新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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043ギアシステムの暴走とプラエの覚醒

 アルゴスが両手に木で出来た棍棒を構える。

 

 

「ヘラ様の御命令だ。女子供と言えど容赦せぬぞ」

 

 

「……たくさんの目に常に見られている感じ……隙がない」

 

 

 ネプギアがビームソードを構えながらたじろぐ。

 

 

「そちらから来ないなら、こちらから行くぞ!」

 

 

 アルゴスが棍棒を構えてネプギアに突っ込んでくる。

 

 

(避けられる!)

 

 

 ネプギアはそう思うと、アルゴスの棍棒の右手の振り下ろしを華麗な横ステップでかわす。

 

 

(カウンター!)

 

 

 ネプギアがそう思って身構えた瞬間だった。

 

 

「ぐふっ!?」

 

 

 アルゴスの左の棍棒がネプギアの脇腹にめり込む。

 

ネプギアは、678のダメージを受けて吹き飛ばされてしまう。

 

ネプギアのHPゲージが五割近く減少してしまう。

 

 

「フハハハハハ! カウンター狙いだったようだが、私の百の目からすれば、貴様が何をしようが、丸見えだ」

 

 

 アルゴスはそう言って笑いながら、再びネプギアに襲い掛かる。

 

 

「ネプギアお姉さん、下がって!」

 

 

 プラエが鎖を伸ばして、牽制をするが、アルゴスは素早く横ステップを踏んで回避する。

 

 

「やるわね! ならこれでどう!」

 

 

 更にプラエと連携してユニが銃を撃つ。

 

 

「甘いな」

 

 

 アルゴスはそう言って首を右に傾けると、ユニのヘッドショットをあっさりと避けてしまう。

 

 

「なっ!?」

 

 

 驚きの声を上げるユニ。

 

 

「ならこれで! 氷の矢よ敵を蹂躙せよ! アイスラッシュ!」

 

 

 今度はラムが無数の氷の塊をアルゴスに向けて飛ばす。

 

 

「丸見えだと言っておるだろ!」

 

 

 アルゴスは左右にステップを踏むと、無数の氷に一発も当たることなく前進を始める。

 

 

「ネプギアちゃん、まもってあげる!」

 

 

 すかさず防御力アップの魔法をネプギアに使うロム。

 

 

「ありがとう、ロムちゃん!」

 

 

 ネプギアはそう言いながら左手の防御の魔方陣を張って、アルゴスの攻撃に備える。

 

 

「ふん!」

 

 

 アルゴスが右手で棍棒を振り下ろしてくる。

 

 

「ていっ!」

 

 

 左手の防御の魔方陣でそれを受け止めるネプギア。

 

ダメージは328だが、先程の攻撃との蓄積ダメージでHPゲージが残り二割まで減少してしまう。

 

 

「とおりゃ!」

 

 

 更にアルゴスは左手の棍棒で横殴りにしてくる。

 

 

「くっ!」

 

 

 ネプギアが唇を噛む。

 

このまま直撃を受けたら、戦闘不能になってしまうだろう。

 

 

「危ない!」

 

 

 すかさず、ファミ通がネプギアをかばう。

 

ファミ通は395のダメージを受けながら、「結構重い!」と苦しそうな声を出す。

 

同時に上空から、「ハリケーンキック!」と日本一が急降下キックをしてくる。

 

 

「ちっ!」

 

 

 バックステップで回避をするアルゴス。

 

 

「それっ!」

 

 

 更にビーシャがバズーカ砲を放ち、「フラムですのー!」とがすとがダイナマイトを投げる。

 

 

「くっ!」

 

 

 アルゴスは左右にステップを踏んでそれを避ける。

 

しかし、「そこら辺がスタミナの限界だろう!? 行くよエスーシャ!」とシーシャが叫ぶ。

 

 

「渦巻旋風脚!」

 

 

 シーシャがバレリーナのような連続蹴りを繰り出すと、その反対からエスーシャが片手剣を構えて、「終わりだ!」と斬りかかる。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 渦巻旋風脚とエスーシャの切り払いに挟まれたアルゴスは、合計で6000以上のダメージを受ける。

 

 

「第一部隊は下がって! 敵の正面は第三部隊が受け持つよ」

 

 

 ファミ通がそう言うと、日本一、シーシャ、エスーシャの四人がアルゴスの前に立つ。

 

その後ろに、ビーシャとがすとが控える。

 

 

「はい、ありがとうございます! 命中と回避がかなり高い敵です。あと、両手の武器によるダブルアタックに注意して下さい」

 

 

 ネプギアはお礼とアドバイスを言うと、一旦後ろに下がり、「ハイヒール!」と回復魔法を使ってHPを回復させる。

 

 

「ミクちゃん、スピードアップの歌を! 他の方々は第三部隊の援護をお願いします!」

 

 

 ネプギアがそう言うと、ミクが歌を歌い始め、残ったメンバーは第三部隊の援護を始める。

 

メンバーが多くなったネプギア達は、部隊を三つのチームに分けていた。

 

先日の無形の落とし子と戦った時と同じ下記の三チームだ。

 

 

 

 

【第一部隊】

ネプギア(前衛:タンク)

ユニ(後衛:スナイパー)

ロム(後衛:ヒーラー)

ラム(後衛:アタッカー)

プラエ(後衛:サポーター)

初音ミク(後衛:サポーター)

 

 

【第二部隊】

ファルコム(前衛:タンク)

イストワール(後衛:アタッカー&ヒーラー)

あんみつ(前衛:アタッカー)

アイエフ(前衛:アタッカー)

コンパ(後衛:ヒーラー)

ゴッドイーター(前衛:タンク)

ニトロプラス(前衛:アタッカー)

 

 

【第三部隊】

シーシャ(前衛:アタッカー)

エスーシャ(前衛:タンク)

ビーシャ(後衛:アタッカー)

日本一(前衛:アタッカー)

がすと(後衛:ヒーラー)

ファミ通(前衛:タンク)

 

 

 

「アイツ強敵よ。疑似プロセッサユニットを装備しましょう」

 

 

 ユニがそう言うと、ネプギア達は全員、「「「疑似プロセッサユニット装着」」」と言って疑似プロセッサユニットを装着する。

 

これは先日にネプギアが開発に成功した、疑似シェアエネルギーで動く一般人にも扱えるプロセッサユニットだ。

 

ちなみにゴールドサァドの三人は元々【ゴールドフォーム】と呼ばれるパワーアップがあるので、そちらを使っている。

 

昔はゴールドフォームは飛ぶことが出来なかったが、ネプギアの技術協力で疑似プロセッサユニットの完成と時同じくして飛行が可能になった。

 

 

「疑似プロセッサユニット、いいね。いいね! 力がみなぎるよ!」

 

 

 日本一が嬉しそうにガッツポーズをする。

 

疑似プロセッサユニットの形状は、先日ネプギアの作った【リラ】と同じものだが、カラーリングが違っていた。

 

各人の普段着に合わせてカラーリングを変更しているのだ。

 

例えば日本一なら黒と青、がすとなら白と水色と言った感じだ。

 

 

「新型のゴールドフォームだけど、問題はないね」

 

 

 シーシャがそう言うと、「ああ、大丈夫だ」とエスーシャが答える。

 

 

「その程度のパワーアップ、私の百眼の相手ではない!」

 

 

 アルゴスが右手の棍棒でファミ通に殴り掛かる。

 

 

「それはどうかなっ!」

 

 

 ファミ通はアルゴスの攻撃をエビで防御すると、250のダメージを受ける。

 

ファミ通のHPゲージが、先程、ネプギアを庇った時のダメージと合わせて残り三割近くまで減少してしまう。

 

 

「ふん!」

 

 

 更にアルゴスの左手の棍棒がファミ通に迫る。

 

だが、その間にエスーシャが援護防御で割って入り、ゴールドフォームで装着されたシールドで攻撃を受け止める。

 

エスーシャは、287のダメージを受けるがHPゲージの減少は一割程度だ。

 

 

「ナイスだ、エスーシャ」

 

 

 シーシャがそう言いながら両手のパンチで攻撃をする。

 

しかし、「甘い!」とアルゴスが言いながらバックステップで避けてしまう。

 

 

「このー!」

 

 

 更にプリニーガンを連射する日本一だが、これもアルゴスの左右のステップで避けられてしまう。

 

 

「無暗に攻撃してもダメですの。連携を意識して、相手のスタミナを削らないと無駄になりますの」

 

 

 がすとが、そう言うと、「了解」とビーシャが頷く。

 

 

「ファミ通。今回復しますのー」

 

 

 がすとはダメージを負ったファミ通に近寄ると、グラスビーンズを使用してファミ通のHPを回復する。

 

 

「第二部隊は援護攻撃を開始します!」

 

 

 イストワールの号令と共に、アイエフ達第二部隊が、射撃と魔法攻撃で一斉にアルゴスへの攻撃を始める。

 

 

「ちっ、小癪な」

 

 

 アルゴスは素早いステップで援護攻撃を避けるが、その表情は苦しそうだ。

 

援護攻撃を避けるのに大分スタミナを使ったようだ。

 

 

「今度は甘いなんて言えるかな!」

 

 

 シーシャが再び両手のパンチでアルゴスを攻撃する。

 

アルゴスは、「くそっ!」と毒づきながら、何とかパンチを避けるが、「ひゅ~! やるじゃないか」とシーシャの放った足払いに当たって、23514のダメージを受ける。

 

疑似プロセッサユニットとゴールドフォームの技術融合は効果抜群のようだ。

 

足払いに当たった、アルゴスが転倒する。

 

 

「今だ! 本命を叩き込め!」

 

 

 ビーシャがそう言うと、第三部隊の面々が次々とアルゴスに攻撃を仕掛ける。

 

 

「グアアアアアア!」

 

 

 悲鳴と共に、合計で10万近いダメージがアルゴスに当たる。

 

 

「調子に乗るなよ!」

 

 

 アルゴスが立ち上がると、再び両手の棍棒を構えて、シーシャに殴り掛かる。

 

 

「アタシのところに来るのかい? いいよ、相手になってあげるよ」

 

 

 シーシャはそう言うと、右手でアルゴスの攻撃をガードし521のダメージを受けるが、ダブルアタックの二撃目を受け流し、parryの表示が出た瞬間に、「龍昇拳!」とガードキャンセル技を繰り出す。

 

アルゴスは25451のダメージを受けると吹き飛ばされる。

 

 

「今ですの。一気に攻撃ですのー!」

 

 

 今度はがすとの号令で、第三部隊のメンバーが一斉攻撃を叩き込み。

 

同じく、合計で10万近いダメージがアルゴスに当たる。

 

 

「二撃目が来るのが分ってるなら、ガードキャンセルもやりやすいよ」

 

 

 シーシャはそう言いながら、軽快なステップを踏む。

 

アルゴスのダブルアタックは確かに強力な連続攻撃だが、シーシャのようなガードキャンセルが得意な相手には、その的になることもあるのだ。

 

 

「流石は、シーシャさん、参考になります!」

 

 

 ネプギアはシーシャの言葉に感嘆の声を上げる。

 

 

 ファミ通達、第三部隊はアルゴスとの接戦を繰り広げていた。

 

タンクのファミ通を中心にシーシャ、エスーシャ、日本一が援護防御を駆使してアルゴスの攻撃をガードした後に、第一、第二部隊の援護攻撃に合わせて、アルゴスのスタミナを削り、スタミナの無くなったアルゴスに集中攻撃を掛けると言う戦法を繰り返していた。

 

「なかなかやるではないか! だが、私はHPも並みではないぞ!」

 

 

 アルゴスがそう言うと、「解析完了。最大HP推定2000万、現在のダメージ325万2581」とNギアからのアナウンスがネプギアの耳に聞こえてくる。

 

 

「敵のHPは2000万です! まだまだ先はありますので、第三部隊は第二部隊と交代して休憩と治療をして下さい」

 

 

 ネプギアがそう言って号令を飛ばすと、「了解」とファミ通が叫ぶ。

 

すると、第三部隊は潮が引くように後退して、前進してきた第二部隊と交代する。

 

同時に、「待ってました! 援護攻撃はあまり得意じゃないんだ!」と言ってファルコムがアルゴスに斬り込んでいく。

 

 

「ぬっ! 交代か!」

 

 

 アルゴスはそう言いながら、斬り込んで来たファルコムの両手剣の攻撃を棍棒で受け止める。

 

 

「こっちには仲間がいるんだ。負けないよ」

 

 

 ゴッドイーターが射撃形態の神機で攻撃を仕掛ける。

 

更に、アイエフとニトロプラスが拳銃で射撃をする。

 

 

「ちっ!」

 

 

 後ろに飛び退いで射撃を避けるアルゴス。

 

しかし、「読み通りです! 大地の記憶!」とイストワールが魔法を発動させると、アルゴスの着地点の足元が隆起して槍のようになる。

 

 

「ぐがっ!」

 

 

 大地の槍に貫かれたアルゴスは24518のダメージを受ける。

 

 

「はあああ!!」

 

 

 更に踏み込んでアルゴスを追撃するファルコム。

 

ファルコムの縦斬りがアルゴスを切り裂くと、26481のダメージが当たる。

 

続けて、左右から挟み込んだ、アイエフとニトロプラスが同時に斬り抜け攻撃を加えると、合計で5万近いのダメージが当たる。

 

 

「あなたの百眼は凄い能力だと思うけど、もう回避パターンは読ませてもらったわ」

 

 

 ニトロプラスが冷静な声で言い放つ。

 

続けてアイエフが、「私達の攻撃からはそう簡単に逃れられないわよ」と言う。

 

 

「ぬうううう!」

 

 

 悔しそうな唸り声を上げるアルゴス。

 

その後も、第一部隊の援護を受けつつ、ファルコム達、第二部隊は優位に戦闘を進めて行った。

 

 

「ええい、何を手間取っておる。一気に決めてしまえ!」

 

 

 ヘラが苛立たしいようにそう叫ぶと、「巨大アブ! アルゴスを支援しろ!」と言って再び無数の巨大アブを呼び出す。

 

 

「女神様、アブ共は私達に任せて下さい」

 

「ワシも力を貸すぞい」

 

 

 鳥人のヘイムダルと妖精のオーディンが、鳥人の軍を率いて巨大アブを迎え撃つ。

 

鳥人達は華麗な空中戦で次々と巨大アブを撃ち落としていった。

 

 

「ちいっ……忌々しい」

 

 

 ヘラがそう言って歯ぎしりをすると、「やーい! おばさんヒストリー!」とラムが煽るように言うが、「それを言うならヒステリーよ」とユニが言う。

 

更に、「もう止めて下さい。こんな戦い意味がありません」とネプギアが言うと、「黙りなさい! そんないやらしい恰好で男を誘惑しておいて!」とヘラが叫ぶ。

 

 

「そんなことしていません。ヘラさんの勘違いです!」

 

 

 ネプギアは必死になって訴えるが、「なら、何でゼウスはゲイムギョウ界に入り浸ってるの? 浮気してるからでしょ!」とヘラは聞く耳を持たない。

 

 

「こんな、人形みたいな女の相手ばかりして! こんなモノがあるから男が堕落して行くのよ! 即刻排除すべきだわ」

 

 

 ヘラが怒り心頭にそう叫ぶと、「自分が気に入らなければ排除や破壊なんて、とんだ癇癪持ちね」とユニが呆れた声を出す。

 

ロムは、「あの、あばさん怖い(ぶるぶる)」と怯えた声を出し、「プラエも怖い……」とプラエも怯えた声を出す。

 

 

「ええい! 癪に障る小娘共だ! 徹底的に痛めつけろ!」

 

 

 更に巨大アブを呼び出すヘラ。

 

しかし、巨大アブはオーディンとヘイムダルに撃ち落とされ、アルゴスも第二部隊に苦戦をしていた。

 

 

「最大HP推定2000万、現在のダメージ1750万1548」

 

 

 Nギアからのアナウンスがネプギアの耳に聞こえてくる。

 

 

「第二部隊、後退して下さい! 第一部隊が前進します。第三部隊は休憩を終わらせて援護に入って下さい」

 

 

 ネプギアの指示に、第二部隊は後退をして第一部隊が前に出る。

 

合わせて、第二部隊が休憩と治療に入り、第三部隊が援護攻撃を始める。

 

 

「くそっ! また交代か……」

 

 

 たじろくアルゴス。

 

しかし、「ごめんなさい! ゲイムギョウ界を破壊すると言われて負ける訳にいかないんです!」と言って、ネプギアがビームソードでアルゴスに斬りかかる。

 

 

「部位破壊行くわよ! ウィークネスバレット!」

 

 

 ユニが銃に特殊弾を込めると、素早く発射をする。

 

ちなみに、当てる場所やタイミングはアークスで情報共有してる。

 

ユニが銃を撃つと同時に、アルゴスの右足にウィークネスバレットの赤い模様が付く。

 

 

「ちいっ!」

 

 

 舌打ちをするアルゴス。

 

万全の状態なら余裕で避けられた攻撃だが、ネプギア達の波状攻撃に大量のスタミナを削られて思うように動けないでいた。

 

 

「「マルチプライド・サンダーエッジ!!」」

 

 

 ネプギアとロムの合体攻撃がアルゴスの右足に命中する。

 

更に、「「マルチプライド・サンダーチェーン!!」」とラムとプラエの合体攻撃が続けて右足に命中すると、合計で30万以上のダメージが当たり、アルゴスの右足が部位破壊される。

 

思わず、「ぐっ……」と呻きながら右膝を付いてしまうアルゴス。

 

 

「次!」

 

 

 ユニはその隙を逃さず素早く弾を発射する。

 

すると今度はアルゴスの左腕にウィークネスバレットの赤い模様が付く。

 

 

「「マルチプライド・サンダーエッジ!!」」

 

「「マルチプライド・サンダーチェーン!!」」

 

 

 間髪入れずに先程と同じ合体攻撃がアルゴスの左腕を襲う。

 

同じように、合計30万以上のダメージが当たり、アルゴスの左腕が部位破壊される。

 

 

「馬鹿な!? この連携精度は……」

 

 

 アルゴスが驚きの声を上げる。

 

それと同時に、「ラスト! 華麗に決めるわ!」とユニが言うと、「コード、スペリオルアンジェラス!!」とネプギアが叫ぶ。

 

 

「これ以上やらせるか!」

 

 

 回避に全神経を集中させるアルゴス。

 

 

「くっ! 何だ? 奴等の動きが急に速く!」

 

 

 ネプギア達のスピードが急激にアップする。

 

その速度はアルゴスの百眼でも追えない程であった。

 

プラエの時間操作によって、アルゴスの時間を遅く、ネプギア達の時間を速くしたのだ。

 

アルゴスが戸惑っている間に、アルゴスの頭にウィークネスバレットの赤い模様が付く。

 

 

「しまったぁ!」

 

 

 それはアルゴスにとっての死刑宣告とほぼ同意だった。

 

続けて放たれた、女神候補生の必殺の連携攻撃スペリオルアンジェラスで、100万以上のダメージを受けたアルゴスは、「ぐおおおおお!! ヘラ様、申し訳ありません」と言って地面に突っ伏して倒れた。

 

 

「ええい! 役に立たぬ奴だ!」

 

 

 ヘラは倒れたアルゴスを見ながらそう言うと、「仕方がない。私が直々に手を下してやろう」とヘラがネプギアに向かって一歩前に出る。

 

 

「……っ……凄いプレッシャー」

 

 

 身構えるネプギア。

 

 

「はああっ!」

 

 

 ヘラが手に持った杖をネプギアに向けると、杖から稲妻が飛んでいく。

 

 

「きゃあああああ!」

 

 

 稲妻に当たったネプギアは、1827のダメージを受けてHPゲージが一気に八割も減ってしまう。

 

 

「ネプギア!」

 

 

 ユニが焦りの声を上げると、「大丈夫。みんなは前に出ないで!」とネプギアが慌てて仲間達を止める。

 

 

(何て強力な攻撃なの……こんなのが、後列のみんなに当たったら一撃でやられちゃう)

 

 

 思わず戦慄するネプギア。

 

前列のタンクのネプギアが、このダメージを受けるのでは後列のメンバーが受けたら一撃で戦闘不能もありえる。

 

 

「ネプギアちゃん、なおしてあげる!」

 

 

 すかさず回復魔法を使うロム。

 

更に、「ネプギアお姉さん、ヒールドリンクだよ」とプラエが回復アイテムも鎖に巻き付けて渡してくれる。

 

ネプギアのHPゲージが満タンになるが、ヘラは余裕の態度を崩さない。

 

 

「ふふん……実力の差が分っても向かってくるか。愚かな」

 

 

 ヘラが再び、手に持った杖をネプギアに向けて、稲妻を飛ばす。

 

 

「くっ!」

 

 

 ネプギアは左手の防御の魔方陣でガードをするが、それでも1547のダメージを受けてHPゲージが七割減少してしまう。

 

 

「ラムちゃん式ヒール!」

 

 

 慌てて回復魔法を使うラムに、「回復弾よ!」とユニがHP回復の弾をネプギアに放ち、「ネギちゃん、癒しの歌だよ!」とミクも歌う歌を変える。

 

そのおかげで、ネプギアのHPゲージは満タンまで回復する。

 

 

「……何とか持ちこたえられるけど、攻撃する余裕が全然無い……」

 

 

 焦りの声を上げるネプギア。

 

 

「徹底的にイジメぬいてやるぞ! そらっ!」

 

 

 ヘラが稲妻を放つ。

 

 

「そう何度も!」

 

 

 ネプギアは横にステップを踏むと、ヘラの放った稲妻を避ける。

 

ヘラが、「むっ!」と驚く間に、ネプギアは一気に間合いを詰めて、「ラジカルセイバー!」と力を込めたジャンプ斬りをヘラに浴びせる。

 

 

「生意気な!」

 

 

 ヘラは23549のダメージを受けるが平然としている。

 

 

「ならば、これはどうだ!」

 

 

 ヘラが今度は稲妻による薙ぎ払い攻撃を放って来る。

 

 

「くああああああ!!」

 

 

 攻撃に当たったネプギアは苦しそうな声を上げて、1871のダメージを受けてHPゲージが八割減少してしまう。

 

慌てて、「なおしてあげる!」と回復魔法を使うロムに、「ヒールドリンクだよ」とアイテムスローをしてくれるプラエ。

 

お陰でネプギアのHPゲージは再び満タンまで回復する。

 

 

「なかなか頑張るけど、どこまで耐えられるかしら?」

 

 

 ヘラが余裕の笑みを浮かべると、今度は速度の速い直線的に飛ぶ稲妻と、薙ぎ払いの稲妻を交互に放って来た。

 

 

「同時に撃てるの?!」

 

 

 ネプギアは驚きの声を上げつつ、直線的に飛ぶ稲妻を横ステップで避けると、薙ぎ払いの稲妻を左手の防御の魔方陣で防御する。

 

ネプギアは1547のダメージを受けると、HPゲージが六割減少して、「うっ……」と片膝を付いてしまう。

 

 

「うふふふ……いい様だわ」

 

 

 ヘラがそう言って笑うが、「ハイヒール!」とネプギアは諦めずに自分に回復魔法をかける。

 

更にミクが歌を癒しの歌に変えており、その歌の効果も重なり、ネプギアのHPゲージが満タンになる。

 

続けて、「「マルチプライド・ダークバレット!」」とユニとラムの合体攻撃がヘラに命中すると、53649のダメージが当たる。

 

 

「まだ抵抗するか!」

 

 

 ヘラがユニの方を睨むと、同時に第三部隊からの援護攻撃が飛んで来て、合計でヘラに2万近いダメージが当たる。

 

 

「ゲームのキャラクターと言うのは本当に低能ね。実力の差も分からずに抵抗するなんて!」

 

 

 怒り心頭と言わんがばかりに稲妻を連射するヘラ。

 

 

「ラバーシールド!」

 

 

 ネプギアがそう叫ぶと、ネプギアの左手の防御の魔方陣がゴムに覆われる。

 

ゴムに覆われた魔方陣で防御するネプギア。

 

すると、ネプギアへのダメージは1001まで減少していた。

 

ゴムは優れた絶縁体であり、ネプギアへの稲妻のダメージを減少させたのだ。

 

【ラバーシールド】は、ゴムによる防御幕を作る地属性の魔法。

 

雷の他にも打撃にも強い耐性がある。

 

 

「一閃! リンドバーグ!!」

 

 

 一気に間合いを詰めたネプギアはビームソードの連続斬りをヘラに食らわせる。

 

ヘラは、「くっ……」という声と共に、23541のダメージを受ける。

 

 

「やるな!」

 

 

 ヘラはすかさず、稲妻による薙ぎ払い攻撃をするが、ネプギアは再びゴムで覆われた魔方陣で防御する。

 

ネプギアは、1052のダメージを受けるがHPゲージは僅かに二割ほど残っていた。

 

 

「怒りの鉄拳。ギアナックル!!」

 

 

 ネプギアの右ストレートがヘラに命中する。

 

ガッツ発動によるクリティカルヒットで、48721のダメージを受けて、ノックバックで吹き飛ばされるヘラ。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 ヘラが尻もちを付いて倒れると、「よくもやったわね!」と怒りの形相で立ち上がると稲妻を連射する。

 

 

「くっ!」

 

 

 ガッツで回避率が上がっているとは言え、ヘラの命中率は40%前後とそれでも高く、ギリギリの回避に苦しそうな声を上げるネプギア。

 

しかし、何とか二発かわして、「ハイヒール!」と回復魔法を唱える。

 

流石に満タンまでは回復しないが、それでもラバーシールド込みで一撃耐えられるHPだ。

 

 

「忌々しい小娘だこと!」

 

 

 ヘラが両手で杖を曲げながら歯ぎしりをする。

 

次の瞬間、「「マルチプライド・ダークバレット!」」とユニとラムの合体攻撃がヘラに命中すると、54219のダメージが当たる。

 

続けて、「「マルチプライド・ダークチェーン!」」とロムとプラエの合体攻撃が命中し、48971のダメージが当たる。

 

更に、第三部隊からの援護攻撃が飛んで来て、合計でヘラに2万近いダメージが当たる。

 

 

「キーーーィ! 小娘共!」

 

 

 立て続けて攻撃を受けたヘラが怒りの形相でユニに向けて稲妻を放つが、素早くネプギアが割って入り、ラバーシールドで覆われた左手の防御の魔方陣で防御する。

 

ネプギアは、1042のダメージを受けるが、すぐさま、「ハイヒール!」と回復魔法を唱えてHPゲージを最大まで回復させる。

 

 

「くぅぅぅ……回復回復と鬱陶しい……」

 

 

 ヘラがネプギアを血眼になって睨む。

 

最初は余裕のあったヘラだが、回復を繰り返し食い下がるネプギアに、ヘイトが溜まっているようだ。

 

 

「もう止めて下さい。ヘラさんが矛を収めてくれれば、私達はこれ以上の戦いは望みません」

 

 

 ネプギアは懸命にヘラを説得しようとするが、「そうはいかないわ。こんな男を堕落させる浮気装置、結婚の女神かつ既婚女性の守護者である私が粉々に砕いてやる!」とヘラは怒りをあらわにする。

 

 

「勘違いです! ゲームは浮気の道具じゃありません! みんなで楽しく遊ぶ為の道具です!」

 

 

 ネプギアが必死に訴えるが、「だまらっしゃい! 私が浮気と感じたらそれはもう浮気なのよ!」とヘラが稲妻を連発する。

 

 

「聞く耳も持たずね。こんな嫉妬深いヒステリー女、説得するだけ無駄よ」

 

 

 ユニが呆れたようにそう言うが、「それでも、夫婦ならゲームでいがみ合うんじゃなくて、楽しくゲームをしてもらいたいから」とネプギアは説得を諦めない。

 

 

***

 

 

 ネプギア達、第一部隊はネプギアがタンクとして上手く立ち回り、他のメンバーが攻撃とサポートをするという、いつも戦い方で、地道にヘラにダメージを与えていた。

 

 

「解析完了。最大HP推定3000万、現在のダメージ823万1254」

 

 

 Nギアからのアナウンスがネプギアの耳に聞こえてくる。

 

 

(ダゴン程のHPがあるわけじゃないけど、倒すよりどうにかして説得しなきゃ)

 

 

 ネプギアがそう思っていた時、「ネプギアさん、そろそろ第三部隊と交代してください」とイストワールの声が聞こえる。

 

ネプギアは、「はい」と頷くと、「みんな交代しよう!」と言って第三部隊と入れ替わりで休憩に入る。

 

 

「ふぅ……」

 

 

 後退したネプギアが一息付くと、「ネプギアお姉さん、ヒールドリンクだよ」とプラエが回復アイテムを差し出してくれる。

 

 

「ありがとう、プラエちゃん」

 

 

 プラエに向かって、ニッコリと微笑むネプギア。

 

 

「今の内に、体力と魔力を回復して、アイテムを補充しておくのよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「了解」とラムが、「わかった(いそいそ)」とロムがMPチャージをストローで飲み始める。

 

 

「どうしたら、ヘラさんを説得出来るのかな?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「まだそんなこと言ってるの? あの手のタイプには何言っても無駄よ」とユニが呆れたように言う。

 

すると、ネプギアは寂しそうな表情で、「そんなことないと思うけどな……」と呟く。

 

 

「あー! もう! ただでさえ強敵なのよ。余計なこと考えるのは止めなさい」

 

 

 ユニがネプギアにそう言うと、「それに、そもそもの原因は、あの浮気オヤジでしょ?」と言って隅で小さくなっているゼウスを指差す。

 

指を差されたゼウスは、「はうあっ!?」と言って気まずそうな顔をする。

 

 

「そうよ! おじさんが、ドザエモンすればいいのよ」

 

 

 ラムがそう言うと、「そうね。川に沈めて……って言いたいところだけど、そこは土下座ね」とユニがツッコミをする。

 

ネプギアはやや呆れ顔で、「ラムちゃん、最初のドしかあってないよ」と言う。

 

 

「プラエも、ゼウスのおじさんが謝るのが一番だと思うな」

 

 

 プラエの言葉に、「わたしもそう思う(こくこく)」とロムが続く。

 

 

「そもそも、浮気の常習犯なんでしょ? こういう時はどうしてるのよ?」

 

 

 ユニがそう尋ねると、「大体は、ヘラの怒りが収まるまで好きにさせてるんじゃが……」とゼウスが言いかけると、「そんなのでゲイムギョウ界を滅ぼされたらたまらないわ!」とユニがピシャリと言い放つ。

 

同時にラムが、「やっぱり、おじさんが土下座しかないわね」と言う。

 

 

「そ、そうは言うものの……ワシにもプライドと言うものがあってじゃな」

 

 

 ゼウスがたどたどしく言うと、「今さら、そんなこと言っても説得力ゼロよ」とユニが言い、「プライドだかフライドだか知らないけど、揚げてフライドチキンにしちゃうわよ」とラムがゼウスを脅す。

 

 

「ひぃぃぃ~」

 

 

 やや大袈裟に驚くゼウスに、「ヘラさんも話せば分ってくれるんじゃないでしょうか?」とネプギアが言う。

 

 

「そうじゃといいんじゃが……」

 

 

 ゼウスはそう言って考え込むが、「いや、やっぱし怖い」と言い放つ。

 

 

「いいから、さっさと謝ってらっしゃい!!」

 

 

 ユニがそう言ってゼウスの背中を蹴とばす。

 

更に、「アイスハンマー!」とラムもゼウスをアイスハンマーで吹き飛ばす。

 

 

「そんなーーーーーー!」

 

 

 ゼウスはそう言いながら、第三部隊と交戦中のヘラの目の前に墜落する。

 

 

「あーなーたー? 何か御用? 私、今忙しいの」

 

 

 ヘラがもの凄い目つきでゼウスを睨む。

 

 

「そ、そうだよねー。ゴメンねー、邪魔しちゃって~」

 

 

 ゼウスは、コソコソと逃げようとするが、ネプギア達の冷たい視線が突き刺さる。

 

 

「オーディン、どーにかならんかのぉ?」

 

 

 ゼウスは助けを求めるようにオーディンに問いかけるが、「残念じゃが年貢の納め時じゃのぉ……」とオーディンが悲しそうに呟く。

 

 

「すまーーーーん! ちょっと魔が差しただけなんじゃーーーー! ワシが本当に愛しているのはお前だけだよ、ヘラ!」

 

 

 ゼウスが勢いよく土下座しながら謝る。

 

すると、「まあ……」とヘラが嬉しそうな顔を浮かべる。

 

 

「と、言う訳で帰ろ? 帰ろ」

 

 

 ゼウスがヘラの肩に手を置いて、そそくさと帰ろうとするが、ヘラはゼウスの手を軽く振り払う。

 

ゼウスは、やや緊張した面持ちで、「ヘラ?」と尋ねると、「じゃあ、二度と魔が差さないように、徹底的に破壊しないといけないわね~」とヘラがニコニコと笑う。

 

 

「いや、それはやりすぎなんじゃ……」

 

 

 慌てて止めようとするゼウスだが、「何か文句でもあるのっ!!」とヘラに怒鳴られると、「な、無いよ!」と言って小さくなってしまう。

 

 

「あーあ……こんなことだろうと思ったのよね」

 

 

 ユニが呆れながらため息を吐くと、「どうして分ってくれないんだろう……」とネプギアが悲しそうに呟く。

 

 

「普段からストレスが溜まってるんでしょ。とにかく話を聞いて欲しかったら、一旦倒すしかないわ」

 

 

 ユニがそう言うと、「うん、わかった」とネプギアが気を取り直す。

 

 

 第三部隊も、ネプギア達第一部隊と同じくタンクとアタッカー、ヒーラーを上手く回して地道にダメージを与えて行く。

 

 

「キィィィィッ! チマチマと!」

 

 

 ヘラがそう言って歯ぎしりをすると、「遊びは終わりよ!」と言って高く杖を掲げる。

 

すると、周囲に大量の稲妻が降り注ぐ。

 

 

 稲妻は第三部隊全体を襲い、後衛のビーシャや、がすとにまでダメージが当たってしまう。

 

 

「もう、ダメですの……」

 

 

 がすとは1435のダメージを受けると一撃で戦闘不能になってしまう。

 

 

「わたしも無理ぃ~」

 

 

 続けて、ビーシャも1529のダメージを受けて戦闘不能になる。

 

 

「くっ……コイツはマズいね」

 

 

 シーシャが舌打ちをする。彼女も1543のダメージを受けてHPゲージが残り一割しか残っていなかった。

 

更に、「……こんな大技を隠していたとは……」と言ってエスーシャも1234のダメージを受けてHPゲージが残り三割になって片膝をついてしまう。

 

 

「私と日本一が敵を引き付けるから、その間に二人はビーシャとがすとを連れて後退して!」

 

 

 ファミ通と日本一がヘラに立ち塞がるが、彼女達も攻撃を受けておりHPゲージが残り三割を切っていた。

 

 

「すまない!」

 

 

 シーシャはそう言ってがすとを抱えると、「がすと立てる!?」と言ってがすとを連れて後退し、エスーシャは、「大丈夫かビーシャ?」とビーシャを連れて後退する。

 

 

「そうはさせるか!」

 

 

 ヘラが怒りの形相で稲妻を放とうとするが、「おっと、そうは行かないよ」と日本一がヘラの攻撃を妨害する。

 

 

「第二部隊、交代だ! 敵は強力な広範囲攻撃も持っているから気をつけろ!」

 

 

 シーシャがそう言うと、「了解、第二部隊出るよ!」とファルコムが言う。

 

しかし、「待ってください。ここは第一部隊を当てましょう」とイストワールが止める。

 

 

「何故ですか? イストワール様?」

 

 

 アイエフがイストワールに質問するが、「後で説明します」とイストワールが言う。

 

 

「ネプギアさん、ギアシステムを起動して下さい!」

 

 

 イストワールがネプギアに向けてそう言うが、「あれは、私が自由に動かせるものじゃないんです」とネプギアが残念そうに言う。

 

しかし、イストワールは、「今なら使えます。早く!」と言う。

 

ネプギアは半信半疑で、(ギアシステム、私の声に応えて)と念じる。

 

 

ピピピピピピピピピ……

 

 

 すると電子音と共にダゴン戦で見えた【GEAR SYSTEM】の表示がネプギアの目の前に現れる。

 

 

「できた!」

 

 

 驚きの声を上げるネプギア。

 

同時に、「ファミ通さん、危ない!」と叫ぶと素早くヘラとファミ通の間に入る。

 

ファミ通が攻撃されて戦闘不能になる未来が見えたのだ。

 

 

「また貴様か小娘!」

 

 

 ヘラが怒りの形相でネプギアを睨む。

 

現時点でのヘイトはネプギアが一番高いようだ。

 

 

「下がって! 早く!」

 

 

 ネプギアがそう叫ぶと、「ありがとうネプギア様」とファミ通が、「助かったよ」と日本一が言って後退していく。

 

 

「貴様等のような後列だらけの軍など一撃で壊滅させてやるわ!」

 

 

 ヘラが再び高く杖を掲げる。

 

 

(見える! どこに稲妻が落ちるかが見える!)

 

 

 ネプギアがそう思った瞬間、「なにこれ! 稲妻が落ちるところなの?!」とユニが驚きの声を上げる。

 

 

「ギアシステムで見えた予測をアークスを通じて送ってるの! みんな、その赤い攻撃範囲に入らないようにして!」

 

 

 ネプギアが叫ぶ。

 

 

「なにをごちゃごちゃと! 落ちろぉ!」

 

 

 続けてヘラの叫びと共に、大量の稲妻が第一部隊目掛けて落ちる。

 

 

「フハハハハ! これで全め……」

 

 

 ヘラがそう勝ち誇った瞬間、「たああああああ!」と叫び声が聞こえる。

 

 

「なに?」

 

 

 慌てるヘラ。

 

 

「ミラージュダンス!!」

 

 

 ネプギアの華麗な剣舞がヘラを切り裂く。

 

ヘラは25429のダメージを受ける。

 

 

「ちっ……貴様だけ生き残ったか……」

 

 

 ヘラがそう言って唇を噛むと、「「マルチプライド・ダークバレット!」」と弾丸がヘラに向けて飛んでくる。

 

 

「うわっ!?」

 

 

 ヘラは56581のダメージを受けると、「後列からも攻撃? 馬鹿な!」と慌てる。

 

それに合わせて、「「マルチプライド・ダークチェーン!」」とヘラに向けて鎖が伸びて来る。

 

 

「なにいっ!」

 

 

 ヘラは48574のダメージを受けると、「まさか、誰一人として当たっていないのか? あれだけの大量の稲妻が?!」と驚きの声を上げる。

 

 

「あんなの避けるの余裕よ!」

 

 

 それに答えるようにラムがVサインでドヤ顔を決め込む。

 

更に、「ネプギアちゃんが教えてくれた(ぶいっ)」とロムも嬉しそうに言う。

 

 

「なんだと! そんな筈は!」

 

 

 ヘラがまたも高く杖を掲げる。

 

 

「そこ! 隙だらけです!」

 

 

 ネプギアがそう叫ぶと、「ウィークネスバレット!」とユニが弾を放ち、ヘラにウィークネスバレットの赤い模様が付く。

 

更に、ミクが攻撃力アップの歌に切り替え、ネプギア達が一斉攻撃をすると、ヘラに60万以上のダメージが当たる。

 

 

「ぐっ……」

 

 

 大量のダメージを受けたヘラは怯み状態でよろけてしまい、広範囲の稲妻攻撃がキャンセルされてしまう。

 

 

「うぐぐ……こんなの認めないわ」

 

 

 ヘラはそう言いながら、稲妻を連射して反撃する。

 

しかし、「ネプギアお姉さん、避けられるよ!」とプラエが叫ぶと、「うん!」と言ってネプギアは連発された稲妻を全て避けてみせた。

 

 

「キィィィィッ! このっこのっこのっ!!!」

 

 

 やけになって更に稲妻を連発するヘラだが、一発としてネプギアには当たらない。

 

ギアシステムの発動したネプギアには、ヘラの攻撃パターンが全て見えており、更に仲間達からアークスによるアドバイスで命中率は殆ど0%になっていた。

 

 

「もう止めて下さい。これ以上攻撃パターンが無いようなら、私達の勝ちです!」

 

 

 ネプギアが警告すると、「なにぉぉぉぉぉぉ!!」と叫んでヘラが高く杖を掲げる

 

しかし、「だから、それはもう通じないのよ!」とユニがウィークネスバレットを放ち、先程と同じようにネプギア達が一斉攻撃をする。

 

またも60万以上のダメージを受けたヘラは、よろけで攻撃がキャンセルされてしまう。

 

 

「こんなバカな! こんなバカなことがあってたまるものですか! ゲーム無勢がギリシャ神話の神である私をここまで追い詰めるなんて!」

 

 

 ヒステリックな叫び声を上げるヘラに、「ヘラさん、もっとゲイムギョウ界のことを良く知って下さい。沢山あるゲームの中にはヘラさんとゼウスさんが一緒に楽しめるゲームもあるんです」とネプギアが言う。

 

 

「黙れぇぇぇ!!! これならばどうだ!」

 

 

 ヘラが叫びながら稲妻を放つが、「少しパターンを変えたぐらいじゃ当たりません!」と言ってネプギアが左右にステップを踏みながら、悠々それを避ける。

 

 

「これがイストワール様が言っていた、第一部隊を出した理由ですか」

 

 

 アイエフが納得したように腕組みして頷くと、「ギアちゃんスゴイです~」とコンパが感心する。

 

 

「……っく……」

 

 

 しかし、イストワールは苦しそうに呻くだけで返事をしない。

 

 

「どうしたの? イストワール?」

 

 

 ニトロプラスが心配そうに問いかけると、「わ! 凄い熱!!」とイストワールの額に手を当てたゴッドイーターが驚く。

 

 

「そう言えば、ダゴンの時もこんな感じだったね」

 

 

 ファルコムの言葉に第二部隊の全員が頷き、「イストワールとギアシステムは何か関係があるのかもしれないわね」とニトロプラスが言った。

 

 

***

 

 

 ギアシステムとアークスで、ヘラとの戦闘を優位に進めるネプギア達。

 

その戦いは後半に移り、ネプギア達、第一部隊はヘラを圧倒していた。

 

 

「最大HP推定3000万、現在のダメージ2990万4294」

 

 

 Nギアからのアナウンスがネプギアの耳に聞こえて来る。

 

ネプギアが、「残りHP十万!」と叫ぶと、「一気に押し切るわよ!」とユニが返事をする。

 

 

「こんなの! こんなの何かの間違いよ!」

 

 

 ヘラがそう叫んだ時、空から、「キィィィィィィィィィ!!」とガラスを引っ掻くような声が聞こえて来る。

 

 

「この声まさか!」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「邪神のアホウドリ!」とラムが続けて言うが、「シャンタク鳥よ」とユニがツッコミを入れる。

 

 

「なに? あの不気味な鳥は?!」

 

 

 ヘラが驚きの声を上げると、シャンタク鳥の群れが舞い降りて来る。

 

 

「あのフォーメーション! 敵の狙いはヘラさんだよ。みんな、ヘラさんを守って」

 

 

 ネプギアの言葉に、「ふざけるな! お前等の手など借りぬ!」とヘラが叫ぶが、その直後に、「うぐっ……」と片膝を付いてしまう。

 

どうやら大分ダメージが溜まっているらしい。

 

 

「「「キィィィィィィ!」」」

 

 

 シャンタク鳥の群れは、ヘラを囲み次々と襲い掛かる。

 

 

「くっ……おのれ! この鳥が!」

 

 

 ヘラが苦悶の声を上げる。

 

その姿は弱った動物を集団で襲うカラスのようだった。

 

 

「もう、このお人好し!」

 

 

 ユニがそう言いながら、シャンタク鳥を狙撃するとヘッドショットで2748のダメージが当たる。

 

 

「このぉ! 光の雨よ、邪悪な者を浄化せよ! シャイニングレイン!」

 

 

 ラムがシャイニングレインを唱えて光の雨を降らせる。

 

光の雨がシャンタク鳥に降り注ぐと、25515のダメージが当たる。

 

 

「わたしも……光の雨よ、邪悪な者を浄化せよ……シャイニングレイン!」

 

 

 続けてロムもラムと同じ魔法を唱える。

 

光の雨がシャンタク鳥に当たり、23581のダメージを与える。

 

 

「クロックチェーン! 光の力よ!」

 

 

 更にプラエが左手の鎖を伸ばし、シャンタク鳥を打ち据えると21039のダメージが当たった。

 

 

「これで、トドメ! ミラージュダンス!」

 

 

 最後にネプギアが華麗な回転剣舞を決めると、23312のダメージが当たりシャンタク鳥の一体が戦闘不能になる。

 

 

「相変わらず邪神共はタフね」

 

 

 ユニが舌打ちする。

 

一匹は仕留めたものの、シャンタク鳥の数は多く、次々とヘラに向かって行く。

 

 

「どうしよう。このままじゃヘラさんを助けられない……」

 

 

 ネプギアが体を震わせる。

 

今のネプギアが見ているギアシステムの光景には、全てヘラがシャンタク鳥に無残についばまれていくものばかりだった。

 

 

「ぬおおおおおおおおおおおおお!!!! ヘラーーーーーー!!!」

 

 

 突如、強大な雄叫びが聞こえて来る。

 

 

「きゃっ!?(びくびく)」

 

 

 ロムがその大声に驚き、「な、なになに?」とラムが慌てて首を左右に振る。

 

 

「もしかして、ゼウスのおじさん?」

 

 

 プラエの言葉に、全員が一斉にゼウスを見る。

 

すると、ゼウスは今までと違い、身体中に稲妻を纏った雄々しい姿をしていた。

 

 

「唸れ雷霆【らいてい】! あの醜い鳥を焼き尽くせ!!!」

 

 

 ゼウスがそう言いながら右手をかざすと、ヘラが放っていたものより遥かに太い稲妻がシャンタク鳥の群れに向かって行く。

 

 

「ギシャァァァァァァァ!!!」

 

 

 稲妻に焼かれたシャンタク鳥達は15万以上のダメージを受けて消滅していく。

 

 

「もう一発!!」

 

 

 更にゼウスが左手をかざすと、もう一発同じくらい太い稲妻がシャンタク鳥の群れに飛んでいく。

 

 

「キキャーーーーーー!!」

 

 

 シャンタク鳥達は再び15万以上のダメージを受けると次々と消滅して全滅してしまう。

 

続けてゼウスは全速力でヘラの元に駆け寄ると、「無事か!」とヘラを抱き寄せる。

 

 

「あなた……」

 

 

 頬を赤く染めてゼウスを見るヘラ。

 

 

「ゼウスさん、あんなに強かったんだ……」

 

 

 驚きで目を丸くするネプギアに、「あの威力、半端じゃないわね。ダゴンより強いって言うのも嘘じゃないのかも」とユニも目を丸くする。

 

 

「ただの浮気おじさんじゃなかったってことね」

 

 

 ラムが見直したように言うと、「ゼウスさん凄い」とロムも感心する。

 

 

「な・ん・で・最初っから手助けしてくれないのよ!」

 

 

 ヘラはゼウスの髭を引っ張りながら、そう言って怒ると、「だ、だって、女の子相手に本気出すなんてワシできんし……」とゼウスがたどたどしく言い訳をする。

 

 

「くすっ……ネプギアお姉さんの言う通り、ゼウスさん本当はいい人なのかも」

 

 

 プラエはそう言うと、「うぐっ……」と胸を押さえて、うずくまる。

 

 

「プラエちゃん!」

 

 

 ネプギアが慌てて駆け寄ると、「だ、だめ……体が熱くて苦しい……」とプラエが呟き、彼女の体から以前にも見た黒いモヤが現れる。

 

 

「このモヤ……まさか!」

 

 

 ネプギアがそう言った瞬間、ギアシステムが警告を発する。

 

 

コロセ

 

コロセ

 

コロセ

 

コロセ

 

コノムスメガ、オセンノゲンインダ、ザイニンハシスベシ、コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ……

 

 

「いやあああああああ!!!」

 

 

 ギアシステムの警告に絶叫を上げるネプギア。

 

 

Guilty Erase Achievement Rational System 強制実行に入ります。

 

 

 ギアシステムのその言葉と共にネプギアの体の自由が利かなくなる。

 

 

「体が……動かない……」

 

 

 苦しそうな呻き声を上げるネプギア。

 

 

「何なの? 何が起きてるの?」

 

 

 ユニが驚きの声を上げると、ネプギアは右手のビームソードを苦しんでいるプラエに向けて振り下ろそうとする。

 

 

「「だめーーーー!」」

 

 

 ロムとラムが左右からネプギアに抱き着いてネプギアを止めようとする。

 

 

「何してるのアンタ!!」

 

 

 更に、ユニがネプギアを羽交い締めにして止める。

 

 

「はぁっ……はあっ……」

 

 

 苦しそうな息を吐くプラエ。

 

 

「うぅ……止めて……私を……とめ、テ……」

 

 

 そして同じく苦しそうに呻くネプギア。

 

 

「なになに?! 何なのよこれぇ!!!」

 

 

 ラムが悲痛な声を上げる。

 

 

「ネプギアちゃん、どうしちゃったの?!」

 

 

 ロムがネプギアに必死に訴えかける。

 

 

「止めてってどういうことよ!?」

 

 

 ユニが質問した瞬間、ネプギアは、「オセンノゲンインヲハイジョスル」と言って物凄い力で三人を振りほどく。

 

プラエに斬りかかるネプギア。

 

ビームソードをの刃がプラエの後頭部に迫る。

 

 

カキンッ!!

 

 

 ビームソードが弾き飛ばされる。

 

 

「何してるの!? ネプギア」

 

 

 弾き飛ばしたのはアイエフであった。

 

第一部隊の異変に気付いて、急いで駆け付けたのだ。

 

 

「違う。ネプギアじゃない」

 

 

 ファルコムがそう言うと、「あの子の清廉な気を感じない。何か別の物に操られている」と続けて言う。

 

 

「Guilty Erase Achievement Rational System実行します」

 

 

 ネプギアはそう言うと、ビームソードの代わりにゲハバーンを呼び出して、それを構える。

 

 

「とにかく、一度止める必要があるわね」

 

 

 ニトロプラスがそう言って太刀を構えると、「戦うの? ネプギアと?」とゴッドイーターが言う。

 

 

「そうじゃないと、この子はプラエを殺してしまうよ」

 

 

 そう言って、ファルコムも両手剣を構える。

 

コンパは、「そんなー! 何とかならないんですか?」とイストワールに問いかけるが、イストワールは黙ったまま何も答えない。

 

そんな中、あんみつは刀を握りしめ苦悩していた。

 

 

(ネプギア殿を斬らねば、プラエ様が死んでしまう……だがネプギア殿を見続けて来た今なら分かる。プロテノール様はネプギア殿を真の強者と認め、プラエ様とゲイムギョウ界の未来を託されたのだ……そのネプギア殿を斬るなどと……)

 

 

「キィィィィィィィ」

 

 

 叫び声と同時に空からシャンタク鳥の群れの増援が現れる。

 

 

「ちっ、こんな時に……」

 

 

 舌打ちするアイエフ。

 

 

「気を付けて下さい。そのシャンタク鳥は汚染されます!」

 

 

 イストワールがそう叫ぶと、「何でそんなことが分るの?」とニトロプラスが言うが、次の瞬間シャンタク鳥達は黒いモヤに包まれ、イストワールが言ったように汚染される。

 

シャンタク鳥達は、ゼウス夫婦、鳥人達、そしてネプギア達にも襲い掛かって来た。

 

 

「くっ……これは手強い」

 

 

 汚染されたシャンタク鳥達と戦っている鳥人のヘイムダルが苦悶の表情を浮かべる。

 

 

「持ちこたえろ、ヘイムダル。お嬢ちゃん達が合流すれば何とかなる」

 

 

 オーディンはそう言いながら、ネプギア達の方向を見ると、「ネプギアちゃんに何が起きたんじゃ? いや、ワシはあの子のことを信じておる」と言う。

 

 

「あなた!」

 

 

 ヘラが心配そうに、汚染されたシャンタク鳥達と戦っているゼウスを見ると、「大丈夫じゃ。ヘラには指一本触れさせん」とゼウスが自信満々に言い放つ。

 

 

「しかし、数が多すぎる。ここは一旦ピューリーちゃ……ごほん! 鳥人と共同戦線を張ろう」

 

 

 ゼウスがそう言うと、「ピューリーって誰です!」とヘラが眉を吊り上げる。

 

すると、「友達じゃよ友達!」と言って必死に言い訳するゼウス。

 

 

 その頃、ネプギアはファルコムと激しい打ち合いを繰り広げていた。

 

 

「この剣筋、やはりネプギアと違う! それに、あたしの動きを完全に読んでいる……」

 

 

 ファルコムは防戦一方で苦しそうにネプギアの攻撃を捌いている。

 

 

「プラエ、しっかりして」

 

 

 ラムがプラエに駆け寄って、ストローでエリキシル剤を飲ませる。

 

 

「はぁっ……はぁっ……やっぱり、汚染はプラエが原因……」

 

 

 プラエが苦しそうに呟くと、「そんなことない(ふるふる)」とロムが首を左右に振る。

 

 

「くっ……ギアシステムがこんな裏目に出るなんて」

 

 

 イストワールが悔しそうに唇を嚙むと、「何か知ってるの? 知ってるなら、あの子を止めてあげて」とニトロプラスが言う。

 

 

「私の方でもギアシステムを停止させようとしているのですが、止まりません」

 

 

 イストワールがそう答えると、「イストワール様、ギアシステムって一体なんなんですか!?」とアイエフがイストワールを睨む。

 

 

「それは後で説明……」

 

 

 イストワールがそこまで言うと、「うっ……」と苦しそうに頭を押さえる。

 

 

「イストワール様?」

 

 

 コンパがイストワールの額に手を置くと、「す、凄い熱ですー!」と驚きの声を上げる。

 

 

「それより、今は敵を倒さないと」

 

 

 ファミ通が言う。

 

第三部隊は休憩と治療、それにビーシャとがすとの蘇生を終わらせてシャンタク鳥達と対峙していた。

 

 

「汚染されているだけあって手強い!」

 

 

 ゴッドイーターがシャンタク鳥を攻撃して、21252のダメージを与えるが、シャンタク鳥は平然としている。

 

続けて、シャンタク鳥が反撃してくると、ゴッドイーターは1089のダメージを受けて、HPゲージが五割も減少してしまう。

 

残りのメンバーもゴッドイーターと同じか、それ以上の苦戦を強いられていた。

 

 

(プラエのせいだ、プラエが何とかしなきゃ……)

 

 

 プラエはそう思いながら、必死に立ち上がる。

 

 

「お願い、誓約花! プラエに力を貸して!」

 

 

 プラエがそう叫ぶと両手を組んで祈る。

 

 

(ネリネの花言葉、華やか、また会う日を楽しみに、忍耐、プラエは今まで一生懸命守ってきました。これからも守り続けることを誓います。だから、今だけ今だけでいいから、プラエに力を! みんなを守る力を!!)

 

 

 必死に祈るプラエの体が少しづつ蒼い光に包まれる。

 

すると、プラエの体に変化が起こる。

 

髪の毛は蒼くなり、髪型がツインテールになる。

 

そして、ネプギア達が女神化した時と同じような、レオタードとアームカバー、それにサイハイブーツを身に纏う。

 

更に体の周囲には、プロセッサユニットが浮遊していた。

 

 

「女神化!?」

 

 

 ラムが驚きの声を上げる。

 

 

「えっ……プラエ……」

 

 

 プラエも自分の変化に戸惑っているようだ。

 

しかし、「この力なら!」と言うと、「みんな! プラエが超能力で時間操作する間に一気に攻撃して!」と叫ぶ。

 

すると、周囲の空間に変化が起こる。

 

全てのシャンタク鳥の動きが急激に遅くなると、それと同時にユニ達全員の動きが急激に速くなる。

 

 

「これは!」

 

 

 エスーシャが驚きの声を上げる。

 

 

「よく分からないけど、これなら行ける! オリジナルコンボ!」

 

 

 シーシャが怒涛の連続攻撃でシャンタク鳥を攻撃し始める。

 

その姿を見た仲間達もシーシャの真似をするようにシャンタク鳥に連続攻撃をし始める。

 

 

「ウ……この暖かい光は……誓約花の力……」

 

 

 ネプギアがうわ言のように呟く。

 

 

(そうだ、私は友達を、プラエちゃんを守る為にライラックと誓約したんだ……例え、ギアシステムの言う通り汚染の原因がプラエちゃんだとしても、私はプラエちゃんを守る!)

 

 

 僅かに残ったネプギアの意識が、ギアシステムに対して反撃を行う。

 

 

(お願い、静まって! 静まってギアシステム!!)

 

 

 ネプギアの意識が必死にギアシステムに訴えかける。

 

 

オセンノゲンインヲハイジョスル、オセンノゲンインヲハイジョスル、オセンノゲンインヲハイジョスル、オセンノゲンインヲハイジョスル!

 

 

 ギアシステムは依然にして、プラエの殺害を命令してくる。

 

 

(プラエちゃんは友達なの。お願いだから、私に友達を守らせて!)

 

 

 それでも、尚もギアシステムに呼びかけるネプギア。

 

 

トモダチ……? リカイフノウ???

 

 

 ギアシステムがネプギアの呼びかけに反応する。

 

 

(友達を、仲間を、信じてくれるみんなを護る為に、私は、守護女神は存在しているの! 敵を倒す為じゃないの! 今ここでプラエちゃんを守れなかったら、私、守護女神じゃない!!!)

 

 

 ネプギアが精一杯の力を込めて訴える。

 

 

リョウカイ。システムダウンシマス。スリープモードニイコウ。

 

 

 ギアシステムがそう答えた瞬間、【パシン!】と言う音と共に、ネプギアの右頬に痛みが走る。

 

ネプギアの意識が目を覚ますと、目の前にはユニが居た。

 

 

「目、覚めた?」

 

 

 ユニは目に涙を浮かべながら、ネプギアに問いかける。

 

 

「あれ? ユニちゃん?」

 

 

 キョトンとするネプギアだが、直ぐに目に涙をためて、「いたーーーーい! ユニちゃんがぶったーーー!」と叫ぶ。

 

 

「あ、アンタがおかしくなったからでしょ!」

 

 

 やや慌てながらも、言い訳をするユニ。

 

 

「だからって、ぶっことないのにぃ~~」

 

 

 抗議の視線を向けるネプギアに、「壊れたら、叩いて直すぐらいがちょうどいいのよ!」と言いながらソッポを向くユニ。

 

すると、「そうそう♪ 右斜め四十五度の角度でチョップを叩き込むのが一番だよねー……って、私壊れたテレビじゃないよー!」とノリツッコミを見せるネプギア。

 

 

「その様子なら心配ないみたいだね……」

 

 

 ファルコムが少し疲れた顔でネプギアに微笑みかける。

 

慌てて、「あっ! ご迷惑お掛けしたみたいで、ごめんなさい!」と謝るネプギア。

 

 

「戦況はどうなってますか?」

 

 

 ネプギアが質問をすると、「それがね! プラエが女神化したのよ!」とラムが嬉しそうに話す。

 

 

「えっ!? 女神化?」

 

 

 驚きの声を上げるネプギアに、「ほら、あれ」と言ってロムが空を指差すと、女神化をしたと思われるプラエの姿があった。

 

プラエは両手の12本の鎖を巧み操り、次々と汚染されたシャンタク鳥達を撃破していた。

 

プラエの他にも、プラエの時間操作で高速化したネプギアの仲間達や、ゼウスやオーディンに、ヘイムダルを中心とした鳥人が攻撃を繰り返し、どんどんとシャンタク鳥が減っていき、やがて全滅をした。

 

 

「はぁっ……はぁっ……倒せた……」

 

 

 プラエは着地すると、変身が解けて、そのままぐったりと倒れてしまう。

 

 

「プラエちゃん!」

 

 

 ネプギアがプラエに駆け寄りプラエを抱き起す。

 

 

「しっかりして、プラエちゃん」

 

 

 ネプギアが呼びかけると、「……ごめんなさい。モンスターが汚染されるの多分プラエが原因なの」とプラエが呟く。

 

 

「そんなことないよ! ううん、例えそうでも、私はプラエちゃんを守るよ。汚染の原因も、病気だって治してあげるから」

 

 

 ネプギアが力強くそう言うと、プラエは目に涙を溜めて、「ありがとう、ネプギアお姉さん」と言った。

 

その光景を見ていた、あんみつは静かに刀を鞘に納め、「来るべき時が来てしまったのですね……プロテノール様、どうかプラエ様をお守りください」と呟いた。

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