新・昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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089ロムラムチームVSシーシャチーム

 G.C.2021年5月29日 土曜日の夕方。

 

ゴッデスファイト予選の終盤。

 

次の注目のカードは予選第七グループの最終戦。

 

圧倒的な魔法の弾幕で圧倒するシスティーナの女神ロムとラムのコンビ。

 

対するのは、中コストで接近戦寄りのゴールドサァドのシーシャと、様々な銃火器扱うを同じくゴールドサァドのケーシャだ。

 

 

「第七グループの会場では、デイジープレッジ様とガーベラプレッジ様のチーム対シーシャさんとケーシャさんによる最終戦が行われようとしています。この戦いの勝者が決勝トーナメントに駒を進めることになります」

 

 

 デンゲキコの実況に、「今回も女神様とゴールドサァドの対決ですね。イストワール様はどのようにお考えで?」とファミ通がイストワールに質問する。

 

 

「そうですね……普通に考えればロムさんとラムさんの圧勝でしょうけど、先の二戦で女神様が負ける寸前まで追い詰められていますからね。それに、ロムさんとラムさんの穴をゴールドサァドのお二人が突けば勝負は分かりません」

 

 

 イストワールがそう言うと、「穴ですか?」とファミ通が聞き返すと、「それは勝負が始まれば分かるかもしれません」とイストワールが答える。

 

 

「そろそろ、試合開始です」

 

 

 デンゲキコの言葉通り、ロムとラムのチームもシーシャとケーシャのチームもバトルフィールドの端に配置して審判の開始の合図を待っていた。

 

 

「ケーシャ。すまないが作戦変更だ」

 

 

 戦闘前、シーシャはケーシャと呼んだ女の子に話しかけていた。

 

黒いロングヘアーに赤いカチューシャを付けて髪の一部を三つ編みにし、赤いセーラー服に似た服装をした子だ、

 

 

「シーシャさん? どういうことですか?」

 

 

 ケーシャがシーシャに質問をすると、「どうも、きな臭い感じがする。このゴッデスファイトは只のお祭りじゃない気がするんだ。それに今のブランちゃんは少しおかしい気がする……」

 

 

 シーシャの答えに、「ユニさんやロムちゃん達の帰還の交渉とは、また別の何かが?」とケーシャが再度質問する。

 

 

「ああ。元ゴールデンコンビだった、アタシだからこそ何となくわかるんだ。今のブランちゃんとロムちゃん達を戦わせてはいけない気がする」

 

 

 シーシャがそう答えると、「実は私もノワールさんの様子が少しおかしいのが気になってて……」とケーシャがそう言う。

 

 

「そうだね。彼女の様子も少しおかしい。だから真相を確かめる為に、この一戦勝ちに行く!」

 

 

 シーシャが力強く言うと、「正々堂々ではなくて?」とケーシャが質問する。

 

 

「そうだ。ロムちゃん達を泣かすことになるかもしれないが、やはり今のブランちゃんとロムちゃん達を戦わす訳にはいかない」

 

 

 シーシャの言葉に、「分かりましたシーシャさん、私も本気で行きます」とケーシャが答える。

 

 

「それでは、ゴッデスファイトぉーー!」

 

 

 審判が右手を大きく上げる。

 

 

「「「「レディィィィ……ゴォォォォ!!!」」」」

 

 

 ロムとラムのチームとシーシャとケーシャのチームのメンバーの声が重なり会い、試合が開始される。

 

 

「ふふーん! シーシャもケーシャもわたし達の魔法で蹴散らしてあげるわ!」

 

 

 ラムが強気な声で言うと、「シーシャさん達も倒したら次はお姉ちゃんとミナちゃんだね」とロムもやや強気な声で言う。

 

 

「当然よ。エスマックスだかステマックスだか知らないけど、わたしとロムちゃんの敵じゃないわ」

 

 

 ラムがそう言いながらふんぞり返ると、「やれやれ……アレを見てその程度の認識しかないのかい? これはますますブランちゃんと戦わす訳にはいかないね」と声がする。

 

 

「むっ! 何よシーシャ!」

 

 

 ラムが不機嫌そうに言うとそこにはゴールドフォームを纏ったシーシャが居た。

 

 

「悪いことは言わない。二人共降参するんだ」

 

 

 シーシャが冷たい声でそうに言うと、「シーシャさん、何でそんな事言うの?」とロムが少し悲しい声で言う。

 

 

「君たちの為を思って言ってるんだ。早く降参しな」

 

 

 シーシャの言葉に、「しないわよーー! あっかんべー!! シーシャなんて大っ嫌い!!」とラムがあっかんべーをすると、「わたしも降参しないよ。わたし達の方がシーシャさん達より強いもの」とロムが強気な声で言う。

 

 

「そうかい……残念だけど少し痛い目を見てもらおうか」

 

 

 シーシャがそう言いながらファイティングポーズを取ると、「痛い目見るのはそっちよ! 泣いて謝ったって……」とラムが言いかける。

 

 

ズキューン!

 

 

「きゃああああ!?」

 

 

 突然の銃声と共にラムは1845のダメージを受けるとHPゲージが四割近く減ってしまう。

 

 

「ラムちゃん!?」

 

 

 驚きの声を上げるロム。

 

 

「悪いけど、今回は二人の弱点を徹底的に突かせて貰うよ」

 

 

 シーシャが余裕の声で言うと、「弱点?」とロムが尋ねる。

 

 

「弱点その一、攻撃範囲は広いが射程はそこまで長くない。今まではユニちゃんの狙撃やネプギアちゃんのGビットで処理してもらったけど、キミ達より射程が長い敵はいくらでもいるんだよ」

 

 

 シーシャの言葉に、「わたし達に弱点なんかないわよ!」とラムが強気に言い返す。

 

 

「授業をちゃんと聞かない子にはお仕置きだ」

 

 

 シーシャがそう言った瞬間、再び【ズキューン!】と銃声が鳴り響く。

 

 

「いやあああ!?」

 

 

 ラムの悲鳴と共にラムに1786のダメージが当たりHPゲージが二割前後になってしまう。

 

 

「くっ……ケーシャね」

 

 

 ラムはそう言うと、シーシャを睨む。

 

その目には闘志がまだ宿っている。

 

 

「正解だけど気付くのが遅いね。弱点その二、状況判断が甘い。アタシしか居ない時点でケーシャの狙撃に気付くべきだよ。これもネプギアちゃんとユニちゃんに甘え過ぎだね」

 

 

 シーシャはそう言うと、「そして弱点その三、接近戦に滅法弱い」と言ってシーシャが身をかがめながら素早く接近する。

 

 

「弱くなんかないわよ! メギンギョルズからのアイスハン……」

 

 

 ラムがそこまで言うと、シーシャに肩をガッシリ掴まれてしまう。

 

 

「この近距離でそんな大振りの技を使う時点で弱い証拠だよ。いつもネプギアちゃんとユニちゃんに【当てられる状況】を作って貰っていることに気付いた方がいい」

 

 

 シーシャはそう言うと、ラムの体を上下逆さまに持って両手でお腹を持つと太ももでラムの頭を挟む。

 

 

「いやーーー!? なにするのよ!! ヘンタイッ!!」

 

 

 ラムはジタバタ暴れるがシーシャにガッチリ掴まれて動けない。

 

 

「降参かい?」

 

 

 シーシャが意地の悪そうな言い方で言うと、「しないわよ! 絶対するもですかっ!!」とラムが言い返す。

 

 

「じゃあ、お仕置きだ。決めるよ! スクリューシードライバー!」

 

 

 シーシャそう言うと、高く飛び上がって空中で回転しながらバトルフィールドの最下段まで落下する。

 

 

「あぐっ!?」

 

 

 短い呻き声と共に、ラムは3521の大ダメージを受けて戦闘不能になってしまう。

 

【スクリューシードライバー】はシーシャがあるプロレスラーから伝授された、吸い込むと称される程の広い間合いを持つ高威力の投げ技だ。

 

 

「ラムちゃんっ!!」

 

 

 悲鳴に近い叫び声を上げるロム。

 

 

「レッスンの続きと行こうか? 弱点その四。ロムちゃん、キミは仲間に依存し過ぎて一人じゃ正確な判断ができない」

 

 

 シーシャはそう言うと、素早くロムに近づく。

 

 

「い、いやっ!! 来ないで!!」

 

 

 ロムは苦し紛れに氷の弾を出すが、シーシャの素早いステップで避けられてしまう。

 

同時に【ズキューン!】と銃声がなり響き、ロムにウィークネスバレットの模様が付いてしまう。

 

 

「ヒーラーは一番心が強くなくてはいけない。仲間のピンチでも心折れずに最後まで冷静に仲間を助け続けるんだ。多くの負傷兵を助けたナイチンゲールのように」

 

 

 シーシャがそう言うと、ロムは先程のラムと同じように肩を掴まれ、スクリューシードライバーの態勢にされてしまう。

 

 

「これでレッスンは終わりだ。降参するかい? 降参すればこれ以上痛い目をせずに済むよ」

 

 

 シーシャの言葉にロムは、「し、しないっ!」と言って必死に首を振ろうとするがシーシャの太ももに挟まれて動かない。

 

 

「オーケーオーケー。じゃ、行くよ」

 

 

 シーシャはそう言うと、ロムにもスクリューシードライバーを決める。

 

 

「ぐうっ!!」

 

 

 ラムと同様に短い呻き声を上げて、ウィークネスバレットとの相乗効果で5022の大ダメージを受けたロムは一撃で戦闘不能になってしまう。

 

シーシャは両手をパンパンと叩くと、「こりゃ、完璧に嫌われちゃったかな?」と少し落ち込んだ声で言う。

 

 

「やり過ぎだ。シーシャ」

 

 

 通信でケーシャが冷たい声で言う。

 

ケーシャは元凄腕の傭兵で戦闘中は傭兵時代の性格に戻ってしまう。

 

 

「そういうケーシャこそ、あそこでウィークネスバレットはエグイよ」

 

 

 シーシャの指摘に、「容赦するなと言ったのシーシャだろ?」とケーシャが冷静に言い返す。

 

 

「そりゃ、そうなんだけどさ……あ~、今日の夕食気まずいな~……フィナンシェに毒盛られたりして」

 

 

 シーシャはそう言うと、困ったなと言わんがばかりに右手で後頭部を掻く。

 

そんなシーシャの前に再出撃を終えたロムとラムが現れる。

 

 

「ロムちゃん! リベンジよ!」

 

 

 元気よくラムがそこまで言うと、「うん、リベンジ!」とロムが言う。

 

 

「おや? 二人共まだ諦めてないのかい」

 

 

 シーシャの言葉に、「当然よ! アンタみたいなヘンタイに絶対負けないんだから!!」とラムが半分涙目で言うと、「変態不審者さんになんか絶対負けない!!」とロムも涙目で言う。

 

二人共相当悔しかったようだ。

 

 

「頼むから降参してくれないかなっ!? これ以上やったら、本当にフィナンシェに毒盛られそうで……」

 

 

 シーシャがそう言って両手を合わせてロムとラムを拝むが、「ロムちゃん! ニューフォーメーションよ!!」とラムが言い、「了解っ!!」とロムが言う。

 

 

「あ~……やっぱり技のチョイス誤ったかな~?」

 

 

 シーシャはそう言うと、またも困ったなと言わんがばかりに右手で後頭部を掻く。

 

 

「「……氷の盾よ……我らを守護せよ……フリジットシェル!!!」」

 

 

 ロムとラムが同時に魔法を使うと二重のフリジットシェルが張られる。

 

フリジットシェルは、西沢ミナも使った一定以上の遠距離攻撃を無効化するバリアだ。

 

 

「……火よ水よ風よ地よ……システィーナの女神ラム名において命ずる……敵を砲撃せよ……ラムちゃん式砲撃魔法!」

 

「……火よ水よ風よ地よ……システィーナの女神ロム名において命ずる……敵を殲滅せよ……ロムちゃん式殲滅魔法!」

 

 

 更にフリジットシェルに籠ったロムとラムがシーシャに向けて魔法を連発してくる。

 

 

「「これぞ! ロムちゃんラムちゃん式、殲滅砲撃無敵戦車!!」」

 

 

 そう言いながら、じりじりと前進してシーシャに近づくロムとラム。

 

 

「なるほど、遠距離攻撃を無効化しながら前進か……シンプル過ぎるけど悪くはないね。レッスンの効果が生きてておねーさん涙が出る程嬉しいよ……」

 

 

 そう言って流すシーシャの涙は少し悲しそうだった。

 

 

ズキューン!

 

 

 銃声が響くが、同時に【カキーーーン!】と音がしてロムとラムへのダメージはゼロである。

 

 

「どうするシーシャ? 狙撃は効かないぞ」

 

 

 ケーシャの言葉に、「しょうがない。毒殺覚悟で、課外レッスンと行きますか!」とシーシャが腹をくくったような声で言う。

 

 

「とは言ったものの……ケーシャの狙撃援護無しで、この弾幕はキツイね」

 

 

 シーシャが冷や汗を流しながら言うと、「……フリジットシェルの効果時間が切れるまで待つか?」と呟く。

 

 

「緊急警報!! フリジットシェルの効果時間が切れるわ! ロムちゃん張りなおして!」

 

 

 ラムがそう言うと、「……氷の盾よ……我らを守護せよ……フリジットシェル!」とロムが魔法を唱える。

 

 

「そうは行かないかー……仕方がない覚悟決めるか!」

 

 

 シーシャはそう言うと、両手で自分の頬をパンパンと叩き気合を入れる。

 

 

「無敵戦車は絶対に無敵なんだから!! 大人しく轢き殺されなさい!!」

 

「轢殺するよ!!」

 

 

 ロムとラムがそう言いながら、じりじりとシーシャに近づく。

 

 

「いや……そんな物騒な魔法連射しといて轢殺はないでしょ……」

 

 

 シーシャはそう言いながら、ステップを踏んでロムとラムに近づく。

 

 

「ヘンタイが来たわ!! ロムちゃん、殺すわよ!!」

 

「轢殺、爆殺、圧殺、絞殺、刺殺、焼殺、撲殺!!」

 

 

 シーシャに対してもの凄い敵意を向けるロムとラム。

 

 

「……二人共そんなに殺殺言ってると、別のゲームのキャラと勘違いされちゃうよ?」

 

 

 シーシャと言うかネプテューヌ以外のキャラにしては珍しいメタ発言である。

 

別のゲームとはネプテューヌ出してる会社の別RPGのことだ。

 

 

「あー……人生最大の後悔だわ……大人しく負けとけば良かった……子供って怒らせると怖いねー」

 

 

 シーシャはそう言いながら、ガックリと項垂れてしまう。

 

 

「射程圏内!!」

 

 

 ラムがそう叫ぶと、「「ロムちゃん式殲滅魔法&ラムちゃん式砲撃魔法!!」」とロムとラムが同時に魔法を放つ。

 

 

「でもっ! 最後まで責任取らないとね!! ツインラリアット!!」

 

 

 シーシャはそう言いながら、その場で両腕を広げてグルグルと回転する。

 

 

「え? 何で!? 弾がすり抜けたわ!?」

 

「変態パワー!?」

 

 

 ロムとラムが驚きの声を上げる。

 

確かに彼女達の言う通り、シーシャに命中した筈の弾がすり抜けたのだ。

 

【ツインラリアット】はシーシャがスクリューシードライバーを伝授されたプロレスラーから教わったもう一つの技。

 

何故が飛び道具をすり抜ける効果があり、当然腕にも当たり判定がある。

 

 

「ふんふんふんふんふん!!!」

 

 

 ツインラリアットで回転しながら近づくシーシャ。

 

 

「ヘンタイよーーー! ヘンタイ戦車よーーー!!」

 

「どうする? ラムちゃん!」

 

 

 慌てるロムとラム。

 

 

「よしっ!! 頭を吹っ飛ばそう!! 頭を吹っ飛ばせば大体の生き物は死ぬってお姉ちゃんが言ってたわ!!」

 

「了解、ラムちゃん! 潰れたトマトみたいにしちゃおうね!」

 

 

 そう言ってシーシャの頭目掛けて魔法を放とうとするロムとラム。

 

 

「あー……子供って残酷……。でも、ここまで来れば射程圏内!!」

 

 

 シーシャはそう言うとラムに手を伸ばす。

 

スクリューシードライバーだ。

 

 

「なーんちゃって!! メギンギョルズ!!」

 

 

 ラムがそう言うとラムがシーシャの手をかいくぐり、シーシャの胴体を掴む。

 

 

「なにっ!?」

 

 

 思わず驚きの声を上げるシーシャ。

 

 

「こーんな感じよね?」

 

「うん、そんな感じ」

 

 

 ラムがそう言うと、スクリューシードライバーの態勢になる。

 

 

「そーれ! ラムちゃん式、ヘンタイぐるぐる回転落とし!!」

 

 

 ラムはそう言いながら回転して飛び上がる。

 

 

「なっ!? アタシのスクリューシードライバーを一回受けただけでマスターしたっ!?」

 

 

 驚愕の声を上げるシーシャ。

 

 

「とりゃあああああ!!! ロムちゃん、フィニッシュよ!!」

 

「オッケー!! ラムちゃん!!」

 

 

 ラムがシーシャを地面に叩きつける寸前にロムが飛び上がり、逆さになっているシーシャの両足を掴んで、その勢いで地面に叩きつける。

 

 

「ぐぼあっ!?」

 

 

 凄まじい叫び声上げるシーシャ。

 

5052の大ダメージを受けて一撃で戦闘不能になるシーシャ。

 

 

「こ、これは……ハイジャック・パイルドライバー……」

 

 

 シーシャの言う【ハイジャック・パイルドライバー】は、プロレスにおける2人掛かりの合体技(ツープラトン)の一種ですが、危険なので絶対に真似しないで下さい。

 

 

「今度、お姉ちゃんにもやってみようよ!! スーパーヘンタイぐるぐる回転落とし!!」

 

「うん、やってみよう!!」

 

 

 無邪気に喜びながらハイタッチを交わすロムとラム。

 

 

「ごめんよ、ブランちゃん……アタシ、この子達に変な事教えちゃったみたい……」

 

 

 そう言うと、シーシャの意識は急激に遠くなって行った。

 

 

「そう言えば、まだ勝ってないわ!! 無敵戦車に戻るわよ、ロムちゃん!!」

 

「うん! ラムちゃん」

 

 

 ロムとラムはそう言うと、フリジットシェルの魔法を使う。

 

 

「ケーシャ居ないわね?」

 

「どこだろう?」

 

 

 辺りを見回すロムとラム。

 

その目の前にダンボールが置いてある。

 

 

「ダンボールしかないわ?」

 

「ダンボールしかないね?」

 

 

 更に辺りを見回すロムとラム。

 

 

こそこそ……

 

 

 ダンボールは迂回してロムとラムの背後に回る。

 

 

「あれ? ダンボールがないわ?」

 

「どこ行ったんだろう?」

 

 

 首を傾げるロムとラム。

 

後ろを振り返るロムとラム。

 

 

ぴたっ!!

 

 

 動きを止めるダンボール。

 

 

「ロムちゃん、あのダンボールあそこにあったっけ?」

 

「動いたのかな?」

 

 

 不審がるロムとラム。

 

 

びくっ!!

 

 

 怯えるダンボール。

 

 

「今、あのダンボール、ぴくってしなかった?」

 

「した気もするけど、ダンボールは、ぴくってしないと思う」

 

 

 じーっとダンボールを眺めるロムとラム。

 

 

ダラダラダラ……

 

 

 汗を流すダンボール。

 

 

「あのダンボール汗流してない?」

 

「流してる気もするけど、ダンボールは汗流さないと思う」

 

 

 更にダンボールを眺めるロムとラム。

 

 

ダラダラダラダラダラダラ……

 

 

 大量の汗を流すダンボール。

 

 

「そうよね。ダンボールが汗を流す訳ないわよね。きっと湿ってるのよ」

 

「そうだね。湿ってるだけだね」

 

 

 そう言うとダンボールに背を向けるロムとラム。

 

 

「ケーシャ、本当にいないわね」

 

「この際だから、シーシャさんにスーパーヘンタイぐるぐる回転落としをあと二回しちゃおう。そうすればわたし達の勝ちだよ」

 

「そうね。わたし達も三回されたし、おあいこよね」

 

 

 物騒なことを言うロムとラム。

 

実際にはロムとラムで一回ずつの計二回なので一回多い。

 

 

がばっ!!!

 

 

 突然? 背後ダンボールからケーシャが現れてロムをチョークホールドする。

 

 

「え? え? ケーシャ? どこから? どこから来たのよ!?」

 

 

 思いっきり慌てるラムだが、その間にロムが絞め落とされてしまい戦闘不能になるロム。

 

 

「……勝者、シーシャチーム」

 

 

 申し訳なさそうに宣言する審判。

 

 

「えーーーーーーー!? 納得いかないわーーーーーーー!!!!」

 

 

 思いっきり絶叫するラムであった……。

 

 

「これ、アタシ達の勝ちでいいのかい……?」

 

 

 シーシャがそう言うと、「スーパーヘンタイぐるぐる回転落としを、後に二回受けるのとどっちがいいですか?」と普通モードに戻ったケーシャがいたずらっぽく言うと、「よしっ!! 間違いなくアタシ達の勝利だ!!」とシーシャが開き直る。

 

 

「……何と言うか、最初から最後まで色々な意味で実況できない試合でしたね。申し訳ない」

 

 

 デンゲキコが申し訳なさそうに言うと、「いえ、デンゲキコさんの判断は正しいと思います」とファミ通がフォローすると、「あはは……たまにはこういう試合も良いのでは?」とイストワールも汗を流しながらフォローする。

 

 

***

 

 

「ぴーーーーーーーーー!!! 大人ってズルいーーーーーー!!!」

 

「ズルい、ムゴイ、ヒドイ、ヘンタイ……」

 

 

 試合終了後、大泣きで抗議するロムとラム。

 

 

「ああ、ごめんごめんよ。次はこんなことしないから……」

 

 

 必死にあやすシーシャ。

 

 

「じゃあ、スーパーヘンタイぐるぐる回転落としやらせてくれる?」

 

 

 ロムが上目遣いで言うが、「いや。それは断る」と真顔で拒否するシーシャ。

 

 

「ぴえーーーーーーーーーーーー!!!! 大人ってズルいーーーーーーー!!!!」

 

 

 更に大泣きで抗議するラム。

 

 

「ああっ! わかったわかった。一回だけだよ?」

 

 

 仕方なく折れるシーシャ。

 

 

「「わーーーーーーーい!!」

 

 

 満身の笑顔で喜びながらハイタッチを交わすロムとラム。

 

 

「あー……毒殺の方がマシだったかなコレ……」

 

 

 そう言いながら悲しみの涙を流すシーシャだった。

 

 

***

 

 

 ロム達の戦いはブランも控室のテレビで観ていた。

 

 

「とんだ茶番ね……」

 

 

 そう言ってため息をつくブラン。

 

 

「ですが、私はロム様とラム様がブラン様と戦わずに済んでホッとしております」

 

 

 少し嬉しそうな声で言うミナ。

 

 

「茶番はどっちの方じゃ?」

 

 

 突然、老婆の声がする。

 

 

「くっ……元老院代行……」

 

 

 ブランが苦々しく言うと、「んんっ!?」と元老院代行と呼ばれた老婆が控室に入って来てブランを睨む。

 

 

「……くそっ……元老院代行様」

 

 

 ブランは悔しそうに言うと、元老院代行と呼んだ老婆に頭を下げる。

 

 

「おい、ホワイトハート。今くそって言わなかったか?」

 

 

 元老院代行がそう言うとブランを睨む。

 

 

「元老院代行様。今日はどのようなご用件で?」

 

 

 ミナがブランと元老院代行の間に入ってそう言うと、「どうもこうもあるかっ!! なんだあの情けない試合は!!!」と元老院代行がブランを叱りながら扇子で叩く。

 

 

「も、申し訳……ございません」

 

 

 悔しそうに頭を下げるブラン。

 

 

「ルウィーの歴史に、文子様達の顔に泥を塗るつもりか!?」

 

 

 元老院代行がもの凄い剣幕でそう言うと、再び扇子でブランの頭を叩く。

 

 

「しかし、ながらブラン様は全力を尽くされ……」

 

 

 ミナがそこまで言うと、「女神でも無い相手に全力を尽くしてあれかっ!! このルウィーの恥さらしめ!!!」と再びブランの頭を叩く元老院代行。

 

 

「くそばば……」

 

「いけません! ブラン様!!」

 

 

 何かを言うとしたブランを必死で止めるミナ。

 

 

「何か言ったか? 恥さらしのホワイトハート。ワシは文子様達の代行だぞ」

 

 

 元老院代行がそう言って凄むと、「代行様! 一度で良いので文子様にお目通りを……」とミナが言うが、その瞬間、元老院代行は目をひん剝き、「ばかもーーーーーーん!!!」とミナを叱りつける。

 

 

「し、しかしながら、一度もお姿をお見せせずに、このようなご無体を……」

 

 

 必死に訴えるミナだが、「無体? 今無体と言ったか小娘? いつどこでワシや文子様が無体を言った! 言うてみろ!!!」と元老院代行が怒鳴る。

 

 

「も、申し訳ございません! 言葉が過ぎました!」

 

 

 必死で頭を下げるミナだが、元老院代行の怒りは収まらない。

 

 

「教祖の教育がなってないぞ、ホワイトハート!!」

 

 

 元老院代行はそう言いながら、扇子でブランの頭を乱打する。

 

 

「元々、貴様の不手際で復活してしまった暗黒竜を討伐する為の軍を上げて下さった、文子様に対して無体だと!! 恥知らずも程々にせいっ!!!」

 

 

 元老院代行は更に激しく扇子でブランの頭を乱打する。

 

 

「し、しかしながら暗黒竜討伐の軍は我々も……」

 

 

 ミナがそこまで言うと、再び元老院代行は目をひん剥き、「貴様ら如き若輩者が、栄誉ある【ファイターエムブレム】の軍に加わると言うのか!! 恥を知れ俗物!!!」と怒鳴りながらブランの頭を叩く。

 

 

「いいかっ!!! 文子様にお目通り叶えたいなら、最低限でも貴様の愚妹を連れ戻してこいっ!! 役立たずのホワイトハート!!!」

 

 

 元老院代行はそう言うと控室から出て行ってしまう。

 

 

「申し訳ありません。ブラン様……私が火に油を注ぐようなことを言ってしまい」

 

 

 ミナがそう言って頭を下げると、「いいのよ、ミナ。あなたの言ったことは正しいわ……」とブランが力なく言う。

 

 

「くそっ……くそっ……ちっくしょう。あのヒステリーババア……人の頭を何度も叩きやがって……」

 

 

 ブランはそう言うと、壁を何度も殴るが、その姿にはいつもの様な迫力はなかった。

 

 

「……文子様程のお方が何故あのような者を代行に指名したのかは未だに不明です」

 

 

 ミナが申し訳なさそうに言うと、「そう……わたしも未だに分からないわ。文子様程の寛大なお方がなぜ……よりによってあんなババアを……」とブランが力なく項垂れる。

 

 

「元はと言えば、あの子達が出て行ったのが原因……あの子達をわたしから奪ったはネプギアっ……!」

 

 

 ブランがそう言うと、「いけません! ブラン様!! 彼女には何の罪もありません! 寧ろ何度も私達の助けになって下さったのですよ!!」とミナが必死に諫める。

 

 

「そう……そうよね。どうかしてたわ、わたし。でも、今ならプルルートの気持ちが少しだけ分かる……あの子は眩しすぎるのよ……ネプテューヌかそれ以上に眩しい光。そして笑顔で何の悪気も無く人の大切なものを奪っていく……ああっ! 助けてミナ! あの子を憎みたくないのに憎んでしまう!!」

 

 

 ブランがそう言って力なく座り込むと、「ブラン様、お疲れなのです。少し休みましょう」とミナが辛そうに言う。

 

 

(あの元老院代行が来るたびに、ブラン様がおかしくなっていく……彼女はブラン様に何かしているの?)

 

 

 ミナはそう思いながら、元老院代行が去って行った扉を睨んでいた。

 

 

***

 

 

 ブランが元老院代行と話している頃。

 

ラステイションでも一人の人物がノワールとケイの元を訪れていた。

 

 

「ブラックハートよ……あの様はなんだ?」

 

 

 肥え太った中年男性がノワールに厳しい視線を向ける。

 

 

「なんだとはなんでしょう?」

 

 

 ノワールが無表情でそう言うと、「とぼけるな! 貴様が負けそうになったあの試合だ!!」と中年男性が怒鳴り散らす。

 

 

「しかし、ジュウ=ヤク様。相手は思いのほか手強く……」

 

 

 ケイがそう言うと、「貴様には聞いていない!! 黙っておれ!!」とジュウ=ヤクと呼ばれた中年男性が怒鳴る。

 

 

「いいか? 何度も言わせるなよ。ラステイションなど我がグループの中では末端に過ぎんのだ。ワシの報告次第では直ぐに潰せるのだぞ」

 

 

 ジュウ=ヤクがそう言って凄むと、「はい、心得ています」とノワールが変わらず無表情で答える。

 

 

「わかっているのなら、もう少し接し方があるじゃろう? うひひひっ……」

 

 

 ジュウ=ヤクはそう言うと、ノワールに近づき、いやらしい手つきでノワールの腰に手を回す。

 

 

「ジュウ=ヤク様っ!!」

 

 

 ケイが怒りを込めた声で言うと、「なんじゃ? ラステイションを潰してもいいのか?」と言ってジュウ=ヤクがケイを睨む。

 

 

「いいのよ、ケイ。黙ってて」

 

 

 ノワールが無表情でケイに指示をする。

 

 

「しかし! ノワールっ! 今時こんなセクハラまがいな……」

 

 

 ケイがそこまで言うと、「セクハラ? セクハラとは相手の意に反する性的な行動であろう? ブラックハートよ。今ワシは貴様の意に反しておるか?」とジュウ=ヤクが言いながらノワールの臀部を揉み始める。

 

 

「くっ……反して……いません」

 

 

 悔しそうに唇を噛みしめながら言うノワール。

 

 

「そういうことじゃ。教祖無勢が黙っておれ」

 

 

 ジュウ=ヤクがそう言って勝ち誇ると、「くっ……くそっ……」とケイが悔しそうに右手を握る。

 

 

「いいのよ、ケイ。ありがとう」

 

 

 ノワールがケイに向かってそう言うと、「ありがとう? 何がじゃ? 何がありがとうなのじゃ!!」とジュウ=ヤクが不機嫌な声を出す。その間もノワールの臀部は揉み続けられたままだ。

 

 

「くうっ……このエ……」

 

 

 ノワールがそこまで言うと、「エ? エなんじゃ?」とジュウ=ヤクがノワールに対して凄む。

 

 

「よ、余計なこと言わないで! ケイ!!」

 

 

 ノワールがそう言うと、「そうじゃ、それでいいんじゃ。憂い奴憂い奴」とジュウ=ヤクがご機嫌にノワールの臀部を揉み続ける。

 

 

(ごめん! ごめんなさい!! ケイ……!!)

 

 

 心の中で必死にケイに詫びるノワール。

 

 

「ぐふふふ……相変わらず良い尻じゃ。この尻に免じて今日の失敗は大目にみてやろう」

 

 

 ジュウ=ヤクはそう言うと、ノワールの臀部を揉むのを止める。

 

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 

 解放された安心感でホッとするノワール。

 

 

「しかしっ!」

 

 

 ジュウ=ヤクはそう言うと、ノワールの臀部を思いっ切り引っ叩く。

 

 

「ひんっ!?」

 

 

 安心していたところに不意打ちを受けて思わず声を上げてしまうノワール。

 

 

「なんじゃ? 叩かれる方が好きなのか? 女神などと言いながら本性は変態じゃな」

 

 

 ジュウ=ヤクはそう言うと、楽しそうにノワールの臀部を何度も叩く。

 

 

(ち、違うのよ……S-MAXの反動で痛むのよ……)

 

 

 ノワールはぷるぷると震えながらジュウ=ヤクの仕打ちに耐える。

 

 

「ジュウ=ヤク様! そろそろお時間では!!」

 

 

 見かねたケイが大声でそう言うと、「おお、そうじゃった。貴様のような無能教祖でもたまには役に立つのだな」とジュウ=ヤクが言うと、「上の果実は次の楽しみにとっておくとするか……ヒヒヒヒ」とノワールの胸部を見ながらジュウ=ヤクは去って行った。

 

 

「行ったよ、ノワール。もう我慢しなくていいんだ」

 

 

 ジュウ=ヤクが去ったのを確認したケイがノワールに向けてそう言うと、「あっの、エロオヤジーーーーーッッ!!」とノワールが怒りを露わにして机を叩く。

 

 

「まさか、あんな腐った男が本部とのパイプ役になるなんてね。本部も腐敗しているのかな?」

 

 

 ケイが怒気を含んだ声で言うと、「いいえ、腐ってるのはアイツだけよ! アイツが来る前はちゃんとした人だったわ!!」とノワールが言う。

 

するとケイが、「じゃあ、何故あんな奴が? あんな腐った上に無能そうな男が権力を得られる程、本部の競争は甘くないと思うんだけど」と質問をする。

 

 

「こっちが聞きたいわ!!!」

 

 

 ノワールがそう怒鳴ると、「すまないノワール。君が一番辛いのに」とケイが謝る。

 

 

「あっ! ごめん! ごめんなさい!! ついカッとなって……八つ当たりよね。みっともないわ」

 

 

 慌ててケイに謝るノワールだが、「いいんだ。それで君の気が晴れるならいくらでも言ってくれ」とケイが冷静な声で言う。

 

 

「どうしてそこまでしてくれるの?」

 

 

 ノワールがそう質問すると、「どうしてだろうね? 僕にも分からない。僕は僕が思っている以上に、君やラステイションが大切になってしまったらしい」とケイがノワールの肩に手を置きながら答える。

 

 

「……うっ……ううっ……ケイっ、ケイーーッ!! 私、悔しい! 悔しいの!!」

 

 

 大粒の涙をボロボロと流しながら泣き出してしまうノワールをケイは優しく抱き止める。

 

 

「好きなだけ泣いてくれ。僕が君とラステイションを守ってみせるよ」

 

 

 ケイが優しく言うと、「もっと、もっと強く抱きしめて……アイツにまさぐられた嫌な感触がまだ残ってるの……」とノワールが泣きじゃくる。

 

 

(あの強気だったノワールがここまで……おのれっ! おのれジュウ=ヤクめ!!)

 

 

 ケイはノワールを抱きしめながら激しい怒りに燃えていた。

 

 

「何でこんなことになっちゃったのかしら……私がユニを見捨てたから……」

 

 

 ノワールがポツリとそう言うと、「それは違う。君はユニを見捨ててなんかいない、ユニが早とちりをしているだけだ」とケイが力強く言うが、「でも、私がU.N.Iの次世代機を作らない決定を受け入れたのは事実だわ」とノワールが落ち込んでしまう。

 

 

「ノワール……」

 

 

 ケイはノワールがどれだけ悩んでU.N.Iの次世代機を作らない決定を受け入れたのを知っていた故に何も言えなかった。

 

 

「何でユニは帰って来てくれないのかしら……そんなにあの子の隣が心地良いの? 私がこんなに苦しんでいるのに……」

 

 

 ノワールが切なそうに言うが、その言葉の何処かに怒気を感じたケイは、「ノワール? どうしたんだい?」と質問をする。

 

 

「そうよ……あの子が全部悪いのよ! 私がどれだけユニを大切に育てたかも知らずに、横から出てきて美味しいところをさらって行ってっ! その癖、聖女面してみんなに愛されて……憎い……あの子が! ネプギアが憎いっ!!」

 

 

 ノワールが吐き捨てるように言うと、ケイはノワールの両肩を力強く握り揺すって、「どうしたんだ? ノワール! しっかりしろ! 君らしくもない! ネプギアさんを恨むなんて筋違いだよ! 彼女のおかげで何度助けられたと思っているんだい? ユニが君と対立していないのは彼女のお陰でもあるんだよ?」と説得をする。

 

しかし、「なに!? ケイまであの子の味方なの!? 私とラステイションを守ってくれるって言うのはウソだったの?」とノワールは取り乱してしまう。

 

 

「すまん! ノワール!」

 

 

 ケイはそう言うと、ノワールの頬を思いっ切り引っ叩く。

 

 

「……ケイ? 私、一体なにを……ごめんなさい。急にあの子が……ネプギアのことが憎くなって……」

 

 

 ノワールはそう言うと、目を瞬かせる。

 

 

「大丈夫だ。僕は君の味方だよ、ノワール」

 

 

 ケイはそう言うと、ノワールを強く抱きしめた。

 

 

(ネプギアさんが急激に憎くなる症状……プルルートさんのカオスアニマの時の症状に酷似している? まさかジュウ=ヤクとイクスは繋がっているのか?)

 

 

 

***

 

 

 遥か遠くの別次元。

 

 

「やー、もうニャルラトホテプの旦那もロキの旦那も人が悪いな~。あんなに渋ってた癖にノリノリじゃな~い」

 

 

 イクスが楽しそうに笑う。

 

 

「勘違いするなよ。お前の為じゃねぇよ。あのガキをシバくのが面白かっただけだ」

 

 

 ロキがぶっきらぼうにそう言うと、「僕も同じかな? 彼女の羞恥に歪む顔と嫌悪感……女神の極上のSAN値が取れたよ」とニャルラトホテプが冷たく微笑む。

 

 

「流石は稀代のトリックスターのお二人! よっ、大統領!!」

 

 

 イクスが死語交じりで二人を褒めるが二人はそれを無視して、「あのガキにかなりのカオスエナジーってヤツを注入してきたが、少しやり過ぎたな。教祖のヤツが感づいてる」とロキが言い、「そうだね。僕の方でも同じ感じかな。もう少し愉しみたかったけど、なかなか上手くいかないね」とニャルラトホテプが残念そうに言う。

 

 

「もうカオスエナジーの注入は十分だから、あんまり下手に接触して尻尾掴まれない方がいいかもね~。二人も忙しいっしょ?」

 

 

 イクスがそう言うと、「そうだな。俺様は新たなる力となる暗黒竜の吸収の方に集中する。テメェ等は勝手にやってろ」と言ってロキが姿を消すと、「じゃあ、僕はインフィニットシェアクリスタルを使って、クトゥルフの復活を急ぐとするよ。今日も良いSAN値が取れたしね」と言ってニャルラトホテプも姿を消す。

 

 

「いってらっしゃーい!」

 

 

 陽気に彼等を見送るイクス。

 

 

「ふん……精々、あたしの為に働いてくれよ。三流トリックスターども」

 

 

 イクスはそう言って毒づいた。

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