新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
プラエと出会いファミ通の取材を受けてから約一週間。
G.C.2019年4月5日金曜日。
ネプギア達はプラネタワーの中で朝食をとっていた。
「ネプギアさん、良い報告があります」
その最中にイストワールがネプギアに朗報があると切り出すと、「なんですか?」ネプギアは箸を止めイストワールの話を聞く。
「先日、プラネテューヌのシェアが大きく上がりました」
イストワールの報告にネプギアが、「ホントですか!」と素直に喜びの声を上げる。
【シェア】とはシェアエネルギーの略称、主にこちらの呼び方で呼ばれることが多い。
ちなみによくグラフにされており、紫色がプラネテューヌ、黒がラステイション、白がルウィー、緑がリーンボックスで表される。
「諜報部の調査によると……」
イストワールが詳細を説明をしようとすると、一緒に食事をしていたネプテューヌが頬張っていたご飯を飲み込み、「いやー!わたしの溢れ出す魅力がゲイムギョウ界のみんなに伝わっちゃたかなー!」と口を挟む。
「私はネプギアさんとお話をしているんです。この件にネプテューヌさんは微塵も関係ありません」
この一週間もまったく仕事をしなかったネプテューヌに対してのイストワールの態度は手厳しい。
「私もネプテューヌ殿は関わっていないと思います」
あんみつも冷静にそう言うと、「ネプテューヌさん全然頑張ってない」とプラエもそれに続く。
ちなみにこの一週間で、プラエ達は引っ越しを済ませつつネプギアのクエストの手伝いをしていた。
先週のパイ投げの日のクエストも、後日にネプギアとプラエ達がこなした。
「えー! わたしも頑張ったよー!」
三人の塩対応を受けてもめげずに話を続けようとするネプテューヌだが、「何をです?」と問いかけるイストワールの態度は変わらず冷たい。顔も真顔である。
「ゲームとかー、おやつとかー、お昼寝とかー」
ネプテューヌは指折りしながらここ数日の自分の行動を振り返るが、「……お姉ちゃん、それ頑張りの方向が違うと思うよ……」とネプギアが苦笑いをしながらツッコミをする。
「……ですから、そんな余計なお肉が付いてしまったんですね」
イストワールは冷ややかにネプテューヌのほっぺたを見つける。
「え……わたし太った?」
ネプテューヌと言えど、女の子の端くれである。
太ったなどと言われては慌ててしまう。
女神は国民に愛される姿を維持できる不老不死の存在とは言え、食べるものを食べて運動しなければ太ってしまう。
女神の体もそこまで便利ではないのだ。
「そんなことないよね?」
周りに同意を求めるネプテューヌだが、プラエはご飯を口に入れ、あんみつは味噌汁をすすり、無言の圧力を加えてくる。
「ね! ね? ネプギア、お姉ちゃん太ってないよね?」
ネプテューヌは最後の頼みの綱であるネプギアに助けを求めようとするが、「ええと……」と困った表情のネプギア。
イストワールの言う通り、この最近でネプテューヌは控えめ見てもふくよかになっていた。
「私、太ったお姉ちゃんも好きだよ」
ウソの付けないネプギアの精一杯のフォロー。
「うわああああん!!」
不幸にもそれが痛烈な皮肉になってしまったようで、ネプテューヌは泣きながら洗面所に向かう。
「……ちょっと失敗しちゃったかな……」
困り顔で冷や汗を流すネプギアに対して、「ネプテューヌさんには、いい薬です」とイストワールは冷静だった。
更に、「右に同じく」とあんみつが続き、「プラエも右に同じなの」とプラエまでもが後に続く。
「きゃーーーー! わたしの魅惑のパーフェクトボディが~~!」
そして、洗面所で体重計に乗って現実を確認したネプテューヌの絶叫が響き渡る。
「……話の続きになりますが、調査によると昨日発売された雑誌の効果のようです」
何事もなかったように話を戻すイストワール。
「雑誌? どんな雑誌ですか」
ネプギアはイストワールの言う雑誌に興味を示すと、「これです。付箋の貼ってあるページを読んでみて下さい」とイストワールはそれを予測していたようなタイミングで雑誌を取り出す。
表紙にキツネのマスコットキャラクターが描かれている週刊誌のようだ。
「ええと……【頑張る女神候補生特集】……あ! これ、週刊ファミ通ですか!」
記事の内容からファミ通の書いた自分の記事だと察したネプギアは少し恥ずかしい気持ちになりながら文章に目を通す。
「え! 見せて見せて、プラエも見たい」
プラエが興味津々に席を立ってネプギアの隣に行って雑誌を覗き込む。
「ぷ、プラエ様、食事中ですよ。お行儀が悪いです」
あんみつは慌てて止めようとするが、「良いではないですか。あんみつさんもご一緒に見られては」とイストワールに仲介されると、「……イストワール殿がそう言うのでしたら」とあんみつも一緒になって雑誌を覗き込む。
「ネプギアさんの真面目さ、誠実さ、それに先日のクエストの活躍も好意的に紹介された良い内容だと思いますよ」
イストワールは率直に好意的な感想を述べる。
そこには先日のイストワールと一緒に行ったクエストの活躍の他にも、どこで聞きつけたのか午前中にした老婆の古時計を直した事やひよこ虫と戦った事まで書かれており、老婆やギルドの受付の男性達の好意的なインタビューも書かれていた。
「そ、そんなこと言われると、ちょっと恥ずかしいです」
恥ずかしさで顔を赤くするネプギアは、「でも、嬉しいな。こんなに良い記事書いて貰っていいのかな…」と続ける。
「現にネプギアさんはそれだけのお仕事をしているんです。正当な評価です。自信を持って下さい」
イストワールは微笑みながらネプギアを称賛する。
この記事の内容でシェアが大きく上がったのは間違いなく事実でった。
「……そんなに褒めないでください」
イストワールの褒め言葉で更に顔を赤くするネプギア。
「今日の午後からもファミ通さんの取材がありますから、一緒に頑張りましょう」
先日の取材の後、今度は実際にクエスト同行して取材したいと言うファミ通の要望を受け、今日の午後で約束をしているのである。
「はい! 頑張ります!」
元気よく返事をするネプギア。やる気満々である。
「プラエ様のことも書かれておりますね。【姉を探し求める謎の美少女】と」
あんみつがプラエの事が書いてある記事に目を通すと、「……プラエも少し恥ずかしいな……」とプラエも顔を赤くする。
「プラエちゃんの超能力のことどうしましょう? 私はファミ通さんなら話してもいいと思うんですけど」
ネプギアがそう言うと、「そうですね。隠し通せるものでもありませんし、機を見てお話ししましょうか」とイストワールが答える。
「大丈夫でしょうか?」
あんみつが不安そうに質問すると、「女神様の協力者なら、超能力が使えても不思議ではありませんよ。プラエさんが奇異の目で見られることはありません」とイストワールが答える。
「……でも、ちょっと怖い」
プラエがうつむいて両指をいじると、「大丈夫だよ。何があっても私が守るから」とネプギアが優しく右手でプラエの肩を叩く。
「うんっ!」
ネプギアの気持ちが嬉しかったのか、プラエは元気よく頷いて返事をする。
すると、「ネプギア~、お姉ちゃんの体重も守って~」とガックリとうなだれたネプテューヌが戻ってくる。
「えっと……、それならこれから一緒にクエスト行く?」
ネプギアはやや控えめに尋ねるが、ネプテューヌは即座に両手でバッテンを作ると、「それはパス!」と断固拒否の構えを取る。
太るのは嫌だが、仕事をするのはもっと嫌なようだ。
「もっと、楽に痩せられる方法プリーズ。ほら、お腹とかに張り付けて電気送るエイトパットだっけ? それ系のヤツ」
ネプテューヌは右手の人差し指を上げながらネプギアに提案するが、「あれは運動の補助で、寝ながら痩せられるとはちょっと違うと思うんだけど……」とネプギアが答える。
「えー? ポテトチップス食べながら痩せられるとか広告であったよ」
ネプテューヌが口を尖らせて抗議するが、「……それは模造品の過大広告だと思うよ」とネプギアが答える。
「電気を送るのでしたら、いっそのこと、数百億ボルト程流してみてはどうでしょうか?」
イストワールがにこやかな顔で提案をする。
さすがにこの期に及んで仕事を拒否するネプテューヌに怒りが沸いたようだ。
ちなみに雷ですら十億ボルトなので、イストワール怒りがいかに激しいものだとわかるだろう。
「そんな電流流されたら死んじゃうってば! いーすん怖いよ!」
ネプテューヌは顔を真っ青にして抗議するが、「お姉ちゃん、ボルトは電圧だよ。電流はアンペア」とネプギアのツッコミを受けてしまう。
「もうー、ネプギアは細かいなー。そういう科学の専門的な話はオタクに任せておけばいいの」
ネプテューヌがお手上げのポーズで【やれやれ】と言った感じで言うが、「お姉ちゃん、ボルトとアンペアは科学以前に理科の話だよ」とツッコミをされてしまう。
「そ、そーだっけ! とりあえず、お姉ちゃんはゲームしながら痩せられる方法を考えるから、ネプギアは頑張ってクエストして来てー」
ネプテューヌはそう言うと、そそくさと部屋を出て行ってしまう。
「うーん……もう少しでお姉ちゃんをクエストに連れて行けそうだったのにな」
ネプギアがあごに右手を当てながら残念そうに言うが、「気を落とさないで下さい。ネプテューヌさんのことですから、何かと理由を付けて行かなかったと思いますよ」とイストワールが言う。
更に、「右に同じく」とあんみつが続き、「プラエも右に同じなの」とプラエも後に続く。
この一週間で、プラエもあんみつもネプテューヌの行動パターンが大体分かってきたようだった。
ちなみに、ネプギアはクエストに向かう前にネプテューヌの様子を見に行ったが、そこには逆立ちして足でコントローラーを操作するネプテューヌの姿があった。
その方法で痩せられるかは疑問だが、その努力を少しでも仕事に回して欲しいと思うネプギアであった。
****
ネプギア達はファミ通と合流する為にクエストの現地である【サクラナミキ】へ向かう。
サクラナミキは名前の通り桜が咲き誇る観光名所である。
この季節になると、あちこちで開き始めそうな桜のつぼみが出来始めており、春の訪れを予感させている。
「ファミ通さーん」
ネプギアはサクラナミキの入り口にいたファミ通を見つけると右手を大きく振りながら声を掛ける。
それに気づいたファミ通は小さく右手を振り返す。
ネプギアがファミ通に駆け寄り、イストワール達もそれに付いて行く。
「ネプギア様、お待ちしておりました」
ファミ通はペコリと丁寧に頭を下げる。
「今日のクエストでもご活躍を期待していますよ」
頭を上げたファミ通は続けてそう言うと、にっこり笑いながらネプギアに期待の眼差しを送る。
「はい! 頑張ります」
ネプギアは力強くそう言うと同時に、「……その前に一つお願いがあるんですが……」と言って両手を胸の前で祈るように組んでファミ通を正面から見据える。
「なんでしょう?」
ファミ通はネプギアの改まった態度を不思議に思いながら問いかける。
「私に対して敬語は止めて貰えませんか?」
ネプギアは真剣な顔をしてファミ通にそうお願いすると、「なぜですか?」と心底不思議そうに首を傾げるファミ通。
候補生ではあるが、高貴な身分の女神に敬語を使うのは当然だと思っている為である。
「そういうのあまり得意じゃないし、ファミ通さんともっと打ち解けたいんです」
ネプギアの謙虚な性格からすると、敬語を使われるのは少しむずがゆいし、ネプギアは常に人と対等な立場で接したいと思っているのだ。
「わかったよ。ネプギア様は思ったよりフランクな人なんだね」
ファミ通は本来のものであろう口調に戻り、ニッコリと微笑みながらネプギアの要望に応える。
すると、「私にも特に敬語は必要ありません。私に敬語を使ってネプギアさんに使わないのも変ですし」イストワールも続けてファミ通に提案する。
「うん、わかったよ。よろしくね、イストワール様」
ファミ通はイストワールにも微笑みかけると、サムズアップを決める。
「では、今回のクエストの説明をします」
イストワールがそう言うと、何もないところにホログラム映像が浮かび上がる。
そこにはサクラナミキの地図と、シンプルな緑色のドット絵で描かれ黄色い角の生えた、世間一般でインベーダーと呼ばれる宇宙人のようなモンスターが映っていた。
これは【ベーダー】と呼ばれ、二次元時代のゲイムギョウ界の名残があるモンスターで、二次元から抜け出たように厚みが無く平たい。
その為、全長は1mほどあるが厚さはほとんどなく紙のようなものなのである。
その歴史はゲイムギョウ界ではスライヌより古く紀元前より生きていたと言われている。
「このサクラナミキに大量のベーダー系のモンスターとボスと思われる巨大ベーダーが発生していますので、それの退治になります」
イストワールがクエストの詳細を説明をすると、「分かりました! 折角のお花見の季節なのにモンスターが居たら困りますもんね」とネプギアは小さくガッツポーズを決めて意気込みを示す。
その姿には、お花見を楽しみにしている人達の為に頑張ろうという意気込みが強く表れているようだった。
パシャパシャ!
その瞬間とカメラのフラッシュとその音が鳴る。
「いいねいいねー。いい絵が撮れたよ。その調子でよろしくお願いするよ」
ファミ通がカメラを構え撮影をしていたのである。
「わかりました。でも、戦闘中は危ないので離れていて下さいね」
ネプギアはファミ通のカメラの腕に感心しつつ、戦闘で危険が無いよう忠告するが、「大丈夫だよ。私、戦えるから」とファミ通が言うと背中に巨大なエビのようなものが現れる。
彼女のポーチから呼び出したものだろう。
「え……そのエビが武器なんですか!?」
ネプギアが目を丸くして驚くと、「こう見えても、腕にはそれなりの自信があるんだ!」ファミ通は背中に背負ったエビの尻尾の部分を持つと、両手で太刀のように中段に構える。
「「「…………」」」
そのシュールな絵面にイストワールもプラエもあんみつも言葉を失っているようだ。
「さー! 私の準備はいつでも良いよ。戦場の記者の強さを見せてあげるよ」
ファミ通はネプギア達の反応を気にすることなく、エビをゴルフのスイングのように元気よく振る。
「今まで会った人の中で一番インパクトある武器かも……」
ネプギアがそうつぶやくと、「そうですね……」とイストワールもそれに続く。
ネプギアもイストワールも今まで色々な人と戦ってきたがここまで衝撃的な武器は初めてだった。
「あんみつ、アレって珍しい武器なの?」
世間知らずのプラエがあんみつに尋ねると、「ええ……とても摩訶不思議で奇天烈な武器ですね」とあんみつも首を傾げながら答える。
「こほん……」
イストワールが場を仕切り直す意味で咳ばらいを一つすると、「戦えるとはいいますが、ファミ通さんのレベルはいくつになりますか?」とファミ通に尋ねる。
「今は4だよ。VRトレーニングジムでビシバシ鍛えてきたんだ」
ファミ通が自信満々に鼻の下を擦りながら言う。
【VRトレーニングジム】とはお金を払って安全な仮想空間でモンスターと戦ってレベルを上げられる施設。
リーンボックスで作られたゲームを元に四国共同で限りなく実戦に近い状況で訓練できるマシンが置いてある。
レベルの高い冒険者が携帯端末を使い実在するモンスターのデータを集めて、それを元に仮想空間で再現するので、レベルの高い訓練が可能だ。
ネプギアも情報提供に協力しており、彼女の改造した高性能のNギアからもたらされるハイレベルなデータは、全国のトレーニングジムで重宝されている。
「普段記者のお仕事をしながらそれってスゴイですよ。クエストがお仕事の私達だって5なんですから」
ネプギアが柏手を打ってファミ通を褒める。
この一週間、ネプギア達も土日以外は毎日クエストに励んでいたのに、一般人であるファミ通がレベル1しか違わないのは凄いことなのだ。
ちなみに土日でも緊急事態ならば当然出動する。
「それだけ、私もこの取材に期待してるってことですよ」
ファミ通が再びエビをゴルフスイングする。
その雰囲気はサラリーマンが調子の良いときに傘でスイングをする様に似ていた。
「これは期待に応えないとですね。ね? ネプギアさん」
イストワールは微笑みながらネプギアに言うが、「が、がんばりましゅ!」とネプギアは噛んでしまう。
どうやら、ファミ通の意気込みにプレッシャーを感じてしまったようだ。
「ご、ごめんなしゃい……あっ、また噛んじゃっったよ~~……うぅ、カッコ悪いなぁ……」
慌てて謝ろうとするネプギアだが更に噛んでしまう。
真面目だけど、やや内気なネプギアはこういうプレッシャーに弱い。
「あははっ、ネプギア様は可愛いなぁ。今のバッチリ記事に書かせてもらいますよ」
ファミ通が笑いながら言うと、「や、止めて下さい~。恥ずかしすぎて死んじゃいそうです~~」とネプギアが目をバッテンにさせて慌ててしまう。
「意外とシェアが上がると思いますよ」
ファミ通は涼し気にそう言うが、「それでも嫌ですよ~」とネプギアは更に抗議を続ける。
「冗談はさておき、そんなに硬くならずにリラックスしていきましょう」
ファミ通は笑顔で両手を胸の前で上げ下げして、リラックスのようなジェスチャーをしながら言う。
「は、はい……」
ネプギアはファミ通の笑顔とジェスチャーで少し緊張がほぐれたようで、表情がいつも通りに戻ったようだった。
「では、続けてファミ通さんの得意分野を教えてもらいますか?」
イストワールがそう言った瞬間に、「はい! それなら私が調べられます!」とネプギアが元気よく右手を上げる。
先程の名誉挽回とでも言いたいようだ。
「調べるってどうするの?」
プラエが不思議そうな顔でネプギアを見ると、「この一週間でNギアのアナライザーを改良して、新作期に合わせた各パラメータの現時点の評価をS~Eの六段階評価で出せるようにしたんだよ」とネプギアがNギアを取り出しつつVサインを決める。
「おお~。それは楽しみですね。早速お願いします」
ファミ通は興味津々と言わんがばかりにネプギアの目の前に立つ。
「それじゃあ、始めますね」
ネプギアはそう言うとNギアを操作して、画面の中のアナライザーのアプリを選択しNギアをファミ通に向ける。
画面に【解析中】と表示されると、次々と文字が表示される。
【ファミ通】
elemental(属性):地
character class(クラス):ナイト【HPと防御力が高く仲間を守る。スーパーアーマーあり】
growth(成長タイプ):普通
hit point(HP):A
magic point(MP):E
power(攻撃力):B
shot(射撃力):E
magic(魔法攻撃力):E
support(回復&補助能力):C
weakened(弱体化&状態異常):E
defense(防御力):A
resist(魔法防御力):A
speed(スピード):D
stamina(スタミナ):A
accuracy(命中精度):C
avoidance(回避精度):C
capacity(最大シェア):E
dexterity(クリティカル率):C
cooperation(連携、合体技補正):B
luck(運):C
Intuition(直感):B
tension(シェア増加率):C
cool(シェア減少率):A
guts(HP減少時の能力補正):A
casting speed(詠唱速度):C
memory(記憶力):A
tactics(戦術):B
strategy(戦略):B
command(指揮):C
zone of control(ZOC):A
trick(策略):A
adaptation(適応力):A
learning(学習能力):A
viability(生活能力):A
politics(政治):B
mechanic(機械技術):C
computer(コンピューター技術):C
「ふわぁ~、なんかいっぱい出てきたよ」
次々に表示される文字にプラエは驚きの声を上げる。
「これを見るに、ファミ通さんはHPと防御力が高くて味方を守るのが得意なようです。あと、記者の人らしく頭がいいので頭脳プレイも向いてるみたいです」
ネプギアはそう言うと、「とりあえず、私と一緒に最前線でタンクをしつつ、何か良い作戦があったら教えて下さい」と続ける。
【タンク】とは敵の攻撃を一手に引き付け他の仲間を守る盾の役目。
「おお……そのアプリだけでそこまでわかってしまうんですね。なるほどなるほど……」
ファミ通はネプギアの予想を遥かに上を行く解析に驚きを隠せないが、そこは記者らしく落ち着いて対処しつつ、しっかりとメモを取る。
「文字が多すぎて、プラエ、ちんぷんかんぷん……」
プラエがしょんぼりしたように言うと、「項目の解説書はこれだよ」とネプギアがNギアの画面を変えてプラエに見せてくれる。
画面には先程のファミ通のアナライズしたモノの各項目に短い説明文が付いていた。
elemental(属性):キャラクターの属性、地形による恩恵や属性に対するダメージ補正がある。
character class(クラス):適性の高いクラス。
growth(成長タイプ):成長のしかた、早熟、普通、晩成の三種。普通=平均的、早熟=前半は+補正だが後半は-補正、挽回=前半は-補正だが後半は+補正
hit point(HP):ヒットポイント、ダメージを受けると減る。
magic point(MP):マジックポイント、魔法を使うと消耗する。
power(攻撃力):近接攻撃の攻撃力。近接攻撃にはスタミナを消耗する。
shot(射撃力):射撃攻撃の攻撃力。射撃武器は弾数やエネルギーが無くなると使えなくなる。
magic(魔法攻撃力):魔法攻撃の攻撃力。魔法はMPが残ってないと使えない。
support(回復&補助能力):回復魔法と能力アップ魔法の力。
weakened(弱体化&状態異常):能力ダウンや状態異常を起こす魔法や弾の威力。
defense(防御力):近接と射撃の防御力と状態異常耐性。
resist(魔法防御力):魔法に対しての防御力と状態異常耐性。
speed(スピード):歩きや走るスピード。
stamina(スタミナ):スタミナの量。スタミナは走ったり近接攻撃をすると減る。歩いていれば自然回復する。
accuracy(命中精度):狙いの正確さ、攻撃を命中させる時の主になる数値になる。
avoidance(回避精度):回避行動の正確さ、攻撃を回避する時の主になる数値になる。
capacity(最大シェア):シェアエネルギーの許容量。某ロボゲーの気力みたいなもの。基本的に女神が高い。
dexterity(クリティカル率):クリティカルヒットやパリイ等が発生する確率の主な数値になる。
cooperation(連携、合体技補正):連携技と合体技の成功率と威力、命中、クリティカル率に影響。
luck(運):命中、回避、クリティカル率に影響
Intuition(直感):命中、回避、クリティカル率に影響
tension(シェア増加率):有利な状況の際のシェアエネルギーアップ率。
cool(シェア減少率):不利な状況の際のシェアエネルギーダウン率。
guts(HP減少時の能力補正):HPが減少すると、各能力が上昇する。某ロボゲーの底力みたいなもの。
casting speed(詠唱速度):魔法を使う速さ、詠唱時間の短縮。
memory(記憶力):技や魔法を覚えることのできる数
tactics(戦術):攻撃、防御の行動の多彩さ。戦闘時に高い方がダメージ&被ダメージ、命中、回避、クリティカル率にボーナス。
strategy(戦略):戦略の能力、高い方のパーティーが先制攻撃出来る。差が大きいとバックアタック出来る。逆もありうる。
command(指揮):指揮能力、リーダー、サブリーダーのみ有効。高い方のパーティーの命中、回避、クリティカル率にボーナス。
zone of control(ZOC):高い方が強いZOC(ゾーンオブコントロール)を発揮できる。
trick(策略):罠の設置や誘引の上手さ。罠や捕獲の威力と成功率。ダミーバルーンや機雷、分身の術等も含む。
adaptation(適応力):パーティメンバーに馴染む力、好感度アップ率に影響。
learning(学習能力):敵の行動を見極める力と平和時の仕事能率。2回目以降の攻防時に高い方が、ダメージ&被ダメージ、命中、回避、クリティカル率にアドバンテージ。
viability(生活能力):平和時の生活能力。所持クレジットの減少率に影響。
politics(政治):平和時の政治能力。内政の上昇率や外交の成功率に影響。人口や信仰の増加に影響。
mechanic(機械技術):機械を扱う力。銃器を主に一部の武器の改造するのに必要。高いと機械の武器の威力、命中ボーナス。
computer(コンピューター技術):コンピューターを扱う力。電子機器を搭載した一部の武器の改造するのに必要。高いと電子機器の武器の威力、命中ボーナス。
S-トップクラス
A-超得意
B-得意
C-平均並み
D-苦手
E-超苦手
「少しわかったけど……。こんなにも項目があるの?」
解説書を一通り読んだプラエがネプギアに質問をすると、「うん、先行してる冒険者の人達の情報によるとこれだけあるの」とネプギアが答える。
「でも、全部出来る必要は全然無いんだよ」
ネプギアは優しく諭すようにプラエにそう言うと、「それに、これは現時点での評価だから、今後の努力次第でいくらでも伸びるし」と続ける。
「プラエのNギアにはないの?」
プラエが服の中からNギアを取り出して操作をする。
「プラエちゃんにあげたのは少し古いから、アナライザー自体がないの。ごめんね」
ネプギアがそう言って謝ると、プラエはぷるぷると首を左右に振って、「貰えただけでも凄く嬉しいの。これはプラエの宝物だよ」と答える。
ネプギアは携帯端末を持っていないというプラエに、自分の予備のNギアをプレゼントしたのだ。
元は壊れていたジャンク品をネプギアが修理した物だ。
「ネプギアお姉さん、プラエの事もアナライザーで見てアドバイスが欲しいな」
プラエが少し甘えるように上目遣いでネプギアに言うと、「うん、いいよ」とネプギアが答えNギアを操作してプラエに向ける。
【プラエ】
elemental(属性):氷
character class(クラス):エスパー
growth(成長タイプ):晩成
hit point(HP):D
magic point(MP):A
power(攻撃力):C
shot(射撃力):E
magic(魔法攻撃力):A
support(回復&補助能力):C
weakened(弱体化&状態異常):C
defense(防御力):D
resist(魔法防御力):B
speed(スピード):C
stamina(スタミナ):C
accuracy(命中精度):A
avoidance(回避精度):A
capacity(最大シェア):E
dexterity(クリティカル率):C
cooperation(連携、合体技補正):A
luck(運):C
Intuition(直感):A
tension(シェア増加率):D
cool(シェア減少率):D
guts(HP減少時の能力補正):E
casting speed(詠唱速度):A
memory(記憶力):A
tactics(戦術):D
strategy(戦略):E
command(指揮):E
zone of control(ZOC):E
trick(策略):D
adaptation(適応力):C
learning(学習能力):C
viability(生活能力):C
politics(政治):C
mechanic(機械技術):C
computer(コンピューター技術):C
「えっとね、プラエちゃんは魔法攻撃が凄く得意なの。あと、物理攻撃力もあるから状況合わせて使い分けて」
ネプギアが優しい声でプラエに説明をすると、「うん!」とプラエが頷く。
実際のことろはこの一週間一緒に戦っているので、プラエの立ち回りはお互いに知っているが、それでもこういう機械で再確認するもの悪くないとお互い思っているようだ。
「でも、HPが低めで防御力も高くないし、スピードもスタミナも普通だからタンクの私からあんまり離れちゃダメだよ」
続けてネプギアが少し厳しめな声で注意点をプラエに説明すると、「わかった!」と元気よくプラエが答えた。
「少し気弱でシェアが落ちやすいけど、私が守ってあげるね」
更に説明を続けるネプギア。
シェアエネルギーは基本的には女神の力の源だが、一般人にも多少影響がある。
現に犯罪組織が台頭していたころに、下っ端と呼ばれた幹部の構成員と初めて会った時に、ネプギア、アイエフ、コンパの三人がかりでも彼女に一度敗北している。
これは当時は犯罪組織マジェコンヌのシェアが全世界の八割をも占めていたことが影響をしていた。
「時間操作はいざという時の為にとっておいて。私の指示か緊急回避以外に無暗に使っちゃダメだよ」
ネプギアがそこまで言うと、ファミ通の耳がピクリと動く。
「「あ……」」
しまった。と言った感じで右手で口を覆うネプギアとプラエ。
だが、時すでに遅くファミ通はペンとメモを両手にネプギアとプラエに迫ると、「時間操作って? それはどういうことですか!」と真剣な顔で説明を求めてくる。
イストワールはハの字眉毛で困った顔をするが、「予定より少し早いですが説明しても良いでしょう」と穏やかな声でネプギアに言う。
イストワールの言葉を受けて、ネプギアとプラエがファミ通にプラエの超能力の説明をする。
ファミ通は驚きつつも、「これは特ダネですね」と嬉しそうに微笑む。
説明が終わると、「そろそろ出発しましょう。細かいお話は進みながらということで」とイストワールが提案する。
ファミ通が、「了解しました」と頷くと、ネプギアは、「それではファミ通さんは私と一緒に前衛に立って下さい」とファミ通に言う。
ファミ通は素直に従いネプギアの隣に立つと、「では、プラエ様ご一緒に中衛を担いましょう」とあんみつがプラエの手を取り、ネプギア達の後ろに移動する。
最後にイストワールが、プラエ達の後ろに移動すると、「私は回復を最優先しつつ、出来るだけ攻撃に加わります」と言う。
前衛のネプギアとファミ通が敵の攻撃を防ぎ、中衛のプラエとあんみつが攻撃、後衛のイストワールが回復と攻撃と言うバランスの取れたフォーメーションだ。
フォーメーションを確認したネプギアが歩き始めると、プラエ達もその後をついて来る。
****
ネプギア達の目の前に、先程イストワールがホログラムで見せてくれたシカベーダーが三体立ちはだかる。
厚みが無い為に立てないので、僅かに宙に浮いている。
「来ます!」
ネプギアがそう言うと同時にシカベーダーの一体が宙を滑るようにネプギア達に近づく。
ネプギアは、「みんなは私が守ります」と言うと同時に前進をして、シカベーダーの前に立ちはだかる。
進路を塞がれたシカベーダーは、「ベーダー!」と不機嫌そうに唸るとネプギアに体当たりで攻撃を仕掛けてきた。
「くっ!」
ネプギアに12のダメージが当たるとHPゲージが二割ほど減少する。
更にもう一体のシカベーダーがネプギアに追い打ちしようと近づこうと動き出した。
「おっと、そうはいかないよ」
ファミ通はその動きに合わせて前進をすると、ネプギアを守るように立ち塞がった。
予定が狂ったシカベーダーは怒りの声で、「ベダダー!」とファミ通に体当たりを仕掛ける。
「これぐらいっ……」
ファミ通に15のダメージが当たり、HPゲージが三割減少する。
レベルが1低い為かネプギアよりダメージが大きいようだ。
「ファミ通さん!」
ネプギアがファミ通を心配するように叫ぶと、「この程度でやられないよ。残り二体は私が足止めするから、そっちの一体撃破しちゃって」とファミ通は冷静に答える。
ネプギアに攻撃をしたシカベーダーを分断して、各個撃破しようと言うのだろう。
「わかりました!」
ネプギアはそう言って頷くと、「プラエちゃん、あんみつさん、いーすんさん。連携攻撃で一気に決めましょう」と叫ぶ。
プラエが、「うん」と頷くと、ネプギアを襲ったシカベーダーに向けて右手を突き出す。
同時にプラエの親指から一本の白銀の鎖が、シカベーダーに向かって伸びていく。
「時の鎖(クロックチェーン)。一時! 敵を切り裂いて!」
プラエが叫ぶと同時に直進していた鎖が蛇行を始める。
「べだ!?」
真っ直ぐに向かってくると思った鎖が急に不規則な動きを始めたことに動揺するシカベーダー。
その隙をついて蛇行していた鎖が、シカベーダーを上空から襲う。
ザシュッ!
シカベーダーを切り裂く音が響き渡る。
鎖の先端には切れ味の良さそうな刃物が付いており、これがシカベーダーを切り裂いたのだ。
シカベーダーに12ダメージが当たりHPゲージが二割減少する。
「脇が甘い!」
同時にいつの間にかシカベーダーに肉薄していた、あんみつが刀を振り下ろす。
シカベーダーが鎖の不規則な動きに気を取られている間に接近したのだ。
ザシュッ!
先程のプラエのものより豪快な切り裂く音がする。
袈裟斬りに切られたシカベーダーは、「べだぁー」と悲鳴を上げ23のダメージを受けるとHPゲージが一気に半分以下になる。
「行きます、龍昇拳!」
更に今度はネプギアのかえる跳びアッパーが当たると、シカベーダーは19のダメージと共に上空に吹き飛ばされる。
シカベーダーのHPゲージは残り一割程度まで減少していた。
「これでトドメです! 水の矢よ敵を撃て!」
今度はイストワールが上空のシカベーダーに向けて、右手を突き出すとそこから水で出来た矢が放たれる。
「ウォーターアロー!」
水の矢がシカベーダーを貫くと、シカベーダーは27ダメージを受けHPゲージがゼロになり戦闘不能になる。
そのまま地面に落ちるシカベーダー。
その間に最前線で2体のシカベーダーを相手にしているファミ通のHPゲージが残り三割程になっていた。
ファミ通も、「くっ……」とやや苦しそうな表情を浮かべている。
「ファミ通さん!」
ネプギアが叫ぶ。
このまま2体を相手にし続けたら間違いなく戦闘不能になるだろう。
ネプギアは素早くファミ通に向けて右手を向けると、「ヒール!」と叫ぶ。
「えっ……」
驚きの声を上げるファミ通。
同時に彼女のHPが六割程まで回復する。
「ベダーーー!」
予想外の回復行為に怒ったシカベーダーがファミ通を放ってネプギアに突進してくる。
モンスターの多くは回復行為を嫌い、それを行った者は優先的に狙われることが多い。
「時の鎖(クロックチェーン)。二時! 敵を貫け!」
プラエの右手の人差し指からもの凄い勢いで白銀の鎖が伸びていく。
今度は蛇行もせずに真っ直ぐに、ネプギアを襲おうとするシカベーダーに向かう。
その先端には鋭利な穂先が付いていた。
「浅慮!」
更にあんみつも同じシカベーダーに側面から切りかかる。
ザクッ! ザシュッ!
プラエの鎖がシカベーダーを貫くと同時にあんみつの横切りがシカベーダーを切り裂き、合計で41ダメージが当たる。
更に、「ウインドアロー!」とイストワールが叫ぶと同時に風の矢がシカベーダーを貫き21のダメージが当たる。
「べぶだっ!?」
怒涛の三連攻撃に、シカベーダーの突進が止まる。
HPゲージも一気に残り一割以下になる。
「ごめんなさい!」
その隙を付いてネプギアが正面から袈裟斬りでシカベーダーを切り裂くと、19のダメージと共にシカベーダーのHPゲージがゼロになって戦闘不能になる。
「グラビティカット! ファミ通さん、敵を打ち上げて下さい」
立て続けにネプギアがファミ通に向けて叫ぶ。
ファミ通はやや慌てた様子を見せながらも、「う、うん!」と頷くとゴルフスイングの構えを取る。
「ていっ!」
ファミ通のエビのスイングが、残った一体のシカベーダーに炸裂する。
15ダメージ受けたシカベーダーは、「ベーダー!」と悲鳴を上げながら十メートル近く上空に打ち上げられる。
「あんなに飛んだ……!」
吹き飛ばしたファミ通自身も驚きの声を上げる。
続けて、「そうかグラビティカットで敵を軽くしてくれたのか……」とやや落ち着きを取り戻して呟く。
「ナイスです!」
ネプギアはファミ通に称賛を送ると、彼女を追い抜きシカベーダーを追って上空に飛び上がり接近する。
ゲイムギョウ界の住人は身体能力が高い者が多く、女神とまでになるとレベルが低くても五メートルぐらいは軽々と飛び上がり無事に着地することが出来る。
しかし、弱いものはとことん弱く、自分の膝くらいの高さから落ちるだけで死んだり、コウモリのフンに当たって死ぬこともある。
又、ゲイムギョウ界には無属性魔法に重力を操作する魔法と、風属性に大気を操る魔法があり、それによりジャンプ力アップと滞空時間の増加をすることが出来る。
他にも巨大な敵を浮かしたりするときにも重力魔法と大気を操る魔法が役に立つ。近接攻撃も魔法も得意なネプギアはこれを活かした空中コンボを得意とする。
以前に見せたエアリアルレイヴもその類だ。
「ラピッドラッシュ!」
空中で身動きの取れないシカベーダーに、ネプギアの連続攻撃が炸裂する。
【ラピッドラッシュ】は素早い5連続攻撃。
右手のビームソードと左手のパンチによる交互の攻撃で5前後のダメージが5回当たり、シカベーダーのHPゲージが残り3割まで減少する。
「ていっ!」
ネプギアは最後に連続攻撃の締めの回し蹴り入れると同時にシカベーダーに向けて、「グラビティアペンド」と叫ぶ。
グラビティカットの逆で重力を追加させる魔法だ。重力が増したシカベーダーが回し蹴りの勢いで急速に地面に向けて落下する。
ドカン!
激しい音と土煙と共にシカベーダーが墜落すると9ダメージが当たる。
同時に、「計算通りです」とイストワールが言うと、続けて「シャインアロー!」と攻撃魔法を発動させる。
イストワールの手から飛んだ白い光の矢がシカベーダーを貫くと22のダメージが当たり、シカベーダーのHPゲージが真っ赤になる。
「べ……だ……」
最後のシカベーダーが戦闘不能になると、三体全部のシカベーダーが消滅する。
同時にネプギアが地面に着地すると、「やりました大勝利です!」と笑顔を見せて右手でVサインを決める。
「やったー!」
プラエも笑顔を浮かべながら小さく飛び跳ねて、拍手をする。
イストワールもあんみつも初戦の勝利に安堵の笑顔を浮かべていた。
「はぁ……。勝った……の」
しかし、ファミ通はどっと疲れた顔で片膝を付いてしまう。
「ファミ通さん?」
ネプギア達は不思議そうな顔をしながら、小走りにファミ通に駆け寄って行った。
ファミ通は近づいてきたネプギア達に、「いやぁ……、実戦って緊張するものだね。まだ手が震えてるよ」と乾いた笑いを浮かべた。
「プラエも初めての時は緊張したよ。でも、平気だった。ネプギアお姉さんが守ってくれるって言ったし、あんみつも隣に居てくれたから」
プラエが少し誇らしげに言う。
ネプギアは微笑んで、「うん、プラエちゃんは凄く頑張って偉かったよ」と言いながらプラエの頭を優しく撫でてあげる。
プラエは、「えへへ」と嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「適性があるとは言え、初の実戦でタンクは厳しかったですよね。ごめんなさい」
ネプギアがファミ通に向かって丁寧に頭を下げる。
タンクは最前線に立つので一番危険が高く、その分実戦の恐怖も大きい。
ネプギアはそのことを気にして、ファミ通に謝った。
しかし、ファミ通は慌てて、「そんな! ネプギア様は何も悪くないよ。VRジムのインストラクターにもタンク一択って言われてたし」と言って両手をあわあわと左右に振る。
「私が実際の戦いに尻込みして、ヒールドリンクを落としたりしなければ、もう少し余裕があった筈なんだ」
ファミ通はそう言いながら足元に落ちている栄養ドリンクのような瓶を拾う。
これは【ヒールドリンク】と言い飲むことで迅速にHPを回復できる優れモノだ。
ファミ通は戦いの最中にこれでHPを回復する予定だったが、誤って落としてしまったことでHPが三割まで減少してしまったようだ。
「しかし、最初の分断からの判断は初心者とは思えませんでした。私も思わず攻撃に回ってしまいましたし」
イストワールがそう言うと、「これでもそれなりに立ち回りの研究もしてきたんだ。でも、知識はあっても実技が追いついてなかったよ」とファミ通は肩を落とす。
あんみつはそんなファミ通の肩を叩くと、「それぐらいの失敗なら、我々で助けられます。あまり気を落としてはいけません」と励ます。
「今の戦いでシカベーダーの能力も大体測定できましたし、暫くの間はタンクは私一人でいきましょう」
ネプギアが落ち着いた声でファミ通にそう言うと、「ファミ通さんは中衛でアタッカーをしながら、戦闘の空気に慣れて下さい」と続ける。
【アタッカー】とは、攻撃に集中して敵に対して大きなダメージを与える役割。
先程の戦闘では、プラエやあんみつの立ち回りがそれに当たるだろう。タンクに比べれば敵の攻撃を受ける機会は少なく安全と言える。
「いいの? ネプギア様一人でタンクなんて大変じゃないかな?」
ファミ通が少し遠慮気味に言う。
彼女としても、一度中衛に下がって落ち着きたい気持ちはあるものの、ネプギアのことが心配のようだ。
「大丈夫ですよ。こう見えてもブランさんにタンクの立ち回りとか心得とか教えてもらっているんですから」
ネプギアは小さくガッツポーズをしながら言う。
ルウィーの守護女神のブランは守りの硬さに定評があり、その力はゲイムギョウ界最硬とも呼ばれている。
ネプギアは人の良い点に目を向けて、尊敬できる面があれば取り入れ必要であれば師事をお願いする。
以前には一流の冒険者であり剣の達人であるファルコムという人物に剣の特訓を頼んだこともある。
ブランに関してもそれと同じで、タンクとして他の女神候補生であるユニ達を守る為に、タンクとして尊敬するブランに頭を下げて師事をお願いし学んで来たのだ。
「ブランさん程の硬さはありませんけど、足りない分はダミーバルーンとか小手先の技で補いますし」
ネプギアが更に自己PRを続ける。
ブランの硬さは天性の才能もあるので、そこまでは出来なくても、ネプギアなりの方法は色々と考えていると言いたいのだ。
「それならお願いしちゃおうかな……」
ネプギアの好意に素直に甘えるファミ通、「でも、危なかったら言ってよ。初心者だけど頑張ってタンクするからさ」続けてファミ通はそう言いながら、ペンとメモを取り出して色々と書き始める。
「何を書いてるの?」
プラエがファミ通に尋ねると、「ネプギア様の優しさと気配りの良さかな」とファミ通が答える。
更に、「私の失敗はカッコ悪いけど、記事としてはいい感じに書けそうだよ」とファミ通が微笑む。
「今のも記事にされるのですか?」
今度はあんみつがファミ通に質問をすると、「当然だよ。私の失敗を隠すために、ネプギア様の良さをみんなに伝えられないなんて記者失格だしね」とファミ通が即答する。
「良い記者の方のようで安心しました」
イストワールがそう言うと、「これぐらいは当然。週刊ファミ通の歴史に泥を塗る訳にはいかないしね。ミスはするけどウソは付かないが私の信条だからね」とファミ通は答える。
「ミスはするんですか?」
少し不安そうにネプギアが尋ねると、「大丈夫! ファミ通の記事だよ」とファミ通が爽やかかつ力強くサムズアップする。
「あはは……」
ファミ通のリアクションに若干引き気味のネプギアは乾いた笑いを浮かべると、「できるだけミスはない方向でお願いします」と続けた。
****
再びネプギア達の前にシカベーダーの群れが現れる。
今度は4体と数は多いがシカベーダー達はまだネプギア達に気付いていないようだ。
シカベーダーとの距離は約100メートル。
「それでは私が前衛で突撃しますので、後は打ち合わせ通りにお願いします」
ネプギアがそう言うと、「こちらの方はお任せ下さい。ネプギアさんは生存を第一にタンクとしての役割を果たして下さい」とイストワールが落ち着いて答える。
続けてファミ通が、「私も頑張ってみるよ」と意気込む。
「それでは行きます!」
ネプギアがシカベーダーの群れに向けて走り出す。他のメンバーもネプギアと距離を保ちつつ付いてきた。
シカベーダー達との距離が50メートル程まで縮まると、シカベーダーの一体がネプギアに気付く。
「べー!」
ネプギアに気付いたシカベーダーが雄叫びを上げると、同時に他の3体のシカベーダーがネプギアに振り向こうとする。
「ダミー!」
ネプギアが走りながら叫ぶ。
同時にポーチから呼び出されたダミーバルーンの一つがネプギアの左手から発射されて人の形になる。
「べー!」
「ベダー!」
「ベイダーー!」
シカベーダーの内の3体がネプギアに向かってくる。
「べー!!」
残り1体はダミーバルーンに向けて突っ込んで来るようだ。
「予定通り。やりますね、ネプギア殿」
あんみつはニヤリと笑うとダミーバルーンに騙されたシカベーダーに向けて走る。
残ったメンバーもあんみつを先頭に進行方向を騙されているシカベーダーに変更した。
「ベーダー!」
シカベーダーがダミーバルーンに攻撃を仕掛けようとする。
パアンッ!
その寸前にダミーバルーンが破裂して大きな破裂音が響き渡る。
ダミーバルーンにも様々な種類があり、割られるまで漂っているものと、敵の接近に合わせて破裂して脅かすような物もある。
「べ~~!」
ダミーバルーンの破裂に驚くシカベーダー。
猫だましをされたような状態で目を閉じている。
「御免!」
そこに素早く、あんみつが切りかかる。
あんみつの袈裟斬りがシカベーダーを切り裂き、23のダメージが当たる。
「ファミ通殿!」
あんみつの掛け声と同時に、「どりゃああ!」という叫びと共にファミ通が野球のようなスイングでシカベーダーを殴る。
シカベーダーに15のダメージ当たる。
「うまいよ、ファミ通さん!」
プラエが嬉しそうな声で声援を上げると同時に彼女の右人差し指から鎖が伸びる。
鎖は先程と同じように直進をして、シカベーダーを貫き追撃をし、13のダメージを当てた。
「最後は任せて下さい! 雷の矢よ敵を撃て!」
イストワールがそう言いながら右手を突き出し、「サンダーアロー!」と叫ぶと彼女の手から電撃で作られた矢が放たれシカベーダーに命中し、25のダメージが当たる。
「べーーー!」
絶叫と共にシカベーダーのHPゲージがゼロになり、シカベーダーが戦闘不能になる。
「やった!」
ファミ通が嬉しそうに右手でガッツポーズを決める。
「油断しないで下さい。次が来ます!」
イストワールが叫ぶ。
同時に味方を倒されたシカベーダーの一体が怒りの形相でファミ通達に向かってくる。
「わわっ! 来たよ!」
思わず慌ててしまうファミ通。
「あんみつさん!」
ネプギアが叫ぶと同時に、「承知!」とあんみつが頷く。
「よそ見なんて、迂闊ですよ!」
ネプギアはそう言うとファミ通達の方向に向かったシカベーダーを追って走り出す。
合わせて残り二体のシカベーダーもネプギアを追おうとするが、ネプギアが走りながら左手の人差し指で素早く小さな魔法陣を描く。
そして魔法陣が完成すると、「アースウォール!」と叫ぶ。
すると、1メートル弱の低めではあるが土の壁がハードルのように数枚現れ、ネプギアを追うシカベーダーの進路を妨害する。
そしてネプギアはシカベーダーに追いつくと同時に「ギアキーーーーック!」とサッカーボールのように、シカベーダーを背後から蹴り飛ばす。
「べだーーーーー!」
背後から蹴られたシカベーダーは23のダメージを受けると、あんみつに向けて吹き飛ばされて行く。
「奥義、弧月剣!」
あんみつがネプテューヌとの戦いでも見せた対空剣技を出すと、見事にシカベーダーに命中する。
「べぇぇぇぇ~!」
46ダメージを受けたシカベーダーはHPがゼロになり戦闘不能になる。
「うわ、強っ!」
あんみつの大ダメージに驚くファミ通。
「そっちの一体お願いします」
ネプギアはそう言いながらHPゲージが満タンなシカベーダーを指差す。
更に、「こっちは私一人で倒しますから」と続けて言うと、HPゲージが半分程残っているシカベーダーに向かっていく。
ネプギアはタンクをしながら、一体に狙いを絞りダメージを与え続けたので、そちらにトドメを刺す間に連携攻撃でHP満タンの一体を倒して欲しいとのことだ。
「ファミ通殿、最初の連携攻撃と同じ呼吸でいきますよ」
あんみつがそう言うと、「うん、わかったよ」とファミ通もその後に続く。
****
ネプギアの言う通りに、ファミ通達が最初と同じ連携攻撃で敵を倒した頃にはネプギアも一体のシカベーダーを一人で倒していた。
ネプギアは、「ふぅ……」と安堵のため息を吐くと、「大勝利です!」と嬉しそうにVサインを決める。
「おお~~。流石はネプギア様戦い慣れてますね。HPも八割以上残ってますし」
ファミ通がネプギアに感嘆の拍手を送ると、「ブランさん程じゃありませんけど、少しでもタンクのお手本になれたら嬉しいです」と微笑んだ。
「凄く参考になりましたよ。それにイイ記事にもなりますよ」
ファミ通は嬉しそうにペンとメモを取り出して書き込みを始めた。
****
その後もネプギア達は同様のフォーメーションで安定した勝利を重ねつつ、奥に進んでいく。
「またも快勝! 流石は女神様のパーティ強いね」
ファミ通が嬉しそうにメモを取る。
「ファミ通さんもなかなかの腕ですよ。戦いの才能がありますね。最初は途中で止めるつもりでしたが、このレベルなら今後の取材の際にも戦闘に参加して欲しいぐらいです」
イストワールが微笑みながらファミ通を褒める。
すると、ファミ通は右手で後頭部をかきながら、「足手まといになるなら、止めるつもりだったけど、そう言われちゃうとやる気になっちゃうな~」と嬉しそうに言った。
「ネプギア殿の【あならいず】の通り、連携などの協調性が高めで頭脳明晰。こちらの指示をしっかりと理解してくれるので助かります」
あんみつもそう言ってファミ通を褒めると、「頭脳明晰なんて、そんなそんな」とファミ通が顔を赤くして謙遜する。
「連携と言えば、ネプギア様の考えた連携攻撃がバッチリ決まったね!」
ファミ通は嬉しそうにサムズアップを決めると、「Nギアに搭載した連携攻撃シミュレーションから最善のパターンを使っただけですよ」と興奮気味のファミ通に対して、ネプギアは落ち着いて答える。
「でも、それって市販品には無い機能ですよね?それを作れるだけで凄いですよ」
ファミ通はネプギアを更に褒め続けるが、「このプログラムは私だけの力じゃないですよ。色々な連携パターンを提供してくれた人達の協力があってのものです」とネプギアはあくまで控えめな態度を崩さない。
「ネプギア様って本当に謙遜なんだね」
ファミ通は心底不思議そうにメモを取る。
「……謙虚と言うか、私にはそこまで人に誇れるようなものがありませんし……」
ネプギアは少し落ち込んでいるような雰囲気でそう言うと、ファミ通は、「私の知ってる女神様は自分に絶対的な自信を持っていて、それを隠さずアピールする人ばかりだったから、ネプギア様のような女神様は新鮮だよ」と答える。
ファミ通も今までネプテューヌなどの守護女神達を取材したことがあり、それを思い出しながらネプギアに対しての感想を言う。
「女神らしくなくてごめんなさい。頼りないですよねこんなのじゃ……」
ネプギアは肩を落としながら言うが、「いやいや、私はこれはこれでいいと思うよ」とファミ通は首を横に振って、ネプギアをフォローしようとする。
ビーッ!ビーッ!
その時、Nギアから警報音が鳴り響く。
「敵が来ます! 三時の方向!」
ネプギアがレーダーを確認して次の敵が来る方向をクロックポジションで伝える。
【クロックポジション】とは観測者を水平なアナログ時計の中心に置き、観測者の正面を十二時方向とした時、対象物や目標方向が時計の何時の方向であるかの方位を提示する手法である。
つまり三時の方向とは右である。
「遠い!」
あんみつも敵の姿を目で確認するが、100メートル以上の距離があり、近接タイプのあんみつが攻撃するには少し遠い。
「ベダー!」
シカベーダーが雄叫びを上げると頭に生えた角から光線を放ってくる。
「ひゃっ!」
プラエが悲鳴を上げる。
光線はプラエを狙っているようだ。
「ここは私に任せて」
ファミ通が、プラエを庇うように前に出る。
ファミ通のクラスであるナイトの特殊技能【かばう】が発動したのだ。
光線がファミ通に当たると6ダメージを受けHPゲージが1割ほど減少する。
「ファミ通さん!」
ネプギアはとっさに声を上げるが、「大丈夫。ネプギア様が方向を知らせてくれたから、ちゃんと防御できてるよ」とファミ通はニッコリ笑いながら答える。
ダメージ1桁で済んだのはネプギアがいち早く敵の方向を知らせたので、ファミ通がそれに対応できたからである。
もし、プラエやイストワールが側面や背後から無防備で奇襲を受けていたら、HPゲージが半分以上減っていただろう。
「ネプギアさん」
イストワールの呼びかけに、ネプギアが、「はい、わかっています」と頷くと、ネプギア左右から50センチメートル程の小型の円錐状の機械が現れる。
「行って、Gビット!」
ネプギアがそう叫ぶと、二つの円錐状の機械は後部のブースターでシカベーダーに向かって飛翔しながら、バーニアで位置調整をしてシカベーダーの死角に回り込む。
死角に回り込んだ二個の円錐形の機械は連携しながら、シカベーダーの死角から死角へ移動しながら連続でビーム光線を放つ。
「べだーーーー!」
死角から連続攻撃を受けたシカベーダーはなす術もなく71のダメージを受けて消滅する。
「ありとうGビット、戻って来て」
ネプギアがそう言うと円錐状の機械は旋回してネプギアの元に戻ると姿を消す。
この円錐状の機械はネプギアが作って、【Gビット】と名付けた無線で遠隔操作を行う自走式のビーム砲台。
Gはネプギアの【GEAR】であり、某機動新世紀に出てくるものとは無関係である。
ビームソードと同じくポーチに収納されており、ネプギアの意思で自由に出し入れできる。
小型故に隠密性が高く、素早く敵の死角に入り込んで急所をビーム光線で貫くのだ。
その反面エネルギーの容量が少なく、一度使うとポーチ中に収納し暫く充電する必要がある。
「……おみごと……」
ファミ通はネプギアを自分と同じ近接向けの戦士タイプだと思っていたので予想外の強力な遠距離攻撃に呆然と驚く。
ビーッ!ビーッ!
再びNギアのから警報音が鳴り響く。
「次、十時の方向です。数が多い?」
ネプギアが再びレーダーを確認すると、今度は逆方向から六匹のシカベーダーが押し寄せてくる。
「ベーダーー!」
シカベーダー達が一斉にビームを放ってくる。
ネプギア達に凄まじい弾幕が襲い掛かる。
「ボム!」
ネプギアがそう言うと、彼女の左手に手のひらに収まる程度の球状の機械が現れる。
ネプギアはそれをシカベーダーの放った弾幕に対して放物線状に投擲すると、【ドカン】と爆音を立てて大爆発を起こす。
その爆発が盾となりシカベーダーの弾幕を全て打ち消す。
ネプギアの投げた機械は【ボム】と呼ばれる、ネプギア特製の手榴弾で攻撃にも盾にもなる便利な物である。
ゲイムギョウ界のボムは主にシューティングゲームで敵の弾を打ち消すもの。
ネプギアのものはプラネテューヌのゲームの主役ロボットの物を参考にして作られている。
これもポーチに保管れており、容量の空きに何個かこれをセットしている。
「ファミ通さん、あんみつさん、プラエさん、爆風を盾に接近して攪乱して下さい。ネプギアさんは私と合体魔法を!」
爆弾が爆発すると同時にイストワールが素早く指示を飛ばす。
「承知!」
あんみつは駆けだして爆風で怯んだシカベーダーの群れに突っ込む。
更にファミ通とプラエもその後に続く。
「了解です」
それに対してネプギアはイストワールの指示に頷くと後方に下がり、イストワールの隣に並ぶ。
「行くよ、ラジカルエアライド!」
ファミ通が叫ぶと彼女の武器である巨大なエビが宙に浮く。
。
ファミ通は浮いているエビに乗ると、エビが前進を始めシカベーダーの群れに正面から突っ込んでいく。
更にサーフィンで波に乗るようにシカベーダーの群れをを轢いて行き、轢かれたシカベーダー達は、「「「べだだだ~」」」と悲鳴を上げる。
【ラジカルエアライド】は巨大な武器をサーフィンのように扱い一撃離脱で敵を轢き逃げする技である。
「ほらほら、こっちこっちー!」
ファミ通はシカベーダーの群れに10前後のダメージを与えつつ、右へ左へとジグザクに動きシカベーダー達を翻弄する。
あんみつも翻弄されているシカベーダーを刀で敵を切り裂き、プラエも後方から鎖でファミ通とあんみつの援護をする。
その更に後ろでは、ネプギアとイストワールが目を閉じ声を合わせて呪文の詠唱をしている。
「「……天より来たれし雷よ……爆炎と共に、敵を打ち倒せ……」」
ネプギアとイストワールの周囲で、ペンネルによって赤の光の線で描かれた五芒星の魔法陣と黄色の光の線で描かれた五芒星の魔法陣が交錯する。
これは火属性の魔力と雷属性の魔力が共鳴しているのだ。
「「サンダーフレア!」」
ネプギアとイストワールが同時に叫ぶと魔法を発動する。
魔法の発動と同時にシカベーダーの群れに何本もの稲妻が広範囲に落ちる。
稲妻が落ちると同時に爆発が起こり周囲一面が燃え上がる。
「べーーーーだーーー!」
シカベーダー達は70前後のダメージを受け絶叫を上げて全て消滅する。
【サンダーフレア】とは火と雷の【合体魔法】、稲妻を落とした後に炎で敵を焼き尽くす。
合体魔法とは二人以上の術者が力を合わせて強力な魔法を行使すること。
「これで、この辺りの敵は倒しましたね」
ネプギアはレーダーをよく確認しながら言うと、「そろそろはボスとの戦いですから、ここで休憩にしましょう」と周囲の安全を確認したイストワールは休憩を提案する。
プラエが「うん、そうしようよ。プラエ疲れちゃった」と賛同すると、「そうだね、スタミナも回復しないと」とファミ通も同意する。
ゲイムギョウ界とは言え疲労は存在する。
減少したスタミナは時間と共に回復するが、休憩をしないと疲労と空腹でスタミナの最大値が下がって、行動の幅が下がってしまうのだ。
「私、おにぎりを作って来たので、みんなで食べましょう」
ネプギアがNギアを操作すると、レジャーシートとランチボックスが現れる。
ポケットでは食料品の保管も可能だ。
ちなみに何でも収納できるポケットだが、きちんと購入して自分のアイテムにしてからでないと収納できないので盗難などには悪用はされない。
「いやーー! 凄い凄い。予想を遥かに上回る大活躍だね」
レジャーシートを敷き全員が座ると、ファミ通は嬉しそうにネプギアに話しかける。
「正直、もっと初々しくて危なっかしい感じを期待してたんだけどさ」
ファミ通が苦笑いをしながらそう言うと、「えっ……そうなんですか、ごめんなさい」とネプギアが期待に添えられなかったことを謝る。
「いやいや! いい意味で期待外れだよ。これならプラチナ殿堂入りの記事が書けそうだよ」
ファミ通は慌てて両手を振って否定をする。
ちなみに【プラチナ殿堂入り】とはファミ通達が書いている雑誌にあるゲーム及び記事の評価である。
高い評価の物は殿堂入りとなり、その中でもランクがあり、シルバー→ゴールド→プラチナの順でランクが高い。
つまりプラチナ殿堂入りとは、ファミ通がネプギアで最高の記事を書けると称賛しているのだ。
「そ、そんな面白い記事が書けるんですか? 私で?」
ファミ通の言葉に驚きを隠せないネプギアだが、「私から言わせてみれば今の活躍で面白い記事が書けない方が不思議ですよ」とファミ通はさも当然かのように平然と言い放つ。
「でも、私はお姉ちゃんみたいに凄い強い訳じゃないし……」
ファミ通の言葉にネプギアは自信なさそうに答える。
「何言ってるんですか? 私のフォローに見事なタンクの立ち回り、それに素早い索敵からの見事な遠距離攻撃と爆弾による防御壁、さらには強力な合体魔法。隙がありませんよ」
ファミ通はネプギアに詰め寄り熱弁をするが、「そうでしょか……」とネプギアは自信なさそうに首を傾げてしまう。
「ネプギアさんは、近接攻撃においては斬、突、打。射撃攻撃においても貫通、爆発。魔法においても火、水、風、土、氷、雷、光に闇に無属性どれも万能にこなせますよ」
そこにイストワールが自信満々に口を挟んでくる。
ちなみに片手にはネプギア特製のイストワール用の小さなおにぎりが握られていた。
「おおー! 流石ですね」
ファミ通はイストワールの説明に嬉しそうにメモを取る。
ゲイムギョウ界の戦闘スタイルは基本的には三つある。
一つはファミ通やあんみつが得意とする前衛に出て戦う近接攻撃。単体への威力が高く、技を使うのにスタミナを使うのでペース配分が重要となる。又、後衛に敵を近づけない為の足止めも請け負う。
二つ目は先程ネプギアが行ったGビットやボム等による射撃攻撃。弾丸などの飛翔物を飛ばすので、近接攻撃が届かない場所からの攻撃や高い部位などをピンポイントに狙い撃ちすることが出来る。こちらは弾数や銃器のエネルギーを管理する必要がある。
三つ目はイストワールが得意とする魔法攻撃。広範囲に渡る攻撃やHPの回復や味方の強化など様々な魔法を扱う。行使するにはMPが必要で、また強力な魔法は詠唱時間や触媒が必要になる。
大抵の人はどれか一つしか扱えないのだが、ネプギアは基本は近接攻撃を行いつつ、状況に応じて射撃と魔法を使い分けることが出来る。
またそれぞれの攻撃にも属性があり標的との相性がある。
近接攻撃が斬撃による【斬】、刺突による【突き】、打撃による【打】。
射撃攻撃が弾丸やビームによる【貫通】、バズーカや爆弾にる【爆発】。
そして魔法攻撃は扱う種類により、【火】【水】【風】【土】【氷】【雷】【光】【闇】【無】と様々な属性があるので標的の弱点を突きやすい。
イストワールはネプギアがそれら全てを扱うことが出来るとファミ通にアピールしているのだ。
「……私の場合は器用貧乏なだけで、そんなに誇れるようなことじゃないですよ」
だが、ネプギアはイストワールの思惑とは裏腹に謙遜気味に答えるが、「そんなことありませんよ。私なんて打撃しかできないですから羨ましい限りです」とファミ通は心底羨ましそうに言う。
ファミ通の武器は巨大なエビなので、斬ったり突いたりできず、棍棒のように殴るだけである。
ただ、それ故に打撃に特化しているので打撃に弱い相手には非常に強くなる。
「ネプギアさんの優れているところはその全て技を敵味方の状況に合わせて使えるところです」
イストワールはネプギアの万能ぶりを更にファミ通にアピールし続ける。
「……確かに……初心者の私も戦いやすかったし、自分の実力以上の力が出せた気がします。これがネプギア様の強さだと言うんですね」
ファミ通は今までの戦いで、ネプギアが適材適所でサポートしてくれたことを思い出して、しみじみと頷く。
「はい。どんな事態にも柔軟に対応できるネプギアさんの万能性は女神様の中でも屈指のものですよ」
ネプギアのことを話すイストワールは心なしか嬉しそうである。
母親が娘を自慢するかのようだった。
だが、ネプギアも最初から万能型であった訳ではない。
最初は憧れの姉であるネプテューヌと同じく、敵に対して高ダメージを出す【アタッカー】寄りの近接タイプを目指していたのだ。
しかし、ネプテューヌの役に立ちたいという思いから、ネプテューヌをサポートできるように、射撃と回復魔法を憶えたのだ。
更に、同じ女神候補生のユニ、ロム、ラムが全員後衛向けなので、彼女達を守る為に敵の攻撃を受け止める【タンク】の技術も身につけた。
次にタンクをしていく上で、自分の回復魔法の力不足を感じ、それを補う為に回復魔法が得意なロムに色々と習った。
相手が年下の子供でも素直に敬意を払って教えを乞うことができるのは彼女の美徳の一つである。
又、以前に守護女神達四人の戦闘スタイルが物理的な近接攻撃に偏っていることにより、それが効かない敵に苦戦を強いられていたことがあった。
次はそれをフォローできるようにと、ゲームで魔法使いをプレイしてみたり、攻撃魔法が得意なラムやイストワールに教えを乞うて色々な攻撃魔法が使えるようになったのだ。
ちなみにその苦戦した戦いというのは守護女神達四人がネクストフォームという新形態に覚醒したという晴れ舞台であった。
だが、物理攻撃が効かず魔法が得意な女神候補生達にタッチしたというアクシデントがあったのだ。
勿論、このことは世間一般には語られず、ネプギアもこの件が魔法を勉強するきっかけになったと語ることもない。
このように彼女は一つの分野で活躍するより、仲間をサポートし誰かを守るために様々な技術を磨いてきたのである。
ネプギア自身が何事もそつなくこなすことが出来ることもあるが、それ以上に【誰かを守りたい役に立ちたい】、という強い意志からくる努力の賜物なのだ。
そのお陰で今のネプギアはマルチな戦士として活躍でき、相手によって無力化するような事態は殆どない。
「そんなにおだてないで下さい……私なんて全然なんですから……」
イストワールとファミ通の二人に褒められ続けて真っ赤になって俯いてしまうネプギア。
照れ隠しに、俯きながら【もぐもぐ】とおにぎりを食べる。
「そうは言いますけど、ネプギア様の能力ってかなりのものなんじゃありませんか。試しにアナライザーで見せて下さいよ」
ファミ通が興味津々と言った感じで言うと、「プラエも気になるー!」とプラエも元気よく右手を上げる。
あんみつも、「私も興味があります」と言う。
「あっ……えっとその……私の測定だけ故障してるみたいなんですよ……」
ネプギアはそう言いながら気まずそうに両指をいじくる。
そこにイストワールが、「ネプギアさんのことですから、かなりのものなのでしょう」と言い、「その評価が自分で信じられないだけで合っていると私は思いますよ」と続けて言う。
「あう……」
ネプギアが困ったように肩を落とす。
イストワールの言う通りなのだろう。
「そうなの。見せて見せて、プラエ、ネプギアお姉さんのスゴイところ見たい」
プラエが嬉しそうに言うと、ネプギアは観念したかのようにNギアを操作してアナライザーを呼び出すと、「あ、あんまり信用しないで下さいね。私の測定だけ壊れているんですよきっと……」と言って自分の能力評価の欄を呼び出す。
彼女自身も自作のアプリ自体には自信があるのだが、自分の評価が高すぎて素直に受け入れられないのだ。
【ネプギア】
elemental(属性):地
character class(クラス):ナイト【HPと防御力が高く仲間を守る。スーパーアーマーあり】
growth(成長タイプ):晩成
hit point(HP):A
magic point(MP):B
power(攻撃力):A
shot(射撃力):B
magic(魔法攻撃力):B
support(回復&補助能力):A
weakened(弱体化&状態異常):C
defense(防御力):A
resist(魔法防御力):A
speed(スピード):B
stamina(スタミナ):A
accuracy(命中精度):B
avoidance(回避精度):A
capacity(最大シェア):S
dexterity(クリティカル率):B
cooperation(連携、合体技補正):S
luck(運):C
Intuition(直感):A
tension(シェア増加率):C
cool(シェア減少率):C
guts(HP減少時の能力補正):S
casting speed(詠唱速度):B
memory(記憶力):S
tactics(戦術):B
strategy(戦略):B
command(指揮):A
zone of control(ZOC):S
trick(策略):B
adaptation(適応力):S
learning(学習能力):S
viability(生活能力):S
politics(政治):B
mechanic(機械技術):S
computer(コンピューター技術):S
「これはこれは!!」
ファミ通が喜々とした目で測定結果を素早くメモに書き写す。
「殆どがAとB、それにSもかなりの数がありますよ」
あんみつが目を丸くして驚く、「ネプギアお姉さんスゴーーーイ! やっぱり、ネプギアお姉さんはプラエの憧れだよ」とプラエは飛び跳ねて喜ぶ。
三人の反応に慌てたネプギアは、「だから、測定ミスだよ~」と言って、あわあわと胸の前で両手を左右に振って恥ずかしがる。
「測定ミスなどではありませんよ。犯罪組織との戦いから今まで、ネプギアさんの地道な努力が実を結んだのです」
イストワールがそう言って優しく微笑むと、ネプギアは顔を真っ赤にしながらも、「……はい」と頷く。
それを見たファミ通は嬉しそうな顔で、「タンク職のナイトなのに攻撃力がAで、射撃も魔法もBってスゴイですよ。銃戦士やソルジャーだって、射撃か魔法なのに」と言う。
銃戦士とは近接攻撃メインで銃も得意なクラスで、現在はラステイションの守護女神ノワールとリーンボックスの守護女神のベールが激しいトップ争いをしているクラスだ。
ソルジャーはリーンボックスから発祥したクラスで、近接攻撃メインで魔法も得意なクラス、一番の実力者はゴールドサァドのエスーシャと言われているが、現在彼女は旅に出ており連絡が取れない。
「機動力や命中回避も、ファミ通殿よりワンランク上ですね」
あんみつが右手をあごに当てながら頷くと、「確かにネプギア様にはナイトの鈍重なイメージは無いね」とファミ通も頷く。
「も、もういいじゃないですか~。この辺にして、別の話をしましょうよ~」
ネプギアが恥ずかしそうに抗議するが、他のメンバーは話を止める気配を見せてくれない。
それどころか、「ここからがいいところだよ、ネプギアお姉さん」とプラエが言い、「最大シェアなんてSだよ」と嬉しそうに続けて言うと、ネプギアが泣きそうな声で、「こ、これは絶対に測定間違いだよ~。私なんかがSの筈ないよ~」言う。
「ネプギアさんは犯罪神を倒すときに、全ゲイムギョウ界の願いの力をその身一つで受け止めています。そこから地道な努力を続けていたとなればSでも不思議ではありませんよ」
イストワールが落ち着いた声でそう言うと、「それはそうかもしれませんけど……」とネプギアは恥ずかしそうに俯いてしまう。
「連携がSで戦術や指揮が高いって言うのは納得ですね。初心者の私がここまで戦えたのもネプギア様のおかげですし」
ファミ通が楽しそうにメモを取りながら言うと、「その……私とユニちゃんは女神候補生の年長組だから、ロムちゃんとラムちゃんを引っ張って行く為に二人で色々勉強しましたから……」とネプギアが恥ずかしそうに小さな声で答える。
もう自分のアナライズの話を止めさせることは諦めたようだ。
「ダミーバルーンなども上手に扱っていましたから、策略も高いんですね」
あんみつがそう言うと、「適応力や生活能力、学習能力が高いのも優等生のネプギアさんらしいです」とイストワールが続く。
「機械とかコンピューターにも、もの凄く強いんだね」
プラエがそう言うと、「そうなの! そこはすっごく嬉しいんだ!」とネプギアが急に前のめりになる。
プラエは目を丸くして、「ふあっ!?」と驚くが、「これなら波動砲とかコロニーレーザーとか使えると思うんだけどどうかな!」とネプギアは早口でまくしたてる。
「……ネプギア様、得意分野に入ったオタクみたいですね……」
ファミ通がやや呆れ気味に呟くと、「コレとネプテューヌさんに甘すぎることが無ければ完璧なのですが……」とイストワールがハの字眉毛で困ったように言う。
「いつかは空間跳躍とか量子化とかうんたらかんたら………」
ネプギアの熱弁は暫く続いたが、他のメンバーは食事と休憩に入っていた。
****
休憩を取ったネプギア達は更に奥に進む。
Nギアのレーダーでは周囲に敵の反応は無く、暫く敵に遭うことはないようなので、皆リラックスしているようだ。
時期がもう少し遅ければ、桜を楽しむことも出来ただろう。
「そういえば、あんみつさんは攻撃力すっごく高いですけど、やっぱり戦士かハンターなんですか?」
歩きながらファミ通があんみつに尋ねる。
あんみつは不思議そうに、「私は戦士ですけど、私のことなどが気になりますか?」とファミ通に質問を返す。
「ええ、謎の美少女に従う凄腕の和メイド。気になります。今までの戦いでも、あんみつさんの攻撃力の高さに助けられた場面も多いですし」
ファミ通が素直に質問に答える。
ちなみに戦士とは近接攻撃力が非常に高いクラス。
そしてハンターと言うのはルウィーで発祥されたクラスで戦士程の近接攻撃力は無いが、HPも高くナイトと同じように一部スーパーアーマーを持っている。
スーパーアーマーと言うのは、普通は相手から攻撃を受けると【のけぞる】、【よろめく】、【ダウンする】、などが発生し攻撃や移動などのアクションがキャンセル(中止)されてしまう事がある。
しかし、スーパーアーマー持ちとされるクラスには、このようなキャンセルが発生せず、即座に行動にへ転じられるという利点がある。
常時スーパーアーマーと言うのは稀で、ナイトの【かばう】などの一部の特別な技や技能の発動時にスーパーアーマーになる。
その為、ハンターは初心者向けの近接クラスで、戦士は玄人向けの攻撃クラスになる。
尚、戦士の最強はネプテューヌと噂されているが彼女自身があまり表立って活動しないので謎に包まれている。
ハンターはシーシャが最強と言われているが、彼女はエスーシャと共に旅に出ている。
「とりあえず、ネプギア様のアナライザーで見てもいいですか?」
ファミ通がそう提案すると、「どうぞ」とあんみつが短く答える。
「じゃあ、ちょっと失礼しますね」
ネプギアがそう言うとNギアを操作してアナライザーを起動させてあんみつを測定する。
【葛切あんみつ】
elemental(属性):水
character class(クラス):戦士【近接攻撃力が高い】
growth(成長タイプ):普通
hit point(HP):B
magic point(MP):E
power(攻撃力):S
shot(射撃力):E
magic(魔法攻撃力):E
support(回復&補助能力):E
weakened(弱体化&状態異常):E
defense(防御力):C
resist(魔法防御力):C
speed(スピード):B
stamina(スタミナ):B
accuracy(命中精度):A
avoidance(回避精度):B
capacity(最大シェア):E
dexterity(クリティカル率):S
cooperation(連携、合体技補正):C
luck(運):C
Intuition(直感):B
tension(シェア増加率):C
cool(シェア減少率):B
guts(HP減少時の能力補正):B
casting speed(詠唱速度):C
memory(記憶力):C
tactics(戦術):B
strategy(戦略):C
command(指揮):C
zone of control(ZOC):C
trick(策略):E
adaptation(適応力):B
learning(学習能力):B
viability(生活能力):S
politics(政治):C
mechanic(機械技術):E
computer(コンピューター技術):E
「おお~、潔いぐらいに近接攻撃向けの評価ですね」
ファミ通がそう言いながらメモを取ると、「葛切一刀流は刀と体術だけで戦う流派ですから」とあんみつが答える。
「あんみつはすっごく強いよ」
プラエが自慢気に言うと、「うん、能力も経験も凄いと思う。いつか私も剣を習おうなかって思ってるし」とネプギアが答える。
「なるほどなるほど」
ファミ通が頷きながらメモを取る。
メモを取りながら、「確かに今まで一度も被弾が無い上に、高い攻撃力でダメージ稼いでくれてますもんね」と言って再度頷いて納得する。
「ところで、機械技術とコンピューター技術が両方ともEなんですけど、これってもしかして……」
ファミ通がそう言うと、「……う……」と、あんみつが気まずそうな顔をする。
「そうなの。あんみつはメカ音痴なの。逆を言えばメカを壊す天才なの」
プラエが無邪気に言うと、「私、あんみつさんの年で、らくらく電話持ってる人初めて見ました」とネプギアが続いて言う。
「……このようなものは電話が出来れば良いのです」
あんみつは恥ずかしそうに言うが、「でも、ポケットは使えないとアイテム保管に困りますし、ポーチの使い方もちゃんと覚えた方がいいですよ。今度また教えますから、しっかり覚えましょうね」とネプギアに言われてしまう。
「……承知しております。かたじけない」
あんみつが申し訳なさそうに言う。
以前にもプラエと共にスマホや携帯ゲーム機などの端末操作をネプギアから教わったのだが、プラエはすぐに覚えたのに対して、あんみつはさっぱり覚えられなかったのだ。
(ネプギア様が教えて覚えられないって、どれだけ音痴なんだ……)
ファミ通はそんなことを考えながら、「戦士と言えばネプテューヌ様はどれぐらいスゴイんですか?」と質問をする。
その質問にネプギアの耳がピクリと動く。
「記者の間でも謎に包まれているんで差し支えなかったら教えて……」
ファミ通がそこまで言いかけると、「お姉ちゃんはとってもスゴイんですよ! 見て下さいコレ」とネプギアがいそいそとアナライザーのデータを呼び出す。
【ネプテューヌ】
elemental(属性):光
character class(クラス):戦士【近接攻撃力が高い】
growth(成長タイプ):早熟
hit point(HP):A
magic point(MP):E
power(攻撃力):S
shot(射撃力):C
magic(魔法攻撃力):E
support(回復&補助能力):C
weakened(弱体化&状態異常):E
defense(防御力):C
resist(魔法防御力):D
speed(スピード):A
stamina(スタミナ):C
accuracy(命中精度):A
avoidance(回避精度):A
capacity(最大シェア):A
dexterity(クリティカル率):S
cooperation(連携、合体技補正):A
luck(運):S
Intuition(直感):S
tension(シェア増加率):S
cool(シェア減少率):B
guts(HP減少時の能力補正):B
casting speed(詠唱速度):C
zone of control(ZOC):C
mechanic(機械技術):D
computer(コンピューター技術):D
「攻撃力が凄まじい上に、クリティカル率も運も抜群。防御は低いですけど、回避と命中が高いですから、当たらなければどうと言うことはありません! 一対一では最強間違いなしです!」
ネプギアがもの凄い早口でまくしたてる。
「ネプギアお姉さんがまたオタクの人になった」
プラエが少し残念そうな目でネプギアを見るが、ネプギアは気にせず、「あと、すっごく可愛いですし、プリン食べてる幸せそうな顔なんてもう……うんたらかんたら……」と語り始めてしまう。
「あれ? でも、このデータ少ないよ」
プラエがそう言うと、「ぎくっ……」とネプギアの動きと喋りがピタリと止まる。
「こほん……」
イストワールが咳ばらいを一つすると、「ネプギアさん、都合の悪いデータを隠すのは感心しませんよ」とネプギアに厳しい視線を向ける。
すると、「……ごめんなさい」とネプギアは素直に謝る。
イストワールは更に、「お母さん怒りませんから、ちゃんと全部見せて下さい」と諭すように言う。
「私じゃなくて、お姉ちゃんが怒られるんじゃないかなって……」
ネプギアが恐る恐る言うと、「大丈夫です。期待していませんから」とイストワールが冷静に言い放つ。
ネプギアは肩を落とすと、「それはそれで切ないような……」と両指をいじくる。
「なんて言うか、完全に親子ですね」
ファミ通がそう言うと、「姉の不出来を必死に隠す妹と言うのはいじらしいですけどね」とあんみつがそれに続く。
「えっと、これが残りのデータです」
ネプギアはそう言ってデータを呼び出す。
memory(記憶力):E
tactics(戦術):D
strategy(戦略):E
command(指揮):D
trick(策略):D
adaptation(適応力):S
learning(学習能力):E
viability(生活能力):E
politics(政治):E
良かれと思って隠したのだが、逆に別々に見せることにより、ネプテューヌのダメな面が際立ってしまったようだ。
「これは何と言いますか……」
ファミ通がかなり微妙な表情を浮かべる。相手が女神なので言葉を選んでいるようだ。
しかし、「ネプテューヌさんは頭が悪いの」とプラエが遠慮なしに言い放つ。
「誰とでも仲良くなれるから、適応力は高いんですよ!」
ネプギアが必死にフォローするが、「体育だけ高い子の通知票みたいですね」とあんみつが呟くと、「ううっ……」と意気消沈してしまう。
「期待はしていませんでしたが、予想以上にヒドイですね」
イストワールはそう言うと肩を落とす。
毎日ネプテューヌに悩まされている彼女は、【実は天才でした】というオチには微塵も期待していなかったようだ。
現に、ネプテューヌが政治や国の運営に口を出すと大体と言うか全て失敗に終わっていた。
「やっぱり、人には向き不向きがありますし……」
ネプギアがそう言うと、「とは言え、ハンコを押すだけの書類ぐらいはキチンと処理して欲しいですね」とイストワールが素早く切り返す。
ネプギアは肩を落として、「あうぅ……」と呻いてしまう。
少しでもネプテューヌをフォローしたいのだが、イストワールの方が数段上手のようだ。
「国のトップがこれではプラネテューヌも前途多難ですね」
あんみつが腕を組みながら呆れまじりに言う。
すると、ネプギアが、「大丈夫です。いーすんさんがいますから」と再びNギアを操作してアナライザーを呼び出す。
そこにはイストワールのデータが記録されていた。
【イストワール】
elemental(属性):光
character class(クラス):魔法使い【攻撃魔法重視】
growth(成長タイプ):普通
hit point(HP):E
magic point(MP):A
power(攻撃力):E
shot(射撃力):E
magic(魔法攻撃力):A
support(回復&補助能力):A
weakened(弱体化&状態異常):C
defense(防御力):E
resist(魔法防御力):A
speed(スピード):C
stamina(スタミナ):D
accuracy(命中精度):C
avoidance(回避精度):A
capacity(最大シェア):C
dexterity(クリティカル率):B
cooperation(連携、合体技補正):B
luck(運):C
Intuition(直感):D
tension(シェア増加率):C
cool(シェア減少率):A
guts(HP減少時の能力補正):E
casting speed(詠唱速度):A
memory(記憶力):S
tactics(戦術):B
strategy(戦略):S
command(指揮):B
zone of control(ZOC):E
trick(策略):A
adaptation(適応力):A
learning(学習能力):S
viability(生活能力):S
politics(政治):S
mechanic(機械技術):C
computer(コンピューター技術):A
「見事なまでにネプテューヌ様の出来ないところを補ってますね」
ファミ通は無難な言葉を選び回答をするが、「イストワールさん頭いい~。ネプテューヌさんと大違い」とプラエは相変わらず遠慮なしの感想を述べてくる。
「昔は歴史を記録するだけでしたから、ここまでのことはできなかったのですが……ネプテューヌさんの放蕩ぶりに付き合っている内に政治などにも詳しくなってしまって……」
イストワールが肩を落として愚痴をこぼすように言う。
あんみつは同情の眼差しで、「その苦労理解できます」とイストワールに言う。
プラエも、「イストワールさん、お疲れ様」と労いの言葉を掛ける。
二人ともこの一週間でのネプテューヌとイストワールのやり取りを見ていて、彼女はかなり苦労しているのだろうと理解していた。
「そもそも、ネプテューヌさんは……」
イストワールが愚痴を続けようとすると、「待ってください」とネプギアがイストワールを手で制する。
「レーダーに巨大な敵反応があります。ボスモンスターだと思います」
ネプギアがNギアを操作しながら続けて言う。
すると、全員の雰囲気が引き締まる。
「12時の方向。距離800です」
ネプギアがクロックポジションで敵の位置を伝えながら更にNギアを操作してポケットから双眼鏡を呼び出す。
ネプギアが双眼鏡をのぞくと、そこには今までより遥かに大きい全長5メートル前後の巨大なベーダー系のモンスターが一体ウロウロしている。
これがボスモンスター【ギガベーダー】である。
「こいつを倒せばクエスト終了か。取材も正念場だね」
同じように携帯望遠鏡でギガベーダーを発見したファミ通がカメラやペンを入念にチェックする。
「準備はいいですか?」
イストワールがそう言って全員に確認をするとネプギアが、「はい」と頷き、他のメンバーも次々と頷く。
道中でレベルも8にアップし、前衛のネプギアのHPも100以上になっていた。
先程、休憩も食事もしたので準備は万端と言ったところだ。
「吶喊します!」
ネプギアはそう言うとギガベーダーに向かって小走りに向かって行き、他のメンバーもその後に続く。
「ベダーーー!」
ネプギアに気付いたギガベーダーが大きな咆哮を上げて威嚇してくる。
「あなたに恨みはありませんけど、みんなが安全にお花見を楽しむために倒させてもらいます!」
ネプギアはそう言うと、走る速度を上げて更にギガベーダーに近づく。
それを迎え撃つようにギガベーダーもネプギアに滑るように近づいて行く。
「ベーダー!」
ギガベーダーが勢いに任せた体当たり攻撃を仕掛けてくる。
「はあっ!」
刀身で攻撃を受け止めるネプギア。
ガードはしているが、それでも25ダメージを受けてHPゲージが三割程減ってしまう。
ネプギアはそのまま鍔迫り合いに持ち込んで、ギガベーダーの動きを止める。
「流石です」
あんみつがギガベーダーの動きを止めたネプギアに賞賛を送ると同時に、ギガベーダの左側に回り込み、真横から袈裟斬りをする。
ギガベーダーに53のダメージが当たる。しかし、ボスであるギガベーダーにはスーパーアーマーの能力があり、この程度では怯まない。
あんみつの攻撃が当たると同時に、「プラエはこっちから!」とプラエが叫ぶとプラエの右中指から鎖が伸びる。
「クロックチェーン三時! 敵を粉砕して!」
鎖の先には重そうな分銅が付いており、それがは弧を描くようにギガベーダーの右側から襲い掛かる。
ギガベーダーに24のダメージが当たると、「よし背後を取れた!」とファミ通の嬉しそうな声が響く。
二人が攻撃をしている間に後ろに回り込んだのだ。
「とりゃー!」
ファミ通のエビによるフルスイングがギガベーダーに直撃すると49のダメージが当たる。
「ベダッ!?」
過剰なダメージを受けたことにより、スーパーアーマーが解除されて前のめりに態勢を崩すギガベーダー。
いかにスーパーアーマーといえど限界はあるのだ。
「はああああ!」
ネプギアはその隙を逃さずに力を籠めてギガベーダーを押し返すと、ギガベーダーは押し返された勢いで転倒する。
「隙だらけです! フォーミュラーエッジ!!」
ネプギアは一瞬にして間合いを詰めて、まだ倒れているギガベーダーに斬撃の乱舞を食らわせる。
【フォーミュラーエッジ】は斬属性の連続攻撃。8以上の細かいダメージが六連続で命中し合計で52のダメージが当たる。
「ベーーーダーーー!」
悲鳴に近い咆哮を上げるギガベーダー。HPゲージが五割近くまで減少する。
「好機!」
あんみつが叫ぶと同時に、「弧月剣!」と刀で弧を描きながら上昇をしギガベーダーを切り裂く。
ギガベーダーに72の大ダメージが当たると同時に、ギガベーダーが小さく浮き上がる。
重力魔法は使用していないが、あんみつの攻撃の威力で浮き上がったのだ。
「クロックチェーン三時! 敵を叩き落として!」
すかさずプラエが分銅の付いた鎖でギガベーダーを叩き落とすと27のダメージが当たる。
プラエとあんみつの長年の付き合いがなせる息の合ったコンビネーションだ。
「ファミ通さん!」
ネプギアの呼び声にファミ通がラジカルライドの準備をする。
「オッケー! いくよー! ラジカルライド!」
そのまま波に乗るように突撃して、倒れているギガベーダーを背後から轢き逃げして20前後のダメージを二回与え41のダメージが当たる。
ファミ通が通り過ぎたと同時に、「グラビティカット。怒りの鉄拳! ギアナックル!」とネプギアが力を溜めた正拳突きをお見舞いする。
「ベダダダーーー!」
巨大なギガベーダーが嘘のように転がって吹き飛ばされる。
【ギアナックル】とは打属性のパンチ、ノックバック効果がある。
【ノックバック】とは攻撃を受けた対象が吹き飛ばされ移動すること。
重力魔法の効果で巨大なギガベーダーを吹き飛ばすことができたのだ。66ダメージが当たりギガベーダーのHPゲージが半分以下になる。
「……我が記憶に眠る雄大なる大地よ……その力を持って、敵を穿て……」
今まで攻撃に参加していなかったイストワール。
彼女は後方で魔法の詠唱をしていたのである。
ペンネルで描かれた五芒星の魔法陣が茶色い光を放つ。
「大地の記憶よ!」
イストワールの手が光るとギガベーダーの吹き飛ばされた先の地面にも茶色い光を放つ五芒星の魔方陣が現れる。
魔方陣が光ると、地面が凄い勢いで隆起して鋭い槍が何本もできあがる。
【大地の記憶】とはイストワール専用の地属性魔法。
ザクザクザクッ!
凄まじい音と共に無数の大地の槍で串刺しになったギガベーダーは85のダメージを受ける。
ギガベーダーのHPゲージは0になっているようだった。
「終わったのかな……?」
ファミ通が安心したように一息つくと、「思ったより簡単だったね」と言い肩の力を抜いた瞬間、串刺しになっているギガベーダーが身震いをする。
「まだです! 来ます!」
ネプギアがそう言うと同時に、ギガベーダーは突き刺さった槍を強引にへし折って突撃してくる。
「「きゃーーーー!」」
巨体を生かした広範囲の突撃を受けて、前衛のネプギアと前に出ていたファミ通が直撃を受けて吹き飛ばされる。
「ファミ通さん、大丈夫ですか」
「いたた……流石はボス、思ったより手強いね」
立ち上がるネプギアとファミ通。
強力な攻撃を受けた二人は50近いダメージを受けて、HPゲージが半分近く減ってしまう。
ゲージの色もやや危険域を示す黄色に変化する。
「まずは回復を。天の恵み」
「ヒール」
ネプギアは自分を自身を、イストワールはファミ通を魔法で回復する。
二人のHPが八割近くまで回復する。
「おかしいな、倒したと思ったのにな~?」
ファミ通が首を傾げると、「ボスモンスターはHPゲージが何本もあります。それら全てをゼロにしないと倒せません」とイストワールが説明をする。
イストワールの言う通り、ボスモンスターのHPゲージは何重にもあり何回もゲージをゼロにしないと倒せないのである。
その為、一般のモンスターと比べるとHPの最大値が分かりにくい。
「そっか……なかなか手強いんだね」
ファミ通は武器を構えて気を取り直すと、ネプギアも、「でも、勝てない相手じゃありません。体当たりに巻き込まれないようにしつつ、連携と回復を崩さず慎重にいきましょう」と言ってビームソードを構え直す。
突撃による広範囲攻撃で、先程のように二人以上が同時に大ダメージを受けないように注意して、減少したHPを回復しつつ繰り返し連携攻撃でダメージを与えていけば勝てるとの考えだ。
「プラエちゃんは念の為、後列に下がって魔法重視の戦いに切り替えて」
ネプギアがプラエに指示を出すと、「うん、わかった」とプラエは素直に後列に下がる。
超能力による鎖の攻撃では、もしかしたらギガベーダーの攻撃に巻き込まれるかもしれないので、長距離攻撃の出来る魔法に切り換えようというのだ。
「ネプギア殿の言う通り、迂闊な行動は控え慎重に攻めていきましょう」
あんみつもネプギアの言うことに同意すると刀を中段に構えて戦闘態勢を取る。
「いえ、ここは短期決戦で決めましょう」
イストワールがそう意見をすると、ネプギアは「女神化ですか?」とイストワールの考えを確認する。
「はい、今こそ女神様の威光を示す時です!」
イストワールは力強くネプギアを鼓舞するように言うと、ネプギアは「わかりました!」とイストワールの言葉に頷く。
「ファミ通さん、あんみつさん、私と一緒に時間稼ぎをして下さい」
ネプギアが了承したのを確認したイストワールがファミ通に指示をすると、「プラエちゃんは私の時間を速くして」とネプギアがプラエに指示をする。
状況の分からないファミ通は、「一体なにを……?」とは首をかしげる。
プラエも、「ネプギアお姉さん、何をするの?」と不思議そうな顔でネプギアを見る。
「ネプギアさんの真の力を見せてあげます」
イストワールがファミ通に手短に説明をすると、ファミ通は頷いて「わかったよ。とりあえず時間を稼げばいいんだね」と了解する。
あんみつも詳しくは聞かずに、「承知しました」と答える。
そしてファミ通を前衛に三人はギガベーダーに立ち向かって行く。
「ベダーー!」
ギガベーダーが前衛のファミ通に体当たりで襲い掛かる。
「くっ……私だって防御くらい」
ファミ通はエビで防御態勢して攻撃を受け止める。
防御しているのでダメージは31で済んでいる。
流石に、ネプギアのように鍔迫り合いまでは持っていけないが時間稼ぎとしては上出来である。
「奥義、旋風裂剣」
あんみつが刀を大きく振り回すと竜巻が現れ、ギガベーダーに襲い掛かる。
ネプテューヌとの戦いでも見せて、飛び道具の剣技だ。
「ベダー!」
竜巻が当たると、ギガベーダーは52のダメージを受ける。
「まだまだ、疾風怒濤の攻めをみせましょう!」
あんみつは竜巻を盾にギガベーダーに接近しており、そう叫ぶと同時に跳躍する。
「ひとつ!」
跳躍からの右蹴りがギガベーダーに命中すると、35のダメージ当たり、「ふたつ!」と着地して直ぐに袈裟斬りで切り裂く。
ギガベーダーは更に48のダメージを受けると、「みっつ! 弧月剣!」とあんみつは素早く弧月剣に繋げて上昇をする。
以前にネプギアの使ったジャンプ強パンチからのアッパー龍昇拳のあんみつ版と言ったところだ。
69のダメージを受けたギガベーダーは、「ぶぇだーーー」と悲鳴を上げると、スーパーアーマーが解除され、弧月剣の勢いで上昇する。
「イストワール殿!」
弧月剣から着地したあんみつが叫ぶ。
「さすがはあんみつさん。素晴らしい攻めです! 私も力を見せなければ」
イストワールはそう言うと、「……凍えつく大気よ、我が呼びかけに応え、敵の動きを封じよ……」イストワールが呪文の詠唱を始める。
同時にペンネルがイストワール周りに青白い五芒星の魔法陣を描いている。
ギガベーダーは弧月剣の勢いで浮いたのち落下をして仰向けに倒れていた。
「アイスホールド!」
イストワールが魔法を唱えると、ギガベーダー落下した場所にも青白い五芒星の魔法陣が現れる。
「べだっ!?」
凍結する音と共にギガベーダーの足元が氷により凍りつき23ダメージが当たる。
【アイスホールド】は氷系の攻撃と障害を併せ持つ魔法。
ダメージを与えながらも凍結により相手の動きを妨害する。
「よし! 足が止まった!」
ギガベーダーの足が止まったことを確認したファミ通はバックステップで距離を取り、そのまま待機する。
あんみつも、「良い判断出すぞ、ファミ通殿」と言いながら後ろに下がる。
凍結したモンスターに下手に衝撃を与えると凍結が解除されてしまうので、時間稼ぎをしたいときは手を出さないのがセオリーである。
足元が凍りついて動けずにもがくギガベーダー。
「今です、ネプギアさん!」
イストワールは後方のネプギアに声を掛ける。
「はいっ!」
ネプギアそう答えると、「プラエちゃん、私の時間を!」と言いながら右腕を上げる。
プラエは目を閉じて両手を突き出す。プラエの目が蒼く光り、両手の十二本の指も同じように輝き始める。
「時間さん、プラエのお願いを聞いて。ネプギアお姉さんの時間を速くしてあげて」
プラエがそう言った瞬間にネプギアの感覚に変化が起こる。
全てのものがスローモーションに見えるようになったのだ。
それを確認したネプギアが、「刮目して下さい!」と叫ぶ。すると高く掲げた右の手のひらに電源マークのようなクリスタルが落ちてくる。
ネプギアはそのクリスタルを自分の胸に押し当てるとクリスタルはネプギアに吸い込まれるようにネプギアの体に入ってくる。
同時にネプギアの体が空中に浮かび上がり激しく発光する。
光が収まるとネプギアの姿に変化が起こる。
瞳は蒼くなり、その奥には電源マークのような模様が浮かび上がっている。
電源マークに白い光が灯るが、それは完全ではなく右側の曲線部分だけは光らない、これは女神候補生の特性で、完全な守護女神は電源マーク全てに白い光が灯る。
元々長かった髪は更に伸びて、肩甲骨のあたりで左右わかれていて綺麗な背中がよく見える、色も薄紫から殆どピンクに近い色になっていた。
着ている服もラバーのような光沢がある素材で胸元の開いたレオタードのようなものになる、色は白く所々に薄紫色の模様が付いている。
手には同じくラバーのような素材で指先から二の腕の半分まで覆う長い手袋をはめて、足も同じ素材のサイハイブーツをはいていた。
続いて足、腰、肩、背中、頭と次々に白に紫の模様が入った機械のパーツが装着される。
両足には鳥の羽を意匠したようなパーツ。
腰には鎧の草摺のような細長いパーツが左右に三つずつ合計六個。
両肩には肩パッドのような丸みのあるパーツ。
背中には、透明で薄紫色に光るモンシロチョウの羽のような扇形の羽のパーツ。
最後に頭の左側に、丸い髪飾りに鳥の羽を意匠したものが付いたようなパーツが装着される。
頭のパーツ以外は体に密着しているのではなく、体からやや離れた場所に浮遊している。
「プロセッサユニット装着完了!」
パーツの装着が完了したネプギアはビシッとポーズを決める。
変身前の清楚な雰囲気は残しつつも、均等の取れた体のラインが綺麗に見える衣装に、周囲に浮遊している機械のパーツや光り輝く羽を纏うその姿は神秘的で女神と呼ぶに相応しかった。
宝石などの光り物を身に纏う古代の神とは違う、機械を見に纏う近代の神と言ったところだ。
完全に変身が完了するまでには、やや時間がかかるものの、プラエの能力により大幅に時間の短縮がされている。
「これが……女神様……」
ファミ通がネプギアの変化に目を丸くする。
女神候補生はあまりメディアへの出演が多くない上に殆ど変身した姿を見せないので、ファミ通もこの姿を見るのは初めてだった。
「そうです、これがネプギアさんの真の姿。プラネテューヌの女神候補生パープルシスター様です」
イストワールは誇らしげに女神化したネプギアの名を紹介する。
パープルシスターとは女神化で変身したネプギアの名前である。
ただ、この名前で呼ばれることは少なく変身後も元の名前であるネプギアと呼ばれることの方が多い。
これはネプギアに限らず他の女神達もそうである。
「プラエちゃん、時間を戻していいよ。ありがとね」
ネプギアがプラエの頭を撫でながら言うと、「うん!」とプラエが嬉しそうに頷く。
「ネプギアお姉さん凄く綺麗!! 髪も胸も手も足も全部ぜぇぇぇんぶ素敵! キラキラに輝いてるよ!」
プラエが全力でネプギアを褒めると、「ありがとう」とネプギアが微笑む。
「……なるほど、変身の為の時間稼ぎだったのですね」
あんみつがそう言って納得をすると、「見た目の可憐さとは裏腹に凄まじいパワーを感じる……これが女神の力……」と言って軽く身震いをする。
「手加減はしません。本気で行きます!」
ネプギアはそう言いながら空中に浮かび上がるとそのまま上空に上って行く。
女神化すると姿形が変わるだけで無く空を飛んで移動できるようになる。
空中で停止したネプギアは、右手に持っている白い巨大な武器をギガベーダーに向けて構える。
「行くよ、M.P.B.L」
ネプギアは自分の相棒である武器に語りかける。
M.P.B.L【エムピービーエル】
マルチプルビームランチャーの略称。
女神化したネプギアのメイン武器である。
ビームに実弾等様々な弾を発射できる銃の下部にブレードが付いた銃剣。
この武器により変身前より遠距離攻撃が格段にパワーアップする。
形状がやや特殊で直角二等辺三角形よう形をしており、直角の縦線にあたる部分にグリップとトリガーが付いている。
そして底辺の先にブレードがくっついている。
これもボムを同じく、ゲームで出てくるロボットのものを参考にして作られている。
ちなみにそのゲームではM.P.B.Lとボムを持つロボットは主役機として活躍している。
「当たって!」
ネプギアがそう言うと、M.P.B.Lの銃口から二発のビームが放たれた。
凍結して避けることの出来なかったギガベーダーはビームの直撃を受けて大きく仰け反る。
「ベーーーダーーー!」
ギガベーダーが絶叫を上げる。
一発あたり200以上ダメージが当たり合計ダメージが400を超える。
そのダメージ量は一発だけでもあんみつの連携攻撃よりも上であった。
「……たった二発であんな……」
初めて女神の力を間近でみるファミ通は震えが止まらなかった。
「続けていきます!」
銃撃が当たると同時にネプギアは急降下して、正面からギガベーダーに接近していた。
ネプギアの降下した軌道には美しい薄紫色の光が残されている。
ギガベーダーは攻撃により凍結は解除されていたが、銃撃による仰け反り状態でまだ動くことができる状態ではなかった。
ギガベーダーのスーパーアーマーでは女神化したネプギアの攻撃を防ぐことはできないようだ。
「はあっ!」
ネプギア落下スピードに乗ったままギガベーダーを正面から斬り抜ける。
「べだっ!?」
その一撃で523ダメージが当たる。
「もう一撃!」
背後に回ったネプギアは素早く旋回して再度ギガベーダーの背中に接近する。
「ネプギアお姉さん、とっても綺麗……」
プラエが呟く。
ネプギアの通った場所に残す美しい光の軌跡は、離れた場所で戦いを見守るプラエ達を魅了していた。
「高速剣! フォーミュラーエッジ!」
ギガベーダーは振り向く間もなくフォーミュラーエッジの直撃を受ける。
「べぇぇぇぇだぁぁぁ!!」
ネプギアだった頃と威力とスピードが桁違いなのが、ギガベーダーの悲鳴とグングン減少するHPゲージが物語っている。
一発あたり200以上ダメージが当たり合計で1200以上のダメージが当たる。
「ベーダー!!」
ギガベーダーもやられてばかりではない、態勢を整えるとネプギアに向かって体を大きく震わせて大暴れする。
「はっ!」
avoid。
しかし、ネプギアは華麗なバク転で攻撃を避ける。
女神化により攻撃力だけではなく回避力もアップしていた。
「べだー!」
ギガベーダーはバク転で後方に下がったネプギアに対して、突っ込んで体当たり攻撃を繰り出してくる。
「止まって見えます」
avoid、今度は側転で避けるネプギア。
「べだだだだだだだだだ!」
ムキになったギガベーダーは無茶苦茶に体当たりの連続攻撃を仕掛けて来た。
「よっ! はっ! ふっ!」
avoid、avoid、avoid、avoid。
ネプギアは、側転、バク転、スウェーを巧みに使い全ての攻撃を避ける。
薄紫色の光の軌跡は回避の度にも光輝き、その美しさは妖精の踊りのように幻想的であった。
「すごい! すごいよ!」
ファミ通はカメラを撮りながら女神化したネプギアの活躍に興奮している。
カメラのシャッター音とフラッシュの光が連続する。
「ところで、ネプギア様の周りに浮いているあの機械はなんなんですか?」
ファミ通は写真を取りながらイストワールに質問をする。
「あれはプロセッサユニット、女神様の力の増幅装置です」
【プロセッサユニット】はパープルシスターになったネプギアに装着され周囲に浮いているパーツのことである。
このパーツにより女神の力が増幅される神器と言ってよいもの。
現在、コア、ヘッド、バック、ショルダー、ウエスト、レッグの六種を装備できる。
かって犯罪組織との戦いの際に女神たちが不在の間に各国が独自に開発した女神専用対マジェコンヌ装備。
公には各国が独自に開発したことにされているが、実際はイストワールの技術開発によるもの。
プラネテューヌで以前から実用化されている技術だが、プラネテューヌの技術だけでは限界を感じたイストワールにより、プロセッサユニットの技術を極秘裏に各国に流された。
それにより各国の技術が取り入れられたプロセッサユニットが開発されたのだ。
「空を飛べるのもプロセッサユニットの機能ですか?」
ファミ通の質問にイストワールは頷くと、「はい、ネプギアさんの考えたGGシステムとシェアエネルギーフライトで空を飛べるようになりました」と答える。
G.C.2012頃までは女神は地上をホバリングで浮遊するだけであったが、G.C.2015にはプロセッサユニットに【GGシステム】と呼ばれる反重力装置を組み込み、更にバーニアを使った【シェアエネルギーフライト】で空を自由に飛んで海を渡ったりすることができるようになる。
実質的に経った期間は三年だが、この技術は三年間で開発された物ではない。
ネプギアが以前に行った神次元は、当時は超次元との時間の流れが違っており、神次元の一年が超次元の一日に当たる時間の流れの差だったのだ。
その為、ネプギアが神次元に居た時間は約十七年程に及ぶ。
彼女はその時間の流れの差を有効に利用し、家事や子供の世話に女神の仕事をこなす合間に超次元と神次元のプロセッサユニットの技術の折衷を行っていたのだ。
十七年の間にネプギアは神次元の開発者達と共にプロセッサユニットの研究に励んだ。
それにより、プロセッサユニットに内蔵可能な小ささでシェアエネルギーと重力魔法の二つのエネルギーで動くGGシステムの基礎を作り上げた。
これは当時の強大な敵であったエディンの女神への対抗策となる予定だったが、間に合わずに戦いが終わってしまう。
ちなみにGGシステムは、グラビティ・ギア・システムの略。
当初はグラビティ・コントロール・システムだったが、開発者達の熱望で基礎理論を作ったネプギアのギアの文字と変速機を合わせることで、グラビティ・ギア・システムの名前になる。
魔法による重力コントロールは一瞬から数分が限界なのに対して、この機械は長時間の間、重力を軽くして浮くことが出来る。
ブレインマシンインターフェースにより使用者にかかる重力を任意に変更ができる為、これにより飛行が可能になる。
戦いを終えて超次元に戻ったネプギアはプロセッサユニットの開発者であるイストワールと共にGGシステム更なる改良を行う。
ネプギアとイストワールの考えた改良案に、プラネテューヌの科学力、ラステイションの技術力、ルウィーの魔法力、リーンボックスの軍事力を更に折衷させて、プロセッサユニットに小型高性能のGGシステムに推進機のバーニアを搭載することに成功した。
これがシェアエネルギーフライトである。先程からネプギアが見せている薄紫色の光はシェアエネルギーによるバーニアの噴射光なのだ。
このシェアエネルギーフライトを使った機動力は、女神本人の素早さの他に、推進機とGGシステムを動かすシェアエネルギーの多さ、重力魔法の強さと重力の上げ下げ調整の三つの要素によって左右される。
ちなみに魔法が得意じゃない女神に対しては重力魔法はオートで制御されている。
シェアエネルギーフライトは重力のコントロールと推進機により自由な機動を実現できる。
マニュアルとオートマチックがあり、マニュアルはコントロールが難しいが高度な機動が可能になる。
下降の際には故意に重力を上げて重力加速度で下降速度を上げることも出来る。
急激に重力を変えるのは体の負担が大きいので普段はオートマチックを使う。
これを動かすのには莫大なエネルギーが必要であり、現時点では女神のシェアエネルギーで動かすか、大型の物を作り巨大な戦艦に積む等の方法しかない。
先ほどのネプギアの高速の急降下や旋回に連続した回避も、内蔵されたメインバーニアによる直線的な加速、姿勢制御用のサブバーニアによるに精密な回避運動、重力魔法の調整による急上昇と急下降のスピードアップを駆使したものだ。
又、プロセッサユニットを含めた女神用の装備は変身前の武器と同じく、ポーチに収納されている。
ネプギアはGGシステムの他に、プロセッサユニットの強化案や局地用のプロセッサユニットやクエストに合わせた高機動型や重装備型の案を作成し、それは今もプラネテューヌを中心に研究が進められている。
他にも超次元に帰る為に次元移動の研究も独自に行って、それをプロセッサユニットに搭載できないかと研究をしていたが、実現には至らなかった。
しかし、そこで次元座標などの次元移動に関する基礎的な知識は身に付けたらしい。
「べ~~だぁ……べーだぁぁ……」
攻撃をしすぎたギガベーダーは呼吸を荒くしている。
スタミナゲージが0になっているのでスタミナ切れである。
この状態になると暫く身動きが取れなくなる。
対するネプギアは汗一つかいていない。
女神になるとスタミナも上がるだけでなく、プロセッサユニットのバーニアの噴射による回避は素早い上に女神本体のスタミナ消費が少ないのである。
尚、バーニアも女神の意思一つで手足のように自由に噴射できる。
「ネプギアさん、私が力を貸します。一気に決めて下さい」
イストワールがネプギアに声を掛けると、「はいっ!」とネプギアは返事をする。
同時にプロセッサユニットのスラスターの推力を前方に集中させ高速で後退する。
「あなたに力を……」
イストワールは祈るように目を閉じる。
ネプギアは後退を止めて、「発射シークエンス入ります。ロングレンジバレル、シェアエネルギー受信システム転送!」と言うとM.P.B.Lの銃口に長い銃身、後部にはリフレクターが装着される。
「シェアエネルギー来ます!」
イストワールの言葉と同時にプラネテューヌ方面から一筋の光がM.P.B.Lに注がれると装着したリフレクターが薄紫色の光を放つ。
「べだーーーー!」
しかし、スタミナ切れから回復したギガベーダーが大きな角をネプギアの方に向ける。
ネプギアに向けて角から巨大な電撃が放たれる。
「危ない!」
あんみつが叫ぶ。
「Gビット! 私を護って!」
ネプギアがそう言うと、背中から五基のGビットが発射される。
五基のGビットはバーニアを吹かして移動し、ネプギアの四方で四つ、真上に一つと配置すると、それぞれが光線を発射しネプギアが光の線で描かれた四角推に囲まれたようになる。
光の線からピンク色の光の膜が広がり、それが繋がるとピンク色に光るピラミッド形成される。
飛んで来た電撃がピラミッドに接触するが、ピラミッドの膜はびくともせずに電撃を打ち消す。
ダメージが0と表示されネプギアへのダメージはまったくないようだ。
「わわっ! スゴイ! なにあれバリア?」
プラエがその光景に歓声を上げると、「あれはNG粒子によるビームバリアです」とイストワールが説明を加える。
「NG粒子とは何ですか?」
ファミ通がイストワールに質問すると、「NG粒子は以前にネプギアさんが発見したNP粒子を進化させたものです。このNG粒子にはビームなどを強化する性質があります。それによりバリアが作れるまでの出力を得られたのです」と答える。
【NG粒子】イストワールの言う通り、ネプギアが以前に発見したNP粒子を改良したものである。
以前のNP粒子は一部の武器に試験的に運用されただけだが、武器以外の用途にも転用を可能にしたものがNG粒子である。
その一つにビームの出力を上げる効果があり、Gビットによるバリア機能はその恩恵によるもの。
NGとはノーグッドのNo Goodではなく改良したネプギアの【Nep Gear】の意味のNG。
イストワールの言うようにビーム等を増強することから、多数の成長を意味するニューモラス・グロー【Numerous Grow】のNG。
他にも遺伝子に良い効果をもたらす性質も見つかっており、新しいの他に復活やリニューアルを意味するNeoと遺伝子のGeneをあわせたネオ・ジーン【Neo Gene】のNG。
それにより新世代のエネルギーとして期待されたニュー・ジェネレーション【New Generation】の四つの意味を持ったNGなのである。
決してGとNを逆にしてはいけない。
イストワールがNG粒子のことを説明している間に、ネプギアのM.P.B.Lに装着されたリフレクターが更に激しく発光する。
ネプギアは両手でM.P.B.Lを構えると、ネプギアの視界にグリーンの線で描かれたレティクルが現れる。
両手に持ったM.P.B.Lを動かすと、それに連動してレティクルも動く。
ネプギアはレティクルを慎重に動かし照準の真ん中にギガベーダーを捉える。
ピー!
警告音と共に【Lock on】と赤い文字が点滅する。
「照準、発射態勢……オールクリア!」
ネプギアがつぶやく。
女神化したネプギアはFCS【ファイアーコントロールシステム】を使うことが出来る。
FCSとは射撃統制システムと呼ばれ、目標に対して効果的な射撃を行うために射撃計算をすることである。
その為、女神化したネプギアは機械のように精密な予測射撃を行うことができる。
「エネルギー充電100%。撃てます」
M.P.B.Lから機械音声が聞こえてくる。
「シェアエネルギーキャノン発射!」
ネプギアがM.P.B.Lのトリガーが引くと巨大なエネルギーがギガベーダーを襲う。
「????!!!!」
ギガベーダーは絶叫を上げる暇もなくエネルギーの奔流に呑まれる。
ネプギアはエネルギーの照射の反動に耐える為に両足で踏ん張り、プロセッサユニットのスラスターを後方に噴射させる。
「くぅぅぅ!」
数秒のエネルギーの照射が終わるとギガベーダーは8000以上のダメージを受けて、【Over kill】の表示と共に消滅する。
ギガベーダーが居た場所には抉られた地面だけが残っていた。
「これが女神の力……」
あんみつが驚きの声を上げる。
ネプギアとイストワールの合体技【シェアエネルギーキャノン】。
プラネテューヌのシェアエネルギーを直接M.P.B.Lに送り極大のビームを放つ技。
現在のプラネテューヌのシェアの状況により、威力やチャージ時間が変化する。
照射が終わりネプギアがM.P.B.Lの銃口を降ろすと同時に背中にある羽のプロセッサユニットとM.P.B.Lのリフレクターから大量の薄紫の粒子が放出される。
シェアエネルギーキャノンの余剰エネルギーが排出されたのだ。
その余剰エネルギーが桜の木に降り注ぐと、桜の花が咲き始める。
「おおっ!?」
ファミ通が驚きの声を上げ、「わあっ!」とプラエが歓声を上げる。
「これは……」
ネプギアもその現象に気付くと、「よしっ!」と意気込み空高く舞い上がると周囲に粒子を振りまくように旋回を始めた。
振りまかれた粒子が次々と花を咲かせる。
「現代の花さか爺さんのようですね。さしずめ花さか女神と言ったところでしょうか」
あんみつが上空を眺めながら呟くと、「いいですね~。それいただきです」とファミ通が写真を撮りながらサムズアップを決める。
プラエも上空のネプギアを見ながら、「ネプギアお姉さん素敵……」と惚れ惚れしたように顔を赤くする。
粒子は風に流されてサクラナミキ全体に花を咲かせる。
「サクラナミキ全体がネプギアさんの勝利を祝福しているようにも見えますね」
イストワールが嬉しそうに言う。
ネプギアは余剰エネルギーが 無くなるまで旋回を続け、ファミ通はそれを嬉しそうに写真におさめる。
プラエはネプギアに見とれ、イストワールとあんみつは桜の開花を楽しんでいた。
暫くして、余剰エネルギーが無くなったネプギアが降下してくる。
「少しやりすぎだったでしょうか?」
咲き乱れる桜とシェアエネルギーキャノンで抉れた地表を眺めながらネプギアがイストワールに尋ねる。
「大丈夫です、問題ありません。人々は女神様による桜の開花を喜びますよ。それにこれだけの力を見せつければ暫くモンスターも近寄らないでしょう」
心配そうにしているネプギアに対してイストワールは安心するよう助言する。
「それならよかったです。オーバーキルによる加護でも暫くモンスターは近づかないでしょうし、みんなが安全にお花見を楽しめますね」
そう言ってネプギアは安心をする。
イストワールは更に、「それにオーバキルによるボーナスポイントでシェアエネルギーは大きく上昇するでしょう」と続けて答える。
「ネプギア様、凄いね! これならいい記事が書けそうだよ!」
着地したネプギアにファミ通が興奮気味に言い寄って来る。
「私が凄いんじゃないですよ。これは私達を信仰してシェアエネルギーを与えてくれる国民のみなさんの力ですから」
ネプギアは興奮しているファミ通を宥めるように言うが、イストワールは、「ネプギアさんらしい言い方ですが、もう少しご自分を誇られても良いのではないでしょうか?」と進言する
ネプギアには、もう少し堂々と構えて欲しかったイストワールは少し不満そうに。
「ですけど、国民のみなさんへの感謝の気持ちは常に忘れないようにしたいですから」
しかし、ネプギアは自分のスタンスを変えるつもりはないようだった。
女神化することで少し強気になり、変身前より自分の意見をハッキリと言えるようになる。
「流石はネプギア様、その謙虚さは記事にもバッチリ書かせてもらうよ」
だがファミ通はネプギアの性格を好意的に捉えており、控えめな態度も満足なようだった。
「ふふっ……どうやら私の杞憂だったようですね」
ファミ通がネプギアに派手なパフォーマンスを期待しているものと考えてていたイストワールはファミ通の言葉に安心したようだ。
「どうやら、私の期待通りの記者さんだったようです」
イストワールはネプギアの性格を受け入れてくれたファミ通に感謝をした。
「ネプギア殿、お見事です。これなら、安心してプラエ様を任せることができます」
あんみつが明るい声でネプギアを賞賛すると、「そんな……結婚なんて、プラエまだ早いよ……」とプラエが顔を真っ赤にして両手でほっぺたを持ちつつ首を左右に振る。
「いえ……そう言う意味では……」
あんみつは困った顔をし、「申し訳ありません。ネプギア殿が変身されてから、プラエ様はずっとこのような調子で……」と続ける。
「だって、ネプギアお姉さんは、ただでさえ素敵なのに、女神様になるときらきらのぴかぴかですっごく強いだもん」
プラエはそう言うと再び両手でほっぺたを持ちつつ首を左右に振る。
「ありがとう、プラエちゃん、私って女神になっても変化が少ないこと気にしてたんだけど、プラエちゃんみたいに褒めてくれる人がいるなら、このままでもいいかな」
ネプギアがそう言うと、「ネプギアお姉さんは元々素敵なんだから変わる必要なんてないよ。これぐらいで十分だよ」とプラエが断言する。
「しかし、ここまでの力とは驚きましたよ」
あんみつがネプギアにそう言うと、「隠していた訳じゃないんです。さっきも言いましたけど、この力は私達を信仰してシェアエネルギーを与えてくれる国民のみなさんの力ですから、おいそれと使うわけにはいかないんです」とネプギアが答える。
「自分が楽をしたいとか見せびらかしたいとか、そういう理由で使っていい力じゃ無いんです。あくまでゲイムギョウ界とそこに住む人達の為に使う力だと私は思っています」
ネプギアがそう言うと、あんみつは拍手をして、「立派なお考えですぞ」と頷く。
イストワールも、「さすがはネプギアさん、素晴らしいお考えです」と拍手をする。
「うん、ネプギアお姉さん偉い」
プラエがそう言って拍手をすると、「私もそう思うよ。記事にもバッチリ書くから見ててね」とファミ通も拍手をする。
「そ、そんなに褒めないで下さい……」
みんなに拍手をされたネプギアは俯いて顔を赤くしてしまう。
「そういうところも、可愛くてグーですよ」
ファミ通はそう言いながら写真を取った。
「も、もうっ……ファミ通さん」
更に顔を赤くするネプギア。
こうして今回のクエストと取材は大成功に終わったのだった。