新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
海に潜ったダゴンが猛烈なスピードでネプギアに迫る。
「海中で我に戦いを挑んだこと、後悔させてやる」
ダゴンの巨体がどんどんとネプギアに近づくが、ネプギアは自分でも驚くほど落ち着いていた。
「見える」
ネプギアが呟くと同時に、プロセッサユニットの推進機を横方向に稼働させてダゴンの体当たりをひらりと避ける。
avoidの表示が出る前に身を翻して通過していくダゴンに目掛けてNG魚雷を三発撃つと、「ユニちゃん、ラムちゃん」と叫ぶ。
「当てる!」
ユニが巨大NG魚雷を発射し、「氷よ敵を死の棺に封じよ! アイスコフィン!」とラムが魔法を唱える。
ネプギアとユニの魚雷が同時にダゴンにヒットすると更にアイスコフィンで凍り付く。
カウンターヒットで合計9万近いのダメージを受けたダゴンは、「バカな! 水中で我が後れを取るだと」と驚きの表情を浮かべる。
「がんばってね」
ロムがネプギアにスピードアップの魔法を掛けると、ネプギアは推進機を最大稼働させてダゴンに接近していく。
「ぬっ」
ダゴンはネプギアの接近に身構える。
(……やっぱり見える)
ネプギアの脳裏には腕を振り下ろし、水かきでネプギアを斬り裂こうとするダゴンの姿が見えていた。
先程の体当たりも、ダゴンが水中潜って自分達を襲ってくるのも、ネプギアの脳裏に映っていた。
その為、ネプギアは冷静に対応が出来たのだ。
ネプギアがダゴンの攻撃範囲に入ると、先程の姿とまったく同じように、ダゴンがネプギアに向かって腕を振り下ろす。
しかし、ネプギアはダゴンが攻撃する前に回避行動を取っており、またもavoidの表示が出る前にM.P.B.LからNG魚雷を発射すると、「ユニちゃん、ラムちゃん、ロムちゃんも!」と仲間達に声を掛ける。
「いいタイミングよ!」
ユニがエクスマルチブラスターからビームを発射すると、「極寒の吹雪よ! 我が敵に永遠の死を与えよ! エターナルフォースブリザード!」とラムも魔法を唱え、「……氷の聖域よ嵐となりて敵を吹き飛ばせ……アイスサンクチュアリ
!」とロムも氷の竜巻を放つ。
ネプギアの放った魚雷が当たると次々に仲間達の攻撃も当たり、又もカウンターヒットで合計20万以上のダメージが当たり、ダゴンは吹き飛ばされて行く。
「ヒュー、冴えてるわね」
ユニがネプギアの素早い回避と指示に口笛を吹きながら感嘆すると、「すごいわ、ネプギア」とラムが喜び、「すごいすごい」とロムも嬉しそうに微笑む。
(相手の動きが読めるから、フレーム単位で反応出来てカウンターが入れられる)
ネプギアは自分のしたことに驚きを隠せない。
フレームとは1秒あたりの静止画枚数を表す数値で、現在のゲイムギョウ界では1フレームが60分の1秒となっている。
主に格闘ゲームでよく使われる表現で、上級ゲーマーは1フレーム単位の攻防を繰り広げており、彼等にとっては【光は遅すぎる】らしい。
ネプギアの頭の中に【ピピピピピピピピピピ】と機械音が響くと同時に視界に赤いアルファベットの文字が現れる。
(溺れてたお姉ちゃん達を見つけた時から、この音が鳴って表示が出ると、頭の中に予知のようなものが見える……)
ネプギアはそう考えながら、表示されているアルファベットを目を凝らして見る。
(GEAR SYSTEM……ギアシステム、私の名前……なに? 何のシステムなの?)
ネプギアがそう思った瞬間、それに答えるかのように、【Guilty Erase Achievement Rational System】と新しい文字が表示される。
(ギルティ、イレース、アチーブメント、ラショナル、システム……これはアクロニム? つまり、罪人の消去を合理的に達成するシステムと言うこと?)
続いて、ネプギアの脳裏に連続でカウンターを受けたダゴンが気絶している姿が映る。
ネプギアは、そこでギアシステムについて考えるの一旦止めて戦闘に集中する。
「みんな! 相手は気絶してるよ、集中攻撃!」
ネプギアが仲間達に指示を送りながら、吹き飛んでいるダゴンに接近していく。
「え?」
ユニが驚きの声を出す。
気絶状態は、基本的には相手の頭部などに周囲に幾つもの星マークが回転しているのを確認してから攻撃するのが基本となる。
特にHPの高いボスはその辺りの見極めが難しく、迂闊に手を出すと手痛い反撃を受けることになる。
「早く!」
ネプギアが急かす様に叫ぶと、「わかったわ!」とユニがNG魚雷を発射し、「フローズンドレッド!」とラムが氷塊を飛ばすと、「アイシクルトルネード!」とロムも氷の竜巻を放つ。
ダゴンが起き上がると、ネプギアの言う通り気絶状態になっていた。
先程の四女神のガーディアンフォースとネプギア達の連続攻撃の効果だ。
「ミラージュダンス!」
ダゴンが起き上がった瞬間にネプギアが連続斬りで斬り抜けると、同時に仲間達の攻撃が当たる。
水陸両用のプロセッサユニットには水中での動きをサポートするように、女神の動きと合わせて各プロセッサユニットの推進機が連動して動くので水中での格闘攻撃もも威力が減衰しない。
ネプギアは斬り抜けから素早く身を翻して、NG魚雷を連発して追撃をする。
「本当に気絶してた……」
ユニは驚きの声を上げながらも、次のNG魚雷を発射し、ロムとラムも攻撃を続ける。
ネプギアが次のNG魚雷を撃つと同時に、ネプギアの頭の中に【ピピピピピピピピピピ】と機械音が鳴り、GEAR SYSTEMの表示が映ると同時に、脳裏に三人の仲間の攻撃の軌道が見える。
(格闘戦で追撃が出来る)
ネプギアは自分が撃ったNG魚雷を追うように、ユニ達が集中攻撃しているダゴンに接近していく。
「ネプギア! 何してるの?」
ユニが驚きの声を上げ、「当たっちゃう!」とロムも叫び、「なんでなんでなんで?」とラムも困惑してしまう。
三人の目にはネプギアが仲間達の攻撃で自爆しに行っているように見えた。
ダゴンにネプギアの放った魚雷が当たる。
次の瞬間ネプギアは、「ルミナ・アージェント」とM.P.B.Lの素早い突きでダゴンを攻撃し、即座に離脱すると、ユニの魚雷がダゴンに命中する。その隙にまたネプギアが接近し、「ルミナ・アージェント」と突きを入れる。
ネプギアは後ろから迫って来るロムとラムの攻撃魔法を、背中に目が付いているかのように避ける。
更にロムとラムの攻撃魔法がダゴンに当たると同時に、「ギアナックルⅢ」と両手のパンチのラッシュに続けて回し蹴りを食らわせ、ノックバックでダゴンを吹き飛ばす。
「すごい……何なの今のネプギア」
ユニが驚きの声を上げると同時に、ダゴンに合計50万以上のダメージが当たり、ダゴンは吹き飛んで行く。
「すごーい! ネプギア、カッコイイ!」
ラムが喜びの声を上げると、「ネプギアちゃん、素敵だよ」とロムが尊敬の眼差しでネプギアを見る。
(私達とお姉ちゃん達が集めたデータが敵の攻撃を先読みしたの? でも、私、Nギアにそんな機能は付けてない。それにお姉ちゃん達を見つけられたし、ユニちゃん達の攻撃も見えた……)
ネプギアは今まで脳裏に浮かんだ、GEAR SYSTEMの表示と共に現れる予知に近い予測について考えを巡らせていたが、また機械音と共にネプギアの視界に、GEAR SYSTEMの文字が映ると同時に脳裏に映像が映る。
ネプギアが見たものは、ダゴンが激しく両腕を動かし大規模な渦潮を作る光景だった。
ゲイムギョウ界ではメイルシュトロームと呼ばれる水属性の大技だ。
メイルシュトロームに巻き込まれて大ダメージを受けるネプギア達。
更にダゴンが渦潮に自分の鱗を乗せて、女神候補生達を斬り裂く。
意識を失ったネプギア達はダゴンに捕らわれてしまう。
「うっ……」
自分達が負ける光景を見たネプギアは悪寒を感じると、「はぁはぁはぁ……」と大量の汗と共に荒い呼吸をする。
(今まで、このギアシステムの予測は全て当たっている……。それじゃあ、負けちゃうの私?)
ネプギアが絶望的な気持ちに陥ると、出撃前にイストワールに言われた言葉を思い出す。
(絶望的な状況でも決して諦めてはいけません。ネプギアさんが何かを守りたいという強い意思を持っていれば必ず道は開けます。ネプギアさんが望む未来を掴み取って下さい)
イストワールに言われた言葉でネプギアは気を持ち直すと、(そう、いーすんさんと約束したの。諦めないって、私はみんなを守りたい。何か、何か別の方法がある筈! ギアシステム、私の想いに応えて!!)
ネプギアがそう強く願うと、再び【ピピピピピピピピピピ】と機械音が鳴り、GEAR SYSTEMの表示が映ると、さっきとは別の光景が見える。
ネプテューヌ達を呼んで全員でダゴンの腕を集中攻撃して、メイルシュトロームを止めるネプギア。
仲間と共に急浮上してメイルシュトロームから逃れるネプギア。
(これは……?)
ネプギアはその光景について考えようとするが、(ううん、悩んでる時間なんて無い。ダゴンをここで逃がしたらゲイムギョウ界の人達や人魚が危ない!)ネプギアは強い決意を込めた瞳でダゴンを見る。
今まで脳裏に浮かんだ光景を見ていたのは数秒にも満たなかったらしく、ダゴンはまだギアナックルⅢのノックバック攻撃を受けて吹き飛ばされている状態だった。
「みんな、ダゴンの右腕を集中攻撃して!」
ネプギアはそう叫ぶと、推進機を最大稼働させてダゴンの右腕に接近していく。
ユニは今のネプギアの神がかり的な行動を信じて、「右腕にウィークネスバレットを撃つわ」とエクスマルチブラスターを構えてレティクルをダゴンの右腕に合わせると弾を発射し、ダゴンの右腕にウィークネスバレットの模様が付く。
ロムとラムも「「……水と氷の精を……その力を合わせ蒼き螺旋となれ……」」と合体魔法の詠唱を始める。
「お姉ちゃん、援護お願い。二手に分かれて交代でダゴンの左腕を集中攻撃して!」
ネプギアがネプテューヌに通信を送ると海上で待機していたネプテューヌが、「ノワール、海に潜るわよ。潜ったらダゴンの左腕に集中攻撃! ブランとベールはわたし達が息継ぎで上がってきたら交代で潜って!」と叫びながら海に潜って行く。
「どういうことなの? 待つとか言ったり、潜って左腕を攻撃しろだなんて……」
ノワールは困惑の表情を浮かべるが、「ノワール、今はネプテューヌの言う通りにしましょう」とベールが言うと「さっさと行ってこい」と続けてブランがノワールの背中を叩くと、「ああもう、何でこうなるのよ」とノワールはしぶしぶと海に潜る。
***
ダゴンは気絶から回復すると、目の前の状況に驚きを隠せなかった。
「フォーミュラーエッジ!」
ネプギアがダゴンの右腕を切り裂くと、同時にユニのNG魚雷が飛んでくる。
「「ブルースパイラル!!」」
ロムとラムが魔法の詠唱を終えると、二人の両手から巨大な水流が巻き起こる。
水流はダゴンの右腕に当たると、当たった部分を凍り付かせる。
【ブルースパイラル】は水と氷の合体魔法で激しい水流で攻撃した後に凍結させる。
「うぐっ……」
女神候補生の連携攻撃とウィークネスバレットの効果で30万以上のダメージを受けたダゴンは痛みを堪えながらも左腕に目をやる。
(クリティカルエッジ)
そこにはネプテューヌが左腕を連続で斬りつけ、ノワールが、(レイシーズダンス)とサマーソルトキックからの斬撃の連続攻撃で連携攻撃を仕掛けて来る。
二人の連携で、ダゴンは15万以上ダメージを受ける。
水陸両用のプロセッサユニットを装備せずに水中で威力が減衰しているにも関わらず、ネプテューヌとノワールの攻撃は強烈であった。
(腕を集中攻撃だと……。メイルシュトロームを読んでいた? まさか、まだ一度も見せていない技なんだぞ)
ダゴンはそう思うと同時に、「くそっ、離れろ!」と言いながら両腕を左右に振り回すが、ネプギアとネプテューヌとノワールの三人はそれをひらりと避ける。
それと同時にユニとロムとラムの魚雷と魔法が飛んで来てダゴンの右腕に当たると、20万以上のダメージが当たる。
(ちいっ、こうなったら、無理無理にでもメイルシュトロームを起こしてやる)
ダゴンがそう思うと同時に、ネプギアの頭にギアシステムの機械音が鳴り、システム表示が浮かび上がると、脳裏に光景がよぎる。
ネプギアが見たものは、ダゴンが強引に腕を回してメイルシュトロームを発生させる光景だった。
ネプギアとネプテューヌにノワールもメイルシュトロームに巻き込まれている。
(違う。ギアシステム、この未来を止める方法を教えて!)
ネプギアがその光景を見ている途中で強く願うと、メイルシュトロームに巻き込まれている自分たちの光景が消えた。
すると、ギアシステムが機械音と共に別の光景を見せてくる。
(これなら!)
ネプギアはそう思った瞬間、「ノワールさん、敵の腕を回させないで下さい。腕を動かしたら防御で妨害して回転を止めて下さい」とNギア経由でノワールに同化しているU.N.Iに通信を送る。
(わかったわ!)
ノワールは了解すると、ネプギアに見えるようにOKのハンドサインを作る。
「くらえぃ! メイルシュトローム」
ダゴンが叫びながら縦に腕を動かすが、腕を振り下ろしたところで止まってしまう。
右手にはネプギアが防御の魔法陣で、左手にはノワールが大剣でそれぞれ防御をして、ダゴンの腕の動きを止めているのだ。
ネプギアとノワールは400近いダメージを受けるがHPゲージの減少は二割にも満たず平然として、ダゴンの腕はヒットストップの効果で停止した上に、更にネプギアとノワールはダゴンの腕を動かせまいと押し返している。
【ヒットストップ】とは攻撃が当たった時に起こる、攻撃側と防御側が互いの動作が停止している時間のこと。
ヒットストップの最中に、ネプテューヌやユニ達の援護が入り、ダゴンはカウンターで合計30万近いのダメージを受ける。
「なぜ!?」
ダゴンは慌てて逆回転しようとするが、腕を胸の高さまで上げる前に、ネプギアとノワールが追いついて同じように防御してダゴンの腕を止めてしまう。
ネプギアとノワールは先程と同じように400近いダメージを受けるが、それでもまだHPは七割も残っている。
更に先程と同じように、ユニ達の援護攻撃が入り、カウンターヒットで合計30万近いのダメージが当たると、ウィークネスバレットが時間切れのようで左手の模様が消えてしまう。
「くっ!」
ダゴンは腕を引っ込めると、今度は腕を横に回そうとするが、両腕を開いた瞬間にネプギアとノワールに防御で止められてしまう。
ネプギアとノワールのHPは五割近くになるが、まだ余裕はある。
更に今度も援護攻撃が入り、カウンターヒットでダゴンに合計30万近いのダメージを与える。
「ロムちゃん、ノワールさんのHPを回復して。お姉ちゃんは海を出てブランさんと交代。ノワールさんはブランさんが来たら防御役を交代して海を出てベールさんと交代して下さい」
ネプギアがNギアを通して各女神の携帯ゲーム機に連絡を送ると、(なんなのこの子、さっきから的確な指示をしてくる上に、私達の息継ぎのタイミングまで把握してる)とノワールは驚きを隠せない。
ノワールがそう思っている間に、「なおしてあげる」とロムがノワールのHPを回復し、ネプテューヌは海上に向かって昇って行き、更にネプギアが、「ハイヒール」と自分のHPを回復すると、ネプギアとノワールHPは満タンになる。
「こっ、こっ、こっ、このぉーーーーーー!」
ダゴンが怒りに任せて、右腕でネプギアを殴ろうとする。
海中での戦闘に絶対的な自信を持っていたダゴンだが、やる事なす事全て失敗に終わり、ネプギア達に手玉に取られたことで怒りが爆発したようだ。
ダゴンのこぶしがネプギアに迫る瞬間、またギアシステムが表示される。
ネプギアはギアシステムの見せた光景に頷く。
「女神フリッグの盟約に従い万物から護る聖なる盾を!」
ネプギアはそう言いながら同時に左手を高く上げると、「ユニバース・キャンセラー!」と叫ぶ。
同時にネプギアを守るように透明な球状の物体が現れる。
ダゴンのこぶしが球状の物体にぶつかると、ダゴンの右腕は止まってしまい、同時にネプギアにimpossibleの表示が現れる。
「ぐぐぐぐ……先程の不可解な力か」
ダゴンが悔しそうに唸る。
(ギアシステムが教えてくれたこの力、ユニバース・キャンセラー。私の力に応じてダメージを軽減するバリアを展開する。今は2000まで軽減するから、相当のことがない限り破られない筈)
先程のギアシステムは、このユニバース・キャンセラーの使い方をネプギアに教えたのだ。
(ギアシステムもそうだけど、何で突然こんな力が……)
ネプギアが自分に訪れた変化に戸惑っていると、ノワールもユニもロムもラムも驚きを隠せない顔でネプギアを見つめていた。
しかし、ネプギアが戸惑っている間にも、ギアシステムから次の光景が映される。
「Gビット!」
ネプギアは素早くGビットを発射する。
Gビットも水陸両用型になっており、水中専用の推進機で移動する。
「ならば、こっちの女だ!」
ダゴンが今度は左腕でノワールに裏拳を仕掛ける。
(くっ、避けられない……)
ネプギアに気を取られていたノワールは僅かに反応が遅れてしまう。
「Gビット、ノワールさんを守って!」
ネプギアの指示と同時に、Gビットはノワールを守るようにピンク色に光るピラミッドのバリアを形成する。
ダゴンのこぶしが当たるとバリアは砕けてしまうが、バリアに当たった一瞬のヒットストップで、ノワールは大剣で防御の構えを作り、更にバリアによって減衰されたダゴンの攻撃はノワールに247のダメージしか当たらなかった。
ギアシステムがネプギアに見せたのはノワールが裏拳で吹き飛ばされている光景で、それを止めるためにネプギアはGビットをノワールに向けて飛ばしたのだ。
「ことごとく、ことごとく、貴様らああああああ!!!」
先程から何もかも上手く行かないダゴンは怒りの叫びを上げるが、同時に、(うるせえ!)とネプテューヌと交代してきたブランがダゴンの頭目掛けて戦斧を振り下ろす。
それを皮切りにユニ達から援護攻撃が飛んで来て、ダゴンに合計で15万近いダメージが当たる。
(ノワール、交代だ)
ブランはノワールの肩を掴むと、左手の人差し指で海上を指差す。
(ええ……)
ノワールは頷くと、チラリとネプギアの方を見て海上に向かって泳いで行く。
「ブランさん、ダゴンの左腕を回させないで下さい」
ネプギアがブランに通信を送ると、(ネプテューヌから話は聞いてる。奴の腕は絶対に回せねぇ)ブランはそう思いながら、OKのハンドサインを作りながら頷く。
「ぷはっ!」
海面から空に出たノワールが、「はぁはぁはぁ……」と荒い呼吸をしていると、「それでは行きますわ」と交代でベールが海に潜って行く。
「……ネプテューヌ」
ノワールは息を整えると、ネプテューヌの方をジロリと見る。
「なにかしら?」
ネプテューヌがいつもの冷静な態度で返事をすると、「あの子に何が起きてるの?」とノワールが質問するが、「あの子って?」とネプテューヌは不思議そうに尋ねる。
「とぼけないで! ネプギアのことよ、今のあの子変よ。あの子本当にあなたの妹なの? それともプラネテューヌはあの子に何かしたの? 私はあの子に少なからず借りがあるわ、変な事してたら承知しないわよ」
ノワールは早口にまくし立てるとネプテューヌを睨みつける。
彼女は海中でのネプギアの驚くほどの活躍に、驚きと違和感を感じていた。
それをネプテューヌに問い詰めているのだ。
「あの子はわたしの大切な妹よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
ネプテューヌは落ち着いた声で言うと、話は終わりと言わんがばかりにノワールに背を向けてしまう。
***
その頃、イストワール達の居るヘリコプターにはアイエフ達と人魚達が帰還してヘリコプターで持ってきた救援物資で治療を受けていた。
「人間が私達にここまでしてくれるなんて……少し考え方を改めなくてはいけないわね」
ルルドが静かに呟く、彼女の目にはアイエフや教祖達が、がすとの空飛ぶホウキでヘリコプターから救援物資を下ろして人魚達を治療している姿が映されていた。
「これがネプギア達、女神候補生の力かもしれないわね。彼女達は純粋に何の見返りも求めず、ゲイムギョウ界の平和を願っているわ」
ルルドの隣にいたビィトリットが彼女の呟きに答えると、「若くて、向こう見ずな子だとは思ったけど、私がここまで心を動かされるなんて思わなかったわ」とルルドが言う。
「新しい時代を作るのは私達のような老人ではなく、あの子達のような若い子達なのかもしれないわね」
ビィトリットがそう言うと、側に浮いていたイストワールが、「ですが、ネプギアさん達はまだまだ未熟なところがあります。私達の手助けが必要なのです」と答える。
「そうね。若者と老人が支え合ってより良いゲイムギョウ界が出来るといいわね」
ビィトリットがイストワールの言葉に応えると、「私もそうありたいと思うわ。他の人魚達もきっと同じ気持ちよ」とルルドも応える。
「ありがとうござ……」
イストワールがそこまで言うと、「うっ……」と頭を押さえて俯いてしまう。
「大丈夫? さっきから苦しそうだけど」
ビィトリットが心配そうにイストワールの顔を覗き込む。
「大丈夫です……」
イストワールは顔を上げて、「今の私がネプギアさんにしてあげられることはこれしかありませんから……」と呟く。
***
ネプギア達はダゴンとの海中戦を続けていた。
四女神は何度か交代しつつ、今はブランとベールが女神候補生達と一緒に戦っている。
「エネミーの最大HPは約7000万。現在の総ダメージは6654万325です」
ネプギアの耳にNギアからの機械音声が聞こえて来る。
ネプギアはNギアの通信で、「もう少し、みんな頑張って」と声を掛けると、「ええ、このまま一気に決めましょう」とユニが、「うん、頑張る」とロムが、「ガンガンいくわよ」とラムが、生き生きと返事をする。
「ブランさん、ベールさんに援護防御を!」
ネプギアが通信を入れた瞬間、(まかせろ)とブランがベールの前に立つと、ダゴンがベールに向けて放った鉄砲水が飛んでくる。
ブランは戦斧を盾にすると、(ドンピシャだぜ!)と鉄砲水を防ぎ、1021のダメージを受けると蓄積していたダメージと合わせてHPゲージが残り四割になるが、即座にネプギアが「ハイヒール」と唱えるとHPが回復する。
(流石はわたくしのネプギアちゃん、素晴らしい読みですわ)
ベールは微笑みながら、心の中でもネプギアを自分の妹だとアピールしつつ賞賛するが、ブランは、(なんなんだ、当たり過ぎて正直気味悪いぜ。先読みとか勘ってレベルじゃねぇだろコレ)と不思議そうな顔をする。
「反撃開始」
ユニが号令と共に、NG魚雷を発射すると、ラムが、「ロムちゃん、ダブルアイスコフィンよ」と言うと、ロムが「うん、行くね」と言うと、「「……氷よ敵を死の棺に封じよ……アイスコフィン」」と二人同時にアイスコフィンを放ちダゴンを凍らせる。
更にHP回復を終えた、ネプギア、ブラン、ベールも攻撃に加わって来る。
「ぜぃぜぃぜぃ……」
ダゴンは激しいエラ呼吸をしながら、鉄砲水を撃った隙を突いて攻撃を繰り返すネプギア達を忌々し気に眺めている。
既にダゴンのHPは残り三百万を切っており、ガッツが発動してパワーもスピードも上がっているのだが、ネプギアがギアシステムでダゴンの行動をことごとく先読みして、的確な指示を繰り返してパワーアップしたダゴンをも翻弄していた。
「くそっ……水柱の連続でスタミナを使い過ぎたか」
ダゴンが悔しそうに呟く。
四女神と対峙した時に使った水柱攻撃の連続でダゴンは大量のスタミナを消費していた。
更に、一発逆転を狙ったメイルシュトロームもことごとく防がれ、無駄にスタミナを消費し続けたダゴンは攻撃も防御もままならない。
その間にもネプギア達の攻撃は続き、合計で20万以上のダメージを受けたダゴンは撤退を考え始めていた。
「みんな退路を塞いで。ダゴンを逃がしちゃダメだよ」
ネプギアの指示と共に、「了解!」とユニがダゴンの退路に連続射撃で威嚇すると、「……強き風よ……その力で敵を引きちぎれ……」とラムが詠唱を始め、「……氷の檻よ永久の投獄を与えたまえ……」とロムも詠唱を始める。
ネプギアも威嚇射撃で、ダゴンの逃げ道を次々と攻撃する。
「ぬぬぬ……逃げられんと言うのか」
逃げようとしていたダゴンは、先手を打たれて悔しそうに唸ると、ブランとベールがダゴンの前後を挟む。
「ならば!」
ダゴンはメイルシュトロームの構えを取るが、「ブラフです。もうメイルシュトロームは使えません。逃がさないことだけ考えて下さい」とネプギアが冷静に通信を入れる。
(ハッタリなんざ入れてんじゃねぇぞオラァ!)
ブランが目を真っ赤にしてダゴンに正面から接近すると戦斧を振り上げて、(ゲッターラヴィーネ!)と戦斧を振り下ろして斬り裂くと、(こうなると哀れですわね)とベールも背後から接近し、(レイニーナトナビュラ)と槍の連続突きを食らわせる。
更に詠唱を終えたラムが、「ストロングゲイル!」と言って杖をダゴンに向けると、激しい突風が水流となってダゴンに襲い掛かる。
【ストロングゲイル】は風属性の攻撃魔法で、突風でダメージを与えつつ行動を制限する、ウィンドストームの魔法版のようなものだ。
「逃がさないよ。フリジットプリズン」
今度はロムが詠唱を終えて杖から魔法を放つと、ダゴンは合計で15万ダメージを受けると、最後のフリジットプリズンで氷に包まれて凍結し動きが止まる。
「ブランさん、ベールさん、今のうちに海上に上がって、お姉ちゃん達と一緒にネクストフォームに変身して下さい。凍結が解け次第、ウィークネスバレットからのスペリオルアンジェラスとネクストフォームの必殺技で一気に決めます」
ネプギアがそう言うと、ブランとベールが頷いて海上に昇って行く。
「ようやく終わりね」
ユニが少しほっとしたように言うが、彼女の目には凍り付いたダゴンを逃さまいとレティクルに捉えて【lock on】の状態をキープしていた。
「かなり手強かったけど、わたし達の勝ちだね」
ロムが嬉しそうに言うと、「後はわたし達とお姉ちゃん達の必殺技で豪快に倒すだけよ!」とラムが言うと、凍り付いたダゴンを指差して、「お前はもう死んでいる!」とカッコよく言い放つ。
「「ぷはっ!」」
海面から出たブランとベールは大きく息を吐くと、「お前等、ネクストフォームだ。一気に決めるぞ」とブランが、「急いでくださいまし」とベールが、ネプテューヌとノワールに声を掛ける。
「よし、苦労させられた分派手に葬ってやるわ」
ノワールは右手のこぶしで左手の手のひらを叩くと、「こんな長時間変身していた上にネクストフォームか、ネプギアも人使いが荒いわね」とネプテューヌが言うが、「「「お前が言うな」」」と即座に三人にツッコミを受けてしまう。
確かに、毎日ダラダラ過ごして雑用どころか仕事までネプギアにやらせているネプテューヌが言えることではないだろう。
「それより、ネクストフォームで合体技やらない。わたし、考えてきたのよ」
ネプテューヌがそう言うと、Nギアの通信機能で三人に合体技の詳細を送る。
「「「インフィニットナナメブラスター次元一閃??」」
三人が不可思議な顔を浮かべる。
ベールは渋い顔で、「ネプテューヌらしいネーミングセンスですわね」と言うと、「つーか、名前繋げただけだろコレ」とブランが呆れ、「それに私達の必殺技を順々に撃つだけじゃない」とノワールも不満そうだ。
「そこはイイ感じに連携してダメージ効率を上げるのよ」
ネプテューヌは自信満々に言うが、「そんなフワっとした表現で何とかなるの?」とノワールが腕組みするが、「まぁ、もう勝ったも同然だし、物は試しでやってみるか」とブランが賛成する。
「どちらにしろ、早くネクストフォームに変身しましょう」
ベールがそう言うと、同時に辺りが暗くなる。
「なにごと!」
ネプテューヌが慌てて戦闘態勢を取る。
ダゴンとの戦いは長時間に渡ったが、今はまだ午後三時頃、しかも夏のこの季節に暗くなることはまずない。
「何か、来る……」
ノワールも戦闘態勢に入りながら上空を見上げる。
「キィィィィィィィィィ!!」
空からガラスを引っ掻くような声が聞こえて来る。
「なんですの? このガラスを引っ掻くような不快な叫び声は!?」
ベールが顔をしかめると、「来るぜ。ぬかるなよ」とブランが言うと同時に空から成人男性ぐらいの大きさの鳥のような生き物が大量に振って来る。
その数はざっと百匹以上は居るように見えた。
「なにこれ? 馬鳥?」
ノワールが不思議そうに言う。
ノワールの言う通り、鳥のようだが顔は馬に似ていた。
「その割にはグロいぜコイツ等」
ブランがノワールに答える。
似てるには馬のような鳥というところだけで、羽はコウモリのようだしツルツルとした鱗が体中にびっしりと付いていた。
「敵であることには変わりありませんわ」
ベールが不気味な鳥の攻撃を避けながらカウンター攻撃を入れる。
「あのデカいのがボスね」
ネプテューヌの視線の先には他の鳥と姿は同じだが、象ほどの大きさがある鳥が飛んでいた。
「お姉ちゃん、どうしたの? ダゴンの凍結が解けちゃたよ。今は何とか逃がさないようにしてるけど……」
ネプギアからネプテューヌに通信が入ると、「敵の増援が来たわ。百匹以上いるから、直ぐには向かえないわ。そっちはそっちで何とかして」とネプテューヌがネプギアに答える。
今のネプギアならダゴンを抑えるもの難しくないとの判断だ。
「うん、分かった。やってみる。お姉ちゃんも気を付けてね」
ネプギアがそう言って通信を切ると、ネプテューヌは驚くべき物を目にした。
不気味な鳥が次々と海中に潜って行くのである。
「鳥の癖に水の中に潜れるの?」
ノワールが驚くと、「ぼやぼやしてる場合ではありませんわ。敵の狙いは恐らくダゴンを逃がすこと」とベールが言う、「あんな面倒くせえHPオバケと何度も戦えるかよ。追うぞ」とブランが追おうとする。
「そうは行かないみたいね」
ネプテューヌがそう言うと同時に大型の鳥が急降下して来て、「キィィィィィィィィィ」と四女神を威嚇する。
「くっ……ここまで来て」
ノワールが悔しそうに唇を噛むと、「半分以上潜って行ったぞ。ロムとラムは大丈夫なのか?」とブランが焦りの声を上げる。
「わたくしが抑えますわ。みなさんは妹達を助けに行って下さいまし」
ベールはそう言うと右手の槍を一回転させて、巨大な鳥に穂先を向ける。
「すまねぇ!」
ブランが海に潜ると、「恩に着るわ」とノワールがそれに続き、「無理はしないで」とネプテューヌが海に潜る。
***
海中では女神候補生達が思わぬ増援で苦戦を強いられていた。
大量の敵の前で、ロムとラムは分断されて、ネプギアはそれを守るように不気味な鳥の前に立ちはだかり、ユニは一人でダゴンの足止めをしていた。
「なんなのよー、数が多い上に素早いわ」
ラムが撃った氷塊が不気味な鳥に避けられてしまう。
「ネプギアちゃん、危ない!」
ロムが声を上げると、ネプギアは不気味な鳥四匹に囲まれていた。
不気味な鳥は一斉にネプギアに攻撃を仕掛けるが、「ユニバース・キャンセラー!」とネプギアが左手を上げると球状のバリアが現れ、鳥たちはバリアに弾かれる。
ネプギアは左手を上げたままの状態で、「バーチャストライダー!」と叫ぶと、ネプギアの足元に巨大な薄紫色の魔法陣が現れ、魔法陣から薄紫色の光の柱が立つ。
「ギヤァァァァァァ!」
ユニバース・キャンセラーで弾かれた不気味な鳥達はバーチャストライダーでカウンター攻撃を受け45000以上のダメージを受けて吹き飛んで行く。
【バーチャストライダー】は主に包囲された時に使う全方位攻撃。
ネプギアが不気味な鳥を吹き飛ばすと同時に、ネプテューヌ達が救援に駆け付ける。
ネプテューヌはネプギアを見ながらダゴンを追うようにと指差すと、ネプギアは頷いてダゴンの方に向かって行く。
ネプギアはロムとラムをネプテューヌ達に任せてダゴンを追う。
「フハハハハハ! ご苦労だったシャンタク鳥。お前等の主人にダゴンが感謝していたと伝えておけい」
ダゴンは高笑いをしながら逃げようとする。
「逃がさないわ!」
ユニは威嚇射撃を二発放つと、エクスマルチブラスターの射撃でダゴンを撃ち抜く。
「ぐわっ! 覚えておけよ……」
ダゴンは49871ダメージを受けながらも必死に逃げようとする。
「くっ、アタシ一人じゃ抑えられない……」
ユニが悔しそうに言うと同時に、「ユニちゃん、諦めないで。ダゴンの動きを少しでも鈍らせて!」とネプギアから通信が入ると、推進機を全開で飛ばして来たネプギアがダゴンの前に立ちはだかる。
「また、貴様か小娘」
ダゴンは忌々しそうにネプギアを見ると、ネプギアは、「あなたを逃がすわけには行きません」と言うと、左手をダゴンに向けて、「……地の底に眠る重き枷よ……敵の動きを封じよ……グリージータッチ」と魔法を発動する。
ダゴンに向けて黒い物体が飛んでいき、ダゴンの右手の水かきに張り付く。
「なんだこれは、くそ、ネバネバする……」
ダゴンが困惑してると、ネプギアは続けて右手のM.P.B.Lで、「クレイショット!」と言うと白い弾が三発飛んで行き、ダゴンの左手の水かきに当たるとトリモチのように張り付く。
「ちぃ、これもか……」
ダゴンが鬱陶しそうに手に付いた黒と白の物体を剥がそうとするが、なかなか上手く行かないようだ。
【グリージータッチ】は強力なコールタールに似た性質を持つ油を飛ばして、瞬時に固めることで敵の動きを制限する地属性の魔法。
【クレイショット】は強力な粘着榴弾を飛ばし、グリージータッチと同じように敵の行動の制限をする弾。
「了解!」
ユニはネプギアの言うことを理解したらしく、ネプギアと同じようにクレイショットを連発し、ダゴンの足の水かきに張り付ける。
ネプギアとユニは姉達の援護をする為に、水陸両用のプロセッサユニットに変更する時に殺傷能力は無いが相手の動きを鈍らせるこの弾をポーチに入れて来たのだ。
「ぬおっ!」
水かきに異物を張り付けられたダゴンは、上手く泳げず思わずバランスを崩してしまう。
その間にネプギアは、「……闇の監視者よ……敵の動きを監視せよ……」と魔法の詠唱をしており、詠唱が終わると、「ファントムシージー!」と魔法を発動する。
すると、ダゴンの周囲に大量の幽霊が現れてダゴンの周囲を飛び回る。
「なんだコイツ等は……」
幽霊たちはダゴンに付きまといつつ、進路を妨害したりして邪魔をする。
【ファントムシージー】は幽霊を召喚して、敵の監視と妨害をさせる闇属性の魔法、ダメージは与えられないが長時間に渡って追跡と妨害をする。
「まだまだ当てるわよ」
ユニは続けてクレイショットを放ち、ダゴンの尻尾と足を粘着物だらけにする。
更に、ネプギアが「……地と闇よ……女神ネプギアの名において命じる……敵の力を奪い取れ……」と更に魔法の詠唱を行っていた。
「ギアダウン!」
ネプギアが魔法を発動すると、黒い闇がダゴンを包む。
【ギアダウン】は全パラメータを下げる、ネプギアのオリジナルの地と闇のデバフ魔法。
「今度はコレよ。フリークアウト弾」
ユニが弾を装填すると、ダゴンの頭に向けて弾を撃つ。
弾が当たったダゴンは錯乱したように右往左往しはじめる。
【フリークアウト弾】とは幻覚効果のある弾を当てて、相手を混乱させる弾。
「キィィィィィィィィィ!!」
そこに、ダゴンからシャンタク鳥と呼ばれた鳥の集団が十数匹ネプギアに襲い掛かる。
流石のネプテューヌ達でも全ては抑えられなかったようだ。
「ユニちゃん、発信機弾」
ネプギアの声に、「わかってるわ」とユニが答えると、ダゴンの背中にレティクルを合わせて弾を発射する。
着弾を確認したユニは、「これでいつでも追跡できるし、あれだけ動きを鈍らせれば遠くには逃げられないはず」と言うと、「まずはこのキモい鳥を片付けるわよ」とネプギアに言う。
しかし、ネプギアは、「ユニちゃん、お姉ちゃん達と合流して敵を一か所に集めて。私にいい考えがあるの」と答える。
「……いい考えがあるって、失敗フラグじゃないの?」
ユニが疑わしそうに言うと、「だ、大丈夫だよ! それにその司令官のセリフは本当は成功フラグで、80%の成功率なんだから」とネプギアが必死に説明する。
「冗談よ。信じてるわ、ネプギア」
ユニは小悪魔のようにウィンクしながらそう言うと、推進機を動かしてシャンタク鳥を避けてネプテューヌ達の元に向かう、ネプギアは、「もぅ! ユニちゃんのいぢわる~」と不満そうに頬を膨らませる。
ネプギアは推進機全開で進み、シャンタク鳥を振り切ると海上に上がり、急いでNギアを操作するコンソールを宙に呼び出し、それを操作しはじめる。
ネプギアに振り切られたシャンタク鳥は追跡を諦め仲間の元に戻って行ったようだ。
「お願い、ギアシステム、私に力を貸して」
ネプギアはそう言いながらコンソールを操作すると、ギアシステムの起動音が鳴り表示が浮かび上がる。
「思った通り。これなら連絡できる」
ネプギアはそう言うと、コンソールの操作を続ける。
***
ここは超次元より遥か遠くに離れた別の次元。
緑の草原が広がっており、人々が平和に放牧をして暮らしていた。
その中で一際目立つ、黒いパーカーを着た女性が寝転がっていた。
「いやー。この次元もすっかり平和になったねー」
黒いパーカーを着た人物がのんびりと言うと、「わたし、また世界救っちゃったよー」と少し自慢げに言う。
「お前と一緒にいると、本当に面白くねぇよな」
そこに別の人物の声が聞こえて来る。
周囲には誰もいないが、「いい加減、俺を開放しろよ」と不満そうな声で続けて言う。
「だーめ。クロちゃんとわたしはズッ友なんだから、仲良くしようねー」
黒いパーカーを来た女性は【ねぷのーと】と書かれた本を開きながら話しかける。
「だから、俺とお前の楽しいは真逆だって何度言わせるんだ。いい加減に覚えろ、ネプテューヌ」
なんともう一人の声はねぷのーと、と書かれた本から聞こえてきているのだ。
更に黒いパーカーを着た女性をネプテューヌと呼んでいた。
黒いパーカーを着た女性が立ち上がると、「う~ん、今度はどこの次元に行こうかな~」と背伸びをしながら立ち上がる。
彼女はクロちゃんと呼ばれた本の声が言う通り、ネプテューヌにソックリだった。
背丈が高く後ろ髪が長いことを除けば、ほぼネプテューヌそのもの。
他の違いは服と脳波コンの色が黒く、履物がブーツというぐらいだ。
彼女が以前にネプギアが言っていた、【大きいお姉ちゃん】であるネプテューヌだ。
以前に、うずめを救う一件でネプギアと共に戦ったが、その後は別の次元に旅に出ていた。
ピピピピピ……
大きいネプテューヌの服から電子音が聞こえて来る。
「あれ? なんだろう?」
大きいネプテューヌが首を傾げると、「あれじゃねぇか。この前、ネプギアに貰った改造済みのNギア」とクロちゃんが答える。
「それだそれ」
大きいネプテューヌは思いついたように言うと、パーカーのポケットからNギアを取り出すと、「おおう、ネプギアから連絡だ」と嬉しそうに言う。
「おいおい、マジかよ。こっから超次元までどれだけ離れてると思ってるんだ? 仮に電波が届いたとしても、お前がココに居ることも知らないのに、どうやって次元座標を指定したんだよ」
クロちゃんは心底不思議そうな声を出すが、大きいネプテューヌは、「それはあれだよ。わたしとネプギアは姉妹ホットラインが繋がっているんだよ」と言うと通話機能をONにする。
「おーい、ネプギアー。お姉ちゃんだよー」
大きいネプテューヌが右手に持ったNギアに映ったネプギアの顔を見ながら左手を振って嬉しそうに言うと、「お姉ちゃん、お願い。私達を助けて」とネプギアが真剣な声で訴える。
「……何があったの?」
大きいネプテューヌは一瞬にして真剣な顔と声に変ると、「詳しくは後で説明させて。お姉ちゃんには私の送るメールの通りに行動して欲しいの」とネプギア言う。
「メール? 今探すね」
大きいネプテューヌはNギアを操作すると、「おい、俺にも見せろ」とクロちゃんが言うので、大きいネプテューヌは、「しょうがないなー」と言って、ねぷのーとから蝶の羽のような標本を剥がすと、イストワールのような妖精が現れる。
イストワールとの違いは、色黒で髪型はショートカット、黒くて露出の多いローブを着ており、座っている本も黒い。
「お前さ、どうしてココが分かったんだ?」
クロちゃんがNギアの画面のネプギアに尋ねると、「次元移動の際に起きる振動を追跡してきました」とネプギアが答えるが、「ありえねぇ。そんな僅かな痕跡追ってくるなんて、ティンダロスの猟犬かお前は?」とクロちゃんが驚きの声を上げる。
ネプギアは小首を傾げて、「ティンダロス?」と不思議そうに言うと、「気にすんな。こっちのことだ」とクロちゃんが答える。
「このメールだね」
大きいネプテューヌがメールを見つけて、それを開く。
「おい、なんだよこのハードスケジュールは? 俺を殺す気か?!」
メールを読んだクロちゃんは、Nギアの画面のネプギアに怒鳴るが、「超次元を守るためにどうしても必要なんです。お願いします、クロワールさん」と頭を下げる。
クロワールと言うのはクロちゃんの本名。本人が言うにはクロニクルのクロらしい。
「やーだね。何で俺が……」
クロワールがそこまで言いかけると、大きいネプテューヌは左手でクロワールを鷲掴みにする。
クロワールは、「ぐえっ!?」とカエルが潰れたような悲鳴を上げるが、大きいネプテューヌは気にも留めず、「だーいじょうぶ! まーかせて!」と右手に持ったNギアの画面に映るネプギアに笑顔を向ける。
「おい、勝手に決めんな。大体、お前の力じゃなくて、俺の力で次元移動するんだろ」
クロワールが鷲掴みにされながらも抗議をする。
クロワールには次元移動の力があり、大きいネプテューヌはそれを利用して、次元を又にかける昆虫ハンターとして様々な次元を旅しているのだ。
「ふーん、そんなこと言うと、ねぷのーとにしまっちゃうよ?」
大きいネプテューヌが口を尖らせて言うと、「ぐっ……」と鷲掴みにされたままのクロワールは気まずそうな顔をする。
ねぷのーとにはいろいろな物を標本にする力があり、標本にされた者はねぷのーとに力を吸われてしまう。
そして、ねぷのーとには標本にしたものの能力を行使する力があるので、力づくでクロワールをねぷのーとに貼り付ければ問題解決なのだ。
「さあ、悪い子は、どんどんしまっちゃおうねー」
更に大きいネプテューヌが楽しそうに追い打ちを掛けるように言うと、「ネプギアに協力してくれるなら、このまま外に出しててあげてもいいよ」と続けて言う。
クロワールが不機嫌そうな顔をするが、「ちぇっ、わかったよ」と渋々と了解する。
「ありがとう、クロちゃん」
大きいネプテューヌが嬉しそうに言うと鷲掴みにしたクロワールを開放する。
クロワールが、「ただし約束は守れよな」と念を押すと、「クロちゃんが悪いことしなければね」と大きいネプテューヌが答える。
「それと、もう一つクロワールさんにお願いがあるんですけど」
大きいネプテューヌとクロワールのやり取りを見てクロワールの事を少し気の毒に思ったネプギアが少し申し訳なさそうに言うと、「なんだよ。まだ何かあるのかよ?」とクロワールが不機嫌そうに答える。
***
ネプギアとクロワールが会話を終えると、「それじゃあ、お願い、お姉ちゃん」とネプギアが大きいネプテューヌにお願いをする。
「うん、待っててね、ネプギア。今、お姉ちゃんが助けてあげるよ」
大きいネプテューヌは頷きながら言うと、Nギアの通話機能をOFFにする。
「それじゃあ、行くぞ」
クロワールがそう言うと、大きいネプテューヌとクロワールの前にポッカリと大きな穴が開く。
これが次元を移動するゲートなのだ。
大きいネプテューヌはクロワールと一緒にゲートに入って行く。
***
ネプギアが大きいネプテューヌと通信している頃、ネプテューヌ達は一人海上に残ったベールと合流する為とネプギアの言った一か所に敵を集めるという指示の元に、海上に上がってシャンタク鳥の大群と戦闘を繰り広げていた。
「くっ……さっきからちょこまかと!」
ノワールがシャンタク鳥に向けて大剣を振り下ろすが、シャンタク鳥はひらりと旋回して回避してしまう。
「デスペラード!」
ノワールは素早く左手に銃を呼び出し三連射をすると、回避したシャンタク鳥に命中する。
「キィィィィィィィィィ!」
58321のダメージを受けたシャンタク鳥は悲鳴を上げるが、撃破は出来ずにそのまま上昇して行く。
「ちいっ、射撃だけじゃダメージが当たらないわ」
ノワールが悔しそうに言う。
シャンタク鳥は攻撃力と防御力はそれ程でもないがスピードと回避力が高く、四女神の得意とする近接攻撃がなかなか当たらずに時間だけが過ぎて行った。
「くそっ、逃げ回りやがって、やりにくいったらありゃしねぇえ」
ブランは戦斧を振り回すが、シャンタク鳥にはふわりと上昇して避けてしまう。
「避けんな!」
ブランは目を赤くして怒鳴りながら左手に銃を呼び出して射撃をするが、それも避けられてしまう。
「こいつ等とは相性が悪すぎんだよ!!!」
高速戦闘が苦手なブランは逃げ回るシャンタク鳥にかなりのストレスが溜まっているようだ。
「と、言ってもダゴンを追おうと背中見せれば襲ってくる……完全な時間稼ぎね」
ネプテューヌが冷静に分析しながら、シャンタク鳥との間合いを一瞬で詰めて太刀で切り裂くと、70125のダメージが当たって、「ギャアアアアア!」と悲鳴を上げてシャンタク鳥が消滅する。
シャンタク鳥のスピードが速いと言っても、ネプテューヌはそれ以上に速くシャンタク鳥を次々と仕留めて行ったが、一人では効率が悪く、ネプテューヌもスタミナも多い方ではないので休み休みの攻撃となってしまう。
「これではダゴンに逃げられてしまうわ」
スタミナの減ったネプテューヌが、スタミナを回復するためにシャンタク鳥を警戒しつつ低速移動しながら言う。
「捉えた!」
海面からユニがノワールの仕留め損なったシャンタク鳥をエクスマルチブラスターのビームで射撃する。
「キィィィ!?」
ビームの当たったシャンタク鳥は63125ダメージを受けて消滅する。
「アタシとネプギアで、移動妨害のクレイショットをかなり当てたから速くは泳げない筈です。それに発信機とネプギアの魔法とで二重に追跡してますから、まだ追えます」
ユニがU.N.Iのコンソールを呼び出して操作をすると、レーダーのホログラムが現れる。
ダゴンの反応を示す赤い点はそれほど遠くには離れていないが、ゆっくりと遠ざかっていた。
「けど、このペースじゃ確実に逃げられるわ」
ノワールが焦りながらも大剣でシャンタク鳥を切り裂き68,971のダメージを与えて消滅させる。
「ダゴンの野郎、こんな面倒な隠し玉残しやがって」
ブランがシャンタク鳥を追いながら忌々しそうに言うが、「こいつ等はダゴンの手下じゃないわ」とネプテューヌが言いながら、太刀でシャンタク鳥を切り裂いて70120ダメージを与えて消滅させる。
「確かに、出すタイミングが遅すぎるわね」
ノワールがネプテューヌの言うことに同意すると、「ダゴンはこいつ等をシャンタク鳥と呼び、【お前等の主人にダゴンが感謝していたと伝えておけ】、と言っていたわ」と言う。
「邪神にも別勢力がいるってことかよ」
ブランがそう言いながら、ようやく捉えたシャンタク鳥を戦斧で切り裂き、60051ダメージを与えて消滅させる。
「ベールはまだなの?」
ノワールが少し後ろに居るベールを見ながら言う。
「あのデカブツ達を追い払うので、かなりダメージを負ったからな」
ブランの言うように、一人で海上に残ったベールは大型のシャンタク鳥と残った手下と戦い、大型のシャンタク鳥は追い払ったが、その為にかなりのダメージを負ってしまったのだ。
「このっ! 近づくな!」
ベールを守るように立っているラムが氷の槍の弾幕を張ってシャンタク鳥を追い払う。
「ベールさん、しっかりして」
ベールの隣にいるロムが回復魔法をベールにかけている。
「くっ……不覚を取りましたわ」
ベールが苦しそうに息をしている。
一人で戦うには先手必勝で数を減らす。と判断したベールは超高速で大技を連発し、素早く大量のシャンタク鳥を仕留めたが、流石にその戦法も限界があり、ネプテューヌ達が戻って来た時には彼女はHPもスタミナも殆ど尽きていた。
(ネプギアはいい考えがあるって言ったけど、このままじゃ……)
ユニが不安を抑えながらもエクスマルチブラスターのビームでシャンタク鳥に62224のダメージを与え消滅させると、「みなさん、後退して下さい!」とネプギアから全女神に通信が入る。
「ああん!? いい考えがあるとか言っときながら逃げろだと!」
ブランがネプギアを威圧するように言うと、「やっぱり、いい考えって言うのはフラグなのかしら?」とノワールも少しガッカリした様子を見せる。
「みんな、ネプギアは逃げろじゃなくて、後退と言っているのよ。後退と逃亡は別物よ」
ネプテューヌはノワールとブランを諫めると、ネプギアの指示に従って後退をする。
「わかったわよ」
ノワールが渋々ながらにネプテューヌの後を追うと、「しょうがねぇ、信じてやるか」とブランもその後を追う。
ユニは海面を後退しながらも、ネプテューヌ達の背中を攻撃しようとするシャンタク鳥に威嚇射撃をする。
ベールもロムとラムに護衛されながら後方に後退して行く。
後退するネプテューヌ達を追うシャンタク鳥達は勢い付いて、「キィィィィィィィィィ!!」と勝ち誇ったような雄叫びを上げる。
「どこまで下がりゃいいんだよ……」
ブランが不満そうに呟くと、「このままじゃ本当にダゴンに逃げられるわよ」とノワールも不満そうに言う。
(……ネプギア、信じてるわ)
ユニは威嚇射撃をしながらもネプギアを信じていた。
その時、「今です! 一斉攻撃!!」とネプギアの叫びが聞こえると同時に、シャンタク鳥の真下の海面が盛り上がり大量の水柱が立ち上がる。
「カァァァァァァァ!!」
不意の水柱に貫かれたシャンタク鳥の群れが悲鳴を上げる。
回避力もスピードも高いシャンタク鳥だが、勢い付いて前進してた上に真下から奇襲されては回避のしようがなかったようだ。
更に、シャンタク鳥の群れがいる場所の前後左右の海面が盛り上がると、同時にシャンタク鳥に向けて何本もの水柱が襲い掛かる。
四方からの大量の水柱の砲撃には逃げ場は無く、シャンタク鳥の高い回避力も無意味となっていた。
「アグァァァァァ!!」
シャンタク鳥が絶叫を上げると同時に次々と消滅していく、「近接部隊、残った敵を海面に落として下さい」とネプギアが続けて叫ぶと、空飛ぶホウキに乗ったアイエフ達がシャンタク鳥を挟み込むように左右から現れる。
奇襲により恐慌状態に陥ったシャンタク鳥達は右往左往するだけで、アイエフ達の接近に攻めるも退くもできないようだ。
「落ちなさい!」
アイエフがホウキに乗りながらシャンタク鳥を海に蹴り落とす。
「キィィィィィィィ!」
シャンタク鳥が落ちた海面にはメイルシュトロームが発生しており、メイルシュトロームに飲まれたシャンタク鳥は消滅する。
「ごめんなさいです!」
コンパが注射器でシャンタク鳥を叩き落とし、「そおりゃ」とファミ通もエビでシャンタク鳥を落とすと「ていっ」とファルコムがドラゴンスレイヤーの刀身で、「えいっ」とゴッドイーターが神機の刀身でシャンタク鳥を落とす。
「邪悪死すべし」
ニトロプラスもシャンタク鳥を蹴り落とすと、「イチオシですの」とがすとが杖でシャンタク鳥を叩き落とし、「ビーシャキック!」とビーシャも「ジャスティスキック!」と日本一が続けてシャンタク鳥を蹴り落とす。
「ごめんねー」
更に大きいネプテューヌが、他の仲間と同じようにシャンタク鳥を海に蹴り落とす。
次々と落とされたシャンタク鳥は、まるで水洗トイレに流されるようにメイルシュトロームに飲み込まれて消滅していく。
百匹近く残っていたシャンタク鳥の群れが一分も経たずに一掃されると、「やったー! すごいわ。流石ネプギアだわ!」とラムが元気よく左手を上げて喜ぶと、「ネプギアちゃんのいい考えすごいね」とロムも嬉しそうに柏手を打つ。
メイルシュトロームが収まると、海面からネプギアが現れる。
海面に居たユニは急いでネプギアに近づくと、「やるじゃない、ネプギア」と右手の手のひらをネプギアに向けると、「みんなのおかだよ」とネプギアが右手で、ユニの手のひらをパシンと叩く。
「人魚のみなさん、ありがとうございます」
ネプギアが浮かんできた人魚達にお礼を言うと、「礼にはおよばないわ。人魚はあなた達と共に戦うと決めたのよ」とルルドが答え、「すごいわ。流石女神様」とシェリリが嬉しそうに答える。
シャンタク鳥を襲った水柱は、人魚達による集団の合体魔法ブルースパイラルの連射で、ネプギアの指示で海中に潜んでシャンタク鳥が指定ポイントに到達するのを待っていたのだ。
「なるほど、これがネプギアのいい考えか、可愛い顔してエグイ作戦思いつくな……」
上空からネプギア達を見ていたブランが少し複雑な表情で呟く。
「どうして、大きいわたしがココに?」
ネプテューヌは、空飛ぶホウキで宙返りして遊んでた大きいネプテューヌに近づき不思議そうに尋ねると、「その姿で大きいって言われると、違和感あるなー」と大きいネプテューヌが言うと、「ネプギアに呼ばれたんだ。助けてくれって」と続けて言う。
「それにこんな大量の伏兵どうやって配置したの?」
ネプテューヌが続けて質問すると、「そりゃ、俺とプラエってガキのおかげだよ」と大きいネプテューヌの側を飛んでいたクロワールが得意気に言う。
クロワールの次元移動能力は、次元移動だけでは無く同次元でのワープにも使える。
アイエフ達や人魚達はクロワールの作ったゲートを通ってネプギアの指示通りの配置に付いたのだ。
その一連の行動をプラエの時間操作で高速で行ったのだ。
(……あの鳥の群れが現れてから、30分も経ってないのよ。その間に作戦を立てて、大きいネプテューヌと連絡を取って人魚を配置したって言うの?)
ネプテューヌ達の話を聞いていたノワールは信じられない物を見る目で、ユニと喜び合っているネプギアを見る。
「そうだ! ダゴンを追わないと!」
ネプテューヌが思い出したかのように言うと、「そっちも心配ないよ。いやー、流石はわたし達の妹だよね」と大きいネプテューヌが嬉しそうに笑う。
「どういうこと?」
ネプテューヌが質問すると、「ネプギアの言う、【いい考え】って言うのはコレだけじゃないってことだよ」と大きいネプテューヌが言うと、「人畜無害そうな顔して人使いが荒いんだよアイツ」とクロワールが不満そうに言う。
「これなら、偉い人が軍師になってくれって三度もお願いしに来そうだよね」
大きいネプテューヌが気楽に言うと、「もっと具体的に……」とネプテューヌが言いかけるが、突然、ドシンと激しい爆発音と共に海面が大きく揺れる。
「おーおー、始まりやがったぜ。やり過ぎなきゃいいけどなアイツ等」
クロワールが楽しそうに言うと、「具体的には後で説明するよ。そろそろ、ヘリコプターが来るからそこで休んだ方がいいよ。大分疲れてるみたいだし、巨乳のお姉さんなんてボロボロじゃない」と大きいネプテューヌが言う。
「ダゴンの動きが止まってる?」
ネプテューヌと同じようにダゴンのことを思い出したユニがU.N.Iで呼び出したレーダーを見ながら不思議そうに言う。
「うん、暫くは大丈夫。……って言うか、私達の出番もう無いかもしれないけど、念の為、休憩してアイテム補給しよう」
ネプギアがユニの疑問に答えると、「アンタ、この短時間で何したの?」ユニが少し驚いた表情でネプギアを見るが、「いい考え、だよ」とネプギアはそれだけ答えて少し悪戯っぽくウィンクする。