新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
G.C.2021年4月29日 木曜日。
今日は祝日ということもあり、ネプギアは研究室でNギアの改造をしていた。
「ふんふんふ~ん」
鼻歌交じりにご機嫌でNギアをいじくるネプギア。
その隣にはミリオンアーサーとチーカマが居た。
「にわかには信じ難いな。そのNギアがわたしの召喚と同じ機能を持つようになるなんて」
ネプギアの作業を見ながらミリオンアーサーが口を開く。
するとチーカマも、「本当に出来るの?」と疑問顔を浮かべる。
「前々から、ミリオンアーサーさんの召喚魔法には興味があったんです。それを私なりにNギアで再現してみたんです」
二人の疑問に答えるネプギア。
続けて、「今までは再現不可能だったんですけど、新しい魔法合金ギアメタルによって再現できそうなんですよ」とネプギアが言うと、「そのギアメタルもお主が発明したものだと聞いた。ネプギアは優秀なのだな」とミリオンアーサーが素直に感心をした。
「そんな優秀だなんて……それにギアメタルは沢山の人が研究に携わってくれたお陰で出来たものですから、私だけの力じゃないですよ」
ネプギアが恥ずかしそうに謙遜すると、「ネプギアは相変わらず謙虚じゃなぁ~。ういやつ、ういやつ」と言ってミリオンアーサーがネプギアのほっぺたをつつく。
「み、ミリオンアーサーさん……」
恥ずかしそうな声を上げるネプギア。
Nギアをいじるので手が塞がっていたネプギアは、ミリオンアーサーのされるがままになっていた。
「なにイチャイチャしてるのよ。この変態アーサー!」
そんなミリオンアーサーを叱るチーカマ。
そんなやり取りを繰り返しつつ、ネプギアによるNギアの改造は続けられた。
「出来ました!」
ネプギアがNギアのカバーを閉じながら言うと、「見た目は変わっておらんな?」とミリオンアーサーが首を傾げる。
するとネプギアは、「改造したのは中身ですから」と答える。
「それで? どんなふうに使うの?」
チーカマがネプギアに尋ねる。
するとネプギアはNギアのインベントリ倉庫から、ゼリーのようなアイテムを呼び出す。
それを見たチーカマが、「なに? そのゼリーは?」と首を傾げる。
「これはスライヌゼリーです。スライヌを倒すと手に入るんですよ」
ネプギアの説明に、「わかったぞ。そこから因子を取るのだな」とミリオンアーサーが納得する。
ミリオンアーサーの言葉に、「はい、正解です」とネプギアが嬉しそうに頷く。
ネプギアはスライヌゼリーを、Nギアに付けた新たなる機能、【召喚アプリ】に読み込ませる。
「よし、準備できました。中庭で実験しましょう」
ネプギアがそう言うと、三人はギャザリング城の中庭に向かう。
中庭には、ユニとロムとラムにプラエの四人、それに大きいネプテューヌとクロワールが居た。
「あれ? みんな、何してるの?」
ネプギアがユニ達に尋ねると、「見てわからない?」とラムが言う。
そう言ったラムは、両手を高く上げたり、足を伸ばしたりして、拳法のような構えをして、「よっ! はっ! たーっ!」と気合を入れるように叫んでいた。
その姿がネプギアにはテレビなどで見る健康体操に見えたので、「何かの体操?」と答えた。
しかし、ラムは不満そうに頬を膨らませると、「違うわよー! わからないのー!?」と言ってまた同じような動きをする。
「分かる訳ないでしょ……」
そんなラムに呆れたような声を出すユニ。
そのユニは精神を統一するように座禅を組んでいた。
「プラエ達、ツインドライブの練習してるの」
プラエが説明すると、「ツインドライブの?」とネプギアが首を傾げる。
ツインドライブは先のプラネテューヌとの戦争でネプギアが見せた、本来の女神の力と女神メモリーを同調させて、シェアエネルギーの相乗効果を生み出すパワーアップだ。
見れば、ユニ達の側には神次元から取り寄せた女神メモリーが何個か転がっていた。
「アンタだけ出来て、アタシ達が出来ないなんてカッコ悪いでしょ」
ユニがそう言うと、「わたし達頑張る(ふんす)」とロムが気合を入れてラムと同じような体操を始める。
するとクロワールが、「俺はそのアドバイスに駆り出されたって訳だ」と退屈そうに言う。
それを見た大きいネプテューヌは、「いいじゃない。どーせ暇だったんだし」と言う。
「ツインドライブか……私の中では二つの女神の力を解け合わさせる感じだったけど」
ネプギアがそう言ってアドバイスすると、「それをアタシなりに実践してるんだけど、なかなか上手くいかないのよ」とユニが不満そうに答えた。
「でも、資質だけはあるぜお前等。お前達はネプギアと同じで、超次元と神次元の二つの次元のシェアを持ってるんだからな」
クロワールはそう言うと、「後はお前等の努力次第だな」と続けて言う。
「ところで、ネプギアお姉さんは何しに来たの?」
今度はプラエがネプギアに質問をする。
するとネプギアはNギアを見せながら、「Nギアの新しい機能の召喚アプリの実験をしに来たんだよ」と答える。
「召喚アプリ?」
プラエが首を傾げると、「ミリオンアーサーさんのエクスカリバーと円卓の力を参考に作ったプログラムなの。因子を使って色々な召喚が出来るんだよ」とネプギアが説明をした。
すると、「えー! なにそれ! 面白そう!」とラムが体操を止めてネプギアに駆け寄る。
ロムも、「見たい見たい(わくわく)」と言ってネプギアの側に行く。
「こら! 今は修行中でしょ!」
ユニが注意をするが、「……プラエも見てみたいな」とプラエが言うと、ユニは、「はぁ……」とため息をついて座禅を解いて立ち上がる。
「丁度、行き詰ってたし休憩にしましょうか」
ユニがそう言うと、「「「やったーーー」」」とロムとラムとプラエが万歳をした。
「それでは、早速見せてもらおうかな。ネプギアの王の力を」
ミリオンアーサーがそう言うと、「はい」と言ってネプギアがNギアを構える。
そんなネプギアの姿を全員が固唾を呑ん見守る。
「召喚っっ!!」
ネプギアがそう叫ぶと、何もなかった場所にスライヌが現れる。
スライヌは、「ぬら~」と言うと周囲をウロウロし始めた。
「やったーーーー! 成功っ!」
嬉しそうに飛び跳ねるネプギア。
ネプギアは続けて、「おいで~!」とスライヌを手招きすると、「ぬら~」とスライヌがやって来る。
「うーん、この手触り、本物のスライヌだよー」
嬉しそうにスライヌを撫でるネプギア。
「すごいすごいーーー! わたしにも作ってーーー!」
ラムが羨ましそうにそう言うと、「わたしはネコちゃんが欲しいな」とロムが言い、「プラエはウサギさん」とプラエが言う。
ネプギアは、「うん、いいよ。後で改造してあげるね」と言う。
「なーんだ、スライヌ召喚するだけかよ。つまんねーの」
クロワールが心底つまらなそうに言うが、「えー? 面白いと思うけどなー。わたしもクロちゃん二号とか三号作ってもらおうかなー」と大きいネプテューヌが言う。
それを聞いたクロワールは顔を青くしながら、「げげっ!? やめろよ。俺は量産できるものじゃねーぞ」と抗議した。
「でも、スライヌ呼ぶ程度じゃ、ペットにしかならないわね」
ユニがそう言うと、「そんなことないよ。強い因子が手に入れば強力な召喚もできるよ」とネプギアが言う。
「そんなこと言ったって、強い因子なんてそうそう手に入るものじゃないでしょ? それにアタシ達女神なのよ。そんじょそこらの因子使うぐらいなら自分で戦った方が強いわよ」
ユニの言葉に、「それもそうだね」と納得してしまうネプギア。
そんな二人に対してミリオンアーサーが、「うむ、こういう時こそ、多々買いの時だな」と言う。
「「戦いの時?」」
ネプギアとユニが声をハモらせてミリオンアーサーに質問するが、「違う。多々買いだ!! どんな低確率のガチャでも出るまで回せば確率100%!! さあ、今こそ魔法のカードを使う時!!」とミリオンアーサーがクレジットカードを出しながら力説する。
「貯金も無いのになにやろうとしてるのよ。バカアーサー!!」
そんなミリオンアーサーを思いっきり叱るチーカマ。
クレジットカードも没収されてしまう。
思わず、「しょぼ~~ん」と落ち込んでしまうミリオンアーサー。
「何か真似してはダメな大人の片鱗を見た気がするわ」
ユニがそう言うと、「そうだね。ご利用は計画的にだよね」とネプギアが答える。
そんな話をしていると中庭にサンジェルマンが現れて、「皆さま、お客様です」と言って頭を下げる。
「お客様? 誰ですか?」
ネプギアが不思議そうな顔で尋ねると、「ゼウス様がいらっしゃいました」とサンジェルマン答える。
「えー? あの浮気オヤジー」
ユニは微妙に嫌そうな顔をするが、ネプギアは明るい声で、「強い因子が手に入るかも!」と言った。
***
ネプギア達システィーナの女神はギャザリング城の客室でゼウスと面会をしていた。
「ネプギアちゃん! ワシの愛を受けてくれる気になったんじゃな~~!」
そう言って、ネプギアに飛び掛かるゼウスの顔面に、【がすっ】と言う鈍い音と共にユニの靴の底がめり込む。
ユニがゼウスの顔面に蹴りを入れたのだ。
ズルズルと床にずり落ちるゼウス。
ユニはそんなゼウスを見下ろしながら、「何処をどうすれば、そーゆー結論に辿り着くのよ!」と腕を組んで怒りを露にする。
「だって……ワシの因子が欲しいって、つまりそういうことじゃろ? ワシとネプギアちゃんでチョメチョメやって~」
ゼウスがそう言うと、「それ以上喋るなっ!」と言ってユニがゼウスの口の中に銃を突っ込む。
「んぐぐぐ!?」
顔を真っ青にして両手を上げるゼウス。
「ユニお姉さん、怖い……」
「うん、ユニちゃん怖いね(ぶるぶる)」
プラエとロムはユニの剣幕に思わず震えてしまう。
「ゼウスさん、私の話ちゃんと聞いてましたか? もう一度言いますのでちゃんと聞いて下さいね」
ネプギアがそう言うと、ゼウスは口に銃を突っ込まれながらも、必死にコクコクと頷く。
「このNギアの新機能、召喚アプリは色々な力を召喚できるんですが、それを使うには因子が必要なんです。それでゼウスさんの力も召喚してみたいので、因子になるような物を分けて欲しいんです」
ネプギアがNギアの召喚アプリを起動してその画面を見せながら簡潔に説明をする。
すると、「わかったでしょ? アンタといかがわしい真似がしたいなんて一言も言ってないのよ」とユニが言う。
「んぐんぐんぐ!!!」
口に銃を入れられながらも懇願するように何度も頷くゼウス。
先程、一度説明はしたのだが、それを勘違いしたゼウスがネプギアに飛び掛かって今に至るのだ。
ちなみにゼウスの自身の用事はシスティーナ建国のお祝にかこつけて、ネプギア達を口説きに来たのだった。
勿論、全員に断れれたが。
「わかったなら、もう二度とおかしな真似はしないでちょうだい」
ユニはそう言うと、ゼウスの口から銃を抜く。
「やれやれ……死ぬかと思ったわい……」
ゼウスがそう言うと、「アンタの出方次第では殺すつもりだったけどね」とユニが冷たい声で言う。
「ひぃ~~!?」
ガクガクと震えるゼウス。
「それじゃあ、何か因子になるようなものを下さい」
ネプギアの言葉に、「ちょっと待って。そう言われても直ぐに出るものじゃないんじゃ」とゼウスは下半身の衣服を脱ごうとする。
「きゃっ!? なにを!?」
思わず目を覆うネプギア。
「なにって……因子をシコシコって……」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!
ゼウスが喋った瞬間、周囲に機関銃の音が鳴り響く。
同時にゼウスの足元に銃弾の雨が降り注いだ。
「アンタ、死にたいのね?」
銃を放ったのは女神化したユニであった。
「ひぃぃぃぃぃ~~!?」
下半身裸で怯えるゼウス。
さっきの銃撃で誤って下半身の衣服を落としてしまったようだ。
それを見たユニの目が怒りで更に吊り上がる。
「そう、そんなに死にたいのなら殺してあげるわ!!」
エクスマルチブラスターの銃口をゼウスの眉間に押し付けるユニ。
「ユニちゃん、ストップストップ~~!」
慌ててユニに抱き着いてストップをかけるネプギア。
「離しなさい! こんな露出狂の色情魔はアタシが地獄に落としてやるわ!」
抵抗するユニだが、「ユニちゃん、私大丈夫だから落ち着いて、お願いだから落ち着いて!」とネプギアが言うと、ユニは黙ってエクスマルチブラスターの銃口をゼウスの眉間から外して変身を解除する。
ゼウスは顔を真っ青にしながらも、「ふぅふぅ……ヘラよりも恐ろしいわい……恐るべし百合の力」と呟いて下半身の衣服を身に纏う。
「あ、あの~……因子って言うのは、ゼウスさんの力の籠ったアイテムとかで、尿検査とかとは違うんですよ」
ネプギアがゼウスに説明をする。
どうやらネプギアの目には先程のゼウスの行動は尿検査に見えたようだ。
「ワシの力の籠ったアイテムと言われてものぉ~」
ゼウスがそう言って首を捻ると、そのアゴに小さな手が迫る。
ぶちぶちぶちいっ!!
同時に何かが引き千切れる音がする。
「ふごおっ!!!??」
ゼウスは何とも言えない叫び声を上げる。
するとラムが、「いえーい! 浮気おじさんのおヒゲ、ゲット~!」と楽しそうな声を上げる。
その左手には毟られたゼウスの髭が握らてていた。
「ら、ラムちゃん、何やってるの?」
ラムの突然の行動に驚きの声を上げるネプギア。
するとラムは、「だって、浮気おじさんのおヒゲって引っ張りやすそうなんだもん」と無邪気に答える。
「だ、だからって……! ご、ごめんなさい、ゼウスさん」
慌てて頭を下げて謝るネプギアだが、ゼウスは未だうずくまりながら、「ふぐぐぐぐ……」と唸っている。
どうやら相当効いたようだ。
「これって、因子ってヤツになるのかな? なるよね多分」
ラムはそんな二人を無視するかのように、ネプギアが机の上の置いておいた、召喚アプリを起動しっぱなしのNギアにゼウスのヒゲを登録する。
するとNギアが輝きだす。
「おおっ! 何か凄い力を感じるわ!」
ラムが嬉しそうに言うと、「ら、ラムちゃん、勝手にそんなことしちゃ……」とネプギアが止めようとする。
しかし、ラムは、「これが発射ボタンね。 なになに? ケラウノス?」と言う。
「あ、ワシ、何か凄く嫌な予感がする……」
ゼウスがそう言うと、「よーし、撃っちゃえ! 目標は浮気おじさんよ! 行けっ! ケラウノス!!」とラムが叫ぶ。
同時にラムの左手からもの凄い電撃が放たれる。
「ほんぎゃーーーーーーーーーー!?」
電撃を受けて絶叫するゼウス。
ゼウスは、876万のダメージを受けるとギャグマンガのような骨格が見えた。
「おお~! 凄い凄い! 強いよケラウノス!」
ラムがそう言って飛び跳ねて喜ぶと、「も、もう……ラムちゃんったら、本当にごめんなさい!」とネプギアがゼウスに頭を下げる。
しかし、ユニは、「これぐらいいい薬よ」と冷静に言い放つ。
「こ、これがワシの因子の力か……ラムちゃんが継承してくれるなら本望……がくっ……」
そう言ってゼウスは気絶してしまう。
ちなみに客間の修繕費用は全てゼウス持ちだった。
***
G.C.2021年5月6日 木曜日の午後。
ネプギア達は邪神の残党の討伐クエストを行っていた。
ダゴンやツァトゥグァは倒したが、深きものや無形の落とし子、シャンタク鳥等は残っており、ゲイムギョウ界の住人を襲ったりなどしているのだ。
邪神の配下は手強く、並みの冒険者や兵士では歯が立たないので女神とその仲間が討伐をしていた。
「準備はいいかい、ミリオンアーサー」
ファルコムがミリオンアーサーを見ながらそう言うと、「いつでも構わん。わたしの王の器をみせてやろう」とミリオンアーサーが答える。
その右手には専用の片手剣【エクスカリバー】が握れてている。
「それじゃ、行くよ!」
ファルコムが走り出す。
同時にミリオンアーサーも並走する。
その後ろには、アイエフ、ゴッドイーター、ニトロプラスが続く。
彼女達の進む先には、男性型の深きものが一体待ち構えていた。
「はあっ!」
ファルコムが深きものの一体をドラゴンスレイヤーで切り裂く。
深きものは、35211のダメージを受ける。
「続けていくわ!」
続けてアイエフが両手のカタールと蹴り技のコンビネーションで深きものを攻撃し、28347のダメージを与える。
更に、「次は私よ!」とニトロプラスが拳銃と刀のコンビネーションで深きものを圧倒する。
深きものは追加で、36248のダメージを受けた。
「ぶるるるるる!!」
深きものは連続した攻撃に怒りの声を上げながら、ファルコムに引っ掻き攻撃してくる。
「おっと! 王として仲間の危機は見過ごせないな」
そう言いながらエクスカリバーを構えてファルコムを庇いに入るミリオンアーサー。
parry。ミリオンアーサーのエクスカリバーが深きものの引っ掻き攻撃を受け流す。
「ありがとう!」
ファルコムがミリオンアーサーにお礼を言うと、「王として当然のことをしたまでだ」とミリオンアーサーは答えた。
「反撃行くよ!」
ゴッドイーターが、パリイによって硬直している深きもののに向けて、神機のブレード部分を構えて斬りかかる。
ゴッドイーターの攻撃は見事に命中し、29547のダメージを深きものに与えた。
「援護行くです~!」
コンパが巨大注射器から水鉄砲のように、劇薬の液体を発射して深きものを攻撃する。
劇薬に当たった深きものは、15284のダメージを受ける。
更に続けてイストワールが、「氷の記憶!!」と氷の魔法で深きものを攻撃する。
猛烈な冷気が深きものを襲い、31584のダメージを与える。
「トドメをキッチリ決めてこその王! 皆見ておれよ!」
ミリオンアーサーがエクスカリバーを構えて、深きものを袈裟斬りにする。
「ぶるわああああああああ!?」
深きものは絶叫を上げると、29541のダメージを受けて消滅する。
「上手く行ったわね、アーサー」
勝利を喜ぶチーカマ。
「わたしと仲間達が力を合わせれば当然だ」
ミリオンアーサーが自信満々に言い放つと、「頼もしいわね。次もこの調子で頼むわ」とアイエフが答える。
ミリオンアーサーは仲間になってからは第二部隊に配置された。
剣技と召喚魔法を駆使する彼女の戦いは、ファルコムと似たオールラウンダーであり、現在の第二部隊はファルコムとミリオンアーサーのツートップがメインのフォーメーションだった。
【第一部隊】
ネプギア(前衛:タンク)
ユニ(後衛:スナイパー)
ロム(後衛:ヒーラー)
ラム(後衛:アタッカー)
プラエ(後衛:サポーター)
初音ミク(後衛:サポーター)
大ネプテューヌ(前衛:アタッカー)
【第二部隊】
ファルコム(前衛:タンク)
イストワール(後衛:アタッカー&ヒーラー)
あんみつ(前衛:アタッカー)
アイエフ(前衛:アタッカー)
コンパ(後衛:ヒーラー)
ゴッドイーター(前衛:タンク)
ニトロプラス(前衛:アタッカー)
ミリオンアーサー(前衛:タンク)
【第三部隊】
シーシャ(前衛:アタッカー)
エスーシャ(前衛:タンク)
ビーシャ(後衛:アタッカー)
日本一(前衛:アタッカー)
がすと(後衛:ヒーラー)
ファミ通(前衛:タンク)
デンゲキコ(前衛:アタッカー)
「それにしても邪神とは手強いものだな。わたし達第二部隊が全員で攻撃してようやく一体仕留められるとは」
ミリオンアーサーが感心したように言うと、「これより強いボスさんがいるです~」とコンパが答える。
すると、「なんと!?」言って驚くミリオンアーサー。
「今のところ、みんなで協力して撃退できてるけどね」
ゴッドイーターがそう言うと、「邪神は強大な敵。でも、退くわけにはいかないわ」とニトロプラスが続く。
それを聞いたミリオンアーサーは、「そなた達なかなかの激戦を潜り抜けているようだな」と感心をした。
「これからも厳しい戦いが続くでしょうから、ミリオンアーサーさんの存在はありがたいです。これからもネプギアさんに協力して下さいね」
イストワールがそう言うと、「任せろ。ネプギアは、わたしの妹にしてハスハスしてみせる」とミリオンアーサーが自信満々に答えるが、「誰がそんなことさせるか!!」とチーカマがツッコミをする。
それを見たイストワールは、「……少々不安なところはありますが、頼りにさせて貰いますね」と冷や汗を流しながら言った。
「うむ! 早速次が来たようだぞ!」
ミリオンアーサーがそう言うと、今度は三体の男性型の深きものが現れる。
「三体か……連携を密にして慎重に戦おう」
ファルコムがそう言うと、「ああ、器をキメる!」とミリオンアーサーが言った。
***
第二部隊は少々苦戦をしながらも三体の深きものを撃退していた。
「あたたたた……コンパ、もう少し優しくしてくれ」
コンパに包帯を巻かれながらミリオンアーサーが痛そうに呻く。
「あんた、調子に乗って仲間庇い過ぎよ」
チーカマがミリオンアーサーに向けてそう言うと、「でも、正直助かったわ。ミリオンアーサーが居なかったら危ない場面もあったし」とアイエフがフォローしてくれる。
「今日の第二部隊のMVPはミリアサさんです~」
コンパはそう言うと、ミリオンアーサーの手当てを終える。
そこに、「第二部隊、終わったみたいだな」と言いながらエスーシャが現れる。
「エスーシャ? それじゃ、第三部隊も終わったの?」
ゴッドイーターがそう言うと、「ああ、あたし達も無形の落とし子を三体倒したよ」と言ってシーシャが現れる。
「なかなか手強かったけど、わたし達の敵じゃなかったね」
ビーシャの言葉に、「そう言うビーシャは、何度かしくじりましたの」とがすとがツッコミをしてくる。
そんながすとに対して、「まあまあ、いいじゃないか勝ったんだし」とフォローするファミ通。
更に、「そうだよ。仲間をフォローしてこその戦隊だよ!」と日本一が言うが、「がすとは戦隊モノになったつもりはないですの」とがすとが呆れながら言う。
「後は第一部隊だけね」
ニトロプラスがそう言うと、「ネプギアさん達なら大丈夫でしょう。新しい力もありますし」とイストワールが言った。
***
その頃、ネプギア達第一部隊は巨大なシャンタク鳥とその手下のシャンタク鳥の群れと戦っていた。
女神化と大きいネプテューヌによる緊急脱出いう切り札のある第一部隊は、常に一番強い敵がいる場所で戦っている。
「クアアアアアアアアア!!」
奇声を上げるシャンタク鳥の群れ。
その口からネプギアに向けて超音波が放たれる。
「ネプギア、右よ!」
アークスを通じてネプギアにアドバイスするユニ。
ネプギアはそのアドバイス通り右に回避して超音波を避ける。
「そこ! 隙だらけよ!」
シャンタク鳥の攻撃した隙を狙って銃で狙撃するユニ。
ユニの放った銃弾は見事にシャンタク鳥の頭部に命中し、43251のダメージを与える。
「わたし達も決めるわ。ロムちゃん!」
ラムがそう言うと、「うん、ラムちゃん」とロムが答える。
二人は魔力を集中しペンネルに魔方陣を描かせると、「「……雷光よ……我が声に応えその眩い輝きを解き放て……」」と声を揃えて呪文を唱える。
「「ドロン!!」」
ロムとラムがそう叫んで魔法を発動させると、巨大な電撃がシャンタク鳥を焼き、83456のダメージを与える。
「ここで、わたしの出番だね!」
続けて大きいネプテューヌが双剣のコンビネーションでシャンタク鳥を切り裂き、38951のダメージを与える。
「キィィィィィィ!!!」
シャンタク鳥が反撃でクチバシを使ってネプギアを攻撃してくる。
「ネプギアお姉さん、今時間を速くするね!」
プラエが超能力を使ってネプギアの動きを速くする。
動きの速くなったネプギアは、「遅い!」と言って悠々とシャンタク鳥の攻撃を避けると、更に、「隙だらけです!」と言ってビームソードでシャンタク鳥を切り裂く。
カウンターで、39524ダメージを受けたシャンタク鳥は戦闘不能になる。
「行けるわ。この程度の相手なら楽勝よ!」
ユニが嬉しそうに言うと、「そうだね。一気に押し込もう!」とネプギアが答える。
続けてネプギアは、「ミクちゃん、攻撃力アップの歌に切り替えて!」とミクに要請をする。
「オッケー、ネギちゃん!」
ミクはネプギアの要請を聞いて、攻撃力アップの歌を歌い始める。
「ここからは一気に押し込むわよ!」
ユニの指示に、「「「了解」」」とロムとラムとプラエが答える。
「一気に殲滅してあげるわ。ゼウスの力よ!!」
ラムがそう叫ぶと、ラムの2RMが光り輝く。
ラムの意志に反応して自動で召喚アプリを起動しているのだ。
ラムの左腕と手に持った杖が大量の電撃を纏う。
続けてラムは杖の先をシャンタク鳥の群れに向ける。
「ケラウノス!!!」
ラムが叫ぶと同時に強烈な青い稲妻がシャンタク鳥の群れを焼き払う。
「「「「ピギャーーーーーーー!?」」」」
悲鳴を上げるシャンタク鳥の群れ。
ミクの歌との相乗効果で、900万以上のダメージが次々とシャンタク鳥に当たって戦闘不能に追い込んで行く。
【ケラウノス】は先日にラムがゼウスの因子から作り出した雷系の魔法である。
「カアアアアアア!!」
ケラウノスを逃れた数匹のシャンタク鳥が、前衛のネプギアと大きいネプテューヌに襲い掛かる。
シャンタク鳥の爪が二人に迫る。
「やらせないよ! ヘルメスの力よ!!」
ロムがそう叫ぶと、今度はロムの2RMが光り輝く。
するとロムの杖に、水色に光り輝く二匹の蛇が巻き付く。
「ケーリュケイオン!!!」
ロムが叫ぶと、仲間全員が水色の光に包まれる。
「体がかるーーい!」
大きいネプテューヌはそう言うと、楽々横ステップでとシャンタク鳥の爪を避ける。
続いてネプギアも、「ロムちゃんとプラエちゃんの力があればっ!」と言って華麗なジャンプでシャンタク鳥の爪を避けた。
【ケーリュケイオン】はオリュンポス神の一人ヘルメスの因子で使う魔法で、味方全員の素早さ、命中、回避、クリティカル率をアップさせる。
「落ちなさい!! アレスの力よ!!」
ユニが叫ぶとU.N.Iが光り輝く。
それと同時に、ユニの手のひらに弾丸が現れる。その弾丸を銃に装填するユニ。
するとユニの銃が赤く輝きだす。
「徹甲弾アレス発射!!!」
ユニが叫びながら引き金を引くと、銃弾がシャンタク鳥向けて飛んでいく。
「「グワーーーーーーー!?」」
銃弾はネプギアと大きいネプテューヌを狙った、二匹のシャンタク鳥を貫通し、二匹ともクリティカルヒットで、1000万以上にダメージを与えて戦闘不能にする。
【徹甲弾アレス】はオリュンポス神の一人アレスの因子を宿した銃弾で、強烈な貫通性能がある。
「残りはプラエに任せて!! アルテミスの力よ!!」
プラエが叫ぶと同時にプラエのNギアが光り輝く。
同時に白だったプラエの鎖が銀色に輝きだす。
「アルテミスの銀の鎖!!!」
プラエの叫びと共に銀の鎖はまるで生き物のように動き出して、残ったシャンタク鳥を追尾し始める。
「「「キェェェェェェェェ!?」」」
シャンタク鳥は銀の鎖から逃れることが出来ず、次々とクリティカルヒットで叩き落とされ、800万以上のダメージを受けて戦闘不能になっていく。
【アルテミスの銀の鎖】はオリュンポス神の一人アルテミスの因子を宿した攻撃で、高い追尾性能がある。
ラムとユニとプラエの攻撃で、シャンタク鳥の群れは全滅し、残りは巨大シャンタク鳥のみとなった。
「カアアアアアア!!」
巨大シャンタクは威嚇の雄叫びを上げると、その巨体でネプギアに向けて体当たりをしてくる。
巨大シャンタク鳥がどんどんネプギアに迫るがネプギアは動かない。
「受け止める!!」
ネプギアはそう言いながら左手の防御の魔方陣を展開させる。
いくら防御の魔方陣とは言え、変身してない状態では巨体シャンタク鳥の体を受け止めるのは不可能な筈だ。
「アテナの力よ!!」
ネプギアが叫ぶと、ネプギアのNギアが光り輝く。
それと同時にネプギアの左手に銀色に輝く巨大な盾が現れる。
「アイギスの盾!!!」
ネプギアが叫ぶと同時に巨大シャンタク鳥がネプギアに体当たりを当ててくる。
ネプギアは545のダメージを受けるがHPゲージの減少は一割以下だ。
ボスモンスターの攻撃を受けてこの程度のダメージで済むのは、アイギスの盾の防御性能のおかげだ。
「捕らえて! メデューサ!!」
ネプギアが叫ぶと、アイギスの盾から無数のロボットのサブアームのようなものが現れる。
サブアームはあっと言う間に巨大シャンタク鳥を掴むとその動きを拘束する。
「キィィィィィィ!?」
もがき苦しむ巨大シャンタク鳥。
しかし、細い見た目に反して強固なサブアームは外れる気配を見せない。
【アイギスの盾】はオリュンポス神の一人アテナの因子を宿した盾で、高い防御性能に加えて、攻撃してきた敵を捕らえるメデューサという隠し武器が付いている。
「みんな! 一気に攻撃して!!」
ネプギアが仲間達に向けて叫ぶ。
すると次々と仲間の攻撃が巨大シャンタク鳥向けて飛んでくる。
拘束された巨大シャンタク鳥は避けることができない。
「ケラウノス!!!」
「徹甲弾アレス!!!」
「アルテミスの銀の鎖!!!」
仲間達の攻撃がケーリュケイオンの効果で全てクリティカルヒットで当たる。
一気に3000万近いダメージを受ける巨大シャンタク鳥。
「ありゃ~、これはわたしの出番ないかもね」
大きいネプテューヌはそう言いながら双剣をポーチの中にしまう。
それと同時に、「グワアアアアアアアアア!?」と巨大シャンタク鳥が断末魔の叫びと共に消え去る。
「やったわ! 余裕よ余裕!!」
ラムがそう言いながら左手を上げると、「うん、余裕」とロムが右手でその手にハイタッチをする。
「今回はゼウスのおじさんのおかげだね」
プラエの言葉に、「認めたくないけど、あんな浮気オヤジでも役に立つのね」とユニが答えた。
「そんなこと言ったらかわいそうだよ。折角、私達の為にオリュンポスの神様の因子を分けてくれたんだから」
ネプギアの言う通り、今しがたネプギアが使ったオリュンポス神の力は、ゼウスが因子を持ったアイテムをくれたおかげで使えるようになったのだ。
勿論、下心アリアリだが……。
その光景を見ながら、「思った以上に楽勝だったな。つまんねーの」とクロワールが言うと、「それはネプギア達が強くなったからだよ」と大きいネプテューヌが答える。
***
ネプギア達がクエスト完了させ、システィーナの街に戻ると、街は大歓声に包まれていた。
「システィーナ万歳!!」
「ネプギア様万歳!! ユニ様万歳!!」
「ロム様万歳!! ラム様万歳!! プラエ様万歳!!」
住人達が口々にシスティーナの女神達を称えてくれる。
それだけ今回討伐された邪神達に困らされていたのだろう。
「いえーい! 簡単にやっつけたわよー!」
ラムがそう言いながらVサインで応えると、隣のロムもVサインで応える。
すると住人達は更に熱狂する。
「こういうの見ると、クエストやってよかったって思えるよね」
ネプギアの言葉に、「そうね。次への活力になるわ」とユニが答える。
「えへへっ……ネプギアお姉さん達と一緒に褒められるの嬉しいな……」
プラエが住人達に手を振りながら嬉しそうに言う。
ネプギア達は住人達に手を振りながらギャザリング城に入って行った。
「いや~~~、今日もいいネタ仕入れたたなぁ。さっきの歓迎なんて格好のネタだよ」
ファミ通が満足そうに言うと、「うんうん、記者冥利につきますよね」とデンゲキコも同意する。
すると、「次の号も期待してるわよ」とユニがファミ通とデンゲキコに向けて言う。
それを聞いたファミ通は胸を叩いて、「ええ、任せて下さいよ。来週も最高の記事を書いてみせますから」と自信満々に言い放つ。
デンゲキコも、「電撃システィーナは今注目の的ですからね。いい記事書きますよー」と胸を張る。
「いえーい! 順調順調。この調子でシスティーナのゲイムギョウ界一の国するわよー!」
ラムが元気よく言うと、「わたし達ナンバーワン(ぶいっ)」とロムがVサインをする。
「ゲイムギョウ界中がシスティーナの良い評判で溢れてるです~」
コンパが嬉しそうにそう言うが、「水を差すようで申し訳ないけど、良い評判だけじゃないわよ」とアイエフが冷静な声で言う。
「どういうことですか?」
プラエがアイエフに尋ねると、「世の中には批判的な意見もあるってことよ」とアイエフはスマホの画面をネプギア達に見せる。
そこには様々な批判的な意見が書かれていた。
【システィーナなんて、オワコンの携帯ハードの寄せ集め。ゲイムギョウ界の未来はルウィーに任せるべきだ】
【犯罪組織の女神を匿うなんて失望しました。私、ネプギアちゃんのファン辞めます】
【システィーナはガキの集まり。新しいハードも作れず直ぐにボロが出る。成熟した魅力のあるリーンボックスがゲイムギョウ界の覇者だ】
【デミに人権を与えるシスティーナを許すな。ゲイムギョウ界は我々人間のモノだ】
【ハードも無いシスティーナを信仰する価値はない。時代はやっぱりラステイション】
思わず、「なによこれーーーーー!!!」と憤慨するラム。
ロムも涙目で、「ヒドイ(しくしく)」と悲しそうに言う。
「プラエの所為で、ネプギアお姉さんが……」
プラエが悲しそうに肩を落とすが、「いいんだよ、プラエちゃん。私は間違ったことをしてるって思ってないから、いつかきっとみんなも分かってくれるよ」とネプギアはプラエを慰める。
「アイエフ、ちょっとヒドイんじゃないかな?」
ファミ通が厳しい声でアイエフを非難すると、「あいちゃん、ヒドイです~」とコンパも悲しそうな声を出す。
「私も好きでやってるんじゃないわ。酷だとは思ったけど、今のままじゃシスティーナは他の国に勝てないわ。ファミ通ならそれぐらい分かるでしょ?」
アイエフの言葉に、「それはそうだけどさ……もう少し言うタイミングってモノがあるんじゃない?」とファミ通が反論する。
そこに、「いえ、アイエフさんの言う通りです」とイストワールが話に加わって来る。
「本来は教祖である私が忠告すべきことでした。アイエフさん、嫌な役をさせてしまって申し訳ありません」
イストワールは続けてそう言うとアイエフに向かって軽く頭を下げた。
「……確かにそうですね。これぐらいで喜んでるようじゃ、お姉ちゃんを超えることなんて出来ないわ」
ユニがそう言うと、「そうだね。ちょっと浮かれすぎてたかも」とネプギアも同意する。
「じゃあ、どうすればいいのー? わたし達精一杯頑張ってるわよー!」
ラムがそう質問すると、「どうしたらいい? ネプギアちゃん」とロムが尋ねる。
「そうだね……批判意見にもあったけど、システィーナ独自のハードが無いのが欠点だよね」
ネプギアは批判意見を冷静に分析して、そう言うと、「アタシも同感だわ。ゲーム機研究室でエレノア達に開発を急がせてるけど、当分先になりそうね」とユニも言う。
(新しいハードの開発……アレを使えば……)
ネプギアの脳裏にある考えが過る。
それはネプギアが神次元で過ごした時間差で開発したネープギア以外の様々な新技術。
(ダメダメ! 急激な歴史の変化を避ける為に封印するって決めたのに……ネープギアだって本当は今の時代に存在していい技術じゃないのに)
ネプギアがそう考えていると、【きゅっ】とネプギアの服が何者かに握られる。
「プラエちゃん……」
握っていたのはプラエだった。
プラエは不安そうな顔で、「……システィーナが無くなっちゃったら、プラエどうなちゃうんだろう」とネプギアに訴えるように言う。
それを聞いたネプギアの脳裏に先程の批判的な意見が思い出される。
【犯罪組織の女神を匿うなんて】
その一文を思い出したネプギア。
(システィーナが無くなったら、プラエちゃんは元犯罪組織の女神として生きていかなきゃいけないの? そうしたらプラエちゃんは……)
ネプギアの頭の中には、人々の批判に晒され泣きながら力尽きるプラエの姿が写った。
(そんなの絶対にダメっ! システィーナは……プラエちゃんは絶対に守らなきゃ!)
ネプギアはそう思うと、服を握っているプラエの右手を両手で優しく包む。
そして、「大丈夫だよ。システィーナは絶対に無くならない。プラエちゃんも私が守るよ」と優しくプラエに言った。
「ネプギアお姉さん……」
ネプギアの行動に思わず顔を赤らめ目に涙を溜めるプラエ。
ネプギアはハンカチでプラエの涙を拭いてあげると、力強く立ち上げる。
「ネプギア?」
そんなネプギアの行動を疑問に思うユニ。
「私、ゲーム機研究室に言ってエレノアちゃん達と話してくる!」
ネプギアはそう言うとゲーム機研究室に向かった。
その顔には強い決意のようなものが秘められていた。
***
ゲーム機研究室を訪れたネプギアは素早くパスワードを打ち込んでドアを開ける。
部屋には、マホとアンリとエレノアの三人が居た。
「ぎあちー! やっほー!」
ネプギアが入って来たのを歓迎するマホ。
「先生……じゃなくて、ネプギア様、どうしたんですか?」
ネプギアの突然の訪問に驚きの声を上げるエレノア。
「エレノアちゃん達に見て欲しいものがあるの」
ネプギアはそう言うとNギアを使ってインベントリ倉庫から一枚のディスクを取り出し、それをエレノアのパソコンに入れる。
するとパスワード入力画面が映る。
次々とパスワード打ち込んで行くネプギアだが、入力画面は何度も現れる。
「随分厳重にロックしてるのね……」
アンリが驚きと感心の入り混じった声で言う。
暫くして、ネプギアが何重にもかけられたパスワード入力を終える。
「これは!?」
そこに出た映像を見てエレノアは驚愕の声を上げた。
「なにこれ! ぎあちー凄い!」
「ネプギア……あなたこれ……」
マホとアンリも驚きの表情で画像を見る。
「みんな、これ出来る?」
ネプギアが手短にそう尋ねると、「ネプギア様……あなたはこんな技術まで……」とエレノアが震える声で言う。
その声は感動で震えていた。
「やります! やらせて下さい。ネプギア様のこの技術と想い、私達システィーナゲーム機研究室が新ハードで体現してみせます!」
「任せてよ、ぎあちー! 本当にぎあちーって天才!」
「やらせてちょうだい。技術者冥利に尽きるわ」
エレノア達は力強くそう言うと、直ぐにゲーム機研究室のメンバーを集めた。
***
G.C.2021年5月9日 土曜日
ネプギアはギャザリング城の一室で祭壇に向けて祈りを捧げていた。
ネプギアが祈りを終えると、あんみつが、「毎日精がでますね」と感心するように声を掛けた。
すると、「はい、ウラヌスさんへの感謝の気持ちは忘れないようにしたいですから」とネプギアが答えた。
ネプギアが祈りを捧げてていたのは、ウラヌスを祭る祭壇だ。
ネプギアはウラヌスの意識が残っていた頃から毎日ここに祈りを捧げていたが、ウラヌスがその魂をゲハバーンに捧げてからは更に熱心に通うようになっていた。
「それに私の仁義八行の珠は【考】の珠。親や先祖を大切にする心を意味しますから」
ネプギアがそう言うと、「素晴らしいお考えです。頭が下がります」と言ってあんみつが軽く頭を下げる。
それを見たネプギアは、「そんなに大したものじゃないですよ」と両手を左右に振って謙遜するが、「いえ、十分敬意に値します。そんなネプギア殿だからこそ、安心してプラエ様を任せられるのです」とあんみつは言った。
「それより、朝食の準備が出来ております」
あんみつがそう言って話を変えると、「はい、わかりました」とネプギアは答えた。
***
朝食を取って食休みを終えたネプギアはギャザリング城の周囲の湖を散歩していた。
今日は休日と言うこともあり、釣りをしている住人が何人かおり、住人はネプギアを見かけると挨拶をしてくれた。
そんなネプギアの目に見覚えのある人物が映った。ファルコムである。
「ファルコムさん」
ファルコムの名前を呼びながら駆け寄るネプギア。
ファルコムは、「やあ」と爽やかに挨拶すると、「ネプギアも釣りかい?」と尋ねる。
「私はお散歩です」
ネプギアがそう答えると、「ファルコムさんは釣りなんですね」と続けて言う。
ファルコムは、「ああ」と言うと、「釣りだけじゃないけどね」と続けて言った。
「釣りだけじゃない?」
ネプギアが首を傾げる。
それと同時に、直ぐ側の湖面が盛り上がり、そのから女の子の上半身が現れる。
「シェリリちゃん」
ネプギアが少し意外そうな顔をする。
以前にルルドから頼まれた若い人魚のシェリリだ。
シェリリは軽く頭を下げると、「おはようござます。ファルコムさん、それに今日はネプギアちゃんも一緒なんですね」と明るい声で言った。
「なるほど、ファルコムさんはシェリリちゃんとお話ししながら釣りなんですね」
ネプギアが納得しながら頷くと、「シェリリだけじゃないよ」とファルコムが言う。
すると、ネプギアの耳に【バサッバサッ】と言う鳥の羽が羽ばたく音が聞こえてくる。
ネプギアが何事かと上を向くと、そこには白い羽の鳥人の女の子が着地しようとしていた。
「ピューリーちゃん」
ネプギアがまたも意外そうな顔をする。
以前にゼウスの求婚から守った、鳥人の姫ピューリーだ。
ピューリーは丁寧にお辞儀をすると、「お待たせしましたファルコムさん。今日はネプギアちゃんも一緒なんですね」と楽しそうな声で言う。
「今日は二人と話しながら釣りなんだ」
にこやかに笑いながら言うファルコム。
ネプギアはそんなファルコムに向かって、「流石、ファルコムさん、モテモテです」と感心をする。
それを聞いたファルコムは右手を後頭部に当てて、「嫌だなー。女の子同士じゃないか」と軽く笑い飛ばす。
「……そう思っているのはファルコムさんだけのような……」
思わずそう呟くネプギアだった。
特別することもなかったネプギアはそのままファルコムと一緒に釣りを始める。
釣りをしながら互いの近況を話し合う、ネプギアとファルコムとシェリリとピューリー。
「じゃあ、人魚の間でもNギアは人気なのかい?」
ファルコムがシェリリに尋ねると、「はい、ファンタジックスターオンライン2なんて凄く人気です」とシェリリがやや興奮気味に答える。
それを聞いたネプギアは、「よかった。何だか嬉しいな」と言って嬉しそうに柏手を打つ。
「これも、人魚用に完全防水のNギアを開発してくれたネプギア様のお陰です」
シェリリが嬉しそうに言う。
システィーナは元々プラネテューヌなので流通しているゲーム機は殆どNギアである。
システィーナ国内にまだ生産工場は無いので、プラネテューヌからの輸入に頼っており、それをネプギアの発明で各デミヒューマン用にカスタマイズしているのだ。
「鳥人の間でもNギアは人気よ。人魚と同じで、今はファンタジックスターオンライン2が人気なの」
ピューリーもシェリリと同じようなことを言う。
すると、「そうなの? じゃあ、今度一緒にクエストしましょ」とシェリリが柏手を打ちながら提案する。
「今度じゃなくて、今すぐやりましょ。私、Nギア持ってきてるから」
ピューリーはそう言うと、持ってるバッグからNギアを取り出す。
すると、シェリリもNギアを取り出して、「そうね。やりましょ」と言う。
「ファルコムさん、折角だから私達も混じりましょうよ」
ネプギアがそう言って太もものNギアホルダーからNギア取り出すと、「そうだね。釣りは一時中断にしよう」とファルコムもNギアを取り出す。
それから約二時間後……。
「あー! 楽しかった!」
シェリリが満足そうに伸びをする。
同じくピューリーも、「うん、すっごく楽しかったわ」と満足そうに答える。
「みんな思っていたより上手なんだね」
ファルコムが少し驚いたように言うと、「毎日練習していますから」とシェリリが答える。
続いて、「私も毎日練習してるわ」とピューリーが言う。
「こうやって、毎日平和にゲームが楽しめるのも、ネプギアちゃん達システィーナ女神様やファルコムさんのお陰ね」
シェリリがそう言うと、「ええ、システィーナの人達はデミヒューマンに優しいしね。ネプギアちゃん達のお陰ね」とピューリーが言う。
それを聞いたネプギアは、「そんなふうに言われると照れちゃいます……」と顔を赤らめる。
「ふふっ、これはこれからも頑張らないといけないね」
ファルコムがそう言うと、「はい」とネプギアは元気よく頷いた。
「ところで、何か困っていることはありませんか?」
ネプギアがシェリリとピューリーに尋ねる。
シェリリは笑顔で、「特になにも。みんな親切ですし、食べ物は美味しいし、ゲームも楽しいですから」と言う。
しかし、ピューリーは少し顔を曇らせると、「……システィーナの人達は問題ないですけど、他国の人が【デミヒューマン狩り】と言って私達をイジメに来るって噂を聞いたことがあります。現に私の仲間も何人か銃で撃たれて……」と深刻そうな声で言う。
それを聞いたシェリリは、「まあ、怖いわ」と言って両手で口を覆う。
ギャザリング城の湖に住むシェリリにはデミヒューマン狩りの手は届いていないようだ。
「……デミヒューマン狩り……」
ネプギアが悲しそうに呟く。
ネプギアの脳裏には以前にサンジェルマンが話してくれた、デミヒューマンの活躍で割を食った人達の話や、数日前に見たシスティーナへの批判的な書き込みの【デミに人権を与えるシスティーナを許すな。ゲイムギョウ界は我々人間のモノだ】という文字が思い出された。
「少し見た目が違うだけで差別するなんて良くないね。見かけたら、あたしが注意しておくよ」
ファルコムがそう言うと、「流石はファルコムさん、頼りになるわ」とピューリーが嬉しそうに言う。
ネプギアも、「私の方でも色々やってみます」と二人を安心させるように言う。
(システィーナが無くなったら、プラエちゃんだけじゃなくって、デミヒューマンの人達もゲームを楽しめなくなっちゃう。私はそれを護る守護女神。しっかりしなきゃ)
ネプギアはそう思うと自分自身に気合を入れるように小さくガッツポーズをした。