新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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 G.C.2019年8月18日 日曜日

 

ネプギアがライラックの精霊と誓約する少し前。

 

 

「はぁはぁはぁっ……」

 

「ふぅふぅふぅっ……」

 

 

 倒れたファミ通を護るように戦っている、ロムとラムが荒い呼吸を上げる。

 

その周囲を取り囲むように、十数匹の深きものの群れが居る。

 

 

「このままじゃ……ロム様、ラム様。二人だけでも逃げて……」

 

 

 ファミ通が掠れた声で言う。

 

 

「そんなこと出来るわけないでしょ!」

 

 

 ラムが叫ぶと、「絶対に守り切る」とロムも強気に言う。

 

しかし、言葉と裏腹に二人の足は震えていた。

 

 

(私が動けないから、ロム様とラム様が……死なせない、絶対に死なせちゃダメだ。女神候補生はゲイムギョウ界の希望なんだ!)

 

 

 ファミ通はそう思うと、力を振り絞り立ち上がる。

 

 

「ファミ通!?」

 

 

 ラムが驚く間もなく、ファミ通は、「であああああああ!!!」と叫びながら深きものの群れの中に突撃していく。

 

そして、「逃げて! 逃げて下さい!」とロムとラムに向けて叫ぶ。

 

深きもの達は、飛び込んで来たファミ通を一斉攻撃する。

 

その様は、川に落ちた獲物を食らいつくすピラニアのようだった。

 

 

「いやあああああああ!!」

 

 

 ロムの叫びが木霊する。

 

 

「よくも、ファミ通を!」

 

 

 ラムは杖を構えて戦闘態勢を取るが、深きものの群れはピクリとも動かない。

 

 

「あれ?」

 

 

 ラムは少し肩透かしを受けたように首を傾げる。

 

 

「おかしいね……」

 

 

 ロムも異変に気付いたようだ。

 

 

「無謀と勇気を履き違えてはダメです」

 

 

 ロムとラムの耳に聞き覚えのない声が聞こえる。

 

 

「誰?」

 

 

 ラムがそう言った瞬間、ファミ通を襲っていると思われた深きものの群れは、50Mと共にオーバーキルMAXの表示がされると輪切りになって次々と消え去る。

 

 

「え? なに? 今のダメージ? Mってなんだって?」

 

 

 ラムが驚きの声を上げると、「確か、めが……だったと思う……キロより上の単位」とロムも驚きの声を上げる。

 

M【メガ】とはロムの言う通り、K【キロ】の上の単位で、50Mは以前に女神候補生達が合体攻撃で出した10万ダメージの遥かに上を行く5000万ダメージである。

 

そして全ての深きものが輪切りにされると、一人の女性が姿を現す。

 

身長はネプギアよりやや高く、髪は金色のロングヘアー。

 

そして白い軍服と白いベレー帽を纏っていた。

 

特徴的なのは顔につけた目の周囲を覆うような白い仮面だ。

 

 

「女神として、仲間を護りたい気持ちは分かりますけど、時には逃げる勇気も必要ですよ」

 

 

 仮面の女性がそう言うと、「だって……」と言ってラムが視線を下に落とす。

 

 

「それより、ファミ通さんは!」

 

 

 ロムが思い出したかのように言うと、「無事です。ほら、ここに」と仮面の女性が言う。

 

そこにはうつ伏せに倒れたファミ通が、「ううっ……」とうめき声を上げていた。

 

 

「……あ、ありがとう」

 

 

 仮面の女性に助けられた事実を理解したラムが素直にお礼を言うと、「ありがとうございます」とロムもお礼を言う。

 

 

「間に合ってよかった」

 

 

 仮面の女性はそう言って微笑むと、ロムとラムの頭を撫でて、「よくゲムドラジルを護ってくれました。感謝します」と優しい声で言う。

 

 

「えへへ~」

 

 

 ラムが嬉しそうに笑うと、ロムも、「えへへ……」と嬉しそうにする。

 

 

「あっ! そうだ! ネプギアとユニちゃん!」

 

 

 ラムが慌てたように言う。

 

ロムも、「お願い、ネプギアちゃん達も助けてあげて」と言う。

 

 

「今から助けに行きます。大丈夫です。必ず助けてみせます。あなた達は伏姫さんの言った場所に避難して」

 

 

 仮面の女性はそう言うと、目の前に丸い空間を作り出すと、その中に消えて行く。

 

 

「あれは……ネプテューヌさんが使ってた、クロワールのテレポート」

 

 

 ラムがそう言うと、「じゃあ、あの人が伏姫さんの言っていた、九花の人?」とロムが言う。

 

 

 

***

 

 

 

「くっ……手強い……」

 

 

 ユニが悔しそうに呟く。

 

彼女はロムとラムよりは近接戦闘が出来るが、それでも本職はスナイパーで銃を使った戦闘の方が力を発揮できる。

 

しかし、日本一とがすととの三人で深きものの大軍を相手にするには全く狙撃をする暇がない。

 

蹴り技とX.M.Bをマシンガンやショットガンモードにして耐えしのいでいたが、日本一は既に戦闘不能で、後衛のがすともユニの回復が追いつかない状況だ。スタミナもかなり消費して攻撃も回避もままならない。

 

 

(このままじゃ……)

 

 

 ユニがそう思った瞬間、彼女の目の前に丸い空間が現れると同時に白い軍服を着たロングヘアーの仮面の女性が現れる。

 

 

「誰!!」

 

 

 ユニがX.M.Bを女性に向けると、「あなたを助けにきました」と仮面の女性が言うと、ユニに背を向けて深きものの大軍に向かって歩いて行く。

 

 

「止めなさい! 死ぬわよ!」

 

 

 ユニが叫んだ瞬間、深きものの大軍が仮面の女性に襲い掛かる。

 

無数のパンチとブレイクの魔法が仮面の女性に向かって行く。

 

 

parry

 

parry

 

parry

 

 

 仮面の女性は深きものの大軍の攻撃を、左手一本でいとも容易く受け流した。

 

 

「ウソでしょ……あんな連続でパリイできるなんて」

 

 

 ユニが茫然としている間にも仮面の女性は連続でパリイし続ける。

 

そして仮面の女性が右手を動かした瞬間、深きものが、50MとオーバーキルMAXの表示と共に次々と消えて行く。

 

 

「なっ!? 50M!?」

 

 

 驚愕の表情を浮かべるユニ。

 

その間にも仮面の女性は左手でパリイし続け、右手で深きものを葬って行く。

 

その様は焼けた鉄板の上に氷を置いたように深きものが消えて行く。

 

 

(攻撃も防御も速過ぎてまったく見えない……お姉ちゃんより強い……いや、そんな次元じゃない……なんなのこの人……)

 

 

 ユニがそう思っている間に30匹は居た深きものが全て消滅していた。

 

仮面の女性が振り返りながら、「大丈夫ですか?」とユニに優しい声を掛けた。

 

 

「え、ええ……。助けてくれてありがとう」

 

 

 ユニが素直にお礼を言うと、「お礼を言うのは私の方です」と仮面の女性は言い、「私が留守の間ゲムドラジルを護ってくれてありがとうございます」と言って頭を下げる。

 

 

「ユニちゃーん!」

 

 

 ユニを呼ぶ声と共に、空から女神化したネプギアがプラエを背負ってミクと壊れたネプギアンダムを抱えて飛んでくる。

 

 

「ネプギア、無事だったの!?」

 

 

 ユニが喜び半分、驚き半分の声で言うと、「うん、危なかったけど、ライラックの精霊さんのおかげで助かったの」とネプギアが言う。

 

 

「ライラック? 精霊?」

 

 

 ユニが首を傾げると、「あっ、分かりにくかったよね。ライラックの花と誓約して、パワーアップして勝てたの」とネプギアが言い直す。

 

 

「じゃあ、あなたが二人目の九花なんですね」

 

 

 仮面の女性がネプギアを見ながら言う。

 

すると、ネプギアは、「はい、まだ未熟ですけど、考の珠も受け継ぎました」と答える。

 

 

「……」

 

 

 ユニは視線を落として黙っていた。

 

 

(ネプギアは自分で危機を乗り越えたのに、アタシはあの人に助けられて……情けないわね)

 

 

 ユニは自分の不甲斐なさに憤っているようだ。

 

 

「あの、あなたが智の珠を持つ最初の九花なんですよね? 私、ネプギアって言います。お名前を教えてくれませんか?」

 

 

 ネプギアがそう尋ねると、仮面の女性が、「私のことはV【ぶい】と呼んで下さい」と言って右手を差し出す。

 

ネプギアも右手を出して、Vと握手をすると、「Vですか?」と不思議そうに首を傾げる。

 

 

「正式な名前は、Victory Villain Venus【ヴィクトリー・ヴィラン・ヴィーナス】。長いのでVで結構です」

 

 

 Vがそう言うと、「勝利する、悪のビーナス?」と言ってネプギアは更に考え込んでしまう。

 

 

「私は、過去に犯した罪を背負い、ゲイムギョウ界の敵となる存在を抹消する抑止力。誰にも負けない最強の悪になると決めたんです。だから、必ず勝つ。その必勝の誓いのVです」

 

 

 Vがそう言うと、「何か訳があるようですけど、良かったら話してくれませんか?」とネプギアが優しい声で言うが、「ごめんなさい。人に話せるような内容じゃないんです」とVが首を左右に振る。

 

 

「え、えと……ごめんなさい。知り合って間もないのに、気安いですよね」

 

 

 ネプギアは慌てて謝ると、「いいえ、お気遣いありがとうございます。それより怪我人の治療もありますし、伏姫さんのところに戻りましょう」とVが言う。

 

 

***

 

 

 ネプギア達は伏姫に言われた場所を訪れていた。

 

そこはゲムドラジルの枝の上にある小屋だった。

 

 

「これで大丈夫ですよ」

 

 

 Vが傷薬を軍服のポケットにしまう。

 

Vの目の前には包帯で処置されていたファミ通と日本一が仰向けで横たわっていた。

 

深きものによって重傷を受けた二人の傷を、彼女が治療したのだ。

 

 

「すごいですの。がすとの薬より遥かに効果が高い薬を作れるなんて」

 

 

 がすとが驚きの声でVを見つめると、「それに治療の手際も医者みたいですの」と続けて言う。

 

 

「世界樹の葉の効果ですよ。それに私は錬金術書と医学書の通りにしただけです」

 

 

 Vはそう言って謙遜すると、「プラエさん、これが私が作れる内で最も高品質なエリキシル剤です」と言って、携帯ゲームから何個か瓶を取り出す。

 

 

「こんなにたくさん……いいんですか?」

 

 

 プラエが遠慮がちに言うと、「構いません。また新しく作ればいいのですから」とVが微笑む。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 ネプギアは頭を下げてお礼を言うと、「ところで、その携帯ゲーム機って、Nギアですか?」とネプギアが質問をする。

 

ネプギアの言う通り、彼女の持っている携帯ゲーム機はNギアによく似ていた。

 

 

「これは、Nギアの後継機、【Nギア・ビクトリー】です」

 

 

 Vがそう答えると、「後継機! と、言うことはVさんの次元は私達の次元と似てる上に、文明が進んでるんですね」とネプギアが目を輝かせる。

 

 

「そういうことになりますね」

 

 

 Vが落ち着いた声で言う。

 

 

「それより、ネプギアンダムは直りそうですか?」

 

 

 Vがネプギアに尋ねる。

 

すると、ネプギアは顔を曇らせて、「ちょっと難しいみたいです……損傷が激しすぎて……私がもっとしっかりしてれば」と悲しそうな声で言う。

 

ネプギアはボロボロになったネプギアンダムを修理すべく、分解して工具やパーツを広げているが直るような気配はみせない。

 

 

「諦めないで下さい。きっと直ります。私も手伝いますから一緒に直しましょう」

 

 

 Vがネプギアを励ますように言うと、「本当ですか! ありがとうございます!」とネプギアは柏手を打って嬉しそうにする。

 

 

「ありがとう、ネプギア。あなた達のおかげで、ゲムドラジルは無傷で済みました」

 

 

 伏姫がネプギアにお礼を言うと、「いえ、困っている人を助けるのは女神として当然ですし、邪神は世界全体の敵と聞いていますから」とネプギアが答える。

 

 

「話の最中悪いけど、アタシ、誓約する花を探しにいくわ」

 

 

 ユニがそう言って立ち上がると、「えっ? もう少し休んでた方が……」とネプギアが言うが、「負けてられないもの」と言ってユニは小屋を出て行ってしまう。

 

 

「ユニちゃん……」

 

 

 ネプギアは心配そうにユニの名前を呼ぶ。

 

 

「負けず嫌いな友達なんですね」

 

 

 Vがそう言うと、「はい。だから、私も置いてかれないよう、いつも必死です」とネプギアが言う。

 

 

 

***

 

 

 

 ネプギアとVはネプギアンダムの修理を続けていた。

 

 

「あの……九花は世界の中庸を担う勇者って聞きましたけど、具体的に何をしたらいいんでしょう?」

 

 

 修理する手を動かしつつ、ネプギアはVに尋ねる。

 

 

「今のところは邪神に対抗することです。あなたの次元に邪神が現れているのなら、その脅威から人々を護ってあげて下さい」

 

 

 Vも修理する手を動かしつつ、ネプギアの質問に答える。

 

 

「はい、わかりました」

 

 

 ネプギアがそう言って頷くと、「あとは、花の誓約を守ることですね」とVが付け足してくる。

 

 

「ライラックの花言葉は素敵なものばかりで……私なんかに守れるのか少し不安です」

 

 

 ネプギアが不安そうに言う。

 

するとVは微笑んで、「あなたならできます」と優しい声で言う。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 励まされたネプギアは素直にお礼を言うと、「そう言えば、Vさんが誓約している花はなんなんですか?」とネプギアが続けて質問をする。

 

 

「私の誓約花は、金雀枝【エニシダ】です。花言葉は、謙遜、謙虚、卑下、清楚、清潔、豊穣、温もり、上品、博愛」

 

 

 Vがそう答えると、「素敵な言葉ばかりですけど、卑下って……」と言ってネプギアが首を傾げる。

 

すると今まで黙ってネプギアンダムの修理を見ていたラムが、「そうよ。Vさんに髭なんか生えてないわよ」と不思議そうに言う。

 

 

「そうじゃなくって卑下って言うのは、自分を劣ったものとしていやしめること。へりくだること、を言うの」

 

 

 ネプギアがそう言って説明すると、「Vさん、凄く強いのに」とロムが言う。

 

 

「いえ、私にはこの花言葉が必要なのです」

 

 

 Vはきっぱりと言い切る。

 

 

「そして、エニシダの枝にはある伝説があります」

 

 

 Vがそう言うと、「どんな伝説?」とプラエが質問する。

 

 

「ある国に、王とその弟が住んでいました。弟は、兄である王を暗殺して王位を奪い取りました。しかし、その罪を悔いた彼はついに城を捨て、巡礼に出ました。彼はエニシダの小枝を手にして毎晩懺悔をくり返したといわれます」

 

 

 Vの話に、ネプギア達は黙ってしまう。

 

 

(Vさんは過去に犯した罪って言ってた……今の話がそれに関係するのかな)

 

 

 ネプギアがそう考えていると、「これで動くと思います」とVはそう言って、ネプギアンダムのスイッチを入れる。

 

すると、「……ネプギアサマ……ワタシハイッタイ?」とネプギアンダムが喋る。

 

 

「ネプギアンダム! よかった!」

 

 

 思わず涙を流して喜ぶネプギア。

 

 

「ネプギアンダムも直ったし、わたし達も行こう、ロムちゃん、プラエ」

 

 

 そう言ってラムが立ち上がる。

 

 

「ラムちゃん?」

 

 

 ネプギアが心配そうに尋ねると、「わたし達も誓約花を探してくるわ。ネプギアだけ誓約できて、わたし達ができないなんてカッコ悪いもの」とラムが言うと、「うん、頑張る(ふんす)」とロムが、「ネプギアお姉さんとの約束だから」とプラエが言いながら立ち上がる。

 

 

「私も同行しましょう」

 

 

 伏姫がそう言って立ち上がると、隣にいた八房も立ち上がり、四人と一匹は小屋を出て行く。

 

 

***

 

 

「アタシに相応しい花か……」

 

 

 ユニは気に入った花を摘んで、それを見比べていた。

 

 

「ふぅ……こんなことなら花言葉の勉強でもしておくべきだったかしら?」

 

 

 ユニがそう言うと、「ユニちゃーん」とラムがユニを呼ぶ。

 

 

「ラム、それにロムにプラエ、伏姫さんまで」

 

 

 ユニがそう言って驚くと、「わたし達も誓約花を探すわ」とラムが言う。

 

 

「ユニちゃんは見つかった?」

 

 

 ロムがユニに尋ねると、「候補はいくつかあるんだけど、【これだ】って言うのがないのよ」とユニが困ったように答える。

 

 

「えっと……いい花があったら、その花の花言葉をネットで調べる、とかダメなのかな?」

 

 

 プラエが伏姫を見ながら言うと、「それでも構いません。ですが、大切なのは直感です」と伏姫が答える。

 

するとユニが、「ネプギアはライラックの精霊が助けてくれたって言ったけど」と言うと、「それは稀な例です。基本的には自分で花を選ぶのです」と伏姫は答えた。

 

 

「とりあえず、ユニちゃんの選んだお花見せてー」

 

 

 ラムはそう言いながら、ユニの持っている籠を引っ張る。

 

 

「わかったから引っ張らないの」

 

 

 ユニが呆れながら籠を手放すと、「わぁー! 綺麗なお花!」とラムが目を輝かせて、「綺麗(きらきら)」とロムも目を輝かせる。

 

更にプラエが、「ユニお姉さん、センスいいね」と言うと、ユニは少し照れくさそうに、「ま、まあね……」と言う。

 

 

「あ! わたし、このお花好き!」

 

 

 ラムが籠の中から、ピンク色の花を一つを摘まみ上げると、「それはガーベラですね」と伏姫が言う。

 

それを見たプラエは、「パッと明るくて、ラムさんみたいだね」と言うと、「そうでしょそうでしょ」とラムが嬉しそうに言う。

 

 

「わたしは、これが好き」

 

 

 ロムが籠の中から、水色の花を一つを摘まみ上げると、「それはデイジーです」と伏姫が言う。

 

プラエが、「かわいらしくてロムさんっぽい」と言うと、「えへへ……」とロムが微笑む。

 

 

「二つともなんだか似てるかも」

 

 

 二つの花を見比べたプラエがそう言うと、「同じキク科の花ですからね」と伏姫が答えた。

 

 

「その花は並んで咲いてたのよ。なんか、ロムとラムっぽいなと思って摘んだんだけど、気に入ったらなら、あげるわよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「わたし、この花と誓約する!」とラムが言い、「わたしも(ぐっ)」とロムも言う。

 

 

「え? 確かにアンタ達っぽいって思って摘んだけど、誓約するとまでは……」

 

 

 ユニがそこまで言いかけると、「なんか、わたし、このお花にビビッときたの」とラムが言うと、「わたしも、ピピッときた」とロムが言う。

 

 

「わかりました。それでは誓約の儀を始めましょう」

 

 

 伏姫が微笑みながらそう言うと、「伏姫さんまで……」とユニが呆れたふうに言い、「どうなっても知らないわよ」と続けて言う。

 

 

「ピンク色のガーベラの花言葉は、希望、常に前進、崇高な美、童心、思いやり、元気」

 

 

 伏姫がそう言うと、「いえーい! 大当たり、わたしにピッタリの花言葉じゃない」とラムが嬉しそうに左手を上げる。

 

 

「水色のデイジーの花言葉は、希望、平和、幸福、協力、純粋、幸福」

 

 

 伏姫の言葉に、「どうかな? ラムちゃん」とロムがラムに尋ねると、「ロムちゃんにピッタリでとってもグーよ。わたしと同じ希望が入ってるのもポイント高いわ」とラムが言う。

 

すると、ロムは、「やった!」と飛び跳ねる。

 

 

「意外と、あっさりマッチしたわね」

 

 

 ユニが驚いたように言う。

 

ユニとしても、二人の性格と花言葉が合っていると感じたようだ。

 

 

「二人とも、誓えますか?」

 

 

 伏姫が尋ねると、ラムが、「せーの」と言い、「「誓いまーーす!」」とロムとラムは声を合わせて元気よく言う。

 

 

「わかりました。それでは、この花の力をあなた達に託しましょう」

 

 

 伏姫がそう言うと、「おおっ、なんだか力が湧いてくる」とラムが言い、「パワーアップ(むきむき)」とロムが言う。

 

 

「なんだか、アッサリ先を越されちゃったわね……」

 

 

 ユニが腕組みしながら少し不満そうに言う。

 

 

「ロムさん、ラムさん、おめでとう!」

 

 

 プラエがそう言うと、「ありがとう、プラエ」とラムが、「ありがとう」とロムがお礼を言った。

 

 

「ねーねー、伏姫さん、これで仁義八行の珠に認められれば、わたし達もネプギアと同じ九花なのよね」

 

 

 ラムがそう言うと、「その通りです。その気があるのなら、引き続き仁義八行の珠を探してみて下さい。資質があれば、珠を見つけられる筈です」

 

 

 伏姫がそう言うと、「よーし、やるぞ!」とラムが左手を上げて、「がんばる(ふんす)」とロムが右手を上げる。

 

 

「アタシ達も頑張りましょ」

 

 

 ユニはそう言いながらプラエの方を向いて、「ね? プラエ」と続けて言う。

 

しかし、プラエは返事をせずに地面を眺めていた。

 

 

「プラエ、どうしたの? 具合悪い?」

 

 

 ユニが心配そうに尋ねると、「あっ! ごめんなさい。ぼーっとしてて」

 

 

「何か見てたの?」

 

 

 ラムが尋ねると、「……姉さまっぽい花があったから……」とプラエが呟く。

 

すると、ロムが、「その赤い花?」と尋ねた。

 

 

「うん」

 

 

 プラエが頷くと、「それは彼岸花です」と伏姫が言う。

 

 

「派手でカッコイイ花ね」

 

 

 ラムがそう言うと、「うん、姉さまは凄く強かったから」とプラエが嬉しそうに言う。

 

 

「あなたの姉と言うことは……」

 

 

 伏姫がそこまで言うと、「姉さまを知ってるの! 姉さまは十年前から行方不明なの!」とプラエが伏姫に駆け寄る。

 

 

「いえ、ごめんなさい。私の勘違いのようです」

 

 

 伏姫は申し訳なさそうに言うと、「……そうですか」とプラエは、しゅんとしてしまう。

 

ロムも残念そうな顔をして、「プラエちゃんのお姉さん、見つからないね」と言うと、「ファルコムや日本一達も知らなかったしね」とユニが付け足す。

 

 

「……姉さま」

 

 

 プラエが寂しそうに呟く。

 

 

「彼岸花があなたの姉なら、あなたには、この花が似合うかもしれませんね」

 

 

 そんなプラエを見かねたのか、伏姫がプラエに向かって、青い小さな花を差し出す。

 

 

「これは?」

 

 

 プラエが花を見ながら首を傾げる。

 

 

「同じ、ヒガンバナ科のネリネと言う花です」

 

 

 伏姫の言葉を黙って聞いているプラエ。

 

 

「気に入りませんか?」

 

 

 伏姫の言葉に、プラエは首を激しく左右に振る。

 

そして、「今まで、プラエの見たお花の中で一番綺麗かも」と言う。

 

 

「それなら、誓約しちゃいなさいよ」

 

 

 ラムが明るい声でそう勧めると、「うん、わたしも、そのお花プラエちゃんに似合ってると思うし」とロムが言う。

 

 

「そう……しようかな」

 

 

 プラエはややためらいながらもそう言うと、「いいですか?」と伏姫に尋ねる。

 

伏姫はニッコリ微笑むと、「ええ」と頷いた。

 

 

「ネリネの花言葉は、華やか、また会う日を楽しみに、幸せな思い出、輝き、忍耐、箱入り娘」

 

 

 伏姫はそう言うと、「……誓えますか?」と続けて質問する。

 

プラエはやや緊張した面持ちで、「はい、誓います」と答えた。

 

 

「わかりました。それでは、この花の力をあなた達に託しましょう」

 

 

 伏姫がそう言うと、「あっ……力が……少し強くなれた気がする」とプラエが言う。

 

 

「プラエにまで先越されちゃったわ……」

 

 

 ユニは腕組みしながら少し不満そうに言う。

 

 

「プラエ、おめでとう!」

 

 

 ラムがそう言うと、「おめでとう(にこにこ)」とロムがそれに続く。

 

プラエは、「ありがとう」とロムとラムにお礼を言った。

 

 

***

 

 

「アタシの花……アタシの花……う~~ん……」

 

 

 ユニはそう呟きながら地面に咲く花を一つ一つチェックする。

 

 

「あれでもない……これでもない……あー! もぅ!」

 

 

 ユニがそう言うと、「ユニちゃん、怒ってる(ぷんぷん)」とロムが言い、「ユニちゃんの三尺玉ー」ラムが言う。

 

 

「それを言うなら、癇癪玉よ!」

 

 

 ユニが不機嫌そうに言うと、「……って言うか花火じゃないのよ」と呆れたように肩を落とす。

 

 

「ユニお姉さん、大丈夫?」

 

 

 プラエが心配そうに尋ねると、「ええ、大丈夫よ。みっともないところ見せちゃったわね」とユニが申し訳なさそうに言う。

 

 

「三人とも、珠を探してらっしゃい。アタシは一人で大丈夫だから」

 

 

 ユニがそう言うと、「ユニちゃん、大丈夫?」とロムが少し心配そうに尋ねる。

 

 

「大丈夫よ。直ぐに花を決めて、追い抜いてあげるわ」

 

 

 ユニがウィンクしながら言うと、「むむっ、わたし達だって負けないんだから~。行くわよ、ロムちゃん、プラエ」とラムが言って珠を探す為に走り出す。

 

 

「ラムちゃん、待って~」

 

「ラムさん、そっちは昨日探したよー」

 

 

 ロムとプラエは慌ててラムの後を追いかける。

 

 

「さて、うかうかしてたら、あっさり抜かれちゃったし。気合いれないと」

 

 

 ユニはそう言うと、気合を入れる為に両手で自分の頬をパンパンと二回叩いた。

 

 

「あまり力み過ぎるのも逆効果ですよ」

 

 

 伏姫の言葉に、「わかっています。でも、仲間に……ネプギアに置いてかれるのは嫌なんです」とユニが言う。

 

 

「好きなのですね。ネプギアのことが」

 

 

 伏姫が微笑みながら言うと、「ライバルですから……」と言いながら、ユニは少し顔を赤くする。

 

 

「……ネプギアは本当はもっともっと強くなってる筈なんです。それなのにアタシ達のペースに合わせてくれて……神次元で得た十年以上の経験や知識も、ゲイムギョウ界全体の為だって惜しみなくアタシ達に分けてくれてるし」

 

 

 ユニが少し悔しそうに言う。

 

ネプギアの気持ちは嬉しい反面、悔しくもあるのだ。

 

すると伏姫は、「確かにネプギアの本気は計り知れません。もしも、彼女が全てを犠牲にする覚悟があるのならば、究極の女神として完全に平和な世界を作り出すことも可能でしょう」と言う。

 

 

「何でそこまで言えるんですか? 伏姫さんとはこないだ会ったばかりなのに?」

 

 

 ユニが警戒半分、疑問半分で伏姫に問いかけると、「よく似た人を知っているんです」と伏姫は答えた。

 

 

***

 

 

「ネプギアンダムは治りましたが、彼女のことはいいんですか?」

 

 

 Vはそう言うと、部屋の端で膝を抱えて座り込んでいるミクを見る。

 

その姿は酷く落ち込んでいるようだった。

 

 

「ミクちゃん……」

 

 

 ネプギアがミクに近づくと、彼女の嗚咽が聞こえて来た。

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……歌えなくてごめんなさい……お願いですから捨てないで下さい……」

 

 

 泣いているミクを見たネプギアの脳裏に以前にミクを譲ってくれた店員の言葉が思い出される。

 

 

【持ち主が亡くなったんです。それで、心を持ったこのソフトを誰も使いこなせず、ここまで流れて来たんですよ】

 

 

(……誰にも使いこなせず……もしかしてミクちゃんは今まで何度も辛い目に……)

 

 

 ネプギアはそこまで考えると無意識にミクを抱きしめていた。

 

 

「ネギ……ちゃん……」

 

 

 呆然とするミクに、「安心して。捨てたりなんてしないよ……だからもう泣かないで」とネプギアは右手でミクの頭を優しく撫でる。

 

 

「でも……歌えないボーカロイドに価値なんてないって、前のマスターもその前のマスターも……」

 

 

 ネプギアの愛撫で少し落ち着いたミクがそう言うと、「大丈夫だよ。歌えないなら歌えるようにしてあげる……それがボーカロイドのマスターの……ううん、友達の務めだもん。それにグランプリ・ユナイテッドのボーカルはミクちゃんしかいないよ」とネプギアが撫で続けながら優しい声で言う。

 

 

「うっ……うっ……うわあああああん!!!」

 

 

 ミクは膝を抱えていた手を放して、思いっきりネプギアに抱き着いて泣き続けてた。

 

 

「大丈夫。大丈夫だよ。よしよし……」

 

 

 ネプギアは泣き続けるミクを優しく抱きしめて撫で続けた。

 

その姿は母親のようだった。

 

 

***

 

 

 ミクが落ち着いて寝たのを確認したネプギアはVと一緒にネプギアンダムの細かい損傷を修理していた。

 

 

「あの、Vさんはゲハバーンって知ってますか?」

 

 

 ネプギアが問いかけると、Vの手がピタリと止まる。

 

しかし、直ぐに手を動かし始めると、「知っています。私の次元では遥か昔に犯罪神を倒す為に使われて、それ以降消息不明になっている魔剣です」と答える。

 

 

「魔剣……やっぱりそういうふうに伝わっているんですね」

 

 

 ネプギアが少し残念なふうに言うと、「あなたの次元では違うんですか?」とVが質問する。

 

 

「私の次元でも、魔剣と呼ばれています。女神の魂を吸収して力を増す魔剣だと……だけど、私にはそうだと思えないんです」

 

 

 ネプギアの言葉に再びVの手が止まる。

 

 

「私は、あの剣が女神の魂を求める血に飢えたような魔剣には見えないんです。犯罪神を倒す為にやむを得ずそうなってしまったと言うだけで、ゲハバーン自身は犠牲を望んでいないと思うんです」

 

 

 ネプギアがそう言うと、Vは再び手を動かして、「ネプギアは優しいのですね。私とは大違いです」と少し悲しそうな声で言う。

 

 

「Vさん?」

 

 

 ネプギアはVの悲しそうな声が気になり、彼女の顔を見るが仮面に覆われたその表情は分からなかった。

 

 

「心配をかけてごめんなさい。ちょっとした卑下です」

 

 

 Vはそう言って自嘲気味に口元を歪めると、「でも、本当のことでもあります。私は世界の敵となる存在を抹消する抑止力。誰にも負けない最強の悪になると決めたんです。その為ならばどんな犠牲も厭わない。そしてそれを邪魔すると言うのなら、あなたと言えども倒します」とハッキリした口調で言う。

 

 

「……っ」

 

 

 ネプギアはVの迫力に気圧されてしまう。

 

 

「脅かすようなことを言ってごめんなさい」

 

 

 Vが優しい声で言う。

 

 

「ゲハバーンの話でしたね。私がゲハバーンについて言えることは二つ。一つ目は吸収された女神の魂はどんなことをしても元には戻りません」

 

 

 Vがそう言うと、「やっぱりそうですよね。かなり強力な禁呪が使われているみたいですし……」とネプギアが視線を落とす。

 

 

「そして、もう一つは必ずあなたが使うようにして下さい。でないと意味がないんです」

 

 

 Vの言葉に、「えっ?」と驚くネプギア。

 

 

「どうしてそんなことが分るんですか?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに尋ねる。

 

 

「ティルフィングの誓約を守り切れるのは、あなただけだからです」

 

 

 Vがハッキリした口調で言う。

 

しかし、「そんな……私なんて誓約が守れるような立派な女神じゃないですよ」とネプギアは自信が無さそうに言う。

 

 

「とにかく、その剣を本当の魔剣にしたくないのなら、安易に使用したり手放したりしてはいけません」

 

 

 Vが強めの口調で言う。

 

すると、ネプギアは力強く、「はい」と頷き、「それは分かっているつもりです」と答えた。

 

 

***

 

 

 ユニは伏姫に付き添われながら、自分の誓約花を探していた。

 

 

「この花は……」

 

 

 ユニが一つの花を手に取る。

 

 

「剣のような葉についた沢山の花。綺麗だわ」

 

 

 ユニの言う通り、その花は、まるで剣のような細く長い葉に花が縦にいくつも並んでいた。

 

 

「それはグラジオラスです。グラジオラスという名前は、古代ローマの剣を意味するグラディウスに由来しているといわれています。先に行くほど細くなっていく長い葉が、まるで剣を思わせることから付けられたとされています」

 

 

 伏姫が説明すると、「へー!」とユニが興味深い顔でグラジオラスを眺める。

 

 

「その花と誓約しますか?」

 

 

 伏姫がそう言うと、「ちょっと待って!」とユニが止める。

 

 

「? かなり気に入ったように見えましたけど?」

 

 

 伏姫が不思議そうに首を傾げる。

 

 

「気に入ったのは間違いないんですけど、色がピンクと赤だし、アタシっぽくないかな……なんて」

 

 

 ユニがそう言うと、「そんなことはありませんよ。よく似合ってます」と伏姫が言う。

 

 

「でも、アタシはラステイションの女神のブラックシスター。もっと黒っぽい花の方が」

 

 

 ユニがあごに手を当てながら言う。

 

すると、「ラステイションはラステイション。ユニはユニだと思いますよ」と伏姫は言う。

 

 

「だけど、アタシはお姉ちゃんの妹として……」

 

 

 ユニがそこまで言いかけると、「あなたはネプギアとお姉さん、どちらが大事なのですか?」と伏姫が質問する。

 

 

「えっ……」

 

 

 ユニは伏姫の言葉に思わず黙ってしまう。

 

 

「例えばの話です。ゲハバーンを使わなくてはならない程の脅威が現れた時、あなたのお姉さんはゲハバーンを使うべきと言いますが、ネプギアはそれを認めません。あなたはどちらの味方をしますか?」

 

 

 伏姫の言葉に「何でゲハバーンのことを……」とユニは驚きの声を上げる。

 

 

「それは後で説明します。さあ、どちらを選びますか?」

 

 

 伏姫はユニに答えを迫る。

 

 

「……そんなの決められませんよ」

 

 

 ユニはそう呟くと、俯いて黙ってしまう。

 

 

「そうですか……」

 

 

 伏姫はそう言って、ユニからの答えを諦めるが、「ですが、少なくともネプギアはあなたの助けを必要としていると思いますよ」とつけ加える。

 

 

「ゲハバーンのことですが、Vの住む次元があなたの次元とそっくりなのです。だから同じものがある筈です」

 

 

 伏姫が説明をすると、「アタシは……どうしたらいいんでしょうか? お姉ちゃんが言うことなら、多分それが正しいんだと思います。でも、アタシはネプギアの夢や理想を応援してあげたいとも思う」とユニは俯きながら言う。

 

どうやら、伏姫の質問が相当気になるようだ。

 

 

「それは、ユニが決めることです。私が言えるのはネプギアを応援したいと言うのが本心なら、自分の心の赴くままに目の前のグラジオラスと誓約すべきということだけです」

 

 

 伏姫がそう言うと、ユニは黙ってグラジオラスの花を見つめる。

 

 

「……誓約するわ」

 

 

 ユニが呟く。

 

 

「アタシは誓ったんだものネプギアに、アンタのことを守ってあげるって」

 

 

 ユニが力強く言う。

 

以前にダークメガミにさらわれた姉達を追いかける為に、彼女はネプギアを守ると約束している。

 

 

「わかりました。グラジオラスの花言葉は、たゆまぬ努力、勝利、用心、密会、思い出、尚武、誠実、用意周到、ひたむきな愛、堅固」

 

 

 伏姫はそう言うと、「……誓えますか?」と続けて質問する。

 

ユニは伏姫の目をしっかり見ながら、「はい、誓います」と答えた。

 

 

「わかりました。それでは、この花の力をあなた達に託しましょう」

 

 

 伏姫がそう言うと、「力が溢れてくるわ。これなら」とユニが言う。

 

 

「努力、勝利……。思った以上に、アタシ向きな花言葉でした」

 

 

 ユニの言葉に、「それは、あなたがネプギアと向かい合っている時が一番自然体と言うことになります」と伏姫が答える。

 

 

「確かに、そうかもしれません。お姉ちゃんと居るときは、役に立ちたいって気持ちが先走っちゃって」

 

 

 ユニが少し恥ずかしそうに言うと、「ふふふ、これからもネプギアのこと宜しく頼みますね」と伏姫が微笑む。

 

すると、ユニはやや不思議そうな顔で、「え、ええ……」と頷く。

 

 

「どうしましたか?」

 

 

 伏姫が尋ねると、「伏姫さん、ネプギアの保護者みたいな言い方するなって」とユニが言う。

 

 

「彼女はVと似ているのです、だから他人とは思えなくてつい」

 

 

 伏姫はそう言って微笑むが、直ぐに真面目な顔になって、「どうか、ネプギアがVと同じ悲しみを背負わないよう、助けてあげて下さい」と言った。

 

 

***

 

 

「ただいまー」

 

 

 ゲムドラジルの小屋に戻って来たラムが元気よく挨拶をすると、「おかえりなさい」とネプギアが返事をする。

 

ラムに続いて、ユニもロムもプラエも伏姫と八房も小屋に入って来る。

 

 

「誓約花と仁義八行の珠はどうだった?」

 

 

 ネプギアが尋ねると、「バッチリよ!」とユニが自慢気に腰に手を当てるとネプギアの目の前に右手を突き出す。

 

すると、ユニの手のひらに【礼】の文字が入った珠が現れる。

 

 

「わたし達もできたよ」

 

 

 ロムがそう言って右手を突き出し、それに合わせるようにラムが左手を突き出すと、二人の合わせた手のひらに【悌】の文字が入った珠が現れる。

 

 

「この悌の珠は二人で一つなんだって」

 

 

 ラムが自慢気に言うと、「悌は兄弟仲がいいことですからね。仁義八行に対して九花が九人と言うのはこういうことです」と伏姫が説明をする。

 

 

「わたし達仲良しだもんねー。ね? ロムちゃん」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと、ロムも「うん、ラムちゃん」とロムも嬉しそうに言う。

 

 

「プラエも見つけたよ」

 

 

 プラエがそう言って、ネプギアに両手を突き出すと、プラエの手のひらに【信】の文字が入った珠が現れる。

 

 

「よかったね、プラエちゃん」

 

 

 ネプギアがそう言って微笑むと、「うん!」とプラエは嬉しそうに頷く。

 

 

「誓約花の方は?」

 

 

 ネプギアが質問すると、「そっちの方もバッチリよ」とユニが言い、それぞれ誓約した花の事をネプギア達に話す。

 

 

「これで、ここでの用事は済みましたの」

 

 

 ファミ通と日本一を診ていた、がすとが一安心したように言う。

 

 

「そうですね。Vさん、伏姫さん、それに八房もありがとうございました」

 

 

 ネプギアがそう言って一礼すると、「「「「ありがとうございました」」」」と、ユニ、ロム、ラム、プラエも一礼する。

 

 

「こちらこそありがとうございます。あなた達のお陰で九花が一挙に五人になったのですから」

 

 

 伏姫がお礼を言うと、「そう言えば、九花って何するの?」とユニが質問する。

 

すると、「とりあえずは、超次元の邪神を倒すことが目的だって」とネプギアが答える。

 

 

「そう言えば、Vさんの次元は大丈夫なんですか?」

 

 

 ネプギアがVに質問すると、「私の次元の邪神は、もう倒しました。今は別の次元に現れた邪神を倒す為に旅をしています」とVが答える。

 

 

「倒した? 一人でですか!?」

 

 

 ネプギアが驚いたふうに言うと、「いえ、多くの犠牲の元に成り立った平和です」とVは少し悲しそうに言う。

 

 

「とりあえず、今日はこのゲムドラジルに泊まって行って下さい」

 

 

 伏姫がそう言うと、「それがいいですの。ファミ通も日本一も、もう少し休ませた方がいいですの」とがすとが賛成する。

 

 

「それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

 ネプギアはそう言って一礼をした。

 

 

 

***

 

 

 

 翌日、G.C.2019年8月19日 月曜日

 

ネプギア達は、Vと伏姫と八房に見送られて、超次元に帰ろうとしていた。

 

 

「お見送りありがとうございます」

 

 

 ネプギアがV達に向けて一礼をする。

 

 

「それじゃあ、失礼しますね」

 

 

 ネプギアが続けてそう言うと、ユニ達はイストワールが作ったゲートに入って超次元に戻って行く。

 

 

「ネプギア」 

 

 

 最後にネプギアがゲートに入ろうとすると、Vがネプギアを呼び止める。

 

 

「はい?」

 

 

 ネプギアが何事かと不思議そうに振り向くと、「イクスと言う存在に気を付けて下さい」とVが言う。

 

 

「イクス……ですか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「イクスは邪悪な存在で、あなたやあなたの大切な人たちを惑わしてくるでしょう。決して惑わされないで」とVが真剣な声で忠告する。

 

 

「わかりました。気をつけます」

 

 

 ネプギアはお礼を言うと、ゲートに入って超次元に戻って行く。

 

ネプギアが入ると同時にゲートは静かに閉じる。

 

 

「イクスのことだけでよかったのですか?」

 

 

 伏姫が少し不満そうにVに尋ねる。

 

すると、Vは、「あまり先を知りすぎるのも悪影響を及ぼすと思います。特にネプギアに関しては」と答える。

 

 

「それでは、私は一旦、自分の【世界】に帰ります」

 

 

 Vがそう言うと、「ええ、気を付けて」と伏姫が言う。

 

 

 

***

 

 

 

 ここは神次元のプラネテューヌの地下牢。

 

 

「くそっ……何故私がこんな目に……」

 

 

 そこは禁固刑を言い渡されたボークが不満そうに座っていた。

 

 

「私は一刻も早く、パープルハート様とアイリスハート様の治める、美しいゲイムギョウ界を作らねばならないのに」

 

 

 ボークがそう呟くと、彼の背後の空間が【ぐにゃり】と歪む。

 

すると、20センチメートル程の大きさの、機械で作られた黒紫色の鳥のマスコットキャラクターのような物が現れる。

 

 

「やー、お待たせお待たせ。元気だったボークちゃん」

 

 

 黒紫色の鳥が陽気にボークに話しかけると、「おおっ! 守護天使様!」とボークは嬉しそうに振り向く。

 

 

「あー……そう言えば、そんな設定だったねー」

 

 

 黒紫色の鳥は、やや呆れた顔でボークを見るが、直ぐに気を取り直して、「ま、いいや。とりあえずココから出て、プルルートちゃんに会いに行こうぜ」と言う。

 

 

「プルルート様の元へ? それは勿論望むところではありますが、どうやって?」

 

 

 ボークがそう言うと、「なーに、あたしに任せておきな」と黒紫色の鳥が楽しそうに言う。

 

それを聞いたボークは高揚した表情で黒紫色の鳥を拝み、「流石は守護天使イクス様」と言った。

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