新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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027四女神の実力

 ダゴンはネプテューヌの圧倒的な機動力と攻撃力に翻弄された上に、戦闘に復帰したアイエフ達、それに人魚達に囲まれて劣勢を強いられていた。

 

その遥か後方では体の負担を軽くする為に変身は解除されて、じゅうたんの上に寝かされて治療を受けている女神候補生達がいた。

 

アイエフ達の応急処置を終えたコンパ達は安全の為にダゴンから十分距離を置いた場所に退避したのだ。

 

 

「ネプギアさん、こんな酷い傷を負って……」

 

 

 イストワールが小さい体を必死に動かしてネプギアの傷を治療している。

 

ネプギアが心配だった彼女は戦闘に復帰せず、コンパと一緒にネプギアの治療に加わっていた。

 

それに弱った女神を治療するにはシェアクリスタルが必要なので、イストワールは小さいながらも即席でそれを作りネプギアに与えていた。

 

ネプギアを心配し治療をするイストワールの姿は、病気の子供を看病する母親のようだ。

 

 

(ネギちゃん、頑張って……)

 

 

 ミクは必死に癒しの歌を歌っていた。

 

 

「ごめん……」

 

 

 ユニが寝ながらネプギアの方に顔を向けて落ち込んだ声で謝ると、「約束したのに、守ってあげられなくて」と続けて言う。

 

 

「ううん、ユニちゃんはしっかり私を守ってくれたよ」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「私がもう少し強かったらよかったんだよ……」と呟く。

 

 

「傷に障ります。しゃべらないで下さい」

 

 

 イストワールが軽く注意すると、ネプギアは「はい……」と素直に頷く。

 

ロムとラムは傷が深いのか気を失ったままだった。

 

 

「これなら勝てそうです~」

 

 

 コンパが嬉しそうに言うが、「しかし、未だにダゴンのHPは解析できておりません」とイストワールが不安そうに言う。

 

 

(……お姉ちゃん、大丈夫かな)

 

 

 ネプギアは姉の心配をしながら、イストワールに言われたように大人しくしていた。

 

 

 

***

 

 

 

 ダゴンと戦っている戦場では、ホウキに乗ってゴールドフォームに変身したビーシャの放ったバズーカの弾がダゴンの腹部に当たり、21548のダメージが出ていた。

 

【ゴールドフォーム】とはゴールドサァドの四人の変身で、プロセッサユニットに近いオプションを装備し、女神化程ではないが戦闘力を上げることができる。大きな違いは空を飛べないことだ。

 

しかし、ダゴンは倒れる気配すら見せない。

 

ネプテューヌが上空でダゴンと戦いながら、他のメンバーと人魚達は危険が少ないダゴンの下部を攻撃しているが、なかなか効果が出ない。

 

 

「もー、HPどれだけあるのー。もう何発当てたか覚えてないよー」

 

 

 ビーシャがウンザリした様子で言うと、「もう、へろへろですの~」がすとが疲れた声を上げると、「まだまだ! 百発当ててもダメなら千発。千発当ててもダメなら万発当てるだけだよ!」と日本一が熱い瞳で力説する。

 

 

「そう! みんなで生きて還るんだ!」

 

 

 ゴッドイーターが日本一に同意して叫ぶと、銃形態の神機から弾を連射する。

 

弾が当たったダゴンに2311のダメージが出るが、状況が変わる様子は見せない。

 

 

「生肉、何か方法はないの?」

 

 

 ニトロプラスが生肉に問いかけるが、「ごめんにく。ひたすらダメージを与えるしかないにく」と生肉は申し訳なさそうに答える。

 

 

「状況は最悪。けど、これぐらいの死線は何度もくぐり抜けて来たさ!」

 

 

 ファルコムがホウキに乗りながらダゴンを斬り抜けて、3947のダメージを与える。

 

アイエフは唇を噛んで、「ネプ子、そっちはどうなの?」と上空でダゴンと戦ってるネプテューヌに声を掛ける。

 

 

「くっ……」

 

 

 ネプテューヌはアイエフの声には答えず、ダゴンの水かきを避けると、ダゴンの胸部に接近して、「クリティカルエッジ!」とダゴンの胸を斬り裂いてクリティカルヒットで90025のダメージを与える。

 

 

「ぐぬぬぅ……」

 

 

 ダゴンは苦悶の表情を浮かべるが、「威勢はよかったが、底が見えて来たな」とニヤリと笑う。

 

 

「現在の総ダメージ773万325。依然にしてエネミーは健在、最大HPは未だ不明です」

 

 

 ネプテューヌの耳に彼女用のNギアからの電子音声が聞こえてくる。

 

この短時間に一人で200万近いダメージを与えたのは流石だが、それでもダゴンのHPは不明だった。

 

 

「本当にタフね。どれだけHPがあるの?」

 

 

 ネプテューヌは冷静に言うが、疲労が溜まっているのか最初のような余裕は無かった。

 

疲労が溜まれば、回避をミスして攻撃を受ける可能性が高くなる。

 

ネプテューヌは圧倒的な攻撃力とスピードを持つが、スタミナはそこまで高くなく、短期決戦で相手を圧倒するスプリンターなのだ。

 

 

「かなり手こずらせてくれたが、我と貴様等では格が違うのだ」

 

 

 余裕を取り戻したダゴンが右手でネプテューヌを攻撃しながら言うと、「もう勝ったつもり?」とネプテューヌがそれを避けながら問いかける。

 

ダゴンはニヤリと笑うと、「貴様を倒した後で、下で騒いでるクズどもも蹴散らせてくれるわ」と口から鉄砲水を吐くが、ネプテューヌはそれも避けてみせる。

 

 

 ネプテューヌはダゴンから距離を取ると、「あなたがこれほど強いなら、邪神の親玉っていうのはもっと強いんでしょうね」と質問する。

 

ダゴンは大袈裟に両手を広げると、「当然だ。我が偉大なる主、クトゥルフ様の力の前ではゲイムギョウ界など、塵以下だ」と自慢気に言う。

 

 

「クトゥルフ、それが邪神の親玉の名前なの?」

 

 

 ネプテューヌが質問すると、「そうだ。貴様等ゲイムギョウ界どころか、現実世界の人間共が生まれる遥か昔に遠い宇宙から飛来し、この地球を支配していた偉大なる御方だ」とダゴンは尚も自慢を続ける。

 

 

「でも、封印されたのだから、無敵じゃないわね」

 

 

 ネプテューヌがダゴンを挑発するように言うと、ダゴンは怒りの形相で、「黙れ! 畏れ多いぞ!」とネプテューヌに接近すると、両手のパンチでラッシュをする。

 

ネプテューヌは次々と繰り出されるこぶしをひらりと避け、avoidの表示が出ると当時にダゴンの右腕の上に乗っていた。

 

続いてネプテューヌはダゴンの頭目掛けて上空に飛び上がると、落下しながら太刀を振り下ろし、「メガ・ド・ダイブ!」と縦切りを食らわせ、64821ダメージを与えると素早く上空に離脱する。

 

 

「ふっ……わたしは事実を言ったまでよ」

 

 

 上空からネプテューヌが更に挑発をすると、「旧神どもが小癪な手を使ったからだ!」とダゴンは叫びながら鉄砲水を吐くがネプテューヌは横移動で回避する。

 

 

「そして、貴様も小癪な手を使うようだな」

 

 

 ダゴンは忌々し気にネプテューヌを睨み付けるが、「どういうことかしら?」とネプテューヌは冷静に答える。

 

 

「つまらん時間稼ぎで、体力を回復するつもりだろうが、そうはいかんぞ」

 

 

 ダゴンがニヤリと笑うと同時に下から、「ネプ子! 敵の援軍よ!」とアイエフの叫びが聞こえて来る。

 

 

「えっ?」

 

 

 ネプテューヌが驚きの表情で下で戦う仲間達を見ると、アイエフの言う通り海面から次々と深きものが現れて、アイエフ達に襲い掛かる。

 

 

「これはマズイね……」

 

 

 ファミ通がエビを振りながら応戦し、他の仲間達や人魚達も応戦に入るが、敵の数が多く劣勢を強いられているようだ。

 

 

「くっ……」

 

 

 ネプテューヌが悔しそうに唇を噛み、「援軍を呼んだの!」と言ってダゴンを睨み付けると、「海は我々のテリトリーだ。援軍などいくらでも呼べるわ」と勝ち誇った顔で答えると、「つまらぬ時間稼ぎが裏目に出たな」とニヤリと笑う。

 

 

 ダゴンが、「手の空いている者は、この女に攻撃をしろ!」とネプテューヌを指差すと、海面の女性型の深きもの数体がネプテューヌに向かってブレイクの魔法を放ってくる。

 

ネプテューヌは次々と飛んでくる黒い球を避け続けるが、スタミナゲージが減少して次第に動きが鈍くなり、「はぁ……はぁ……」と苦しそうに息を切らし始める。

 

 

「そこだぁ!」

 

 

 動きが鈍くなったネプテューヌに向かってダゴンが右手を振り上げて、水の散弾を放つ。

 

 

「きゃっ!?」

 

 

 避けきれなかったネプテューヌは1535ダメージを受けてHPゲージが六割以上減ってしまう。

 

 

「ぐわっはっはっはぁ~!」

 

 

 ダゴンは初めて攻撃が当たったのが余程嬉しいのか大笑いをすると、「戦いは力と数だ! 貴様のような攻撃とスピード特化の輩など、攻撃をしのぎ切れば紙クズ同然!」と叫ぶ。

 

 

「さあ、深きものどもよ。トドメを指してしまえ」

 

 

 ダゴンが優越感に浸った顔で指示を出すと、深きもの達が再びブレイク魔法を放ってくる。

 

ネプテューヌが向かってくる弾を回避し始めると、「くっくっくっ……いつまで持つかな?」とダゴンがいやらし笑みを浮かべて、「安心しろ、殺しはせぬ。妹共々骨の髄までしゃぶり尽くしてSAN値を奪ってやる」と言う。

 

 

「これで我等の勝ちだな。後は我と我が妻のハイドラが、ゲイムギョウ界を恐怖に陥れてSAN値を奪い取れば、クトゥルフ様は復活なさる。その時こそ旧神共の最後だ」

 

 

 ダゴンは天を仰ぎながら言うと、ネプテューヌはフッと鼻で笑い、「そう、分かったわ。あなたとハイドラを倒せばクトゥルフの復活は止められるのね」と言うと、「貴重な情報をありがとう」と少し嫌味な声で言う。

 

 

「あなたみたいな傲慢なタイプは、ちょっといい気にさせてあげれば得意げにペラペラと秘密を喋るものなのよね」

 

 

 ネプテューヌがダゴンを見下すように言うと、「貴様!」とダゴンがネプテューヌを睨むが、「だが、それが分かったところで何になる! 貴様等はクトゥルフ様復活の贄になるのだ!」とダゴンが飛び上がり、ネプテューヌに体当たりで襲い掛かる。

 

 

「知らないの? 主人公って言うのはね、ピンチになってからが本番なのよ」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと動きを止めて、深きもののブレイクの魔法数発食らうと1000近いダメージを受ける。

 

 

「くたばれぇ!」

 

 

 同時にダゴンの巨体がネプテューヌに迫る。

 

ダゴンの巨体がネプテューヌを貫く。

 

 

 ダゴンは落下して海に入ると、「ふん、何が本番だ」と鼻を鳴らす。

 

 

「せっかちな男は嫌われるわよ」

 

 

 同時にネプテューヌの声が聞こえてくる。

 

 

「なに? ど、どこだ!」

 

 

 ダゴンは慌てて周囲を見渡すがネプテューヌの姿を見つけることが出来ない。

 

 

「ここよここ」

 

 

 ネプテューヌの冷ややかな声が再び聞こえてくる。

 

 

「ぬぬぬぬ」

 

 

 ダゴンは悔しそうに唸ると、「透明になる小細工か!」と両手を激しく振って水の散弾を辺りに撒き散らす。

 

 

「脳筋って言うのは本当にマヌケね。こういうのをクサレ脳ミソって言うのかしら?」

 

 

 ネプテューヌの声が更にダゴンを罵倒すると、「出てこい! 出てこい! 捻り殺してやる!」とダゴンが怒り狂って叫ぶ。

 

 

「そうね。あなたをおちょくるのも飽きたし、そろそろ主人公の本番と言うのを見せてあげるわ」

 

 

 ネプテューヌの声が聞こえると同時に、【ザクッ】と何かを刺す音と共にダゴンの頭頂部に激しい痛みが走る。

 

 

「あぐっ!?」

 

 

 ダゴンが痛みに声を上げ、「頭?」と続けて言うと、「ようやく気付いたの? ナマケモノ並みに鈍いわね」とネプテューヌの蔑むような声が上から聞こえる。

 

ダゴンの頭の上には、太刀を杖のように両手で突き立てて立っているネプテューヌが居た。

 

 

「貴様!」

 

 

 ダゴンが両手で頭の上のネプテューヌを潰そうとするが、ネプテューヌは悠々と飛び上がって、「さあ、ここからはずっとわたしのターンよ!」とダゴン目掛けて急降下する。

 

 

「クリティカルエッジ!」

 

 

 ネプテューヌがダゴンの右腕を縦切りで一閃すると、そのまま切り抜け、「メガ・ド・ダイブ!」と急上昇から落下しながらダゴンの頭を斬る。

 

更に、「ヴィクトリースラッシュ!」と胸部をV字に斬りつけると、続けて「超、ねぷねぷ乱舞!」と左腕を連続で切り刻む。

 

 

「あががあああああああ!!!」

 

 

 目にも止まらぬ連続攻撃にダゴンが悲鳴を上げる。

 

ネプテューヌの攻撃は全てクリティカルヒットで、合計で50万以上のダメージが当たる。

 

 

 ネプテューヌはわざとダゴンの正面に立ち、「ふっ、どうかしら?」挑発するように言う。

 

ダゴンは、「このぉ!!」と叫んでネプテューヌに右腕で正拳突きすると、ネプテューヌはダゴンの正拳突きに正面から向かって行く。

 

 

「遅い!」

 

 

 ネプテューヌは叫ぶと同時に正拳突きをギリギリのところで避けると、螺旋を描きながら前進してダゴンの右腕を切り裂いて行き、クリティカルヒットで12万471のダメージを与える。

 

ネプテューヌはそのまま下降すると、アイエフに襲い掛かろうとする深きものを切り裂いて、クリティカルヒットで15万8750ダメージを与えると深きものはオーバーキル×3の表示と共に水になって崩れ落ちる。

 

 

「あいちゃん、大丈夫?」

 

 

 ネプテューヌがアイエフに声を掛けると、「大丈夫よ。助かったわ」とアイエフが答える。

 

 

「まったく、ガッツ狙いでわざと攻撃食らうなんて無茶するわね。クリティカル食らったらどうするつもりだったのよ?」

 

 

 アイエフが少し呆れたように言うと、「大丈夫よ。わたし運が良いから」とネプテューヌが余裕の顔で答える。

 

アイエフの言う通り、ネプテューヌもガッツのスキルを持っておりピンチになればなるほど力を増す。

 

その為、わざと深きものの攻撃を受けてガッツを発動させたのだ。

 

元から攻撃力とスピードの高いネプテューヌがガッツを発動時すると、その攻撃と回避は更に強化される上に運も高いのでクリティカルヒットの確率も非常に高い。

 

 

「ネプ子、他の人を援護してあげて。結構キツイわ」

 

 

 アイエフがそう言うと、「わかったわ」とネプテューヌが頷くと同時に他の仲間達を援護するために、深きもの達の群れに突っ込んで行く。

 

ネプテューヌが縦横無尽に深きもの達の群れを駆け抜けると、次々と深きもの達が水になって崩れ落ちる。

 

 

「ちいっ! 我を無視するか」

 

 

 ダゴンがネプテューヌを潰すように左手のこぶしを振り下ろすと、「あなたの相手は後でしてあげるわ」とネプテューヌは急上昇して、先程と同じようにダゴンの腕を螺旋状に切り裂き、またもクリティカルヒットで14万9871のダメージを与える。

 

 

「くっ……ちょこまかと……」

 

 

 ダゴンが左腕を押さえている内に、ネプテューヌは素早く下降してアイエフのところに行くと、「後はわたし達に任せて、あいちゃん達は一旦引いて」と言う。

 

アイエフは、「わたし達?」と首を傾げる。

 

それと同時に、「逃がすか!」とダゴンが口を開いてアイエフに向けて鉄砲水を吐こうとする。

 

その瞬間、緑色の光がダゴンの顔を通り抜ける。

 

緑色の光は素早く、「インビトウィーンスピア」と言いながらダゴンの顔を素早く切り刻みながら斬り抜けて、攻撃を受けたダゴンは60845のダメージを受ける。

 

更に緑色の光は旋回をしながら、「シレットスピア!」と叫ぶと、巨大な槍が出現してダゴンに顔向けて飛んで行く。

 

巨大な槍の追撃を受けたダゴンは63251のダメージを受けると顔を押さえて、「うぐぐ……何が起きた」と苦しむ。

 

 

「あいちゃん、今のうちに人魚達を連れて下がって」

 

 

 ネプテューヌが指示をすると、「わかったわ。油断するんじゃないわよ」とアイエフが言うと、「ここはネプ子達に任せて一旦引くわよ」と仲間と人魚達に声を掛ける。

 

ネプテューヌが、「どきなさい!」と叫びながら深きもの達の囲みの薄いところを突いて次々と深きもの達を蹴散らして行くと、アイエフ達と人魚達はその後を付いて行き、コンパ達の居る後方に下がっていく。

 

それを確認したネプテューヌは緑色の光だった人物に近づいていく。

 

 

「お待たせしましたわ」

 

 

 緑色の光の正体はグリーンハートに変身をしたベールだった。

 

 

「遅いわよ、ベール」

 

 

 ネプテューヌがベールに対して少し不満そうに言うと、「こちらは色々と用意がありましたのよ」とベールは落ち着いて返答をする。

 

 

「それとも、わたくしの到着が待ちきれない程、苦戦していたのかしら?」

 

 

 ベールが少し嫌味なふうに言うと、「まさか」とネプテューヌは首を横に振り、「ただ、かなりの脳筋HPオバケだから面倒なだけよ」と続けて言う。

 

 

「レイドボスって言ったところかしら? 腕がなりますわね」

 

 

 ベールは右手に持った槍を一回転させると、ダゴンに向けて構える。

 

 

「これはネプギアが取ったコイツのデータよ」

 

 

 ネプテューヌはベールの左手を握ってデータを転送させる。

 

 

「ふっ……。なるほど、随分とネプギアちゃんを痛めつけてくれたみたいですわね。その行い万死に値しますわ」

 

 

 ベールが冷静な顔をしながらも、怒気を含んだ声で言うと、「わたしも同じ気持ちよ」とネプテューヌが頷き、「徹底的にやりましょう」と続けて言うと、「当然ですわ」とベールが頷く。

 

 

「「ブレイド&スピア」」

 

 

 ネプテューヌとベールが声を揃えて叫ぶと、ダゴンの周囲に巨大な剣と槍が現れてダゴン達に向かって飛んでいく。

 

ダゴンと深きもの達は剣と槍に切り裂かれると、ダゴンはクリティカルヒットで50万近いダメージを、深きもの達は60万近いダメージ受けて、大量の深きもの達がオーバーキルMAXの表示と共に水になって崩れ落ちる。

 

【ブレイド&スピア】はネプテューヌとベールの合体攻撃、信仰の力で作り上げた巨大な剣と槍で敵を攻撃する。

 

 

***

 

 

 その頃、ネプギア達が治療を受けている、じゅうたんに向かって、ローターが二つ付いた軍用らしきカラーリングの巨大なヘリコプターが近づいて来ていた。

 

よく見るとヘリコプターを護衛するように両脇を二人の人物が飛んでいる。

 

イストワールはそれを見ながら、「間に合ったようですね」と安堵の溜息を吐く。

 

 

「どういうことですか?」

 

 

 プラエがイストワールに質問をすると、「ラステイション、ルウィー、リーンボックスにも援護要請を出していたのです」イストワールが答える。

 

ユニは体を起こし、「お姉ちゃんが来るの?」と言うと、「……こんな情けない姿お姉ちゃんに見せたくない、敵も倒せず、ネプギアも守れなかったなんて……」と顔を俯かせてしまう。

 

「ユニさん、お気持ちは分かりますが。敵が強大すぎたのです。ネプギアさんも傷を負いましたが命に別状はありません。ユニさんは立派に戦いましたよ」

 

イストワールがユニを諭すように言うと、「はい……」とユニは落ち込みつつもイストワールの言うことを受け入れたようだ。

 

 

 暫くしてヘリコプターが近づいてくると、その両脇にいた人物、ブラックハートに変身したノワールとホワイトハートに変身したブランが、先行してじゅうたんの上に乗って来た。

 

 

「ユニ、大丈夫」

 

 

 ノワールがユニに声を掛けると、「うん、大丈夫……」とユニは落ち込みながらも返事を返す。

 

 

「ロム、ラム、どうした? しっかりしろ!」

 

 

 ブランが寝ているロムとラムにがぶり寄ると、「落ち着いて下さい。傷はそこまで深くありません、お二人とも疲労が溜まって寝ているようです」とイストワールがブランに説明をする。

 

説明を聞いたブランが、二人の顔をよく見ていると、「「すぅすぅ……」」と安らかな寝息が聞こえてくる。

 

 

「ったく、心配かけさせやがって」

 

 

 ブランは安堵の溜息を吐くが、ノワールは心配そうにユニの顔を覗き込むと、「何があったの? かなり落ち込んでるみたいだけど」と尋ねると、「……守れなかったの」とユニが悔しそうに呟く。

 

 

「ユニちゃん、私は大丈夫だから……」

 

 

 ネプギアはユニを心配して、ゆっくりと起き上がるが、「くっ!」と言いながら苦悶の表情を浮かべる。まだ傷が痛むようだ。「ネプギア!」とユニが大声で叫ぶと、「ギアちゃん、大人しくしてるです」とコンパがゆっくりとネプギアを横に寝かせる。

 

 

「なるほど、大体のことはわかったわ」

 

 

 ノワールは頷きながら言うと両腕を組んで、「だったら戦いなさい。あなたは一度や二度の負けで挫けるような子じゃないはずよ」とユニに向けて激を飛ばす。

 

 

「ノワールさん、ユニちゃんは怪我人です。ギアちゃん程酷くはないですけど、戦うなんて無理です~」

 

 

 コンパがノワールとユニの間に入って止めようとすると、「それなら心配ないわ。ケイを連れて来たしシェアクリスタルも持ってきたわ」と近づいてくるヘリコプターを見る。

 

 

「こっちも、ミナにシェアクリスタルを持たせてある。こいつ等がリベンジしたいって言ったら戦わせてやってくれ」

 

 

 ブランがそう言うと、「よろしいのですか?」とイストワールが質問するが、「二人とも小さくても女神だ。負けっぱなしで済ませられないだろ」と言うと、「それに何があっても、私が守る」と力強く続ける。

 

ベールの準備とはこのことで、リーンボックスから救援物資を載せた軍用ヘリを出し、ラステイションからノワールがケイを、ルウィーからはブランがミナを連れて飛んで来て、合流した後は移動速度の速いベールが先行し残った二人はヘリの護衛に付いたのだ。

 

 

「それじゃ、私達は行くわ。あんまり待たせるとネプテューヌとベールがうるさいし」

 

 

 ノワールがそう言いながら浮かびあげると、「後は任せたぞ」とブランも浮かび上がり、二人はダゴンの居る方向に飛んでいく。

 

 

 続いてヘリコプターがじゅうたんの真横でホバリングに入ると、扉が開き、「ヘリの中に入ってちょうだい」とチカがイストワールに指示をする。

 

空飛ぶじゅうたんがヘリコプターの中に入ると、内部には軽く40人は入れるスペースがあった。

 

 

「大丈夫かい?」

 

 

 ケイがユニに声を掛けると、「早くシェアクリスタルでアタシを治して。直ぐに出るわ!」とユニがケイに食らいつく。

 

 

「やれやれ……ノワールが何か余計な事を言ったのかな?」

 

 

 ケイは呆れたように言うが、「少し時間が掛かる。それまでに用意をしておくことだ」とユニに言う。

 

ユニは、「分かったわ」と言うと、ケースからU.N.Iを取り出して操作を始める。

 

これは携帯ゲーム機のポケットのアプリでインベントリからアイテムを取り出し、左腕のリングに内蔵されたポーチのアプリにアイテムを移動して戦闘中すぐに使えるようにする為だ。

 

ちなみに左腕のリングは【ユニバーサルリング】と言ってユニがノワールの誕生日に貰った物だ。

 

更にユニはU.N.Iのポケットサービスから、HP回復のヒールドリンクやMP回復のマジックドリング、スタミナ回復のスタミナドリンクを取り出して飲み始める。

 

 

「ロム様、ラム様、しっかりして下さい」

 

 

 ミナが心配そうに二人に声を掛けると、ロムが薄目を開けて、「あれ? ミナちゃん」と言うと、ラムも目を覚ましたようで、「なんでミナちゃんがここにいるの? それにここどこ?」とロムが周囲を見渡す。

 

ミナは、「ああ、よかった……」とホッとすると、ロムとラムにシェアクリスタルを使って、「お二人とも重傷を負って寝込まれていたのです」と説明する。

 

それを聞いたラムが、「うー! あんな気持ち悪いヤツに負けたのー」と不満そうに言うと、「くやしい……」とロムも悔しそうに俯いてしまう。

 

 

「イストワール、その子にこのクリスタルを使ってあげてちょうだい」

 

 

 チカがそう言って手に持ったシェアクリスタルをイストワールに差し出すと、イストワールは遠慮気味に、「よろしいのですか?」と質問する。

 

チカが持っているということは、リーンボックスのシェアクリスタルである。

 

シェアクリスタルは製造に莫大な労力と時間が掛かる貴重品なのだ。

 

 

「お姉様の意向よ。その子とアタクシはお姉様の妹の座を狙うライバルですけど、お姉様を悲しませるわけにはいきませんもの」

 

 

 チカはイストワールの手にシェアクリスタルを持たせると、「ありがとうございます」とお礼を言って頭を下げる。

 

 

「リーンボックスのシェアクリスタルだけど、その子になら十分に効果がある筈よ」

 

 

 チカはそう言うと腕組みして、「何故かしらね? その子はお姉様達から、リーンボックス、ラステイション、ルウィーの別々の国のシェアエネルギーを受け取って、それを十全に活かして犯罪神を倒した」とイストワールを訝しげに見る。

 

ケイもミナも、いつの間にかイストワールとチカを興味深そうに見つめていた。

 

 

 チカの言う通り、ネプギアは犯罪神を倒すために全ゲイムギョウ界の願いの力を受け取ってそれを倒した。

 

 

「普通の女神なら、別の国のシェアを100%活かせるなんてありえないと思うんだけど?」

 

 

 チカが更に続けると、「ネプギアさんはシェアクリスタルの扱いが上手ですから。それに犯罪組織を倒すためにゲイムギョウ界中を旅していたので他の国の方にも好かれていたのでしょう」とイストワールが落ち着いて答える。

 

チカは、「ふぅ……」と溜息を吐くと、「そう、今はそういうことにしておくわ」と言ってイストワールに背を向ける。

 

 

「ネプギアさん、しっかりして下さい」

 

 

 イストワールがチカに渡されたシェアクリスタルを使い始めると、ネプギアの顔色が大分良くなる。

 

 

「よかった……」

 

 

 イストワールが心の底から安心した声を出すが、「ネプギアさん! なにを!」とすぐに慌てた声を上げる。

 

ネプギアがNギアを取り出して操作し始めているのだ。

 

 

「……ユニちゃん、私も行くよ」

 

 

 ネプギアがユニに向かって言いながら、ユニと同じようにNギアでポーチへのアイテム移動をしていた。

 

 

「何を言っているんですか! ネプギアさんはまだ戦える状態じゃありません!」

 

 

 イストワールが大声で叱りつけると、「イストワールの言う通りよ。後はお姉様達に任せておけば問題ないわ」とチカがネプギアに向かって言う。

 

 

「……嫌な胸騒ぎがするんです……」

 

 

 ネプギアは左胸を押さえて、「それにEWACで援護するだけなら平気ですから」と続ける。

 

ネプギアの言う通り、EWACで敵を捉えてネプテューヌ達の回避や命中を上げるだけでも戦力にはなるだろう。

 

 

「わかったわ」

 

 

 ユニがそう言って頷くと、「本気かい?」とケイが驚いた表情を浮かべる。

 

 

「ネプギア、今度こそアタシがアンタを守るわ」

 

 

 ユニが力強く言うと、ネプギアは、「ありがとうユニちゃん」嬉しそうに言う。

 

 

「ちょっとーーーー! わたし達を無視して勝手に話進めないでよーーー!」

 

 

 ラムが不満一杯に大声を上げると、「仲間外れはイヤ(ふるふる)」とロムも悲しそうに首を振る。

 

二人の横で、シェアクリスタルで治療をしていたミナが驚いて、「危険です。お止め下さい」と止めるが、「絶対行く! リべインよ、ロムちゃん!」とラムが言うと、「うん、24時間戦うよ(ぎんぎん)」とロムもそれに続く。

 

 

「二人とも、子供は子供用の栄養ドリンクじゃないとダメだよ。それに睡眠不足はいい仕事の大敵だし、美容にも良くないって、ブタさんも言ってたでしょ」

 

 

 ネプギアがロムとラムを軽く注意するように言うと、「個人差はあるけど、睡眠時間は6時間から8時間が理想よ」とユニがそれに続く。

 

 

「「はーい」」

 

 

 ロムとラムが素直に返事をすると、「二人ともいいお返事ですね」とミナが嬉しそうに手を合わせる。

 

 

「って! そうじゃない! リべインじゃなくて、リベンジよ!!」

 

 

 ユニがネプギアを指差しながらツッコミすると、「わぁ、ユニちゃん、それ時間差ノリツッコミ?」とネプギアが楽しそうに言うと、「ユニちゃん、凄い(ぱちぱち)」とロムが言い、「こーとぎじゅつね!」とラムがそれに続く。

 

 

「違うわよ!」

 

 

 ユニが即答で否定すると、「西沢、あなたまで何やってるのよ……」とチカが冷やな目でミナを見ると、「私はただ二人を褒めただけで、そんなつもりは……」とミナは困った表情をしてしまう。

 

ちなみに、リベインとは黄色と黒の勇気の印な栄養ドリンクで、24時間戦えるとのキャッチフレーズで有名。尚、飲めるのは15歳からである。

 

 

「……ユニ、君は少し変わったね」

 

 

 ケイが少し呆れたふうに言うと、「天然ボケと子供二人相手してたら、こうもなるわよ」とユニが口を尖らせるが、「いや、ボクは良いと思うよ。楽しそうだしね」と ケイは微笑みながら言う。

 

 

「いいわ、付いてきなさい。アンタ達もアタシが守ってあげるわ」

 

 

 ユニが話を戻してロムとラムにそう言うと、「ユニ様!」とミナが不満そうに叫ぶ。

 

 

「ミナさん、お気持ちは分かりますが、ブランさんも二人が戦いたいと言ったら戦わせて欲しい。何があっても自分が守るからとおっしゃっておりましたので」

 

 

 イストワールがブランに言われた事をミナに伝えると、ミナは、「ふぅ……」と溜息を付き、「子供だと思っても、やっぱり女神様なんですね」と言うと、「わかりました。くれぐれもブラン様のご迷惑にならないようにするのですよ」と続ける。

 

 

「やったー!」

 

 

ラムがバンザイして喜ぶと、「ミナちゃん、ありがとう」とロムも嬉しそうに言う。

 

 

「……ネプギア、本当に大丈夫?」

 

 

 ユニが心配そうにネプギアに声を掛けると、「怖い目に遭ったんでしょ?」と続けて言う。

 

ネプギアは少し俯いて、「……まだ怖いよ……あのまま捕まったらって想像するだけで足が震えそう……」と呟き、「けど、怖がってちゃ誰も守れないから」と続けて言うと顔を上げて、「だから、戦う!」と力強く言う。

 

 

「ネプギアさん……」

 

 

 イストワールは立派になったネプギアに嬉しい気持ちと、無理をしてほしくない心配する気持ちが入り混じって複雑な表情でネプギアを見つめる。

 

 

「分かりました。ですが、今から私の言う二つのことを必ず守ると約束して下さい」

 

 

 イストワールはネプギアの顔を正面から見据えて言う。

 

ネプギアが頷いて、「わかりました」と言うと、イストワールは右手の人差し指を立て、「まずは、私が渡したヴァイオレットリングは絶対に手放してはなりません」と言うと、ネプギアは「はい」と答える。

 

イストワールは次に右手の中指を立てると、「二つ目は、絶望的な状況でも決して諦めてはいけません。ネプギアさんが何かを守りたいという強い意思を持っていれば必ず道は開けます。ネプギアさんが望む未来を掴み取って下さい」と言う。

 

ネプギアは、「わかりました。必ず守ります」と言い力強く頷く。

 

 

「それじゃあ、三人共、HPとMP、それにスタミナを回復しときなさい」

 

 

 ユニが指示をすると、ネプギア、ロム、ラムは先程のユニと同じように、それぞれの携帯ゲーム機から回復アイテムを取り出し、それを急いで飲み始める。

 

 

「そんなに急いで飲まなくても大丈夫よ。ネプギアの悪い予感が当たったとしても、お姉様達がすぐに負けるなんてありえないわ」

 

 

 チカがそう言うと、「そうですよ。ゆっくり飲まないと体にもよくありません」とミナが説教っぽく言う。

 

 

「しかし、プロセッサユニットはボロボロでネプギアさんは武器も壊れてしまったのだろう? その辺りはどうするんだい?」

 

 

 ケイがネプギアに尋ねると、ネプギアは少し嬉しそうな顔をして、「こういう時に使う魔法の言葉があるんです」と言うと、「え? なになに?」とラムが興味津々に言い、「楽しみ(わくわく)」とロムも嬉しそうにしている。

 

 

「こんなこともあろうかと!」

 

 

 ネプギアが自信満々の大声を上げてNギアを操作すると、Nギアからいくつもの機械が現れる。

 

 

「これは……」

 

 

 イストワールが驚きの表情でその機械を見つめると、「アンタ、その台詞が言いたくて、こんなモノ準備してたの?」とユニが呆れた声を出すと、「こんなこともあろうかと、を言うのは技術者の夢だよ!」とネプギアが力説する。

 

 

***

 

 

 ネプテューヌとベールはブランとノワールに合流し、四女神が揃ってダゴンと戦闘を繰り広げていた。

 

 

「ウチの妹達をあんな目に遭わせやがって! テメェの血はなに色だぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 ブランが怒りで目を真っ赤にしながら、正面からダゴンの右肩に接近しながら両手に持った巨大な戦斧を振り上げると、「ゲッターラヴィーネ!」と叫びながら、それをダゴンの右肩に振り下ろす。

 

ダゴンは59624のダメージを受けると、「ちいっ!」と舌打ちをしながら、左手でブランを殴りつける。

 

 

「オラァ!」

 

 

 ブランは戦斧を盾にして、ダゴンのこぶしを受け止めると745のダメージを受けるが、「へっ、効かねぇな」とニヤリと笑う。

 

HPゲージの減りも二割以下だ。

 

 

 ブランはHPと防御の能力が非常に高く、ちょっとやそっとの攻撃では怯まない。

 

近接攻撃力とスタミナも高めで、足を止めた殴り合いでは四女神最強だろう。

 

タンクをこなしつつアタッカーもこなせるブランだが、半面スピードや回避は低めで高速戦闘は苦手としている。

 

ネプテューヌが短期決戦のスプリンターなら、ブランはじっくりと戦うステイヤーになるだろう。

 

魔法の国ルウィーの女神だが魔法はあまり得意ではなく、魔法を使う国民を守る盾として活躍している。

 

 

「がら空きよ!」

 

 

 ブランがダゴンの攻撃を受け止めている内に、ダゴンの背後に回り込んだノワールが左手に持った拳銃を構えて、ダゴンの後頭部に狙いを定めると、「シーリングバレット」と弾丸を発射する。

 

弾丸がダゴンの頭に当たると、63254のダメージが当たる。

 

それと同時にノワールは一瞬で距離を詰めて、「レイシーズダンス」とサマーソルトキックからの右手に持った大剣との連続攻撃をダゴンの後頭部に食らわせ、61547のダメージが出ると同時に上空に離脱する。

 

ブランに攻撃を止められていたダゴンはノワールの素早い一撃離脱に対応できず、「くっ……」と悔しそうに顔を歪める。

 

 

 ノワールはバランスの取れた戦士タイプ。

 

近接攻撃力が高く、防御とHPにも優れ、スピードも速い。

 

射撃攻撃にも秀でており、遠近両用の戦闘もこなせる万能さがウリ。

 

他の四女神に比べると突出した能力は無いものの総合力ではトップだろう。

 

あえて欠点を上げるとしたら、運の悪さだ。

 

回避、命中や技量も高いのだが運の悪さが災いして、肝心なところでミスしたり、クリティカルヒットが出なかったりする。

 

 

「いいわよ、ノワール」

 

 

 ノワールの離脱と入れ替わるように、ネプテューヌがダゴンの真上から襲い掛かる。

 

 

「テラ・ド・ダイブ!」

 

 

 落下スピードに乗ったネプテューヌの太刀による縦斬りがダゴンにヒットすると、クリティカルヒットで15万887のダメージが当たる。

 

同時にネプテューヌは、ダゴンの左側に離脱しながら左手に拳銃を出して、「フィフスショット!」と五発の弾丸を打ち出す。

 

弾丸がダゴンの頭に当たると、クリティカルヒットで97515のダメージが当たる。

 

 

 ネプテューヌも銃が使えるが、近接攻撃特化なので今のような追撃などの補助的な意味合いが強い。

 

 

「よっしゃ! いいぞ」

 

 

 ネプテューヌとノワールの攻撃を確認したブランは、その驚異的なパワーでダゴンの左手を押し返すと後退して距離を取る。

 

 

「大物狙いもいいですけど、こちらも手伝って下さらない?」

 

 

 ネプテューヌ達にそう言ったベールは海面近くで、次々と湧いてくる深きもの達の相手をしていた。

 

 

「シレットストーム」

 

 

 ベールが両手で槍を頭上に掲げると、それを高速で回転させる。

 

すると周囲に小規模な竜巻が起こり、大量の深きもの達に6万以上のダメージを与えながら上空に打ち上げる。

 

 

「はっ!」

 

 

 ベールは打ち上げた深きもの達を追うように跳躍すると、「ラトゥナブラエンド」と槍を使った高速攻撃で次々と深きもの達を切り裂く。

 

深きもの達が6万近いダメージを受けると同時に、「ヌワラエリヤスコール」と左手に拳銃を取り出すと上空に向かって連射する。

 

上空に撃ち出された弾丸は、未だ上空に居る深きもの達に雨のように降り注ぐと6万以上のダメージが当たる。

 

ベールは続けて、「テイコフォトン!」と叫びながら、浮いた深きもの達を、槍を使った突きで一体一体突き飛ばして海面に叩きつける。

 

深きもの達が6万以上のダメージを受けると、更に上空から、「タービュランスキャンディ」と左手の銃を連射して追撃をすると、深きもの達は6万以上の以上のダメージを受けるとオーバーキル×8の表示と共に次々と水になって崩れ落ちる。

 

 

 ベールの特技は高速戦闘。

 

四女神のなかで一番身長が高く大きな胸をしているが、そのスピードはネプテューヌ以上で回避率も非常に高い。

 

風属性の魔法も得意で、大気を操る魔法で自己のスピードを更に速めることが出来る。

 

槍によるリーチの長い上に範囲も広い近接攻撃と、ノワール以上の射撃攻撃、それにスピードを生かした、距離を選ばない高速戦闘は驚異的だ。

 

半面、ネプテューヌと同じく防御とHPは並み程度で打たれ弱い面はあるが、運も高めなので、そうそう攻撃に当たることはない。

 

 

「もう少しで、オーバーキルMAXでしたのに」

 

 

 ベールが残念そうに言うと、「オーバーキルで遊んでる余裕があるのに手伝えはないでしょ」とノワールが文句を言う。

 

 

「これぐらいしないと張り合いがないんですもの。この程度の相手じゃプラクティスにもなりませんわ」

 

 

 ノワールの文句に、しれっと答えるベール。

 

確かに彼女の高速戦闘の前では、深きものなど動いていないに等しい。

 

 

「おのれ、ちょこまかと……」

 

 

 ダゴンは忌々しい声で唸る。

 

ダゴンはブランをタンクにし、ネプテューヌとノワールがアタッカーになり、ベールは深きもの達を相手にするというフォーメーションに翻弄されていた。

 

 

「ネプテューヌ、あなたいつまでその状態でいるのよ?」

 

 

 ノワールがネプテューヌを注意するように言う。

 

ネプテューヌは先程からHPを回復しておらず、ガッツ状態を維持していた。

 

ガッツ状態で防御力は上がっているものの、元から防御力があまり高くないネプテューヌは、ダゴンどころか深きもの達の攻撃を一発食らえば戦闘不能になってしまうだろう。

 

 

「これぐらいギリギリの方が、スリルがあっていいのよ」

 

 

 ネプテューヌが涼しい顔でノワールに言い返すと、「それに、レトロゲーなんて大抵は一発食らったらアウトでしょ」と続けて言い放つ。

 

 

「へっ、調子に乗ってポカするんじゃねぇぞ」

 

 

 ブランはニヤリと笑うと、「もう一度アタックを掛けるぞ」とネプテューヌとノワールに声を掛ける。

 

ネプテューヌとノワールが、「「了解」」と返事をすると、ブランは正面からダゴンに向かって行く。

 

 

「おのれ、調子に乗りおって」

 

 

 ダゴンは悔しそうに顔を歪めると、「ならばこれでどうだーーー!」と両手を上にあげる。

 

 

「あれは!」

 

 

 ネプテューヌがダゴンの行動に驚きの表情を上げると、「ネプギアちゃんのデータにあった必殺技ですわ」とベールが続けて言う。

 

 

「ブラン下がるわよ!」

 

 

 ノワールがブランに向けて叫ぶと、「ちっ、仕方ねぇな」と言いながらブランも旋回して後退を始める。

 

 

「逃がすか!!」

 

 

 ダゴンは上げた両手を勢いよく海面に叩きつけると、先程と同じように300m以上の巨大な水柱が何本も巻き上がる。

 

水柱はもの凄いスピードで渦巻を書きながら、四女神に迫ってくる。

 

 

「くそっ、間に合わねぇか」

 

 

 スピードの遅いブランは水柱との距離がどんどんと近づいて来る。「つかまりなさい」ベールが右手をブランに差し出すと、「すまねぇ」とブランは左手でベールの手を握り、ベールの高速移動で二人とも水柱の攻撃範囲から離脱する。

 

ネプテューヌとノワールも無事に逃れたようで、「面倒な全周囲攻撃ね」とノワールが少し悔しそうに言うと、「遠くなら避けられますけど、近くでは渦の回転が速すぎて近づけませんわ」とベールも難しい顔をする。

 

 

「フハハハハハ! どうした!」

 

 

 ダゴンは高笑いをすると、四女神を追いかけて来て更に水柱を巻き上げる技を使ってくる。

 

ネプテューヌが焦りながら、「くっ、連発できるの?」と言うと四女神はバラバラに散って、急いで水柱の攻撃範囲から逃れる。

 

 

「調子に乗るんじゃないわよ!」

 

 

 ノワールが左手の拳銃を連射すると、ベール、ネプテューヌ、ブランもそれに続いて左手に拳銃を持って連射する。

 

 

「無駄だ!」

 

 

 ダゴンはまた水柱を巻き上げると、弾丸は全て水柱に止められてしまう。

 

 

「くっ、こんな時ユニがいれば……」

 

 

 ノワールが悔しそうに唇を噛むと、「ロムとラムが居れば何とかなったかもな」とブランもそれに続く。

 

 

 四女神の共通点は近接攻撃を得意として、射撃等の他の攻撃は補助的な意味合いが強い。

 

その為、接近するのが難しい相手は少々やりにくい。

 

これは目立ちたいと言う彼女達共通の性格もあるが、やはり勇ましく肉弾戦で戦う方がシェアが上がりやすいというのもある。

 

 

「でも、攻撃パターンが変わったってことは相手も焦ってるってことよ」

 

 

 ネプテューヌが落ち着いて言うと、「そうですわね。弱ってくると攻撃パターンが変化するのはゲームのお約束ですわ」とベールがそれに続き、「あと一息ってとこか」とブランが頷き、「やってやるわ」とノワールもやる気を出したようだ。

 

 

「ならば止めて見せろ」

 

 

 ダゴンは優勢に立ったことで余裕を取り戻したようだ。

 

いやらしい笑いを浮かべると、ノワールに向かって行き水柱を発生させる。

 

 

「ちっ……」

 

 

 ノワールは舌打ちすると、後退しながらも左手の拳銃を連射するが、やはり水柱に阻まれてしまう。

 

全方位への攻撃なので、他の三人も近づけず仕舞いだ。

 

 

「強技連発の脳死プレイね」

 

 

 ネプテューヌがダゴンを蔑むように言うと、「格ゲーのハメ技と同じくらい美しくありませんわ」とベールも冷たい目でダゴンを見る。

 

【脳死プレイ】とは何も考えずに特定の行動パターンを繰り返すだけでゲームをクリアすること等を意味し、【ハメ技】とは格闘ゲームで一度パターンにハメれば相手は抜け出せず延々と攻撃を続けられることだ。

 

インチキではないが、ネプテューヌやベールの言う通り、あまり好かれるプレイスタイルではない。

 

 

「接近出来ないなら」

 

 

 ベールが空高く舞い上がる。

 

水柱より高い位置まで昇ると、「上空から強襲するまでですわ!」と言って、水柱の渦の中心に居るダゴン目掛けて急降下する。

 

 

「バカめ! 来るところが分かっているなら、当てることなど造作もないわ」

 

 

 ダゴンが口から鉄砲水を連射すると、「これぐらいの弾幕!」とベールは次々と鉄砲水を回避する。

 

 

「やるではないか、だがここまで来れるかな?」

 

 

 ダゴンは余裕の表情で鉄砲水を吐きながら水柱を作り出す。

 

 

「くっ、水柱が邪魔で……」

 

 

 ベールはダゴンまで300m程のところまで接近するが、そこからは水柱が邪魔になって動ける場所が狭まり回避が間に合わなくなってくる。

 

 

「ほれほれほれ!」

 

 

 ダゴンが次々鉄砲水と水柱を連発してくる。

 

 

「……これ以上はスタミナが持ちませんわ」

 

 

 ベールが悔しそうに言う。

 

急上昇から急下降をしながらの連続回避でベールのスタミナゲージは大分減っており、一旦休憩を挟まないとこれ以上の戦闘続行は難しい。

 

ベールは左手の銃を数発連射してダゴンをかく乱すると、急上昇を掛けて離脱する。

 

ネプテューヌ達のところまで戻ったベールは、「……はぁ……はぁ……上からの攻撃もなかなか難しいですわ……」と息を切らしながら仲間達に伝える。

 

 

「四人同時に上から攻めるのはどうだ?」

 

 

 ブランが提案すると、「それなら、二手に分かれて上と下で挟撃した方がいいと思いますわ」とベールも案を出す。

 

 

「いえ、こういう脳筋脳死の相手は主人公のスーパープレイで鼻を明かしてやるのがパターンよ」

 

 

 ネプテューヌがそう言ってニヤリと笑うと、「なんだ? 策があるのかよ?」とブランが質問する。

 

 

「策などないわ。特攻して全ての攻撃を避けてみせる!」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、高速でダゴンに向かって行く。

 

 

「来たか、貴様だけは絶対に許さんぞ!」

 

 

 ダゴンは向かってくるネプテューヌに対して振り向くと怒りの形相を浮かべる。

 

先程からクリティカル連発で大ダメージを与えているネプテューヌに対してのダゴンのヘイトは非常に高い。

 

ノワールを攻撃したのはダゴンの気まぐれと言うか、彼女は非常に運が低いのが災いして時に不条理に攻撃されたりする。

 

 

「そのつまらない技の連発。わたしが止めてあげるわ」

 

 

 ネプテューヌはダゴンを挑発すると真っ直ぐ進んでいく。

 

 

「止められるものなら止めてみろぉ!」

 

 

 ダゴンが水柱を発生させると、ネプテューヌは素早く水柱の間を縫うようにダゴンに近づいていく。

 

 

「やるじゃねぇか」

 

 

 ブランが感嘆の声を上げると、「問題はこれからですわ。近づけば近づくほど回転は激しくなるのですから」とベールが深刻な顔をする。

 

 

「ふん、そう簡単に突破できるかな」

 

 

 ダゴンは二発目の水柱を放つが、「何人たりとも、わたしに攻撃は当てられないわ」とネプテューヌは次々と水柱を避けてダゴンに接近していく。

 

ネプテューヌは水柱の隙間の安全地帯で短い休憩を入れてスタミナを回復しながら、ダゴンの居る中心に近づいて行く。

 

 

「バカな!」

 

 

 ダゴンは驚愕の表情を浮かべる。

 

しかし、「と、言うと思ったか!」と叫ぶと、ネプテューヌの居る真下の海面から深きもの達顔を出す。

 

 

「ぶるるるる!」

 

 

 女性型の深きもの達がブレイクの魔法を連発しながら、男性型の深きもの達はネプテューヌに向かって舌を伸ばしてくる。

 

 

「くっ、伏兵を海の中に潜らせていたの!」

 

 

 ネプテューヌは唇を噛みながら、次ぐ次と飛んでくる攻撃を回避するが、水柱の隙間という狭さで回避が続かず、深きものの舌に右足を掴まれてしまう。

 

 

「しまった!」

 

 

 ネプテューヌが焦りの声を上げると同時にダゴンがニタリと笑って、「終わりだな! 我が直々にトドメを刺してやろう」と三発目の水柱を放つ。

 

 

「これまでなの?!」

 

 

 ネプテューヌが悔しそうな声を上げる。

 

先程からHPを回復していないネプテューヌは一撃食らえば戦闘不能になり海に落下してしまう。

 

海中はダゴンや深きもの達のホームグラウンドなので、ただでは済まされないだろう。

 

次の瞬間、「ネプテューヌ!!」と叫び声と共に背後から何者かが飛んでくる。

 

 

「ノワール?」

 

 

 ネプテューヌが後ろを振り向くとノワールが近づいて来ていた。

 

ネプテューヌのピンチに水柱を無視して無理矢理突撃してきたようでHPゲージが残り三割まで減っていた。

 

 

「このバカ! なにポシャってるのよ!」

 

 

 ノワールはそう言いながら、ネプテューヌの右足に絡んだ深きものの舌を大剣で切り裂くと、「引くわよ!」と言ってネプテューヌを抱える。

 

 

「逃がすな! 撃て、撃てーーーー!」

 

 

 ダゴンは深きもの達に命令をするが、ノワールはネプテューヌを守りながら、帰り道も強引に突撃して水柱の攻撃範囲から逃れて行く。

 

 

「ネプテューヌ! ノワール! 無事ですの?」

 

 

 ベールが慌てて二人に近づくと、「わたしは平気よ。でも、ノワールが……」とネプテューヌが言うが、「これぐらいで倒れる程、ヤワじゃないわよ……」とノワールが苦しそうに言う。

 

現にノワールのHPは一割を切っていた。ガッツの発動がなかったら危なかっただろう。

 

 

「ありがとう、ノワール。助かったわ」

 

 

 ネプテューヌが素直にお礼を言うと、「あなたの為じゃないわよ。戦力が低下したら困るからよ」とノワールはそっぽを向いてしまう。

 

 

「これは突っ込んで消耗戦しかねぇな」

 

 

 ブランが言うと、「そうですわね。スマートさに欠けますが仕方ありませんわ」とベールが同意する。

 

ブランが続けて、「水柱は極力回避。あの雑魚半魚人どもの攻撃はある程度耐えるしかねぇ」と言うと、「ネプテューヌ、ノワール、HPを最大まで回復して、いつでも回復アイテムを取り出せるようにしておきなさい」とベールがネプテューヌとノワールに言う。

 

 

「わかったわ」

 

 

 ノワールはそう言うと、ポーチからHPを回復するヒールドリンクを取り出して飲み始める。

 

 

「了解よ」

 

 

 ネプテューヌはそう言いながら、ポーチからポテトチップスを取り出すと、ビリッと袋を開ける。

 

 

「「「ちょっと待て!【待ちなさい!!×2】」」」

 

 

 ノワール、ブラン、ベールがネプテューヌに向かって大声で叫ぶと、ネプテューヌは、ぱりぱりとポテトチップスを食べながら「なにかしら?」と涼しい顔で答える。

 

 

「テメェなに食ってんだ!!!」

 

 

 ブランが額に青筋を立てながら怒鳴るが、「女神チップスでHPを回復してるのよ。わからないの?」とネプテューヌの表情は変わらない。

 

【女神チップス】とはゲイムギョウ界で人気のカード入りのお菓子で、食べることで僅かにHPは回復するものの、その量はヒールドリンクなどにすれば大きく劣る上に、食べるのにも時間が掛かる。

 

 

「何でそんなのもの食べてるのよ! ヒールドリンクとか使いなさい!」

 

 

 ノワールも青筋を立てて怒鳴るが、「もう少しでカードコンプなのよ」とネプテューヌは相変わらず冷静だ。

 

 

「あっ、被ったわ」

 

 

 ネプテューヌは残念そうに付録のカードをポーチにしまうと、ポーチからペットボトルの炭酸飲料を取り出して一口飲み、それをポーチにしまうと二袋目の女神チップスを取り出すと袋を開けて、ぱりぱりと食べ始める。

 

 

「ネプテューヌ……回復アイテムはそれしかありませんの?」

 

 

 流石のベールも青筋が立っており、怒りを噛み殺しながら問いかけると、「ええ、普段はネプギアがポーチを管理してて、おやつは300クレジットまでなのよ。今時300クレジットとかありえないと思わない?」と三人に同意を求める。

 

 

「……それで、ネプギアちゃんが居ないのをいいことに、ポーチの中をお菓子だらけにしてきたと……」

 

 

 ベールが青筋を更に増やしながら怒りに震えて質問すると、「やったわ! SSRよ!」とネプテューヌが嬉しそうに付録のカードを眺める。

 

 

「ありえないのはテメェ【あなた×2】の方だ【方よ】【方ですわ】!!!」

 

 

 三人の女神が同時に怒鳴ると、「プリンもあるわよ」と空気の読めないネプテューヌがポーチからプリンとスプーンを取り出して、ゆっくりと食べ始める。

 

ちなみにプリンもHPを回復するが、これも少量でありヒールドリンクなどには及ばない。

 

 

「ポーチの中におやつとかフザけてんのか!! 私達はゲイムギョウ界を守るために切った張ったの世界に生きてるんだぞ!」

 

「戦いは遠足ではありませんのよ」

 

 

 ブランとベールが次々に注意をすると、「私は、こんなヤツ助ける為にあんな無茶したの……」とノワールが頭を抱えて肩を落とす。

 

 

「フザけてるのはお前等だーーーーーーーー!!!!」

 

 

 ダゴンが怒鳴り声と共に鉄砲水を乱射してくる。

 

 

「おやつタイムに攻撃してくるなんて反則よ。これだから、脳筋脳死のプレイヤーは嫌なのよ」

 

 

 ネプテューヌがゆっくりとプリンを味わいながら鉄砲水を避けると、「もう、なんでもいいからさっさと食べてHP最大まで回復しなさい!」と怒鳴りながらノワールも鉄砲水を回避する。

 

 

「つーか、そんなモン、一口で食え!」

 

 

 ブランが鉄砲水を回避しながら叫ぶと、ネプテューヌは「嫌よ。これは行列の出来る店の人気プリンで、わざわざネプギアを呼び出して朝から並んで買ってきて貰った貴重なものなのよ」と冷静に答える。

 

 

「色々な意味で、ネプギアちゃんをわたくしの妹にしなければいけない気がしてきましたわ……」

 

 

 ベールは強い決意を秘めた顔で呟く。

 

 

 

***

 

 

 

 暫くはネプテューヌが食事を終えてHP回復するまで、距離を置いて回避に徹していた四女神。

 

 

「待たせたわね。HP満タンよ!」

 

 

 ネプテューヌがドヤ顔で言い放つが、「とりあえず、口元のプリン拭きなさい」とノワールが呆れながら言う。

 

 

「ったく、手間かけさせやがって、突っ込むぞ!」

 

 

 ブランがダゴンに向かって飛んで行くと、「行きますわ!」とベールもそれに続く。

 

 

「あなたも遅れるんじゃないわよ!」

 

 

 ノワールがネプテューヌに向かってそう言うとダゴンに向かって飛んで行き、「プリンを食べたわたしは無敵よ!」とネプテューヌがそれに続く。

 

 

「ようやく来おったか。舐めた真似をしてくれた分、存分に苦しめてやる」

 

 

 ダゴンが唸ると、両手を上げて水柱の構えを取ると海面に両手を叩きつけて水柱を発生させる。

 

 

「ちっ……。外側は簡単に避けれれるが中に行くほどキツいぜ」

 

 

 ブランが水柱を避けながら舌打ちしながら言うと、「ブラン、下よ」とネプテューヌが叫ぶ。

 

ブランの真下には深きものが顔を出して、舌を吐き出そうとしていた。

 

 

「やらせるかよ!」

 

 

 ブランは急降下して、戦斧で深きものを唐竹割にすると、62135ダメージを受けた深きものは水になって崩れ落ちる。

 

 

「モグラ叩きだ!」

 

 

 ブランは意気揚々言うが、「油断しないで来るわよ!」とノワールが叫ぶと、ブランの目の前に水柱が迫っていた。

 

 

「クソが!」

 

 

 ブランは戦斧を盾にガードするが、1121ダメージを受けてHPが三割近く減ってしまう。

 

 

「くそっ、結構効きやがる」

 

 

 ブランが悔しそうに言うと、「けど、パターンが読めてきたわ」とノワールが水柱を避けながら急下降して、頭を出した直後の深きものを切り裂くと、63541ダメージを与えると深きものは消滅する。

 

 

「ええ、それほど連携が取れているわけでもないみたいですし、落ち着いてスタミナを管理しながら行けばやれますわ」

 

 

 ベールも水柱を軽く回避すると、ノワールと同じように頭を出したばかりの深きものの頭を左手の拳銃で撃ち抜く。

 

64521ダメージを受けた深きものは消滅する。

 

 

「ええ、多少の被弾は避けられないけど、この調子なら」

 

 

 ネプテューヌはそう言いながら減少したHPを回復する為に、水柱の間の安全地帯でポテトチップスをぱりぱりと食べていた。

 

 

「……緊張感台無しですわね」

 

 

 ベールが呆れた声で溜息をつく。

 

 

***

 

 

 四女神は水柱を回避しつつ深きものを迎撃して、どんどんとダゴンに近づいて行く。

 

 

「くっ……まさかここまでやるとは……」

 

 

 ダゴンが焦りの表情を浮かべる。

 

四女神は既にダゴンを射程圏内に捉えていた。

 

 

「捕まえたわ!」

 

 

 ネプテューヌが水柱を避けながらダゴンの右側から肉薄し、「デルタスラッシュ」と三発の斬撃の衝撃波を飛ばしてダゴンを切り裂くと、63594のダメージが当たる。

 

 

「ここまで近づけばこっちのものよ!」

 

 

 更にノワールもダゴン左側から近づき、「フォールスラッシュ!」言いながら上空に飛び上がり、大剣から巨大な斬撃の衝撃波を飛ばしてダゴンに当てると61254びダメージを与える。

 

 

「チェックメイトですわ!」

 

 

 今度はベールがダゴンの背後から左手の拳銃を連射すると同時にそれを追うように接近し、「レイニーラトナビュラ」と連続の突きを食らわせ、合計で62584のダメージが当たる。

 

 

「覚悟しやがれ!」

 

 

 続けてブランが正面から突っ込むと、ダゴンは焦りのあまり、「くそっ」と右手で正拳突きをしてくるが、ブランは戦斧を盾にしてダゴンのこぶしを受け止めると「そんな腰の入ってねぇ、逃げ腰のパンチが効くかよ!」と言い放つ。

 

ブランは512のダメージを受けるが、「ビビってんじゃねぇぞオラァ!!」と戦斧を振り上げ、「メツェライシュラーク!」と攻撃してきたダゴンの右手を斬り裂くと、59214のダメージを与える。

 

 

「エネミーの最大HPの解析完了しました。最大HPは約7000万。現在の総ダメージは2325万2156です。」

 

 

 四女神の各携帯端末から、機械音声が聞こえて来る。

 

 

「みんな、聞いた!」

 

 

 ネプテューヌが仲間達に声を掛けると、「ああ、ようやく底が見えたな」とブランがニヤリと笑い、「とんでもないHPオバケね」とノワールが溜息を吐き、「ですが、今はただのサンドバッグですわ」とベールが冷ややかに微笑む。

 

 

 ダゴンの水柱を見切った四女神は次々と波状攻撃を仕掛けて、スタミナとHPを回復しつつダゴンを追い詰めていた。

 

 

「どうしたの? 他に攻撃はないの?」

 

 

 ノワールが挑発するように言うが、「ぐぬぬ……」とダゴンは悔しそうに唸るだけで言い返せない。

 

ブランが、「ふん」と鼻で笑うと、「どうやらネタ切れみたいだな」と言い放ち、「だったら、今のうちにお祈りを済ませておいた方がいいですわよ」とベールが冷徹な笑みを浮かべる。

 

 

「これから、誰が一番ダメージを与えられるか勝負しない?」

 

 

 ネプテューヌが余裕の表情で言うと、「いいわよ、私が勝つに決まってるけどね」とノワールが涼しい顔で了解し、「ああ、それぐらいしないと張り合いがないしな」とブランも楽しそう頷くと、「わたくしの勝利は揺るぎませんわ」とベールも微笑む。

 

 

「ちぃぃぃ……こんな筈では……」

 

 

 ダゴンは焦りの表情を浮かべるが、「先手必勝!」とネプテューヌは容赦なく正面から斬りかかる。

 

 

「舐めるな!」

 

 

 ダゴンが焦りながらも、右手の拳を繰り出す。

 

ネプテューヌは冷静に、「そんな攻撃」と言って避けようとするが、「……っ……」と突然苦しそうな顔をして腹部を押さえる。

 

ネプテューヌは間一髪で攻撃を避けるが、苦しそうな表情は変わらない。

 

 

「どうした? ネプテューヌ!」

 

 

 ブランがネプテューヌを心配するように声を掛けると、「まさか、まだ隠し玉があったの?」とノワールが焦りの表情を浮かべ、「みなさん気を付けて下さいまし」とベールが叫ぶ。

 

 

「お、お腹が痛い……」

 

 

 ネプテューヌが苦しそうに呻く、「毒? それとも他の何か……」とノワールがネプテューヌをフォローする為に急いで近寄ると、「……食べ過ぎた後に激しい運動したせいかしら……くぅぅ……」とネプテューヌが苦悶の表情を浮かべる。

 

 

「は?」

 

 

 ノワールが目を丸くすると、「誰か……胃腸薬持ってない?」とネプテューヌが苦しそうに尋ねる。

 

瀕死からHP満タンまで回復する為に、ポテトチップスやら炭酸飲料やらプリンなど色々食べた後に急激な運動をしたネプテューヌは腹痛をもよおしたようだ。

 

 

「「「アホーーーーーー!!」」」

 

 

 ノワール、ブラン、ベールが同時に大声で叫び、「この土壇場で何やってんだテメェは!」とブランが絶叫し、「アンタばかぁ!」とノワールが罵り、「頭が痛くなってきましたわ……」とベールが頭を抱える。

 

 

「ふざけるなっっっっ!!!」

 

 

 ダゴンが怒りのあまりネプテューヌと側に居たノワールを両手で上から叩きつける。

 

 

「「きゃあああああ!!」」

 

 

 二人はそのまま海の中に沈んでしまう。

 

 

「オイオイオイ、死ぬぜアイツ等」

 

 

 ブランがそう言うと、「炭酸抜きコーラだったら、腹痛を起こさなかったのかしら?」とベールが首を傾げる。

 

ネプテューヌはともかく、それに巻き込まれたノワールは相変わらず運が悪いようだ。

 

 

「冗談はともかく、食べ過ぎで腹痛起こして負ける主人公ってどうなんだよ?」

 

 

 ブランが呆れた声で言うと、「まぁ、そこはネプテューヌですし」とベールも呆れた声で答える。

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