別に嫌いなことから逃げるのはダメなことじゃないよー。ストレス軽減の為のリラクゼーションだよ」とネプテューヌがドヤ顔で答える。

 

ブランは呆れた顔で、「ふぅ……」溜息を吐くと、「あなたの場合は毎日がリラクゼーションでしょ」と呆れ、「仕事からもナスからも、逃げてるだけでは何も身に付きませんわよ」とベールもそれに続く。

 

 

「このネプテューヌ、戦略上逃げる事はあっても戦闘自体を放棄した事は無い!!」

 

 

 ネプテューヌは突然強気になってドヤ顔で両手を腰に当たると、「おお、ねぷっち、カッコイイじゃねぇか」とうずめは褒めるが、「じゃあ、何か策があるの?」とブランが訝しげに言う。

 

ネプテューヌは当然と言わんがばかりに右手の親指で自分を指差すと、「こういう時の魔法の言葉!」と叫び、ビッと天高く右手を天に掲げると、「明日から本気出す!!」と堂々と叫ぶ。

 

ベールが、「はぁ~~……」と深い溜息を吐くと、「完全にニートの思考ですわね」と呆れかえり、「予想範囲内ね」とブランが冷静に言い、うずめも微妙な顔で、「ねぷっち、それは最高にカッコ悪いと思うぜ……」と苦笑いをする。

 

 

「それよりさ、ぷるるんはどうするの?」

 

 

 ネプテューヌは自らの不利を悟り、プルルートに話を振ると、「なにが~」とプルルートが首を傾げる。

 

ネプテューヌが、「こっちのノワールがあのカレーでグリーンピース克服したなら、そっちのノワールも克服できるんじゃない? ネプギアに頼めばレシピくれると思うよ」と彼女にしては至極まともな提案をする。

 

 

「そんなことしないよ~」

 

 

 プルルートは即答で否定すると、「だって、ノワールちゃんをイジメ……じゃなくて、可愛がってあげるネタを減らすなんて勿体ないもん」と断言する。

 

うずめが顔を青くして、「今、イジメって言わなかったか?」と慌てると、「……神次元に生まれなくて、つくづく良かったと思うわ」とブランが言い、「わたくしも」とベールも続く。

 

その後、ネプテューヌを除く四人の女神は変身すると、それぞれの国に帰って行った。

 

 

***

 

 

 翌日、G.C.2019年8月15日 木曜日

 

午前中にクエストを終わらせたネプギア達は、午後からバンドの練習をしていた。

 

ギャザリング城で共同生活をするようになってから、朝はランニングとファルコムの稽古。午前中にイストワールの計画してくれたクエスト。午後は事務仕事を片付けつつ比較的自由な時間を過ごしていた。

 

その中で、女神候補生達とプラエとミクで組んだバンド【グランプリ ユナイテッド】は毎日1~2時間程度の練習をしていた。

 

 

「うん、みんな上手くなったね」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに言う。

 

 

「みんな上手だよ。私も歌ってて気持ちいい」

 

 

 ミクが嬉しそうに言うと、「ミクちゃんに褒められちゃった(どきどき)」とロムが、「いえーい! 褒められたー!」とラムが万歳して喜ぶ。

 

 

「大分ミスも無くなってきたし、また腕試しとかしたいわね」

 

 

 ユニがそう言うと、「それなんだけど、5pb.さんから一緒にライブをやらないかって誘われてるの。どうかな?」とネプギアが言う。

 

すると、プラエが、「やってみたい!」と嬉しそうに言う。

 

 

「やるやる~!」

 

 

 更にラムが左手を上げながらそう言うと、「……少し恥ずかしいけど、わたしもやりたい」とロムが言う。

 

 

「当然、アタシも賛成よ。ミクは?」

 

 

 ユニがそう言ってミクに問いかけると、「うん、私もやりたいよ。ネギちゃんのくれたこの体で、また大勢の人の前で歌いたい」とミクが答える。

 

 

「満場一致だね」

 

 

 ネプギアが柏手を打ちながら嬉しそうに言うと、「なにそれ? 満漢全席の仲間?」とラムが質問する。

 

 

「反対意見が無く、全員賛成で意見がまとまることよ」

 

 

 ユニがそう説明すると、「そりゃそうよ。わたし達は一心同体なんだから。ね? ロムちゃん」とラムがロムに問いかける。

 

すると、ロムも嬉しそうに、「うん、みんな一心同体(にこにこ)」と答える。

 

 

からんっ!

 

 

 バイオリンの弓が落ちる。

 

同時に、プラエが膝を折り苦しそうに左胸を抑える。

 

 

「プラエちゃん!」

 

 

 ネプギアは慌ててプラエに駆け寄り、その体を支える。

 

 

「あんみつを呼んで来るわ!」

 

 

 ユニが慌てて部屋を出ていく。

 

 

「プラエちゃん!」

 

「しっかりして、プラエ!」

 

 

 ロムとラムが必死になって回復魔法を唱えるが、プラエの容体は変わらない。

 

 

「プラエ様!」

 

 

 ユニに呼ばれたあんみつが慌てて部屋に入って来る。

 

 

「これをお飲みください」

 

 

 あんみつがプラエの口の中にカプセルを入れると、吸い飲みで水を飲ませる。

 

そして、あんみつはプラエを抱きかかえるとプラエを部屋まで連れて行きベッドに寝かせる。

 

 

***

 

 

「……ん……っ」

 

 

 ベットに寝かされていたプラエの瞳が開かれる。

 

同時に、「プラエが起きたわ」と嬉しそうなラムの声がする。

 

 

「よかった……(へとへと)」

 

 

 疲れた声を出すロムに、「だから言ったでしょ、大丈夫だって。呼吸してるし、あんみつが大丈夫って言ったんだから」とユニが少し呆れた声で言う。

 

 

「ロムさん? ラムさん?」

 

 

 不思議そうな顔でロムとラムの顔を見るプラエに、「二人ともプラエちゃんが目を覚まさないって、ずっと回復魔法かけてくれてたんだよ」とネプギアが説明をしてくれる。

 

 

「ここは……プラエのお部屋……確か苦しくなって……そっか、プラエの病気で倒れちゃったんだね」

 

 

 プラエはそう言いながら上半身を起こす。

 

すると、「プラエ様!」とあんみつが心配そうな声を上げるが、「大丈夫。ロムさんとラムさんの回復魔法が効いたみたい」とプラエは答えた。

 

 

「ごめんなさい。練習中だったのにプラエのせいで……」

 

 

 プラエが申し訳なさそうに言うと、「そんなこと気にしなくていいよ。私の方こそ、気を使ってあげられなくてごめんね」とネプギアが答える。

 

 

「プラエちゃんはどこか悪いの?」

 

 

 あまり事情を知らないミクが質問すると、「プラエは生まれつき心臓が弱いの」とプラエが悲しそうに答える。

 

 

「魔法でも治らないの?」

 

 

 ラムが質問すると、「うん、お薬飲んで発作を抑えるのが精一杯なんだって……」とプラエが答える。

 

 

「そんな……(しくしく)」

 

 

 ロムが悲しそうに言うと、「どうにかならないの? あんみつ」とユニがあんみつに質問をする。

 

 

「……申し訳ありません。過去に私とプロテノール様が世界中の医者を探しましたが、この強心剤で発作を和らげるのが限界だそうです」

 

 

あんみつが心底申し訳なさそうにそう言うと、「がすとさんに相談してみませんか? もしかしたら良い薬を知っているかもしれません」とネプギアが言う。

 

 

「それいいかも!」

 

 

 ラムがネプギアの提案に嬉しそうに返事すると、「流石はネプギアちゃん」とロムも嬉しそうに答える。

 

 

「わたし、がすと呼んで来るね」

 

 

 ラムがそう言って部屋を出ていくと、「わたしも行く」とロムが後に続く。

 

 

***

 

 

「結論から言えば、がすとにこの病気は治せませんの。がすとは医者じゃありませんの」

 

 

 がすとの言葉に、全員が肩を落とす。

 

 

「ですけど、この強心剤より効果の高い薬なら作ることはできますの」

 

 

 がすとがそう言うと、「なんと! 本当ですか!」とあんみつが驚く。

 

 

「本当ですの。ただし、エリキシル剤と呼ばれる錬金術において最高級にカテゴライズされる霊薬の一種になりますの」

 

 

 がすとの言葉に、「エリキシル剤って、エリクサーってヤツよね。それなら、その辺の冒険者が持ってるんじゃないの?」とラムが言う。

 

すると、ユニは不思議そうな顔で、「なんでよ?」とラムに質問をする。

 

 

「大体の冒険者は、エリクサー症候群って、エリクサーが勿体なくて使えない性格だって、お姉ちゃんが前に言ってたわ」

 

 

 ラムがそう答えると、「うん、言ってた(こくこく)」とロムが頷く。

 

 

「……ああ、そういうことね」

 

 

 ユニが呆れ半分落胆半分で納得すると、「でも、たまたま持ってるって人もいるかもしれないから、ギルドに依頼してみようよ」とネプギアが言う。

 

 

「それではダメですの。一般的に出回ってるような品質のエリクサーでは恐らく効きませんの」

 

 

 がすとがそう言うと、「品質?」とミクが首を傾げる。

 

 

「錬金術で作れる品物もピンキリってことですの」

 

 

 がすとがそう答えると、「ピンキリってなに?」とロムが首を傾げ、「爪切りとかの仲間?」とラムも同じく首を傾げる。

 

 

「ピンキリって言うのは、【最も良いものから、最も良くないものまで幅広い】などの意味よ」

 

 

 ユニがそう言うと、「頂点を表すのがピンで、底辺を表すのがキリになるの」とネプギアが付け加える。

 

 

「一般的に出回ってるエリクサーは、大抵がキリに値するHPとMPを回復できるだけの品物になりますの。それに対して品質を高めたピンに値する品物は重病などに効く効能が追加されますの」

 

 

 がすとがそう説明すると、「熟練の錬金術師は、この品質を極限まで高めることを生きがいとしておりますの」と続ける。

 

 

「つまり、がすとさんのような熟練の錬金術師に素材から調合してもらう必要があるんですね」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「その通りですの。ネプギアは理解が早いですの」とがすとが嬉しそうに言う。

 

 

「なーんだ。それなら、ちゃっちゃと作っちゃってよ」

 

 

 ラムがそう言うと、「お薬作って」とロムもそれに続くが、「そう簡単には作れませんの」とがすとが答える。

 

 

「なに? もしかしてお金の問題?」

 

 

 ユニがジト目でがすとを見ながら言うと、「代金でしたら用意できると思います」とあんみつが言い、「私も、いーすんさんに相談してみます」とネプギアが言う。

 

 

「お金は勿論大事ですけど、問題はそこじゃありませんの。高品質のエリキシル剤を作るには【世界樹の葉】が大量に必要になりますの」

 

 

 がすとがそう言うと、「世界樹の葉は、その名の通り世界樹から採れる葉っぱですけど、その世界樹がどこにあるのか分かりませんの。だから世界中歩き回って風で流されてきた世界樹の葉を集める必要がありますの」と続けて言う。

 

 

「それは時間がかかりそうですね」

 

 

 ネプギアが難しい顔で言うと、「誰か世界樹の場所を知らないかしら?」とユニが続く。

 

すると、「それなら、いーすんさんに相談してみようよ」とネプギアが言うと、「じゃあ、わたし達がイストワールを呼んで来るわ。行くわよロムちゃん」とラムが言うと、「うん」とロムが言って二人揃って部屋を出ていく。

 

 

「みんな、プラエの為にありがとう……」

 

 

 ベッドに横になっているプラエがそう言うと、「友達だし仲間なんだから、これくらい当然だよ」とネプギアが微笑みながら答える。

 

ユニも、「遠慮なんてしなくていいのよ」と言うと、「私もプラエちゃんの為に出来る限りのことをするね」とミクが言う。

 

 

「プラエ、ネプギアお姉さん達に会えて本当によかったよ」

 

 

 そう言ってプラエは微笑むが、何故かあんみつは辛そうな顔で俯いて黙っている。

 

 

「あんみつ?」

 

 

 プラエが心配そうにあんみつに声を掛けると、「いえ、何でもありません。少し考え事をしていました」とあんみつは答えた。

 

 

***

 

 

「なるほど、世界樹の葉ですか」

 

 

 ロムとラムに呼ばれて来たイストワールが考え込むように言う。

 

 

「何とかなりませんか?」

 

 

 ネプギアが訴えるようにイストワールに言うと、「幾つか方法はあります」とイストワールが答える。

 

 

「本当ですか!」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに言うと、「大まかにすると、二つです。まずはギルドに依頼して、世界中の冒険者達から集める方法。もう一つは直接世界樹に行く方法です」とイストワールが答える。

 

 

「イストワールは世界樹の場所を知ってますの?」

 

 

 がすとが、やや驚いたように言うと、「知ってはいます。ですが、そこで確実に世界樹の葉が手に入るとは言えないのです」とイストワールが答える。

 

 

「どういうことですか?」

 

 

 ユニが腕組みして首を傾げると、「世界樹には守り人がいるのです。その人物に認められないと、葉を摘むことは許されないのです」とイストワールが答える。

 

 

「もりびと?」

 

 

 ロムが不思議そうに小首を傾げると、「山盛りご飯で食べないと認めてくれないの?」とラムも小首を傾げる。

 

 

「その盛りじゃないわよ」

 

 

 ユニが右手で頭を抱えながら呆れたふうに言うと、「その場所を、【守る】って意味のことだよ」とネプギアがロムとラムに説明をする。

 

 

「守り人は、相手の実力だけではなく、その人柄を重視すると言われてます」

 

 

 イストワールがそう言うと、「ひとがら? ジンジャーブレッドマンとか?」とラムが言うと、「クッキー好きなの?」とロムがそれに続く。

 

 

「それは人型よ。人柄って言うのは、その人に備わっている性質や品格よ」

 

 

 ユニが腕組みしながらそう言うと、「立派な人かそうでないかって意味だよ」とネプギアが説明を加える。

 

すると、「ああ、だから下っ端みたいなのは【ガラが悪い】って言うのね」とラムが思いついたふうに言う。

 

 

「わー! ラムちゃんスゴイ(ぱちぱち)」

 

 

 ロムがそう言ってラムに拍手すると、「それなら楽勝じゃない。わたし達いい子だもん」とラムが手を腰に当ててドヤ顔を決め込む。

 

ロムも、「うん、いい子。毎年サンタさんがプレゼントくれるし(ふんす)」と自信満々に言う。

 

 

「そーゆーことは自分で言うものじゃないの」

 

 

 ユニがやや呆れながらそう言うと、「確かに皆さんの人柄なら問題ないとは思いますが、守り人は【仁義八行】に沿って人を見るそうです」とイストワールが言う。

 

すると、「仁義って、思いやりとか情けとかよね。前にネプギアが言ってたわ」とラムが言う。

 

 

「仁義八行とは、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八種の徳のことです」

 

 

 あんみつがそう言うと、「「じん・ぎ・れー・ち・ちゅー・しん・こー・てー?」」とロムとラムが首を傾げる。

 

 

「仁は、思いやり、慈しみ。義は、人道に従うこと、道理にかなうこと。礼は社会生活上の定まった形式、人の踏み行なうべき道に従うこと。智は、物事を知り、弁えていること。忠は心の中に偽りがないこと、主君に専心尽くそうとする真心。信は言葉で嘘を言わないこと、相手の言葉をまことと受けて疑わないこと。考は、おもいはかること、工夫をめぐらすこと。親孝行すること。親や先祖を大切にする心。悌は、兄弟仲がいいこと」

 

 

 あんみつが続けて説明すると、「あんみつさん詳しいんですね」とネプギアが感心をする。

 

 

「仁義八行は武士として守るべき戒めですから」

 

 

 あんみつがそう答えると、「なんだか難しいけど、よく考えると当たり前の気がするわ」とユニが言い、「確かにそうかも」とネプギアが頷く。

 

 

「そう感じられるネプギアさん達のセンスなら、守り人に認めてもらえるかもしれませんね」

 

 

 イストワールがそう言うと、「なら、直接世界樹に行きましょうよ」とラムが言い、「うん、そうしよう」とロムがそれに続く。

 

 

「しかし、世界樹はゲイムギョウ界の全ての次元を支える樹。そこに行くには別次元へ移動する必要があります」

 

 

 イストワールの言葉に、「ルートビルド計画はどうするのよ?」とユニが難しい顔をし、「只でさえ地鎮祭で日程が遅れ気味なのに」と言って腕を組む。

 

 

「それならパーティを二つに分けようよ。がすとさん達やゴッドイーターさん達が来てくれたから戦力は充実してるし」

 

 

 ネプギアがそう提案すると、「そうですね。先日のクエストと同じように、世界樹に行くメンバーとルートビルド計画を進めるメンバーで分担しましょう」とイストワールが同意する。

 

 

***

 

 

 ネプギアは直ぐに仲間達を広間に集めて、パーティメンバーの分担の相談を始めた。

 

 

「宇宙と地上でメンバーを分けるのは毎回恒例だよね」

 

 

 ビーシャが楽しそうに言うと、「何の話をしてるのよ……」とアイエフが呆れ顔で肩をすくめる。

 

 

「それじゃあ、私達、女神候補生とプラエちゃんとミクちゃんは世界樹に向かい、ルートビルド計画はいーすんさんとファルコムさんを中心にします」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「えっと、どちらのチームに入りたいか希望はありますか?」と続けて全員に質問をする。

 

 

「世界樹の葉の見極めがありますから、がすとはネプギア達に同行しますの」

 

 

 がすとが右手を上げながら言うと、「そうですね。がすとさんお願いします」とネプギアが納得をする。

 

 

「がすとが世界樹に行くなら、あたしも行くよ。がすとだけじゃ心配だしね」

 

 

 日本一がそう名乗り出ると、「わかりました。よろしくお願いします」とネプギアが言う。

 

 

「あたしも世界樹見たいんだけど、ダメなのかな?」

 

 

 ファルコムが右手を上げながら言うが、「ごめんなさい。ファルコムさんは最高戦力として、いーすんさんと一緒にルートビルド計画を守って欲しいんです」とネプギアが申し訳なさそうに答える。

 

 

「そっか、わかったよ。そこまで期待されちゃ断る訳にもいかないね」

 

 

 ファルコムはそう言ってスッパリ諦めてくれたようだ。

 

 

「わたしは、ワレチューのことがあるから、ルートビルド計画の方に残るよ」

 

 

 ビーシャがそう言うと、「わたしもネズミさんのことが気になります」とコンパが言う。

 

すると、「そういうことなら私も残るわ。コンパとビーシャだけじゃ心配だしね」とアイエフが言う。

 

 

「邪神と犯罪組織の残党共が気になるわ。私もルートビルド計画に残らせてもらう」

 

 

 ニトロプラスが静かに言うと、「私は女神候補生のみんなを取材したいから、世界樹に行くよ」とファミ通が言う。

 

 

「プラエ様、申し訳ございません。私はルートビルド計画の方に参加させていただきます」

 

 

 あんみつがそう言うと、「あんみつ? どうして?」とプラエが不思議そうに首を傾げる。

 

 

「戦力的にそちらの方が良いと思いまして」

 

 

 あんみつの言葉に、「ありがとうございます。あんみつさん」とネプギアがお礼を言う。

 

 

(……プラエ様のことはネプギア殿に任せておけば大丈夫だろう。私は何かの間違いで彼女が死ぬことがないよう立ち回らねば)

 

 

「それなら、人数的に私はルートビルド計画だね」

 

 

 最後にゴッドイーターがそう言うと、「上手くチーム分けができました」とネプギアがホログラムを出す。

 

 

【世界樹】

1:ネプギア

2:ユニ

3:ロム

4:ラム

5:プラエ

6:がすと

7:日本一

8:ファミ通

9:ミク

 

 

【ルートビルド計画】

1:ファルコム

2:イストワール

3:ビーシャ

4:コンパ

5:アイエフ

6:ニトロプラス

7:ゴッドイーター

8:あんみつ

 

 

「うん、戦力的に問題ないわね」

 

 

 ユニが満足そうに頷くと、「そうだね。ルートビルド計画の方は、何か起きたら四女神様がいるからね」とファミ通が言うが、「約一名期待できそうにないのがいるけどね」とアイエフが頭を抱える。

 

 

「皆さんご協力ありがとうございます。私達も出来るだけ早く帰ってくるので、ルートビルド計画のことよろしくお願いします」

 

 

 ネプギアが一礼してそう言うと、「プラエの為に、みんなありがとう」とプラエも頭を下げる。

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