新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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042ゼウスとヘラ

 G.C.2019年10月2日 水曜日。

 

 

 朝の稽古に励むネプギア達。

 

ギャザリング城の中庭には女神候補生達とプラエ、それにあんみつとサンジェルマンが居た。

 

 

「やああああ!」

 

 

 竹刀を持ったネプギアがファルコムに向かって行く。

 

ファルコムに対して竹刀を振り下ろすネプギア。

 

 

「くっ! いい攻撃だ!」

 

 

 ファルコムは竹刀で攻撃を受け止めるが三ヶ月前のような余裕はない。

 

 

「はあっ!」

 

 

 気合一閃。

 

ネプギアの必殺の一撃がファルコムの竹刀を弾き飛ばす。

 

 

パシーーーン!

 

 

 続けてネプギアの竹刀が素早くファルコムの胴体に当たる。

 

 

「胴あり!」

 

 

 ネプギアの竹刀が当たった瞬間、あんみつが右手を上げて声を上げると、「やった! ファルコムさんから一本取った」と明るい声を上げるネプギア。

 

 

「ばんざーい!」

 

 

 ロムが両手を上げて万歳すると、「やったわ!」とラムも嬉しそうに左手を上げる。

 

ユニも、「ようやく、ファルコムから一本取れたわね」と嬉しそうに右手でガッツポーズをした。

 

 

「凄い凄い、ネプギアお姉さん凄い!」

 

 

 プラエも拍手でネプギアを褒めると、「素晴らしい一刀でした。ネプギア殿お見事です」あんみつもそう言いながら拍手をする。

 

 

「ついに一本取られちゃったかー。いつか取られるとは思ってたけど、こんなにも早く取られるとは思わなかったよ」

 

 

 ファルコムが右手で後頭部をかきながら、【まいったな】と言った感じで言う。

 

ファルコムから剣術の指南を受け始めて三ヶ月。

 

ネプギア達は四対一ながらも、ようやく熟練の剣士であるファルコムから一本を取ることに成功したのだ。

 

 

「君達は本当に凄いね。この三ヶ月、諦めずに毎日努力をし続けた結果だよ」

 

 

 ファルコムはそう言ってネプギア達を褒めると、「それに努力の仕方も的確で無駄が無い」と続けて褒める。

 

 

「そんな……そこまで褒められるようなことじゃ……」

 

 

 ネプギアはそう言って謙遜しようとするが、「そりゃそうよ。ネプギアとユニちゃんが、わたし達のことも考えて、練習メニューとか作戦作ってくれるんだから」とラムが腰に手を当ててドヤ顔で宣言する。

 

続けてロムも、「ネプギアちゃんとユニちゃんは努力の天才」とドヤ顔をする。

 

 

「アークスで連携の精度が上がったのも大きいと思います」

 

 

 ユニの言葉に、「そうだね。アークスを使うようになってから格段に手強くなったよ」とファルコムが言う。

 

 

「ねーねー! ファルコムー! 一本取ったんだから修行も難しいのにしてよ。示現流とか教えて」

 

 

 ラムがそう言ってファルコムにねだると、「ふふふっ、そうだね。そろそろステップアップしてもいいかもしれないね」とファルコムが微笑む。

 

 

「あら? 向こうの空から何か飛んでくるわ?」

 

 

 ユニがそう言って空を見上げると、「え? なになに?」とロムも空を見上げる。

 

 

「人……みたいだね。羽の生えた人?」

 

 

 ネプギアがそう言っている間にも、羽の生えた人影はどんどんとギャザリング城に迫って来る。

 

 

「敵……でしょうか?」

 

 

 あんみつがそう言うと、「いや、敵意は感じないな。こんな朝早くから、こんな目立つ方法で近づいてくるなんて奇襲と言えないし」とファルコムが言う。

 

 

「ふむ。あれは鳥人ですな」

 

 

 サンジェルマンがそう言うと、「プロレスラー?」とラムが首を傾げ、「ラスト5秒の逆転ファイター(まっする)」とロムも首を傾げる。

 

 

「その超人じゃないわよ」

 

 

 ユニがそう言って呆れると、「デミヒューマンの方のでしょ?」とサンジェルマンに聞く。

 

鳥人とは羽が生えた、鳥と人間のハーフのような種族だ。見ての通り空を飛ぶことも出来る。

 

 

「左様でございます」

 

 

 サンジェルマンはそう言って一礼すると、「この城に何か用事があるようですな」と続けて言う。

 

 

「私達に用事かな? 力になってあげられるといいんだけど」

 

 

 ネプギアがそう言っている間に、鳥人の男性は中庭に降りて来る。

 

 

「女神様の城はここでよろしいか?」

 

 

 鳥人の男性がそう尋ねると、サンジェルマンが一歩前に出て、「はい。ですが、女神様はこれから朝食なのです。要件があるなら、執事の私が承ります」と言うと丁寧に一礼をする。

 

その後、サンジェルマンは鳥人を城内に案内し、ネプギア達は朝食をとるのだった。

 

 

***

 

 

 朝食後、ネプギア達女神候補生とイストワールはサンジェルマンから鳥人からの頼みごとの話を聞いていた。

 

 

「しつこい求婚者を追い払って欲しい?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに首を傾げる。

 

 

「左様でございます」

 

 

 サンジェルマンは事も無げにそう答える。

 

 

「それが鳥人の頼み~?」

 

 

 ユニが不満そうにサンジェルマンを睨むと、「その求婚者が大問題なのです」とサンジェルマンが言う。

 

 

「誰よ? その大問題って言うのは?」

 

 

 ユニはそれでも不満そうにサンジェルマンに問いかける。

 

 

「ゼウスと言う、神の中でも一位二位を争う好色家で、好みの娘が居れば、夫に化けたり、動物に化けたり、雨水に化けたりなど様々な手段で近づいて、関係を迫るのです。それが今回のターゲットがゲイムギョウ界の鳥人の姫らしいのです」

 

 

 サンジェルマンの説明に、「そんな節操無し、力づくで追い払えばいいじゃない」とユニが言う。

 

 

「それが出来れば苦労しません。ゼウスはギリシャ神話の主神。下手をすればダゴンなどより手強いでしょう」

 

 

 サンジェルマンがそう言うと、「随分と詳しいのですね」とイストワールがサンジェルマンに質問する。

 

 

「こう見えても、色々な世界を旅してますからな」

 

 

 サンジェルマンが髭をいじりながら言う。

 

 

「ねーねー、さっきから何の話ー? 球根とか関係を迫るとかー」

 

 

 ラムが不満そうに言うと、ロムも、「一緒にお花植えるの?」と尋ねる。

 

 

「はっはっは。花を植えると言うのは、あながち間違いではないですな」

 

 

 サンジェルマンがそう言うと、「茶化さないで!」とユニが焦りながら叫ぶ。

 

 

「ロムちゃん、ラムちゃん、関係を迫るって言うのは、キスを迫ることを言うんだよ」

 

 

 ネプギアが大真面目な顔で言うと、「えー!? それって子供ができちゃうってこと!」とラムが叫び、「大変!」とロムも驚く。

 

 

「でしょ。だから止めないといけないの」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「そんな悪いヤツとっちめてあげるわ」とラムが意気込み、「とっちめる(ぐっ)」とロムも意気込む。

 

 

「ほっほっほ。上手く誤魔化しましたな」

 

 

 サンジェルマンがそう言って笑うと、「え? 何がですか?」とネプギアがキョトンとした顔をする。

 

 

「……イストワールさん、ネプギアの教育方針偏ってませんか?」

 

 

 ユニがイストワールをジト目で見ると、「そんなことはありませんよ。私はネプギアさんを大事に大事に育ててますから」とイストワールが答える。

 

 

「そう言えばアンタ、犯罪組織倒す旅する前は、世間知らず箱入り娘だったわね……」

 

 

 ユニはそう言うと右手で頭を抱えながら脱力した。

 

 

「それで、どうなされますかな?」

 

 

 サンジェルマンがネプギアにそう質問すると、「引き受けましょう。ゲイムギョウ界の女神として、困っていたら助けるべきです」とネプギアが言う。

 

ユニも、「そうね。ダゴンより強いって言うんじゃ、アタシ達が仲介に入った方がいいかもしれないわね」と言う。

 

 

「そう言えば、主神ってちょっと前にも聞いたような……」

 

 

 ネプギアがあごに右手を当てて考える仕草をすると、「妖精の族長オーディン殿のことですな」とサンジェルマンが言う。

 

 

「あっ! そうです。オーディンさんです。主神だったけど転生したって」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「あれって、妄言だってティータが言ってなかった?」とユニがジト目で答える。

 

 

「そうなのかな? サンジェルマンさんはどう思いますか?」

 

 

 ネプギアがそう尋ねると、「オーディンと言う名の主神は存在します。北欧神話です。彼の言と同じくフェンリルに飲み込まれて絶命したというのも本当です」とサンジェルマンが答える。

 

 

「ねーねー! 主神ってなに?」

 

 

 ラムがネプギアの袖を引っ張りながら質問すると、「一番偉い神様のことだよ」とネプギアが言う。

 

するとロムが、「じゃあ、ゲイムギョウ界の主神は?」と尋ねる。

 

 

「それ、絶対にお姉ちゃん達の前で言っちゃダメよ」

 

 

 ユニがそう言って注意すると、「なんでなんで?」とラムが首を傾げ、「気になる」と言ってロムも首を傾げる。

 

 

「そんなこと言ったら、また選挙とか始めるだろうし、下手したら戦争になるかもしれないわ」

 

 

 ユニの言葉に、「そうですね。皆さん負けず嫌いですから……」とイストワールがやや呆れたふうに答える。

 

 

「お姉ちゃん達は、今の四つの国が対等かつ均衡が取れてる状態がちょうどいいのよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「あんまりよくわかないけど、今の仲良しが一番いいってことよね」とラムが言うと、「それなら、お姉ちゃん達の前では言わない」と言ってロムが自分の口に人差し指でバッテンをする。

 

 

「とりあえず、オーディンさんに相談してみようよ。同じ主神なら何か分かるかもしれないし」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「まぁ、いいわ。そこまで急いでる訳でもないしね」とユニが答える。

 

すると、「それでは、今日のクエストが終わり次第、妖精の村に向かいましょう」とイストワールが言う。

 

 

***

 

 

 

 午前中にクエストを終わらせた女神候補生とイストワールは、サンジェルマンの車で妖精の村に来ていた。

 

オーディンの住処に行くと、「待っておったぞ」とオーディンが出迎えてくれた。

 

 

「待っていた?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに首を傾げる。

 

すると、「ヘイムダルからの使者はワシのところにも来たからな」とオーディンが答えた。

 

 

「ヘイムダルって誰よ?」

 

 

 ユニがそう尋ねると、「ワシの前世の知り合いじゃ。ワシやトールと同じく、このゲイムギョウ界で鳥人の族長に転生しておる」とオーディンが答える。

 

 

「……アンタのそれ、仲間内の転生ごっことかじゃないわよね?」

 

 

 ユニが疑わしいモノを見るような目でオーディンを見ると、「失敬な。本当じゃい。ラグナロクで命を落としたアースガルズの神が、次々とこのゲイムギョウ界に生まれ変わっているのじゃ」とオーディンが答える。

 

 

「まあまあ。それで待っていたと言うことは、何か名案でもあるんですか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「名案と言う程のことではない。ゼウスは恐妻家と言う噂があるから、その妻に告げ口をするんじゃ」とオーディンが答える。

 

 

「きょーさいか? なにそれ?」

 

 

 ラムがそう言って首を傾げると、「奥さんに頭の上がらない、情けない男のことよ」とユニがバッサリと切り捨てるように言う。

 

 

「でも、それってちょっと可哀想かも」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「どこが可哀想なのよ。浮気は悪。しかも現行犯よ悪即斬って言うでしょ」とユニがキツ目の声で言う。

 

 

「それはそうかもしれないけど、出来れば自分の過ちに気付いて欲しいなって……まだ鳥人のお姫様も断ってるみたいだし」

 

 

 ネプギアが穏やかな声でそう言うと、「ふぅ……甘いわね」とユニが呆れ半分、諦め半分の溜息を吐いて言う。

 

 

「でも、ネプギアちゃんのそういうところ好き(ぽっ)」

 

 

 ロムがそう言うと、「むぅ……ロムちゃんまでそう言うのか。ならばまずは説得から始めようかの」とオーディンが諦めたように言う。

 

 

「すみません。ワガママ言って」

 

 

 ネプギアがそう言って頭を下げると、「いいんじゃいいんじゃ。ワシもネプギアちゃんのそーゆーところ好きじゃぞ」と言ってオーディンが笑う。

 

 

「では、早速、鳥人の里に向かいましょうか」

 

 

 サンジェルマンがそう言うと、「そうですね。そうしましょう」とイストワールが同意する。

 

 

***

 

 

 ネプギア達はアイエフ達に連絡をした後に、鳥人の里で合流をしていた。

 

 

「本当に甘いわね。浮気なんて、奥さんにバラしてあげれば一発だって言うのに」

 

 

 アイエフが呆れながら言うと、「でも、そこがギアちゃんのいいところです~。ちゃんとメッて叱って分からせてあげた方がゼウスさんの為です~」とコンパが言う。

 

 

「そんな簡単に行けばいいけどね」

 

 

 ニトロプラスがため息交じりにそう言う。

 

 

 暫くすると里の宮殿から、やや線の細く、金色の翼を持った男性がネプギア達を出迎えてくれる。

 

 

「ようこそ、女神様。お待ちしておりました、私が鳥人の長ヘイムダルです」

 

 

 男性がそう名乗ると、「プラネテューヌの女神、ネプギアです」とネプギアが一礼して挨拶をする。

 

続けて、「ラステイションの女神、ユニよ」とユニが挨拶をし、「ルウィーの女神のラムでーす!」とラムが元気よく左手を上げて言うと、「同じくルウィーの女神のロムです……」とロムがややモジモジしながら答える。

 

 

「オーディンから伺ってはいましたが、本当にお若いですね」

 

 

 ヘイムダルが驚いたかのように言うと、「頼りないかもしれませんが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします」とネプギアが言って一礼する。

 

 

「おお、謙虚で礼儀正しいと言う噂も本当のようですな」

 

 

 ヘイムダルがそう言って感心すると、「早速ですけど、ゼウスさんを説得しようと思います。どちらにおられますか?」とネプギアが言う。

 

 

「今は来ておりません。まずは娘のピューリーに会って下さい」

 

 

 ヘイムダルが穏やかな声で言うと、「誰かピューリーを呼んでまいれ」と言う。

 

暫くすると、宮殿の奥から白い翼を生やした天使のような美少女が現れる。

 

 

「はじめまして。ヘイムダルの娘のピューリーです」

 

 

 白い翼の美少女がそう名乗ると、「はじめまして、ネプギアです」とネプギアが名乗る。

 

 

「早速だけど、ピューリーさんはゼウスさんのことをどう思っているんですか?」

 

 

 ネプギアが穏やかな声で尋ねると、ピューリーは顔を落として、「逞しくて強い方だとは思います。ですが、私には心に決めた男性がいるんです」と言う。

 

 

「お願いします。どうか私を助けて下さい!」

 

 

 ピューリーが訴えるかのように言うと、「わかりました。まずはゼウスさんを説得してみようと思います」とネプギアが言う。

 

 

「ワシを説得じゃと?」

 

 

 空から声が響いて来る。

 

 

「誰?」

 

 

 ネプギアがそう言って身構えると、「ゼウスです。ゼウスがやってきたんです」とピューリーが答える。

 

それと同時に空から一条の光が下りて来ると、それが男性の人の形になる。

 

その男性は筋肉隆々で逞しく、長い髭をたくわえて威厳に満ちていた。

 

 

「久しぶりに、ピューリーちゃんが出て来たと思ったら、何やら聞き捨てならない話をしておるのぉ」

 

 

 男性はそう言いながら、ネプギアとピューリーに近づいてくる。

 

ネプギアはピューリーを守るように前に出る。

 

 

「あなたがゼウスさんですか?」

 

 

 ネプギアは逞しい男性に怯むことなく声を掛ける。

 

 

「いかにも。ワシがゼウスじゃ」

 

 

 男性はそう名乗ると、「ピューリーちゃん、今日こそワシの愛を受け取ってくれるじゃな」とにこやかにピューリーに話しかける。

 

しかし、ピューリーはゼウスから顔を背けると、「嫌です! 私には心に決めた人がいると何度も言っているじゃないですか!」と叫ぶ。

 

 

「ゼウスさん。ピューリーさんもこう言っていますし、あなたには奥さんが居ると聞いています。素直に諦めて、奥さんの元に帰ってくれませんか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「むむ、正論を言ってくれるな。そなたは何者じゃ?」とゼウスが問いかける。

 

 

「私は、このゲイムギョウ界のプラネテューヌの女神ネプギアです」

 

 

 ネプギアが凛とした声でそう言うと、「ほほう……よく見ればかなりの美少女」とゼウスが興味津々にネプギアを眺める。

 

しかし、その途中で、「いやらしい視線で、アタシの友達を見ないでくれる」とユニが不満そうにネプギアとゼウスの間に割って入る。

 

 

「ウホッ、またも美少女!」

 

 

 ゼウスはユニの登場に怯むどころか興奮するが、「アンタみたいな浮気者に言われても嬉しくないわよ」とユニはピシャリと言い放つ。

 

 

「そーよそーよ! 浮気なんてしてないで、奥さんのところに帰りなさいよ」

 

 

 ラムがそう言うと、「……奥さんが可哀想……」とロムが続けて言う。

 

更にアイエフ達も、「「「帰れ帰れ!」」」と帰れコールを繰り返す。

 

 

「うぐぐ……しかし、色事は男のロマンなんじゃ。結婚したからと言って止める訳にはいかんのじゃ」

 

 

 立て続けに美少女に責められて、ゼウスが怯むと、「黙れ、女の敵!!!」とユニが大声でピシャリと言い放つ。

 

 

「……そこまで言わなくてもいいじゃんか……」

 

 

 すっかり落ち込んでしまうゼウス。

 

威厳に満ちていた巨体の男性が落ち込むのは哀愁を誘う。

 

 

「ゼウスさんには素敵な奥さんが居るんですから、早く帰って奥さんを安心させてあげて下さい」

 

 

 ネプギアが優しい声でそう言うと、「おお。正しく女神! ネプギアちゃん、ワシ反省した! だからワシと結婚せんか!」と言ってゼウスがネプギアの手を握る。

 

 

がすっ!!

 

 

 次の瞬間、ユニの持った銃の銃床がゼウスの顔面にめりこむ。

 

 

「い、いたーーーー!」

 

 

 鼻を押さえながら痛がるゼウス。

 

 

「どこが反省してるのよ」

 

 

 ユニはそう言いながら、銃口をゼウスに向ける。

 

 

「ちょ、ちょっと待って、お嬢ちゃん。今のは軽いジョークだから、その物騒なモノしまってくれんかの?」

 

 

 ゼウスが慌てながらそう言うが、「反省したなら、サッサと帰りなさいよ」とユニは冷たく言い放つ。

 

 

「しかし、これだけの美女を目の前にして、引き下がるなどと言うのはワシの男が廃る。【据え膳食わぬは男の恥】と言うじゃろうが」

 

 

 ゼウスがそう言って力説すると、「そんなんで廃るような男なんて、たかが知れてるわね」とユニが言い、「それ以前に誰も誘ってないと思いますけど……」とネプギアが言う。

 

 

「せめて、誰か一人ぐらいワシの相手をしてーーー!」

 

 

 ゼウスがそう叫ぶと、「いいわ。わたしが相手してあげるわ」とラムが腰に両手を当てて名乗り出る。

 

 

「おおっ! 天使がここに!!」

 

 

 ゼウスがそう言ってラムを見ると、「お嬢ちゃん、名前は?」とラムに尋ねる。

 

ラムは、「ラムよ」と名乗ると、「それじゃ、行くわよーーーー」と言ってアイスハンマーを呼び出すと両手で持ってぐるぐると頭の上で回転させる。

 

 

「ラムちゃんや? その痛そうなハンマーはなんじゃ? ワシ、嫌な予感しかしないんじゃが……」

 

 

 ゼウスが顔を青くしてそう言うと、「相手するんでしょ。おじーちゃんも構えなさいよ」とラムがしれっと言う。

 

 

「や、ワシ、女を殴るような趣味はないし……」

 

 

 ゼウスが恐る恐る言うが、ラムは気にした様子もなく、「じゃ、行くわよーーー! 先手必勝! アイスハンマー! ちぇすとぉぉぉぉぉぉ!!」と叫びながらゼウスに向かって行く。

 

 

「ふぎゃっ!」

 

 

 アイスハンマーに吹き飛ばされるゼウス。

 

 

「あいたたた! まいったまいったわい」

 

 

 ゼウスはそう言って降参すると、「よーし、それじゃあ、ラウンド2よ!」とラムが元気よく言う。

 

すると、ロムも、「ラムちゃんばっかりズルい。わたしもやる(ぐっ)」と言って杖を掲げると、アイスキューブを呼び出してゼウスに向けて飛ばす。

 

 

「ひぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 

 ロムとラムから逃げ回るゼウス。

 

 

「えーと、これで解決でいいのかな?」

 

 

 ネプギアが困ったかのように言うと、「そうね。もうピューリーに近づかないよう、ロムとラムには徹底的にやってもらいましょう」とユニが冷たく言い放つ。

 

 

***

 

 

「揃いも揃って、こんなにイジメなくてもいいじゃんか~~」

 

 

 ゼウスがジョッキの中の葡萄酒を飲みながら愚痴を言う。

 

その頭には、ロムとラムに付けられた大小のたんこぶがアイスクリームのように重なっていた。

 

 

「うんうん、気持ちはわかるぞ。まあ、飲め飲め」

 

 

 オーディンも葡萄酒を飲みながらゼウスの愚痴を聞いている。

 

 

「そう落ち込むこともないでしょう。きっと明日はいい日になりますよ」

 

 

 更にサンジェルマンも一緒になって葡萄酒を飲む。

 

いつの間にか三人は意気投合して、サンジェルマンの用意したテーブルで酒を飲んでいた。

 

 

「ヘラは確かに美人だけど、怖いんじゃ~」

 

 

 酔っ払いながらゼウスの愚痴は続く。

 

 

「確か、姉さん女房じゃったな」

 

 

 オーディンの言葉に、「そうじゃ。しかもバリキャリのツンツンツーーンじゃ」とゼウスが言う。

 

 

「それならば、何故ご結婚を?」

 

 

 サンジェルマンが尋ねると、「たまーーーーーーーーに見せるデレがたまらんのじゃ」とゼウスがウッシッシと笑う。

 

 

「ツンデレと言うヤツじゃな」

 

 

 オーディンがそう言うと、「ツンツツツツツーンデレぐらいじゃがな~」とゼウスがしょんぼりする。

 

 

「でしたら、ツンを耐え忍ぶのが愛の道」

 

 

 サンジェルマンの言葉に、「でも、素直に【ゼウス様素敵ーーーー】って言ってくれる、年下の可愛い女子が恋しくなるんじゃー」とゼウスが言う。

 

 

「その気持ち分らんでもない」

 

 

 オーディンがそう言って深々と頷くと、「そうじゃろそうじゃろ? 主神たるもの、もっとウッハウハのハーレムでいいと思うんじゃ」とゼウスが力説する。

 

 

「……ダゴンより強いって言ったけど、戦いにもならなかったわね」

 

 

 ユニが呆れたふうに言うと、「それはゼウスさんが本当はいい人だからだよ」とネプギアが言う。

 

 

「はー! 楽しかったー!」

 

 

 ラムがそう言って額の汗を拭うと、「浮気おじさん、やっつけたよ(ぼこぼこ)」とロムも楽しそうに言う。

 

 

「うんうん、えらいえらい。でも、もう少し手加減出来たら良かったね」

 

 

 ネプギアはそう言って、ロムとラムの頭を優しく撫でてあげる。

 

しかし、ユニは、「これぐらいでいいのよ。浮気するようなヤツなんて、トラウマになるぐらい、ひっぱたいてあげた方がいいんだから」と腕組みをしながら言う。

 

 

「虎馬? それどんな動物?」

 

 

 ラムがそう言って質問すると、「動物じゃなくて、心の傷って意味だよ」とネプギアが言い、「二度と浮気できないぐらい、怖い思いをさせた方が良かったってことよ」とユニが続く。

 

 

「これで解決ってことでいいのかな?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「ありがとうございます。女神様」とヘイムダルが頭を下げてお礼を言う。

 

 

「いえ、女神として当然のことをしたまでですし、困った時はお互い様ですから」

 

 

 ネプギアの言葉に、「まあ、流石は女神様。私、女神様のファンになってしまいました」とピューリーが柏手を打って感激する。

 

 

「そんな、ファンだなんて」

 

 

 ネプギアが恥ずかしそうにそう言うと、「だったら、友達になりましょう」とラムが言う。

 

更にロムが、「気が向いたらいつでもギャザリング城に来てね」と言うと、ユニも、「アタシ達が留守でもシェリリって人魚の子やメイドのフィナンシェが居るから」

 

 

「ありがとうございます。女神様」

 

 

 ピューリーが嬉しそうに微笑む。

 

すると、「ワシはワシはーーーーーー!」とゼウスが話に割り込んで来る。

 

更に、「ワシも友達希望じゃーーーー!」とオーディンが迫って来る。

 

 

「え、えーと……」

 

 

 困ってしまうネプギア。

 

そこにすかさずユニが割って入り、「ダメに決まってるでしょ。それ以前に酒臭いわよ、アンタ達」とピシャリと言い放つ。

 

 

「「しょぼーーーん」」

 

 

 ガックリとするオーディンとゼウス。

 

 

「まあまあ、サンジェルマンさんが居る時に、話し相手になるぐらいいいんじゃないかな?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「まあ、それぐらいならね。ただし! 変な考え起こしたら後ろからでも撃つわよ!」とユニが言う。

 

 

「うひょー! お祝いじゃ、お祝いー!」

 

 

 ゼウスが大喜びでそう言った瞬間、空が急に黒く曇る。

 

 

「はうっ!? この刺々しい気配は!?」

 

 

 突如ゼウスの表情が凍りつく。

 

同時に、「むむむっ……このプレッシャーは主神級じゃ」とオーディンが言う。

 

 

「あなた、こーんなところで何をなさってますの?」

 

 

 黒く染まった空から低く恐ろしい女性の声がする。

 

ゼウスはその声を聞いた瞬間、「へへへへ、ヘラ~~!?」と情けない声を上げて、テーブルの下に潜ってしまう。

 

 

「まぁ~た、浮気じゃないでしょうね?」

 

 

 ヘラと呼ばれた女性の声が響く。

 

 

「そ、そそそそんな訳ないじゃないか~。ちょっとゲームで遊んでただけじゃよ~~」

 

 

 ゼウスが震える声で言い訳をすると、「あら? そうなのですか?」ヘラの声が少し柔らかくなる。

 

しかし、「今日のお仕事はまだ終わっていないようですけど、そんなに夢中になる程、面白いゲームなんですね」と再び低く恐ろしい声になる。

 

 

「どれだけ、面白いゲームか、私も興味が湧きましたわ」

 

 

 ヘラがそう言うと、「あっ、止めて、来ないで! こんな場所に来られたらワシ」とゼウスが止めるが、それより早く、黒く染まった空から稲妻が落ちる。

 

稲妻は一人の女性の姿になると、「ここがゲームの世界? 思ったより良くできてますのね」と感心したように言う。

 

女性にしては背が高く、髪も短めに纏めており、いかにも【出来る女性】と言った感じだ。彼女がヘラであろう。

 

 

「ふぅ~~ん……随分と女性が多いゲームですわね」

 

 

 ヘラと思われる女性が不機嫌そうに言うと、「あはははは……今のステージはそんな感じなのかな~」とゼウスがテーブルの下から出て来て冷や汗をダラダラと流しながら言い訳をする。

 

 

「ささっ、仕事ならこれからするから、早く戻ろう。ね? ねっ!?」

 

 

 ゼウスはヘラの機嫌を伺うように、ヘラの両肩に両手を置くが、「スカートが短い!」と怒鳴りながらネプギアとユニを指差す。

 

更に、「なに? その無駄に大きい胸は!」と怒鳴りコンパを指差す。

 

 

「ひうっ!?」

 

 

 ヘラの怒鳴り声に驚いたコンパは、思わず足を滑らせて転んでしまうが、それが良くなかった。

 

 

「うひょー! パンチラじゃーーー!」

 

 

 下着が見えてしまったコンパに対して、ゼウスが鼻息荒く叫ぶ。

 

 

「あ~な~た~!?」

 

 

 ヘラがどす黒いオーラを纏いながら、ゼウスを睨む。

 

 

「こんな環境型セクハラなゲームは、即刻破壊すべきだわ!」

 

 

 ヘラが怒り心頭と言わんがばかりにヒステリックな声を上げる。

 

 

「ま、待って下さい! いきなり破壊だなんて横暴じゃありませんか?」

 

 

 夫婦喧嘩は犬も食わぬと言う訳で、今まで事の成り行きを見守っていたネプギアだが、ヘラのあまりの剣幕に思わず口を挟んでしまう。

 

 

「ゲームキャラ無勢が生意気ね! 私を誰だと思ってるの!!」

 

 

 ヘラがもの凄い剣幕でネプギアに詰め寄る。

 

あまりの剣幕にネプギアは恐怖を覚えるが、女神として勇気を振り絞りヘラを見つめ返す。

 

 

「私は、このゲイムギョウ界のプラネテューヌの女神のネプギアです! この世界には沢山の人が一生懸命に生きています。それを破壊するだなんて、女神として見過ごせません!」

 

 

 ネプギアが凛とした声で言うと、「そうよ。いきなり出て来て、人のファッションに文句つけた上に世界を破壊するだなんて、冗談じゃないわ」とユニが続けて言う。

 

更に、「そうよ! おばさんはおじさん連れて帰りなさいよ!」とラムが言い、「おばさん帰って」とロムがそれに続く。

 

 

「おばっ……おばおば……!! 人間が作った娯楽の分際でーーーーー!」

 

 

 ヘラはそう言うと、カブトムシ程の大きさの巨大なアブを何匹も召喚する。

 

するとゼウスが、「あれは、イオに浮気した時に使った巨大アブ! 逃げるんじゃ!」と叫ぶ。

 

 

「巨大アブ達よ! その生意気な小娘達を、徹底的にイジメぬいておやり!」

 

 

 ヘラの叫びと共に、アブ達がネプギアに襲い掛かる。

 

 

「「「「きゃあああああ!!」」」」

 

 

 アブに刺されて悲鳴を上げるネプギア達。

 

 

「みんな、ネプギア達を助けるわよ」

 

 

 アイエフがそう言うと、「了解」とファミ通が答える。

 

同時にアイエフ達はアブの群れに向かって行く。

 

 

「魔界粧・轟炎!」

 

 

 アイエフの放った炎が巨大アブに命中すると巨大アブが数匹消滅する

 

 

「当たれ当たれ!」

 

 

 ゴッドイーターが神機を遠距離戦に変形させて巨大アブを撃つと巨大アブの数がどんどん減っていく。

 

 

「そりゃー!」

 

 

 日本一がプリニーガンを連射すると、最後の巨大アブの群れが完全に消滅する。

 

 

「今の内に!」

 

 

 ファルコムがそう言ってネプギア達の手を引いて避難させる。

 

 

「いたたた……」

 

「もー、痕が残ったらどうしてくれるのよー」

 

 

 刺された場所を痛そうにさするネプギアとユニ。

 

 

「いい様ね。いやらしい恰好をしているから、そんな目に遭うのよ」

 

 

 ヘラが声高々に言うと、「おばさんの所為でしょ! おばさんおばさんおばさんおばさんおばさんおばさんおばさーーーーん! おばさんのバーーーーーーーカ!」とラムが大声で叫ぶ。

 

 

「がっ!? 小娘が……」

 

 

 ヘラは怒りの形相を浮かべると、「アルゴス! この小娘達を倒してしまいなさい!」と叫ぶ。

 

すると、ヘラの目の前に全長5メートルはある巨大な男性が現れる。更にこの男性の体には無数の目が付いていた。

 

 

「何ですかあれ、気持ち悪いです~」

 

 

 コンパが驚きと恐怖の声を上げる。

 

 

「了解しました。ヘラ様」

 

 

 アルゴスと呼ばれた無数の目の巨人はヘラに一礼すると、ネプギア達の方を向く。

 

 

「いかん! アレは百の目を持つアルゴス! 奴には死角がないぞ!」

 

 

 ゼウスがそう言ってネプギア達に注意を飛ばすが、「ちょっと、さっきから注意しかしないけど、止めるなりなんなり出来ないの?」とニトロプラスがゼウスを睨む。

 

 

「……だ、だって、ヘラが怖いんじゃもん……」

 

 

 ゼウスは人差し指をツンツンと合わせながら小さくなってしまう。

 

それを見たシーシャが、「情けないね……どっちが主神だかわからないよ」と呆れた声を出す。

 

更にエスーシャが、「そんなの興味ないね」と言うと、「興味はなくても、向こうは戦う気マンマンみたいだよ」とビーシャが言う。

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