新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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044プラエの正体

 ネプギア達はオーディンや鳥人達と別れ、ギャザリング城に戻って来ていた。

 

ちなみに、ゼウス夫婦とも和解をしゼウス達は現実世界へ帰って行った。

 

それを感謝した鳥人達は、今後もネプギア達に協力してくれることを約束してくれた。

 

問題は解決してクエストは大成功だが、ギャザリング城の居間は重苦しい雰囲気に包まれている。

 

主な原因はギアシステムの暴走と汚染の元がプラエにあるかもしれないと言うことだった。

 

居間にはネプギア達の他にも、フィナンシェにサンジェルマンがいた。

 

ただ、プラエだけは疲労が激しく部屋で眠っている。

 

 

「まずは、私の方から説明しましょう」

 

 

 イストワールが口を開くと、全員がイストワールの方を見る。

 

 

「ギアシステム。正式名を【ギルティ、イレース、アチーブメント、ラショナル、システム】。名前の通りゲイムギョウ界の敵となる存在……罪人を合理的に消去する為の最も有効な手段を実行するシステムです」

 

 

 イストワールはそう言うと、「今回の暴走は、ギアシステムの提示をネプギアさんが頑なに拒んだため、システムが強制的にネプギアさんの体を動かしたものだと予想しています」と続ける。

 

 

「システムが強制的に体を動かすなんて、そんなの酷すぎます!」

 

 

 ユニは机を【バン】と叩くとイストワールを睨みつける。

 

すると、イストワールは顔を落とし、「おっしゃる通りです。言い訳をするつもりはありません」と言う。

 

 

「ユニ様、気持ちは私も同じですけど、このシステムのお陰でダゴンに勝てたのは事実です」

 

 

 アイエフがそう言うと、「それはそうかもしれないけど……」とユニが不満そうに言う。

 

 

「そもそも、何でネプギア様なんですか? 他の人じゃダメだったんですか?」

 

 

 ファミ通の質問に、「ネプギアさん程の情報処理能力が無ければギアシステムを扱いきれないんです。後は、私との相性もあります」とイストワールが言う。

 

 

「イストワール様との相性ですか~?」

 

 

 コンパが不思議そうに首を傾げると、「ギアシステムは、簡単に言えば女神様の力で私の処理能力を何倍にもする力なのです」とイストワールが説明を始める。

 

 

「確かにイストワールは優秀ですけど、処理に三日掛かるのが玉にキズですの」

 

 

 がすとの言葉に、「それを何倍にもして、瞬時に私に予知に近い未来を見せてくれるのがギアシステム……」とネプギアが呟く。

 

 

「その通りです。その通信速度は私との相性の良し悪しで大きく変わります」

 

 

 イストワールがそう言うと、「その相性がいいから、お姉ちゃんとかじゃなくて、私が選ばれたってことですか?」とネプギアが言う。

 

すると、「はい」とイストワールが頷く。

 

 

「だからって、そんな実験みたいに!」

 

 

 ユニがそう言うと、「ううん、いいの。ユニちゃん」と言ってネプギアがユニの右手に自分の右手を重ねる。

 

 

「ネプギア……」

 

 

 ユニはそのネプギアの態度で全てを察したかのように大人しくなる。

 

 

「アイエフさんが言ったように、ギアシステムのお陰でダゴンに勝つことが出来たんです。だから、いーすんさんのこと恨んだりなんて全然してません。それに、私自身がギアシステムに操られないようにすればいいんだと思います」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「ネプギアさん……ありがとうございます」と言ってイストワールがネプギアに向かって深々と頭を下げる。

 

 

「それで、そのギアシステムはどうして、プラエを殺そうとしたの?」

 

 

 ゴッドイーターの問いかけに、「プラエのことはあたしも気になるね。あの黒いモヤは、あたしが猛争モンスターを生み出す現象に似ていた」とシーシャが続く。

 

二人の質問に、「それは……」とネプギアが言葉に詰まってしまう。

 

すると、「それは、私から説明しましょう」と言って、あんみつが小さく手を上げる。

 

 

「あんみつさん……」

 

 

 ネプギアが不安そうな目で、あんみつを見ると、あんみつは首を左右に振って、「いいんです。いつかはこんな日が来るとは思っていました」と言う。

 

 

「結論から申し上げますと、ギアシステムはプラエ様が汚染モンスターの原因だと突き止めて殺そうとしたのでしょう」

 

 

 あんみつがそう言うと、「突き止める、と言うことはプラエが汚染の原因で間違いないのね」とニトロプラスが冷静に言う。

 

 

「はい、プラエ様は、犯罪神が作り出した汚染モンスターを生み出す為の媒体です」

 

 

 あんみつがそう言うと、「なによ! なによそれ! プラエはわたし達の友達よ! ウソ言わないでよ!!」とラムが叫び、「そうだよ! プラエちゃんはわたし達の仲間!」とロムも声を荒らげる。

 

 

「……プラエ様は何も知りません。プロテノール様が言うには、プラエ様は体が弱くて、作り出してすぐ犯罪神に失敗作扱いされて廃棄されそうになったのですから」

 

 

 あんみつの言葉に、「いや! 聞きたくない!」とラムは耳を塞いで居間から出て行ってしまう。

 

ロムも、「ラムちゃん、待って!」と言ってラムの後を追う。

 

 

 居間中が、先程より重苦しい雰囲気に包まれる。

 

ネプギアは顔を青くしてカタカタと震えていた。

 

彼女は、ある一つの仮説を立てていた。

 

それを、あんみつに聞くべきか迷ったが、聞かなければいけないと決意して、あんみつに問いかける。

 

 

「あんみつさん、プラエちゃんは何者なんですか? それにプロテノールさんってもしかして……」

 

 

 ネプギアがそこまで言うと、「プラエ様は、犯罪神が世に出ることのなかったゲームやハードの怨念とギョウカイ墓場に眠る女神を融合させて作った存在。又の名をマジック・ザ・シスター」とあんみつが言う。

 

 

「マジック・ザ・シスター…………じゃあ、じゃあ、やっぱり……」

 

 

 ネプギアが目に涙を溜めながら、震える声で呟く。

 

 

「そうです。プロテノール様は、犯罪神がハード戦争に負けた女神達の怨念と、ギョウカイ墓場に眠る女神の体を融合させて作った存在。又の名をマジック・ザ・ハード……あなた達が打ち倒した、あのマジック・ザ・ハードです」と言う。

 

 

「そんな! プロテノールさんの写真とマジック・ザ・ハードは全然違うじゃない」

 

 

 ユニが抗議すると、「あれは変身前のプロテノール様です。プラエ様とプロテノール様は、以前に滅んだネオジェネシスの女神の姉妹を素体に犯罪神が作り上げたので、変身前の姿があるのです。勿論、プラエ様は変身後のプロテノール様も御自身が変身できることも知りませんでした」とあんみつが説明をする。

 

 

「そんな……」

 

 

 ユニが力なく、そう呟くと、「今まで黙っていたことは謝罪します。ただ、私はプラエ様に幸せなままで亡くなって欲しかったのです」とあんみつが言う。

 

だが、既にネプギアにはその言葉は聞こえていなかった。

 

敵だったとは言え、友達の姉を、プラエの唯一の肉親を殺めてしまった事実だけが、ネプギアの胸に重くのしかかっていた。

 

震えながら、「……っ……」と俯くネプギアに、ユニは、「ネプギア……」と優しく呼びかけ彼女の手を握ってあげた。

 

 

「幸せなままで亡くなる???」

 

 

 日本一が首を傾げると、「私は犯罪組織の暴漢からフィナンシェを逃がした際に、不覚を取って暴漢に負けて、襲われていたところをプロテノール様に助けられ、以後忠誠を誓うと共にプラエ様の面倒を見てまいりました」とあんみつが説明をする。

 

すると、「そんなことがあったなんて……」とフィナンシェが驚きの声を上げる。

 

 

「ん? おかしいですの。プロテノールは犯罪組織の女神なのに、何であんみつを助けたんですの?」

 

 

 がすとがそう言うと、「プロテノール様には素体となったネオジェネシスの守護女神クストゥス=パピリオの記憶が残っているのです。寡黙で誇り高い格闘ゲームの覇者であったヴァーミリオンハートの記憶が」とあんみつが答えた。

 

 

「行方不明とは聞いていたけど、犯罪組織の女神の素体として使われていたなんてね。しかも、守護女神だった頃の記憶があるとなると、襲われている女性を助けるのも頷けるね」

 

 

 ファミ通の言葉に、「そうだね! 守護女神様は正義の味方だもんね!」と日本一が同意する。

 

 

「でも、守護女神の記憶があるのに何で犯罪組織の女神なんかやってたの?」

 

 

 ゴッドイーターの質問に、「プロテノール様が言うには、犯罪神とマジェコンヌは別個の存在であって、大昔にマジェコンヌが邪神である犯罪神に取り込まれて合体したのが犯罪神マジェコンヌ。プロテノール様を作り出したのは僅かに残ったマジェコンヌの意志で、プロテノール様の目的は犯罪神からマジェコンヌを解放することらしいです。その為には犯罪神マジェコンヌを復活させる必要があったそうです」とあんみつが説明をする。

 

するとニトロプラスが、「邪神? まさか犯罪神の正体はダゴン達と同じ邪神なのか?」と質問をする。

 

 

「そこまでは分かりません。ですが、プロテノール様が忠誠を誓っていたのは、マジェコンヌであって犯罪神ではないのは確かです」

 

 あんみつの答えに、「ブレイブの例もあるわ。犯罪組織の全員が全員が悪とは限らないわね」とユニが言う。

 

 

「重ねて言います。プラエ様は犯罪組織のことは本当に何も知りません」

 

 

 あんみつはそう言うと、「人里離れた洋館で、病弱な娘として育って来ただけなんです」と続けて言う。

 

 

「私は、犯罪組織が壊滅した時誓いました。プラエ様を守り、僅かな命の灯が消えるまで面倒を見ると」

 

 

 あんみつの言葉に、「その言い様だと、やはり、プラエは長くはないのかい?」とファルコムが質問をする。

 

 

「はい……只でさえ病弱な上に、犯罪組織が壊滅してシェアが無くなっておりますので、持ってあと数年の命だったのです」

 

 

 あんみつはそう言うと、「エリキシル剤で、僅かに寿命を延ばせても、そう長くは……だから、最後に知り合えたネプギア殿という素晴らしい友人達と幸せな時間を過ごして、安らかに死に別れていただければと思っていたのですが……」と続けて言う。

 

 

「随分と勝手な理由だな」

 

 

 エスーシャが冷静にそう言うと、「エスーシャ!」とビーシャがエスーシャを咎める。

 

 

「だってそうだろう? プラエが死ぬと決めつけて自分の都合をプラエやネプギア達に押し付けているだけだ」

 

 

 エスーシャがビーシャに構わずそう続けると、あんみつは、「そうですね……返す言葉もありません」と顔を落としてしまう。

 

すると、「ふっ……興味ないオバケのエスーシャがそこまで言うなんてね」とシーシャが鼻で笑った。

 

 

「興味ないね。だが、私だったら、諦めはしない」

 

 

 エスーシャがそう言うと、「そうだよ! エスーシャだって、イーシャのこと諦めてないんだよ! あんみつだって、プラエのこと諦めないでよ」とビーシャが言う。

 

 

「エスーシャさん、ビーシャさん……」

 

 

 あんみつがゆっくりと顔を上げる。

 

 

「……そうだ……諦めちゃダメなんだ」

 

 

 ネプギアが小さく呟く、「私にも何か出来る筈」と言って立ち上がる。

 

その姿を見たユニは嬉しそうに、「そうよ! 何か出来ることがある筈だわ」とネプギアに向かって言う。

 

しかし、即座に、「いけません!」とイストワールが厳しい表情をする。

 

 

「イストワール様?」

 

 

 アイエフが不思議そうにイストワールに問いかける。

 

 

「私は、あんみつさんの言うことに賛成です。これ以上汚染モンスターを生み出さないよう、プラエさんには申し訳ありませんが、寿命だと思って諦めてもらいます」

 

 

 イストワールが冷徹にそう言うと、「な、なんでそんなこと言うんですか~」とコンパが悲しそうな声を出す。

 

 

「汚染モンスターによる死傷者数、それに汚染された邪神共の脅威を考えれば、その判断も正しいと言えますな」

 

 

 サンジェルマンが冷静に言い放つ。

 

すると、ファミ通も顔を落として、「確かに、ここ最近は汚染モンスターの被害も増えてるし、汚染された邪神の強さは言わずもがな……だね」と言う。

 

更に、「プラエはイーシャとは違いますの」とがすとが続く。

 

 

「そんなの絶対ダメだよ。正義のヒーローは救える命があれば救うものだよ!」

 

 

 日本一が立ち上がって力説し、「そうだよー! そんなの全然ヒーローっぽくないじゃん」とビーシャも抗議をする。

 

続けて、「あたしは正義のヒーローって訳じゃないけど、このまま諦めるのは性に合わないな」とファルコムが言う。

 

更に、「アタシも同じだね。猛争モンスターを生み出していた身としては、プラエの事は何としてでも助けてあげたい」とシーシャが言った。

 

 

「うん! 私の座右の銘も、【生きることから逃げるな】だし」

 

 

 ゴッドイーターがそう言うと、「そうです! 私、プロテノールさんのことを言い訳するつもりはない。それに、このままプラエちゃんが死んでしまったら、私、一生後悔する。私はプラエちゃんを守ると誓ったんです。プラエちゃんから逃げるようなことはしたくありません」

 

 

「……どうしても聞き入れてはいただけませんか?」

 

 

 イストワールが残念そうに言うと、「聞けません。いーすんさんの、お母さんの言うことでも私聞けません! もしプラエちゃんを死なせてしまったら、私、女神失格です!」とネプギアが迷いのない瞳で言う。

 

イストワールを真っすぐ見つめるネプギア。

 

そして、ネプギアを見つめ返すイストワール。

 

お互いの視線がぶつかり合っていたが、イストワールの方から視線を逸らすと、「……分かりました。何とかする方向で考えてみましょう」とイストワールが折れる。

 

 

「ありがとうございます。いーすんさん!」

 

 

 ネプギアはイストワールに深々と頭を下げてお礼を言った。

 

 

「しかし、何とかするとは言いましたが、ネプギアさん、何か心当たりがあるのですか?」

 

 

 イストワールがネプギアにそう問いかけると、「ゲムドラジルの伏姫さんに会ってきます。プラエちゃんのこと知っているみたいでしたし」とネプギアが言う。

 

すると、「そう言えば、そんなふうな物言いだったわね」ユニが思い出したように言う。

 

 

「わかりました。それでは、お二人をゲムドラジルまで転送しましょう」

 

 

 イストワールがそう言うと同時に、「ちょっと待って! わたし達も行くわ!」とラムが居間に入って来る。

 

続けてロムも入って来て、「プラエちゃんのこと、よくわからないけど、ネプギアちゃんはプラエちゃんを助けるんだよね? だったら付いてく」と言う。

 

 

「ありがとう。二人が居れば心強いよ」

 

 

 ネプギアが微笑みながらそう言うと、「プラエの事、絶対に助けましょう」とラムが言い、「絶対に助ける」とロムもそれに続く。

 

 

「では、ゲムドラジルの小屋に転送をしますね」

 

 

 イストワールがそう言うと、ネプギア達女神候補生は、イストワールが作った転送ゲートに入って行く。

 

 

***

 

 

「そうですか……やはり知ってしまいましたか……」

 

 

 ネプギアから事情を聞いた伏姫が残念そうに言う。

 

 

「伏姫さんは、プラエちゃんを助ける方法を知ってるように思えます。出来たら教えて貰えませんか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「その前に、プラエを救うと言う気持ちに迷いはありませんか? 彼女は犯罪組織の女神でもあるのですよ」と伏姫が質問をしてくる。

 

 

「そんなの関係ないわよ。プラエは絶対に助けるわ」

 

 

 ラムが威勢よく言うと、「迷いなんてないよ(きりっ)」とロムもハッキリと言う。

 

 

「確かに、いーすんさんの言う事も一理あることは認めます。でも、私は信じています。人はやり直せると。ましてや、プラエちゃんは犯罪組織のことは何も知らないんです」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「その通りよ。ブレイブとだって分かり合えたんだから、プラエと分かり合えない筈はないわ」とユニが続けて言う。

 

 

「わかりました。では、お教えします」

 

 

 伏姫がそう言うと、「ありがとうございます」とネプギアが頭を下げる。

 

 

「ネプギアには以前お話したと思いますが、プラエは九花。誓約花の誓約を守り続けていれば、いずれは犯罪組織の女神から、九花の女神、ネリネプレッジに変化できでしょう」

 

 

 伏姫がそう言うと、「そうすれば、犯罪組織のシェアが無くてもプラエは生きていけるのね!」とラムが嬉しそうに言う。

 

すると、「ええ、それにそうすれば汚染の心配もありません」と伏姫が付け足す。

 

 

ロムは首を傾げて、「プレッジってなに?」と質問をすると、「プレッジ【pledge】は誓約って意味がある英語だよ」とネプギアが質問に答える。

 

 

「ってことは、わたし達も誓約を守り続ければ、【ガーベラプレッジ】とかになれるの?」

 

 

 ラムの質問に、「そうですね。ただ、あなた達には元々ホワイトシスターと言う名前があるので、無理に変えることもないでしょう」と伏姫が答える。

 

 

「Vさんは、エニシダプレッジ?」

 

 

 ロムがそう言うと、「彼女は九花の誓約を極めており、最高位のマリアージュ。エニシダマリアージュのクラスに居ます」

 

 

「誓約にもレベルがあるのね」

 

 

 ユニがそう言うと、「はい、誓約花との誓約状況で、プレッジ→ネクサス→エンゲージ→マリアージュの順でパワーアップしていきます」と伏姫が言う。

 

 

「それで、プラエちゃんはいつ頃、ネリネプレッジになれるでしょうか?」

 

 

 ネプギアの質問に、「それは私にも分かりません。本人の生き方で、いかようにも誓約は変わるものです」と伏姫が答える。

 

 

「しかし、プラエには時間がありません。一先ずでも彼女の命を繋ぐことが大事でしょう。その方法をお教えします」

 

 

 伏姫がそう言うと、「お願いします」とネプギアが頭を下げる。

 

 

「マジェコンヌクリスタルをプラエに使うのです」

 

 

 伏姫の言葉に、「「マジェコンヌクリスタル?」」とロムとラムが首を傾げる。

 

 

「マジェコンヌクリスタルは、ゲイムギョウ界の住民達の邪な心の塊である【ダークソウル】を大量に凝縮した結晶。あなた達で言えばシェアクリスタルと同じものです」

 

 

 伏姫がそう説明をすると、「そう言えば、犯罪神との最後の闘いで犯罪神が落としたような……」とネプギアが思い出したように言う。

 

するとユニは柏手を打ち、「そうよ! 使い道が分らなかったから、ルウィーの魔法で厳重に封印したヤツよ!」と言う。

 

 

「じゃあ、その封印を解けばプラエは助けられるのね!」

 

 

 ラムが嬉しそうに言うと、「やった!」とロムも飛び跳ねる。

 

続けて、「ありがとうございます! 私、いーすんさんに言って封印を解いてもらうようお願いしてみます!」とネプギアが嬉しそうに柏手を打つ。

 

しかし、伏姫はやや辛そうに黙ってしまう。

 

 

「伏姫さん、どうしたんですか?」

 

 

 ネプギアが質問をすると、「イストワールの一存で封印を解くことは出来ないでしょう。恐らく守護女神全員の許可が必要になる筈です」と伏姫が言う。

 

 

「それがどうかしたの?」

 

 

 ラムがキョトンとしたふうに問いかけると、「お姉ちゃんなら良いって言うよ(こくこく)」とロムもそう言って頷く。

 

 

「だと良いのですが……」

 

 

 伏姫がそう言うと、「大丈夫です。私、お姉ちゃん達を一生懸命説得しますから」とネプギアが力強く言い、「そうよ! お姉ちゃん達に納豆食わせてあげるわ」とラムが腰に手を当ててドヤ顔で言い放つ。

 

 

「納豆食わせるんじゃなくて、納得させるね」

 

 

 ユニが呆れながらツッコミを入れると、「ふふっ……そうですね。私があれこれ心配しても仕方ありませんね。頑張って下さい」と伏姫は言った。

 

 

***

 

 

 ゲムドラジルから戻って来たネプギア達女神候補生は、早速マジェコンヌクリスタルのことをイストワール達に説明した。

 

 

「アレを使うと言うのですか!?」

 

 

 イストワールが驚きの声を上げると、「そんなにマズいものなんですか?」とファミ通が質問をしてくる。

 

 

「はい、犯罪神の力の欠片のようなもので、もの凄い邪な念が凝縮されているクリスタルです」

 

 

 イストワールが困ったような顔で言うと、「それでも、プラエちゃんを救う為には必要なんです。お願いします!」と言ってネプギアが頭を下げる。

 

 

「確かに、犯罪組織の女神であったプラエさんの力の源と言われれば、そうなのですが、よりにもよって……」

 

 

 イストワールはそう言うと、肩を落としてため息をついてしまう。

 

 

「ダメなの(しくしく)」

 

 

 ロムが悲しそうな目でイストワールに訴えかけると、「ダメとは言いませんが、少なくとも私の一存で出来ることではありません」とイストワールが答える。

 

 

「やっぱり、お姉ちゃん達の許可が必要なのね」

 

 

 ユニがそう言うと、「はい、とりあえず各国への書状は私が書きますので、皆さんは休んでいて下さい」とイストワールは言った。

 

 

***

 

 

 その日の夜。

 

プラエは体調不良で夕食にも出れずに部屋のベッドで眠っていた。

 

 

「こほっ……こほっ……」

 

 

 苦しそうに咳き込むプラエ。

 

 

(苦しい……体が重い……プラエ、どうなっちゃうの)

 

 

 プラエがそう思っていると、部屋のドアが静かに開かれる。

 

入って来たのはトレーを持ったネプギアであった。

 

 

「ネプギアお姉さん?」

 

 

 少し驚きの表情でネプギアを見るプラエ。

 

今まで付きっきりで、あんみつが看病してくれていたので、あんみつが来たのだと思ったからだ。

 

 

「あんみつさんは、今休んで貰ってるよ。あのままじゃ、あんみつさんも倒れちゃうから」

 

 

 ネプギアはそう言いながら、ゆっくりと部屋に入って来るとベッドの側の椅子に座る。

 

同時にプラエの鼻がひくひくと動き、「美味しそうな匂い……」と呟く。

 

 

「お粥を作って来たの」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「ネプギアお姉さんのお粥食べたい!」とプラエは明るい表情を見せた。

 

 

「うん、それじゃあ。ふーふーしてあげるね」

 

 

 ネプギアはそう言うと、お粥をスプーンですくい、「ふーふー」と息を吹きかけて冷ます。

 

 

「はい、どうぞ」

 

 

 ネプギアがスプーンを差し出すと、プラエは口を開けて、「はむっ……」とお粥を食べた。

 

暫くの間、そんなやり取りをしてお粥を食べるプラエ。

 

ネプギアはその間何も言わなかった。

 

言いたい事や、言わなきゃいけないことは沢山あったが、今のプラエにはショックが大きすぎると、あんみつに口止めをお願いされているのだ。

 

 

「プラエちゃん、具合はどう?」

 

 

 ネプギアはそんな当たり障りのない話題をプラエに振ると、「ちょっと、辛いかな……」とプラエが落ち込んだように言うが、直ぐに、「でも、頑張って治すよ」と続けて言う。

 

 

「うん、私達の方でも色々と調べてるからね」

 

 

 ネプギアがそう返事をすると、「ありがとう、ネプギアお姉さん。忙しいのにごめんなさい」とプラエが謝る。

 

 

「いいんだよ。プラエちゃんの病気も汚染の原因も、治してあげるって約束したんだもの」

 

 

 ネプギアが優しい声でそう言うと、「えへへ……」とプラエが微笑む。

 

 

「どうしたの?」

 

 

 ネプギアがプラエに問いかけると、「さっきまで、苦しくて不安だったけど、ネプギアお姉さんが来てくれたら、そんなのどこか行っちゃったよ」とプラエが笑顔を浮かべる。

 

 

「ネプギアお姉さんは、プラエの特効薬だね」

 

 

 プラエが笑いながらそう言うと、「そうなんだ。それじゃあ、もっと頑張っちゃおうかな」とネプギアが言うと、右手をプラエの頭に乗せて撫で始める。

 

 

「ふわ……それ凄く気持ちいい……」

 

 

 目を細めてうっとりとするプラエ。

 

 

「よしよし……」

 

 

 優しい声で、ゆっくりとプラエの頭を撫でるネプギア。

 

 

「ネプギアお姉さんの手、凄く好き……柔らかくてあったかい」

 

 

 子猫のように甘えるプラエに、頭を撫で続けるネプギア。

 

 

「姉様の手も好きだったけど、ネプギアお姉さんの手も好き」

 

 

 プラエがそう言うと、一瞬ネプギアの右手が止まってしまう。

 

 

「ネプギアお姉さん?」

 

 

 不思議そうに問いかけるプラエ。

 

 

「ううん、何でもない。ごめんね」

 

 

 ネプギアはそう言って軽く謝ると、再びプラエの頭を撫で始める。

 

 

「姉様が見つからないこと気にしてるの? そんなのネプギアお姉さんの所為じゃないよ」

 

 

 プラエの言葉にネプギアは思わず、左手でプラエを抱き寄せてしまう。

 

 

「ふわっ?」

 

 

 驚きの声を上げるプラエに、「ごめんね、プラエちゃん、私……私……」と言ってネプギアはプラエを胸に抱きながら、頭を撫で続ける。

 

プラエの言葉にネプギアは必死に涙を堪えていた。

 

何も知らないプラエの一言が、ネプギアの琴線に触れてしまったのだ。

 

 

(私、必ずプラエちゃんを助けてみせる)

 

 

 ネプギアはそう固く誓いながら、プラエの頭を撫で続ける。

 

プラエもネプギアの雰囲気を感じ取ってか、それ以上は何も言わずにネプギアに撫で続けられ、彼女の胸に顔を埋めていた。

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