新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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060ボークを倒せ

 魔物料理の配給とチャリティーライブから数日後。 

 

G.C.2021年2月24日 水曜日。

 

ギャザリング城に設けられた【ゲーム機研究室】では、ユニとエレノアが会話をしていた。

 

 

「そう、上手く行ってるのね」

 

 

 ユニがそう言って確認をすると、「お任せ下さい、ユニ様」とエレノアが自信満々に答える。

 

ゲーム機研究室とは、ラステイションから亡命してきた、U.N.Iの開発チームと元神次元のプラネテューヌのネープギア開発チームの人達のシスティーナでの就職先だ。

 

他にもイストワールの雇用対策の中に、ゲームが作れる希望者を募っている。

 

 

 そこにネプギアが現れると、「ユニちゃん、エレノアちゃん、何してるの?」と質問をする。

 

 

「システィーナで作るゲーム機のことを相談してたのよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「今のところ順調です。ネープギアに完全対応させた新しい携帯ゲーム機、必ず作ってみせます」とエレノアが自信を持って言う。

 

二人の言うように、ココでは今、エレノアが中心になって新しい携帯ゲーム機の製作を進めている。

 

元はプラネテューヌの計画だったが、戦争状態になってしまった為、システィーナ単独での計画になっている。

 

 

「これでお姉ちゃんを、あっと驚かせてあげるわ」

 

 

 ユニが腕組みしながら言うと、「ノワールさんのことまだ怒ってるの?」とネプギアが悲しそうな声で問いかける。

 

その言葉に、ユニは、「うっ……」とたじろいてしまう。

 

 

「……正直今は頭も冷えてお姉ちゃんの言うことも、分からなくないって思えるわ」

 

 

 ユニはしおらしくそう言うが、そこまで言うと目を吊り上げて、「でもね、アタシにも意地とプライドがあるの! このまま引き下がるなんてできないわ」と言う。

 

ネプギアは未だ悲しそうに、「でも、姉妹なんだから仲直り出来る内は仲直りした方がいいよ……私にみたいに戦争なんてなったら……」と言う。

 

 

「ネプギアの気持ちは分かるし、アンタの状況には同情するけど……」

 

 

 ネプギアの胸中を察したユニは、やや苦しそうにそこまで言うと、「でも、これだけは譲れないのよ」と言ってネプギアから目を背ける。

 

 

「そっか。ゴメンね、ユニちゃん」

 

 

 ネプギアはそう言って無理して微笑みながら謝ると、「アタシの方こそ、ワガママ言ってゴメン」とユニも謝る。

 

 

「部長。質問があるんですけど」

 

 

 アンリがエレノアに話しかけると、「はい、どこですか?」とエレノアが答える。

 

するとアンリの後ろに居たマホがネプギアとユニに気付くと、「あっ! ぎあちー、ゆにちー」と笑顔を見せる。

 

 

「マホちゃん、どう? 部署には慣れた?」

 

 

 ネプギアがそう尋ねると、「うん、みんな優しいし仕事は楽しいし、めっちゃ幸せー」とマホが嬉しそうに答える。

 

 

「マホって初めて会った時から随分印象が変わったわよね」

 

 

 ユニがそう言うと、「あーしも色々あったからね」とマホが答える。

 

 

「あーし?」

 

 

 ネプギアが不思議そうに小首を傾げると、「私のことを言うんだよ。ぴったりじゃない? あーし」とマホが楽しそうに言う。

 

 

「うん、そうだね。マホちゃんにピッタリだと思う」

 

 

 ネプギアがそう言って同意すると、エレノアと話を終えたアンリが、「ネプギア、あなたには感謝しているわ。私達に協力してくれる上に仕事まで紹介してくれて」とネプギアに向けて言う。

 

 

「こちらこそ。アンリさんとマホちゃんの知識と技術はとっても役に立ってるって聞いてますから。ね? エレノアちゃん」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「はい、お陰様で新しい携帯ゲーム機の開発も一歩進みました」とエレノアが答える。

 

 

「いやー、お給料が入るっていいよね。ガチャ回し放題だし!」

 

 

 マホが楽しそうに言うと、「ふぅ……無駄遣いは程々にね」とアンリがため息交じりに注意する。

 

 

「あーしが悪いんじゃないよー、仕事しないピックアップが悪いんだよー!」

 

 

 マホが口を尖らせて抗議すると、「それにしても、凄いわね。ネープギア、こっちの大陸にはこんなものまであるのね」とアンリが話を変えてくる。

 

 

「そうそう、凄いよねー。殆どぎあちーが作ったって言うじゃん。女神で可愛くて、ソフトにもハードにも強い上に優しいとか、どんだけハイスペなのぎあちー? SSRの中でも低排出率の上に当たりキャラって感じだよね」

 

 

 マホが嬉しそうにネプギアを褒めると、「マホちゃんだって凄いよ。ISクリスタルの資料見せてもらったけど、凄い発明だよ」とネプギアもマホを褒める。

 

 

「ありがとう、ぎあちー。出来れば戦いの方でも役に立ちたかったんだけど、まだ女神化できないみたい……」

 

 

 マホが残念そうに言うと、「仕方ないよ。ぴーし大陸はシェアが減少しちゃった上に大陸全土がカオス化しちゃったんじゃ、女神化に必要なシェアも足りないと思うし」とネプギアが答える。

 

 

「戦いの方はアタシ達に任せておきなさい。イクスもニャルラトホテプも倒してみせるわ」

 

 

 ユニが腕組みしながら言うと、「ありがとう、ぎあちー、ゆにちー」とマホがお礼を言う。

 

 

そこへロムとラムが走って来ると、「たいへんたいへん! プラネテューヌが攻めてきたわ!」とラムが言い、「緊急事態(おろおろ)」とロムが言う。

 

 

「ユニちゃん、出撃しよう」

 

 

 ネプギアが気を取り直してそう言うと、「ええ」とユニも頷く。

 

 

***

 

 

 ネプギア達はギャザリング城の会議室に集合していた。

 

 

「以上が敵の情報です」

 

 

 サンジェルマンがプラネテューヌ軍の情報を全員に向けて伝えると、「また、わたし達がやっつけてくるわ」とラムが言い、「うん、やっつけるよ!」とロムがそれに続く。

 

それに対して、アレスター家のレイが立ち上がると、「いえ、先鋒は我々にお命じ下さい」と言って一礼する。

 

 

「勝算はあるのですか?」

 

 

 イストワールが質問すると、「ございます。今までのネプギア様からの温情で我が軍の士気は非常に高い状態です。それに対して圧政を敷いているプラネテューヌ軍の士気は決して高いとは言えません、必ず勝利してみせましょう」とレイが言う。

 

 

「わかりました。お任せします……いいですね? ネプギアさん」

 

 

 イストワールの言葉に、「でも、危なくないですか? やっぱり、私達が戦った方が……」とネプギアが言いかける。

 

すると、「私達に御恩を返させて下さい。ネプギア様達の為に戦いたいのです」と今度はユリィが立ち上がる。

 

 

「女神様は最後の手段です。まずはレイさん達を先鋒に出して様子をみましょう」

 

 

 イストワールが更にそう言うと、「わかりました。ですけど、私達も出来るだけ援護します」とネプギアが言う。

 

 

「それではレイさん、先鋒をお願いします」

 

 

 イストワールがそう命じると、「ははっ! ありがたき幸せ」とレイが頭を下げた。

 

 

「あたし達も先鋒の軍に加わるよ」

 

 

 ファルコムがそう言うと、「先陣は武門の誉れ! 正に正義のヒーローにピッタリだね!」と日本一がポーズを決める。

 

更にビーシャが、「一番槍は貰ったよ」と言うと、「ビーシャのはバズーカですの」とがすとが呆れる。

 

 

***

 

 

 システィーナから南に二十キロメートル程行った場所で、システィーナ軍とプラネテューヌ軍が睨み合う。

 

 

「かなりの数がいるな……数の上ではこちらが不利だな」

 

 

 エスーシャが双眼鏡を眺めながら呟く。

 

すると、シーシャは指をポキポキ鳴らし、「腕が鳴るね。不利な状況ほど燃えてくるよ」と言ってニヤリと笑う。

 

 

「戦争なんて、犯罪組織との戦い以来です~」

 

 

 コンパがそう言って震えると、「大丈夫よ。コンパは負傷者の手当てに集中してちょうだい」とアイエフが言う。

 

 

「動いた!」

 

 

 エスーシャの言葉通り、プラネテューヌ軍の歩兵が動く。

 

それを見たレイは、「早すぎるな。数を頼みに何も策を講じてないと見た」と言ってニヤリと笑う。

 

 

「各部隊へ! 敵の動きは予想通りだ! 迎え撃て!」

 

 

 レイの号令と共に、システィーナ軍もプラネテューヌ軍を迎え撃つ。

 

 

「雑魚どもめ……流血のバッドエンド!」

 

 

 ニトロプラスの幻術に、「ああああああああ!」と悲鳴を上げるプラネテューヌ兵。

 

ニトロプラスはその隙に、プラネテューヌ兵を切り刻む。

 

 

「戦場の記者の力見せてあげるよ!」

 

 

 ファミ通は最前衛に赴くと、エビを構えて防御態勢を取る。

 

プラネテューヌ兵の放った銃弾がファミ通のエビに弾かれる。

 

 

「そーれ! もらったー!」

 

 

 ファミ通を盾に、大きいネプテューヌが双剣を構えて、プラネテューヌ兵に向けて振り回す。

 

 

「ぐわーーーー!」

 

 

 戦闘不能になるプラネテューヌ兵。

 

 

「ファミ通さんばかりにいいカッコはさせませんよー!」

 

 

 デンゲキコがそう言いながらペン型の武器でプラネテューヌ兵を攻撃する。

 

デンゲキコはアイエフと似たスピード重視のアタッカーだ。

 

 

「どかないと怪我するよ!」

 

 

 ゴッドイーターは神機の盾を構えながら突撃し、銃弾を盾で弾くと、「でりゃあああ!」と神機の刀身部を使ってプラネテューヌ兵を斬る。

 

 

「こ、コイツ等強い!」

 

 

 驚き慄くプラネテューヌ兵達。

 

更にレイの率いるシスティーナ兵もプラネテューヌ兵を圧倒する戦闘力を見せていた。

 

 

「怪我した人はいないですか~~」

 

 

 コンパが救急箱片手に、戦場を駆け回り、負傷したシスティーナ兵を治療する。

 

また、がすとも、「怪我したら、がすとのところに来るですの~」と次々と負傷者を手当てしていた。

 

 

「優勢だな」

 

 

 エスーシャがそう言うと、「こんな奴等に後れを取る、アタシじゃないよ!」とシーシャが勝ち誇る。

 

 

「戦いは非情さ!」

 

 

 ビーシャがそう言いながらバズーカを放つと、大量のプラネテューヌ兵が吹き飛ぶ。

 

 

「退けーーーー! 退けーーーーー!」

 

 

 システィーナの猛反撃にたまらず逃げ出すプラネテューヌ兵。

 

 

「よーし! わたし達の勝ちーーーーー!」

 

 

 大きいネプテューヌがVサインをしながら勝ち鬨の声を上げると、周囲のシスティーナ兵も、「「「えいえいおーーーー!」」」と声を揃えて勝ち鬨の声を上げた。

 

 

「逃げ遅れた敵兵は捕虜にしろ。パープルシスター様は命を奪うことを望んでおられない」

 

 

 レイが指示すると、システィーナ兵は戦闘不能になったプラネテューヌ兵を次々捕虜にする。

 

 

「……勝った、みたいですね」

 

 

 後方でネプギアンダムRタイプを使って戦況を確認していたネプギアが呟くと、「やったー! 勝ったー!」とラムが万歳し、「よかったね、ネプギアちゃん」とロムが言う。

 

それを聞いたネプギアは少し顔を曇らせながらも、「うん……」と頷いた。

 

 

「……ネプギアちゃん?」

 

 

 不思議そうな顔をするロムに、「やっぱり戦争ってよくないよ……」とネプギアが言う。

 

それを聞いたイストワールは少し厳しい顔をすると、「お気持ちは分かりますが、戦闘中にそのような弱音は厳禁です。ネプギアさんは総大将なのですよ。士気に関わります」と注意する。

 

 

「……そうですね。ごめんなさい」

 

 

 ネプギアがイストワールに謝ると、「ネプギアお姉さん辛そう……」とプラエが切なそうな顔をする。

 

それを聞いたユニは、「今は我慢よ、プラエ。いつかボークのヤツを仕留めて、この馬鹿げた戦争を終わらせるわ」と言った。

 

 

***

 

 

「きーーーーーー! 何だあの様は!」

 

 

 ボークが右手で机を叩く。

 

ここはプラネテューヌ軍の本陣の天幕の一つ。

 

 

「我々は、パープルハート様とアイリスハート様の正義の軍隊。それが負けるなど許されん!」

 

 

 緒戦の敗戦に対して、ボークが指揮官達を責めているのだ。

 

それに対して指揮官の一人が、「しかし、具体的な戦略もないまま突撃するだけでは……」と言いかけると、「そこは、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応しろ!」とボークが一喝する。

 

 

「高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変にって言われたって……」

 

「敵軍はパープルシスター様……じゃなくて、魔女達が同行しており、士気が高いです。こちらもパープルハート様かアイリスハート様をお呼びになられては……」

 

 

 指揮官達が口々に意見を言うと、「黙れっっっ! 貴様等の意見は求めていない! お前達は私に勝利の報告を持ってくればいいのだっ!」とボークがヒステリックに叫ぶ。

 

 

「いいか! 次の戦闘は死んでも勝ってこい!」

 

 

 ボークが更にヒステリックに叫ぶ。

 

 

「……なぁ、どう思うアレ?」

 

 

 天幕を覗いていた下っ端がワレチューに向けて質問すると、「絵に描いたような無能ちゅね」とワレチューが答える。

 

 

「お前等にそんなふうに思われるなんて、ボークもおしまいだな~」

 

 

 そんな二人をからかうようにイクスが話に入って来る。

 

下っ端が、「どーゆー意味だゴルァ!」と叫ぶと、「まあまあ、落ち着けよ。こんなアホな戦い適当に観戦してればいーだろ」とイクスが言う。

 

 

「そんなこと言っても、オイラ達も今はプラネテューヌ軍っちゅ。アイツが負けたら割を食うっちゅよ」

 

 

 ワレチューはそう言うが、イクスはそれを無視して、「いーじゃねぇか、ネプギアが苦しめば。こうしてる今もアイツは苦しんでるんだぜ、ザマーミロってヤツだぜ」と言う。

 

 

「……確かにアイツが苦しんでると思えばスカッとするけどよぉ」

 

 

 下っ端がそう言って同意すると、「やり方が陰湿過ぎっちゅ」とワレチューが渋い顔をする。

 

しかし、「まあまあ、共にネプギアに恨みを持つどうし仲良くやろうぜ」とイクスが笑う。

 

 

***

 

 

 システィーナ軍の本陣の天幕では勝利の報告に湧いていた。

 

 

「レイさん、よくやってくれました。女神様達もお喜びです」

 

 

 イストワールの褒め言葉に、レイは、「ありがたきお言葉!」とひざまずく。

 

 

「それで、次の作戦は出来ているのですか?」

 

 

 イストワールの質問に、「恐らく、次は戦車や装甲車を持ち出してくるでしょう」とレイが言う。

 

 

「兵器が相手では不利です。私達が出ます」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「それには及びません。確かに戦車や装甲車の数はプラネテューヌ軍に遥かに及びませんが、対戦車兵の訓練は万全です。お任せ下さい」とレイが答えた。

 

 

「ネプギアさん、次戦もレイさんにお任せしてもよいかと」

 

 

 イストワールの進言に、「わかりました。レイさん、よろしくお願いします」とネプギアが言う。

 

 

「ありがたき幸せ!」

 

 

 レイはそう言うと、「それでは軍の準備があるので失礼します」と立ち去って行く。

 

 

「……あの、レイさん、負傷者は?」

 

 

 ネプギアが立ち去るレイの背中にそう質問すると、「ご安心下さい。コンパさんとがすとさんを中心にした衛生兵のお陰で負傷者は殆どおりません」とレイが答える。

 

 

「そうですか……」

 

 

 そう言って胸を撫でおろすネプギア。

 

レイが出て行くと、「ボークさえ倒せば、こんな戦争終わるわ。それまで我慢しなさい」とユニが優しい声でネプギアに話しかける。

 

 

「うん……ありがとう、ユニちゃん」

 

 

 微笑みながらユニにお礼を言うネプギア。

 

 

「ボークもさっさと出てくればいいのにね」

 

 

 ラムが腕組みしながら言うと、「出てきたら、ゲンコツする(ふんす)」とロムが小さくガッツポーズをする。

 

更に、「プラエ達はネプギアお姉さんの味方だよ」とプラエが言うと、「うん。みんなもありがとう」と微笑むと、ロムとラムとプラエの頭を撫でてあげた。

 

 

***

 

 

 緒戦から数日後。 

 

G.C.2021年2月28日 日曜日。

 

 

「あ~あ……軍隊の野営ってのも厳しいなー。ギャザリング城のふかふかベッドが恋しいよ」

 

 

 駐屯地の天幕の簡易ベッドの上で日本一が不満そうに言うと、「野宿に比べれば、かなり過ごしやすいけどな」とファルコムが答える。

 

がすとも、「錬金術の調合中はよくソファーとかで寝てたから気になりませんの」と言う。

 

 

「それより、プラネテューヌ軍はまだ動かないのか?」

 

 

 ニトロプラスが質問すると、「まだみたいだな」とエスーシャが答える。

 

 

「いっそ、こっちから攻めたらよくない」

 

 

 ビーシャの言葉に、「まだ兵力差は歴然だ。ここで無理しない方がいいとあたしは思うね」とシーシャが答える。

 

その時、天幕が開きゴッドイーターが急いで入ってくると、「プラネテューヌ軍が動いたよ。今度は戦車と装甲車中心の軍だ!」と叫ぶ。

 

 

「来たわね。行くわよ、コンパ」

 

 

 アイエフがそう言って立ち上がると、「はいです~」と言ってコンパも立ち上がる。

 

 

「よし! 行くぞチーカマ!」

 

 

 ミリオンアーサーも続けて外に出て行く。

 

 

「これは、かなりの数だね……」

 

 

 ファミ通がプラネテューヌ軍の戦車と装甲車の数を見て恐れおののくと、「こっちの戦車、全然足りないねー」と大きいネプテューヌが言う。

 

 

「大丈夫。戦車の数が、戦力の決定的差ではないということを教えてやる!」

 

 

 ビーシャはそう言うと、バズーカを構えて、「この対戦車バズーカにかかれば、戦車なんて一撃だよ」とVサインをする。

 

更にゴッドイーターも、「私の銃身も対戦車砲に換装したから戦えるよ」とガッツポーズをする。

 

 

キュラキュラキュラ……

 

 

 キャタピラの音を立てて攻めて来る戦車の大群。

 

 

「いいか! 戦車相手には無理をせず、対戦車兵の攻撃範囲に誘い込むんだ!」

 

 

 レイの指示の元、よく訓練された動きを見せるシスティーナの兵士達。

 

 

「あたし達も負けてられないな。頼んだよ、ビーシャ、ゴッドイーター」

 

 

 シーシャがそう言うと、「「了解」」とビーシャとゴッドイーターが答える。

 

 

「ほーら、こっちこっち~!」

 

 

 戦車相手に恐れず、いつもの調子で挑発する大きいネプテューヌ。

 

戦車の砲身が、大きいネプテューヌに向けられると、大きいネプテューヌはすかさず側転で、「よっと!」と言って攻撃範囲から逃れる。

 

その隙に戦車の背後に回り込んだビーシャが、「ファイヤー!」と対戦車バズーカを放つ。

 

 

ドカーーーーン!

 

 

 炎を上げて炎上する戦車。

 

慌てて逃げ出す乗組員。

 

 

「ノロマね」

 

 

 アイエフも華麗なステップで装甲車を翻弄する。

 

 

ズガガガガガ!

 

 

 装甲車の機銃がアイエフに向けて放たれるが、アイエフの回避率の前にかすりもしない。

 

 

「ゴッドイーター!」

 

 

 アイエフがゴッドイーターの名を叫ぶと、「了解ッ!」とゴッドイーターが対戦車砲を放つ。

 

 

ドカーーーーン!

 

 

 炎を上げて炎上する装甲車。

 

乗組員達も慌てて逃げ出す。

 

 

「電撃のスピード、見せてあげましょう!」

 

 

 デンゲキコが素早い動きで戦車を翻弄すると、その隙を突いてビーシャの対戦車バズーカが戦車を撃沈させた。

 

 

ドカーーーーン!

 

 

ドカーーーーン!

 

 

ドカーーーーン!

 

 

 辺り一面にシスティーナの対戦車兵が、プラネテューヌの戦車と装甲車を破壊する音が響き渡る。

 

 

「そんな馬鹿な……あれだけの威容を誇った我がプラネテューヌの戦車隊が……」

 

 

 驚愕するプラネテューヌ軍の指揮官。

 

隣にいた兵士が、「このままでは全滅です!」と言うと、「ええい! 退けーー! 退却だーーー!」と指揮官が叫んだ。

 

 

***

 

 

「再び逃げ帰ってくるとはどういうことだ!」

 

 

 ボークが右手で机を叩く。

 

プラネテューヌ軍の駐屯地の天幕では、再びボークが前線指揮官達を叱り飛ばしていた。

 

 

「パープルハート様とアイリスハート様に預かった軍で二度も敗北するなど、万死に値するッ!」

 

 

 ボークがヒステリックに叫ぶと、「しかし、システィーナ軍が予想以上に手強く……」と指揮官が言い訳をするが、「言い訳など聞きたくない! それと奴等は賊軍だ! 賊軍よ呼べ! 我等が正義で奴等は賊だ!」とボークが叫ぶ。

 

 

「何故、正義が負ける! 貴様等が無能だからだ!」

 

 

 ボークは指揮官達を指差しながら激昂すると、「貴様等が負ければ負けるだけ、パープルハート様とアイリスハート様も安眠が妨げられるのだぞ! 恥を知れ!」と続けて叫ぶ。

 

 

「……せめて、パープルハート様かアイリスハート様のどちらかでも来てくれれば兵の士気も上がるのに……」

 

 

 指揮官の一人がそうぼやくと、「貴っ様ぁぁぁ! お二人の安眠を妨げるどころか、ご出陣まで要求するか! この俗物め!」とボークが目をひん剥いて叫ぶ。

 

 

「もういい! 次の戦い私が出る!」

 

 

 ボークがそう言うと、「お止めください。総司令官が前線に立つなど!」と指揮官の一人が止める。

 

本気でそう思っている訳ではなく、ボークのような人物に前線に立たれては兵達が混乱するとの考えだ。

 

 

「心配には及ばん。プラネテューヌの技術の粋を集めたパワードスーツをパープルハート様より授かっている」

 

 

 ボークは自信満々にそう言うと、「パープルハート様とアイリスハート様に愛された寵児の私が出撃するとなれば、兵の士気は上がり、賊軍はひれ伏すだろう!」と続けて叫ぶ。

 

 

「……なぁ、どうするよ?」

 

 

 下っ端がワレチューに問いかけると、「盛大な負けフラグっちゅね」とワレチューが言う。

 

下っ端が更に、「ここで、あのアホに負けられたら、また極貧生活に逆戻りだぞ」と言うと、「しょうがないから護衛につくっちゅよ」とワレチューが言う。

 

すると、「それじゃ、あたしも行こうかな。ネプギアの苦しんでる顔を直に拝んでやりたいし」とイクスが言った。

 

 

***

 

 

「レイさん、見事な戦いでした。あなたの戦いは危機的状況にあるシスティーナに希望の光を見せてくれました」

 

 

 イストワールがそう言うと、「もったいないお言葉。恐悦至極にござます」とレイがひざまずく。

 

システィーナ軍の駐屯地の天幕では先日同様勝利の報告に湧いていた。

 

 

「パープルシスター様、次はいよいよボークが動くでしょう。もう暫くの辛抱です」

 

 

 レイがそう言うと、「本当ですか!?」とネプギアが身を乗り出す。

 

 

「はい、ボークは自己の能力を顧みない上に自己陶酔の激しい男です。自分の能力を過信し、自分ならこの劣勢をひっくり返せると信じて出陣するでしょう。ここがチャンスです」

 

 

 レイの言葉に、「いーすんさん、私達も出ます!」とネプギアが決意を秘めた声で言う。

 

イストワールは小さく頷くと、「わかりました。ボークを倒し決着を付けてきて下さい」とネプギアに言う。

 

 

「パープルシスター様達が、ご出陣されるとなれば兵の士気は更にあがりましょう。次の戦い必ず勝利をもたらしてみせます」

 

 

 レイの言葉に、「よろしくお願いします」とネプギアが言う。

 

 

「いよいよね」

 

 

 ユニがネプギアに向けてそう言うと、「うん、ボークを倒してお姉ちゃんを元に戻してみせる」とネプギアは力強く言う。

 

すると、「がんばろうね。ネプギアちゃん」とロムが言い、ラムも、「ラムちゃんに任せなさい!」と言う。

 

更にプラエも、「ネプギアお姉さんの為、プラエも頑張る」と小さくガッツポーズをした。

 

 

***

 

 

 ここはプラネテューヌの最前線駐屯地。

 

 

「…………」

 

 

 そこではボークが不満そうな顔をしていた。

 

側にいる指揮官達も、それを分かっているのか誰も話しかけない。

 

 

「……どういうことだ?」

 

 

 ボークが呟く。

 

指揮官の一人が恐る恐る、「……どういうことと言われますと?」と聞き返すと、「教祖である、この私がわざわざ最前線に赴いて来たのだ! 歓迎の一つでもあるべきだろう!!」とボークが額に青筋を立てて叫ぶ。

 

ボークの中では、兵達が声を揃えて自分の着陣を熱烈に歓迎してくれると思っていたらしい。

 

 

「しかし、兵達も度々の敗戦で疲弊しています。今は休息を……」

 

 

 指揮官がそこまで言いかけると、「言い訳など聞きたくない! 今すぐ兵達を集めろ!! 兵の疲労など私の顔を見れば一瞬で吹き飛ぶ!!」とボークがヒステリックに叫ぶ。

 

指揮官は仕方なく、「……承知しました」と言うと兵達を招集し始める。

 

 

「……で、あるからして、私はパープルハート様とアイリスハート様に選ばれた寵児! その私が戦闘に参加すれば勝利は間違いない!」

 

 

 兵達を集めたボークは急造させた演説台に立つと、自らの出自などを散々自慢した自画自賛の演説を披露していた。

 

兵達は疲れた顔をしながら、虚無感を漂わせた顔でボークを眺めていた。

 

 

「おいおい、士気ガタ落ちじゃねーか」

 

 

 その光景を見ていたイクスが笑いながら言うと、「当然ちゅよ。あんな陰気なオッサンの自慢話なんて、学校の朝礼以下ちゅ」とワレチューが呆れながら言う。

 

下っ端も、「コレで士気が上がると思ってるなんて、どんだけアホな思考回路してるんだ……」と肩を落とす。

 

 

***

 

 

 こちらはシスティーナの最前線駐屯地。

 

 

「皆、喜べ! 次の戦は、女神様達が共に戦ってくれるぞ!」

 

 

 駐屯地に帰るなり、大きな声を張り上げるレイ。

 

するとシスティーナ兵達から、「「「おおおおおおおお!!!!」」」と大歓声が巻き起こる。

 

 

「一緒にがんばりましょう」

 

 

 変身したネプギアはそう言うと、兵達に小さく手を振る。

 

兵達は、「はい頑張ります!」等と歓声を上げながら手を振り返す。

 

 

「アンタ達に勝利をもたらせてあげるわ」

 

 

 同じく変身したユニが腕組みしながらそう言うと、「頼もしい。流石ブラックシスター様だ!」と歓声が巻き起こる。

 

 

「一緒に悪い人達倒そうね」

 

 

 変身したロムがそう言うと、「ロム様は俺達が守る」と兵達が湧き上げる。

 

 

「ラムちゃんの活躍見せてあげるんだから!」

 

 

 変身したラムがそう言ってVサインをすると、「はい! ラム様の為ならどこまででも!」と言って兵達が歓声を送る。

 

 

「……プラエも何か言った方がいいのかな?」

 

 

 変身したプラエがネプギアを見上げながら言うと、「とりあえず、自己紹介でいいんじゃないかな?」とネプギアが答える。

 

するとプラエは、「プラエ何て名乗ったらいいの?」と首を傾げる。

 

ネプギアの脳裏に、【マジック・ザ・シスター】と言う名前が浮かぶが、「……っ」とネプギアは急いでその名前を頭の中から追い出す。

 

プラエの正体や、姉であるマジック・ザ・ハードをネプギア達が倒したことは、あんみつの懇願もあり、まだ明かせていないでいる。

 

 

「ネプギアお姉さん?」

 

 

 心配そうにネプギアを見るプラエ。

 

そんなプラエにネプギアは少し無理をして微笑むと、「伏姫さんが、プラエちゃんのこと、【ネリネプレッジ】って言ってたから、それでいいと思うな」と言う。

 

それを聞いたプラエは、「うん、そうする」と素直に頷いた。

 

 

「ネリネプレッジです。まだ新人ですけど、ネプギアお姉さん達と一緒に頑張ります」

 

 

 プラエがそう言って自己紹介すると、「うっひょーーー! 新しい女神様だ!」や、「よろしくお願いします。ネリネプレッジ様」等の歓声が聞こえてくる。

 

 

「レイさん、戦いにはまだ時間はありますよね」

 

 

 ネプギアがレイにそう尋ねると、「プラネテューヌ軍も態勢の立て直しがあるでしょう。ニ、三日は攻め込んで来ないと思われます」とレイが答える。

 

 

「それなら、兵士の皆さんを元気づける為に、私達のライブを開きたいと思うんですけど、いかがですか?」

 

 

 ネプギアがそう言うと、「いいわねそれ」とユニが言い、「さんせー!」とラムが左手を上げ、「流石はネプギアちゃんだね」とロムが称賛し、「プラエも頑張るよ」とプラエが言う。

 

レイも頭を深く下げると、「お心遣い痛み入ります。直ぐにステージを作らせますので、暫くお待ち下さい」と答えた。

 

 

***

 

 

 翌日。G.C.2021年3月1日 月曜日の夕方。

 

システィーナの兵士達が徹夜で作ったステージにネプギア達、グランプリ・ユナイテッドが楽器を持って立っていた。

 

 

「みんなーーーー! 今日はシスティーナの勝利を願って歌っちゃうよーーーー!」

 

 

 ミクがそう言うと、「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」と兵達から歓声が沸き起こる。

 

続いて、演奏を始めるネプギア達。

 

こうして、システィーナの兵士の士気はうなぎ登りに上がって行った。

 

 

***

 

 

 更に翌日。G.C.2021年3月2日 火曜日。

 

 

「パープルシスター様、ついにボークが動きました」

 

 

 レイからの報告に、「いよいよですね」とネプギアが言うと、「はい、勝ちましょう必ず」とレイが答える。

 

ボークを中心としたプラネテューヌ軍はシスティーナの最前線駐屯地に迫っていた。

 

 

「ボーク様、あまり前に出られては……」

 

 

 指揮官の一人がボークにそう言うと、「それを守るのが貴様等の役目だろう。高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に守るのだ」とボークが自信満々に言い放つ。

 

巨大なパワードスーツに身を包んでいるとは言え、ボークのような無能な総大将が前線に出るのは危険極まりない。

 

 

「いいか死んでも私を守れ! 私がいればプラネテューヌの勝利は揺るがない!」

 

 

 ボークの言葉に、頭を抱える指揮官。

 

 

「むっ、賊軍が出て来たぞ!」

 

 

 ボークは遠くに見えるシスティーナ軍を確認すると、「撃て! 撃つのだーーーーー!」と大声で喚く。

 

 

「ボーク様、この距離では長距離砲も当たりません……」

 

 

 指揮官がそう進言すると、「ええい! 黙れ。私の言う通りにすればいいのだ!」とボークが叫ぶ。

 

 

「う、撃てーーーー!」

 

 

 仕方なく攻撃の指示を出す指揮官。

 

 

***

 

 

「この距離で撃ってくるなんてバカなんじゃないの?」

 

 

 変身したユニが呆れた声で言うと、「この稚拙な用兵、間違いなくボークが出て来ております」とレイが確信する。

 

 

「それでは距離を詰めて迎え撃ちましょう」

 

 

 ユニと同じく変身しているネプギアがそう言うと、「了解しました」とレイが答え、「全軍前進だ!」と兵士達に指示を出す。

 

暫く前進するシスティーナ軍。

 

前進の途中、ユニが、「この距離、オニキスの力があれば当てれれるわ」と言って空中で静止する。

 

 

「えー? ホントにー?」

 

 

 変身したラムが少し疑わしそうに言う。

 

それ程までにプラネテューヌ軍との距離は離れていた。

 

 

「でも、ユニちゃんならできるかも」

 

 

 変身したロムがそう言うと、「ユニお姉さん頑張って」と変身したプラエがユニを応援する。

 

 

「オニキスを中心に、サブの宝石をホークアイに変えてっと……」

 

 

 ユニはホルランドとルルドから貰ったオーギュメントの宝石をいじる。

 

コアのオニキスは変更出来ないが、サブの宝石を射程の伸びる効果があるホークアイに変えているのだ。

 

 

「これで射程が劇的に伸びるわよ!」

 

 

 ユニはそう言いながらエクスマルチブラスターを構えると、「あのダサいパワードスーツがボークね…………」と狙撃用スコープでボークに狙いを付ける。

 

 

「シュート!」

 

 

ズキューン!

 

 

 エクスマルチブラスターからビームが発射される。

 

ユニの放ったビームがボークのパワードスーツに直撃する。

 

 

「ぐわっ!?」

 

 

 悲鳴を上げると、ボークは52万のダメージを受ける。

 

 

「ひ、ひいっ!? 当たった、当たったぞ! どうした? 何故私を守らない!」

 

 

 ボークは情けない悲鳴を上げると、ヒステリックに指揮官を叱る。

 

 

「こちらが対応不可能な、超長距離からの狙撃です。お下がり下さい」

 

 

 指揮官がそう答えると、「馬鹿を言うな。賊軍に背を見せろと言うのか!」とボークが激昂する。

 

 

ズキューン!

 

 

 再びユニがビームでの狙撃を放ってくる。

 

またもボークのパワードスーツに命中し、52万のダメージが当たる。

 

 

「ひぃぃぃぃ!? この無能どもめ! 私が倒れたらどうするつもりだ! 勝てる戦いも勝てなくなるぞ!」

 

 

 またも情けない悲鳴を上げながら、指揮官を叱り飛ばすボーク。

 

 

「ですから、お下がり下さい! このままでは的です!」

 

 

 流石の指揮官も声を荒らげる。

 

ボークは、「うっ……」その迫力に押されると、「わ、私が狙撃されるような布陣をとった罪は重いぞ。後で軍法会議にかけてやる!」と言いながらコソコソと後方に下がって行く。

 

 

「ふぅ……これで少しはまともに戦える……」

 

 

 深く疲れた溜息を吐く指揮官。

 

 

***

 

 

「ユニちゃん、すごーーーい!」

 

 

 ボークに二発のビームを直撃させたユニに拍手をして賞賛の声を送るラム。

 

ロムも、「流石はユニちゃんだね」と褒めた。

 

 

「ボークのヤツ、コソコソと引っ込んで行ったわ」

 

 

 ユニがそう言いながら狙撃用スコープから目を放すと、「流石です、ブラックシスター様。ブラックシスター様の神業に兵達も沸いております」とレイが言う。

 

見れば周囲の兵士達は、「ブラックシスター様、凄い!」等とユニの見事な狙撃を称賛する声と拍手を送っていた。

 

 

「先制攻撃成功だね」

 

 

 ネプギアがユニに向けて拳を突き出すと、ユニも拳を突き出しグータッチを交わす。

 

 

「ブラックシスター様はこのまま狙撃をお願いします」

 

 

 レイはユニに向けてそう言うと、兵士達に向けて、「ブラックシスター様が突破口を開いて下さる! さあ、恐れず進むのだ!」と指示を出す。

 

 

「じゃあ、行ってくるね」

 

 

 ネプギアはユニに向けてそう言うと、兵士達の先頭に立ち、「私について来て下さい!」と叫ぶ。

 

兵士達は、「「「おおおおおおおお!!!!」」」と声を上げる。気合十分のようだ。

 

ネプギアが前進すると、その後ろに、ロム、ラム、プラエがついて来て、その後ろに兵士達が続く。

 

 

***

 

 

「大変です! システィーナ軍が……賊軍が勢いに乗って攻めてきます」

 

 

 プラネテューヌの指揮官の隣にいた兵士が顔を青くして叫ぶと、「迎撃だ! 迎撃しろ!」と指揮官が叫ぶ。

 

 

「無理です! 賊軍の長距離狙撃は今も続いており、前線はガタガタです」

 

 

 兵士がそう言った矢先に、【ズキューン】とユニの放ったビームが飛んでくると、隣にあった戦車に当たり、戦車は赤く膨れ爆発をする。

 

 

「しかも賊軍の先頭には、パープルシスター様……じゃなくて、魔女がおり、士気も非常に高いです!」

 

 

 ズキューン!

 

 

 ユニのものとは違うビームの音と共に、装甲車が赤く膨れ爆発をする。

 

前進してきたネプギアがプラネテューヌ軍を射程に捉え、M.P.B.Lを発射したのだ。

 

 

「無駄な抵抗は止めて下さい!」

 

 

 ネプギアが声を張り上げながら、M.P.B.Lを連射する。

 

【ズキューン】、【ズキューン】というビーム音と共にプラネテューヌ軍の兵器が次々と炎上する。

 

プラネテューヌ兵は炎上する兵器から逃げ惑う。

 

 

「そーれ、アイスハンマー!」

 

 

 ラムがアイスハンマーで戦車を叩くと戦車は吹っ飛んで行き、別の戦車に当たり、次々と玉突き事故を起こす。

 

 

「兵隊さん、プラエが時間を操作するから、攻め込んで!」

 

 

 プラエの超能力と共にシスティーナ兵の動きが早送りのように速くなる。

 

更に、ロムが、「援護するよ。ハイプリエスティス・サポート!」と攻撃力と防御力のアップする補助魔法を兵士達に使う。

 

 

「うおおおおおおおおお!!! 元気百倍だーーーー!!!」

 

 

 怒涛の勢いでプラネテューヌ軍に攻め込むシスティーナ兵。

 

 

「これでは手も足も出ないではないか!?」

 

 

 絶望する指揮官。

 

次の瞬間、指揮官の前にネプギアが一瞬で飛んでくると、「ごめんなさい。少しだけ眠っていて下さい!」と指揮官をM.P.B.Lのブレード部分で袈裟斬りに切り裂く。

 

12万のダメージを受けた指揮官は一撃で戦闘不能になる。

 

 

「わあ!? 降参です! 降参です! 助けて下さい!」

 

 

 隣にいた兵士が両手を高く上げて降参の意を示すと、ネプギアは兵士を放置して飛び去る。

 

 

「こんな戦い、早く終わりにしなきゃ……」

 

 

 ネプギアはそう言って敵陣に斬り込んで行った。

 

 

***

 

 

「ええい! 押し返せ! 押し返せと言っているだろうが! 何故前に出ない!」

 

 

 後方に下がったボークは別の指揮官を叱り飛ばしていた。

 

 

「賊軍の勢いが強すぎます。このままでは全滅です! 退却の指示を!」

 

 

 指揮官の言葉に、「そんな馬鹿なことが出来るものか! 私が出陣しているんだぞ! 勝てない訳がないだろう!」とボークがヒステリックに叫ぶ。

 

 

「もういい! 私が指揮をとる!」

 

 

 ボークはそう言うと、「進めぇ!! 進むのだ!! 進んで敵を蹴散らせ! 死んでも敵を倒すのだ!」とプラネテューヌ兵達に指示を飛ばす。

 

 

「うわああああ!? もうダメだーーーー!」

 

 

 しかし、プラネテューヌ兵は誰一人としてボークの言うことは聞かず逃げ惑うだけだった。

 

 

「何故、戦わない! 何故、私の足を引っ張る! この無能共め!!」

 

 

 ボークは喚き散らすが、その言葉すら兵士達には届かない。

 

そこにネプギア達、システィーナ軍が攻め込んで来る。

 

 

「こんな、こんなバカなことがあってたまるか! 私の所為じゃない! 私の所為じゃないぞ! 他の奴等が無能だからだ!」

 

 

 喚き散らしながら右往左往するだけのボーク。

 

 

「見つけたっ! ボーク!」

 

 

 それを見つけたネプギアは素早くボークに接近してくる。

 

大人しいネプギアにしては珍しくその目は敵意に満ちていた。

 

 

「ひぃぃぃぃ!?」

 

 

 ネプギアの迫力に慌てふためくボーク。

 

ネプギアはボークを正面に見据えると、「プラネテューヌを……ゲイムギョウ界を乱した罪は重いです。大人しく罪に服して下さい!」と叫ぶ。

 

 

「み、乱しているのは貴様等だ! ゲイムギョウ界はパープルハート様とアイリスハート様の楽園であるべきなのに、それをお前等のような魔女が闊歩するから、このバントリュー・ボークが正しく導いてやろうと言うのに邪魔をしおって!」

 

 

 ボークはそう言い返すと、「そうか! これはチャンスだ。ここで私が魔女を倒せば、今までの敗戦は全て償われ、全ての賛辞は私の元に!」と叫ぶ。

 

同時にボークはパワードスーツの右手に装着されたグレネードランチャーをネプギアに向けて、「死ねぇ、魔女!」と言ってそれを発射する。

 

 

「……っ!」

 

 

 avoid 。プロセッサユニットのスラスターを使った素早い横移動でグレネードランチャーを避けるネプギア。

 

すると、ボークは顔を真っ赤にして、「きぃぃぃぃ! 何故避ける! 当たればいいものを!」と地団駄を踏む。

 

 

「あなたの思い通りにはさせません!」

 

 

 ネプギアは態勢を立て直すと、M.P.B.Lを構えてボークに突撃する。

 

 

「ひいっ!? く、来るな!!」

 

 

ズガガガガガ!!

 

 

 パワードスーツに装備された防衛用機関砲を連射するボーク。

 

ネプギアはそれを紙一重で避けて、ボークに接近し、「M.P.B.Lエンペラー!」と言ってM.P.B.Lのブレード部分をチェーンソーに変形させる。

 

 

キュィィィィィィィン!

 

 

 チェーンソーの刃がパワードスーツの胸の装甲を切り裂く。

 

ボークは、512万のダメージを受けると、パワードスーツは黒い煙をモクモクと立てながら漏電する。

 

 

「なあっ!? やられる? 私が? そんな馬鹿な!?」

 

 

 慌てふためくボーク。

 

そこに、「あーあー……予想通り負けてやんの」と言う言葉と共にイクスが現れる。

 

 

「しゅ、守護天使様!」

 

 

 思わず、すがりつくような声を上げるボーク。

 

 

「行くぞ、下っ端、ワレチュー。ボークを援護するぞ」

 

 

 イクスがそう言うと、その後ろにいた下っ端がディスクを取り出し、「来い! ヒドラ!」と言って、九つの首を持つ大蛇を召喚する。

 

更にワレチューも、「行くっちゅよ」とネプギアに向かって行く。

 

 

「くっ、邪魔をしないで下さい」

 

 

 avoid 。スラスターを使った素早い後退でワレチューの飛び蹴りを避けるネプギア。

 

 

「おらぁ!」

 

 

 続けて鉄パイプで殴りかかってくる下っ端。

 

avoid 。ネプギアはバク転でそれを避ける。

 

 

「シャアアアアアアア!」

 

 

 更に、ヒドラがブレスを吐いてくる。

 

毒の効果があるブレスだ。

 

avoid 。ネプギアはプロセッサユニットのブースターを全開にすると急上昇してブレスを避ける。

 

 

「おーおー、やるじゃねぇか、ネプギアちゃん」

 

 

 イクスはからかうようにそう言うと、ダークネスアローの魔法を放ってくる。

 

何本もの黒い矢が上空にいるネプギアを襲う。

 

 

「……っ! アメジスト!」

 

 

 ネプギアはアメジストの力を加えた左手の防御の魔方陣でそれを受け止める。

 

ネプギアは、1325のダメージを受けると、HPゲージが二割ほど減少する。

 

 

「貰ったぞ、魔女め!」

 

 

 援軍を得てすっかり強気になったボークが、パワードスーツに装備されたミサイルランチャーをネプギアに向けて放つ。

 

 

ドカン! ドカン! ドカン!

 

 

 ミサイルの爆発に呑まれるネプギア。

 

 

「フハハハハハ! 倒した! 魔女を倒したぞ、私だ! 私の手柄だぞ!!」

 

 

 ボークはいきり立って叫ぶが、「爆風が邪魔っちゅ」とワレチューが文句を言い、「煙で見えねえじゃねーか!」と下っ端も文句を言う。

 

しかし、ボークには二人の文句が聞こえていないようで、「ハハハハハハ! これで、パープルハート様とアイリスハート様のお褒めの言葉は私のもの!」と自己陶酔をしている。

 

 

「はあああああああ!!」

 

 

 ミサイルの煙が晴れると同時にネプギアがプロセッサユニットのブースターを全開にして直進してくる。

 

HPは減少していたが、まだ五割程残っている。

 

 

「なにっ!?」

 

 

 驚き慄くボーク。

 

 

「マルチプルビームランチャー!!」

 

 

 ネプギアのM.P.B.Lから三発のビームが発射される。

 

ビームはヒドラ首を一本ずつ吹き飛ばし、合計で33万のダメージを与える。

 

 

「ギャアアアス!」

 

 

 悲鳴を上げるヒドラ。

 

更に、「ごめんなさい!」とM.P.B.Lを溜め撃ちするネプギア。

 

巨大なビームがヒドラの首を一気に五本も吹き飛ばし、52万のダメージを与える。

 

 

「ラジカルセイバーーーー!」

 

 

 続けて残ったヒドラの首をM.P.B.Lのブレード部分の兜割で切り裂くネプギア。

 

ヒドラは、23万のダメージを受けると、ビクンビクンと痙攣をする。

 

兜割から着地したネプギアは、「ミラージュダンス!」と舞うような素早い剣舞からの斬り抜けで、ヒドラに24万のダメージを与えると、ヒドラは戦闘不能になる。

 

 

「げっ! もう倒しやがった。とっておきのモンスターだったのに!」

 

 

 驚愕する下っ端に、「ダークドラゴンや邪神に比べれば、これぐらいの相手っ!」とネプギアはヒドラのいた位置から素早く移動して、ワレチューの側に移動すると、「せいっ!」とワレチューに回し蹴りを食らわせる。

 

 

「ぢゅーーーー!?」

 

 

 回し蹴りの直撃を受けて、13万のダメージを受けながら吹き飛ばされるワレチュー。

 

 

「ちっ!」

 

 

 警戒して鉄パイプを構える下っ端だが、その隙に下っ端の懐に潜り込むネプギア。

 

 

「龍昇拳!」

 

 

 ネプギアの強烈な蛙飛びアッパーが下っ端に炸裂すると、下っ端は25万のダメージを受けて吹き飛ぶ。

 

ヒドラ、ワレチュー、下っ端と次々に蹴散らしていくネプギアのその様は時代劇のヒーローのようだった。

 

ネプギアは更にイクスに近づくと、「シルヴァーティル!」と高速の突きの連打を浴びせる。

 

 

 avoid 。しかし、イクスは、「下っ端と一緒にされちゃ困りますな~~」と馬鹿にしたような口調で言うと、上昇してネプギアの剣技から逃れる。

 

 

「回避率が高い!? それなら!」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「グングニル!!!」と言って左手にグングニルの槍を呼び出す。

 

 

「当たって!」

 

 

 グングニルの槍をイクス向けて投擲するネプギア。

 

イクスは、「だから当たらねーって」と言うと、ひらりとグングニルの槍を避ける。

 

しかし、ネプギアが、「戻れ、グングニル!」と叫ぶと、グングニルは物理法則を無視した急制動で再びイクスを狙う。

 

 

「うごっ!?」

 

 

 戻って来たグングニルの槍がイクスに突き刺さる。

 

イクスは、953万のダメージを受けると、「……ネプギアッ! 相変わらず頭に来るヤローだ!」と憎々し気に言う。

 

 

「ひいいいいい!? 守護天使様までやられた!」

 

 

 ボークは恐れ慄き、パワードスーツごと尻もちを付くと、腰が抜けたように後ろに後ずさる。

 

 

コツン……

 

 

 そんなボークのパワードスーツの指先に何かが当たる。

 

そこには仁王立ちしているラムがおり、その後ろにはロムとプラエがいた。

 

 

「逃がさないわよ!」

 

 

 ラムがそう言うと、「ネプギアちゃんを悲しませた罪は償ってもらうよ」とロムが言い、「絶対に許さない」とプラエが言う。

 

 

「メギンギョルズ!!」

 

 

 ラムはそう叫ぶと、メギンギョルズで得た怪力でボークのパワードスーツの手足をもぎ取る。

 

 

「う、うわあああああ!!!」

 

 

 慌てて、達磨状態になったパワードスーツから降りるボーク。

 

ラムはその首根っこを掴むと、「ボークを捕まえたわ!」とネプギアに向けて叫ぶ。

 

 

「ありがとう、ラムちゃん」

 

 

 ネプギアはラムにお礼を言いながら微笑むと、「これで、ようやく終わる……」と呟いた。

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