新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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040ARCUS【アークス】

 オーディン達と妖精の里で会ってから数日。

 

 

G.C.2019年9月16日 月曜日。

 

 

 ネプギア達はいつものようにクエストに精を出していた。

 

今日のクエストはバーチャフォレストでのエンシェントドラゴン退治である。

 

 

「先程お話しました通り、今日のクエストはこの近辺でリザードマンを率いて暴れているエンシェントドラゴンの退治です」

 

 

バーチャフォレストに着くとイストワールがコンソールを操作してネプギア達にクエストの説明を始める。

 

 

「エンシェントドラゴンってかなり強いですよね~」

 

 

 コンパが不安そうに言う。

 

エンシェントドラゴンはドラゴンの中でも強力な個体で知能、魔力、体力どれをとっても人間を遥かに上回る存在である。

 

 

「そうね、全員で掛かるしかないわね」

 

 

 アイエフがコンパの質問に答える。

 

 

「アイエフさんの言う通りですが、今回はある試験の為にネプギアさん達女神候補生達とプラエさんでエンシェントドラゴンに挑んで貰います」

 

 

 イストワールはアイエフの言うことを認めながらもネプギア達に変身せずに戦うよう指示をしてくる。

 

 

「えー! なんでー?」

 

 

 目を丸くする日本一に、「無謀ですの」とがすとは呆れたように言う。

 

しかし、「ところがそうでも無いんだ」とファルコムが落ち着いて言う。

 

 

「試験とか言ってたけど、それが関係あるの?」

 

 

 ファミ通はイストワールの言っていた【試験】と言う言葉に気が付いたようだ。

 

 

「はい、今回はファルコムさんの紹介によってラインフォルト社の最新技術試験も合わせて行います」

 

 

 イストワールがファミ通に答える。

 

 

「ラインフォルト社って、あの有名重工業メーカーの?」

 

 

 ニトロプラスが驚いて言う。

 

ラインフォルト社はゲイムギョウ界でも指折りの巨大重工業メーカーで、鉄鋼、銃火器、戦車などで大きなシェアを持つ。

 

 

「ファルコムさん、凄い人とお知り合いなんですね」

 

 

 ゴッドイーターも驚く。

 

 

「冒険してると、色々な事件に巻き込まれてね。それでいつの間にか色々なところにコネが出来ちゃったんだ」

 

 

 ファルコムは特に自慢するようなそぶり見せずあっさりと答える。

 

 

「そのコネ是非とも紹介して欲しいですの!」

 

 

 がすとが目を輝かせてファルコムに擦り寄る。

 

 

「ローゼンクィーン商会だって負けてないんだからね」

 

 

 日本一は何やらライバル意識を燃やしているようだ。

 

ローゼンクィーン商会とは日本一の出身地で、兵器から回復アイテムまで幅広い商品展開をしている。

 

 

「なるほど……でも、その最新技術って? それらしい物は見当たらないけど?」

 

 

 ファミ通は納得しながらも、肝心の最新技術らしい物が見当たらないので首を傾げる。

 

 

「ネプギアさん達が今持っているものがそうです」

 

 

 イストワールはファミ通の質問に答える。

 

 

「ネプギアが持ってる物って……Nギアじゃない?」

 

 

 アイエフが呆れながら言う。

 

全員がネプギア達に注目するが、肝心のネプギア達は自分達の携帯ゲームをいじっていた。

 

 

「みなさん、クエスト中にゲームで遊んじゃダメですよ~」

 

 

 コンパがネプギア達に注意する。

 

 

「あっ、ごめんなさい。今、みんなにアークスの説明をしてたんです」

 

 

 ネプギアはコンパの声に気付いて返事をする。

 

 

「アークスって、あの正義の味方の?」

 

 

 日本一が答えると、「強化ショップの店員を相手に死闘を繰り広げていると聞いてますの」とがすとも日本一に続く。

 

 

「素晴らしく運がないな、君は」

 

 

 ネプギアが何故か低い声で、彼女らしくない台詞を言う。

 

 

「なにしてるのよアンタは……」

 

 

 ユニが呆れ顔でツッコミを入れる。

 

 

「ごめんごめん。お約束だと思って」

 

 

 ネプギアは悪戯っぽく笑いながら言う。

 

 

「アークスって言うのは、ラインフォルト社が開発した次世代戦術システムのことさ」

 

 

 ファルコムがネプギアに代わって説明をする。

 

 

「オールラウンド、コミュニケーション&ユニゾンシステムを略して【ARCUS(アークス)】って言うんです」

 

 

 ネプギアも真面目な顔に戻ってファルコムに続いて説明をする。

 

ちなみに日本一達が言ったアークスはプラネテューヌにあるSFのRPG、【ファンタジックスターオンライン2】に出てくる組織である。

 

 

「その、あーくすって何が出来ますの?」

 

 

 がすとが質問をすると、「使用者同士をリンクさせて、お互いの感覚を共有し高度な連携を可能にするんですよ」とネプギアが目を輝かせて説明をする。

 

 

「どういうことですか?」

 

 

 コンパが首を傾げる。コンパには少し難しい内容だったようだ。

 

 

「えっと……簡単に言うと仲間同士でテレパシーを使って戦えるようになるってことです」

 

 

 ネプギアはコンパにも分かるように説明をする。

 

 

「そんなことが出来るの?」

 

 

 アイエフが驚く。

 

 

「アタシも眉唾物だったけど、ネプギアに説明を受けてる内に実感が湧いてきたわ」

 

 

 ユニがゲーム機を操作しながら言うと、「みんなの心が伝わってくる(しみじみ)」とロムが目を閉じて嬉しそうに言う。

 

更に、プラエも、「みんなと繋がれるなんて嬉しい」と微笑む。

 

 

「イシンデンジンって……じゃなくて、以心伝心ってヤツよ」

 

 

 ラムはまた言い間違えるが、すぐさま訂正をする。

 

 

「今、私がアークスを使ってラムちゃんに言い間違えを教えてあげたんです」

 

 

 ネプギアがみんなに説明をする。

 

 

「どうやら、リンクは順調のようですね」

 

 

 イストワールが嬉しそうに言う。

 

 

「わー! すごーい!」

 

 

 日本一が驚くと、「これは確かに高度な連携が期待できそうだね」とファミ通がメモを取りながら言う。

 

 

「そういう便利な物なら、がすと達にも供給してほしいですの」

 

 

 がすとがそう言うと、「残念だけど、現時点では適性が無いと使えないんだ」とファルコムが残念そうに言う。

 

 

「私達の中で適性があるのが、ネプギアさん達女神候補生とプラエさんだけなんです」

 

 

 イストワールが説明をする。

 

 

「それに、これネプギアがわたし達用に改造してる専用品だし」

 

 

 ラムがゲーム機を操作しながら言う。

 

 

「わたしでもラムちゃんのアークス動かせなかった(こくこく)」

 

 

 ロムが続けて言う。

 

元は同じ機種で双子であるロムとラムの物が別物になってしまう程の専用改造らしい。

 

 

「最初は五人同時でリンクさせるだけのつもりだったんだけど、突き詰めて行く内にどんどん専用化しちゃって……」

 

 

 ネプギアが頬を掻きながら恥ずかしそうに言う。

 

 

「まぁ、それだけアタシ達のこと理解してくれてるってことよね」

 

 

 ユニが嬉しそうに言うと、「ネプギアお姉さんにそんなに思われてるなんて、嬉しいな」とプラエも嬉しそうに言う。

 

 

「それにしても、よくこの短期間でアークスを自分達の携帯端末に組み込めたね」

 

 

 ファルコムが感心しながら言うと、「派遣されたアドバイザーの方が良かったんですよ」とネプギアがいつものように謙遜する。

 

 

「確かに良い方でしたね。ネプギアさんと声が似すぎていてどちらが喋っているのか分からなくなる方でしたが」

 

 

 イストワールが思い出し笑いをしながら言う。

 

 

「自分でもこんがらがるぐらいでした……」

 

 

 ネプギアも釣られて笑う。

 

 

「ですが、ネプギアさんは自分の技術を誇って良いと思いますよ」

 

 

 イストワールが言うと、「そうよ、こんなの出来るのネプギアぐらいなんだから!」とラムが、「ネプギアちゃん凄い」とロムが口を揃えてネプギアを褒める。

 

 

「アンタのメカオタもここまで来れば自慢になるわよ」

 

 

 ユニもネプギアを褒めると、「ネプギアお姉さんは凄いと思うよ」とプラエも褒める。

 

 

「そ、そうかな……」

 

 

 ややおだてに弱いネプギアは、ユニ達に囲まれてまんざらでもない顔をして喜ぶ。

 

 

「それにしても、コネがあるからって言ってもよく最新技術を提供してくれたわね」

 

 

 ニトロプラスが、その光景を見ながら疑問を浮かべる。

 

 

「それだけ実戦の試験データが欲しいってことだと思いますの。適性が無いと使えないなら尚更ですの」

 

 

 がすとがニトロプラスの疑問に答えると、「確かに、実戦に勝る経験はありませね」とあんみつが続けて言う。

 

 

「私は女神様が使ったって言う宣伝効果もあると思うな」

 

 

 ファミ通が付け足して言うと、「もう一つ言うと、ミスリルとオリハルコンの提供もあります」とイストワールが更に付け足す。

 

 

「そんなことしても良かったんですか?」

 

 

 ゴッドイーターが驚く。

 

 

「ラインフォルト社とのミスリルとオリハルコンの合成研究はネプギアさんの意向でもあります。この技術はみんなで協力して共有したいというのがネプギアさんのお考えです」

 

 

 イストワールが説明をすると、「商売上手とは言えませんの」とがすとが呆れて言う。

 

 

「でも、そこがぎあちゃんの良いところです~」

 

 

 コンパが嬉しそうに言うと、「ホルランドさんとルルドさんを仲直りさせる話が随分大きな話になっちゃったね」とファミ通が言う。

 

 

「そう言えば、あの二人の許可は取ったの?」

 

 

 日本一が心配そうに言う。

 

 

「はい、サンジェルマンさんが見事な交渉をしてくれました。ミスリルとオリハルコンを使って、より優れた金属を作ることが出来たら仲直りすると言う条件も付けてくれました」

 

 

 イストワールが説明をすると、「あの人只物じゃ無いと思うんだよね。ラインフォルト社との交渉も優位に進めてたし」とファルコムが疑うように言う。

 

 

***

 

 

 

「それでは露払いは私達がしますので、ネプギアさん達はアークスを使ってエンシェントドラゴンを撃破して下さい」

 

 

 イストワールがコンソールを叩くと、空中に映し出されている作戦画面の表示が動く。

 

画面はネプギア達がエンシェントドラゴンと対峙し、その他のメンバーが手下のモンスターを相手するよう表示される。

 

 

「わかりました」

 

 

 素直に頷くネプギア。

 

 

「危なくなったら逃げるのよ」

 

 

 アイエフが心配そうに言うが、「大丈夫よ。このシステムなら行けるわ」とユニが自信満々に答える。

 

 

「任せて(ぐっ)」

 

 

 ロムも彼女にしては自信ありそうに頷く。

 

 

「インセクトボールも絶好調だし負ける気がしないわ」

 

 

 ラムがオーディンから貰った魔法の珠を持ちながら言う。

 

ロムとラムがオーディンから貰った珠は、昆虫を扱うラムがインセクトボール、植物を操るロムがプラントボールと名付けた。

 

ポシェモンに出て来る、ポシェモンボールを真似ているのだ。

 

 

「みんなの足を引っ張らないように頑張らないと」

 

 

 プラエは小さくガッツポーズをとって意気込む。

 

 

「ネプギアンダムから連絡が入りました。敵がこちらに向かって来ています、種別はリザードマンです」

 

 

 ネプギアがNギアを操作しながら言う。

 

【リザードマン】とは人型で二足歩行するトカゲ型のモンスターである。

 

そこそこの知能があり、武器や盾を使用する。

 

 

「さて、早速露払いといきますか」

 

 

 ファルコムは武器である両手剣を取り出す。

 

 

「それじゃあ、レッツゴー!」

 

 

 ゴッドイーターがそう言うとネプギア達は前進を始める。

 

 

「シャーーー!」

 

 

 リザードマンの群れの威嚇の咆哮が聞こえる。

 

 

「ひゃあ!」

 

 

 驚き慄くコンパ。

 

 

「さあ、今日も張り切って取材するよー!」

 

 

 対照的にファミ通は武器を振り回してやる気を出している様子だった。

 

元は記者であるが、戦いにも慣れたようだ

 

 

「ファミ通も大分場慣れしたみたいですの」

 

 

 がすとが感心する。

 

 

「うぅ……戦いはわたしの方が先輩なのに……」

 

 

 しょんぼりしてしまうコンパ。

 

そこに、「こういうのは適材適所だから、コンパはいつものように後方支援に徹してくれればいいわ」とアイエフがコンパをフォローする。

 

 

「それじゃ、適材適所ってことで斬り込むよ!」

 

 

 ファルコムが両手剣を握りしめてリザードマンの群れに突撃していく。

 

 

「あいあいさー!」

 

 

 日本一もそれに続く。

 

その後ろをファミ通、あんみつ、アイエフ、ニトロプラスが続く。

 

 

「ミクさん、攻撃力アップの歌をお願いします」

 

 

 イストワールの指示に、「わかりました」とミクが頷いて歌を歌い始める。

 

 

「シャアアーーー!」

 

 

 ファルコム達前衛のメンバーがリザードマンの群れと戦闘を始める。

 

リザードマン達の先鋒と思われる三体のリザードマンが立ち塞がる。

 

 

「とうりゃ!」

 

 

 ファミ通が武器で一体のリザードマンを殴り飛ばす。

 

 

「ギャアアア!」

 

 

 吹き飛ばされながら、2124のダメージを受けるリザードマン。

 

続けて、「もらった!」とニトロプラスが太刀で追撃をすると2854のダメージを受ける。

 

更に、「これでとどめよ!」とアイエフがカタールでジャンプ斬りをお見舞いすると、クリティカルヒットで3894のダメージを受けて、リザードマンが戦闘不能になる。

 

 

「ガオオオオオ!」

 

 

 リザードマンの一体が片手斧を持ってファルコムに斬り込む。

 

 

「おっと、あたしに挑んでくるの?」

 

 

 ファルコムは余裕の表情で両手剣を使って、リザードマンの攻撃を弾くと、parryの表示がされファルコムはダメージを受けない。

 

 

「いただき!」

 

 

 その隙にビーシャがバズーカ砲で攻撃をする。

 

更に、「援護するよ!」とゴッドイーターが神機を銃モードに変形させて弾を発射する。

 

それに合わせて、「わたしも行くですー!」とコンパが注射器から液体を飛ばす。

 

 

「グオオオオ!」

 

 

 ファルコムにパリィされて隙だらけのリザードマンは三つの攻撃に直撃を受けて合計で、7000近いダメージを受けて戦闘不能になる。

 

 

「みんな、いい調子だね。あたしも燃えて来たぞー!」

 

 

 日本一がそう言いながら、リザードマンに飛び蹴りを入れると、2534のダメージが当たる。

 

更に、「ここからなら、あたしの一撃で!」とファルコムが攻撃を加えると、4015のダメージが出てリザードマンは戦闘不能になる。

 

 

 あっという間に三体のリザードマンを戦闘不能に追い込んだファルコム達。

 

その後も、彼女達は優位に戦闘を進めていた。

 

リザードマンは個体の能力も長けて集団戦も出来て手強い相手だが、先日のゴブリンとオーク程数が多くなく、ファルコムを中心とした前衛メンバーはリザードマン達を圧倒していた。

 

 

「ネプギアさん、エンシェントドラゴンの反応は?」

 

 

 イストワールがネプギアに尋ねる。

 

 

「まだありません」

 

 

 ネプギアはNギアを操作しながら言う。

 

 

「こういう時は雑魚を倒しまくれば出てきますの」

 

 

 がすとはそう言いながら、リザードマンの群れにフラムを投げつける。

 

 

 どかーーーん!

 

 

「ギャーーース!」

 

 

 爆風で吹き飛ばされるリザードマン達。

 

 

「来ました! パターン赤。エンシェントドラゴンです!」

 

 

 ネプギアはNギアを操作しながら言う。

 

 

「来たわね」

 

 

 ユニが銃を構えながら言う。

 

 

「みんな、行くよ!」

 

 

 ネプギアがエンシェントドラゴンに向かって駆け出す。

 

ユニ、ロム、ラム、プラエもそれに続く。

 

 

「作戦とか立てなくていいんですか?」

 

 

 コンパが不安そうに言う。

 

 

「ネプギアさん達はアークスのリンクによって既に作戦を立てています」

 

 

 イストワールがコンパの疑問に答える。

 

 

「脳内会議を共有したみたいなものですの?」

 

 

 がすとが質問をする。

 

 

「そのような感じです。さあ、私達は前衛メンバーの支援に回りましょう」

 

 

***

 

 

 

「てりゃ!」

 

 

 ファルコムの両手剣がリザードマンを切り裂く。

 

 

「グワアアアア!」

 

 

 クリティカルヒットで6003ダメージを受けて戦闘不能になるリザードマン。

 

 

「直進します! 援護お願いします」

 

 

 そこにネプギア達女神候補生とプラエが走って来る。

 

 

「了解よ!」

 

 

 アイエフが応えながらリザードマンを切り裂くと2134のダメージが当たる。

 

続けて、「後は任せたよ!」と日本一もリザートマンにパンチをして、2543のダメージを与える。

 

更に、「今回も良い記事書かせてよ」とファミ通がフルスイングでリザートマンを殴ると、2035ダメージを受けてネプギアの進路上のリザードマンが戦闘不能になる。

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 ネプギアは仲間にお礼を言いながら、仲間達の切り開いてくれた進路を走り抜ける。

 

走り続けたネプギア達の目に、羽を広げた二足歩行の巨大な人型のドラゴンが映る。

 

エンシェントドラゴンである。

 

その大きさは全長10メートル近くあった。

 

 

「グオオオオオオオオ!」

 

 

 咆哮を上げて威嚇するエンシェントドラゴン。

 

 

「行くわよ!」

 

 

 ユニは咆哮に怯むことなくライフルを構え長距離モードで発射する。

 

 

ズキューン!

 

 

「続けて行くわ、風の矢よ敵を撃て! ウィンドアロー!」

 

 

 ラムが魔法を唱えると風属性の魔法の矢が杖の先から撃ち出される。

 

ユニの撃った弾に続きラムのウィンドアローもエンシェントドラゴンの右肩に命中する。

 

合計で5000以上のダメージを受けるエンシェントドラゴン。

 

 

「グゥゥゥゥゥ!」

 

 

 唸り声を上げるエンシェントドラゴン。

 

 

「いえい! ユニちゃんとのリンクのおかげで、わたしでもこの距離を当てられるわ」

 

 

 ラムが嬉しそうに指パッチンをする。

 

アークスのリンクによりラムでは当てられない距離でも、ユニの攻撃とシンクロすれば当てられるのである。

 

 

「はあああ!」

 

 

 ネプギアはその間にエンシェントドラゴンとの間合いを詰めて斬りかかる。

 

 

「ピンポイントエンチャント、アイス!」

 

 

 ネプギアが斬り付ける瞬間に、ネプギアのビームソードに、ロムの手のひらから放たれた魔力が注がれる。

 

【エンチャント】は武器に魔法をかけて、属性を付与して威力を上げる。

 

今回はアイスで氷属性を付与している。

 

通常のエンチャント魔法は長時間持続するものだが、ロムとラムは短時間で高威力を出せるピンポイント方式も出来る。

 

エンチャントを受けたネプギアのビームソードが青白い氷の魔力に覆われて一回り大きくなる。

 

 

「マルチプライドアイスエッジ!」

 

 

 ネプギアは更に自分の持つ氷の属性を込めた横斬りをエンシェントドラゴンの右足に放つ。

 

通常は【アイスエッジ】だが、ロムのピンポイントエンチャント魔法との氷属性合体攻撃【マルチプライドアイスエッジ】である。

 

 

ザシュッ!

 

 

 エンシェントドラゴンの右足が瞬時に凍り付く。

 

 

「ググアアアア!」

 

 

 エンシェントドラゴンは7838のダメージを受けると苦悶の表情を浮かべ叫び声を上げる。

 

 

「合体攻撃成功! ぶいっ!」

 

 

 ロムが嬉しそうにVサインを出す。

 

 

「アークスを使えばピンポイントエンチャントのタイミングもバッチリだね」

 

 

 ネプギアも嬉しそうにロムに向かってVサインを返す。

 

 

「ググゥ……人間の小娘がこれほど高度な合体攻撃をするとは……」

 

 

 エンシェントドラゴンが驚きの声を上げる。

 

高い知能を持つエンシェントドラゴンは人間の言葉を喋ることも出来る。

 

 

「降参するなら今の内ですよ」

 

 

 ネプギアがビームソードを構えて強気に言う。

 

 

「つけあがるな、小娘!」

 

 

 エンシェントドラゴンはネプギアを一喝すると、ネプギアに向けて右腕でパンチを放ってくる。

 

 

(速い!)

 

 

 ネプギアがそう思った瞬間だった。

 

速いと思っていたパンチが急激にスローモーションになる。

 

 

「当たりません!」

 

 

 ネプギアは素早くバックステップをすると、avoidの表示と共にエンシェントドラゴンのパンチは地面を殴りつける。

 

 

「ぬぬぬぬ!」

 

 

 悔しそうな唸り声を上げるエンシェントドラゴン。

 

 

「ありがとう、プラエちゃん」

 

 

 ネプギアがプラエにお礼を言う。

 

ネプギアが危機を感じた瞬間、アークスでそれをプラエに伝え、プラエが素早く超能力を使ったのだ。

 

 

「そう簡単に降伏するとは思ってないけどね。だったら苦しませてあげる。ヴェノムショット!」

 

 

 ユニはそう言いながらライフルのトリガーを引く。

 

ロック鳥との戦いでも使用したが、【ヴェノムショット】は毒の状態異常を引き起こす弾である。

 

 

「ピンポイントエンチャント、ヴェノム!」

 

 

 ラムが、ユニがトリガーを引くタイミングに合わせて魔法を唱える。

 

先程ロムが使ったエンチャント魔法である。

 

属性攻撃だけでは無く状態異常も付与できる。

 

 

ズキューン!

 

 

 ユニのライフルの銃口から放たれた弾にラムのエンチャント魔法が掛かる。

 

その弾が、先程ユニが当てた同じエンシェントドラゴンの右肩に当たると3524のダメージが当たる。

 

 

「なかなか正確な狙いだが、私に毒など効かぬ」

 

 

 余裕の表情を浮かべるエンシェントドラゴン。

 

 

「それはどうかしら?」

 

 

 それに対してユニがウインクしながら言う。

 

 

「ぬぐぅぅぅぅ……」

 

 

 エンシェントドラゴンは突然苦しそうな表情を浮かべると左膝を付く。

 

 

「なぜ……この私が たった1発の弾で毒に……」

 

 

 エンシェントドラゴンは苦しそうに呻く。

 

 

「どう? わたしとユニちゃんの合体攻撃【マルチプライドヴェノムショット】の味は」

 

 

 ラムは腕組みしながらエンシェントドラゴンに向かって言う。

 

先程のネプギアとロムと同じ要領の毒属性の合体攻撃である。

 

 

「即興でここまでの連携が出来るなんて……アークスかなりの物ね」

 

 

 ユニが感心しながら言う。

 

 

「わたし達の抜群のコンビネーションがあってこそよ」

 

 

ラムが力強くガッツポーズを決めると、「うん、わたし達のコンビネーションは最強(ぶいっ)」とロムがVサインを決める。

 

 

「これなら信号弾とかも要らないね」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに言う。

 

 

「この程度で勝ったと思うな!」

 

 

 エンシェントドラゴンが左腕を振り上げて近くに居るネプギアに拳を振り下ろす。

 

 

ズガン!

 

 

 エンシェントドラゴンの拳がネプギアに命中すると、ネプギアは384ダメージを受けてHPゲージが三割ほど減少する。

 

 

「くううううっ! 凄いパワー……」

 

 

 ネプギアは両手をクロスさせて防御の魔法陣を貼ってエンシェントドラゴンの拳に耐える。

 

しかし、ネプギアの方がパワー負けしているのかネプギアの足が地面にめり込んでいく。

 

このまま拳に押しつぶされたら更に大ダメージを受ける可能性がある。

 

 

「ならこの弾よ!」

 

 

 ユニはライフルに弾を込めると素早く構えて発射する。

 

 

ズキューン!

 

 

「ちいっ!」

 

 

 今度の弾もエンシェントドラゴンの右肩に当たる。

 

 

「はああああっ!」

 

 

 ネプギアは命中のタイミングに合わせて全力を込めてエンシェントドラゴンの拳を押し返す。

 

 

「なにっ!」

 

 

 エンシェントドラゴンはさっきまで勝っていた自分がパワー負けしたことに驚く。

 

 

「ハイヒール!」

 

 

 ネプギアは素早くドラゴンから受けたダメージを回復する。

 

 

「何をした小娘」

 

 

 エンシェントドラゴンはユニを睨み付ける。

 

 

「パワーデバフ弾よ。力が出ないでしょ?」

 

 

 ユニはニヤリと笑いエンシェントドラゴンに言い返す。

 

【デバフ】とは敵に弱体効果を与えること。

 

ユニの弾の効果でエンシェントドラゴンの攻撃力が下がったのである。

 

 

「みんな、Nギアのアナライズが終わったよ」

 

「「「「了解」」」」

 

 

 ネプギアが声を上げると全員が頷く。

 

アークスにより直接頭の中にエンシェントドラゴンの解析データが伝わって来る。

 

 

「まずは右腕を貰うわ! ウィークネスバレット!」

 

 

 ユニのライフルから弾が発射される。

 

 

ズキューン!

 

 

 弾はエンシェントドラゴンの右腕に当たると赤い模様に包まれる。

 

 

「脆弱化弾か、そう簡単にはやらせんぞ」

 

 

 エンシェントドラゴンはウィークネスバレットの特性を理解しているようで、左手で右腕を庇おうとする。

 

 

「ところが!」

 

「どっこい!」

 

 

 その瞬間ロムとラムが声を上げる。

 

 

「「水と氷の精よ……その力を合わせ蒼き螺旋となれ……ブルースパイラル」」

 

 

 ロムとラムが同時に手に持った杖を掲げる。

 

 

ズゴゴゴゴゴ!!!

 

 

 エンシェントドラゴンの右腕の真下から激しい水流が湧き上げる。

 

 

「グオオオオオオオオ!」

 

 

 水流が右腕に当たり絶叫を上げるエンシェントドラゴン。

 

水流はエンシェントドラゴンの右腕に絡みつくとそのまま凍りつき、15241のダメージが当たる。

 

続けて、ネプギアがエンシェントドラゴンの右腕目掛けてジャンプして、更に、「クロックチェーン。五時と八時! 水と氷の力よ!」とプラエが両手の鎖を伸ばす。

 

 

「ウォーターエッジ!」

 

 

 ネプギアがエンシェントドラゴンの右腕を水の力を宿したビームソードで切り裂くと5342ダメージ当たり、立て続けにプラエの鎖が右腕を貫くと3222のダメージが当たる。

 

すると、凍り付いたエンシェントドラゴンの右腕がボロボロになる。

 

同時にウィークネスバレットの赤い模様が消える。

 

 

「やった、部位破壊!」

 

 

 ロムが嬉しそうに言うと、「あなたの弱点は水と氷って分かってるんだから」とラムが得意気言う。

 

【ブルースパイラル】は水と氷の合体魔法。

 

人魚達も使った激しい水流で攻撃した後に凍結させる魔法。

 

ユニのウィークネスバレットに合わせて詠唱を終えて準備していたのである。

 

そこに間髪入れず、ネプギアとプラエの連携攻撃を叩き込んだのだ。

 

 

「次は頭!」

 

 

 ユニは立て続けにウィークネスバレットを撃つ。

 

 

ズキューン!

 

 

 ユニの言った通りに今度はエンシェントドラゴンの頭にウィークネスバレットの赤い模様が付く。

 

 

「Gビット!」

 

 

ズキュン! ズキュン! ズキュン!

 

 

 次の瞬間、エンシェントドラゴンの頭の周りに無数のビーム光線に降り注ぐ。

 

 

「ガアアアア!」

 

 

 悲鳴を上げるエンシェントドラゴン。

 

無数のビームはエンシェントドラゴンの頭部の周りを浮遊している二機のGビットによるものだった。

 

Gビットはエンシェントドラゴンの頭部の周囲を移動しながらビームで頭部を貫く。

 

 

「ビットズコンビネーション!」

 

 

 ネプギアが左手でエンシェントドラゴンの頭部に向かってボムを投げつける。

 

 

どかーーーん!

 

 

 ボムがエンシェントドラゴンの頭部で大爆発を起こすと合計で8765のダメージが当たる。

 

続けて、「「ブルースパイラル」」とロムとラムが合体魔法を使うと、プラエも先程と同じように、「クロックチェーン。五時と八時! 水と氷の力よ!」と言って頭部に向けて鎖を伸ばす。

 

 

「グワアアア!」

 

 

 更なる追撃で2万近いダメージを受けたエンシェントドラゴン。

 

エンシェントドラゴンの頭部がボロボロになって、部位破壊される。

 

 

「ラスト! 羽を頂くわ」

 

 

 ユニが三発目のウィークネスバレットを放つ。

 

以前よりレベルアップしているので装弾数が三発に増えたのである。

 

 

ズキューン!

 

 

 エンシェントドラゴンの左側の羽にウィークネスバレットの模様が付く。

 

 

「内臓破壊弾シュート!」

 

 

 ユニが続けざまに弾を発射する。

 

フェンリル戦でも使った内臓破壊弾である。

 

 

ズズズズズキューーーーン!

 

 

 弾は左羽に張り付くと、何発もの短いビームが四方八方に放たれる。

 

更に、ロムとラムのブルースパイラルとネプギアのGビットが追撃をすると、合計で3万以上のダメージが出てエンシェントドラゴンの左羽がボロボロになる。

 

 

「全壊!? たった数分でこの私が三か所の全ての部位破壊を許したと言うのかッ!」

 

 

 エンシェントドラゴンは苦痛に顔を歪めながらネプギア達の統率の取れた素早い攻撃に驚く。

 

ネプギアのNギアで、部位破壊可能部分と弱点属性を解析してから、数分も経たずにエンシェントドラゴンの全ての部位を破壊したのである。

 

 

「それっ! 部位破壊が終われば後は集中攻撃よ! 水流よ敵を押し流せ! ウオーターガン!」

 

 

 ラムが杖の先から水属性の弾を飛ばす。

 

 

「それそれ~、スプラシューンだよ!」

 

 

 ロムも同じように水属性の弾を飛ばす。

 

まるで水遊びのような無邪気さである。

 

【スプラシューン】とはルウィーから発売されている水鉄砲で戦うゲームである。

 

 

「部位破壊をした程度で勝ったと思うな小娘共!」

 

 

 エンシェントドラゴンは両手を合わせると呪文を唱える。

 

合わせた両手に魔力が溜まると両手を突き出して魔力を放出する。

 

 

「竜言語魔法!」

 

 

 ネプギアが驚きの声を上げる。

 

【竜言語魔法】とはドラゴンのみが使えるとされている強力な魔法である。

 

 

 エンシェントドラゴンから放たれた竜言語魔法の光がロムとラムが放った水属性の弾を一瞬で消滅させる。

 

 

「なかなかやるじゃないの!」

 

 

 ラムが先程の無邪気な表情とは一転して、エンシェントドラゴンを睨みつける。

 

 

「正面からじゃ分が悪いわ。ネプギアを中心に連携して」

 

 

 ユニが指示を飛ばす。

 

 

「うん、わかった。まもってあげる!」

 

 

 ロムは素直に頷くとネプギアに防御力アップの魔法を唱える。

 

 

「たああああっ! アイスエッジ!」

 

 

 防御力アップの魔法を受けたネプギアはエンシェントドラゴンに正面から攻撃を仕掛ける。

 

 

「ガアアアアア!」

 

 

 エンシェントドラゴンも負けすに両手を使って正面から殴りかかる。

 

 

ガンガンガンガンガン!

 

 

 ネプギアはビームソードと左手の防御の魔方陣。

 

エンシェントドラゴンは両手のパンチのラッシュでお互いに激しくぶつかり合う。

 

 

「氷よ蒼き光となりて我が敵を貫け! クールディバイド!」

 

 

 ラムがその隙に氷属性の光線を飛ばす。

 

 

「ウォータバレット!」

 

 

 ユニも水属性の弾丸を撃つと、同時にプラエも、「クロックチェーン!」と鎖を伸ばす。

 

 

ズキューン!

 

ザシュッ! ザシュ!

 

 

三つともエンシェントドラゴンの頭部に命中すると合計で15000以上のダメージが当たる。

 

 

「グハハハハ! 滾るぞ!」

 

 

 しかしエンシェントドラゴンはかなり好戦的なようで、三人の攻撃を意にも解せず、ネプギアとの打ち合いを楽しんでいる。

 

ネプギアのHPゲージがどんどんと減少していき五割以下になってしまう。

 

 

「くっ……ハイヒール!」

 

 

 デバフ弾で攻撃力が下がっているとは言え両手のラッシュは厳しいのか、ネプギアは素早くバックステップをすると回復魔法を唱える。

 

ネプギアのHPゲージが最大まで回復をする。

 

 

「舐めた真似を!」

 

 

 エンシェントドラゴンもその隙に飛び退くと両手を合わせる。

 

先程と同じ竜言語魔法である。

 

 

「バリア!」

 

 

 ロムはすかさずネプギアの正面に魔法のバリアを貼る。

 

 

ズギャーーーン!

 

 

 エンシェントドラゴンの両手から竜言語魔法が放たれる。

 

 

パリーーン!

 

 

 竜言語魔法の光はロムの作ったバリアを貫通してネプギアに命中する。

 

 

「くうぅぅぅぅ!」

 

 

 ネプギアは両手をクロスさせて防御の魔方陣を貼って竜言語魔法に必死に耐える。

 

 

「ネプギアちゃん!」

 

 

 ロムがネプギアを心配する。

 

 

「大丈夫だよ。ありがとう、ロムちゃんのバリアがなかったら即死だったよ」

 

 

 ネプギアは竜言語魔法に耐えきるとロムにお礼を言う。

 

ネプギアは1109のダメージを受けてHPゲージは僅か一割だが残っていた。

 

 

「やるな!」

 

 

 その姿を見たエンシェントドラゴンは飛び掛かり右拳を振り下ろす。

 

 

「ネプギアお姉さん!」

 

 

 プラエの目が蒼く光ると、超能力が発動しエンシェントドラゴンの動きが遅くなる。

 

 

「はっ!」

 

 

 ネプギアはその隙にその場から飛び退いて攻撃を避ける。

 

 

「ネプギアお姉さん! ヒールドリンクだよ!」

 

 

 その隙にプラエが回復アイテムを鎖に巻き付けてネプギアに向けて飛ばす。

 

 

「ありがとう、プラエちゃん」

 

 

 回復アイテムを使って素早くHPを回復するネプギア。

 

更に、「ハイヒール!」と続けてネプギアが自分自身を回復する。

 

これで体力全回復である。

 

 

「グヌウウウウウ!」

 

 

 エンシェントドラゴンが歯ぎしりをする。

 

回復を繰り返すネプギアに対してヘイトが溜まった上に怒り状態になったようである。

 

 

「みんなが居る限り私は負けません!」

 

 

 ネプギアが凛とした声でエンシェントドラゴンに向けて言い放つ。

 

再びネプギアがエンシェントドラゴンに正面から攻撃を仕掛ける。

 

 

「今度こそ木端微塵に粉砕してやるわ!」

 

 

 怒り狂ったエンシェントドラゴンも、両手でネプギアを迎え撃つ。

 

 

「ラム、プラエ、今度は華麗に決めるわよ!」

 

「うん、任せてよ」

 

 

 ユニの掛け声に頷くラム。

 

プラエも、「頑張るね」と返事をした。

 

それと同時にユニとラムとプラエは先程と同じウォータバレットとクールディバイドとクロックチェーンを放つ。

 

 

ズキューン!

 

ザシュッ! ザシュ!

 

 

今度も全てエンシェントドラゴンの頭部に命中する。

 

 

「ぐはっ!」

 

 

 先程と同じコンビネーションだが、ダメージが1万近く上昇して、合計で25000近いダメージで頭を押さえるエンシェントドラゴン。

 

 

「ロムちゃん!」

 

「うん!」

 

 

 その隙にネプギアがロムに声を掛けるとロムが緒戦で決めたピンポイントエンチャント魔法をネプギアに使う。

 

 

「マルチプライドアイスエッジ!」

 

 

 ネプギアとロムの氷属性の合体攻撃が再びエンシェントドラゴンの右足に決まると13211のダメージが当たる。

 

 

「ぐっ……」

 

 

 思わず膝を付くエンシェントドラゴン。

 

 

「アンタの攻撃は見切らせてもらったわ。いつでもカウンター攻撃を叩き込んであげるわ」

 

 

 ユニが得意気に言う。

 

【カウンター攻撃】とは相手が攻撃に意識が回っている瞬間にこちらの攻撃を叩き込み威力を倍加させるテクニック。

 

ネプギア達はお互いにエンシェントドラゴンの動きをよく観察してアークスで情報共有し、素早くエンシェントドラゴンの攻撃に対応してみせたのである。

 

 

「小癪な!」

 

 

 エンシェントドラゴンの右手のパンチでネプギアに反撃をする。

 

 

「ネプギア、避けられるよ!」

 

 

 ラムがネプギアに声を掛ける。

 

 

「はっ!」

 

 

 ネプギアはラムの掛け声に合わせてバックステップでエンシェントドラゴンの攻撃をひらりと避ける。

 

 

「むっ!」

 

 

 パンチを外したエンシェントドラゴンは態勢を崩して死に体になる。

 

 

「ウオーターガン!」

 

 

 すかさずネプギアが左手で水属性の攻撃魔法をエンシェントドラゴンの顔に放つ。

 

 

「ぐはっ!」

 

 

 ネプギアの攻撃魔法はラムに比べれば威力は下がるが、死に体になっているエンシェントドラゴンには十分なダメージが当たる。

 

 

「これはおまけだよ。ウォータガン」

 

 

 ロムが続けて水属性の弾丸を放つ。

 

ネプギアの弾に続けてロムの弾も命中すると合計で8000以上のダメージ当たる。

 

 

「むぅぅ! 調子に乗るな」

 

 

 再びエンシェントドラゴンがネプギアに殴りかかる。

 

 

「はっ!」

 

 

 しかし、ネプギアはひらりと身をかわす。

 

 

「「マルチプライドアイスバレット」」

 

 

 そこにユニとラムの氷属性の合体攻撃の弾が飛んでくる。

 

 

「ぶはっ!」

 

 

 カウンターで合体攻撃を受けたエンシェントドラゴンが15254ダメージを受けて大きく仰け反る。

 

 

「ロムちゃん、私達も」

 

「うん」

 

 

 ネプギアの掛け声にロムが頷くと、またピンポイントエンチャント魔法を掛ける。

 

 

「マルチプライドウォータエッジ!」

 

 

 ネプギアが今度は水属性の合体攻撃で斬り付ける。

 

 

「ガアアアア!」

 

 

 8971の大ダメージ受けて叫び声を上げるエンシェントドラゴン。

 

 

「おのれぇぇぇぇ!」

 

 

 エンシェントドラゴンは血走った目で両手のラッシュで反撃してくる。

 

 

「よっ! はっ!」

 

 

 ネプギアは次々と繰り出されるエンシェントドラゴンの攻撃を素早く回避する。

 

 

「くっ! ちょこまかと!」

 

 

 エンシェントドラゴンは次々と拳を振り下ろすがネプギアには当たらない。

 

 

「「マルチプライドウォータバレット」」

 

「「マルチプライドウォータエッジ!」」

 

 

 ネプギアが回避するごとに反撃カウンター合体攻撃を当てる。

 

 

「な、何故だ!」

 

 

 エンシェントドラゴンは驚きの声を上げる。

 

 

「アンタのモーションはこっちから丸見えなのよー」

 

 

 ラムがあっかんべーをしながら言う。

 

 

「どういうことだ!」

 

 

 エンシェントドラゴンがまたネプギアに向けて拳を振り下ろす。

 

 

「ネプギア!」

 

 

 ユニが叫ぶと、仲間達からネプギアの頭の中に回避すべきタイミングと方向が伝わってくる。

 

 

「見える!」

 

 

 ネプギアはそれに従い的確に回避をする。

 

 

「アンタの攻撃は見切ったって言ったでしょ」

 

 

 ユニが得意気に言う。

 

アークスでお互い感覚を共有しリンクしているネプギア達はお互いにテレパシーで呼び合うことが出来る。

 

その為、前衛で敵と対峙しているネプギアに対して他の三人が敵の攻撃を警告することが出来る。

 

特に観察力高く遠距離に居るユニや、イタズラで観察眼を鍛えているロムとラムも敵のモーションを盗むのが上手いようだ。

 

そのイメージと情報が伝わることにより、ネプギアの回避力が上がっているのである。

 

 

「ならばこれはどうだ!」

 

 

 エンシェントドラゴンは飛び退くと両手を合わせる。

 

竜言語魔法である。

 

 

「バリア!」

 

 

 ロムはすかさずネプギアの正面に魔法のバリアを貼る。

 

 

「バリア!」

 

 

 今度はラムもバリアを貼る。

 

 

ズギャーーーン!

 

 

 エンシェントドラゴンの両手から竜言語魔法が放たれる。

 

 

パリーーン! パリーーン!

 

 

「てやっ!」

 

 

 バリアは二枚とも壊されるが、それにより減退した竜言語魔法をネプギアが両手に力を込めてビームソードで弾き返す。

 

 

「なぬぅ!」

 

 

 驚愕するエンシェントドラゴン。

 

 

「あなたの攻撃はもう通用しません」

 

 

 ネプギアは凛としてエンシェントドラゴンと対峙する。

 

 

「いいだろう! 子供だましはもう終わりだーーーー!」

 

 

 エンシェントドラゴンの体が一回り大きく膨れ上がる。

 

全身の筋肉が膨張しているようだ。

 

 

「本気の攻撃くるわよ」

 

 

ユニが声を上げる。

 

 

「ここで登場! ラムちゃんのビックリどっきり虫~!」

 

 

 ラムはそれに合わせて右手に手のひらサイズの玉を取り出す。

 

オーディンから貰った昆虫の力を持つ魔法の玉【インセクトボール】である。

 

 

「わー! ぱちぱち~」

 

 

 ロムはラムに合わせるように拍手を送る。

 

 

「いっけーー!」

 

 

 ラムは思いっ切り玉を上空に放り投げる。

 

 

ぽんっ!

 

 

 玉は上空で割れると中から少し変わった形のカブトムシが現れる。

 

 

むくむくむく!

 

 

 カブトムシは瞬く間に5メートル程に巨大化をするとネプギア達を護るようにエンシェントドラゴンとの間に立つ。

 

 

「ドラゴニックレイズ!」

 

 

 エンシェントドラゴンは口を開くと竜言語魔法の倍はある大きさの光線を吐く。

 

巨大な光線がカブトムシに襲い掛かる。

 

【ドラゴニックレイズ】とはドラゴン族の奥義。

 

 

「………」

 

 

 しかし、カブトムシは平然としてその攻撃を凌ぐ。

 

 

「な、なんだと!」

 

 

 驚愕するエンシェントドラゴン。

 

 

「わたしの魔力を受けたカブトムシの装甲にそんなの通じないわよ」

 

 

 ラムが偉そうにふんぞり返る。

 

 

「さすがラムちゃんのカブトムシ(ぱちぱち)」

 

 

 ロムがラムに拍手を送る。

 

 

「それ! ヘラクレスオオカブト、お相撲よ!」

 

 

 ラムの指示によってカブトムシはエンシェントドラゴンに向かって前進する。

 

【ヘラクレスオオカブト】とはカブトムシの中でも最も大きいと言われている種である。

 

ラムはいつの間にかそのカブトムシと友達になったようである。

 

 

「なにを!」

 

 

 エンシェントドラゴンはカブトムシとぶつかり合う。

 

 

「わたしのヘラクレスオオカブトと力比べで勝てる訳ないでしょ」

 

 

 ラムの言う通り、エンシェントドラゴンはあっさり押し負けて角で足元を掬われると放り投げられる。

 

 

「むぐぅぅ……」

 

 

 大の字に倒れるエンシェントドラゴン。

 

 

「ここで、ロムちゃんのビックリどっきり植物」

 

 

 ロムがラムと同じように左手に手のひらサイズの玉を取り出す。

 

オーディンから貰った植物の力を持つ魔法の玉【プラントボール】である。

 

 

「わーわー! ぱふぱふ! どんどん!」

 

 

 ラムはロムと同じようにそれに合わせ太鼓の真似をして声援を送る。

 

 

「それっ! アイビーバインド!」

 

 

 ロムは思いっ切り玉を上空に放り投げる。

 

 

ぽんっ!

 

 

 玉は上空で割れると中から植物の種が周囲に降り注ぐ。

 

 

むくむくむく!

 

 

 種はあっと言う間に成長すると巨大なツタになる。

 

 

「捕まえちゃって」

 

 

 ロムがそう言うとエンシェントドラゴンに巻き付く。

 

 

「私を捕らえようと言うのか!」

 

 

 エンシェントドラゴンが驚きの声を上げる。

 

 

「そういうことよ! マルチプライドパライズショット!」

 

 

 ユニが弾を放つとラムが弾にエンチャント魔法を掛ける。

 

 

ズキューン!

 

 

「か、体が痺れる!」

 

 

【マルチプライドパライズショット】は麻痺の状態異常を引き起こす合体攻撃。

 

体が痺れている内にツタがどんどん絡まって行く。

 

 

「トドメはドラゴン用捕獲弾よ!」

 

 

 ユニは弾を込めると素早く発射する。

 

 

「こんなバカなーーーーー!」

 

 

 絶叫と共に脱力するエンシェントドラゴン。

 

その体には大量のツタが絡みつき脱出は不可能だった。

 

 

「完全部位破壊で捕獲なんて、百点満点だね」

 

 

 ネプギアが嬉しそうに言うと、「わたし達の実力を持ってすれば当然よ」とラムは自信満々に言う。

 

 

「アークスとアタシ達の相性は抜群みたいね」

 

 

 ユニも嬉しそうに言う。

 

 

 

***

 

 

 

「エンシェントドラゴンを完全部位破壊で捕獲なんて凄いじゃない」

 

「びっくりです~」

 

 

 アイエフとコンパがネプギアを称賛する。

 

その周りには捕獲したエンシェントドラゴンを回収しに来たプラネテューヌの兵士達が居た。

 

 

「リザードマンも大部分が降伏したよ」

 

 

 ファミ通がネプギアに説明をする。

 

ファミ通の言う通りプラネテューヌの兵士たちは捕らえたリザードマンを連行していた。

 

 

「それはうずめさんに相談しましょう」

 

 

 ネプギアがそれに答えるが、「零次元に迷惑にならないでしょうか……」とイストワールが心配そうに言う。

 

 

「うずめさんと零次元なら彼等も受け入れてくれると思うんです」

 

 

 ネプギアは真剣な顔でイストワールに答える。

 

 

「うずめちゃんなら大丈夫(こくこく)」

 

 

 ロムもネプギアと同じ意見の様だ。

 

 

「犬も三日飼えば恩を忘れぬとは言いますの。いつかはがすとのお客になってくれればいいですの」

 

 

 現実主義的ながすとにはネプギア達のモンスターとも理解し合う考えはイマイチ信じられないが、その純粋な思いは応援したいと思っていた。

 

 

「アークスの成果は上々のようだね」

 

 

 ファルコムが嬉しそうに言うと、「ええ、完璧よ。作戦やコンビネーションのスピードと精度が倍以上よ」とユニも嬉しそうに返事を返す。

 

 

「アークスの効果も大きいですが、みなさんの日々の訓練やお互いの信頼関係があってこそです」

 

 

 イストワールはネプギア達を褒めるように言う。

 

 

「そうよ。わたし達だからこと出来たんだから」

 

 

 ラムはイストワールの言葉を素直に受け取り胸を張る。

 

 

「友情、努力、勝利だね! うーん、燃えてきたー」

 

 

 日本一が瞳を燃やしながら熱く語る。

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