新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「放せ! 放せーーーー! 私を誰だと思っている? プラネテューヌの教祖バントリュー・ボークだぞ」
ラムに首根っこ掴まれたボークがジタバタと暴れる。
しかし、ラムは握る力を更に強めると、「ダメよ。アンタは悪いことしたんだから、おしおきを受けてもらうわ」と強気な声で言う。
それを聞いたボークは、「ひいっ!?」と声を漏らす。
更に、「お尻ペンペンじゃ済まないよ」とロムが脅すと、「うぐぐぐ……」と言いながら震えるボーク。
「戻ろう、みんな。ボークが捕まったことを知ればプラネテューヌの兵士さんも戦いを止めてくれるよ」
ネプギアがそう言うと、「うん、戦い終わるといいね」とプラエが頷く。
ヒュンッ!
その瞬間、風切り音と共に何かが飛んでくる。
「きゃああああああ!?」
同時に悲鳴を上げるラム。
ラムは大きく吹き飛ばされ、ボークを手放してしまう。
「ラムちゃん!」
ロムがそう言うと、続けて【ヒュンッ!】と再び風切り音が鳴り、「きゃああああああ!」と今度はロムが吹き飛ばされる。
「ロムお姉さん、ラムお姉さん!」
プラエが叫ぶ。
更に、【ヒュンッ!】と風切り音がすると、「プラエちゃん、危ない!」とネプギアがプラエを庇うように前に出て、M.P.B.Lを構える。
ガキン!
M.P.B.Lのブレード部分と何かがぶつかるような金属音がする。
「これは、蛇腹剣……」
ネプギアが見たものは鞭のように伸びた蛇腹剣の剣先だった。
「……と、言うことは」
ネプギアが蛇腹剣の軌道を追うと、そこには一人の女性が浮いていた。
「……プルルートさん」
女性の名前を呼ぶネプギア。
ネプギアの視線の先には変身したプルルートである、アイリスハートが居た。
「遅ぇじゃねーか。プルルートちゃん」
イクスがプルルートの側に飛んで行きながら文句を言うと、「これでも急いで来たのよ。折角お昼寝してたのに……ふぁ……」とプルルートが不満そうに小さくあくびをする。
「ねぇ~、ねぷちゃん?」
プルルートがそう言うと、プルルートの後ろにもう一人の女性がいた。
女神化したネプテューヌことパープルハートだ。
「ええ、あなたが呼ぶから仕方なく来てあげたのよ」
ネプテューヌはそう言ってプルルートに同意する。
イクスはそれに機嫌を損ねた様子を見せず、「ま、どーでもいいや。さっさと、ネプギアのこと片付けちゃってよ」と二人に向けて言う。
「お姉ちゃん……」
真剣な顔でネプテューヌの顔を見つめるネプギア。
ネプテューヌは、そんなネプギアを見つめ返すと、「随分なことをしてくれたわね、ネプギア」と怒気を孕んだ声をネプギアに向ける。
「え……!?」
ネプテューヌの声にネプギアは思わず呆然としてしまう。
「私の命令を無視しただけでなく、プラネテューヌの兵にまで手を上げるなんて失望したわ」
畳みかけるような言葉を浴びせるネプテューヌ。
「命令って、あれはボークが勝手にしたものでしょ!」
必死に訴えるネプギアに、「システィーナ領主の立場を解任したのも、ルートビルド計画記念碑の書き直しも、ギアメタルの改名も、全部わたしが了承したものよ」とネプテューヌは事も無げに言う。
「ウソだよ……何でそんなウソを言うの、お姉ちゃん!」
首を左右に振りながらネプテューヌに訴えるネプギア。
すると、「ウソじゃないわよ~。ねぷちゃんは、あなたのことが鬱陶しくなっちゃったのよ」とプルルートがネプギアを蔑むように言う。
「いつも言ってるでしょ。あなたのモノはわたしのモノ、あなたの手柄もわたしのモノよ」
ネプテューヌがそう言うと、「目ざわりなのよね、妹のクセにしゃしゃり出てきて。この世界の主人公はねぷちゃんで、ヒロインはあたしなのに、脇役の妹風情が出しゃばらないでくれるかしら」とプルルートがそれに続く。
「妹は妹らしく、姉の言うことに従っていればいいのよ」
ネプテューヌが蔑むように言うと、「もう止めよう! こんなこと!」とネプギアが叫ぶ。
「ボークも倒したし、いーすんさんもアイエフさんもコンパさんも待ってるよ! 元の生活に、元のプラネテューヌに戻ろうよ!」
ネプギアが涙ながらにそう訴えるが、「冗談じゃないわ。あたし達今の生活が気に入ってるの」とプルルートが言う。
ネプギアは、そんなプルルートを、「……っ!」と睨むが、続けてネプテューヌが、「ぷるるんの言う通りよ」と言うと、「え……」と絶望した顔になる。
「もう、あなたやいーすんやあいちゃん達に、【仕事しろ】なんて指図されるのは、まっぴらなのよ。その点、ボークはいいわ。毎日遊んで昼寝していても、褒めてくれるんだから」
ネプテューヌが迷惑そうにそう言うと、「それは、みんなお姉ちゃんの為を思って……」とネプギアが言いかけるが、「便利よね。【あなたの為だから】って、言葉。それで人を騙して上手い具合に操るよね」とプルルートが蔑むように言う。
ネプギアは激しく首を左右に振ると、「そんなことない! 私達は本当にお姉ちゃんとプラネテューヌの為を思って!」とネプギアが言う。
しかし、「そう思うなら、わたしのことは放っておいてくれないかしら?」とネプテューヌが迷惑そうに言う。
「だって、女神と国と国民は一体で、互いに助け合っていくべきだって! だから、国民のみんなのお願いを聞いてちゃんとお仕事をしなきゃ!」
ネプギアが訴える。
すると、プルルートが、「相変わらずの良い子ちゃんね~」とからかうように言う。
続けて、ネプテューヌは更に迷惑そうに、「面倒くさい。そういうのは、あなたが全部やればいいのよ。あなたは、わたしよりデキる子なんでしょ? いーすんがいつも言ってるわよ」と言う。その言葉には明らかに嫉妬が混じっていた。
更にプルルートが、「あなたは、ねぷちゃんの為に馬車馬のように働けばいいのよ。それで、全部ねぷちゃんのお手柄にすれば幸せなんでしょ」と続けて言う。
「違う! そんなの間違ってるよ!」
ネプギアが涙を流して訴えるが、「何が間違ってるの? 汗臭くて泥臭くて面倒臭い雑用は全部ぎあちゃんがやって、華々しい成果はあたしとねぷちゃんのもの。適材適所じゃない」とプルルートが言うと、「その通りよ。ネプギア、あなたはわたしの為に何も考えずに働けばいいの」とネプテューヌが言う。
「そんな……」
愕然と両膝を折るネプギア。
「それを出しゃばって、勝手なことばかりして」
ネプテューヌが迷惑そうにそう言うと、「今すぐ、システィーナと共に降伏して、わたしの言う通りにすれば許してあげるわ」と言う。
しかし、プルルートが、「ダメよぉ、簡単に許しちゃ。わたしがたっぷりおしおきしてからよ」と言うと、「そうね。その辺はぷるるんに任せるわ」とネプテューヌが言う。
それを聞いて更に愕然となるネプギアに、「はーーーっはっはっはっはーーーー! いい様だなネプギアぁ! その表情最高だぜ」とイクスが笑う。
「一体どうしちゃったの? ネプテューヌちゃん……こんなのネプテューヌちゃんじゃないよ」
立ち上がったラムがネプギア達の会話を聞いて嫌悪感を露にする。
続けて立ち上がったロムが、「この雰囲気……あの時のネガティヴエネルギーに堕とされた時みたい……」と言う。
あの時と言うのは、暗黒星くろめの一件のことである。
「ネガティヴエネルギー……あの力はよかったわ。本当のわたしを解放してくれたみたいで心が軽かったわ」
二人の言葉を聞いていたネプテューヌがそう言うと、「でも、今はもっと素晴らしいモノがあるのよねぇ~」とプルルートが左手に黒紫色のクリスタルを呼び出す。
「カオスアニマ……。これが、わたしの本心を呼び起こしてくれるのよ」
ネプテューヌがそう言うと、ネプギアは、「はっ……」と言って立ち上がる。
そして、「そのカオスアニマがお姉ちゃん達を狂わせてるんだね!」と言う。
しかし、プルルートは迷惑そうに、「変な妄想止めてくれるかしら? これが、本当のあたしとねぷちゃんよ」と言ってネプギアを蔑む。
「そうよ。カオスアニマこそ、自由の象徴。わたしの本心」
ネプテューヌはプルルートに同意するが、「待ってて、今すぐ私が助けてあげるから!」とネプギアはM.P.B.Lを握って、プルルートの手元にあるカオスアニマを撃とうとする。
「冗談じゃないわ!」
プルルートがそう言うと、蛇腹剣が鞭のようになってネプギアに向かって飛んでいく。
「くっ!」
avoid。ネプギアはM.P.B.Lでカオスアニマに狙いを付けながら、蛇腹剣を避ける。
「その行動、反逆の意志ありと見ていいのね」
ネプテューヌは冷たい声でそう言うと、一瞬の内にネプギアとの間合いを詰める。
「ぐふっ!」
ネプテューヌの右足の蹴りがネプギアの腹部にめり込む。
ネプギアは、2235のダメージを受けると、ゴロゴロと吹き飛び、ボークとの戦闘で負ったダメージと合わせてHPゲージが残り三割のところまで減少してしまう。
続けて、「トドメよ!」と手に持った太刀で追撃しようとするネプテューヌ。
更に、軌道を変えたプルルートの蛇腹剣がネプギアを襲う。
「スロウ・ムーン!」
そこにプラエが超能力を使って、ネプテューヌとプルルートの動きを遅くする。
スローモーションのようになるネプテューヌとプルルート。
「……っ!」
その隙にネプギアは、ネプテューヌとプルルートの追撃から逃れた。
「厄介ね。犯罪組織の女神……」
ネプテューヌがプラエを睨む。
「犯罪組織?」
プラエが不思議そうな声でそう言うと、「邪魔よ。犯罪者の妹のクセに!」とプルルートが蛇腹剣を鞭のように伸ばして、今度はプラエを襲う。
ズキューン!
銃声が響くと、飛翔していた蛇腹剣が地面に叩き落ちる。
「ユニちゃん!」
思わず声を上げるラム。
銃を撃ったのは、後方に居た筈のユニであった。
「ロム、ネプギアを回復して」
ユニの声に、「ちりょうするよ!」と言って、ロムはネプギアに回復魔法をかける。
「ありがとう、ユニちゃん、ロムちゃん」
HPゲージが満タンまで回復して立ち上がるネプギア。
「ユニちゃん、カオスアニマを! カオスアニマを壊して! アレがお姉ちゃんをおかしくさせてるの!」
ネプギアが懸命に叫ぶ。
しかし、ユニは冷静な顔で、「退くわよ」と言う。
「なんで!? アレがあるからお姉ちゃんが! あんなものがあるから、私のお姉ちゃんが!!」
取り乱すように叫ぶネプギア。
「ネプテューヌさんとプルルートさんのコンビと戦うのは不利よ」
ユニが落ち着いてそう言うと、「でも!」とネプギアが食い下がる。
しかし、ユニは立て続けに、「それに、アンタ今戦える精神状態なの!? 今のアンタは冷静さを失ってるわ。そんな状態じゃ勝てるものも勝てないわ!」とネプギアを りつける。
「戻ろう、ネプギアちゃん」
ロムがユニに同意すると、「カオスアニマのことは、イストワールに相談しましょうよ」とラムが言う。
ロムとラムの目にも今のネプギアは冷静さを失っているように見えたのだ。
「逃がさないわよ~」
プルルートが獲物を追い詰めるような目で、再び蛇腹剣を鞭のように飛ばすが、「くっ……」とネプギア左手にボムを呼び出してそれを飛ばす。
ドカーーーーン!
ボムの爆発で推力を失う蛇腹剣。
続けてネプギアは同じく左手にスタングレネードを呼び出すと、それをネプテューヌとプルルートに向けて投げつける。
ドカーーーーン!
スタングレネードが爆発すると激しい音と閃光が辺りを包む。
「今の内に逃げるわよ!」
ユニがそう言うと、ネプギア達はプロセッサユニットのブースターを全開にして逃げ出す。
「……あ~あ、逃げられちゃったわね~」
プルルートが呆れた声でそう言うと、「追うのも面倒だし、そのままでいいかしら?」と続けて言う。
ネプテューヌは小さく頷くと、「そうね」と同意する。
「それにしても、取り乱したぎあちゃん面白かったわね~。【あんなものがあるから、私のお姉ちゃんが】……ですって、ふふふふふっ。もう、ぎあちゃんの姉なんて、まっぴらだって、ねぷちゃんが言ってるのに」
プルルートが笑いながら言うと、「そうね。上から目線で口うるさいクセに、未だに姉離れが出来ないダメな妹なんて、迷惑だわ」とネプテューヌが同意する。
それを見ていたイクスは、「くっくっくっく……たまんねぇな。ネプギアを苦しませるのにこれ以上のシチュエーションはねぇぜ」と笑った。
***
G.C.2021年3月3日 水曜日。
システィーナ地方とプラネテューヌの戦争は第三戦目もシスティーナの勝利で終わり、壊滅的な打撃を受けたプラネテューヌ軍は陣を引き払って、プラネテューヌ本国まで撤退していった。
システィーナ軍も勝利を確認すると、前線駐屯地にいくらかの兵を残し、本隊はシスティーナの街に戻っていた。
勝利の報告に沸き立つシスティーナの街。
だが、ギャザリング城は重苦しい雰囲気に包まれていた。
「……ネプギア様、お食事をとられないと体に悪いですよ」
ネプギアの部屋の前でフィナンシェが心配そうな声を出す。
しかし、ネプギアは、「ごめんなさい……本当に食欲が無いんです……」と返すと、それ以降黙ってしまう。
フィナンシェの横には、冷めた食事を乗せた台車があった。
「どうですか? ネプギアさんの様子は」
イストワールがフィナンシェに問いかけると、「昨日戻ってから部屋に籠りっきりです」とフィナンシェは残念そうに言う。
ユニもロムもラムもプラエも心配そうにネプギアの部屋のドアを眺めている。
ネプギアはギャザリング城に戻ると、必要最低限の戦後処理だけ行うと自室に籠ってしまったのだ。
「ネプテューヌさんに言われたことが、よっぽどショックだったみたいですね」
イストワールが肩を落としながら言うと、「ネプギアちゃん、かわいそう……」とロムが呟く。
すると、「でも、あれはカオスアニマの所為なんでしょ」とラムが言う。
「……そのカオスアニマから、ネプテューヌさんを解放出来なかったことも、追い打ちをかけているんですよ」
イストワールがそう説明すると、「でも、あそこは逃げるのが最善の選択でした」とユニが言う。
「ええ、ユニさんの選択は間違っていません。ただ、ネプテューヌさんを心から慕い真面目過ぎるネプギアさんには、それが耐えられなかったんです」
イストワールが暗い表情で言うと、「ネプギアお姉さん大丈夫なの?」とプラエが心配そうに言う。
「正直なんとも言えません。ただ、今はそっとしておきましょう」
イストワールの言葉に、その場に居たメンバーは解散する。
ネプギアの部屋の中ではネプギアが悲しみに暮れていた。
目は赤く腫れ、頬には涙の痕があった。
(お姉ちゃん、どうして? どうしてなの? 私、そんなに嫌な子?)
ネプギアはそう思いながら枕に顔を埋める。
(ううん、アレはカオスアニマの所為。……だけど、Vさんは、カオスアニマは普段人が抑圧している負の感情を解放する物だって言ってた……と、言うとはお姉ちゃんは、心の何処かで私のことを煩わしいと思っている……)
ネプギアはそう思うと、再び目から涙が溢れてくる。
(私は、お姉ちゃんを尊敬していて、お姉ちゃんが大好きで、お姉ちゃんと仲良く暮らしたいだけなのに……)
ネプギアはそう言うと右手で涙を拭うと、「……私、そんなに邪魔なのかな……」と呟くと、天井を見上げる。
「……大分落ち込んでいるようじゃな」
そんなネプギアに声が掛けられる。
やや年配の女性の声だ。しかし、声はするが姿は見当たらない。
「……ウラヌスさん」
その声に気付いたネプギアが声の主の名前を呼ぶ。
ウラヌスは先代のプラネテューヌの女神で、犯罪神との戦いで命を落とし今は意識だけの存在になってギャザリング城に住んでいる者だ。
「大体の事情は城の者達の会話で知っている。気持ちはわかるが、皆心配しているぞ」
ウラヌスがそう言うと、「……ごめんなさい。みんなに心配かけてるってわかってはいるんですけど……」とネプギアが申し訳なさそうに言って俯く。
「それでも立ち直れないか……重症じゃな」
ウラヌスはそう言うと、「ふぅ……」とため息を吐く。
「人間誰しも裏の面はある。ネプテューヌに関してもそうじゃ」
ウラヌスの言葉に、顔を上げるネプギア。
「……お姉ちゃんもですか? お姉ちゃんは守護女神で強くて明るいのに?」
ネプギアの疑問に、「女神とて生き物じゃ感情はある。ワシもそうじゃ」とウラヌスが言う。
「ウラヌスさんも!?」
驚くネプギアに、ウラヌスは、「こんなふうに悟った物言いはしているが、生きているお前達が羨ましい……いや、妬ましいと思うことすらある」と言う。
「ウラヌスさん……」
寂しそうな声を出すネプギア。
ウラヌスに同情しているようだ。
「ワシも生きて信者の皆と触れ合いたい、一緒にゲームをしたい、と思うこともある」
ウラヌスがそう言うと、「でも! それは当然のことで……」とネプギアが言いかける。
「そう、当然のことじゃ。ネプテューヌもそうじゃ、お主のような真面目で優秀な妹が居ればプレッシャーになるだろう」
ウラヌスの言葉に、「……そんな、私、優秀だなんて……平凡で面白味のない普通の子ですよ」とネプギアが少し落ち込み気味に言う。
「そう思っているのは、お主だけじゃ。考えてもみい、ルートビルド計画やネープギアの成功を。普通の子にこんなことはできんよ」
ウラヌスがそう言うと、「それは、沢山の人が協力してくれたお陰で、私なんて大したことは……」とネプギアが言う。
「この際、お主が自分のことをどう思っているかは置いておこう。お主の活躍は正直ワシも妬ましいと思うくらいじゃ」
ウラヌスの言葉にネプギアは、「ウラヌスさんもですか!?」と驚く。
「そして、イストワールや友人達が、お主たち姉妹を比べてしまうのも仕方ないことじゃ。ああ見えているがネプテューヌもそれなりに悩んでいるのじゃろう」
ウラヌスの言葉に、「……お姉ちゃんが……全然そんなふうに見えなかったけど」とネプギアはショックを受けているようだ。
そんなネプギアに対して、「妹の前で、そんな弱気な態度は見せられまい」とウラヌスが言うと、「そんな心の小さな隙を、ネガティヴエネルギーやカオスアニマに付け込まれたんじゃろう」と続けて言う。
「……私、どうしたらいいんでしょうか?」
ネプギアの疑問に、「カオスアニマを破壊し、その上でネプテューヌとよく話すことじゃ。仲の良い姉妹だからこそ、今まで言えなかったこともあるだろうに」とウラヌスが答える。
「……わかりました」
ネプギアはそう言って頷くと、「話をしてくれてありがとうございます。少し元気出ました」とウラヌスに向けて言う。
「こちらも、勝手に入ってきてすまなかったな」
ウラヌスが詫びると、「いいんです。心配をかけた私が悪いんです」とネプギアが言う。
「お主の力になれたようで何よりじゃ」
ウラヌスが安心した口調でそう言うと、【くぅ~~】とネプギアのお腹が可愛らしい音を立てる。
見れば時計は既に午後十時を回っていた。丸い一日食べなければお腹も空くというものだ。
「あはは……安心したらお腹空いちゃったみたいです」
ネプギアが照れながら言うと、「何か食べて来るといい。顔を見せれば心配していた者達も安心しよう」とウラヌスが言った。
ネプギアは、「はい」と元気よく答えると部屋を出て行く。
***
ネプギアが広間に顔を出すと、「ネプギアお姉さん!」とプラエが明るい声を出す。
プラエは座っていた椅子から降りると、ネプギアに抱きついた。
「心配かけちゃったみたいで、ごめんね」
ネプギアが謝ると、「ううん、ネプギアお姉さんが元気になってくれればそれでいいの」と言ってプラエが微笑む。
それを少し遠くで見ていた、あんみつが、「軽く何かお作りましょうか?」と質問すると、「お願いします……お腹空いちゃって」とネプギアが少し恥ずかしそうに言う。
暫くすると、あんみつの作った軽めの和食がテーブルに並ぶ。
「いただきます」
手を合わせて、いただきますをするネプギア。
暫くは、ネプギアが食事を取る音だけが広間に響いていた。
「プラエちゃん、こんな遅くまで起きてたの?」
空腹がある程度落ち着いたのか、ネプギアは食事をしながら、座ってたプラエに話しかける。
あんみつが食事を作るなりしている間に、時計は既に午後十一時を過ぎていた。
広間にも、ネプギアとプラエとあんみつ以外の人影はなかった。
「……ネプギアお姉さんが心配だったし……それに……」
プラエはそこまで言うと、「あんみつに聞きたいことがあったから」と続けて言う。
「私にですか?」
自分を指差しながら、驚きの声を上げる、あんみつ。
「うん……」
プラエは元気なさそうに頷く。
ネプギアが心配そうに、「どうしたの? プラエちゃん」と問いかけると、「……プラエ、犯罪組織なの?」とプラエが切なそうに言う。
「「えっ!?」」
思わず驚きの声を上げるネプギアとあんみつ。
あんみつは、【ごくり】と唾を飲み込むと、出来るだけ平静を装って、「……何故、そのようなことを?」とプラエに尋ねる。
「あの時、ネプテューヌさんが言っていたの。プラエのことを【犯罪組織の女神】って」
それを聞いたネプギアは強い覚悟を秘めた瞳で、「あのね、プラエちゃん……」と言いかけるが、「ネプギア殿!」とあんみつが凄い剣幕でネプギアを止める。
ネプギアは、あんみつの剣幕に圧され思わず、「……っ」黙ってしまう。
「どうしたの……あんみつ……何だか怖いよ」
あんみつのあまりの剣幕に驚くプラエ。
あんみつは軽く頭を下げると、「申し訳ありません。少し取り乱してしまいました」と冷静に言う。
「ネプテューヌ殿の言うことは気にしな方がよろしいかと。プラエ様は犯罪組織とは無関係です」
あんみつがそう言うと、ネプギアは少し困った顔をしてしまう。
その顔は、【真実を伝えるべきでは】と言っていた。
しかし、あんみつはネプギアのその顔に対して、頑なに首を左右に振る。
「…………」
あんみつの心情を悟ったネプギアは、その話題には口を挟まないとの意思を示すかのように、残りの食事を食べ始めた。
「でも、プルルートさんもプラエのこと、【犯罪者の妹】って言ってた。もしかして、姉さまは犯罪組織の人なの?」
プラエが心配そうな顔で言うと、「プロテノール様はそのような方ではありません」とあんみつはキッパリと言う。
ネプギアには嘘だと分かっていたが、プラエに真実を伝えれれない、あんみつの心情を察して何も言えないでいた。
「……そうだよね。犯罪組織って、昔ゲイムギョウ界をダメにしようとした悪い人達だよね。プラエはそんな人達のこと知らないし、姉さまも関係ある筈ないよね」
プラエはそう言うと、椅子から降りて、「もう寝るね。おやすみなさい」と言って部屋に戻って行った。
プラエの姿が見えなくなったのを確認したネプギアは、「ごめんなさい。お姉ちゃんが余計なこと言っちゃったみたいで」とあんみつに謝る。
あんみつは力なく首を左右に振ると、「いいんです。いずれはこのような日が来るとは思っていましたから」と答える。
「……でも、本当のことは言ってあげられないんですね」
ネプギアがそう呟くと、「申し訳ありません。プラエ様がもう少し大きくなられたら、もう少し強くなられたら、いずれお話しようと思います」とあんみつが言う。
続いてあんみつは深く頭を下げると、「それまでは黙っていて下さい。お願いします」と言うと、「あ、頭を上げて下さい。わかりました、あんみつさんの言う通りにしますから」とネプギアが慌てて言う。
(私もいつかプラエちゃんと真実と向き合わなくちゃいけない。マジック・ザ・ハードを……プロテノールさんを倒した私をプラエちゃんは許してくれるのかな?)
ネプギアはそんなことを考えながら残りの食事を平らげると、「ごちそうさまでした」と言って一礼した。
***
G.C.2021年3月11日 木曜日。
システィーナ軍がプラネテューヌ軍を打ち破ってから一週間。
プラネテューヌ軍を破りはしたが、ボークを止めただけではプラネテューヌの暴走を止められないと分かったイストワールは各国の女神に更なる協力を要請することにした。
イストワールの呼びかけにより、ギャザリング城の会議室に足を運んだノワールとブランとベール。
会議室には他にはネプギアとイストワールと神次元のイストワールが居た。
「なるほど……カオスアニマね」
イストワールの話を聞き終えたノワールがそう言うと、「ふぅ……悪墜ちしたプルルート、厄介だわ」と溜息を吐く。
「ネガティヴエネルギーと同じく悪墜ちさせるようなモノを今の今まで放置していたのは問題ね」
ブランの言葉に、「申し訳ありません。どうしてもプルルートさんが手放さなかったので……」と神次元のイストワールが申し訳なさそうに言う。
「あなたはプルルートに甘すぎですわ。だから、プルルートが増長するのではなくて?」
ベールにも責められた神次元のイストワールは、「本当に申し訳ありません……」とかわいそうになるぐらい小さくなって謝る。
「わたしもプルルートさんから、カオスアニマを取り上げることが出来なかったので同罪です」
ネプギアが神次元のイストワールを庇うようにそう言うと、「そうね。あなたもイストワールも同罪ね。あなた達がネプテューヌとプルルートを甘やかし続けた結果がコレよ」とノワールが厳しい声を出す。
「尻ぬぐいされる側の気持ちにもなってほしいわ」
ブランはノワールに同調するが、「まあまあ、責めるのはこの辺にしませんか?」とベールがネプギア達をフォローする。
すると、「……確かに話が進まないしね」とノワールも妥協し、「それで、わたし達に何を頼むつもりなの?」とブランも妥協する。
三人の女神の態度に、「ありがとうございます」とネプギアは頭を下げる。
「皆さんも察しているとは思いますが、女神候補生だけでは、ネプテューヌさんとプルルートさんのコンビを止めることは非常に難しいと思われます。なので、皆さんにあの二人を止めて欲しいのです」
イストワールの要望に、「そんなことだろうと思ったわ」とノワールが少し呆れたように言う。
ベールは少し難しい顔をして、「あの二人のコンビネーションを止めるのは少々骨ですわね」と言うと、「確かにね。あの二人の相性の良さには舌を巻くわ」とブランが言う。
「でも、いい機会ね。プルルートのあの【自分こそが最強】って態度、前から鼻ついてたのよ」
ノワールが少し低い声でそう言うと、「それは、わたくしもですわ」とベールが同調し、「あの傲慢な鼻っ柱、へし折ってやる」とブランが目を赤くして指をポキポキと鳴らす。
負けず嫌いで、自分こそが一番と信じている彼女達は、いつかプルルートに挑戦できる日を楽しみにしていたようだ。
「それで、いつ仕掛けるの?」
最初の乗り気じゃない態度は影を潜め、今すぐにでもプルルートに挑みそうな勢いのノワール。
「提案しておいて申し訳ないのですが、戦力的にシスティーナからプラネテューヌに仕掛けるのは不可能です」
イストワールがそう答えると、「向こうから仕掛けてくるのを待つのですわね」とベールが頷く。
「仕方ないわね……」
残念そうに呟くブラン。
「私達が、前回のようにネプテューヌさんとプルルートさんを引きずり出しますので、その時に皆さんに戦って欲しいのです」
イストワールの言葉に、「了解したわ」とノワールが答え、「了解ですわ」とベールが言い、「わかったわ」とブランも了解する。
「それと、ぴーし大陸とISクリスタルの件の報告書も読ませてもらったわ。これも無視できない問題だけど、今は後回しね」
ノワールがそう言うと、「そうね。今はネプテューヌ達の目を覚まさせるのが先決」とブランが同意する。
「問題が山積みですわね。イクスと邪神は繋がっているみたいですし、まずはイクスを何とかしましょう」
ベールの言葉に、「はい、それが良いと思います」とイストワールも同意する。
***
会議が終わり、三人の女神が国に帰った後、ネプギアが自室で研究をしていると、【コンコン】とドアがノックされる。
ネプギアが、「はーい」と答えると、「アタシだけど、今大丈夫?」とユニの声がする。
「いいよー!」
ネプギアがそう言って鍵を開けてドアを開くと、ユニとロムとラムとプラエが部屋に入ってくる。
「お姉ちゃん達どうだった?」
ユニがネプギアにそう尋ねると、「協力してくれるって。お姉ちゃん達が出て来たら戦ってくれるって言ってたよ」とネプギアが答える。
それを聞いたユニは、「よかったけど、正直悔しいわね。アタシ達だけじゃネプテューヌさんとプルルートさんに敵わないって言うの……」と顔を落とす。
「そんなことないわよ。わたし達だって、誓約花やオーディンのおじーちゃん達のアーティファクトでパワーアップしてるんだから!」
ラムがそう言って息巻くと、「負けないよ(ぐっ)」とロムも小さくガッツポーズをする。
ユニはそんな二人に対して首を左右に振ると、「それでも修行不足ってことよ」とキッパリ言う。
「今度、伏姫さんのところに行ったら、もっと誓約花の力を引き出せないか相談してみようよ」
ネプギアの提案に、「うん、プラエもそれがいいと思う」とプラエが頷く。
「それで、次はいつ戦うの?」
ラムの質問に、「プラネテューヌ軍が仕掛けて来るのを待つんだよ」とネプギアが答える。
「えー? 待つだけなの~」
頬を膨らませて不満そうなラムに対して、「無茶言わないの。こっちだって戦力があまりある訳じゃないんだから」とユニが注意する。
「それまでに強くなりたいな」
ロムがそう言うと、「そうだね。そうなれればいいね」とネプギアが言った。
そこまで話すと、【コンコン】と再びドアがノックされる。
ネプギアが、「はーい」と答えると、「私ですけど、面会して欲しい方がいるのです」とイストワールの声がする。
「わかりました」
ネプギアがそう言うと、ネプギア達が部屋から出て来る。
すると、「ユニさん達も一緒でしたか。それなら丁度よかったです」とイストワールが言う。
「それで、面会って誰ですか?」
ネプギアが尋ねると、「ヴァイス・ラボの社長です」とイストワールが答える。
「ヴァイス・ラボ……? 聞いたことがあるような……」
ラムがそう言いながら腕組みして首を傾げると、「プラネテューヌのゲーム会社だよ。【四女神オンライン】を運営しているところ」とネプギアが説明してくれる。
それを聞いたユニが、「あそこの社長って言うと、GMさん」と言うと、「じーえむ?」とプラエが首を傾げる。
「ゲームマスターの略で、ゲーム全体を管理する人のことだよ。社長だけどGMとしてゲームの中に入って来て何度か私達とも話したことがあるの」
ネプギアの説明に、「そうなんだー」と納得するプラエ。
「GMさん、何の用事なのかな?」
ロムが不思議そうに尋ねると、「プラネテューヌ……正確には悪墜ちしたネプテューヌさん達とボークに無理難題を突き付けられて、システィーナに助けを求めに来たようです」とイストワールが答える。
***
「四女神オンラインを【双女神オンライン】に変えろ?」
ヴァイス・ラボの社長と面会したユニが首を傾げながら言う。
ネプギアの目の前には金髪のロングヘアーの女性が居た。彼女がヴァイス・ラボの社長だ。
「何で、そんなことを?」
ネプギアが尋ねると、「今の四女神オンラインで四女神様が対等な立場で扱われているのは、現在のプラネテューヌの法律に触れるとのことです」とヴァイス・ラボの社長が切なそうに答える。
それを聞いたイストワールは、「例の女神カースト制度という悪法ですか……」と苦々しい顔を浮かべる。
今のプラネテューヌが取り入れている女神カースト制度とは、ネプテューヌとプルルート絶対の女神でそれ以外は信仰に値しないと言うものである。
「それにより、ブラックハート様、ホワイトハート様、グリーンハート様を模したNPCをリストラした上で、アイリスハート様を加えパープルハート様との双女神と改名しろと毎日のように圧力を加えてくるのです」
ヴァイス・ラボの社長がそう言うと、「なんて横暴なの……四女神オンラインは世界中の人達がプレイするゲームなのに」とユニが唇を噛み締める。
ネプギアは悲しそうな顔で、「……お姉ちゃんがご迷惑をお掛けしているみたいで申し訳ありません」と謝る。
「それで私達も、もう限界で拠点をシスティーナに移そうかと思うのです……受け入れてはいただけませんか?」
ヴァイス・ラボの社長の言葉に、「わかりました。受け入れます」とネプギアが答えると、「私達も力不足が原因でもありますし、システィーナでは自由に活動して下さい」と続けて言う。
それを聞いたヴァイス・ラボの社長は、「ありがとうございます!」と頭を下げた。
(私の好きなプラネテューヌが、どんどん変わって行ってしまう……早くお姉ちゃん達を止めなきゃ……)
ネプギアはそう思うと、両手を【ぎゅっ】と強く握った。
***
ノワールたち三人の女神達と会議をしてから約一週間。
G.C.2021年3月17日 水曜日。
ネプギア達女神候補生とプラエは、プラエのエリキシル剤の材料を集めにゲムドラジルを訪れていた。
「更なるパワーアップをしたい?」
伏姫の疑問にネプギアは頷くと、「今のままでは、お姉ちゃん達に敵わないんです。お姉ちゃんを元に戻す為にもっと強くならなきゃいけないんです!」と必死に訴える。
「気持ちは分かりますが、焦りは禁物です。既にあなた達は急激とも言えるパワーアップを遂げています。これ以上は体の負担も大きいでしょう」
伏姫の忠告に、「私達はシスティーナを守って、お姉ちゃんを元に戻さなきゃいけないんです。よろしくお願いします」と言ってネプギアは頭を下げる。
「事情を聞きましょう」
伏姫が折れて、ネプギアの話を聞こうとする。
ネプギアは、「実は……」と言ってここ最近での出来事を伏姫に話した。
システィーナのこと、カオスアニマに魅せられたネプテューヌとプルルートのこと……。
「……なるほど」
話を聞き終えた伏姫が深く頷くと、「そういうことなら協力しましょう」と言った。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
思わず頭を下げてお礼を言うネプギア。
「それでは、あなた達には仁義八行の珠との同調を更に深めてもらいます」
伏姫がそう言うと、「同調? 仁義八行の珠と?」とユニが質問する。
すると、「そうです。仁義八行の珠と波長を合わせるのです」と伏姫が頷いた。
「はちょーってどんなの? アチョーとは違うの?」
ラムの疑問に、「アチョーはちょっと違うと思うよ」とネプギアが困り顔で言い、「何でカンフーが出て来るのよ……」とユニがツッコミをする。
それを見た伏姫は、「クスッ……」と微笑むと、「仁義八行の珠を出して下さい」と言う。
その言葉にネプギア達は素直にポーチから仁義八行の珠を呼び出す。
「目を閉じ、神経を集中させて下さい」
伏姫の言葉に、全員が目を閉じる。
「む~~ん」
謎の掛け声を出すロムに、「そんなに力まなくてもいいですよ」と伏姫は優しい声を出す。
「なにか感じませんか?」
伏姫の問いかけに、「……何か、モヤッと輪みたいなものを感じる……」とプラエが言う。
それを聞いたラムが、「えー? わたしは何も感じないわよ?」と言うが、伏姫に、「ラムはもっと心静かに集中を」と軽く注意されると、「はぁい」とラムは渋々頷く。
「プラエちゃんの言う通り、何か珠みたいのを感じます」
ネプギアがそう言うと、「うん、ドクドク動いてる感じ」とロムが言う。
ネプギア達の心には、収縮と膨張を繰り返す。臓器のような光の珠が感じられていた。
「それが感じられれば十分です。後はその珠の膨張に合わせて、気を発するのです」
伏姫がそう言うと、「気を発する……?」とユニが質問する。
「簡単に言えば攻撃すると言う事でしょうか」
伏姫が説明をすると、「わかりました! 【気を発するのに、ハッスルする】。ですね」とネプギアが自信満々のドヤ顔を決め込む。
「わーー! ネプギアのダジャレ久しぶりーーー!」
大声を上げて喜ぶラム。
更にロムも、「ネプギアちゃん、楽しい(にこにこ)」と嬉しそうに微笑む。
「久しぶりになっちゃってごめんね。最近展開がシリアスだったし、ネタがなくって」
ネプギアが二人にそう答えると、「息抜きもいいですが、真剣に」と伏姫が言う。
「はい! 頑張ります」
ネプギアは気を取り直して、そう言うと、ポーチからビームソードを出す。
「珠の膨張に合わせて攻撃、珠の膨張に合わせて攻撃……」
ネプギアが呟きながらビームソードを何度か縦に振る。
ユニは銃を構え、ロムとラムは杖を振り、プラエも鎖を振っていた。
そうしている内に、ネプギアの中で何かが嚙み合った。
「はっ! この感じ!」
ネプギアが嬉しそうに叫ぶと、「何か感じたようですね」と伏姫がニッコリ微笑む。
「はい! 珠と一体になる感じ。ゲームで言うならジャストアタックみたいな感じです!」
ネプギアがそう言うと、「アタシも感じたわ!」とユニが続く。
更に、「わたしも感じた……」とロムが嬉しそうに言うと、「わたしもわたしもー」とラムが言う。
続けて、プラエも、「プラエにも出来たよ」と言うと、伏姫は、「みんな飲み込みが早いのね」と感心する。
「何だか少し強くなれた気がします。ありがとうございます、伏姫さん」
ネプギアがそう言ってお礼を言うと、「今の珠と同調するタイミングを忘れないように。後は珠と心を通わすのも忘れないで下さいね」と伏姫が言う。
「珠と心を通わす……」
ネプギアが不思議そうな顔をすると、「ネプギアなら、【考】の想いを忘れないように、ユニなら【礼】の想いを、ロムとラムなら【悌】、プラエなら【信】、それぞれの仁義八行を大事にして下さい」と伏姫が説明をしてくれる。
ネプギアはそれを聞いて、「わかりました」と素直に頷くと、「あなた達の武運を祈ってますよ」と伏姫が言った。