新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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032暗黒星くろめの願い

 ネプギア達はダゴンの境遇を決める為に近くの無人島に立ち寄っていた。

 

既に戦いは終わったので、ネプテューヌとプルルート以外は女神化を解いていた。

 

 

「拷問するからには邪神の秘密の一つや二つ聞き出せるんでしょうね」

 

 

 ノワールがプルルートを睨みながら言う。

 

すると、「当たり前でしょ。あたしにかかれば、直ぐに洗いざらい喋るわよ」とプルルートは自信満々に言い放つ。

 

 

「そう……期待しているわ」

 

 

 ブランがそう呟くと、「邪神の情報は今後必要になるでしょうし、お任せしますわ」とベールが言う。

 

すると三人の女神はネプテューヌとプルルートに背を向ける。

 

 

「あら? みんな行っちゃうの?」

 

 

 プルルートが残念そうな声で言うと、「ええ、少し疲れましたので。ネプギアちゃん、行きましょう」と言ってベールがネプギアの手を引く。

 

ブランもロムとラムの手を引いて、「ロム、ラム行くわよ」と言うと、「ユニもこっちにいらっしゃい」とノワールがユニの手を引く。

 

女神候補生達は、さっきの一件以降、誰もプルルートと目を合わせようとはしなかった。

 

 

「俺達も行こうぜ、まじぇっち、れいっち」

 

 

 うずめもそう言ってネプテューヌとプルルートに背を向ける。

 

マジェコンヌはプルルートを一瞥すると、「ふん」と言ってうずめの後を追い、キセイジョウ・レイは、「ピーシェちゃん行きましょう」と言ってピーシェの手を引く。

 

後に残ったのはネプテューヌとプルルート、そして縛られたダゴンのみであった。

 

 

 

***

 

 

 

 ベール達が向かったのは無人島の反対側。

 

そこにはヘリが着陸しており、女神以外のメンバーが待っていた。

 

 

「どうでした? お姉さま」

 

 

 チカが心配そうにベールに尋ねると、「プルルートが洗いざらい喋らせてくれるらしいですわ」とベールは素っ気なく答える。

 

 

「本当によかったのかい? 彼女に任せて」

 

 

 ケイがノワールに尋ねると、「よくはないけどね。でも、あれ以上言い争いを続けても埒があかないし、何よりネプギアの心がもたないわ」とノワールが言う。

 

 

「ネプテューヌの野郎……。わたし達や妹より、あんな女に媚び売りやがって」

 

 

 ブランが怒りに震えて右手を握りしめると、「ブラン様、お気持ちは分かりますが、落ち着いて下さい」とミナがブランを宥める。

 

 

「ネプギアさん、大丈夫ですか?」

 

 

 イストワールが心配そうにネプギアに尋ねるが、ネプギアは力なく、「はい……」と言うだけだった。

 

 

「後で、私がガツンって言ってあげるわ」

 

 

 アイエフがそう励ますと、「わたしもねぷねぷにメッしてあげるです」とコンパがそれに続く。

 

しかし、ネプギアは、「大丈夫です……もしかしたら、私が間違っていたのかもしれませんし」と悲しそうな声で答える。

 

 

「そんな筈ないわ! ネプギアは間違ってなんかいない!」

 

 

 ラムがそう言うと、「ネプギアちゃんは正しい」とロムもそれに続く。

 

 

「ふん、どうだかな」

 

 

 しかし、マジェコンヌがロムとラムの言い分を否定する。

 

すると、「どういうことよ?」とユニがマジェコンヌを睨む。

 

 

「甘っちょろい、とでも言いたいんでしょうね」

 

 

 ニトロプラスがそう言うと、マジェコンヌは、「そういうことだ」と言って背を向ける。

 

 

「でも、あんなこと正義のヒーローのすることじゃないよー」

 

 

 日本一がそう言うと、「そうだよ。よい子がトラウマ負ったらどうするんだよー」とビーシャが同じく抗議をする。

 

すると、「確かにね。あんなの記事にも出来ないし」とファミ通も同意する。

 

 

「私がいけないんです。ギアシステムって言って、調子に乗ってお姉ちゃん達に指図するようなこと言うから……」

 

 

 ネプギアが落ち込んだ声で言うと、「それは違うと思うな。ネプギアの指示は適切だったし」とファルコムが言う。

 

続いて、「そうよ! そんなの四日みよ!」とラムが言うが、「それを言うならやっかみよ」とユニに訂正されてしまう。

 

 

「「う……」」

 

 

 ユニとラムの言葉に少し気まずそうな声を出すノワールとブラン。

 

先程の出撃前に、ネプギアに対して少々きつく当たったのを思い出してしまったようだ。

 

ロムが、「お姉ちゃん、どうしたの?」と尋ねると、「何でもないわ」とブランは平静を装う。

 

 

「……少し気分転換に歩いてきます」

 

 

 ネプギアがそう言って立ち上がると、「アタシも行くわ」とユニも立ち上がるが、「ううん、一人で大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」と言ってネプギアは立ち去ってしまう。

 

 

「おい、うずめ」

 

 

 クロワールがうずめを呼ぶと、「ネプギアを追いかけろよ」と続けて言う。

 

それを聞いたうずめは、「なんでだ? ぎあっちは一人になりたいみたいだったぜ」と不思議そうな顔で言う。

 

 

「いいんだよ。ネプギアはお前じゃないけど、お前に言いたいことがあるんだよ」

 

 

 クロワールの言葉に、「なんだそりゃ? 訳わかんねーぞ」と首を傾げるうずめ。

 

だが、大きいネプテューヌが、「いいからいいから、早くいかないと見失っちゃうよ」とうずめの背中を押す。

 

渋々ながらも、ネプギアを追ううずめ。

 

 

***

 

 

「うずめさん?」

 

 

後を追ってきたうずめに対して不思議そうな顔をするネプギア。

 

 

「いやー! 俺も散歩したかったって言うか、その、邪魔するつもりは無かったんだけどよ」

 

 

 うずめが空を見上げながら、たどたどしく言う。 

 

しかし、ゆっくりとネプギアと目を合わせると、「やっぱり、ぎあっちが心配でさ」と言う。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 ネプギアは素直にお礼を言うと、「少しお話しませんか」と言って海岸に座る。

 

うずめは、「ああ」と頷くと、ネプギアの隣に座る。

 

 

「うずめさんと、くろめさんは一つの存在になったんですよね」

 

 

 ネプギアがうずめにそう尋ねると、「おう、未だにアイツのことはよくわかんねーけどな」と苦笑いする。

 

 

「今話してることって、くろめさんに伝わるんでしょうか?」

 

 

 ネプギアが続けて尋ねる。

 

すると、うずめは、「多分どっかで聞いてると思うぜ」と言う。

 

 

「……ごめんなさい」

 

 

 突然、ネプギアが謝る。

 

 

「どうしたんだよ? ぎあっち」

 

 

 そんなネプギアを心配するうずめ。

 

 

「私、くろめさんを救ってあげられなかったんです」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「くろめさん……救ってあげられなくて、ごめんなさい」と続けて言うと泣き出してしまう。

 

 

「お、おい、ぎあっち。頼むから訳を話してくれないか?」

 

 

 うずめが慌てて、ネプギアに尋ねる。

 

 

「ぎあっちに泣かれると、胸の奥がキュッとなって辛いんだ」

 

 

 うずめがそう言うと、ネプギアはその理由を話し始めた。

 

 

***

 

 

 時はネプギアがクロワールに援軍や伏兵の協力をお願いしていた頃に遡る。

 

丁度、キセイジョウ・レイにタリの女神の力を戻すことをネプギアがクロワールにお願いし終わったところだ。

 

 

「お前、本当に優しいヤツだな」

 

 

 クロワールの意外な言葉に、「え?」とネプギアは驚いた顔をしてしまう。

 

クロワールの性格からして、また【青臭い甘ちゃん】とでも言われると思ったので、優しいなんて言われると戸惑ってしまう。

 

 

「だから、アイツもお前を欲しがったんだろうな」

 

 

 クロワールがそう言うと、「アイツ?」とネプギアが首を傾げる。

 

 

「くろめだよ。アイツはお前のことを特異点と呼んで欲しがってたんだ」

 

 

 クロワールの話に、「え? そんなこと言われました私?」とネプギアは不思議そうな顔をする。

 

 

「ああ、あん時はうずめに化けてたな」

 

 

 クロワールが思い出したかのように言うと、「そう言えば、うずめさんのことを書いたレポートを探している時に、少し様子のおかしかったうずめさんがそんなこと言ってたような……」とネプギアが考え込む。

 

 

「でも、その特異点って、零次元と超次元を融合させる為のものじゃないんですか?」

 

 

 ネプギアがクロワールに質問する。

 

暗黒星くろめは、零次元と超次元を融合させて超次元を破壊する為に次元融合を企んでいた。

 

その為には、自分の半身であるうずめが力を得る必要があったので、その役目を担うのがうずめと行動を共にしていた自分だったと考えたのだ。

 

 

「それもあるけどな。でも、アイツ本当は一人で超次元を恨み続けていることに疲れてたんだよ。だから、ネプテューヌの企みも薄々勘づいていながらも見逃してたんだ」

 

 

 クロワールはそう言うと、「だってそうだろ? ネプテューヌからさっさと俺を奪ってマジェコンヌなりに使わせればもっと楽に計画を進められたと思わないか?」と続けると、「……寂しかったってことですか?」とネプギアが少し悲しそうな声で言う。

 

 

「ああ、ネプテューヌもそれに気付いて、何とかしようと思ってたけど、結果は見ての通りだ」

 

 

 クロワールがお手上げのポーズで言うと、「お前が上手くやれてたら何とかなったかもな」と続けて言う。

 

 

「私、ですか?」

 

 

 ネプギアが右手の人差し指で自分を指しながら言うと、「くろめはお前の中に求めていた優しさ感じたんだ」とクロワールが話を始める。

 

 

「きっかけは、お前等姉妹が零次元に迷い込んで、ネプテューヌとうずめが争い始めた時に、お前がネプテューヌとうずめを仲裁したことだ」

 

 

 ネプギアはクロワールの話を真剣な顔で黙って聞いている。

 

 

「その時、くろめはうずめの姿に自分を重ねて、もしかしたら、お前なら自分を憎しみの呪縛から解き放って、今のプラネテューヌと和解させてくれるんじゃないかって思ったみたいだな。強がってたけど、本当はゲイムギョウ界が好きだったんだよアイツ」

 

 

 クロワールはそう言うと、「恋しさ余って憎さ百倍って奴だ」と続けて言うが、「正確には可愛さ余って憎さ百倍ですよ」とネプギアがツッコミを入れると、「細かいヤツだなー。意味が通じればいいだろ」とクロワールが不満そうに言う。

 

 

「あ、ごめんなさい。ラムちゃんに言い違いの時の癖で」

 

 

 ネプギアがうっかりと言った感じで口に手を当てて言うと、「あんなチビッコと一緒にするなよな」とクロワールはへそを曲げてしまう。

 

 

「四女神が悪堕ちしただろ? あの時執拗にお前達妹を憎んでいたのは、くろめのそういう愛憎入り交じったネガティブエネルギーの影響を強く受けたせいなんだよ」

 

 

 クロワールがそこまで話すと、「クロワールさんは何でそんなことを知ってるんですか?」とネプギアが質問する。

 

 

「俺はお前等が零次元に迷い込む前にくろめと会ってたからな。くろめの依頼でプラネテューヌの教会から封印体を盗み出したけど、その力で零次元に飛ばされた俺は、面白そうだからってダークメガミを追いかけてたら、アイツと再会したんだ」

 

 

 クロワールの説明に、「そうだったんですか……」と頷くネプギア。

 

 

「っと、そう言えばお前急いでるんだったな。こんな話聞いてる場合じゃないか?」

 

 

 クロワールが思い出したかのように言うと、ネプギアは仲間に悪いと思いつつも、「いえ、聞かせて下さい。お姉ちゃんとユニちゃん達なら大丈夫だと思います。それに私はその話を聞かなきゃいけない気がするんです」とネプギアが真剣な声で答える。

 

 

「じゃ、続けるぞ。くろめはずっとお前達のことを見てた、映画を夢中で観ている観客みたいにな」

 

 

 クロワールは話を続けると、「何でアイツがお前のことを、うずめと同じようにぎあっちって呼ぶか知ってるか?」とネプギアに質問する。

 

 

「うずめさんに化けるため?」

 

 

 ネプギアが少し考えながら言うと、「それもあるが、正体が割れた後もそう呼び続ける必要はないだろ?」とクロワールが答えると、「そう、ですね……」とネプギアが頷く。

 

 

「アイツはうずめに感情移入しすぎて、そして本当はうずめみたいにお前と仲良くなりたくて、そう呼んでたんだぜ」

 

 

 クロワールはそう言うと、「おっと、話が逸れちまったな」と少し困ったような表情を浮かべ、「話を続けるぞ」と言う。

 

 

「お前等は強がって悪ぶってるくろめしか知らないだろうけど、アイツも元々はうずめだ。元は夢見がちで思い込みと妄想癖が激しい性格だったのが、ゲイムギョウ界への憎しみでああなっちまったんだ」

 

 

 クロワールが再び話し始める。

 

 

「要は零次元を守ろうと無理してカッコ付けてるうずめと同じだな。同一人物なんだから行動が似てるんだろうな」

 

 

 クロワールは自分の考えに納得したかのように頷くと、「そんなくろめの本心には、お前が突然現れた運命のお姫様に見えたんだろうよ。お前って、そーゆー正統派ヒロイン系だしな」と言う。

 

 

「お前がプラネテューヌの女神ってこともそれに拍車かけたみてーだ。憎い敵国のお姫様に恋してしまい、運命に翻弄される悲劇のヒロインって設定に酔ってるようにも見えたぜ。ロミオとジュリエットって奴か?」

 

 

 クロワールは呆れたように言うと、「俺には隠してるつもりだったろうが、一人で色々と妄想してたみたいだぜ」とその姿が面白かったのか少し笑う。

 

 

「そして、くろめはそんなお前に助けを求めた」

 

 

 クロワールはそう言うと、「すっげぇ、遠回しでめんどくさい方法でな」と呆れた顔をする。

 

 

「遠回しでめんどくさい?」

 

 

 ネプギアが首を傾げると、クロワールは少し困った顔をして、「お前の見つけたレポートだよ。アレはくろめが自分のことを知って、そして受け入れて欲しいって願いでもあったんだよ」と言い、「素直じゃない方法だと思わないか?」とまた呆れた顔をする。

 

 

「ま、アイツはネガティブエネルギーの塊だから、もしお前に受け入れてもらえなかったらって、悪い想像が先走っちまったんだろうけどな」

 

 

 クロワールの話を黙って聞いているネプギアは、くろめの本心に気付けなかった自分に心が痛む思いだった。

 

 

「くろめは、ずっとうずめに自分を重ねて見ていたみたいだ。お前がうずめの為に必死に戦って、うずめと楽しく会話して、うずめの為に真剣に悩む。それが全部自分の事のように思えてどんどんお前に惹かれて行った」

 

 

 クロワールは続けて、「そんな時にお前達は超次元に戻る方法を見つけちまった」と言うと、「お前に行って欲しくない。自分に気付いて救って欲しい。その想いを抑えられずに、アイツはうずめに化けてお前に直接会いに行った」と言うと溜息を吐く。

 

 

「けど、やっぱりネガティブな想像が出ちまって、はぐらかすような事だけ言って逃げちまった」

 

 

 クロワールはそう言うと肩を落とす。

 

ネプギアはその時、過去の思い出に触れていた。

 

 

「ぎあっちなら、この監獄のような世界から解放してくれるかもしれないな」

 

「何度もこの監獄から出ようとした。……けど、無理だったんだ」

 

「……あの青い空が懐かしいものだ」

 

「ぎあっちなら、特異点になってくれるのかもな」

 

 

 ネプギアの頭に零次元でレポートを探している時に、うずめに化けていたと思われるくろめの言葉が思い出される。

 

 

「監獄は一人で超次元を恨み続けている自分……そして、青い空を懐かしむと言うことは、零次元を超次元に融合させて破壊することじゃなくて、平和な青空に戻りたい……それを私に求めて特異点と呼んだ……」

 

 

 ネプギアが呟くと、「そういう事だな」とクロワールが頷き、「んで、お前が帰っちまうと思ったくろめは、それを止める為にマジェコンヌを差し向けた。そこでお前は超次元に戻るチャンスをふいにしてまで、身を挺してうずめを助けた」と話を続ける。

 

 

「くろめにとって、お前の行動は予想以上だったみてーだな。アイツがうずめが妄想する時みてーに、目を輝かせて画面の向こうのお前に熱い視線を送ってる姿は今でも忘れられねーぜ」

 

 

 クロワールはその時のことを思い出したのか少し笑いながら言うと、「その時お前なら自分を救ってくれると、確信したみてーだ」と話し続ける。

 

 

「あの後、マジェコンヌに負けそうだったお前等の所に、ネプテューヌが助けに来るなんてタイミングが良すぎないか?」

 

 

 クロワールの質問に、「確かにそうですね」とネプギアが素直に頷くと、「あれ、くろめの妄想力のせいなんだぜ。うずめに感情移入しすぎて自分達のピンチに助っ人が現れるって、無意識に妄想しちまったみてーだ」とクロワールが答える。

 

 

「俺はお前等と一緒にいたから証拠はないけど、うずめが重傷を負った時にお前が必死になって助けようとした時も、目を輝かせてお前のこと見てたり、うっかり妄想力で手助けしちまったんじゃねーのか?」

 

 

 クロワールがその時のくろめの姿を想像するかのように言うと、「接待プレイなんて強がってたけど、本当は自分を重ねているうずめを助けるお前が見たくて、そして自分のところまで辿り着いて救って欲しかったんだよ」と話を先に進める。

 

 

「……だが、お前は帰っちまった」

 

 

 クロワールが少し声のトーンを落として言うと、「あっ……」とネプギアが悲しそうな声を漏らしてしまう。

 

ネプギアはマジェコンヌと融合したダークパープルを倒すことで零次元とうずめを救い、その時に超次元から助っ人にやってきたネプテューヌの通って来た道を通って超次元に帰還したのだ。

 

 

「お前の所為じゃねーよ、あの時はアレが最善の行動だ。零次元の脅威は倒したし、時間も限られたから悠長に悩んでる時間もなかっただろ?」

 

 

 クロワールがネプギアを慰めるように言うが、「それはそうですけど……」とネプギアの声は落ち込んだままだ。

 

クロワールは、「くろめも、お前が帰るのが突然すぎて手回しも出来なかったみたいだ」と話を続ける。

 

 

「お前が去ってしまったくろめのショックは相当デカかった。何度も自分を納得させようと、もう一度お前を零次元に連れ戻そうとあれこれ考えている内に、戻りかけてた心がまた闇落ちしちまった。あん時は酷かったぜー」

 

 

 クロワールはそうに言うと、「血が出るまで壁を叩きながら、【なんでだよ……問題を残したまま帰るのは無責任って言ったのはぎあっちだろ? ダークメガミはあと三体残ってるんだぞ!】って恨み言みてーに言ってたぜ」と続けて言う。

 

ネプギアは思わず、「あっ……」とまた悲しそうな声を漏らしてしまう。

 

ダークメガミは最終的に四体になったと思い込んでいたが、うずめは最初に合った頃に、【見たことはないけど、ダークメガミは合計四体居る】と言っていたことを思い出したのだ。

 

 

「忘れちまうのも無理ねーだろ。お前等の敵として出てきたのはダークパープルとマジェコンヌだけだからな。ぶっちゃけて言えばアイツのプロデュース不足の逆恨みだ」

 

 

 クロワールがそうバッサリ斬り捨てると、「本当は、お前とうずめが手を取り合って全てのダークメガミを倒し心次元に辿り着く。そしてお前が自分を受け入れて救ってくれるなんて、ベタベタなストーリー妄想してたんだろうな」と続ける。

 

 

「そいつが水の泡になったアイツは目から血を流し歯を食いしばりながら、お前が戻って行った超次元、お前を連れ去ったネプテューヌ、そして自分を裏切ったお前を恨んだ」

 

 

 クロワールは更に、「超次元でネプテューヌや仲間達と楽しそうに暮らしてるお前を見ながら、【始めはオレに期待を抱かせて、最後の最後でオレを裏切る。ぎあっち、お前もゲイムギョウ界と同じだ!】って何度も画面叩いてたぜ」と付け加えた。

 

クロワールの言葉に、ネプギアは辛さと悲しさで思わず目を閉じてしまう。

 

しかし、自分はこの話を最後まで聞かなければいけないと思った彼女は耳を塞ごうとはしなかった。

 

 

「後はお前も知っての通り、次元融合させる為にアフィ魔Xやゴールドサァドを使ったり、ネプテューヌをさらったりしてお前等に復讐しようとしたんだ」

 

 

 クロワールはそこまで言うと、「だがな、いくら憎んでもお前への想いだけは諦めきれなかったみたいだ。アイツはいつもお前だけは傷つけるなって命令してた」と話を続ける。

 

 

「表向きは、【お前は生かして永遠の絶望を味合わせる】とか言ってたけど、ありゃ嘘だな」

 

 

 クロワールは少し呆れたように言うと、「お前にも身に覚えがないか? アフィモウジャスが守護女神だけを人質に取ったことや、守護女神は問答無用でさらったが、お前に対しては封印体を渡せとか曲りなりにも説得しようとしてただろ?」と質問する。

 

 

「……そう、ですね」

 

 

 ネプギアはくろめの想いに胸を締め付けられるような気持ちを感じながらも、何とかクロワールに返事をする。

 

 

「ネプテューヌもその辺は気付いてたみたいで、お前とくろめを引き合わせて何とか説得できないかって考えてたみたいだったな。でも、アイツはもう引き返せないところまで来ちまってた」

 

 

 クロワールはそう言いながら、「くろめは超次元に復讐した後、どうするつもりだったと思う?」とネプギアに質問する。

 

 

「え……」

 

 

 ネプギアが少し呆けたような声でクロワールに返事をすると、「復讐が終わった後は何も残らねーよな? そんな世界で何をするつもりだったんだと思うって聞いてるんだ」とクロワールが再び質問をする。

 

クロワールの言葉にネプギアは力なく首を左右に振ると、「分かりません……」と悲しそうな声で呟く。

 

心優しく感受性と共感性が強いネプギアは、くろめの悲しみに共感しつつ、気付いてあげられなかった、救えなかったという自責の念に囚われていた。

 

 

「アイツはお前さえ居ればいい。全ての次元のゲイムギョウ界が滅びて何も無くなっても、二人だけの世界を作ればいい……そう呟いてたぜ」

 

 

 クロワールはそう言ってお手上げのポーズを取ると、「カッコ付けて復讐だの恨みだの言ってたけど、その正体は一目惚れしたお姫様をストーカーするコミュ障のぼっちのヤンデレ、クレイジーサイコレズとも言うのか?」と呆れた声を出す。

 

 

「最後の最後まで、お前への想いは口にしなかったけどな。それほどまでにお前に拒絶されるのが怖かったんだな」

 

 

 クロワールが話を続けると、「ひっく……ひっく……」とネプギアが大粒の涙を流しながら泣いてしまう。

 

 

「おいおい、泣くなよ」

 

 

 クロワールが呆れたようにネプギアを宥めようとするが、「だって、くろめさんが可哀そうで……気付いてあげられなかった自分が悔しくて」とネプギアは泣き続ける。

 

 

「お前が悪い訳じゃねーよ。アイツが素直じゃ無い上に逆恨みしただけだ」

 

 

 クロワールはバッサリ斬り捨てると、「それより、俺は恨まないのか? どうして超次元に帰る時に残りのダークメガミのことを言わなかったとか、どうしてくろめの本心を教えてくれなかったんだとか?」と質問する。

 

 

「そんなの筋違いですよ。私が悪いんです。私が気付いてあげなきゃいけなかったんです」

 

 

 ネプギアはキッパリと言うと、「損な性格してんなー。その内精神病んでハゲるぞ? お前みたいなヤツは人生損するぞ。俺やネプテューヌみたいに楽しんだ者勝ちだぜ」とクロワールが呆れてように言う。

 

 

「あはは、よく言われます。でも、私のこの性格を好きだと言って支え合ってくれる人達がいるから、今はこの性格も悪くないって思っています。それに私はみんなが笑顔で喜んでくれればそれで幸せですから」

 

 

 ネプギアがハッキリと答えると、クロワールは再び呆れて、「はぁ、その性格だよ。マジェコンヌと言い、くろめと言い、お前等はヤンデレ製造機か?」と言って溜息を吐く。

 

 

「え……? マジェコンヌ? どうしてそこでマジェコンヌが? それにお前等って?」

 

 

 クロワールの意外な言葉にネプギアは思わず涙を止めてクロワールに質問するが、「おっと、急いでるんじゃないのか?」とクロワールがはぐらかす。

 

 

「あっ、はい」

 

 

 ネプギアはクロワールの言ったことが気にはなったが、クロワールの話を聞くことで大分時間を費やしてしまったし、今は優先させるべきことがあると頭を切り替える。

 

くろめに対する悲しみも一先ず胸の中にしまい込み、「えっと、そう言うことですから、さっき言ったことをレイさんに伝えてあげて下さい。お願いします」とクロワールに頼む。

 

 

***

 

 

 

「そっか……そんなことがあったのか」

 

 

 ネプギアの話を聞いた、うずめがしきりに頷く。

 

 

「私思うんです。自分はいつでも正しいと思うことを一生懸命にやってるつもりでも、実際は間違っていて誰かに迷惑を掛けているんじゃないかって……くろめさんや、さっきのお姉ちゃんやプルルートさんみたいに……」

 

 

 ネプギアはそう言って視線を落とすと、「私……どうしたらいいんだろう?」と悲しい声で呟く。

 

 

「どうも何も今までの、ぎあっちでいいと思うぜ」

 

 

 そんなネプギアに対して、うずめがあっけらかんと言うと、「え?」とネプギアが目を丸くする。

 

 

「海男が言ってたんだ。人間だろうが女神だろうがモンスターだろうが、他人に迷惑かけて生きているのだから他人のことも許してあげろ。ってさ」

 

 

 うずめはそう言うと、「だから、もしもぎあっちに迷惑を掛けられたとしても、俺は許す。誰が何と言おうが許す。きっと、くろめも同じだと思うぞ」と続けて言う。

 

更に、右手で握りこぶしを作ると、「うん、くろめと一体になった俺が言うんだから間違いない」と力説する。

 

 

「うずめさん……」

 

 

 ネプギアはうずめの顔を見つめる。

 

その表情は明るかった。

 

 

「だからさ、ぎあっちも今までのぎあっちでいろよ。俺は今のぎあっちが好きだぜ」

 

 

 うずめがそう言うと、「ありがとうございます。うずめさん、凄く元気が出ました」とネプギアがお礼を言う。

 

 

「やっぱり、うずめさんはカッコイイです」

 

 

 ネプギアが立ち上がりながらそう言うと、「だろー? やっぱ俺ってカッコイイよなー」とうずめが上機嫌に立ち上がる。

 

二人はそのまま、仲間達が待っているキャンプ地に戻って行った。

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