新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
ネプギア達が、シャンタク鳥を殲滅させる少し前。
「くそっ……あの小娘共め。訳の分からない物を付けおって、しかも、デバフまでかけおって……」
ネプギアとユニにクレイショットやコールタールを、水かきなどの泳ぐのに重要な部分に付けられた上にデバフでスピードも落ちているダゴンは、もがくように泳いでネプギア達から離れつつ海底に潜って行った。
ダゴンがネプギアのファントムシージーで付けられた幽霊に進路を妨害されると、バランスを崩し、「ええい、上手く泳げん」と毒づくと、「しかも頭がガンガン痛む」と頭を抑える。
ユニに当てられた、フリークアウト弾の幻覚効果で暫く右往左往していた上に、その後遺症で二日酔いのような頭痛がするのだ。
「しかし、ここまで逃げれば追ってはこれまい。後で覚えておけよ」
ダゴンはそう言いながら海底を目指して泳いで行くが、ダゴンの右足に突然縄のような物がグルグルと絡みつく。
ダゴンが、「ん?」と違和感を感じた時には既に遅く、ダゴンの体は上に引っ張られて行く。
「うおおおおおお!?」
雄叫びを上げながら上昇していくダゴン。
ダゴンは海面に引きずりだされ、「ぬおおおおお!」という叫びと共に空中に放り投げられる。
「きゃははははは! つれたー! つれたよ。ぷるると!」
元気一杯で天真爛漫な笑い声が響き渡る。
彼女は女神のようで、ネプギア達と同じようにゴムのようなぴっちりした胸元の空いた白いレオタードを着て、二の腕の半分まで覆う同色のアームカバーと太ももの半分まで覆うサイハイブーツを履いている。
髪と瞳の色は黄色く、髪型は長めのポニーテールだ。
プロセッサユニットは白と黄色の鳥を意匠したものになっている。
特に目立つのはベール以上のバストの大きさだ。
「ピーシェちゃん、お上手ねぇ~」
先程の明るい声の女神の隣では真逆な妖艶な声を上げる女神がいた。
彼女は以前に神次元で見た女神化したプルルートこそアイリスハートであった。
プルルートの言う通り、元気いっぱいの黄色と白の女神は変身したピーシェなのだ。
ちなみに彼女の女神名はイエローハート、
「それにしても、随分と醜い魚が釣れたものねぇ~。食べられるのかしら?」
プルルートがダゴンを見下すように言い放つと、その隣にいた女神が、「うわっ、チョーキモい。食べるとか無理ー」と嫌そうな声を上げる。
彼女は以前にネプギアを助けた、天王星うずめの女神化した姿、オレンジハートだ。
「いや、ナスと合わせれば意外とイケるかもしれないぞ」
今度は黒い衣装を身に着けた女神らしき人物が言う。
ベリーショートヘアで黒いビキニタイプのプロセッサユニットを着て、背中に大きな黒い四枚羽のプロセッサユニットを身に着けていた。
「マジェコンヌちゃんってば鬼畜ね~。こんなグロい魚にナスを合わせて、ねぷちゃんに食べさそうだなんて~」
プルルートが嬉しそうにマジェコンヌと呼んだ女性に妖しい笑みを浮かべる。
マジェコンヌはやや顔を引きつらせながらも、「いや、ネプテューヌに食わせるまでは言っていないぞ。だが、それは良いアイデアだな」と言うとニヤリと微笑む。
マジェコンヌはとある理由でプルルートが苦手なのだ。
そして何故かネプテューヌを非常に嫌っている。
マジェコンヌはかっての犯罪組織の名前と同じで、姿も犯罪神と同じだが、その関係は謎に包まれている。
このマジェコンヌは神次元に住み、神次元に迷い込んだネプテューヌの邪魔を何度かしたが、紆余曲折の末に今はナス農家として暮らしている。
「ママー! パパー!釣れたよー!」
ピーシェは自分たちより更に上空に居る、空に浮く飛行ユニットのようなものに乗ったアノネデスとその隣の女神らしき人物に声を掛ける。
女神らしき人物は青い髪に瞳、それに女神が着ている、ぴっちりした黒いレオタードとアームカバーとサイハイブーツ。
頭には悪魔のような白い二本の角と、顔には左目を隠す眼帯のようなプロセッサユニットと、背中に大きい白い羽のプロセッサユニットにサファイアの色のような透明なパーツが付いている。
「あんなデカブツを吊り上げるなんて、相変わらずの馬鹿力ねぇ~」
アノネデスはそう言うと、隣の女神らしき人物の方を向いて、「ね? レイちゃん」と尋ねる。
「だまれ! クソオカマ……!!」
レイと呼ばれた女神はそう怒鳴ると、赤黒い巨大な弾を海面に叩きつける。
叩きつけられた弾は大爆発が起こして海が大きく揺れる。
「ああっ、ごめんなさい、ごめんなさい……ううっ……」
その直後、急に弱気になってアノネデスに謝る。
女神らしき人物は古のタリの力を取り戻したキセイジョウ・レイで、力を手にすると横暴な性格に豹変してしまう彼女だが、今の彼女は横暴な性格と元の気弱な性格が戦っているようだ。
「ママ、苦しそう……大丈夫かな?」
ピーシェが心配そうにキセイジョウ・レイを見るが、プルルートは退屈そうな顔でキセイジョウ・レイを見上げる。
そして、「さぁ? あたし、あんなおばさんが苦しんでるの見るの趣味じゃないから、じらされても嬉しくないわぁ~。女神の力を捨てるなり取り込むなり、さっさと決めて欲しいわねぇ~」とキセイジョウ・レイを突き放す。
「ぷるると、どうしてそんなこと言うの? やっぱり、あのボークって人のせい?」
ピーシェが悲しそうに言うと、「あら? あたしはあたしよ。ボークちゃんもイクスちゃんも関係ないわ」とプルルートが言う。
「……ママ……頑張って」
ピーシェはプルルートと話すことを諦めて、祈るようにキセイジョウ・レイを応援する。
***
「キセイジョウ・レイにタリの女神の力を戻した!?」
女神化を解いたノワールが驚きの声を上げる。
ヘリコプターに戻ったネプギア達は、休憩の為に女神化を解いた後に、今何が起きているのかをネプギアが説明していた。
「……詳しく説明してくれるかしら?」
ブランがネプギアを見ながらやや不機嫌な顔で問いかける。
キセイジョウ・レイに力を返すことがどれだけ危険なことか分かっているか? と言いたげな表情だ。
「ええとですね……」
ネプギアは更に説明を続ける。
***
時間は少し遡り、ネプギアは大きなネプテューヌと通信をして、クロワールと話していた時。
「それと、もう一つクロワールさんにお願いがあるんですけど」
大きいネプテューヌとクロワールのやり取りを見てクロワールの事を少し気の毒に思ったネプギアが少し申し訳なさそうに言うと、「なんだよ。まだ何かあるのかよ?」とクロワールが不機嫌そうに答える。
「タリの女神の力、まだ持ってますよね?」
ネプギアが質問すると、「なあっ!? 何でそんなことまで知ってんだ?」とクロワールが驚愕の表情をする。
ネプギアは、「次元移動の追跡している間に反応がありました」と落ち着いて言うと、「本当にティンダロスの猟犬じゃないのか……?」とクロワールが震えながら答える。
【タリの女神の力】とは、神次元の何万年も前の国であるタリの女神であるキセイジョウ・レイが持っていた力で、強大な力と共に次元に干渉する能力もある。
キセイジョウ・レイを倒した時に失われたと思っていたが、密かにクロワールが回収しており零次元と心次元での戦いで混乱をもたらし、暗黒星くろめとの戦いで今度こそ完全に失われたと思われていたが、またもクロワールが回収していたのだ。
「その力をレイさんに返してあげて下さい」
ネプギアがそう言うと、「正気かお前? そんなことしたら、また大騒ぎになるぞ」とクロワールが目を丸くする。
タリの女神の力は、元々はキセイジョウ・レイのものであるが、その強大な力は持ち主の心を飲み込んで狂わせてしまう。キセイジョウ・レイの場合、横暴な性格に豹変してしまうのだ。
キセイジョウ・レイはその横暴が元でタリの国を滅ぼしてしまった。
又、ネプテューヌが神次元に迷い込んだ事から始まる事件で、再びタリの女神の力を手にしたキセイジョウ・レイはネプギア達女神を滅ぼそうとしてしまう。
ネプギア達の活躍で、キセイジョウ・レイを止めることは出来たが、また力を手にしたら何をするか分からないのだ。
「昔のレイさんは守る物もすがる物もありませんでした」
ネプギアがクロワールに説明を始めると、「そうかも知れないな。アイツ、最初は誰も助けてくれないとか、ぼやきながらウジウジしてたからな」とクロワールが頷く。
クロワールは更に、「他の次元にちょっかい出しながら、アイツとは一万年以上一緒にいるけど、まともな友達とか仲間とか見たことねーし、誰かを信じるってのも無縁だったな」と続ける。
「そんな何も信じられないような時に、強大な力を手に入れてしまったから間違いを起こしてしまったんだと思います」
ネプギアが更に話を続けると、「ふーん。お前は、アイツは取り巻く環境が悪かったから、ああなっちまったって言うのか?」とクロワールが言うと、「ははっ、まるで少年犯罪の弁護士みてーだな」と意地悪そうに笑う。
「私はレイさんも女神メモリーに選ばれた、守護女神の資質がある人だと信じています」
ネプギアはクロワールの嘲笑を気にもせず、やや力強い声で言うと、「そうかぁ? 俺は何であんな奴が選ばれたんだか、未だにわかんねーよ」とクロワールが呆れた声で言う。
「あの戦いの最後の時、レイさんは私達と出会えたことで自分は変われたと言っていました。それに振り回されていたタリの女神の力も受け入れられたと」
ネプギアは先程と同じく力強い声で言うが、「そうは言ってもよ、お前も零次元で見ただろ? あの力でマジェコンヌや、くろめが狂ってくところ。それをアイツが使いこなせるとは俺は思えねーな」とクロワールは冷ややかに答える。
クロワールの言う通り、くろめの妄想力から生み出されたコピーのマジェコンヌと、くろめ自身がタリの女神の力に飲み込まれて暴走をしている。
「そんなことありません! 今のレイさんには神次元を護りたいという強い想いがあって、その隣にはピーシェちゃんにアノネデスさんが居ます。それにレイさんがどう思っているかは知りませんが、私達もレイさんのことを仲間だと思っています」
ネプギアが更に力説するが、「相変わらず、青臭い甘ちゃんだな。そんな友情パワー的なモンで何とかなると思ってるのか?」とクロワールは呆れてしまう。
「なります! 犯罪神を倒したのも、うずめさんが生き返ったのも、そして私達女神の力も人々の想いの力ですから。それにタリの女神の力も守護女神の力です、正しく使えばゲイムギョウ界を護る力になると信じています」
ネプギアはクロワールの態度も気にせずに力説を続け、「私は今のレイさんなら、本物の守護女神になって、その力も使いこなせると信じています!」と言い切る。
「わかったよ。それじゃあ、神次元に行って、プルルートとピーシェにレイにマジェコンヌ、零次元に言ってうずめを連れてきて、このファントムシージーの反応の側に移動させた後に、お前等の仲間を指定したポイントに伏兵させればいいんだな?」
クロワールがネプギアに頼まれた内容を確認すると、「はい、よろしくお願いします」と軽く頭を下げる。
こうして、クロワールは大きいネプテューヌと共にネプギアに頼まれた内容を実行する為に数回の次元移動をするのであった。
***
「……と言う事なんです」
ネプギアが説明を終えると、「ぷしゅ~~」とネプテューヌが座ったまま横に倒れこむ。
「情報量が多すぎて、ねぷねぷが壊れたですー」
コンパが慌ててネプテューヌの肩を揺する。
「要はあなたの独断でキセイジョウ・レイに力を戻したってことね。更にマジェコンヌまで呼ぶなんて何を考えているの?」
ノワールがやや厳しめの声でネプギアを見ると、「独断だなんて、そんな……」とユニが割って入るが、「独断以外の何物でもないわ」とブランもノワールの意見に賛成する。
「そんな言い方ないじゃない。ネプギアはレイさんとあっちのマジェコンヌが救心したって信じてあげたんだよ」
ラムが口を尖らせて抗議し、「ネプギアちゃんは悪くない」とロムもラムに続いて言う。
「じゃあ、キセイジョウ・レイが力を取り戻して暴走、最悪、マジェコンヌと二人でダゴンと手を組んだらどう責任取るつもりなの?」
ブランが厳しい顔でロムとラムを睨むと、ロムとラムは怯みながらも、「そんなことないもん……ネプギアはいい事したんだもん……」とラムが「わたしはネプギアちゃんとレイさん達を信じてる……」とロムが必死に言い返す。
「ロムちゃん、ラムちゃん、ありがとう。でも、ブランさんの言うことは正しいよ。私が慎重さに欠けてたのは事実だし」
ネプギアがロムとラムにそう言うと、「それと救心じゃなくて、改心だよ」とツッコミを忘れない。
「つまんねぇ、ツッコミしてるんじゃねぇよ! 今は真面目な話してんだ!!」
ブランは真面目な話の最中にツッコミをしたネプギアに馬鹿にされたと思って怒鳴りつける。
「ご、ごめんなさい……」
ネプギアが小さくなって謝ると、ラムは反射的にブランを睨み、「なによ! それぐらいいいじゃない! お姉ちゃん、お胸だけじゃなくて、心も小さいわね!」と怒鳴り、「……今のお姉ちゃんキライ……(ぷいっ)」とロムも首を逸らしてしまう。
ブランは真剣な話をしているし、彼女自身不器用なところがあるので、ラムの言いなど違いを気にも停めなかったが、ネプギアはちゃんと気付いていつものように間違いを指摘してくれた。
ラムもそうだがロムも、ネプギアのいつも自分達のことを気に留めてくれて細かいことにも気付いてくれる気配りが大好きだった。
ネプギアは真面目な話をしているところに無礼だとは思ったが、ロムもラムも真剣に自分のことを思ってくれているので、ラムの細かな言い間違いにも応えてあげたのだ。
「ぐがががががが!!!」
ブランは青筋を立てながら、思いっきり右手のこぶしを握る。
何か言いたげだが、これ以上ネプギアを責めたり妹達を怒鳴ったりしたら本気で嫌われてしまいそうなので必死に怒りを堪えているようだった。
「二人とも、そんなこと言っちゃダメだよ。さっきも言ったけど、悪いのは私だから」
ネプギアが優しい声色で言うと、「だって~」とラムが不満そうにすると、「ネプギアちゃんがかわいそうなんだもん……」とロムがそれに続く。
「私のこと心配してくれるは嬉しいけど、姉妹なんだから仲良くしないと、ね?」
ネプギアがロムとラムにそう言うと、「「はぁ~い」」二人とも渋々返事をすると、「「お姉ちゃん、ごめんなさい」」と二人揃ってブランに謝ると、「……わたしも少し言い過ぎたわ」とブランも落ち着いて答える。
「クロワールの言う通り、本当に青臭い甘ちゃんね。そんな感情的な考え方でゲイムギョウ界が守れると思ってるの?」
今度はノワールがネプギアを責め始める。
「考えも無しにトリック・ザ・ハードの罠に掛かったり、ネプテューヌが帰る筈の道で神次元行ったり、うずめを助けて零次元取り残されたり、ある意味あなたはネプテューヌ以上に思慮が浅いわ」
そう言ってネプギアを睨みつけると、「そんなことない!!!」とノワールの言葉にユニが大声で叫ぶ。
「ネプギアは確かにドジなところはあるけど、感情のままに行動するのは正しい生き方よ。アタシはネプギアと、仲間達と一緒に戦う事でそれを学んだわ! シェアエネルギーだって感情の、想いの力よ!」
ユニは更に続けて叫ぶと、「ユニちゃん……」とユニの言葉が嬉しかったのかネプギアがユニを見つめて頬を赤くする。
「わたくしの感情で世界を乱されては、たまらないと言っているのよ」
しかし、ノワールは冷静な声で答えると、「ユニ、少しは冷静になりなさい。その子と付き合うようになってから、少し軽率なところが多いわよ」と呆れた顔をすると右側のツインテールをかき上げる。
それを聞いたネプギアが悲しそうな顔をして俯くと、それを見たユニは顔を赤く染めてノワールを睨み、「妹の交友関係にまで首突っ込まないでよ! それにお姉ちゃんの言うことが絶対に正しいなんて限らないでしょ!」と怒鳴る。
「ユニ……」
ノワールは妹の予想以上の反抗に戸惑ってしまう。
「ユニちゃん、気持ちは嬉しいけど……ね?」
ネプギアがユニを見ながら言うと、ユニはネプギアが先程言った【姉妹なんだから仲良しよう】と言いたいのだと悟る。
ユニは少しバツの悪い表情をしながら、「ごめんなさい。少し言い過ぎた」とノワールに謝ると、「私も言い過ぎたわ。ユニも、もう大人なんだしあまり口出しするものじゃないわね」とノワールも謝る。
「まあまあ、みなさん。もう過ぎてしまったことですし、プルルートやピーシェちゃんもいるなら大丈夫でしょう」
ノワールとブランが落ち着いたところで、ベールが穏やかな声で仲裁に入ると、「そうだよー。感情を処理できん人類は、ゴミだと教えたはずって言ってた人に限って続編でゴミになっちゃったりするんだよー」と復活したネプテューヌが話に加わる。
「そうやって、あなた達がこの子達を甘やかすから、何時になっても一人前になれないのよ?」
ノワールが不満そうに言うと、「でも、確かに今この子達を責めても話は進まないわね」と大人しく矛を収める。
「それよりさ、ダゴンかなり弱ってたよね。あんな状態でぷるるんと出会ったら……」
ネプテューヌが身震いすると、「まな板……」とベールがちらりとブランの方を見ながら言うと、「……の上の鯉、ですわね」と続ける。
「……何で、まな板の部分で、わたしを見るのかしら?」
ブランが怒りを堪えながらも冷静に答えると、「まな板? 洗濯板じゃなくて?」とラムが悪意ゼロで追い打ちを掛ける。
「誰が洗濯板のまな板だーーーーーーーー!!」
ブランが怒りを抑えきれずに叫ぶと、「お、落ち着いて下さい、ブランさん」とネプギアが宥めつつ、「ラムちゃん、洗濯板じゃなくてまな板で正しいんだよ」と律義に解説をする。真面目ゆえに色々と忙しい子である。
「あそこまで追い詰めておきながら、美味しいところさらわれたらたまらないわ」
ノワールは左側のツインテールをかき上げながら言うと、「そろそろ私達も行きましょう」と女神達を見る。
「ノワール、大丈夫かい? もう少し休憩した方が……」
ケイが忠告をしようとするが、「問題ないわ」とノワールはピシャリと答える。
「そうですわね。万が一と言うこともありますし」
ベールがそう言って立ち上がると、「お姉様! もう少し休まれて下さい。アタクシ心配で心配で……」とチカがベールにすがりつくが、「大丈夫ですわ。わたくしを信じなさい」とベールが子供を宥めるようにチカの頭を撫でる。
「ブラン様、お気を付けて」
ミナがブランにそう声を掛けると、「大丈夫。問題ないわ」とブランが冷静に答える。
「止めてくれるな、いーすん。背中のプリンが泣いている。 女神ネプテューヌどこへ行く……」
ネプテューヌが少しカッコ付けて言うが、特にイストワールからの反応は無いようだ。
「なにやってるのあなた?」
ノワールがジト目でネプテューヌを見ると、「いやー。みんなが教祖の人達に見送られてるから、わたしもって」とネプテューヌが右手で後頭部を掻きながら答える。
「ちょっと、いーすん、ノリ悪いよー」
ネプテューヌが不満そうに口を尖らせると、「静かにしなさい。今、イストワール様は具合が悪いのよ」とアイエフの厳しい声が返ってくる。
「えっ!? いーすんさん、大丈夫ですか?」
ネプギアが心配そうにイストワールに近づくと、イストワールは薄く目を開けて、「……ネプギアさん、無事だったんですね。よかった」とホッとした声を出す。
「いーすんさんのお陰です。いーすんさんが諦めるなってアドバイスくれたから、道を開くことができました」
ネプギアはイストワールの具合に響かないよう、小さく優しい声で感謝の言葉を伝える。
「そうですか……。ネプギアさん、この先も諦めずに努力を続けて下さい。いつでも私はネプギアさんを見ていますよ」
イストワールがそう言うと、「わかりました」とネプギアが頷く。
「むー。何で、いーすんはネプギアにだけ優しいかなー」
ネプテューヌが不満そう両腕を組むと、「あなたが仕事しないからでしょ」とノワールが、「あなたが仕事しないからよ」とブランが、「仕事もしなければ。好感度も下がる一方ですわ」とベールが立て続けにツッコミを入れて来る。
「ぐはっ!」
ネプテューヌは両手で首を抑えて吐血するようなリアクションをすると、うつ伏せになって倒れ、「ネプ子さんは死んでしまいました」と呟く。
「バカなこと言ってないで、さっさと行くわよ」
ノワールが呆れながら言うと、ヘリの出入り口に向かって行き、ブランとベールがその後に付いて行く。
「ノワール、ブラン、二人ともネプギアちゃんにキツく当たり過ぎではなくて?」
ベールが、小声で先程のノワールとブランのネプギアに対する言動を窘める。
「あの子は女神候補生のリーダーよ。しっかりして貰わなければ困るわ」
しかし、ノワールは不服そうに言い、「あの子のことを信じてロムとラムを預けるけど、いつまでもあんな子供みたいに甘い考え方では精神的に成長できないわ」とブランも不満そうに言う。
「それだけですの?」
ベールが質問すると、「どういうことよ?」とノワールが不満そうに右のツインテールをかき上げる。
「この数十分の間のネプギアちゃんの神がかり的な勘と先を読んだ戦術……二人ともネプギアちゃんに嫉妬、または恐れてるのではなくて?」
ベールの指摘に、「な、なんで、私がそんなこと……」とノワールがやや動揺し、「想像で物を言わないでちょうだい」とブランは冷静そうに言うが、その態度は余裕がないように見えた。
「ネプギア……おそろしい子! 流石はわたしの妹だよ!」
いつの間にか近づいて来たネプテューヌがそう言うと、「仮にベールの言うことが本当だとしても、あなたの妹だからじゃないわよ」とノワールが、「むしろ、ネプテューヌの妹なのに、って感想よ」とブランが呆れながら答える。
「がーーーん」
ネプテューヌはショックで立ち尽くすが、ベールはそれを無視して、「……わたくしは正直恐ろしいですわ。可愛い妹だったあの子が突然遠いところに行ってしまった気がして……」と少し悲しそうな声で言う。
「ちょっと! さり気なく妹とか言わないでよー。ネプギアは、わ・た・し・のって言ってるでしょ!」
ネプテューヌがすかさず抗議すると、「あら? 気付きまして?」とベールがぺろっと舌を出す。
「……そうかもしれないわね。あの子がユニを私の手の届かないところに連れ去ってしまうんじゃないかって思ったのかもしれないわ」
ノワールがそう言って認めると、「……わたしの勘が、あの子が危険だと感じたの」とブランもそれに続く。
「ですが、いつまでも可愛い妹と言うわけにはいきませんでしょ? もう少し落ち着いて見守られてはいかがかしら?」
ベールがそんな二人にアドバイスをすると、「そうね、少し頭を冷やすわ」とノワールが素直に聞き入れると、「同じく」とブランも賛同する。
「それでは、行きますわ。チカ、ヘリのドアを開けてちょうだい!」
ベールがチカに向かって言うと、「やっぱり行きたくなーい!」と突然ネプテューヌが駄々をこねだす。
「今更何言ってるのよ!」
ノワールが大声で注意すると、「だってさ、変身しすぎて疲れたよー。後はぷるるん達に任せようよー。主砲は寝て待てって言うし」とネプテューヌは横に寝そべってしまう。
「お姉ちゃん、それだと弾に当たっちゃうよ……」
ネプギアが少し困った顔で言うと、「アホウは寝て待て、じゃなかったけ?」とラムが首を傾げると、「アホウは寝て待つ……ネプテューヌにピッタリないい皮肉ね。流石はわたしの妹だわ」とブランが冷静に言う。
「果報は寝て待て、よ」
ユニが少し呆れながらツッコミすると、「それそれ、お宝は寝てればやってくるって」とネプテューヌが気楽に言うが、「お姉ちゃん、それは秘宝とか至宝じゃないかな。果報は良いことって意味だよ」とネプギアが困った顔でツッコミをする。
「じゃあ、そこで寝てなさい。ダゴンのトドメは私が刺して、ラステイションのシェアを上げるのよ」
ノワールが腰に両手を当てながら言うと、「トドメをさすのはわたし。あなた達には譲らない」とブランは静かながらも対抗意識を燃やした目で言い、「何を言ってますの。トドメを指すのは、わたくしに決まっておりますわ」とベールが言う。
「お、お姉ちゃん、このままじゃプラネテューヌだけシェアが上がらなくなっちゃうよ。もう少しやる気だそうよ、お願いだから。ね?」
ネプギアがすかさずネプテューヌの右肩に手を当てて揺すりながら言うが、「じゃあ、おんぶー」とネプギアにもたれかかる。
「おんぶって……」
ネプギアが困った顔をすると、「ダゴンのとこまででいいから、おんぶしてー」とネプテューヌが言う。
「もぅ、しょうがないな」
ネプギアはそう言いながら女神化して、ネプテューヌをおんぶするためにしゃがみ込むと、「わーい。ありがとう、ネプギア。お姉ちゃん嬉しい!」とネプテューヌが立ち上がり、「はぁ……この姉妹見てると頭痛がするわ」とノワールが頭を抱える。
「それでは早速まいりましょうか!」
ベールは元気よく言いながら、全体重をかけた体当たりでネプテューヌを突き飛ばすと、「ねぷぅ!?」とネプテューヌが思いっきり吹っ飛び、ベールがネプギアの背中に乗る。
「あ、あの……ベールさん?」
ネプギアが困った顔と声でベールに問いかけると、「体格的にわたくしがネプギアちゃんにおぶられるのが妥当ではなくて?」とベールが涼しい顔で答える。
「……わたし達全員が妹におぶられて行くような流れになってない?」
ブランが呆れたように言うが、「はいはーい! それ楽しそーう!」とラムが左手を上げると、「がんばる(しゅっぽしゅっぽ)」とロムが汽車の真似をするように両腕を回す。
「じゃあ、わたしがネプテューヌちゃんおんぶしてあげるから、ロムちゃんはお姉ちゃん、ユニちゃんはノワールさんね」
ラムはそう言うと、女神化しネプテューヌを背負い、ロムも女神化してブランを背負う。
ブランは、「お、おい、マジか?」と少し慌てるが、ネプテューヌは、「ゴーゴーレッツゴー、ラムちゃん!」とノリノリで背負われていた。
「ほら、ユニちゃんも」
ラムがそう言って、ユニを急かすと、「どうする? お姉ちゃん」とユニがノワールに質問する。
ノワールは、「はぁ……体力温存ってことで付き合ってあげるわ」と呆れた声で言うと、右のツインテールをかきあげる。
「とかなんとか言っちゃって~、単にボッチの仲間外れが嫌なだけだよねー。ぷぷ~っ!」
ラムに背負われたネプテューヌが笑いながらそう言うと、「そ、そんな訳ないでしょ!」と慌てて言い返すノワール。
「おい、俺も連れてけ、何か面白いことになりそうだ」
クロワールがそう言うと、「クロちゃんが行くなら、わたしも行くよ」と言って大きいネプテューヌも空飛ぶホウキに跨る。
***
「いやっほー! ラムちゃん流、ミラクル水上ジェットスキー!」
ネプテューヌを背負ったラムが水上を縦横無尽に駆け回る。
背負われているネプテューヌも、「いえーい! ラムちゃん、最高ー!」とノリノリだ。
水陸両用のプロセッサユニットだけあって、水上の機動性も抜群である。
「そーれ! とんぼ返り~~!」
ジグザク走行から楽しそうに宙返りをするラム。
ネプテューヌも楽しそうに、「ひゃ~~! ラムちゃんってば最高にエクスタシーだよ!」と楽しそうに笑う。
「気分はエクスタシーーーーーー! ふおおおおおおおおお!」
ネプテューヌが謎の絶叫をすると、「なにそれ? 面白ーい! もう一回やって~」とラムがせがむ。
「騒がしいわねー、もー」
ユニに背負われたノワールが迷惑そうに顔をしかめる。
ユニも、「ラムとネプテューヌさんの組み合わせは、ゲイムギョウ界屈指の騒がしさね」と呆れた声を出す。
「ラムちゃん、楽しそう……わたしもやってみようかな」
ロムが羨ましそうに言うと、「止めてちょうだい。心臓に悪いわ」とブランがそれを止める。
「うぅ~……お姉ちゃんがあんな楽しそうに……ちょっぴりジェラシーだよ~」
ネプギアが少し切なそうに言うと、「まぁまぁ、ネプギアちゃん、こちらはこちらで楽しみましょう」とベールがネプギアにぎゅーと抱き着く。
「べ、ベールさん、その……胸が、もの凄く当たってるんですけど……」
ネプギアが焦りながら言うと、「もの凄~~く、当ててますのよ」とベールが楽しそうに笑う。
「こっちはこっちで何やってるんだか……」
ノワールが溜息交じりにそう言うと、「ところで、ネプギアちゃん、ベールお姉ちゃん聞きたいことがありますの」とベールが言う。
「あのー……どさくさに紛れて、お姉ちゃんを差し込まないで欲しいんですけど……」
ネプギアが困ったような声で答えると、「なかなか手強いですわね~」とベールが残念そうな声を出す。
「それはそうと、ネプギアちゃん。先程から勘が冴えてるようですけど、何かありましたの?」
ベールがそう質問すると、ノワールとブランが興味深そうにネプギアの方を向く。
「……それなんですけど、不思議な力が使えるようになっていて。ギアシステムって言うんですけど、アクロニムで【ギルティ、イレース、アチーブメント、ラショナル、システム】って言うらしいです」
ネプギアは素直に自分にあった変化をベールに話す。
「罪人の消去を合理的に達成するシステム……と言うことですわね」
ベールがそう言うと、「はい、そのシステム表示が見える度に、予知のような映像が見えるんです」とネプギアが答える。
「その予知に従って戦っていたわけ?」
ユニがそう言って話に加わると、「うん、予知なだけに疑いの余地なし、だし」とネプギアがドヤ顔で言う。
「ネプギアちゃん、面白い」
ロムがクスクスと笑うと、「ダジャレが聞きたい訳じゃないのよ……」とユニが呆れた声を出す。
「今のところ、予知はかなり正確なんだけど……」
ネプギアが少し声のトーンを落として言うと、「……合理的、という点が気になるわね」とブランが言う。
「そうなんです……。ギアシステムが合理的だからと犠牲を払えと言ってきたら私……」
ネプギアが悲しそうな声で言うと、「具体的にはゲハバーンを使うってことかしら?」とノワールが言う。
「……っ!?」
ネプギアが息をのむ。
「お姉ちゃん!」
ユニがノワールを注意するように言うが、「仮にそのギアシステムの予知が100%正しいのであれば、その時は迷いなく使いなさい」とノワールが冷静に言う。
「でも……」
ネプギアが困ったような声を出すと、「迷いは自分だけでなく、ゲイムギョウ界をも殺すことになるわ。それだけは覚えておきなさい」とノワールが続けて冷静な声で言う。
(お姉ちゃんとネプギアはやっぱり考え方が違う。どっちもアタシにとっては大事な存在だけど……)
ユニがそう悩んでいると、「たいへんたいへん! ネプテューヌちゃんが飛んで行っちゃった!」とラムの声がする。
「何をやってるのよ、あなた達は……」
ブランが呆れた声で言うと、「超次元三回転半ダブルトリプルスピン」とラムが答える。
「何よ、その意味の分からない技は?」
ユニも呆れた声を出すと、「と、とにかく、お姉ちゃんを探そうよ!」とネプギアが焦った声を出す。
捜索の結果ネプテューヌは無事に見つかり、ネプギア達は再びダゴンの元に向かうのだった。
***
再びプルルートやピーシェがダゴンを釣った地点。
下から、「貴様等、我を無視するか!」とダゴンが怒鳴る。
彼は、ピーシェの持っている丈夫そうな鞭に、幾つかの刃が付いた物に足を捕られて空中に逆さ吊りになっていた。
ちなみに、この鞭はプルルートの武器で蛇腹剣と呼ばれる、剣と鞭の特性を合わせた武器だ。
近距離と中距離に同時に対応できるが、扱いは難しく剣状態での強度にも問題がある。
プルルートはこの武器をピーシェに貸して、ダゴンを釣り上げさせたのだ。
プルルートはダゴンの顔があるところまで降りて行くと、「ホント、醜いわね」と言うとダゴンの頬を乗馬用の鞭で一発叩く。
巨大なダゴンではあるが、女神化したプルルートのパワーは凄まじくダゴンは思わ顔が横に向いてしまう。
「深海魚だって、もう少しマシなんじゃないの?」
プルルートがなじるように言うと、「貴様、このちっぽけな世界どころか、地球の誕生前、百億年前から存在している我と地球の下等生物を一緒にするか!」ダゴンが憤慨する。
プルルートは、「アハハハハ!」と甲高く笑うと、「百億年も生きといて、この程度の美的感覚なの? あなたの脳味噌ノミより小さいんじゃない」と見下すようにダゴンのあごを踏みつけて口を塞ぐ。
「……それと、あなたの息、もの凄く臭いわ。百億年前から歯ぁ、磨いてないんじゃないの?」
プルルートはそう言いながら、ハイヒールになっている足の部分で、グリグリとあごを踏みつけ続ける。
「ぐぐぐぐ……」
口を開けないダゴンが悔しそうに唸ると、「あたしにこんな汚らわしい物かけて、ただで済むと思ってるの」とプルルートは更に強くダゴンのあごを踏みつけると、「汚物は消毒よね」と舌で右手の人差し指を舐めると、その指をダゴンの鼻に向ける。
「……水の力よ……酸となりて敵を溶かせ……」
プルルートは呪文を唱えると、「サルファリックアシッドシャワー」とダゴンに向けた指から激しい水流がダゴンの鼻に入る。
「ぐあああああ!」
ダゴンが悲鳴を上げと、「クスクス……」とプルルートが笑い、「しつこい汚れだから、まずは硫酸で鼻洗浄からよ」と楽しそうに言う。
【サルファリックアシッドシャワー】は強力な硫酸を浴びせダメージを与えつつ防御力を下げる水属性の魔法。
プルルートは強力な魔法と蛇腹剣を扱う攻撃特化の戦士で、雷属性とデバフと状態異常を得意とする。
「そろそろ、いいかしら……」
プルルートはそう言うと、「ヒール」と言って、ダゴンの鼻を僅かに癒やす。
プルルートは更に回復魔法も使える万能型のキャラだが、元の性格のせいかスピードが遅くスタミナも多くない。
又、攻撃特化と言うことでHPと防御力も高くはない。
総合して、デバフと状態異常で弱体化した相手を、強力な近接攻撃と魔法攻撃でいたぶって狩るキャラ。
悪い言い方をすれば弱い者イジメが得意な性能をしている。
「???」
ダゴンはプルルートの行動に意味不明な顔をするが、「……稲妻よ……わが剣となりて敵を切り裂け……」と再びプルルートが呪文を唱えると、「サンダーブレード」と右手に稲妻の剣を作り出し、それをダゴンの鼻に突っ込む。
彼女は回復魔法を、敵をより長くいたぶる為に使うことがある。
「おおおおおお!?」
再び悲鳴を上げるダゴン。
【サンダーブレード】は稲妻の剣で敵を切り裂くプルルートのオリジナル魔法。
「壊して、治して、また痛めつける……ふふっ……」
プルルートはそう言って妖しく笑うと、「……地獄の底に眠る凶悪な虫よ……敵に侵食し食らい尽くせ……」と呪文を唱えと、「マゴットコロニー」と右手から白い物体を大量にダゴンの鼻に流し込む。
【マゴットコロニー】は相手に蛆虫を寄生させて、攻撃力デバフと毒と同じようなスリップダメージを与える、闇と地の合体魔法。
「ふぐふぐぐぐ……」
ダゴンが苦しそうな声を上げると、「蛆虫同士仲良くするといいわ」とプルルートは楽しそうにニヤリと笑う。
「うわー……ぷるっち、こわっ……」
プルルートを見ながら、うずめが身震いすると、「あ、ああああ……」とマジェコンヌが頭を押さえている。
うずめが心配そうに、「ねえ、紫ババ……じゃなくて、まじぇっち大丈夫~?」と声を掛けると、「ああ、少し頭痛がするだけだ。直ぐ収まる」とマジェコンヌが答える。
「それにしても、まじぇっちと一緒に戦う事になるなんて思いもしなかったよー」
うずめが意外そうな顔で言うと、「それは私も同じだ。女神などと共闘するなど、普通なら私のプライドが許さんところだ」とマジェコンヌが吐き捨てる。
「え? じゃあ、何でぎあっちに呼ばれて来たの?」
うずめが不思議そうに質問すると、「ウチのナスを1トンも売約してくれたのだ。その礼だ」とマジェコンヌが答える。
「うわー……ぎあっちってば太っ腹~。ねぷっちはご愁傷様だね」
うずめがそう言って感心をしていると、水上からネプギア達が追いつく。
「やはり、ぷるるん、ぷるるんは全てを解決する!」
ダゴンをいたぶって愉しむプルルートを見たネプテューヌが開口一番に叫ぶ。
「そういうものなの?」
ノワールが不思議そうに首を傾げる。
「そういうものなんだよー。あの作品はみんなモブレベル脇役だったから知らないだろうけど、ぷるるんが怒れば大抵のことは一発で解決しちゃうから。黄門様の印籠レベルのチートだよ」
ネプテューヌが興奮気味に語ると、「それって、ワンパターンって言わない?」とノワールが言う。
「違うよー。これはお約束。わたしの主人公アピールと同じく、みんなが心待ちにしてる展開なんだよー」
ネプテューヌの言葉を聞いたベールは、「わたくしが動けば、この美しく豊満な胸が揺れるぐらいのお約束ですわね」と言うと、「それは関係ないわ」とブランが不機嫌そうに言う。
「さっさとダゴンにトドメを刺しましょ」
ノワールがそう言って変身すると、「ストップストップ。今はぷるるんがお楽しみ中だから、邪魔しちゃダメだよ」とネプテューヌ慌てて言う。
「随分と、プルルートの機嫌を伺いますのね」
同じく変身したベールが少し軽蔑するような声でネプテューヌに言うと、「けど、足止めしてくれたのは事実だな。正直見るに耐えない光景だが、少しだけなら待ってやる」と言って変身したブランが言う。
「ふぅ……仕方ありませんわね」
ベールも諦めてブランに同意すると、「少しだけよ」とノワールが厳しい声でネプテューヌに言う。
「ねぷてぬ、ねぷぎあ、ママを助けてあげて」
ネプギア達に気付いたピーシェが、そう言いながらネプギア達に近づいてくる。
「どうしたの? ピー子」
ネプテューヌがピーシェにそう尋ねると、「ママが苦しんでるの」と言って、上空で頭を抱えるキセイジョウ・レイを指差す。
「ぷるるとにもお願いしたんだけど、聞いてくれなくて……」
切なそうに言うピーシェに、「聞いてくれない?」とネプギアが首を傾げる。
「最近のぷるると、少し変なの。前より怖い」
ピーシェが続けて切なそうに言う。
「うああああああ!!」
その時、上空から、キセイジョウ・レイの苦しそうな呻き声が聞こえてくる。
「ママ!」
ピーシェは心配そうに、キセイジョウ・レイに近づくが、「うるさい! 私はあなたの本当のママじゃないのよ!」とキセイジョウ・レイが激しい剣幕でピーシェの手を振り払う。
「ママ……」
悲しそうな表情を浮かべるピーシェ。
「ああっ……またやってしまいました……」
自己嫌悪に満ちた声で呟くキセイジョウ・レイ。
そこに、「レイさん、しっかりして下さい」とネプギアが近づいて訴えかける。
「ネプギアさん、やっぱり私なんかじゃ無理なんですよ……」
視線を落として自己嫌悪を続けるキセイジョウ・レイ。
ネプギアはそんな彼女に、「大丈夫です。落ち着いて下さい」と優しく語り掛けるが、「でも、心が激しく揺れて自分じゃどうしようもないんです……」とキセイジョウ・レイが悲しそうに言う。
「それなら、私が落ち着かせてみせます」
ネプギアが自信満々にそう言うと、「え……?」とキセイジョウ・レイが不思議そうな顔をする。
「おままごとで、ママ役になってとお願いしたら断られてしましました。これが本当の、ままならない!」
そう言ってドヤ顔を決め込むネプギア。
しかし、キセイジョウ・レイは、「あっ……えっとその……」と戸惑うばかりであった。
「だ、ダメでしたか?」
渾身のダジャレが不発に終わったネプギアが焦ったように言うと、「あら? アタシはママ役やりたいわ」とアノネデスがからかうように言う。
「何やってるのよアンタは……」
ユニが右手で頭を抱える。
「でも、少しでも楽しい気持ちなれればって……」
ネプギアが両手の人差し指をツンツンしながら言うと、「わたしは楽しかったわよ。ママならなーい」とラムが楽しそうに笑い、「ママならないね」とロムも微笑む。
「ほら、ピーシェも」
ラムがピーシェを誘うが、「うん? ぴぃよく分からない」とピーシェはネプギアのダジャレが理解できない様子だった。
「えっとね、ままならないはね、思い通りにならないことを言うの」
そんなピーシェにダジャレの説明を始めてしまうネプギア。
「だから、おままごとでママ役をお願いしたのに断られたから、ママならない」
ネプギアが笑顔で説明を終えると、ピーシェも笑顔になり、「おお~! なんとなく分かった! そういうの何て言うの?」と嬉しそうに万歳をする。
「ダジャレって言うんだよ」
ロムがそう言って説明をすると、「ピーシェも考えてみなさいよ。楽しいわよ」とラムが言う。
「う~ん、う~ん」
必死に悩むピーシェだが、なかなかダジャレが出てこないようだ。
「ネプギア、ピーシェに何かダジェレ教えてあげてよ」
そんなピーシェを見かねたラムがネプギアにお願いすると、「お願い、ネプギアちゃん」とロムもネプギアにお願いをする。
「う~ん……。じゃあ、こんなのはどうかな?」
ネプギアがそう言うと、「なになに? ぴぃ知りたい」とピーシェが興味深そうにネプギアに詰め寄る。
「ピーシェちゃんが、シェーをしました。これが本当のピーシェー!」
ネプギアはそう言って、姿勢よく背筋を伸ばし、右の手を上に伸ばして右手首は直角に曲げて、左手は胸元に行くように曲げて、右足は膝を鋭角に曲げる、いわゆるシェーのポーズを取る。
ネプギアのような正統派ヒロインがシェーをするなどなかなか貴重なシーンだ。
「おお、ピーシェー! きゃはははは!」
ピーシェは笑いながら、ネプギアと同じようにシェーをする。
すると、「「ピーシェー!」」とロムとラムもシェーをする。
「ねぷぅぅぅぅぅぅ~」
しかし、未だにラムに背負われていたネプテューヌが落下して海に落ちてしまう。
「あー、ごめんごめん。ネプテューヌちゃん、だいじょーぶ?」
ラムがそう言って謝ると、「きゃははは!」とピーシェが笑う。
「ネプギア、面白い事覚えたんだね」
大きいネプテューヌが感心したかのようにネプギアに言うと、「馬鹿みてーだけど、前よりマシかもな」とクロワールも好意的な意見を言ってくれた。
「お姉ちゃんが女神なら面白いこと言えるようになれってアドバイスしてくれたから、勉強してるんです」
ネプギアがそう言うと、「わたしとしては、こんな方面に努力するとは思わなかったけどねー」とロムとラムに海から引き揚げられたネプテューヌが呆れた声を出す。
「うふふ……」
女神達のやりとりを見てキセイジョウ・レイが微笑む。
「少しは落ち着いて貰えましたか?」
ネプギアが嬉しそうにそう言うと、「ええ、ありがとうございます」とキセイジョウ・レイがお礼を言う。
「……アンタのダジャレも役に立つことあるのね」
ユニが呆れたふうに言うと、「ふふっ、ユニちゃんってば口ではそんなこと言っても、本当は……」とアノネデスが言う。
「撃つわよ」
ユニがそう言ってエクスマルチブラスターの銃口をアノネデスに向けると、「わぉ!? 黙ってるわよ。黙ってればいいんでしょ」とアノネデスが焦ったように両手で顔を覆う。
「ピーシェちゃんはレイさんを本当の母親のように思っています。自信を持って下さい」
ネプギアがキセイジョウ・レイを励ますように力強く言う。
「でも、私はあの子を洗脳した上でさらってしまい、七賢人の道具にしてしまいました。そんな私に母親の資格なんて……それにアノネデスさんから聞いたんです。あのパワーアップはあの子の成長に悪影響を及ぼすって……」
しかし、キセイジョウ・レイはネプギアがから視線を逸らすように言う。
だが、ネプギアは諦めずに、「それでも、ピーシェちゃんはレイさんを母親って慕ってます。それに悪影響の件なら今、中和剤を研究中です」とキセイジョウ・レイを説得し続ける。
「あら? ギアちゃんってばそんなこと出来るの?」
そこにアノネデスが話に加わって来る。
ネプギアが、「はい、私の作ったNG粒子と錬金術を合わせて作っています」と答えると、「そう……。なら、コレあげるわ」と一枚のディスクをネプギアに手渡す。
「これは?」
ネプギアが不思議そうな顔で、そのディスクを受け取ると、「アタシなりに作った中和剤の資料。途中まで作ったけど、行き詰まっちゃってたの」とアノネデスが説明をしてくれた。
「本当ですか? ありがとうございます」
嬉しそうに感謝するネプギアに、「アンタがそんなことしてたなんて意外だわ」と少し驚き気味のユニ。
「アタシだってそれなりに罪の意識はあるのよ」
アノネデスが真面目な声でそう言うと、「……私はアノネデスさんのように罪を償うことも出来ずに、成り行きであの子の母親を演じているだけなんです……それだって、洗脳した影響が残ってそう信じ込んでるだけで……」とキセイジョウ・レイが悲しそうな声で言う。
「私は、ピーシェちゃんのことを赤ちゃんの頃から面倒を見てきました。ピーシェちゃんは素直でウソの付けない子です」
ネプギアが訴えるように言う。ピーシェ、神次元のアイエフ、神次元のコンパの三人は当時子供の誘拐が流行っていたので、神次元のプラネテューヌの教会を託児所にするという提案により赤ん坊の頃から神次元のプラネテューヌの教会に預けられていた。
しかし、神次元のプラネテューヌのメンバーは、ネプテューヌは基本的は遊ぶだけ、プルルートも遊ぶだけだし、その上子供の相手をしているとイライラして変身しそうになるらしい。
神次元のイストワールは体が小さいので話し相手にはなるが、力仕事は向かない。
必然的に預かった子供たちの面倒は、その時に偶然にも超次元から落ちて来たネプギアが全部見ることになり、家での世話はもちろん体調管理や通学の面倒まで見ていた。
誘拐が流行っていたとは言え、何故このような受け皿が出来ていない状況で託児所を始めようと思ったのかは不明だが、ネプギアが来なかったらネグレクトに近い状態が起こっていたかもしれない。
その証拠に、託児所と言うがネプギアが面倒を見れる三人を預かっただけで、他の子供を預かっていない。
「そのピーシェちゃんがレイさん達と過ごした時間を大事にして、レイさんを母親だと認めているんです。その期待に応えてあげて下さい、お願いします!」
ネプギアは続けてそう言うと思いっきり頭を下げる。
キセイジョウ・レイが慌てて、「あ、頭を上げて下さい!」と言うと、「例え血が繋がっていなくても、後ろめたい過去があったとしても、お互いに親子と認めあって信じ愛し合っているなら、家族になれると思うんです。ピーシェちゃんと家族になってあげて下さい」と訴え続ける。
「ネプギアさん……そこまで私達のことを……」
「ねぷぎあ……」
ネプギアの言葉に感嘆を受けるキセイジョウ・レイとピーシェ。
「私も、お姉ちゃんに会いたい一心で超次元のプラネテューヌの国民を見捨ててしまうという、女神として許さない罪を犯しました。今はそれを反省し償う為に毎日努力しています。レイさんだって同じようにできる筈です」
ネプギアがそう言うと、「分かりました。自信はありませんけど、あの子と家族になれるよう努力してみます」とキセイジョウ・レイが力強く頷く。
ネプギアが嬉しそうに、「レイさん……ありがとうございます」とお礼を言うと、「……あの子の母親役だった、あなたの言う事なら信じられる気がします」とキセイジョウ・レイが微笑んだ。