新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
ユニとロムとラムが自国に帰ってから三ヶ月。
ネプギアは、大切な友達から託されたシスティーナ地方を発展させべく奮起していた。
G.C.2020年9月7日 月曜日の午前中。
「ネプギアお姉さん、この書類のチェックできたよ」
プラエが書類の束をネプギアに手渡すと、「ありがとう、プラエちゃん」とネプギアが微笑んだ。
「ネプギアンダム、この企画書を本国のいーすんさんにFAXしておいて」
ネプギアがネプギアンダムに指示を出すと、「リョウカイシマシタ」とネプギアンダムが書類を受け取る。
それを確認したネプギアはブラインドタッチとペンネルで華麗に複数のパソコンの入力をこなしていく。
ユニ達、女神候補生の他に、イストワールとアイエフ、コンパもプラネテューヌ本国に帰っていた。
その他のメンバーは自主的にギャザリング城に残り、ネプギアに協力をしてくれた。
「やっほー、ネプギア」
ワープゲートが現れると同時に大きいネプテューヌとクロワールが現れる。
「今日もまた、つまんねークエスト片付けてやったぞ」
クロワールが心底つまらなそうに言うと、「もー、クロちゃんってばそんなこと言わないの」と大きいネプテューヌが注意する。
ネプギアはそんな二人のやりとりを見て、【くすっ】と微笑むと「ありがとうございます」とお礼を言った。
「いいっていいって。可愛い妹の頼みだしね~」
大きいネプテューヌはそう言いながらソファーに腰を下ろす。
ネプギアの執務室では、相変わらずネプギアが真面目に仕事をしており、プラエとネプギアンダムはネプギアの指示に忠実に従っていた。
「ホント、無駄に頑張るよなお前等」
クロワールが感心したように言うが、「無駄じゃないよ。ネプギアお姉さんが頑張れば頑張るだけ、システィーナの人達が豊かになるんだから」とプラエが反論する。
「そうだよ、クロちゃん。わたし達だって、その為に頑張ってるんだからさ」
大きいネプテューヌがそう言うと、「俺はお前から離れられねぇから、仕方なく付き合ってるだけだ」とクロワールが不満そうに言う。
「それにしても、発展したよね、システィーナ。ネプギアの頑張りのお陰だね」
大きいネプテューヌがそう言ってネプギアを褒めると、「システィーナに暮らす人達のお陰だよ。私は、ほんの少しお手伝いをしているだけ」とネプギアが謙遜する。
大きいネプテューヌが言う通り、システィーナは大きく発展を続けていた。
プラネテューヌ、ルウィー、ラステイションの三国を繋ぐ地理条件を持つ交易都市と、デミヒューマン達が作る珍しく不思議な武器やアイテム。それにシスティーナだけでしか練成できないギアメタル。
更に適材適所を活かしたデミヒューマンの仕事の割り当てに、システィーナの発展は留まるところを知らない。
その上、ネプギアはシスティーナの住人の信頼厚く、元々の住人は勿論、デミヒューマン達もネプギアに協力的だった。
「よしっ、今日の分のお仕事終わり」
ネプギアはそう言ってパソコンの操作を止めると、「プラエちゃん、お昼食べたらクエストに行こ」とプラエを誘う。
プラエは、「うん!」と嬉しそうに頷く。
「クエストだったら、わたしがやるよー」
大きいネプテューヌがそう言うが、「これは、女神の私宛に届けられたクエストです。私が解決しなきゃ」とネプギア言う。
「なら、付き合うよ」
大きいネプテューヌはそう言うと、ソファーから立ち上がる。
***
食堂には既に仲間達が待っていた。
「遅くなってごめんなさい」
ネプギアが慌てて席に着くと、「心配しないで。遅れていないわ」とニトロプラスが言う。
彼女の言うように昼食時間にはやや早かった。
ネプギアは全員が揃っているのを確認すると、「いただきます」と声を出す。
「ネプギア様、今日も取材させて下さいね」
ネプギアに話しかけるファミ通。
ファミ通の新コーナー、【今週のシスティーナ】は特に好評でネプギアへの協力と取材は続けられていた。
「取材なら、私も負けませんよ」
ファミ通に負けじと意気込むデンゲキコ。
彼女達が発行する、【電撃システィーナ】も好調のようだ。
「今日もシスティーナの平和を守ってきたよ」
自慢気に話を始める日本一。
それに対して、「日本一は大袈裟ですの。ただクエストを片付けてきただけですの」とがすとが呆れた声で言う。
日本一とがすとは変わらずネプギアに協力をしてくれている。
がすとはシスティーナの一等地に自分の店を出し、店の経営とネプギアへの協力を両立させてくれている。
「今日も邪神の気配は感じられなかったわ」
ニトロプラスが呟く。
彼女はシスティーナに邪神の気配を感じ、この場に残ってくれている。
「私の方も普通のモンスターだったね」
ニトロプラスの呟きにゴッドイーターが答える。
ゴッドイーターはラステイションの所属だが、帰還命令が出ていないことと、個人的にギャザリング城が気に入ったということで協力を続けてくれていた。
「あたしの方でも特に変わりはないね」
ファルコムもニトロプラスの呟きに答えた。
ファルコムは今は冒険は一時休業で、小説を執筆しながらネプギアに協力をしてくれている。
「それより犯罪組織の残党はー? ワレチュー見てない?」
ビーシャが周囲に確認をするが、皆首を横に振るだけだった。
ビーシャもワレチューを探すという目的で、ギャザリング城に残ってくれた。
「興味無いね」
ビーシャの確認に、首を横に振りながらそう言うエスーシャ。
ネプギアの前でも相変わらず興味ないオバケだが、がすとの錬金術でイーシャの肉体を蘇らす準備の為に、このギャザリング城に残っている。
「まあまあ、気長に探そうじゃないか」
ビーシャとエスーシャを仲介するシーシャ。
彼女もエスーシャに付き合い、ネプギアに協力を続けてくれた。
皆、会話を楽しみながら昼食を取っていた。
***
食事が終わり食休みをしていると、サンジェルマンが、「ネプギア様、今日のクエストを説明させていただきます」と言って一礼する。
イストワールが本国に帰った今、女神へのクエストの管理はサンジェルマンが行っていた。
ネプギアは、「お願いします」と言うと、サンジェルマンは、「今日のクエストは謎の黒いスライムの討伐です」と言う。
「黒いスライム! 無形の落とし子か!」
ニトロプラスがいち早く反応すると、「どうやら、そのようですね。油断なきようお願いします」とサンジェルマンが再び一礼する。
「ダゴンとハイドラは倒したけど、邪神の眷属は居なくならないね」
大きいネプテューヌがそう言うと、「そうですね……」とネプギアがうつむいてしまう。
今のネプギアには大きな悩みが二つあった。
一つは先程言った邪神の眷属。
もう一つは神次元のプルルートが未だにカオスアニマを手放さないこと。
何度か説得しようとしたが、ネプテューヌにはぐらかされてしまうのだ。
「確かに、いつまでも眷属ばかりを相手にしていられない」
ニトロプラスが大きいネプテューヌの言葉に同意すると、「どこかに邪神のボスがいるのかな?」とファミ通が言う。
「あんな手強いのの相手はもう御免ですの」
がすとがそう言うと、「ダメだよ、がすと! 困難に立ち向かってこそのヒーローなんだから!」と日本一が熱弁を振るう。
「それじゃあ、そろそろクエストに向かいましょう」
ネプギアがそう言うと、ネプギア達はサンジェルマンが運転する車とファミ通のワゴン車、そしてエスーシャの派手な車でクエストに向かった。
ネプギア達がクエストの現場に着くと、そこには黒いスライム、無形の落とし子達が群れをなしていた。
「かなり数が多いね」
プラエが心配そうな声を出す。
続けて、「これじゃあ、住人は近づけなくて困ってるだろうね。早く片付けてあげようよ」とファミ通が言うと、「そうですね。急いで片付けましょう」とネプギアが答える。
「ミクちゃんは攻撃力アップの歌を歌って」
ネプギアがミクにそう言うと、「わかった。頑張るね、ネギちゃん」とミクが答える。
ミクが歌い始めると、「よーし、力が湧いて来たー!」と日本一が嬉しそうにガッツポーズをする。
「それじゃ、行くよ!」
ファルコムがドラゴンスレイヤーを構えて斬り込む。
「剣魔法エクスプロージョン!」
ファルコムの縦斬りと共に爆炎が起きる。
「グオオオオオオン!」
無形の落とし子は5214のダメージを受けて悲鳴を上げる。
無形の落とし子には相変わらず魔法属性が効果的だ。
「そりゃー! サンダーレイジングラッシュ!」
大きいネプテューヌが稲妻を纏った双剣で敵を切り裂くと、無形の落とし子に5536のダメージが当たる。
「ファイアー龍昇拳!」
シーシャの炎を纏ったアッパーパンチが無形の落とし子を焼くと、5356のダメージが当たる。
「ガオオオオン!」
無形の落とし子が、反撃に体の一部を鞭のようにしならせて、シーシャを攻撃してくる。
ネプギアがシーシャの前に出て左手の防御の魔方陣を出して援護防御の体勢をとると、「アメジスト! 私に力を貸して!」と叫ぶ。
すると、ネプギアの付けている首飾りが紫色に輝く。
無形の落とし子の攻撃はネプギアの防御の魔方陣に当たるが、ダメージは191と僅かなもので、HPゲージの一割にも満たない。
ホルランド達にプレゼントされた、オーギュメント。ネプギアのものは防御能力に優れており、以前は大ダメージを受けた無形の落とし子の攻撃も弾き返す程だった。
「グオオオオオオン!」
無形の落とし子が体の一部を槍のように尖らせてファルコムを攻撃する。
今度はファミ通が、ファルコムの前に出ると、「防御なら任せて!」と両手のエビを盾にする。
無形の落とし子の攻撃はファミ通に当たると、ファミ通に425のダメージが当たり、HPゲージが三割程減少してしまう。
ファミ通はやや苦しそうな顔で、「やっぱり、ネプギア様のようにはいかないね」と言うと、「大丈夫ですか? ヒール!」とネプギアが素早くファミ通のHPを回復させる。
「ありがとう、助かったよ」
ファミ通はネプギアにお礼を言うと、再び無形の落とし子に向けて構える。
「この程度の相手に苦戦する私達じゃないわ」
ニトロプラスがそう言いながら、無形の落とし子に幻術を掛ける。
無形の落とし子は、「ゴオオオオ!」と悲鳴を上げると、ガタガタと震えだす。
「そこ! もらった! ファイヤーヒーローキック!」
震えている無形の落とし子に対して、日本一が炎を纏った飛び蹴りをお見舞いすると、5125のダメージが当たる。
更に、がすとが、「フラムですの~」とダイナマイトを投げつけると、追加で4965のダメージが当たる。
「ガオオオオン!」
日本一の攻撃の隙をついて、無形の落とし子が体の一部を鞭のようにしならせて攻撃してくる。
素早くゴッドイーターが神機の盾を構えながら、日本一を庇う。
無形の落とし子の攻撃はゴッドイーターの盾に当たり、ゴッドイーターは411のダメージを受けるとHPゲージが三割程減少する。
「ゴッドイーターさん、ヒールドリンクです!」
プラエが鎖に巻き付けたHPを回復させるドリンクをゴッドイーターに手渡す。
ゴッドイーターは、「サンキュー」とお礼を言うと素早くそれを飲み干してHPを満タンまで回復させる。
「エクサスラッシュ!」
エスーシャが雷を纏った縦斬りで無形の落とし子を攻撃すると、5125のダメージが当たり、そこにビーシャが、「援護するよ、エスーシャ」と援護攻撃をすると更に5535のダメージが当たる。
「グアアアアア!」
エスーシャに対しても攻撃してくる無形の落とし子。
槍のようになった体の一部がエスーシャに迫る。
「やらせません!」
再びネプギアが仲間を庇うと、ネプギアの首飾りが紫色に輝く。
槍のような一撃を左手の防御の魔方陣で受け止めるネプギア。
ダメージは今度も135と低く、ネプギアのHPゲージは先程の攻撃と合わせても二割も減っていない。
「良い調子です。アタッカー、タンク、ヒーラーの連携を崩さないよう攻めていきましょう」
ネプギアがそう言って仲間を鼓舞すると、「「「了解」」」と仲間達が答える。
ユニ達は居なくなったが、ネプギアは仲間達との連携を密にして、システィーナの敵と戦い続けていた。
「相変わらず、堅実って言うか地味な戦い方だなー。女神化してアーティファクト使えばあんな奴等オーバーキルだろ?」
少し遠くで見ていたクロワールがつまらなそうにネプギア達の戦いの感想を言うと、「女神化はシェアエネルギーを消費しますからな。奥の手として取っておくべきです。それにネプギア様の戦いは確実に勝利をもたらしてくれます」と隣のサンジェルマンが言う。
クロワールは、「だといいがな」と返すと、再び観戦を始める。
***
「これでラストーーーー! ハリケーンキック!!」
日本一の攻撃が最後に残った無形の落とし子を飛び蹴りで貫くと、戦闘不能になった無形の落とし子の群れが消滅していく。
「皆さん、お疲れ様でした」
ネプギアが明るい声で仲間達を労うと、「これぐらい軽い軽い」とビーシャがVサインをした。
「ミクちゃん、お疲れ様」
ネプギアがミクに向けてそう言うと、「うん。ネギちゃんの役に立てて良かった」とミクが答える。
「早速、住人のみんなに教えてあげようよ」
ファミ通がクエストを達成したことを住人に知らせようとすると、「そうだね、きっとみんな喜ぶよね」とプラエが同意する。
「ちょっと待って!」
そんな中、突然ファルコムが神妙な声を出す。
シーシャが不思議そうな顔で、「どうしたんだい?」と尋ねると、「今悲鳴が聞こえた」とファルコムが言う。
「どこですか? 助けにいかないと!」
ネプギアが慌ててファルコムに質問すると、「こっちだよ!」とファルコムが先導して進んでいく。
***
ファルコムが先導した先には逃げ惑うエルフ達が居た。
「誰かーーーーーー!」
悲鳴を上げるエルフの少女達。
その後ろには銃で武装した男達が迫っていた。
「止めないか!」
すかさずエルフの少女を庇うファルコム。
すると、銃で武装した男の一人が不機嫌そうに、「何だテメェ。デミを庇うのかよ」と言う。
「でみ?」
プラエが不思議そうに首を傾げると、「デミヒューマンの蔑称さ……」とファミ通が苦々しい雰囲気で言う。
「武器を持って、丸腰の女の子を追い回すなんて恥ずかしくないのかい?」
ファルコムは怯まずにそう質問すると、別の男が、「これは狩りだよ狩り。このゲイムギョウ界は人間のモノなのに、汚らしいデミが闊歩するようになったから狩ってるんだよ」と平然と答える。
「どうやら最低の奴等みたいね」
ニトロプラスが苦虫を嚙み潰したような顔で言うと武器を構える。
すると、ネプギアがそれを手で制する。
「ネプギア?」
ニトロプラスが不思議そうな顔をすると、「まずは説得してみましょう」と言ってネプギアが一歩前に出ると女神化する
「私は、このシスティーナを治めるパープルシスターです。何故エルフの人達に危害を加えようとするのですか?」
ネプギアが凛とした声でそう言うと、「やべぇ、女神が出て来たぞ」や、「どうするんだよオイ」と言って武装した男たちがどよめく。
「エルフも同じゲイムギョウ界で暮らす仲間です。何故、仲良くできないのですか?」
ネプギアがそう続けて言うと、「冗談じゃねぇよ。何でデミなんかと仲良くしなきゃいけねぇんだ!」と男の一人が喚くと、「テメェみたいな頭お花畑な奴が、デミを受け入れるからだ!」と言ってネプギアに向けて発砲する。
「……っ!」
ネプギアは左手で銃弾を叩き落とす。
「これは不敬罪と殺人未遂で逮捕だね」
シーシャがそう言って指をポキポキ鳴らすと、「こんな奴等に興味はないが、今の行動はいただけないな」とシーシャが言う。
「大人しくお縄につけ!」
ビーシャがそう言うと男達は抵抗するが、ビーシャ達の方が力が強く捕まってしまう。
「あの……ありがとうございます、女神様」
エルフの少女達がネプギアにお礼を言いに来ると、「怪我はありませんか?」とネプギアが優しく問いかける。
「大丈夫です。女神様が守ってくれたおかげです」
エルフの少女がそう答えると、「それは良かった。ところで、今日みたいなことはよくあるんですか?」とネプギアが質問する。
「私達をデミと呼んで追い回す集団があると言う噂は聞いてましたけど、まさか自分がそうなるなんて……」
エルフの少女が悲痛な顔でそう言うと、「大丈夫です。ギャザリング城から衛兵を呼んで送らせましょう」とネプギアは言って少女達を安心させた。
「こんなの不公平だー! このゲイムギョウ界は人間のものじゃないのかーーーー!」
捕まった男の一人が叫び声を上げる。
ネプギアはその光景を悲痛な目で見ていた。
***
その日の夜。
ゲハバーンの研究をするネプギアに、サンジェルマンが差し入れを持ってきていた。
「順調ですかな?」
サンジェルマンが質問すると、「はい、ダゴンやダークドラゴンとの戦いで外部からのエネルギー供給でもゲハバーンを起動できることがわかりましたから」とネプギアが答える。
「最終的には誰も犠牲にせずにゲハバーンの力を完璧に引き出してみせます」
ネプギアが続けてそう言うと、「流石は我が主。美しい精神でございます」とサンジェルマン丁寧に一礼する。
「ところでサンジェルマンさん、今日のクエストの件なんですけど……」
ネプギアの言葉に、「今日も素晴らしい活躍でした。もはや無形の落とし子ごとき相手ではありませんね」とサンジェルマンがネプギアを称賛する。
「そうじゃなくて、その後のことです」
ネプギアの言葉に、サンジェルマンが紅茶を注ぎながら、「エルフの少女達が追われていたことですか?」と尋ねる。
「はい、それです。どうしてあのようなことをするのでしょう?」
ネプギアが悲しそうな顔でそう言うと、「一言で言うと差別ですな」とサンジェルマン答える。
「差別……」
ネプギアがそう呟くと、「昨今のシスティーナの発展は、デミヒューマンの皆さんの力によるところが大きいです」とサンジェルマンが説明を始める。
「森の生活に優れ高い魔力を持つエルフ、屈強な肉体と高い鍛冶能力を持つドワーフ、水中で暮らせる人魚、空を住処にする鳥人、器用なホビット、巨大な体躯を持つ巨人族。どれも優れた能力です」
サンジェルマンの説明に、「それは私も自覚しています」とネプギアが答えた。
「そして、そのデミヒューマン達と強い信頼で結ばれた我が主。これで発展せぬ筈はありませぬ」
サンジェルマンが大仰な手振りでそう言うと、「それがどうして差別になるんですか?」とネプギアが質問する。
「このシスティーナの急激な発展は華々しいものがありますが、その陰で割を食った者達がいるのです」
サンジェルマンの言葉に、「割を食った者達?」とネプギアが首を傾げる。
「例えば、エルフの魔除けが優秀過ぎて、お守りが売れなくなったとか、ドワーフの作る武具が優秀過ぎて客が来なくなったとか……」
サンジェルマンの説明に、「それは……」と悲しそうに言葉を詰まらせる。
しかし、「でも、それは……」とネプギアが何か言おうとすると、「そう。やっかみ、ひがみ、逆恨み……そのようなモノに値するでしょう」とサンジェルマンがネプギアの言葉を遮るように言う。
「相手が同じ人間なら受け入れられたかもしれません。ですが、相手が少数派の異民族となると話は違ってきます」
サンジェルマンはそう言うと、「やっかみやひがみは憎悪の炎となり、相手に向けられるのです。恐らく、これが彼等のあのような行動の理由でしょう」と話を続ける。
「止めることは出来ないんでしょうか?」
ネプギアの質問に、「それは無理ですな。このような差別から始める争いは人類は何度も繰り返していますが、一向に収まる気配はありません」とサンジェルマンが冷めた口ぶりで言う。
「システィーナで、そんなことが……」
ネプギアが悲しそうな顔で俯くと、「慰めにはならないかもしれませんが、彼等はシスティーナ地方の住人ではありません」とサンジェルマンが言う。
「え?」
ネプギアが意外そうな顔をすると、「彼等はラステイションの住人でした。わざわざラステイションから出向いて、デミヒューマン達に危害を加えようと言うのです」とサンジェルマンが答えた。
「でも、何でそんなことが……」
ネプギアが再び悲しそうな顔で俯くと、「システィーナの急激な発展で一番割を食っているのはラステイションの商人達でしょう。その中でも特に質が悪い者が集まって、あのような行動に出たのです」とサンジェルマンが説明する。
「ネプギア様、システィーナを発展させる為、デミヒューマン達を守る為、迷いは厳禁でございます。システィーナを発展させられるのもデミヒューマンを守れるのもネプギア様をおいて他におりません」
サンジェルマンの忠告に、「それは分かっているつもりです……」とネプギアが答える。
「おっと、執事ごときが出過ぎたことを言ってしまいましたね。お許しを」
サンジェルマンがそう言うと、「いえ、参考になりました。ありがとうございます」とネプギアが答える。
「そうですか。それでしたら幸いです」
サンジェルマンはそう言いながらネプギアの部屋を出て行った。
「差別か……」
ポツリと呟くネプギア。
ネプギアの中で新たな悩み事が生まれたのだった。