新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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059インフィニットシェアクリスタル

 ミリオンアーサーに言われてギャザリング城の広間に仲間を集めたネプギア。

 

 

「これで全員です」

 

 

 ネプギアがミリオンアーサーに向かってそう言うと、「分かった。まずは紹介したい子がいる」とミリオンアーサーが言う。

 

するとチーカマが、「みんな入って来ていいよ」と扉に向かった言う。

 

扉が開くと二人の女の子と、見覚えのある鳥型のマスコットキャラクターのような物が浮いていた。

 

 

「イクスっ!」

 

 

 ユニが鳥型のマスコットを睨む。

 

 

「待ってユニちゃん、色が違うよ! あと微妙にフォルムも違うし」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「ホントだわ……」とユニが落ち着きを取り戻す。

 

鳥型のマスコットは、確かにイクスに似てはいるが細部が違う上に色が白かった。

 

 

「やーん、いきなりバチバチの殺気向けられるとか、イクスの奴、相変わらず恨まれてるなー」

 

 

 鳥型のマスコットがそう言うと、「当然よ、あれだけのことをしているのだから」女の子一人が言う。

 

その女の子は白いミディアムヘアーでオフショルダーの灰色のワンピースを着ている落ち着いた雰囲気の子だ。

 

 

「私だって、イクスの事は許せないよ! イクスとニャルラトホテプの所為で、ぴーし大陸は……」

 

 

 もう一人の女の子が怒りを込めた声で言う。

 

ピンク色の髪をポニーテールにしてジャケットを羽織った活発そうな女の子だ。

 

 

「落ち着くのだ、マホ。そのことを解決する為にも、ネプギア達に話を聞いてもらう必要がある」

 

 

 ミリオンアーサーがそう言うと、「まずは自己紹介ね」とチーカマが言う。

 

すると、落ち着いた雰囲気の女の子が一歩前に出て、「私の名前はアンリ。ぴーし大陸から来たわ」と簡潔な自己紹介をする。

 

続いてマホと呼ばれた活発そうな女の子が、「私の名前はマホ。ぴーし大陸の女神候補生です」と自己紹介をする。

 

 

「女神候補生? ぴーし大陸の?」

 

 

 ネプギアがそう言って首を傾げると、「その辺は追い追い話そう」とミリオンアーサーが言う。

 

 

「あたいの名前はクリス、よろしくー」

 

 

 白い鳥型のマスコットが自己紹介をすると、「それでは話を始めようか」とミリオンアーサーが言う。

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 ネプギアが真剣な声で言う。

 

 

「約二ヶ月前のことだ。ぴーし大陸にも女神候補生が居ると言う極秘情報を掴んだわたしはハスハ……もといどんな物か一目見ようと、ぴーし大陸を訪れたのだ」

 

 

「今、ハスハスって言おうとしなかった?」

 

 

 チーカマが冷めた視線をミリオンアーサーに向けると、「き、気のせいだ」とミリオンアーサーが焦りながら言う。

 

 

「こほん……しかし、わたしがぴーし大陸で見たものは、荒れ果てた街とカオス化した住人や暴れるモンスター達とそれを必死で止めようとする女神候補生達だった」

 

 

 ミリオンアーサーの言葉に、「カオス化!? もしかしてイクスが?」とネプギアが質問をすると、「それに女神候補生達って、マホさん以外にもぴーし大陸の女神候補生がいるの?」とユニが続けて質問をする。

 

 

「うむ、事件の元凶はイクスとニャルラトホテプだ。そして、ぴーし大陸にはマホを含め五人の女神候補生が居る。イクロス、エクペス、アロース、ダルク……どれも可愛らしい子でな……」

 

 

 ミリオンアーサーがそこまで言うと、「ア~サ~!」とチーカマが冷めた視線をミリオンアーサーに向ける。

 

 

「ごほんごほん……わたしは勿論、女神候補生に加勢したのだが、イクスとニャルラトホテプには逃げられてしまった」

 

 

 ミリオンアーサーがそう言うと、「ねー! ねー! ミリアサ。さっきから出て来る、にゃるなんとかってなに?」とラムが質問をする。

 

 

「うむ。わたしも詳しくは知らないが……」

 

 

 ミリオンアーサーがそこまで言うと、「ここから先は私が説明します」とマホが手を上げる。

 

するとアンリが、「大丈夫? マホ」と心配そうな声で言うが、「これは私が説明しなきゃいけないことだから」とマホが答える。

 

 

「きっかけは G.C.2012年。ぴーし大陸がシェアエネルギー不足で、私の姉が自らを犠牲にして眠りについたことから始まります」

 

 

 マホがそこまで言うと、「待って下さい。ぴーし大陸は、この大陸よりもずっと古くから女神による統治が始まっていて。シェアエネルギーの活用でも先んじていたはずです。そのぴーし大陸がシェアエネルギー不足なんて何が起きたのですか?」とイストワールが質問をする。

 

 

「そうですね。まずは、ぴーし大陸がおかれている窮状についてお話しなければならないですね」

 

 

 マホはそう言うと一呼吸置いてから、「そのシェアエネルギーの活用こそが原因だったのです。シェアエネルギーの力で大いに発展したぴーし大陸は、その実、シェアに頼り過ぎていたとも言えます」と話を続ける。

 

それを聞いたロムが、「シェアエネルギーの活用って?」と隣のネプギアに質問をすると、「ルウィーを寒さから守ったり、ルートビルドの道が速く移動出来たりすることだよ」とネプギアが答える。

 

 

「時代が移り変わるに、プラネテューヌなどが存在するこの大陸が台頭し、ぴーし大陸は次第にシェアを失っていきました」

 

 

 マホの説明に、「ねぇねぇ、たいとーってなに?」とラムがネプギアに質問をすると、「今まで目立たなかった人が目立ったり強くなったりすることだよ」とネプギアが答える。

 

すると、「この大陸のゲームの技術がもの凄い速さで、ぴーし大陸に追い付いて行ったのです。それにより、ぴーし大陸のシェアが減少したのでしょう」とイストワールが付け加える。

 

 

「この大陸でも昔はシェアの取り合いしてたんだよね?」

 

 

プラエがそう言うと、「そうよ。昔と言うよりつい最近までお姉ちゃん達はシェアの取り合いだったんだから」とユニが答える。

 

 

「そう。だから守護女神様はこの大陸を頼るに頼れなかった」

 

 

 ニトロプラスの言葉に、「そう言えば、ニトロプラスはぴーし大陸の出身だったね」とゴッドイーターが答える。

 

 

「そしてその打開策として、私はISクリスタルを作った。それが大きな過ちであるとも気付かずに……」

 

 

 マホが俯きながら辛そうに言うと雰囲気を察したのか全員が静かになる。

 

 

「シェアエネルギーに頼り過ぎた国はシェアが不足すればあらゆる機能が止まってしまう。重要なインフラが止まれば国民の命すら危うくなる。私の姉であり、ぴーし大陸の守護女神は、自らのシェアエネルギーを分け与えることで、それに対処しました。シェアを分け与えるため、姉は自分の生命活動すら最小限に抑えることにしました。そうして、ぴーし大陸の守護女神は眠ったまま国を維持するだけの動力源のような状態になってしまいました」

 

 

 マホの説明に、「お姿をお見せしないとは思っていたけど、そんなことになっていたなんて……あたし達がもっと力になれていれば……」とニトロプラスが悔しそうに呟く。

 

 

「しかし、そんなことをしては命に関わります」

 

 

 イストワールの言葉に、「はい、姉もわかっていました。それでも、国民を守る為にはそうせざるを得なかったのです」とマホが答える。

 

 

「命をかけてでも守りたい物がある。その気持ち分からなくもない」

 

 

 エスーシャがそう言うと、「そうだね。イーシャも同じような気持ちだったんだろうね」とシーシャが答える。

 

 

「なんとかしようと思わなかったの?」

 

 

 ビーシャがそう質問をすると、「もちろん、あらゆる手を尽くしました。なんとかシェアを回復する方法を探していた時に、私に接触してきた人物がいました。それがイクスとニャルラトホテプです」

 

 

「それが、G.C.2012年なんだね」

 

 

 ファミ通がそう言うと、「はい、二人は私にあるものの開発を持ちかけてきたのです」とマホが言う。

 

するとデンゲキコが、「それってさっき言った、ISクリスタルですか?」と質問をする。

 

 

「その通りです。ISクリスタル、正式にはインフィニットシェアクリスタルと呼ばれるそれは、自らシェアエネルギーを吸収し成長する究極のシェアクリスタルです」

 

 

「インフィニットシェアクリスタル……。自らシェアを集めるなんて、そんなことができるんですか?」

 

 

 ユニが質問をすると、「簡単ではありませんでしたが、技術や資金は潤沢に提供されていたので、何とか開発にこぎつけました。シェアクリスタルの精製法だけでなく、小ぶりな失敗作でしたが、実物すらも二人は提供してくれました」とマホが答える。

 

 

「シェアクリスタルの精製法や実物まで……イクスとニャルラトホテプは一体何者なのでしょうか……」

 

 

 イストワールがそう言うとマホは首を左右に振り、「分かりません……今さらですが、私はなんて危険な方々に協力してしまったのか……」と懺悔するように呟く。

 

 

「インフィニットシェアクリスタル……ISクリスタルと呼んでいるそれは、人々からシェアエネルギーを吸い上げ、持ち主に無限のエネルギーをもたらす……その力が、イクスの持つをカオスアニマと同調し、一瞬にしてぴーし大陸を全土をカオス化してしまいました」

 

 

「まさか、ぴーし大陸がそんなことになっているなんて……」

 

 

 マホの説明に驚きと悲しみの入り混じった声を上げるニトロプラス。

 

 

「カオス化の浸食は今もなお続いていて、私以外の女神候補生も戦いの中でカオス化してしまいました」

 

 

 マホが辛そうに言うと、「マホさん達は大丈夫だったの?」とアイエフが質問をする。

 

すると、「そこであたいの出番だよー」とクリスが楽しそうに飛び回って自己主張をする。

 

 

「うむ、クリスのおかげでわたしも命拾いした」

 

 

 ミリオンアーサーがそう言うと、「どういうことですか~?」とコンパが首を傾げる。

 

 

「あたいには、カオスエナジーを吸収する力があるんだ。そいつでカオス化する寸前のミリアサとマホとアンリを正気に戻したんだ」

 

 

 クリスの説明に、「簡単に言ってくれるけど、アンタ何者なのよ?」とユニが不審な物を見るような目で尋ねる。

 

 

「あたいは、とある事情でイクスを追ってるんだ。それ以上は企業秘密ってことで」

 

 

 クリスが軽いノリで言うと、「……信用できないわね」とユニが言うが、「まあまあ、敵の敵は味方と言うではないか」とミリオンアーサーがフォローする。

 

 

「話の流れからして、ISクリスタルはイクスとニャルラトホテプが持ち去ったと見ていいのかな?」

 

 

 ファミ通がそう質問すると、「はい、その通りです」とマホが答える。

 

 

「二人の目的はなんでしょうか?」

 

 

 あんみつがそう言うと、「ゲイムギョウ界全てをカオス化するとか?」とデンゲキコが答えるが、「いえ、イクスはぴーし大陸をカオス化させたのは遊びだと言ってました。そしてニャルラトホテプが言ってました、ISクリスタルはクトゥルフの復活に使わせて貰うと」とマホが答える。

 

 

「なるほど……それで我が主にISクリスタルを取り戻すのに協力して欲しいと言うことですかな?」

 

 

 サンジェルマンの答えに、「うむ、わたし達三人では心もとない。出来れば協力して欲しい」とミリオンアーサーが言う。

 

 

「お願いします! あんな物を作ってしまった私が言える義理じゃないのは分かってます!」

 

 

 マホがそう言って思いっきり頭を下げると、ネプギアはマホの肩に右手を置いて、「頭を上げて下さい」と優しい声で言う。

 

マホが恐る恐る顔を上げると、そこには少し悲しい表情をしたネプギアの顔があった。

 

 

「あんな物なんて言わないで下さい。ISクリスタルはマホさんがお姉さんやぴーし大陸の人の為に一生懸命作った物です。私はマホさんにもISクリスタルにも罪は無いと思います。悪いのはそれを悪用しようとする、イクスやニャルラトホテプです」 

 

 

 ネプギアがそう言うと、「……ネプギア……さん」とマホがネプギア顔をじっと見つめる。

 

 

「この大陸にもゲハバーンと言う女神を殺して力を増す魔剣と呼ばれる剣があります。でも、その剣を作ったエルデさんはゲイムギョウ界を、大切な物を守る為に一生懸命だったんです。私は彼女の意志を継いでゲハバーンをゲイムギョウ界を守る剣にしようと日々努力しています」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「ISクリスタルも使い方を誤らなければ素晴らしい発明だと思います。だから協力します。いえ、協力させて下さい。ゲイムギョウ界の未来の為に」

 

 

 そう言いながらネプギアはマホを優しく抱きしめる。

 

 

「辛かったよね……お姉さんが助けられなくて、私も同じような経験があるから分かるよ」

 

 

 ネプギアはそう言って、マホの背中を優しくポンポンと叩くと、「うっ……うっ……」とマホが嗚咽を漏らす。

 

 

「あと、マホさんに一つだけ覚えておいて欲しいことがあるの。ISクリスタルは人々からシェアエネルギーを吸い上るって言うけど、シェアエネルギーは吸い上げるものじゃないよ。シェアエネルギーは愛情や感謝の気持ち。人と女神がお互いに与え合う関係なの、それを忘れちゃダメだよ」

 

 

 ネプギアが優しく言い聞かせるように言うと、「……うん……うん……」とマホはしきりに頷いていた。

 

 

「やっぱり、ネギちゃんは優しいね」

 

 

 ミクがそう言うと、「……ネギちゃん?」とマホが不思議そうな声で言う。

 

 

「ミクちゃん専用の私のあだ名なの。他の人はギアちゃんとかって呼ぶのに」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「響きが好きなの」とミクがドヤ顔で言う。

 

 

「じゃ、じゃあ! 私もネプギアちゃんのことあだ名で呼んでいい?」

 

 

 マホの言葉に、「え? ちゃん?」と思わず首を傾げるネプギア。

 

 

「あっ! ご、ごめん……なさい。初対面なのに気安い……かったですよね」

 

 

 マホがたどたどしく言うと、「ううん、全然大丈夫だよ。じゃあ、私もマホちゃんって呼ぶね。同じ候補生同士仲良くしようね」とネプギアが笑顔で答える。

 

 

「あ、ありがとう……じゃあ、【ぎあちー】って呼んで良い?」

 

 

 マホが恐る恐る提案すると、「うん、いいよ。よろしくね、マホちゃん」とネプギアが答える。

 

 

「それじゃあ、アタシもアンタのことマホって呼ぶわ。いいわよね?」

 

 

 ユニが腕組みしながらそう言うと、「うん、勿論だよ。ゆにちー」とマホが笑顔で言う。

 

 

「はいはーい! わたしもマホちゃんにあだ名で呼んで欲しいー」

 

 

 ラムが左手を上げながら言うと、ロムも、「わたしも呼んで欲しいな(もじもじ)」と言う。

 

 

「らむちー、ろむちー、これからよろしくね!」

 

 

 マホが嬉しそうに言うと、「あれ? そう言えば、どうしてみんなの名前知ってるの? プラエ達自己紹介はまだなのに」とプラエが小首を傾げる。

 

 

「この子は、あなた達、この大陸の女神候補生のファンなのよ」

 

 

 アンリが少し意地悪そうにそう言うと、「わー! アンリぃ~! それオフレコだってば~!」とマホが慌てた声を上げる。

 

 

「そうなんだ。それじゃあ、プラエとおんなじだね。マホお姉さん、プラエのこともあだ名で呼んで欲しいな」

 

 

 プラエがそう言うと、「うん! よろしく、ぷらちー!」とマホが嬉しそうに答えた。

 

それを見ていたアンリは、「あの子のあんな笑顔、久しぶりと言うか初めて見るわね」と嬉しそうに言うと、「うむうむ。良きかな良きかな。やはり美少女には笑顔が似合う」とミリオンアーサーが嬉しそうに言う。

 

 

「ところで、さっきから気になってるんだけど、G.C.2012年って現実世界とゲイムギョウ界の時間の流れが同期して邪神の復活が始まるって年だよね? ってことはイクスとニャルラトホテプは邪神の関係者の可能性があるんじゃないかな?」

 

 

 ファミ通の言葉に、「イクスは分かりませんが、ニャルラトホテプは去り際に自分の事を邪神と言っていました」とアンリが答える。

 

 

「私も気になることがあるんですけど、ISクリスタルでクトゥルフを復活させるのってどれぐらい時間がかかるんですか?」

 

 

 デンゲキコの質問に、「それは私にも分からないわ。ただ、ぴーし大陸のカオス化でかなりのエネルギーを使ったから、暫く時間はかかると思う」とアンリが答えた。

 

 

「クトゥルフも邪神、ニャルラトホテプも邪神……両方とも必ず滅してみせるわ」

 

 

 ニトロプラスが怒りを込めた声で言う。それは自分の故郷を壊された怒りだった。

 

 

「ふむ……いきなり戦争状態になった上に邪神と戦うか。どうやら僕はとんでもないところに就職してしまったみたいだね」

 

 

 松下コウが眼鏡を右手で押し上げながら言うと、「退職しますかな?」とサンジェルマンが微笑みながら聞くと、「まさか。これぐらいの経営難何度も乗り越えて来たさ。【困難に直面するとかえって心が躍り、敢然と闘いを挑んで、これを打破する】、僕の好きな言葉の一つだ」と松下コウが答える。

 

 

「頼もしいですな。しかし、天は我が主に困難ばかり押し付ける」

 

 

 サンジェルマンが大げさに嘆く振りをすると、「それを支えるのが私達の役目です。皆さん、期待していますよ」とイストワールが言うと、全員が大きく頷いた。

 

 

***

 

 

 神次元からのエクソダスを受け入れてから数日。 

 

G.C.2021年2月12日 金曜日。

 

戦争状態の中、システィーナの街は活気づいていた。

 

この数日の間にネプギア達や冒険者達が狩ってきた魔物料理の一部を無償で振る舞うと言うのだ。

 

 

「はい、よく噛んで食べて下さいねー」

 

 

 ネプギアが男性の信者に、魔物料理の乗ったトレーを手渡すと、「ありがとうございます。女神様!」と言って男性は大袈裟に感謝をした。

 

 

「熱いから気を付けて」

 

 

 ユニが女性の信者に、同じく魔物料理の乗ったトレーを手渡すと、「ありがとうございます、ありがとうございます」と女性は何度もお辞儀をする。

 

 

「ちょっと形は悪いかもだけど、美味しいわよ」

 

 

 ラムが男性の老人に魔物料理のトレーを手渡す。

 

老人は、「女神様に施していただけるなんて感激じゃ~」と感涙する。

 

 

「残さず食べなきゃダメだよ」

 

 

 ロムが女の子の信者に魔物料理のトレーを手渡す。

 

女の子は、「はい、ロム様」と元気よく返事をした。

 

 

 ルートビルド計画の時の炊き出しのように、配給所にいる女神候補生達が配る魔物料理は好評を博していた。

 

 

「凄い活気……」

 

 

 ネプギア達の後ろで料理をしながらプラエが驚く。

 

ギャザリング城のメンバーはルートビルド計画の時の炊き出しのように後ろで料理をしていた。

 

プラエに対して、「そうですね。これもネプギア殿達の人気なのでしょう」と答えるあんみつ。

 

 

「街の人達も嬉しそう」

 

 

 プラエが街の人々を見ながら呟く。

 

 

「少し遅れましたけど、エクソダスをしてきた人達の歓迎会を兼ねていると言っていましたしね」

 

 

 今度はフィナンシェが答える。

 

ネプギア達の対応により、先住民とエクソダスしてきた人達でのいさかいは、まったくと言っていい程起きなかった。

 

既に先住民も、神次元のプラネテューヌの人々を同じ女神候補生信者の同志として認め合っていた。

 

 

「これなら、上手くやっていけそうね」

 

 

 アイエフが安心したような声で答えると、「みんな仲良しです~」とコンパがそれに続く。

 

 

「わたしも、エクソダスの手伝いをした甲斐があるよ」

 

 

 大きいネプテューヌが自慢気に言うと、「それにしても、よく無事だったわね、あなた」とニトロプラスが質問にする。

 

すると大きいネプテューヌが、「ドSのお姉さんに、かなり酷い目に遭ったけど、なんとかね。でも、そのお陰でエクソダス出来たんだし、わたしってば持ってるよね~」と言ってサムズアップをする。

 

 

「いつも言ってるが、次元移動は俺の力だぞ」

 

 

 クロワールがつまみ食いをしながら文句を言うと、「ちょっと、クロワール! つまみ食いしてないで手伝ってよー!」と日本一が文句を言う。

 

 

「俺が手伝える訳ねーだろ。アホか」

 

 

 クロワールは日本一を馬鹿にしたように言うと、あっかんベーをする。

 

確かに小さなクロワールは料理の手伝いに向いていない。

 

 

「ネプテューヌ、クロワールはノートにしまっておくですの」

 

 

 がすとが不機嫌そうに言うと、「そうだねー。悪い子はしまっちゃおうねー」と大きいネプテューヌが悪そうな声を出す。

 

 

「げっ、冗談だって! 悪かったって!」

 

 

 慌てて謝るクロワール。

 

大きいネプテューヌは腰に手を当てて、「しょうがないなー」と言う。

 

何とか許して貰えたようだ。

 

 

「魔物料理ってだけで引かれるかと思ったけど、好評で良かったよ」

 

 

 ファルコムがそう言うと、「今週のシスティーナの記事はこれで決まりだね」とファミ通は嬉しそうにメモを取りながら料理をするとその隣で、「ふっふっふ……来月号の電撃システィーナはバカ売れだぞー」とデンゲキコが笑う。

 

ビーシャが、「こんな状態でも本は売れるの?」と質問すると、「好評だよ。今は全世界がシスティーナに注目してるしね」とファミ通はそう言いながらネプギア達の写真を撮る。

 

 

「……突如変容したプラネテューヌに、それに抵抗するシスティーナ、世界中の注目の的だね」

 

 

 ゴッドイーターがそう言うと、「興味無いね」とエスーシャが言うが、「いや、あたし達、その渦中にいるから……」とシーシャがツッコミをする。

 

 

「嬢ちゃん達、元気じゃのぉ」

 

 

 配給の列に並んでいたホルランドがネプギアを褒める。

 

配給には勿論、デミヒューマンも並んでおり、エルフやドワーフ達もネプギア達の施しに感謝していた。

 

 

「あなた達の働き様には頭が下がるわ」

 

 

 ホルランドの連れのルルドがそう言うと、「システィーナの人達の為ですから、私なんでもしますよ」とネプギアが微笑みながら答える。

 

 

「おほーーーー! 何でも? 何でもって言っちゃった今? ワシねネプギアちゃんにやってほしいこと、いっぱいあるんじゃ!」

 

 

 隣に居たオーディンが突然興奮する。

 

しかし、ユニに、【スコーーーン】とおたまで殴られると、以前のように簀巻きにされてしまう。

 

 

「魔物の料理って言うから、どんなものかと思ったけど、案外美味しいものね」

 

 

 ビィトリットの言葉に、「喜んで貰えてよかったです」とネプギアが答える。

 

その後も、トールにヘイムダル、スルトにフレイ等の各族長も配給に訪れネプギアと友好的な話をしていった。

 

 

「ネプギアさん、そろそろライブの時間です。後のことは私達に任せて準備を始めて下さい」

 

 

 配給所に訪れたイストワールがそう言うと、「わかりました。みんな行くよ」とネプギアが女神候補生とプラエに声を掛ける。

 

この配給に合わせてネプギア達は無償ライブの開催も計画しており、その時間が近づいてきたのだ。

 

 

***

 

 

 暫くして、仮設ステージに登るネプギア達【グランプリ・ユナイテッド】。

 

 

「みんなーーーーー! 今日は来てくれてありがとーーーー!」

 

 

 ミクがマイクで大声を上げると、客席から、「「「「おおおおおおおお!!!!」」」」と歓声が沸き起こる。

 

合わせて客席に向けて手を振るネプギア達。

 

 

「今日はシスティーナの人達の友好と発展を願って、思いっきり歌っちゃうよーーーー!」

 

 

 ミクのマイクパフォーマンスに、大きな歓声を上げる観客。

 

 

「それじゃあ、一曲目!」

 

 

 ミクが叫ぶ。

 

こうして、グランプリ・ユナイテッドのチャリティーライブが始まった。

 

 

「ぎあちー、ゆにちー、ろむちー、らむちー、ぷらちー! L.O.V.E! L.O.V.E!!」

 

 

 観客席ではマホが自作の法被と鉢巻を身に着けて、ネプギア達をペンライトで一生懸命応援してた。

 

 

「元気になったのはいいけど、羽目を外し過ぎじゃないかしら?」

 

 

 マホが呆れ顔で応援しているマホを眺めると、「良いではないか。グランプリ・ユナイテッドは尊いぞー!」とミリオンアーサーが笑いながら言う。

 

 

「システィーナ……女神様を中心に一つにまとまった良い国だね。信者は家族と言ったところかな」

 

 

 舞台裏の松下コウがそう言うと、「システィーナはネプギア様達が、女神として統治者として、そしてアイドルとして、皆に慕われています」とサンジェルマンが答える。

 

 

「この国は必ず守らなければ」

 

 

 松下コウが眼鏡を押し上げながらそう言うと、「まだ国と言える規模ではありませんが、この灯は消させません。例え相手がプルルートさんと言えど」と神次元のイストワールが言う。

 

イストワールはそんな三人を見て、「皆さん、よろしくお願いします」と頭を下げた。

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