流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。 作:正体不明の筆者A
「ひ、ひえぇ〜〜っ」
勉強が丁度良く終わって、どうせなら楓や早苗の様子でも見ようかなぁと公式の配信(コメント欄無し)を見てたんだけど……リーフって早苗の事だよね?
『あはははっ!!どうしたんですかぁもっと私に立ち向かって来て下さいよぉっ!!』
…………いやいや。早苗があんな高笑いするなんて有り得ないでしょ。ちょっと言葉遣いが丁寧なのがより狂気を増大させてるよこれ。恐怖映像の分析かな?
『く、くそぉせめて一太刀でも……がはぁっ!?』
『甘い、甘いですよぉっ!【
『なんだよおぉぉ〜〜〜もぉ〜〜またかよおぉぉぉぉ〜〜〜っっっ!!!』
あぁあぁプレイヤー達がどんどんスキルに呑まれていってる。これもう負けイベとかレイドボスの類いでしょ。そもそも元のPSが高すぎるせいでこんな強力なスキルでもおまけ程度にしか過ぎないし。そしてものすっごい見たことある戦闘スタイル。てかなんかジ○クいた気がする。
「あら。理紗休憩?」
「うん」
「最近はよく頑張ってるものね……あら、この子早苗ちゃんかしら?」
「あぁ……やっぱり分かっちゃう?」
お母さんが観察がてら部屋に入ってきた。そしてやっぱり早苗だって分かっちゃうんだね。まぁまんまだもんね。お母さんもちょっと興味が出てきたのか一緒に生配信を見ることになった。
「すごいわねぇ。まさに無双じゃない」
「いやいや。お母さんなに冷静に分析してるの?」
「うふふ。誰だって上機嫌になったらこうなっちゃうわよねぇ。早苗ちゃん普段から色々抑えてるんだろうし」
「さ、さすが大人だ……」
お母さんはこのリーフ、もとい早苗の狂気的なプレイングを前にしてもまるで動じてない。これが大人の余裕って奴なのかなぁ。だとしてももう少し反応があるとこっちとしては安心するんだけど。
「ひとつひとつの所作に無駄な動きがひとつもないわね」
「そうなんだよね……私でもあんなに綺麗にプレイは出来ないかも」
「でもねぇ……そう言えば理紗は早苗ちゃんがどんな感じのプレイをしてるか知ってるのかしら」
「うん……左目使えない縛りしたりもう色々凄いよ」
「やっぱり視界が片方無いのね。立ち回りだけでうま〜くカバーしてるもの」
お、お母さん分かるんだ。この子供にしてこの親ありってところなのかな?別にお母さんゲームやるタイプの人じゃないのに。
「圧倒的ねぇ」
「もうこれ早苗は殿堂入りで良いでしょ」
「二位との差がダブルスコア以上なんてそうそう無いわよねぇ」
「ほんとそれ……え、私あれに追いつかないといけないの?」
「頑張りなさい。私の娘なんだもの」
お、お母さん流石に無茶振りが過ぎると思うなぁ。お母さんは満足したらしくニコニコで部屋を立ち去っていった。イベント時間は後5分。もはや順位の変動は無いに等しいだろう。いや逆にあったら困るんですけどね?
「えぇ〜……ほんとにどうしよ」
なにげに楓っぽい子も3位になってるし。私明らかに出遅れ過ぎじゃ無い?これはもうゲーム解禁されたら死ぬ気でやらないと。いやほんとに割と危機的状況だからねこれ。
『それでは3位のメイプルさんっ!おめでとうドラっ!』
『あ、ありがとうございましゅっ!?』
あ、噛んだ。
『3位になった感想を聞かせて欲しいドラっ』
『あ、え、えっとぉ……い、いっぱい守れてよかったでしゅっ……あぁ〜もぅ恥ずかしいよぉっ!』
あ、可愛い。そしてこれは完全に楓だ。
『それでは栄えある第一位はリーフさんドラっ』
『コホン。ありがとうございます』
『1位になった感想を聞かせて欲しいドラ』
『感想、ですか。そうですね……日々の努力と検証が実を結んだ結果だと思っております。これからも引き続き頑張って行きますので、応援のほどよろしくお願いします』
『ありがとうドラっ』
……いやインタビューは何時もの感じなんか〜いっ!!ギャップで頭おかしくなっちゃうよ私。さっき高笑いしてた人と同一人物に見えないのは私だけじゃ無いはず。えぇ〜私明日リアルで何話せばいいのぉ……?
「……見なかったことにしよっと!」
翌日。今は学校の昼休み時間中です。私、理紗、楓の3人はいつも通り教室でご飯を食べているのですが、どうも先ほどから理紗の様子がおかしい気がするのです。一体どうしたのでしょうか?
「いや自分何も分かってませんみたいな顔しても無駄だよ早苗!?」
「はて、ほんとうに見当が付かないのですが」
「いやさ……昨日ちょっと第一回イベントの配信を見ちゃったんだよね……」
ん〜?どういうことでしょうか。
「はぁ〜分かってないみたいなら良いけどさぁ?私が追いつくのが大変だなぁって思っただけ」
「あはは……」
「楓も楓だと思うけどなぁ」
「えぇ〜私はそんな事無いよぉ」
そうですよね。私達はベストを尽くしただけであって何かやらかした訳ではありません。そこだけは勘違いしないでいただきたいところですねまったく。
「はぁ〜まぁいいや。私は実力テストが終わったら出来るから、あともうちょっと二人だけで楽しんでて」
「もちろんです。まぁ私も楓も随分と顔が広くなってしまったようですが」
昨晩の実況スレはかなりの盛り上がりだったそうで。私達の名前も随分と広まったようです。私は元々有名ではありましたが、さらにその声が大きくなった様な気がします。巷では私と楓を合わせてラスボスの参謀二人衆なんて言われているらしいです。
「そう言えば理紗はどんなスタイルで行くか決めたの?」
「うん。やっぱり初志貫徹で回避盾にしようかなぁって」
「回避盾?」
「楓は知らない言葉かもしれませんね。簡単に言えば回避だけで敵の攻撃を全て捌き切るスタイルのことを言います。当たらなければどうということはない、という奴です」
そこは概ね予想通りですね。理紗もPSがお化けなタイプですので、それを最大限に生かした戦略を得意としています。
そうなると、うちのパーティは楓が守り、理紗が攻め、私がサポートと奇跡的なバランスになることが分かりました。私をサポート枠に勘定するかは議論の余地がありそうですが、一応私僧侶というかヒーラーですので。
「もぅ〜特に早苗にはバックアップいっぱい頼んじゃうからねっ」
「もちろんです。10時間でも付き合ってあげましょう」
「そ、そこまではいいかな……?」
「理紗、あなた過去に私と一緒に夏休み24時間耐久アクションゲームをしたのですから今更ですよ」
「理紗……ちょっと引いた」
「楓っ!?」
まぁ私が言えた口ではありませんが、理紗も理紗だと思いますよ。えぇほんとに。
<運営サイド>
「やべぇよ……やべぇよ」
「これ完全に終わったろ」
「こんな第一回イベントが許されてええんか……?」
「くそぅリーフの存在を見逃していた自分が憎い……っ!」
「あんなバケモノなんで平然と潜んでたんだよ……」
「しかもリーフだけならまだ良い。問題はメイプルの方だ」
「リーフと違ってやろうと思えば誰でも実践出来ちゃうのは流石にまずすぎるだろ」
「取りあえず次のアプデでメイプル関連の仕様変更は確定だが……無難なラインだと【悪食】の弱体化か?」
「【悪食】をあんな使い方する奴がいるなんて分からねぇよ流石にっ!」
「これはもう俺たちの非を認めるしかない……【悪食】に回数制限適応はやむを得んだろう」
「後はモンスターのAI改善も必須だな……あんな簡単に防御特化されたらたまったもんじゃない」
「そうだな……取りあえず開発班にAI強化の方を打診しよう」
「後はあんな感じの防御特化が出てきた場合に備えて攻めの手を打たないといけないな」
「こうなったら……防御貫通攻撃を導入するしかない、か」
「メイプルほどでは無いが、今のバランスだと防御側に少し有利になりすぎる調整ではあった……か」
「そうだな……防御貫通の導入は確定だ」
「それで……リーフの方はどうする?」
「リーフに関しちゃもうどこを対策したら良いかわからねぇよ……っ」
「リーフの奴運営が対策し辛いことを察して実行してるだろ完全に……」
「激レアスキルの弱体化がほぼ不可能だし、片方は元々効果が弱すぎるスキルだし」
「完全に終わりだ……っ」
「い、いちおう【狂気反転】の取得条件を上げることで最低限二番煎じを防ぐことは出来る……がしかし」
「リーフはもう諦めた方が良いんじゃねぇかな……」
「もうどこを弱体化してもどっかで変な物見つけて来そうで怖いよ」
「あぁ……胃が痛い」
「と、取りあえず【狂気反転】の取得難化は確定だ。これだけは絶対にやらないとあかん」
「そ、そうだな。よし、後はもう見なかったことにしようっ」
「そうだなっ!見なかったことにしようっ!」
「俺たちは何も見てないぞ〜っ!」
<???>
「ふむ……」
ここは宿屋の一室。俺は第一回イベントを終えて今後の戦略について考えていた。
「リーフとメイプル、か」
第一回イベントは、事前予想と反して大番狂わせがかなりの数起きていた。まずドラグとドレッドが上位3位以内を逃したこと。特にドレッドは実力的にはトップ3は硬いとされていたのにもかかわらずだ。
後で本人に話を聞いたが、リーフの超広範囲攻撃の対処を間違い、【オーバーヘイスト】と言うスキルで制御不能に陥ってキルされていた事が分かった。解析班もまだこのスキルがなんなのかを解析出来ておらず、さらにリーフというプレイヤーの脅威度が増した形になる。
『あれを初見で対応しろって?無理無理。流石に急に移動速度が爆増したら俺でも制御出来ねぇよ。しかもあの時無重力空間との併用だったしな』
無重力空間……そんなものを生み出すスキルが存在するとでもいうのか。まだまだこのゲームには知らないスキルがたくさんあるなと思わされる。
そして同時に、俺はリーフに負けた。しかもダブルスコアで負けたのだ。これをただで見逃せる程俺もこのゲームをやりこんでいない。何処かで彼女にリベンジをしなければならないのだろう。
「だが……今の俺で彼女に勝つことが出来るのか……?」
その予感が頭をよぎる。リーフは確かに所持しているスキルが強力無比な事は認めよう。だが彼女の強さはそこだけに止まらない。第一回イベントのハイライトを見て思った。彼女はドレッドの様な俊敏さ、周囲の状況を即座に判断する動体視力と頭の回転。そこにイベント4位のミィの様な高火力魔法とドラグの様な高威力物理攻撃を併せ持っている。
彼女のプレイヤースキルは異次元の領域に達している。噂に聞くデバフスキルが無ければもっと凄惨な事態になっていたことは想像に難くない。それに彼女が本気を出していない可能性だって十分にある。俺たちは彼女の実力の氷山の一角しか見えていないかもしれないのだ。
「ふふ……面白い。それでこそ対抗しがいがあるというものだ」
次にPVPがあるのが何時になるのだろうか。その時に俺と彼女は刃を合わせる事になるだろう。その日に備えて、俺もしっかりとプレイしないといけないな。
リーフちゃんが色々とやらかしてくれるので非常に書きやすくて助かっています。次回は遂にサリーの本格参戦が……っ!?
あ、ちなみに作者の最推しはサリーです。これだけは譲りません。