新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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036サンジェルマン

 G.C.2019年8月29日 木曜日

 

 

 ネプギア達はいつものようにクエストと配給を終わらせるとギャザリング城の広間に集まっていた。

 

 

「女神様の恵みの雨、神の起こした奇跡か……少し大袈裟な気もするな……」

 

 

 ギャザリング城の居間でネプギアがファミ通の雑誌を見ながらポツリと言うと、「いいじゃない、みんな喜んでるんだから」と隣に座っていたユニが言う。

 

 

「そうよそうよ! わたし達凄く良いことしたんだから!」

 

 

 向かいに座っていたラムがドヤ顔で言うと、その隣に座っていたロムも、「みんなが喜んでくれるの嬉しい(にこにこ)」と微笑む。

 

 

「私、目立つのあんまり得意じゃないし……」

 

 

 ネプギアはそう控えめに言うが「そんなこと言ってるから地味って言われるのよ」とユニが鋭くツッコミを入れると、ネプギアは両手の人差し指をつんつんしながら「うぅ~」と呻いてイジけてしまう。

 

 

「ファミ通の記事はいつ聞いても楽しいわね」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと、「うん、楽しい(うきうき)」とロムもそれに続くと、「私やオンガクギョウ界のことも良く書かれてて嬉しいな」とミクが言う。

 

ネプギアは毎週出るファミ通の雑誌をロムとラムに読み聞かせているのである。

 

今週はダゴンとの死闘や雨乞いの儀式に付け加えて、ミクとのオンガクギョウ界の活躍が大増量ページで大々的に紹介されていた。

 

短い期間の中、ファミ通が懸命に記事を書いたのだ。

 

 

「お褒めに預かり光栄だよ」

 

 

 ネプギア達の話を聞いていたファミ通が丁寧に一礼する。

 

 

「毎週こんな良い記事を書いてもらって、ありがとうございます」

 

 

 ネプギアがファミ通にお礼を言うと、「ファミ通さんの宣伝の効果もあって、ここ最近のシェアは右肩上がりです」とイストワールがほくほく顔で言う。

 

ファミ通の雑誌には他にも、毎日のクエストを始め、地域の人達やエルフ達デミヒューマン達との交流が好意的に書かれていた。

 

 

「ラステイションとルウィーのシェアも上がっているんですよね?」

 

 

 ユニがイストワールに質問すると、「ええ、ユニさん達の活躍もゲイムギョウ界中に知れ渡っています」とイストワールが答える。

 

 

「やったー!」

 

 

 ラムが両手を上げて万歳すると、「ばんざい!」とロムもそれに続く。

 

 

「真面目にクエストしてるし、問題も滞りなく解決してるからね。当然の評価じゃない」

 

 

 アイエフが頷きながら言うと、「ギアちゃん達、頑張ってるです~」とコンパが続き、「正義の味方として働き甲斐があるよ」と日本一もサムズアップしながら嬉しそうに言う。

 

 

「その上週休二日はありがたいですの。土日は商売に励みますの」

 

 

 がすとが錬金術の道具をいじりながら言うと、「わたしも何かお金稼ぎしようかなー」とビーシャがプラモデルを作りながら言う。

 

がすとがお金好きなのは周知の事実だが、ビーシャもお金が好きで、がすととは気が合う。

 

 

「あたし、今度の休みはシェリリと話しながら釣りでもするよ」

 

 

 ファルコムが楽しそうに言うと、「私もお付き合いしていいですか?」とネプギアが言い、「アタシも行くわ」とユニもそれに続くと、更に、「ネギちゃんが行くなら私も」とミクが言うと、「いいよ、人数が多い方が楽しいしね」とファルコムは快諾する。

 

 

「負けないわよ」

 

 

 ユニがネプギアにライバル意識を向けながらそう言うと、「私だって負けないよ」ととネプギアが少し嬉しそうに答える。

 

 

「ロムとラムはどうする?」

 

 

 ユニがロムとラムに尋ねると、「釣りって楽しいよ」とネプギアも二人に釣りを勧める。

 

 

「わたし達は、テーキシューマイなのよ」

 

 

 ラムが腕組みしながら言うと、「何でシューマイが出てくるのよ」とユニが頭を抱えると、「定期集会……のことかな?」とネプギアが言う。

 

 

「うん、そう」

 

 

 ラムがうんうんと頷くと、「わたし達の親衛隊のみんなに会うの」とロムが嬉しそうに言う。

 

 

「そう言えばそんなの作ってたわね」

 

 

 ユニがあごに手を当てながら地鎮祭の時の話を思い出して言う。

 

 

「ネプギア、お願いしたバッジ出来てる?」

 

 

 ラムがネプギアに向かってそう言うと「出来てるよ、はい」ネプギアはNギアを操作すると缶バッジを取り出すとラムに渡す。

 

それは【R&R】と書かれ、デフォルメされたロムとラムの似顔絵が描かれた綺麗な缶バッジだった。

 

 

「うわー! 綺麗ー!」

 

 

 ラムが目を輝かせながらそれを受け取ると、隣のロムも、「流石はネプギアちゃん(ほれぼれ)」と見て嬉しそうに言う。

 

 

「よーし! 土曜日はこれを親衛隊に配るわよ!」

 

 

 ラムが左手を上げながらそう言うと、「頑張ろうね、ラムちゃん」とロムも小さくガッツポーズをする。

 

 

「ネプギア、缶バッジなんて作れたの?」

 

 

 ユニがネプギアに質問すると、「意外と簡単だよ」とネプギアがさらりと言うが、「ネプギアって何でも器用にこなすから、ネプギアが簡単って言っても説得力に欠けるのよね」と疑問顔のユニ。

 

ネプギアは真面目で物事の飲み込みが早いので、機械以外のことでも勉強して器用にこなす。

 

 

「本当に簡単だよ」

 

 

 ネプギアは言いながら少し考えるようなそぶりを見せると「そうだ! 日曜日は一緒にお揃いのバッジ作ろうよ」と言う。

 

 

「ええ、いいわよ」

 

 

 ユニは少し嬉しそうに頷くと、「あー! それはわたし達もやるー!」とラムがすかさず割り込んで来て、「一緒にやりたい……」とロムもそれに続く。

 

更に、「プラエもいいかな?」とプラエも右手を上げる。

 

 

「うん、いいよ」

 

 

 快く頷くネプギアに、「それなら、アタシ達五人のバッジを作りましょう」とユニが言うと、「「さんせーー!」」とロムとラムが万歳をする。

 

 

「ルートビルド計画も軌道に乗ってきましたね」

 

 

 イストワールがその光景を見ながら言うと、アイエフが、「そうですね、仲間も増えて随分捗るようになりましたね」と言いながら頷く。

 

 

***

 

 

 G.C.2019年8月31日 土曜日

 

 

 朝のランニングと稽古を済ませ朝食を食べたネプギアとユニはファルコムと一緒にギャザリング城の湖で釣りをしていた。

 

 

「ふー……朝早く起きて運動で汗を流した後に、美味しい朝食を食べて、のんびりと釣りをする。なかなか清々しい気分になるね」

 

 

 ファルコムは満足そうに頷くと、「はい、規則正しい生活は気持ちいいですよね」とネプギアはファルコムに同意すると、「ファルコムって、普段は規則正しい生活してないの?」とユニがファルコムに質問する。

 

 

「そうだね。冒険家なんてしてると、こうやって落ち着いた生活はなかなか出来ないよ。野宿なんてざらだよ」

 

 

 ファルコムは苦笑いで答えると、「冒険家って大変なんですね……」とネプギアが言うが、「でも、あたしは冒険を止めることは出来ないんだ。あたしの冒険好きは病気だね」とファルコムが自嘲的に笑う。

 

 

「みなさん釣りですか」

 

 

 そこにシェリリが湖面から顔を出すと、「シェリリ待ってたわ」とユニがシェリリに声を掛ける。

 

 

「私を?」

 

 

 シェリリが首を傾げると、「今日はシェリリちゃんとお話しながら釣りをするつもりだったんだよ」とネプギアがに答える。

 

 

「まあ、嬉しい。私もネプギア様達とお話しできるなんて嬉しいです」

 

 

 シェリリは胸に手を当てて喜ぶが、「えっと……その【様】っていうのは止めて欲しいかな」とネプギアが少し困ったような顔でシェリリに言う。

 

 

「え? でも、女神様ですし……」

 

 

 シェリリは困惑をするが、ネプギアは、「ルルドさんに友達になって欲しいって言われたし、様って言うのは友達としては仰々しいかなって……」と言うと、小首を傾げて「ダメかな?」とシェリリに問いかける。

 

 

「そんなことありません!」

 

 

 シェリリはネプギアの提案を素直に受入れると「……じゃあ、ネプギアちゃん」とネプギアをちゃん付で呼ぶ。

 

 

「うん」

 

 

 嬉しそうに頷くネプギアに、「嬉しいわ。こうやって呼ぶの憧れてたの」とシェリリは嬉しそうに笑う。

 

 

「で、何の話する?アタシは何でもいいわよ」

 

 

 ユニがシェリリに話題を振ると、「人間の生活の話なら何でもいいけど、やっぱり恋の話が聞きたいわ」とシェリリは頬を赤らめて提案する。

 

 

「コイバナかー……だったらファルコムね」

 

 

 ユニが腕を組みながらファルコムを見てそう言うと、「うん、ファルコムさんしかいないね」とネプギアも頷いてファルコムを見る。

 

 

「え? あたし~? 冒険の話なら出来るけど、恋の話なんて出来ないよ」

 

 

 ファルコムは驚きながら首を左右に振るが、「アタシ達恋愛経験ゼロだし、消去法でファルコムしかいないでしょ」とユニが言うと、「そうかもしれないけど……」と後頭部に右手を当てながら渋い顔をするファルコム。

 

 

「ミクはどうかな?」

 

 

 ファルコムが何とか逃れようとミクに話を振ると、「恋の歌はいっぱい知ってるけど、実際には……」とミクが困った顔をする

 

 

「ファルコムさんで大丈夫ですよ。ファルコムさんが気付いてないだけだから」

 

 

 ネプギアが少し可笑しそうにそう言うと、「気付いてない?」とファルコムが首を傾げる。

 

 

「シェリリちゃん、ファルコムさんの話は旅先で出会う女の子達に感情移入すると恋の話としても楽しめると思うよ」

 

 

 ネプギアはシェリリにそうアドバイスをすると、「それじゃ、お願い」とユニがファルコムに話をするように促すが、「うーん…本当に恋の話になんかなるのかな~?」とファルコムは首を捻りながら言う。

 

 

「釣れますかな?」

 

 

 突然、後ろから声を掛けられる。

 

 

「わ!」

 

 

 ネプギアがビクっと震えて驚いて振り向くと、後ろには黄色い帽子をかぶって、同じく黄色のスーツを着た老紳士が立っていた。

 

 

「オジサン誰よ! 驚くじゃない!」

 

 

 ユニは驚きながらも老紳士に抗議すると、「失礼。レディに声を掛けるには配慮が足りなかったようだ」と帽子を取って丁寧に一礼すると、「私はサンジェルマン」と名乗る。

 

銀髪で、ちょび髭を生やしたスマートな感じの紳士である。

 

 

「あたしが気付かないなんて何者……」

 

 

 ファルコムはそう言って少し警戒すると、「そう警戒していでくれたまえ。ただの旅人だよ」とサンジェルマンは手を大きく広げ自分に害意が無い事を示す。

 

 

「えっと……まだ始めたばかりなので釣れてません」

 

 

 ネプギアがサンジェルマンの質問に答えると、「そうですか」とサンジェルマンは頷き、「お久しぶりですね、女神様」と続けて言う。

 

 

「お久しぶり?」

 

 

 ネプギアが首を傾げると、サンジェルマンは、「以前にプラネテューヌで道案内をしていただいた者ですよ」と答える。

 

 

「ああ、あの時の!」

 

 

 ネプギアが思い出したように言うと、「随分とこっちの言葉が上手くなったわね」とユニが感心する。

 

 

「その節はお世話になったね。君達のような可愛らしい子が女神とは驚いたよ」

 

 

 サンジェルマンがヒゲをいじりながら言うと、「で、アタシ達が女神って知って尋ねて来るってことは何か大事な用事があるの?」とユニが質問すると、「ぶしつけなお願いだが、私をここで雇ってくれないかね」とサンジェルマンが答える。

 

 

「えっと……」

 

 

 ネプギアは突然の申し出に困ってしまうが、「オジサン、何が出来るのよ?」とユニはサンジェルマンに質問をする。

 

 

「錬金術を少々。あとは長く生きてる分、経験はそれなりにあるつもりだ」

 

 

 サンジェルマンがユニの質問に答えると、「そう、アタシ達釣りしてる間にコイバナが聞きたいの。アタシ達を楽しませてくれたら考えてあげてもいいわ」とユニは少し意地悪そうに言う。

 

 

「ユニちゃん、初対面の人にそんなことお願いしちゃ可哀想だよ」

 

 

 ネプギアはユニを止めるが、「はっはっはっ……構わないよ」とサンジェルマンは余裕な態度を崩さず、「何の話が良いかな、シェイクスピア? それとも実話の方がいいかな?」と問いかけてくる。

 

 

「ふうん……なかなか楽しめそうじゃない」

 

 

 ユニが腕組みしながらそう言うと、「とりあえず、あたしはコイバナから解放されたのかな……」とコイバナに自信の無かったファルコムは安堵のため息をつく。

 

 

 

***

 

 

 

 その頃、ロムとラムは日本一とがすととビーシャの三人と一緒にファミ通に車に乗せられて、親衛隊の子供達に缶バッジを配る為に近隣の村を回っていた。

 

 

「次のシヘイ村が最後だね」

 

 

 ファミ通が運転しながらロムとラム確認すると、「「うん!」」とロムとラムは元気一杯に頷く。

 

 

「今日もアイテムがバカ売れでウハウハですの~」

 

 

 がすとはお金を数えながら嬉しそうにしている。

 

彼女が錬金術で作った便利なアイテムは村人に好評なのだ。

 

 

「みんなバッジのこと喜んでくれてたね」

 

 

 ロムはバッジを見ながら嬉しそうに言うと、「そりゃ、女神様からの贈り物だもん。当然だよ」と日本一が自分のことのように誇らしげに言い、ビーシャは「わたしもプレスト仮面のバッジ作って売ろうかなー」と考え込む。

 

プレスト仮面とはビーシャが変装した正義のヒーローで子供は普通に助けるが、大人は助けた後に賃金を要求するという変わったヒーローである。

 

 

「着いたよ」

 

 

 ファミ通が村の入り口に車を停めると、全員がドアを開けて車から降りる。

 

 

「わー! 女神様だー!」

 

「ロム様とラム様だぞー!」

 

 

 入り口でロムとラムを待っていた子供たちが歓迎をする。

 

 

「今日はみんなにプレゼントがあるんだよ」

 

 

 ロムがそう言うと、ラムはバッジを左手に持って高々と掲げると、「親衛隊の証よ! ありがたく受け取りなさい」と自信満々に言い放つ。

 

 

「「「わあああああ」」」」

 

 

 子供達は喜びの声を上げながら、ロムとラムに駆け寄ってくる。

 

 

「はい、一列に並んでー!」

 

 

 ラムが駆け寄ってくる子供にそう言うと「横入りとかはダメだよ」とロムがそれに続く。

 

 

「まずはヒデヨね」

 

 

 ラムはヒデヨと呼んだ少年の服にバッジを付けてあげると「ありがとう、ラム様!」とヒデヨと呼ばれた少年が嬉しそうに笑う。

 

 

「イチヨーちゃん、病気はどう? 無理しちゃダメだよ」

 

 

 今度はロムがイチヨーと呼んだ少女の服にバッジを付けると「ありがとう、ラム様……こほこほ……」イチヨーは咳き込みながらもお礼を言う。

 

 

「ユキチもリーダー頑張ってね」

 

 

 次にラムはユキチと呼んだ少年の服にバッジを付けると「うん、頑張るよ」とユキチが頷く。

 

他にもシキブやイナゾー、ソーセキ、ヒロブミと呼ばれた子供達にバッジを配るロムとラム。

 

 

「さあ、今日は特別にわたし達が遊んであげるわよ」

 

 

 ラムが子供達に左手を上げて言うと、「何して遊ぶ」とロムも子供達に尋ねる。

 

 

「今、この村では虫相撲が流行ってるんだ」

 

 

 ユキチが手を上げると、「虫相撲?」とロムが首を傾げる。「なにそれー?」とラムは興味津々に質問する。

 

 

「実際に見た方が早いよ」

 

 

 ユキチがロムとラムを森の中に案内すると他の子供達もそれに付いて来る。

 

 

「ここだよ」

 

 

 ユキチが止まった場所には大きな木の切り株でできた土俵があった。

 

 

「なにこの木?」

 

 

 ラムがそう言って首を傾げると、「お相撲する土俵みたい」とロムが続けて言う。

 

 

「俺のカブトオーの力を見せてやる」

 

 

 ヒデヨが虫かごからカブトムシを取り出すと、「僕のノコギリスラッシュの方が強いぞ」とユキチが同じく虫かごからノコギリクワガタを取り出す。

 

二人は木の土俵にお互いの虫を乗せる。

 

 

「この虫さんが戦うの?」

 

 

 ロムが不思議に眺める。

 

するとカブトムシとノコギリクワガタが前進して近づき合う。

 

 

「あっ、戦い始めたわ!」

 

 

 ラムの言う通り、カブトムシは角をノコギリクワガタはハサミをぶつけ合って戦い始める。

 

 

「どっちも頑張れ!」

 

 

 ラムが興奮気味に応援すると「のこったのこった!」とロムも楽しそうに声を上げる。

 

 

「あっ! 角の方が勝ったわ!」

 

 

 ラムがカブトムシの勝利を喜ぶと「ハサミさんも頑張った(ぐっ)」とロムはノコギリクワガタの健闘を讃える。

 

 

「ロム様とラム様は、カブトムシもクワガタも知らないんですか?」

 

 

 イチヨーがカブトムシもクワガタも知らない様子のロムとラムに問いかける。

 

 

「初めて見るわ」

 

 

 ラムがカブトムシを見ながら言うと「ルウィーは寒いから虫さんはあんまり居ないってお姉ちゃんが言ってた」とロムが答える。

 

雪国であるルウィーにはカブトムシ等は住んでいない。

 

 

「だったら採りに行こうよ」

 

 

 ユキチがそう言うと、ヒデヨも、「うん、行こう。俺達の秘密の場所に案内するよ」と提案をする。

 

 

「うん!」

 

 

 ラムは嬉しそうに頷くが、「……ラムちゃん、みんなに言わなくていいの?」とロムはファミ通達に相談しようとする。

 

 

「いいのよ。すぐ帰ってくればいいんだから」

 

 

 ラムはそう言うと、「じゃあ、行きましょ」と続けて、子供達に案内をさせて、ロムと一緒に付いて行く。

 

 

***

 

 

 

 子供達に森の奥に案内されるロムとラム。

 

 

「たんけん、たんけん」

 

 

 ラムは案内されながら嬉しそうに鼻歌を歌うと、「楽しみ(わくわく)」とロムも楽しみなようだ。

 

 

「うわー! なんだこれー!」

 

 

 先頭のユキチが大声を上げると、「誰だよ、こんなことしたの!」とその後ろにいたヒデヨが怒りの声を上げる。

 

 

「どうしたの?」

 

 

 ラムが二人に尋ねると「なにかあったの?」とロムもそれに続く。

 

 

「僕たちの秘密の場所が荒らされてるんだ」

 

 

 ヒデヨがロムとラムに答えると、ラムが辺りを見回して、「えー! なにこれー? ひどーい!」と憤り、「木も地面もボロボロ…」とロムは悲しそうな声を出す。

 

そこには抉れた木たちと掘り起こされた地面が広がっていた。

 

 

「幼虫やサナギまで根こそぎ持ってってるぞ!」

 

 

 ユキチが辺りを見回しながら言うと「幼虫やサナギまで採ったら森から昆虫が居なくなっちゃう……」とイチヨーが悲しそうに言う。

 

 

「木だって、こんなにボロボロにされたら死んじゃうよ!」

 

 

 ヒデヨが怒りながら言うと、イチヨーがユキチの服を掴みながら「……ねぇ、あそこに誰か居ない?」と小声で言う。

 

 

「……すごくエッチな女の人だ……」

 

 

 ユキチが興奮しながら言う。

 

その姿は、半身はほぼ裸の女性であった。

 

 

「もー、ユキチのエッチー!」

 

 

 ラムはユキチの頭を叩くと、「でも、足がお花だよ」とロムが女性の下半身を指差して言う。

 

その女性の下半身は足ではなく花びらに包まれていた。

 

 

「あれって、モンスターじゃない? よく見ると肌も緑色だし」

 

 

 ラムも下半身が花の女性を指して言うと、「……アルラウネだったと思う」とロムが思い出したように言う。

 

 

「……えぇ……モンスター? 怖い」

 

 

 イチヨーが声を恐怖で震わせると、「アイツがここを荒らしたのか?」ヒデヨが声を荒らげる。

 

 

「ロム様、ラム様、やっつけちゃってよ!」

 

 

 ユキチがロムとラムにお願いをすると、「まかせて! ガツンとやっつけてあげるわ! ね、ロムちゃん」とラムは威勢よく答え、ロムにも同意を求める。

 

 

「……ちょっと待って、ネプギアちゃんにアルラウネは植物と仲良しって聞いたことがあるよ」

 

 

 しかし、ロムは落ち着いてそう言うと、「そのアルラウネが木を傷つけるなんて変じゃないかな?」と続けて首を傾げる。

 

 

「そう言えば襲ってこないわね」

 

 

 ラムもロムの言葉で未だに動かないアルラウネに疑問を持ったようだった。

 

 

「なんだか、困ってる気がする……」

 

 

 ロムがアルラウネの様子を見ながら言うと、「う~ん……そう見えなくもないけど……」とラムは腕を組んで思案顔になる。

 

 

「ネプギアちゃんが無闇な殺生はいけないって言ってた」

 

 

 ロムはそう言うと、「わたし、話を聞いて来る」と前に進み出るが、「ええっ? 危ないよ」とラムがロムの手を握り止めようとする。

 

 

「大丈夫……ネプギアちゃんがアルラウネは少しだけ人間の言葉が分かるって言ってた」

 

 

 だが、ロムは止める気はないようだ。

 

それを悟ったラムは、「わかったわ。じゃあ、わたしが話す。ロムちゃんは下がってて」とラムはロムの前に出ると「……うん」とロムは素直に頷く。

 

 

「ねー! これやったの、あなたなのー?」

 

 

 ラムはアルラウネに聞こえるように大声で言うと、アルラウネは首を横に振る。

 

 

「首を振ってる。違うって言ってるのかな?」

 

 

 ロムは首を横に振るアルラウネを見て言うと、ラムは次に、「じゃあ、誰がやったか知ってるー!」と大声で質問すると、今度は縦に首を振る。

 

 

「うなずいてる。知ってるんだ」

 

 

 ロムが首を縦に振ってうなずくアルラウネを見て言うと、アルラウネはクルリと振り返り背中を見せて歩き出す。

 

 

「あっ! 逃げるわ!」

 

 

 ラムが叫ぶと、「案内してくれるんじゃないかな……森を荒らしてる人のところに」とロムが言い「なるほどー、流石ロムちゃん」とラムは感心して頷く。

 

 

「ユキチ、あんた達はここで待ってなさい。わたし達が行ってくるわ」

 

 

 ラムは子供たちのリーダーのユキチにそう言うとロムと一緒にアルラウネを追う。

 

 

***

 

 

 ロムとラムがアルラウネに案内されている頃。

 

 

「おらぁ! おらぁ! おらぁぁ!」

 

 

 森の奥で下っ端がバールのようなもので森の木を一心不乱に抉っていた。

 

 

「ストレスが溜まってるっちゅね」

 

 

 それを呆れた目で見るワレチュー。

 

 

「何が女神の恵みの雨だ! 何が神の起こした奇跡だよ!」

 

 

 下っ端はファミ通の書いたネプギアの活躍記事が気に入らなかったらしく、木に八つ当たりをしているようだ。

 

ちなみに、買って読んだのではなく立ち読みだ。

 

 

「ストレス解消はいいちゅけど、仕事も方もきちんとしてほしいちゅ」

 

 

 ワレチューは下っ端に注意をすると、「やってるよ! ほれ、サナギだ」と下っ端は抉った木からカブトムシのサナギを取り出すとしょっているカゴの中に投げ入れる。

 

 

「しかし、カブトムシの密漁して小遣い稼ぎなんて虚しいちゅね」

 

 

 ワレチューがそう言って肩を落とすと、「仕方がねーだろ。飯食う金もねぇんだからよ」と下っ端が愚痴をこぼす。

 

 

「あーーー! 下っ端! やっぱりアンタだったのね!」

 

 

 そこにラムの大声が響く。

 

 

「くっ、テメェ等は!」

 

 

 下っ端はラムの大声に振り向くと、そこにはアルラウネに案内されたラムが仁王立ちしていた。

 

 

「な、なんのことちゅか?」

 

 

 ワレチューはしらばくれるが、「今、木から無理矢理採ったの見たよ。現行犯(びしっ)」とロムは指を差して言う。

 

 

「森を荒らすなんてサイテーね」

 

 

 ラムが腕組みしながらそう言うと、「サイテー」とロムも下っ端達を責める。

 

 

「テメェ等だって、ルートビルドとか言って森壊してるだろうが!」

 

 

 下っ端は苦しい反論をするが、「わたし達は地鎮祭やったもの」とラムが言い、「精霊さんや動物さんに許可貰った(こくこく)」とロムも頷きながらそれに続く。

 

 

「そんなもん、テメェ等のエゴなんだよ! あんな盆踊りなんかアタイだってできるっての!」

 

 

 下っ端はロムとラムをからかうように踊り始めるが、「それは盆踊りじゃなくて、どじょうすくいちゅ……」とワレチューがツッコミを入れる。

 

 

「うるせーよ! もはや問答無用だ! 出ろオルトロ……」

 

「どっせーーーーーい!」

 

 

ドカーーーーーン!

 

 

 下っ端はいつものようにモンスターを召喚しようとするが、その瞬間に踏み込んで来たラムのアイスイハンマーに現れた犬のモンスターは、「キャイッ!」と悲鳴を上げて遥か彼方に吹き飛ばされて星になる。

 

 

「て、てめぇ! 召喚中の攻撃は御法度だろ!」

 

 

 下っ端は慌ててラムに抗議をするが、「問答無用って言ったのは下っ端でしょ。わたしの信条は先手必勝、一撃必殺よ」とラムは悪びれもなく言うと、「流石ラムちゃん(ぱちぱち)」とロムはラムを褒める。

 

 

「ど、どうするちゅか?」

 

 

 不利を悟って慌てるワレチューに、「こうなったら……に……」下っ端はそこまで言うと、「……おっ!」と何かに気付いたようだ。

 

 

「なによ? 今日も逃げるの。逃げるんならカゴ置いてきなさよね」

 

 

 ラムは下っ端が逃げると思い忠告を出すが、「おらぁ!」下っ端は突然茂みに入ると一人の子供を抱えていた。

 

 

「ユキチくん!」

 

 

 ロムが慌ててその子供の名前を呼ぶ。

 

 

「そーかぁ、知り合いか。なら都合がいいな。しかし、ユキチか……金になりそうな名前だな」

 

 

 下っ端は羽交い締めにしたユキチを眺めて言う。

 

 

「ごめんなさい! オレ、どうしてもロム様とラム様が心配で……」

 

 

 ユキチはロムとラムが心配で追って来たようだった。

 

 

「ククク……健気じゃねぇか。こんな子供を見捨てるなんてできねーよなぁ~」

 

 

 下っ端はいやらしく笑いながら言うと、「卑怯よ!」とラムが憤り、「ずるい!」とロムも批難する。

 

 

「卑怯は褒め言葉だーーー!」

 

 

 下っ端が嬉しそうに言うと、「はなせー、はなせー!」ユキチはバタバタと暴れる。

 

 

「ここから無事に逃げて、身代金でも貰ったら離してやるちゅよ」

 

 

 ワレチューはわざと優しそうな声を出してユキチを宥めようとする。

 

その瞬間、下っ端の後ろに立っている一本の木が【ガサッ】と揺れる。

 

同時に木の上から黒と黄色の二つの塊が下っ端目掛けて急降下してくる。

 

 

「ジャスティスキーーーーック!」

「プレストキーーーーーック!」

 

 

 黒と黄色の塊の正体は、日本一と目の部分に妙なハーフマスクを付けたビーシャで、二人は同時に飛び蹴りを下っ端の後頭部に叩き込む。

 

 

「ふごっ!?」

 

 

 下っ端がキックを受けて吹き飛ぶと、日本一とビーシャは華麗に着地をして、「「これぞダブルヒーローキック」」と言って決めポーズをする。

 

ちなみにこのダブルヒーローキックはネプギアと日本一でも放つことが出来る。

 

 

「正義女とゴールドサァドのガキ!」

 

 

 二人の突然の登場に慌てるワレチュー、日本一はユキチを保護すると、「アタシが来たからにはもう大丈夫だよ」と微笑みかける。

 

 

「て、てめぇ……どこから……」

 

 

 後頭部を押えながら立ち上がる下っ端。

 

 

「ヒーロイヤーは地獄耳だよ! 子供の悲鳴は聞き逃さない!」

 

 

 日本一はカッコよく腕を上げたポーズを決めると、ビーシャも、「プレスト仮面は正義の味方! どんな些細な悪でも見逃さない!」とカッコよくポーズを決める。

 

 

「……単に子供達が助けを呼びに来ただけですの」

 

 

 二人の後ろにいたがすとが呆れ顔で言うと、「犯罪組織って本当に悪い事しかしないねー」とファミ通も呆れ顔で言う。

 

 

「げぇっ! 更に仲間が来たっちゅ!」

 

 

 ワレチューが二人の登場に驚くと、下っ端も、「く、くそー!」と後ずさりする。

 

 

「こら! ワレチュー! 大人しくチューコのところに帰りなさい!」

 

 

 ビーシャがワレチューを指差して言うと「オイラはこっちの方が性にあってるっちゅ」とワレチューが言い返す。

 

 

「今帰れば、賞状借用のオチがあるわよ」

 

 

 ラムも説得に加わるが、「それは情状酌量の余地ですの……」とがすとが呆れ顔で言う。

 

 

「とにかく、帰らないって言ったら帰らないちゅ! それに悪者にも友情があるっちゅよ!」

 

 

 ワレチューが叫ぶと「オマエ……」と下っ端が少し意外そうな顔をする。

 

 

「これは説得しても無駄かもね」

 

 

 ファミ通がそう言うと、「それじゃあ、虫さんだけでも返して」とロムが下っ端達に訴える。

 

 

「そうね。大人しくカゴを置いて行くなら見逃してあげるわよ」

 

 

 ラムが腰に手を当てて下っ端達に言うと、「本当だな? 追うなよ、絶対に追うなよ!」と言いながら下っ端はカゴを置くと、「……追ってほしいんちゅか?」とワレチューは下っ端の言い方があまりにもネタっぽかったのでツッコミを入れる。

 

 

「そんなわけねーだろ!」

 

 

 そう言いながら下っ端とワレチューはカゴを置くと猛ダッシュで逃げて行く。

 

 

「本当に追わないですの?」

 

 

 がすとが首を傾げると、「悪い奴でも約束は守らなきゃいけなって、ネプギアが言ってたもの」とラムが、「うん、約束は約束(こくこく)」とロムが同時に頷いて言う。

 

 

「流石は女神様だね」

 

 

 ファミ通は感心して言うと、「それより、虫さん解放してあげないと」ラムはカゴの中からカブトムシ達を取り出して森に放してあげる。

 

 

「……ちょっと怖い、噛まれそう」

 

 

 ロムは虫を持つのが怖いようだが、「大丈夫よ。お尻の方を持てば噛まれないわ」とラムがアドバイスすると、「うん、やってみる」と言ってロムも虫達を森に返してあげる。

 

 

「ぷはーーーー! 生き返ったー!」

 

 

 ロムとラムが昆虫を森に返してる最中に、カゴから蝶の羽が生えた10センチぐらいの大きさの少女が出てくる。

 

 

「わあっ!」

 

「きゃっ(びくびく)」

 

 

 驚くロムとラム。

 

そこに、さっきまで遠目に見ていたアルラウネが寄って来る。

 

 

「あっ、エレナ! あなたが助けてくれたの?」

 

 

 小さな少女はアルラウネをエレナと呼んで問いかけると「……違う……この人達」アルラウネは小さな声で喋りながら小さな少女に説明する。

 

 

「そう、ありがとう。私はフェアリーのティータ。密漁してる奴注意したら捕まっちゃったの」

 

 

 小さな少女は自分をフェアリーと名乗り自己紹介をすると、「下っ端の被害者だね」とファミ通が言う。

 

 

「あれ? よく見れば地鎮祭で踊ってくれた女神様じゃないの?」

 

 

 ティータはロムとラムを見ながら言うと、「知ってるの?」とロムが首を傾げ、「わたし達ってば有名人~」とラムが胸を張って言う。

 

ファミ通が、「あの時は変身してたのに、よくわかったね」と質問すると、「見た目は違うけど、身に纏うオーラの色でわかるわ」とティータが言う。

 

 

「そういうことなら、私達の味方ね。ね、エレナ」

 

 

 ティータは嬉しそうにエレナに言うと、「……私もそう思って助けて貰おうと思ったの……」とエレナはティータに答える。

 

 

「地鎮祭の踊り、ちゃんと森の生き物達に通じてたんだ」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと「嬉しい」とロムも嬉しそうに微笑む。

 

 

「でも、フェアリーはともかく、アルラウネってモンスターじゃないの?」

 

 

 日本一が首を捻ると、「失礼ねー! 人間にとってはモンスターでも、森で一緒に暮らす仲間なのよ」とティータは怒りながら言う。

 

 

「……私は森を愛する人や女神様なら仲良くしたい……」

 

 

 エレナも続けて答えると、「そっか、人間にも悪い人と良い人がいるみたいに、モンスターにも良いモンスターがいるんだね」とビーシャは納得したようだった。

 

 

「ところで幼虫やサナギはどうするの?」

 

 

 日本一が残った幼虫とサナギを見て質問すると「元に戻すだけじゃダメなの?」ロムが首を傾げる。

 

 

「……それは難しいかも」

 

 

 エレナが悲しそうに答え、「自然のままに戻すって難しいのよ。ただ戻しただけじゃ冬を越せないわ」とティータも難しい顔で答える。

 

 

「ここはわたしに任せて、心当たりがあるわ」

 

 

 ラムは自信満々で答えると、胸をポンと叩いた。

 

 

***

 

 

「それで、私に何とかして欲しいってこと?」

 

 

 夕方になり釣りから引き上げようとしていたネプギアが首を傾げる。

 

あの後、ティータとエレナと別れたロムとラム達はシヘイ村の子供達を無事返してギャザリング城に戻ってきたのだ。

 

 

「お願いネプギア」

 

 

 ラムはシヘイ村の森で起きたことを話していた。

 

その上でネプギアに訴える。

 

自信満々に答えたのはネプギアを頼る前提だったようだ。

 

 

「ネプギアちゃんしか頼れる人がいないの(うるうる)」

 

 

 ロムも上目遣いでネプギアを見る。

 

その横には昆虫のサナギと幼虫が入ったカゴがあった。

 

 

「うーん……私、虫飼ったことないから自信ないけど調べてみるね」

 

 

 ネプギアはとりあえず引き受けることにして、ギャザリング城内に戻る。

 

 

「ところでそちらの方は?」

 

 

 ファミ通がネプギア達と一緒に居るサンジェルマンの存在に気になったらしい。

 

 

「今日からここでお世話になることになったサンジェルマンです。以後お見知りおきを」

 

 

 サンジェルマンは丁寧に一礼をするが、「まだ本決まりじゃないんだから調子に乗らないでよね」とユニは横から口を挟む。

 

 

「ユニちゃん、あんまり意地はらなくてもいいんじゃないかな……」

 

 

 ネプギアがユニにそう言うと、「サンジェルマンの話面白かったね。あたしも聞き入っちゃたよ」とファルコムが続けて答える。

 

釣りの間、ネプギア達はサンジェルマンの話に聞き入っていた。

 

そういうことで、ユニの要望に応えたサンジェルマンは城の中に同行していた。

 

 

「ユニちゃんはサンジェルマンさんをいーすんさんに紹介してあげて。私は昆虫の飼い方を調べるから」

 

 

 広間まで戻ったネプギアがユニに言うと、「わかったわ」と言って、「こっちよ」とサンジェルマンをイストワールの部屋に案内する。

 

それに合わせて全員が散り散りに自室に戻り、ネプギアとロムとラムはカゴを抱えてネプギアの部屋に入って行く。

 

 

「えっと、まずはネットの質問箱に昆虫の飼い方を質問して……」

 

 

 ネプギアはパソコン立ち上げるとインターネットに繋げる。

 

インターネットで昆虫の飼い方を調べようとしているのだ。

 

 

「後はググって……昆虫、幼虫、飼い方……っと……」

 

 

 ネプギアは華麗なブラインドタッチでパソコンを操作していると、「できそう?」とロムが不安そうに質問する。

 

 

「うん、何となく分かってきたよ」

 

 

 ネプギアはロムの不安に対して明るく答えると、「ホント! さすがネプギア!」とラムが嬉しそうに言う。

 

 

「質問箱の答えとググった情報を合わせて、必要なものをamazoo.neさんで揃えると」

 

 

 ネプギアがパソコンの操作を終えると様々な飼育道具が部屋の中に転送されてくる。

 

 

「いっぱい出て来た!」

 

 

 ラムがビックリすると、「これで幼虫さんとかを飼うの?」とロムが質問する。

 

 

「そうだよ、えっと……こうしてああして……」

 

 

 ネプギアはテキパキとした動作で飼育道具の中に幼虫やサナギを入れる。

 

何でも器用にこなす彼女は、インターネットの情報通りに、手際よく幼虫とサナギの育て方を理解していた。

 

 

「ネプギア早ーい!」

 

 

 ラムが嬉しそうに飛び跳ねると「流石はネプギアちゃん」とロムは感心の声を上げる。

 

そう言っている間にもネプギアの作業は続き、いつの間にかカゴの中の幼虫とサナギは全部飼育道具の中に入れられていた。

 

 

「これでよしっ! 後は定期的にお世話をしてあげれば羽化する筈だよ」

 

 

 ネプギアは手袋に着いた土を払いながら言う。

 

 

「いやー、お見事。初めてとは言えない手際の良さだね」

 

 

 そこに背後からサンジェルマンが拍手をしながら現れる。

 

 

「きゃっ、サンジェルマンさん! ……それにユニちゃん」

 

 

 ネプギアはサンジェルマンとユニの存在に驚くと、「呼んだけど返事無いから勝手に入っちゃったわよ」とユニはネプギアの疑問に答える。

 

ネプギアは集中力が高く一つのことに集中すると周りのことが気にならなくなる。

 

 

「レディに対して失礼かと思ったが、ユニ様が一緒だったからね」

 

 

 サンジェルマンが答えると、「イストワールさんの許可をもらったわ。今日からサンジェルマンはこの城の執事兼アタシ達の運転手よ」とユニがイストワールに許可を貰った旨を話す。

 

 

「ひつじ?」

 

 

 ラムが首を傾げると、「めぇめぇ」とロムが羊の鳴きまねをする。

 

二人は執事のことが良く分からないようだ。

 

 

「男の使用人のリーダーになる人のことだよ。フィナンシェさんの男の人版ってところかな」

 

 

 ネプギアが簡単に説明をすると、「ここには男の使用人がいないからね。必然的にリーダーなのよ」とユニがネプギアの答えに追加をする。

 

ちなみにフィナンシェはギャザリング城のメイド長である。

 

 

「サンジェルマンってパン屋さんみたいな名前ね」

 

 

 ラムがサンジェルマンに言うと、「はっはっは、ラム様達の世代になるとそうなるのかな?」とサンジェルマンは笑いながら答える。

 

 

「私はパン屋と言えば神田屋かな?」

 

 

 ネプギアが言うと、「あそこ制服が可愛いのよね」ユニもネプギアに同意する。

 

 

「パンの話したら、お腹空いてきちゃった……(ぺこぺこ)」

 

 

 ロムがお腹を押さえると切なそうに言う。

 

 

「では、失礼して」

 

 

 サンジェルマンは手を振りかざすと、その手にアンパンが出てくる。

 

 

「わあっ! パンが出た!」

 

 

 ラムが驚くと、「何でどうして?」とロムも同じように驚く。

 

 

「ちょっとした手品さ。さあどうぞ」

 

 

 サンジェルマンはアンパンをネプギア達に差し出すが、「食べられるのこれ?」とユニは少し不安のようだ。

 

 

「心配しなくても大丈夫。今朝神田屋で買って来たものさ」

 

 

 サンジェルマンは神戸屋の紙袋を取り出すと、「本当だ、これ神田屋のアンパンの味だよ」と一口食べたネプギアが味覚で判断する。

 

 

「都合の良すぎる手品ね」

 

 

 ユニはまだ少し警戒気味のようだ。

 

 

「今日の占いのラッキーアイテムが神田屋のアンパン四つだったのだよ」

 

 

 サンジェルマンはユニの警戒に怯みもせずに答える。

 

 

「随分ピンポイントなラッキーアイテムね。まあいいわ」

 

 

 ユニもアンパンを食べ始めると、ロムとラムも一緒に食べ始める。

 

 

「ところで、先程のネプギア様の手際はなかなか見事でしたよ」

 

 

 サンジェルマンがネプギアに話しかけると、「え?」とネプギアは疑問顔をする。

 

 

「幼虫の飼育のことですよ。経験者のような手際の良さだった」

 

 

 サンジェルマンはネプギアを褒めると、「だって、ネプギアだもん」とラムが自信満々に言い、「ネプギアちゃんは何でもできる(ふんす)」とロムも言い、二人は自分のことのように胸を張る。

 

 

「私が凄いんじゃないですよ。インターネットを作った人やそれで情報をくれる人が凄いだけで、私は教えて貰った通りにやっただけですよ」

 

 

 ネプギアは謙遜しながら答えると、「しかし、他人が頼みをあそこまで真剣に出来るのはなかなか出来ないことだよ」とサンジェルマンは尚もネプギアを持ち上げる。

 

 

「ロムちゃんとラムちゃんは大事なお友達ですから。それに昆虫のことも助けてあげたかったですし」

 

 

 ネプギアは真面目に言うと、「真面目で優秀で、謙虚で友達思いで優しい。人として素晴らしいね。ネプギア様のところに来て正解だったよ」とサンジェルマンはしみじみと頷く。

 

 

「そ、そんなに褒めないで下さい!」

 

 

 ネプギアはおだてられて焦ってしまう。

 

 

「あっ! 知恵袋で回答くれた人にお礼言わなきゃ!」

 

 

 恥ずかし過ぎて話を変えたいネプギアはそう言ってパソコンに向かう。

 

 

「サンジェルマンはどうしてギャザリング城に来たの?」

 

 

 ラムがアンパンをかじりながらサンジェルマンに質問をすると、「以前にネプギア様に道案内された時に、その優しさに感服して仕えてみたいと思ったのだよ」サンジェルマンが答える。

 

 

「あー! あの時の横綱のおじーちゃん!」

 

 

 ラムが思い出したかのようにサンジェルマンを指差して言うと、「横綱?」とサンジェルマンが不思議そうに言う。

 

 

「この子の言うことあんまり気にしないで」

 

 

 ユニが呆れながら言うと、「それに君達は可愛らしいしね。仕えるなら美しい方が良い」とサンジェルマンが続けて答える。

 

 

「可愛いからって……不純な理由ね」

 

 

 ユニが眉をしかめると、「もう一ついえば、私の願いを叶えてくれそうだったからかな」サンジェルマンが言う。

 

 

「お願い?」

 

 

 ロムが首を傾げると、「それは秘密さ」サンジェルマンはそう言って人差し指を口に当てる。

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